(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)スチレン系樹脂100質量部に対して、(B)ポリ乳酸を0.2〜15.0質量部、(C)ベンゼンジオールビス(ジアリールホスフェート)化合物を6〜25質量部、(D)ポリフェニレンエーテル樹脂5〜20質量部を含有し、UL94規格でV−2を達成するスチレン系難燃性樹脂組成物。
【背景技術】
【0002】
スチレン系樹脂はその特性を生かし広範囲な用途に使用されている。中でも難燃性を付与させたスチレン系難燃性樹脂はパーソナルコンピュータ、プリンター、複写機等のOA機器、TV、オーディオ等の家電製品等を初めとする多岐の分野で使用されている。スチレン系樹脂の難燃化方法としては、ハロゲン系、リン系、金属塩等の難燃剤をスチレン系樹脂に配合することが知られている。しかしながら、ハロゲン系難燃剤は環境に悪影響を及ぼす懸念から、その使用が控えられつつある。一般に、難燃性を高めるためには、材料に配合する難燃剤を増量する方法が取られるが、難燃剤の増量は物性の低下を引き起こすため好ましくない。また、難燃剤の増量は環境への負荷も増大させるため、可能な限り少量の難燃剤を用いて所望の難燃性を達成することが求められている。そこで、現在までに難燃剤の低減を目的として種々のスチレン系樹脂組成物の検討が行われてきた。
【0003】
従来の検討では、耐衝撃性ポリスチレンに、トリフェニルホスフィン(TPP)、ビスノニルフェニルホスフェート(DNP)、トリスノニルフェニルホスフェート(TNPP)、ノニルフェニルジフェニルホスフェ−ト(NDP)、ノニルフェノ−ル等の特定リン系難燃剤および特定の粘度を有するポリオルガノシロキサンを配合することで着火溶融時の滴下促進性を向上させ、それにより難燃剤を低減させたスチレン系難燃性樹脂の開発が行われてきた(特許文献1参照)。しかしながら、これらTPPやノリルフェノール等は環境に悪影響を及ぼす恐れがあるため好ましくない。
【0004】
また、特定の還元粘度を有する耐衝撃性ポリスチレンにリン系難燃剤として赤リンを用いることで同様に着火溶融時の滴下促進性に優れるスチレン系難燃性樹脂組成物が知られているが、赤リンを用いると成形時に有毒なホスフィンガスが発生し易く、且つ取り扱いが困難であり、工業的使用が制限されるため好ましくない(特許文献2参照)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明において使用する(A)スチレン系樹脂とは、芳香族ビニル化合物系単量体をラジカル重合して得られるものであり、必要に応じて共役ジエン系ゴム状重合体を加えてゴム変性を行ってもよい。重合方法としては公知の方法、例えば、塊状重合法、塊状・懸濁二段重合法、溶液重合法等により製造することができる。芳香族ビニル化合物系単量体は、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の公知のものが使用できるが、好ましくはスチレンである。また、これらの芳香族ビニル化合物系単量体と共重合可能なアクリロニトリル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等のスチレン系単量体や無水マレイン酸等以外の単量体も、スチレン系樹脂組成物の性能を損なわない程度ものであれば良い。さらに本発明ではジビニルベンゼン等の架橋剤をスチレン系単量体に対し添加して重合したものであっても差し支えない。
【0011】
本発明の(A)スチレン系樹脂のゴム変性に用いる共役ジエン系ゴム状重合体としては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンのランダムまたはブロック共重合体、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、スチレン−イソプレンのランダム、ブロック又はグラフト共重合体、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴムなどが挙げられるが、特にポリブタジエン、スチレン−ブタジエンのランダム、ブロック又はグラフト共重合体が好ましい。また、これらは一部水素添加されていても差し支えない。
【0012】
このような(A)スチレン系樹脂の例として、ポリスチレン(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体)、MS樹脂(メチルメタクリレート−スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体)、AES樹脂(アクリロニトリル−エチレンプロピレン−スチレン共重合体)、MBS樹脂(メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体)等が挙げられる。
【0013】
本発明で使用する(B)ポリ乳酸には、ポリ(L−乳酸)、ポリ(D−乳酸)およびこれらの共重合体または混合物が用いられる。二酸化炭素排出量削減という観点から、植物由来原料が好ましい。
【0014】
また、ポリ(L−乳酸)を主体とする(B)ポリ乳酸の場合、D−乳酸成分の比率によってその耐熱性が異なる。本発明においては、成形体の耐熱性を考慮すると、D−乳酸成分の割合を約5.0モル%未満とすることが好ましい。
【0015】
(B)ポリ乳酸の分子量は、重量平均分子量(Mw)が5万〜30万であることが好ましく、更に好ましくは8万〜25万、特に好ましくは10〜20万の範囲である。重量平均分子量(Mw)が5万未満だと成形体の機械的特性や耐熱性に劣り、30万を超えると成形性が低下するため好ましくない。
【0016】
本発明においては、(A)スチレン系樹脂を100質量部とした時に、(B)ポリ乳酸が0.2〜15.0質量部である。(B)ポリ乳酸が0.2質量部未満では十分な滴下促進性を発現せず、また、15.0質量部を超えると組成物中の難燃剤成分の割合低下により難燃性が悪化するため、好ましくない。より好ましくは0.2〜10.0質量部、特に好ましくは0.5〜10質量部である。
【0017】
本発明で使用する(C)ベンゼンジオールビス(ジアリールホスフェート)化合物は、下記一般式(1)で表される化合物である。
【0018】
【化1】
(ここで、nは1〜5の正数であり、Ar
1〜Ar
4は炭素数6〜15のフェニル基又はアルキル置換フェニル基を表し、Xは下式一般式(X1)〜(X3)から選ばれる置換基である。)
【0020】
(C)ベンゼンジオールビス(ジアリールホスフェート)化合物として具体的には、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール等のビス(ジフェニルホスフェート)、ビス(ジトリルホスフェート)、(ジキシレニルホスフェート)化合物等が挙げられるが、好ましくは、レゾルシノールのビス(ジアリールホスフェート)化合物、特に好ましくはレゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)である。
【0021】
本発明においては、(A)スチレン系樹脂を100質量部とした時に、(C)ベンゼンジオールビス(ジアリールホスフェート)化合物の配合量は、6〜25質量部であり、好ましくは6〜20質量部、特に好ましくは6〜15質量部である。(C)ベンゼンジオールビス(ジアリールホスフェート)化合物が6質量部より少ないと、組成物の難燃性が悪化し、また、25質量部を超えると、成形時に金型の汚染が生じるため、いずれも好ましくない。
【0022】
本発明の(D)ポリフェニレンエーテル樹脂とは、下記一般式(2)に示す構造単位を主鎖に有する重合体であって、単独重合体又は共重合体のいずれでもよい。
【0023】
【化3】
(ここで、R
1、R
2、R
3、R
4は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、第1級若しくは第2級アルキル基、アリール基、アミノアルキル基、ハロアルキル基、炭化水素オキシ基、又はハロ炭化水素オキシ基を表す。ただし、R1、R2がともに水素原子になることはない。)
【0024】
(D)ポリフェニレンエーテル樹脂の単独重合体の代表例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられる。共重合体の例としては、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリエチルフェノール共重合体、2,6−ジエチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体、2,6−ジプロピルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体等の2,6−ジアルキルフェノール/2,3,6−トリアルキルフェノール共重合体、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)にスチレンをグラフト重合させたグラフト共重合体、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体にスチレンをグラフト重合させたグラフト共重合体等が挙げられる。
【0025】
(D)ポリフェニレンエーテル樹脂として、好ましくは、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノールランダム共重合体であり、特に好ましくはポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルである。
【0026】
本発明においては、(A)スチレン系樹脂を100質量部とした時に、(D)ポリフェニレンエーテル樹脂の配合量は5〜20質量部であり、より好ましくは7〜20質量部、特に好ましくは7〜15質量部である。(D)ポリフェニレンエーテル樹脂の配合量が5質量部未満では消炎時間が長くなり、また、20質量部を超えると燃焼物が滴下しにくくなるため、いずれも好ましくない。
【0027】
(D)ポリフェニレンエーテル樹脂の極限粘度は、クロロホルム中で測定した30℃の極限粘度が好ましくは0.2〜0.8dl/gであり、特に好ましくは0.3〜0.6dl/gである。(D)ポリフェニレンエーテル樹脂の極限粘度が0.2dl/g未満だと成形体の機械的強度が低下し、また、0.8dl/gを超えると成形性が悪化するため好ましくない。
【0028】
また、本発明のスチレン系難燃性樹脂組成物には、本発明の要旨を超えない範囲で各種添加物、例えば染顔料、着色防止剤、滑剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、充填剤、相溶化剤等の公知の添加剤、酸化チタンやカーボンブラックなどの着色剤、エラストマー成分(SBSや水添SBS)などの改質剤を添加できる。これらの添加方法は特に限定される訳では無く、公知の方法、例えば、使用する(A)スチレン系樹脂の重合開始前、重合途中の反応液に対して、または重合終了後、及び(B)ポリ乳酸、(C)ベンゼンジオールビス(ジアリールホスフェート)化合物、(D)ポリフェニレンエーテル樹脂を配合する際、更には、押出機や成形機においても添加することができる。
【0029】
本発明のスチレン系難燃性樹脂組成物の混合方法は、公知の混合技術を適用することが出来る。例えばミキサー型混合機、V型他ブレンダー、及びタンブラー型混合機等の混合装置であらかじめ予備混合しておいた混合物を、更に溶融混練することで均一なスチレン系難燃性樹脂組成物とすることが出来る。溶融混練にも特に制限はなく公知の溶融技術を適用出来る。好適な溶融混練装置として、バンバリー型ミキサー、ニーダー、ロール、単軸押出機、特殊単軸押出機、及び二軸押出機等がある。更に押出機等の溶融混練装置の途中から難燃化剤等の添加剤を別途に添加する方法がある。
【0030】
本発明のスチレン系難燃性樹脂組成物から成形品を得る成形法には特に制限は無いが、好ましいのは射出成形であり、特にトナーカートリッジ容器等の射出成形が好適である。
【実施例】
【0031】
以下に本発明を実施例及び比較例によって詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
実施例及び比較例では(A)スチレン系樹脂としてゴム変性ポリスチレン樹脂(HIPS)を使用した。ゴム変性ポリスチレン樹脂は、ゴム状重合体にシス1、4結合を90モル%以上の比率で含有するハイシスポリブタジエンゴムを使用し、マトリックス部分の還元粘度0.77dl/g、ゴム状重合体のゲル含有量27.1質量%、ゴム状重合体含有量9.2質量%、及び体積平均粒子径3.02μmであるゴム変性ポリスチレン樹脂を使用した。ここで言う還元粘度、ゴム状重合体のゲル含有量の質量%、ゴム状重合体含有量、ゴム状重合体の体積平均粒子径は以下の方法で測定した。
【0033】
還元粘度(ηsp/C)の測定:ゴム変性ポリスチレン樹脂1gにメチルエチルケトン15mlとアセトン15mlの混合溶媒を加え、25℃で2時間振とう溶解した後、遠心分離で不溶分を沈降させ、デカンテーションにより上澄み液を取り出し、500mlのメタノールを加えて樹脂分を析出させ、不溶分を濾過乾燥する。同操作で得られた樹脂分をトルエンに溶解してポリマー濃度0.4%(質量/体積)の試料溶液を作成した。この試料溶液、及び純トルエンを30℃の恒温でウベローデ型粘度計により溶液流下秒数を測定して、下式にて算出した。
ηsp/C=(t1/t0−1)/C
t0:純トルエン流下秒数
t1:試料溶液流下秒数
C :ポリマー濃度
【0034】
ゲル含有量の測定:ゴム変性ポリスチレン樹脂をトルエンに2.5%(質量/体積)の割合で加え、25℃で2時間振とう溶解した後、遠心分離(回転数10000〜14000rpm、分離時間30分)で不溶分(ゲル分)を沈降させ、デカンテーションにより上澄み液を除去してゲルを得た。次に、この膨潤ゲルを100℃で2時間予備乾燥した後、120℃の真空乾燥機で1時間乾燥した。デシケータで常温まで冷却し精秤し下式にて算出した。
ゲル分率(%)=[(b−a)/S]×100
a:遠心沈降管質量
b:乾燥ゲル+遠心沈降管質量
S:試料樹脂質量
【0035】
ゴム状重合体含有量の測定:ゴム変性ポリスチレン樹脂をクロロホルムに溶解させ、一定量の一塩化ヨウ素/四塩化炭素溶液を加え暗所に約1時間放置後、15質量%のヨウ化カリウム溶液と純水50mlを加え、過剰の一塩化ヨウ素を0.1Nチオ硫酸ナトリウム/エタノール水溶液で滴定し、付加した一塩化ヨウ素量から算出した。
【0036】
ゴム状重合体の体積平均粒子径の測定:ゴム変性ポリスチレン樹脂をジメチルホルムアミドに完全に溶解させ、レーザー回析方式粒度分布装置にて測定した。
測定装置:コールター製レーザー回析方式粒子アナライザーLS−230型
【0037】
(B)ポリ乳酸には、海正生物材料社製の商品名REVODA110を用いた。
【0038】
(C)ベンゼンジオールビス(ジアリールホスフェート)化合物には、(C−1)レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)である大八化学社製の商品名CR−733Sを使用した。
【0039】
(D)ポリフェニレンエーテル樹脂には、三菱エンジニアリングプラスチックス社製のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルである商品名PX−100Fを使用した。
【0040】
比較例として(C)ベンゼンジオールビス(ジアリールホスフェート)化合物の代わりに、ビスフェノールA(ジアリールホスフェート)化合物として(C−2)ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)である大八化学社製の商品名CR−741を用いた。
【0041】
次に、本発明のスチレン系難燃性樹脂組成物の混合方法を述べる。(A)ゴム変性スチレン系樹脂、(B)ポリ乳酸、(C)ベンゼンジオールビス(ジアリールホスフェート)化合物、(D)ポリフェニレンエーテル樹脂を表に示す量にて配合し、これら全成分をヘンシェルミキサー(三井三池化工社製、FM20B)にて予備混合し、二軸押出機(東芝機械社製、TEM26SS)に供給してストランドとし、水冷してからペレタイザーへ導きペレット化した。この際、シリンダー温度230℃、供給量30kg/時間とした。なお、比較例7について、(C)ベンゼンジオールビス(ジアリールホスフェート)化合物の代わりに(C−2)ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)を配合した以外は他の実施例と同様の操作を行った。
【0042】
実施例及び比較例に示した各種測定は以下の方法により実施した。
【0043】
燃焼試験用の試験片は、射出成形機(東芝社製、IS80EP)にてシリンダー温度190℃で成形した。
【0044】
難燃性は、米国アンダーライターズ・ラボラトリーズ社(UL)のサブジェクト94号の垂直燃焼試験方法に準拠し、試験片厚さ1.5mmで評価した。なお、表中のNGとは、V−2、V−1及びV−0のいずれをも満足させないものを示す。
【0045】
着火溶融時の滴下促進性は、ULのサブジェクト94号の垂直燃焼試験において、試験片1gが滴下するまでに必要な時間(燃焼時間を溶融滴下した試験片の重量で除した値)で評価した。なお、溶融滴下物が無い場合は測定不可とした。本発明では、スチレン系難燃性樹脂組成物の上記滴下時間が、22.0秒/g以下の場合を合格とした。
【0046】
下記表1〜2に結果を示した。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
表1の実施例より、本発明のUL94規格でV−2を達成するスチレン系難燃性樹脂組成物は、難燃性および着火溶融時の滴下促進性に優れていることがわかる。
【0050】
しかし本発明の規定を満足しない表2の比較例で得られたスチレン系樹脂組成物では、UL94規格でV−2が達成できない又は着火溶融時の滴下促進性が発現しないことがわかる。
【0051】
(B)ポリ乳酸の添加量が規定量より少ないと、滴下促進性が発現しないため好ましくない(比較例1)。(B)ポリ乳酸を規定量より多く添加すると難燃性がV−2にも達しないので好ましくない(比較例2)。(C)ベンゼンジオールビス(ジアリールホスフェート)化合物を添加しても、その添加量が規定量より少ないと難燃性がV−2にも達しない(比較例3)。(D)ポリフェニレンエーテル樹脂を添加しても、その添加量が規定量より少ないと難燃性がV−2にも達せず(比較例4)、逆に(D)ポリフェニレンエーテル樹脂を規定量より多く添加すると流動性の低下により燃焼物が滴下しなくなるためV−2に達しない(比較例5)。(C)ベンゼンジオールビス(ジアリールホスフェート)化合物の代わりにビスフェノールA(ジアリールホスフェート)化合物を配合すると、V−2は達成するが滴下促進性は向上しない(比較例6、7)。