特許第6043612号(P6043612)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043612
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】タイヤ状態監視装置
(51)【国際特許分類】
   B60C 23/04 20060101AFI20161206BHJP
   H04B 1/59 20060101ALI20161206BHJP
   H04B 1/04 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   B60C23/04 N
   H04B1/59
   H04B1/04 P
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-270419(P2012-270419)
(22)【出願日】2012年12月11日
(65)【公開番号】特開2014-113951(P2014-113951A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2014年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000204033
【氏名又は名称】太平洋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】辻田 泰久
【審査官】 岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−283816(JP,A)
【文献】 特開2007−204006(JP,A)
【文献】 特開2011−254481(JP,A)
【文献】 特開2007−040705(JP,A)
【文献】 特開2012−201332(JP,A)
【文献】 特表2011−521493(JP,A)
【文献】 特開2009−078659(JP,A)
【文献】 特開2009−046079(JP,A)
【文献】 特開2006−282091(JP,A)
【文献】 特開2012−218611(JP,A)
【文献】 特表2012−503554(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0255349(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0291634(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 23/04
H04B 1/04
H04B 1/59
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた複数の車輪のタイヤ内に設置され、
前記タイヤの状態を検出する状態検出部と、
前記状態検出部の検出したタイヤ情報を送信可能な送信部と、
前記送信部によって前記タイヤ情報を送信させるコントローラと、
前記コントローラ、前記送信部、及び前記状態検出部に電力供給可能な電源と、
前記状態検出部から前記タイヤ情報を取得し、該タイヤ情報を送信可能なNFCタグと、を有する車輪側ユニットを備えるとともに、
前記車両の車体に設置され、前記送信部の送信した前記タイヤ情報を受信する受信部を有する受信機ユニットを備え、
さらに、前記NFCタグとの近距離無線通信で前記NFCタグから送信された前記タイヤ情報を受信可能なNFCリーダ/ライタを有する携帯通信端末を備えており、
近距離無線通信を行うときに前記NFCリーダ/ライタから前記NFCタグに非接触給電され、前記NFCタグから前記NFCリーダ/ライタへの前記タイヤ情報の送信は、前記送信部から前記受信部への前記タイヤ情報の送信よりも低出力で行われ、
前記車輪側ユニットは、前記コントローラに対する電気的な接続を前記電源と前記NFCタグとで切替えるスイッチを有するとともに、前記スイッチを駆動させる切替回路を有し、前記NFCタグから前記NFCリーダ/ライタへの前記タイヤ情報の送信時は、前記切替回路により前記スイッチが前記NFCタグに接続され、前記送信部から前記受信部への前記タイヤ情報の送信時は、前記切替回路により前記スイッチが前記電源に接続されることを特徴とするタイヤ状態監視装置。
【請求項2】
前記NFCタグと前記送信部は共通のアンテナを有する請求項1に記載のタイヤ状態監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪側ユニット、受信機ユニット、及び携帯通信端末を備えるタイヤ状態監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に設けられた複数のタイヤの状態を運転者が車室内で確認できるようにするための装置として、無線方式のタイヤ状態監視装置が提案されている。タイヤ状態監視装置は、車両の車輪にそれぞれ装着されるとともに送信部を有する複数の車輪側ユニットと、車両の車体に搭載される受信機ユニットとを備えている。各車輪側ユニットは、対応するタイヤの状態、即ちタイヤ内の圧力や温度を検出し、検出されたタイヤの状態を示すタイヤ情報を送信部を介して受信機ユニットに無線送信する。受信機ユニットは、受信部を備え、各車輪側ユニットからのタイヤ情報を受信部で受信する。
【0003】
ところで、無線方式のタイヤ状態監視装置では、車輪側ユニットが車輪という隔離された場所に配置されるため、車輪側ユニットの電源として用いられる電池の取替えが容易でない。したがって、長期にわたって車輪側ユニットでの電力消費に耐えられる電池容量が必要とされるが、その反面、車輪側ユニットの小型化等の観点から電池容量を少なくする必要もある。
【0004】
そこで、特許文献1では、送信機(車輪側ユニット)を、タイヤ空気圧の変化が所定の閾値以上のときにその情報を無線送信し、タイヤ空気圧の変化が所定の閾値未満のときにその方法を送信しないホットリンクモードで作動させる。受信機(受信機ユニット)は、送信機から情報が送信されないときにはタイヤ空気圧が変化していないということを認識することができ、情報が送信されたときには、その情報からタイヤ空気圧を取得することが可能となる。したがって、タイヤ空気圧が自然減のときの送信機からの電波送信回数を大幅に減らすことを可能にでき、電池容量を低減することが可能となる。
【0005】
また、車輪側ユニットが検出したタイヤの圧力や温度を携帯通信端末を用いて把握することができるようになっている。例えば、特許文献2では、タイヤと一体のシステムは、タイヤの圧力及び温度を測定するセンサを有し、温度補正されたタイヤの圧力はメモリーに記憶される。タイヤと一体のシステムは、例えばブルートゥースのようなワイヤレス・データリンク・プロトコル下で動作する通信モジュールを有し、この通信モジュールは、携帯電話による要求に応じて、記憶された情報を携帯電話に送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−76457号公報
【特許文献2】特開2002−216281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献2のように、携帯電話に情報を送信する際に、車輪側ユニットの電源が用いられると、長期にわたる電力消費に耐えられなくなってしまう。
本発明の目的は、携帯通信端末を用いてタイヤ情報を把握可能としながらも、車輪側ユニットにおける電源の電力消費を抑えることができるタイヤ状態監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両に設けられた複数の車輪のタイヤ内に設置され、前記タイヤの状態を検出する状態検出部と、前記状態検出部の検出したタイヤ情報を送信可能な送信部と、前記送信部によって前記タイヤ情報を送信させるコントローラと、前記コントローラ、前記送信部、及び前記状態検出部に電力供給可能な電源と、前記状態検出部から前記タイヤ情報を取得し、該タイヤ情報を送信可能なNFCタグと、を有する車輪側ユニットを備えるとともに、前記車両の車体に設置され、前記送信部の送信した前記タイヤ情報を受信する受信部を有する受信機ユニットを備え、さらに、前記NFCタグとの近距離無線通信で前記NFCタグから送信された前記タイヤ情報を受信可能なNFCリーダ/ライタを有する携帯通信端末を備えており、近距離無線通信を行うときに前記NFCリーダ/ライタから前記NFCタグに非接触給電され、前記NFCタグから前記NFCリーダ/ライタへの前記タイヤ情報の送信は、前記送信部から前記受信部への前記タイヤ情報の送信よりも低出力で行われ、前記車輪側ユニットは、前記コントローラに対する電気的な接続を前記電源と前記NFCタグとで切替えるスイッチを有するとともに、前記スイッチを駆動させる切替回路を有し、前記NFCタグから前記NFCリーダ/ライタへの前記タイヤ情報の送信時は、前記切替回路により前記スイッチが前記NFCタグに接続され、前記送信部から前記受信部への前記タイヤ情報の送信時は、前記切替回路により前記スイッチが前記電源に接続されることを要旨とする。なお、NFCは、(Near Field Communication)として知られる無線通信の国際規格であり、十数センチの近距離での小電力無線通信技術である。
【0009】
これによれば、携帯通信端末が車輪の近くにない車両の走行時には、状態検出部の検出したタイヤ情報は、電源の電力によって駆動された送信部を介して高出力で受信機ユニットに送信される。このため、車輪側ユニットが車輪に設置され、受信機ユニットが車体に設置されて、車輪側ユニットと受信機ユニットが離れていても、タイヤ情報を受信機ユニットで受信できる。
【0010】
一方、携帯通信端末が車輪の近距離に配されると、携帯通信端末のNFCリーダ/ライタと、車輪側ユニットのNFCタグとが無線通信可能になり、状態検出部の検出したタイヤ情報は、NFCタグからNFCリーダ/ライタに向けて送信される。このため、車輪側ユニットと携帯通信端末は、無線通信可能な近距離にあるため、送信出力が低くてもタイヤ情報を携帯通信端末で受信できる。よって、NFCタグからNFCリーダ/ライタに向けてタイヤ情報が送信されるときは、送信部から受信部に向けてタイヤ情報を送信するときよりも送信出力を低くできる。よって、携帯通信端末を用いてタイヤ状態を把握するときも、送信部からタイヤ情報を送信させる場合のように送信出力を高くする場合と比べると、車輪側ユニットの電源消費を抑えることができる。
【0012】
両の走行時には、切替回路は、電源がコントローラに接続されるようにスイッチを切替えている。このため、状態検出部の検出したタイヤ情報は、電源の電力を使って高出力で送信部から受信機ユニットに送信することができる。
【0013】
一方、携帯通信端末のNFCリーダ/ライタと、車輪側ユニットのNFCタグとが近距離無線通信を行うときは、NFCリーダ/ライタからNFCタグに非接触で給電される。すると、切替回路が駆動され、切替回路は、NFCタグがコントローラに接続されるようにスイッチを切替える。そして、NFCタグからNFCリーダ/ライタに向けてタイヤ情報が送信される。したがって、携帯通信端末を用いてタイヤ状態を把握するときは、車輪側ユニットの電源は消費されない。
【0014】
また、前記NFCタグと前記送信部は共通のアンテナを有していてもよい。
これによれば、車輪側ユニットにNFCタグ用のアンテナと、送信部用のアンテナを別々に設ける場合と比べると、車輪側ユニットの構成を簡素化することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、携帯通信端末を用いてタイヤ情報を把握可能としながらも、車輪側ユニットにおける電源の電力消費を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】タイヤ状態監視装置が搭載された車両及び携帯通信端末を示す概略構成図。
図2】車輪側ユニットの回路構成及び受信機ユニットを示すブロック図。
図3】携帯通信端末を模式的に示す図。
図4】携帯通信端末にタイヤ情報を表示させた状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、タイヤ状態監視装置を具体化した一実施形態について、図1図4を参照して説明する。
図1に示すように、タイヤ状態監視装置は、車両1の4つの車輪2にそれぞれ取り付けられる4つの車輪側ユニット3と、車両1のユーザが携帯する携帯通信端末4とを備えている。各車輪2は、ホイール部5と、このホイール部5に装着されるタイヤ6とを含む。
【0018】
図3に示すように、携帯通信端末4は、アンテナ22を有するNFCリーダ/ライタ20を内蔵し、このNFCリーダ/ライタ20は、アンテナ22を介して通信可能な近距離に存在するNFCタグと無線通信を行う。なお、NFCリーダ/ライタ20とNFCタグとの通信周波数は、13.56MHzである。また、携帯通信端末4は、表示部4aを備え、表示部4aにはNFCリーダ/ライタ20によって取得されたデータが表示される。なお、携帯通信端末4は、スマートフォンである。NFCリーダ/ライタ20は、車輪側ユニット3からタイヤ情報を取得するため、車輪側ユニット3を駆動させるためのトリガ信号を送信可能になっている。
【0019】
図1に示すように、車輪側ユニット3は、タイヤ6の内部空間に配置されるように、そのタイヤ6が装着されたホイール部5に対して取り付けられている。各車輪側ユニット3は、対応するタイヤ6の状態(タイヤ内圧力、タイヤ内温度)を検出して、検出されたタイヤ状態を示すタイヤ情報を無線送信する。
【0020】
図2に示すように、各車輪側ユニット3は、状態検出部としての圧力センサ11及び温度センサ12を備えるとともに、コントローラとしてのセンサユニットコントローラ30を備え、圧力センサ11及び温度センサ12はセンサユニットコントローラ30に信号接続されている。また、センサユニットコントローラ30は、スイッチSを介して電源としての電池18に電気的に接続可能とされている。なお、電池18は放電のみを可能とする一次電池である。そして、圧力センサ11、温度センサ12及びセンサユニットコントローラ30は電池18からの給電により駆動される。さらに、車輪側ユニット3はNFCタグ14を内蔵する。
【0021】
圧力センサ11は、対応するタイヤ6内の圧力(タイヤ内圧力)を検出して、その検出によって得られたタイヤ内圧力データをNFCタグ14に出力する。温度センサ12は、対応するタイヤ6内の温度(タイヤ内温度)を検出して、その検出によって得られたタイヤ内温度データをNFCタグ14に出力する。
【0022】
センサユニットコントローラ30は、CPU及び記憶部(RAMやROM等)を含むマイクロコンピュータ等よりなる。送信部としてのRF送信回路31は、センサユニットコントローラ30からの各データ(タイヤ内圧力データ、タイヤ内温度データ)を変調して信号(高周波信号)を生成し、その信号をタイヤ情報として送受信アンテナ31aから無線送信する。よって、車輪側ユニット3の圧力センサ11及び温度センサ12が検出したタイヤ情報は、信号に変調されてRF送信回路31から無線送信される。
【0023】
そして、各車輪側ユニット3のセンサユニットコントローラ30は、例えば、タイヤ状態の計測動作を第1の所定時間間隔(例えば、1〜15秒間隔)で定期的に行う一方、タイヤ情報の送信動作を、第1の所定時間間隔よりも長い第2の所定時間間隔(例えば、1分間隔)で定期的に行う。但し、計測されたタイヤ状態が異常を示す場合(例えば、タイヤ内圧力の異常低下、タイヤ内圧力の急変、タイヤ内温度の急変等)、車輪側ユニット3は定期的な送信動作とは関係無く、直ちに送信動作を行う。
【0024】
各車輪側ユニット3は、NFCタグ14を備える。NFCタグ14は、上述の携帯通信端末4のNFCリーダ/ライタ20からの非接触給電によって動作する。また、車輪側ユニット3は、NFCタグ14に電気的に接続されたコンデンサ13を備える。コンデンサ13では、NFCタグ14で発生した電力の充電が行われる。コンデンサ13は、スイッチSを介してセンサユニットコントローラ30に電気的に接続可能とされている。
【0025】
また、NFCタグ14は、図示しないコントローラと、送受信部とを備えるとともに、送受信アンテナ31aに接続されている。そして、車輪側ユニット3においては、NFCタグ14の送受信部が送受信アンテナ31aを介して携帯通信端末4のNFCリーダ/ライタ20にタイヤ情報を送信する。NFCタグ14がタイヤ情報を送信する際、NFCタグ14はコンデンサ13からの給電によって動作する。ここで、RF送信回路31からタイヤ情報を送信する際、RF送信回路31は電池18からの給電によって動作し、NFCタグ14からの送信出力に比べて高い出力で行われる。また、NFCタグ14は、通信相手のNFCリーダ/ライタ20からのトリガ信号を受信する。
【0026】
車輪側ユニット3は、切替回路26を備え、この切替回路26はスイッチSを動作させ、センサユニットコントローラ30に対する電気的な接続を電池18とコンデンサ13に切替える。車輪側ユニット3において、車両1の走行中のタイヤ6の計測動作では、切替回路26によってスイッチSは電池18に接続され、電池18からセンサユニットコントローラ30に給電されるようになっている。一方、携帯通信端末4のNFCリーダ/ライタ20からの非接触給電によってNFCタグ14が起動すると、その発生した電力により切替回路26は駆動し、切替回路26は、スイッチSの接続先を電池18からコンデンサ13に切替える。
【0027】
図1に示すように、受信機ユニット40は、受信機ユニットコントローラ33を有するとともに、受信部としてのRF受信回路35を有する。受信機ユニットコントローラ33には、表示器38が有線接続されている。受信機ユニットコントローラ33はCPU及び記憶部33aを含むマイクロコンピュータ等よりなり、受信機ユニット40の動作を統括的に制御する。
【0028】
受信機ユニットコントローラ33において、RF受信回路35は、各車輪側ユニット3から送信されたタイヤ情報(タイヤ内圧力データ、タイヤ内温度データ)を受信アンテナ32を通じて受信し、その信号を復調して、受信機ユニットコントローラ33に送る。受信機ユニットコントローラ33は、RF受信回路35からの信号に基づき、送信元の車輪側ユニット3に対応するタイヤ6のタイヤ内圧力及びタイヤ内温度を把握する。受信機ユニットコントローラ33は、タイヤ内圧力及びタイヤ内温度に関する情報等を表示器38に表示させる。表示器38は、車室内等、車両1の搭乗者の視認範囲に配置され、受信機ユニットコントローラ33により表示器38にはタイヤ内圧力やタイヤ内温度の異常が表示(報知)される。
【0029】
次に、本実施形態の作用を説明する。
図2に示すように、車両1の走行中は、各車輪側ユニット3において、切替回路26は電池18からの給電により、スイッチSを電池18に接続している。そして、センサユニットコントローラ30は、電池18からの給電により圧力センサ11及び温度センサ12を駆動させ、タイヤ状態の計測動作を第1の所定時間間隔で定期的に行う。また、センサユニットコントローラ30は、電池18からの給電によりRF送信回路31を駆動させ、検出したタイヤ情報(圧力・温度データ)を送受信アンテナ31aを介して第2の所定時間間隔で定期的に高出力で送信する。
【0030】
そして、受信機ユニット40では、各車輪側ユニット3から送信されたタイヤ情報(圧力・温度データ)を受信アンテナ32を通じて受信し、タイヤ情報の信号を復調して、受信機ユニットコントローラ33に送る。受信機ユニットコントローラ33は、送信元の車輪側ユニット3に対応するタイヤ6のタイヤ内圧力及びタイヤ内温度を表示器38に表示させる。
【0031】
図4に示すように、車両1の停止時に、タイヤ6の点検を行う場合、車両1のユーザは、携帯通信端末4を車輪2に近付け、その車輪2のタイヤ6に設置されたNFCタグ14と通信可能な位置に配置する。すると、携帯通信端末4におけるNFCリーダ/ライタ20のアンテナ22からトリガ信号がNFCタグ14に送信される。車輪側ユニット3において、トリガ信号を送受信アンテナ31aが受信すると、非接触給電によってNFCタグ14に電力が発生する。その電力によって切替回路26が駆動されるとともに、スイッチSの接続先が電池18からコンデンサ13に切替えられる。
【0032】
そして、コンデンサ13からの給電により、圧力センサ11及び温度センサ12によってタイヤ状態の計測動作が行われ、タイヤ内圧力データ及びタイヤ内温度データが検出される。NFCタグ14は、検出されたタイヤ内圧力データ及びタイヤ内温度データをセンサユニットコントローラ30から取得する。さらに、NFCタグ14は、取得した圧力・温度データを送受信部によって送信させ、送受信アンテナ31aから携帯通信端末4のNFCリーダ/ライタ20に向けて送信する(送信動作が行われる)。すると、携帯通信端末4では、アンテナ22を介してNFCリーダ/ライタ20がタイヤ情報(圧力・温度データ)を受信し、受信したタイヤ内圧力データ及びタイヤ内温度データを表示部4aに表示させる。
【0033】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)車輪側ユニット3から携帯通信端末4へのタイヤ情報の送信は、NFCタグ14とNFCリーダ/ライタ20の近距離無線通信により行われる。一方、車輪側ユニット3から受信機ユニット40へのタイヤ情報の送信は、RF送信回路31からの送信により行われる。よって、携帯通信端末4にタイヤ情報を送信する場合は、近距離で受信できるように送信出力が低くてもよく、RF送信回路31から受信機ユニット40にタイヤ情報を送信する場合よりも送信出力を低くできる。したがって、車輪側ユニット3から携帯通信端末4及び受信機ユニット40の両方にRF送信回路31からタイヤ情報を送信する場合と比べると、電池18の電力消費を抑えることができる。
【0034】
(2)車輪側ユニット3から携帯通信端末4への近距離で送信する際は、低出力であってもタイヤ情報を携帯通信端末4のNFCリーダ/ライタ20に受信させることができる。そして、車輪側ユニット3から受信機ユニット40へと送信距離がある場合は、高出力でタイヤ情報を送信することで、受信機ユニット40でタイヤ情報を確実に受信させることができる。したがって、携帯通信端末4にタイヤ情報を送信する場合と、受信機ユニット40にタイヤ情報を送信する場合の両方で、タイヤ情報を確実に受信することができる。
【0035】
(3)車輪側ユニット3に、センサユニットコントローラ30との接続先を電池18と、コンデンサ13に切替えるスイッチSを設けるとともに、スイッチSを駆動させる切替回路26を設けた。そして、車両1走行時のタイヤ状態の計測動作及び送信動作は、電池18からの給電で行われるように切替回路26によってスイッチSを切替える。一方、車両1停止時のタイヤ状態の計測動作及び送信動作は、コンデンサ13からの給電で行われるように切替回路26によってスイッチSを切替える。このため、車輪側ユニット3においては、携帯通信端末4を用いたタイヤ状態の点検時には、電池18を使用しない。したがって、携帯通信端末4を用いてタイヤ情報を把握可能としながらも、車輪側ユニット3における電池18の電力消費を無くすことができる。
【0036】
(4)車輪側ユニット3において、車両1の走行時に、RF送信回路31からタイヤ情報を送信する送受信アンテナ31aと、NFCタグ14がトリガ信号及びタイヤ情報を送受信する送受信アンテナ31aを兼用させた。このため、RF送信回路31とNFCタグ14とでアンテナを別々に設ける場合と比べると、車輪側ユニット3の構成を簡素化することができる。
【0037】
(5)車両1の停止時に、携帯通信端末4を用いて行うタイヤ6の点検では、NFCリーダ/ライタ20からの非接触給電によってタイヤ情報を得ることができる。よって、携帯通信端末4を用いたタイヤ6の点検を何度行っても電池18の電力消費は無いため、タイヤ6の点検を頻繁に行うことができる。
【0038】
(6)タイヤ状態監視装置としては、各車輪側ユニット3と、携帯通信端末4とを備えている。このため、タイヤ6が交換されても、タイヤ6にNFCタグ14を備える車輪側ユニット3が設置され、携帯通信端末4にNFCリーダ/ライタ20が搭載されていれば、交換したタイヤ6であっても、タイヤ6の状態を検出することができる。
【0039】
(7)車輪側ユニット3は、NFCタグ14に電気的に接続されたコンデンサ13を備える。コンデンサ13は、NFCタグ14で発生した電力の充電を行う。このため、コンデンサ13からの給電により、切替回路26を確実に駆動させてスイッチSの切替を確実に行うことができる。
【0040】
なお、本実施形態は、以下のように変更してもよい。
○ 車輪側ユニット3のNFCタグ14から送信されたタイヤ情報は、携帯通信端末4のNFCリーダ/ライタ20で受信した後、受信機ユニット40に転送し、表示器38で表示させてもよい。
【0041】
○ 車輪側ユニット3において、NFCタグ14の送受信用のアンテナと、RF送信回路31の送受信アンテナ31aとを別々に設けてもよい。
○ 4輪の車両1用のタイヤ状態監視装置への適用に限定されるものではなく、2輪の車両用のタイヤ状態監視装置に適用してもよい。
【0042】
○ 状態検出部は、圧力センサ11及び温度センサ12以外にも、加速度センサ等であってもよい。
○ 車輪側ユニット3の電源は、一次電池の電池18以外に充放電可能な二次電池であってもよい。
【0043】
○ 携帯通信端末4は、スマートフォン以外に、携帯電話や、情報携帯端末(PDA)、ノートパソコン等のモバイル機器であってもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
【0044】
(イ)前記NFCタグにはコンデンサが電気的に接続されているタイヤ状態監視装置。
(ロ)前記状態検出部は圧力センサであるタイヤ状態監視装置。
(ハ)前記状態検出部は温度センサであるタイヤ状態監視装置。
【符号の説明】
【0045】
S…スイッチ、1…車両、2…車輪、3…車輪側ユニット、4…携帯通信端末、6…タイヤ、11…状態検出部としての圧力センサ、12…状態検出部としての温度センサ、14…NFCタグ、18…電源としての電池、20…NFCリーダ/ライタ、26…切替回路、30…コントローラとしてのセンサユニットコントローラ、31…送信部としてのRF送信回路、31a…アンテナとしての送受信アンテナ、35…受信部としてのRF受信回路、40…受信機ユニット。
図1
図2
図3
図4