特許第6043622号(P6043622)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043622
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】一缶二水路風呂給湯器
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/00 20060101AFI20161206BHJP
【FI】
   F24H1/00 602L
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-279747(P2012-279747)
(22)【出願日】2012年12月21日
(65)【公開番号】特開2014-122767(P2014-122767A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2015年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000129231
【氏名又は名称】株式会社ガスター
(74)【代理人】
【識別番号】100093894
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 清
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】佐光 洋介
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−293861(JP,A)
【文献】 特開平10−185311(JP,A)
【文献】 特開平08−320226(JP,A)
【文献】 特開2007−192421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽に接続された追い焚き循環路と、該追い焚き循環路に介設された追い焚き循環ポンプと追い焚き熱交換器と、給湯先に湯を供給するための給湯通路を備えた給湯回路と、該給湯回路に介設された給湯熱交換器と、前記給湯通路と前記追い焚き循環路とを接続する注水通路とを有し、前記追い焚き熱交換器と前記給湯熱交換器を共通のバーナによって加熱する一缶二水路風呂給湯器において、浴槽湯水の水位を浴槽の水圧によって検出する浴槽水位検出手段と、給湯使用状態における浴槽湯水排水時に浴槽水位の時系列変化情報を検出する給湯使用時浴槽湯水排水情報検出モードのモード制御部を有し、該モード制御部は、前記浴槽水位検出手段により予め定められる設定サンプリングタイミング毎に検出される検出水位に基づき移動平均により浴槽水位の時系列変化情報を求める浴槽水位変化情報検出手段と、該浴槽水位変化情報検出手段によって移動平均により求められる浴槽水位の時系列変化情報において浴槽水位の単位時間当たりの低下量が予め定められる水位低下リミット値よりも大きい値のときにはその値を前記水位低下リミット値に置き換えて前記浴槽水位の時系列変化情報を補正する動作と前記浴槽水位検出手段により前記設定サンプリングタイミング毎に検出される検出水位の単位時間当たりの低下値が前記水位低下リミット値よりも大きい値のときにその値を前記水位低下リミット値に置き換えて前記浴槽水位変化情報検出手段による移動平均による浴槽水位の時系列変化情報検出が行えるように前記検出水位情報を補正する動作とのいずれかを行う情報補正手段を有して構成されており、該情報補正手段による補正が加えられて形成された浴槽水位変化補正情報に基づき浴槽水位が低下していき予め定められる配管洗浄開始基準水位以下になったとき又は該配管洗浄開始基準水位以下になってから予め定められる設定時間経過したときに、前記注水通路を通して前記給湯回路側から前記追い焚き循環路側に湯水を送水して該追い焚き循環路を洗浄する配管洗浄制御手段を有することを特徴とする一缶二水路風呂給湯器。
【請求項2】
実際使用される浴槽よりも小さい浴槽において実際使用される浴槽の排水口よりも大きい排水口から排水される状況を想定し、その想定される浴槽の浴槽湯水の排水時に該排水による単位時間当たりの浴槽水位の低下量を時系列的に求めた値が水位低下リミット値として設定されていることを特徴とする請求項1記載の一缶二水路風呂給湯器。
【請求項3】
実際に使用される浴槽において給湯が使用されていない状態で浴槽湯水の排水時に該排水による単位時間当たりの浴槽水位の低下量を時系列的に移動平均により求める排水スピード検出手段と、該排水スピード検出手段により検出される浴槽湯水排水時の単位時間当たりの時系列的な浴槽水位低下量を1回以上の予め定められる回数記憶する記憶手段と、該記憶手段により記憶した単位時間当たりの時系列的な浴槽水位低下量に基づいて実際に使用される浴槽における真の水位低下リミット値を求める真リミット値検出手段と、予め定められている水位低下リミット値を前記真の水位低下リミット値に変更する水位低下リミット値補正手段とを有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の一缶二水路風呂給湯器。
【請求項4】
情報補正手段は、浴槽水位変化情報検出手段により検出される浴槽水位の移動平均による時系列変化情報において浴槽水位の単位時間当たりの上昇量が予め定められる水位上昇リミット値よりも大きい値のときにはその値を該水位上昇リミット値に置き換えて浴槽水位の時系列変化情報を補正する動作と、前記浴槽水位検出手段により前記設定サンプリングタイミング毎に検出される検出水位の単位時間当たりの上昇値が前記水位上昇リミット値よりも大きい値のときにその値を前記水位上昇リミット値に置き換えて前記浴槽水位変化情報検出手段による移動平均による浴槽水位の時系列変化情報検出が行えるように前記検出水位情報の補正をする動作のいずれかを行うことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3記載の一缶二水路風呂給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽湯水の追い焚き用の熱交換器と給湯用の熱交換器とを共通のバーナにより加熱する一缶二水路風呂給湯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図2には、一缶二水路風呂給湯器の模式的なシステム構成図が示されている。同図に示されるように、一缶二水路風呂給湯器1は、浴槽2に接続された追い焚き循環路3と、該追い焚き循環路3に介設された追い焚き循環ポンプ4と追い焚き熱交換器5と、給湯先に湯を供給するための給湯通路9を備えた給湯回路6と、給湯回路6に介設された流量センサ27と給湯熱交換器7とを有しており、給湯熱交換器7と追い焚き熱交換器5とを共通のバーナ8によって加熱する構成を有している。
【0003】
バーナ8にはバーナ8に燃料を供給するガス管23が接続されて、ガス管23にはバーナ8への燃料供給・停止を制御するガス電磁弁(開閉弁)24や供給燃料量を弁開度で持って制御する比例弁25が介設されており、バーナ8の下方側には、バーナ8の燃焼の給排気を行なう燃焼ファン22が設けられている。この燃焼ファン22の回転によって外部より吸気する空気をバーナ8に送り、この空気とガス管23を通ってバーナ8に供給されるガスとによってバーナ燃焼が行われ、そのバーナ燃焼により生じた燃焼ガスが燃焼ファン22の回転によって排気口(図示せず)側に送られて排気される。
【0004】
また、給湯回路6において、給湯熱交換器7の管路10には、管路10内において湯水温度が最も高くなる位置に管路10内の湯水の温度を検出する給湯熱交水管サーミスタ11が設けられており、給湯通路9には、浴槽2への湯張り用の注湯通路15の一端側が接続されている。注湯通路15の多端側は追い焚き循環路3に接続されており、注湯通路15には注湯電磁弁16と圧力センサ14とが設けられている。圧力センサ14は、浴槽2に連通した管路に設けられて浴槽湯水の水位を浴槽2の水圧によって検出する浴槽水位検出手段として機能するものであり、図の破線に示されるように、追い焚き循環路3に設けられていてもよい。追い焚き循環路3には、追い焚き交換器5の出側から浴槽2側に送られる湯水の温度を検出する風呂往きサーミスタ12と、浴槽2側から追い焚き熱交換器5側に送られる湯水の温度を検出する風呂戻りサーミスタ13が設けられている。
【0005】
この一缶二水路風呂給湯器1には、図示されていない制御装置が設けられてリモコン装置(図示せず)に信号接続されている。制御装置には、給湯先に設けられている給湯栓が開かれたときに、ガス電磁弁24の開閉や比例弁25の開弁量調節等によるバーナ8の燃焼制御や燃焼ファン22の回転制御等を適宜行い、リモコン装置により設定された給湯設定温度の湯を給湯回路6を通して給湯できるように制御する給湯燃焼制御手段と、追い焚き循環ポンプ4の駆動制御やガス電磁弁24の開閉や比例弁25の開弁量調節等によるバーナ8の燃焼制御、燃焼ファン22の回転制御を適宜行うことにより、浴槽湯水の追い焚き動作制御を行う追い焚き動作制御手段が設けられている。
【0006】
なお、これらの制御手段によって、給湯のみが行われるときの制御、浴槽2への湯張り動作時の制御、給湯動作と追い焚き動作とが同時に行われるときの制御、追い焚き動作が行われるときの制御等は適宜行われるものであり、その制御方法については様々な提案が成されているが、それらは周知であるので、その説明は省略する。
【0007】
ところで、一缶二水路風呂給湯器1においては、バーナ8の燃焼によって給湯熱交換器7の加熱が行われるときには追い焚き熱交換器5の加熱も行われるため、追い焚き熱交換器5内の高温加熱された湯水が対流現象によって圧力センサ14が設けられている領域まで流れ出て、その代わりに圧力センサ14が設けられている領域にあった低温の湯水が追い焚き熱交換器5側に流れ込む対流現象が生じること等から、給湯燃焼中は、圧力センサ14により検出される値が不規則に変化し、実際の値からずれてしまうといった問題があった。
【0008】
そこで、従来は、給湯使用時に追い焚き循環ポンプ4を駆動させて追い焚き熱交換器5内に湯水を通すことにより追い焚き熱交換器5の高温加熱を防止し、圧力センサ14の不規則な検出値変動を抑制させることや(特許文献1、参照)、給湯使用中は圧力センサ14による水位検出動作を行わないようにすることによって、圧力センサ14の検出値に基づいて行われる動作が不要に行われないようにすること(特許文献2、参照)等が提案されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−148397号公報
【特許文献1】特許3767956号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1、2に提案されているような前記構成を、浴槽湯水の排水時に適用すると、加熱する必要のない排水する湯水を加熱しながら追い焚き循環ポンプ4を駆動させてしまうことによる無駄が生じたり、追い焚き循環ポンプ4の空転によって騒音が発生したり追い焚き循環ポンプ4の寿命が短くなったりするといった問題が生じた。また、圧力センサ14による水位検出動作を行わないと排水動作自体を的確に捉えることができない結果、排水動作後に、給湯回路6側から注湯通路15側を通して追い焚き循環路3側に送水して追い焚き循環路3内を洗浄する動作を適切に行うことができない、といった問題が生じた。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、浴槽湯水の排水動作中に給湯が行われたときにも浴槽湯水の水位を的確にとらえることができ、それにより、浴槽湯水の排水後に行われる追い焚き循環路の洗浄を適切に行うことができ、しかも、追い焚き循環ポンプの空転に伴う問題が発生することを抑制できる一缶二水路風呂給湯器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記目的を達成するために、次の構成をもって課題を解決する手段としている。すなわち、第1の発明は、浴槽に接続された追い焚き循環路と、該追い焚き循環路に介設された追い焚き循環ポンプと追い焚き熱交換器と、給湯先に湯を供給するための給湯通路を備えた給湯回路と、該給湯回路に介設された給湯熱交換器と、前記給湯通路と前記追い焚き循環路とを接続する注水通路とを有し、前記追い焚き熱交換器と前記給湯熱交換器を共通のバーナによって加熱する一缶二水路風呂給湯器において、浴槽湯水の水位を浴槽の水圧によって検出する浴槽水位検出手段と、給湯使用状態における浴槽湯水排水時に浴槽水位の時系列変化情報を検出する給湯使用時浴槽湯水排水情報検出モードのモード制御部を有し、該モード制御部は、前記浴槽水位検出手段により予め定められる設定サンプリングタイミング毎に検出される検出水位に基づき移動平均により浴槽水位の時系列変化情報を求める浴槽水位変化情報検出手段と、該浴槽水位変化情報検出手段によって移動平均により求められる浴槽水位の時系列変化情報において浴槽水位の単位時間当たりの低下量が予め定められる水位低下リミット値よりも大きい値のときにはその値を前記水位低下リミット値に置き換えて前記浴槽水位の時系列変化情報を補正する動作と前記浴槽水位検出手段により前記設定サンプリングタイミング毎に検出される検出水位の単位時間当たりの低下値が前記水位低下リミット値よりも大きい値のときにその値を前記水位低下リミット値に置き換えて前記浴槽水位変化情報検出手段による移動平均による浴槽水位の時系列変化情報検出が行えるように前記検出水位情報を補正する動作とのいずれかを行う情報補正手段を有して構成されており、該情報補正手段による補正が加えられて形成された浴槽水位変化補正情報に基づき浴槽水位が低下していき予め定められる配管洗浄開始基準水位以下になったとき又は該配管洗浄開始基準水位以下になってから予め定められる設定時間経過したときに、前記注水通路を通して前記給湯回路側から前記追い焚き循環路側に湯水を送水して該追い焚き循環路を洗浄する配管洗浄制御手段を有する構成をもって課題を解決するための手段としている。
【0013】
また、第2の発明は、前記第1の発明の構成に加え、実際使用される浴槽よりも小さい浴槽において実際使用される浴槽の排水口よりも大きい排水口から排水される状況を想定し、その想定される浴槽の浴槽湯水の排水時に該排水による単位時間当たりの浴槽水位の低下量を時系列的に求めた値が水位低下リミット値として設定されていることを特徴とする。
【0014】
さらに、第3の発明は、前記第1または第2の発明の構成に加え、実際に使用される浴槽において給湯が使用されていない状態で浴槽湯水の排水時に該排水による単位時間当たりの浴槽水位の低下量を時系列的に移動平均により求める排水スピード検出手段と、該排水スピード検出手段により検出される浴槽湯水排水時の単位時間当たりの時系列的な浴槽水位低下量を1回以上の予め定められる回数記憶する記憶手段と、該記憶手段により記憶した単位時間当たりの時系列的な浴槽水位低下量に基づいて実際に使用される浴槽における真の水位低下リミット値を求める真リミット値検出手段と、予め定められている水位低下リミット値を前記真の水位低下リミット値に変更する水位低下リミット値補正手段とを有することを特徴とする。
【0015】
さらに、第4の発明は、前記第1または第2または第3の発明の構成に加え、前記情報補正手段は、浴槽水位変化情報検出手段により検出される浴槽水位の移動平均による時系列変化情報において浴槽水位の単位時間当たりの上昇量が予め定められる水位上昇リミット値よりも大きい値のときにはその値を該水位上昇リミット値に置き換えて浴槽水位の時系列変化情報を補正する動作と、前記浴槽水位検出手段により前記設定サンプリングタイミング毎に検出される検出水位の単位時間当たりの上昇値が前記水位上昇リミット値よりも大きい値のときにその値を前記水位上昇リミット値に置き換えて前記浴槽水位変化情報検出手段による移動平均による浴槽水位の時系列変化情報検出が行えるように前記検出水位情報の補正をする動作のいずれかを行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
一缶二水路風呂給湯器において、バーナによる給湯熱交換器の加熱時には追い焚き熱交換器の加熱も行われることから、前記の如く、給湯使用状態においては、浴槽水位検出手段が設けられている領域の湯水の対流等に起因して不規則に変化し、浴槽水位検出手段により検出される値が実際の値からずれてしまうことがあるが、本発明によれば、給湯使用状態における浴槽湯水排水時に浴槽水位の時系列変化情報を検出する給湯使用時浴槽湯水排水情報検出モードのモード制御部を有しており、この特別なモードの制御によって、給湯使用状態においても適正な浴槽水位を検出することができる。
【0017】
つまり、給湯使用時浴槽湯水排水情報検出モードのモード制御部は、浴槽水位変化情報検出手段を有して、浴槽水位検出手段により予め定められるサンプリングタイミング毎に検出される検出水位に基づき移動平均により浴槽水位の時系列変化情報を求めるが、情報補正手段による補正が以下のように行われることから、浴槽水位の時系列的変化情報を適正に補正することができる。
【0018】
すなわち、情報補正手段は、浴槽水位変化情報検出手段により移動平均により検出される浴槽水位の時系列変化情報において、浴槽水位の単位時間当たりの低下量が予め定められる水位低下リミット値よりも大きい値のとき(例えば前記湯水の対流等に起因して実際の値から大きくずれてしまったとき)には、その値を前記水位低下リミット値に置き換えて浴槽水位の時系列変化情報を補正するか、浴槽水位検出手段により前記設定サンプリングタイミング毎に検出される検出水位の単位時間当たりの低下値が前記水位低下リミット値よりも大きい値のときにその値を前記水位低下リミット値に置き換えて前記浴槽水位変化情報検出手段による移動平均による浴槽水位の時系列変化情報検出が行えるように前記検出水位情報を補正するかの、いずれかを行うことにより、浴槽水位の移動平均による時系列的変化情報を適正に補正することができる。
【0019】
そして、適正に補正された浴槽水位変化補正情報に基づき、浴槽水位が低下していって予め定められる配管洗浄開始基準水位以下になったとき又は該配管洗浄開始基準水位以下になってから予め定められる設定時間経過したときに、配管洗浄手段によって、給湯回路側から追い焚き循環路側に湯水を送水して該追い焚き循環路を洗浄するので、例えば実際の浴槽水位が配管洗浄開始基準水位よりも高いにもかかわらず低いと誤判断して配管洗浄を開始してしまうといったことを防止でき、適切なタイミングで追い焚き循環路の配管洗浄を行うことができる。また、排水動作中に追い焚き循環ポンプの空転が生じることもないので、追い焚き循環ポンプの空転に伴う問題が発生することを抑制できる。
【0020】
また、実際使用される浴槽よりも小さい浴槽において実際使用される浴槽の排水口よりも大きい排水口から排水される状況を想定し、その想定される浴槽の浴槽湯水の排水時に該排水による単位時間当たりの浴槽水位の低下量を時系列的に求めた値を水位低下リミット値として設定することにより、この設定される水位低下リミット値を、実際使用される浴槽において排水動作を行うときの排水スピードよりも大きい値とすることができる。そのため、その設定される水位低下リミット値よりも実際の浴槽湯水排水時の排水スピードが大きくなることはあり得ないため、移動平均により求めた水位低下値や設定サンプリングタイムごとに検出される浴槽水位の単位時間当たりの水位低下値が水位低下リミット値よりも大きいときには、それらの値は、例えば浴槽水位検出手段の配設領域に生じた対流現象等に起因して誤って検出された値であることから、水位低下リミット値に置き換える補正をすることにより適正な浴槽水位の時系列的変化情報を得ることができる。
【0021】
さらに、実際に使用される浴槽において給湯が使用されていない状態で浴槽湯水の排水時に該排水による単位時間当たりの浴槽水位の低下量を時系列的に移動平均により求め、その単位時間当たりの時系列的な浴槽水位低下量を1回以上の予め定められる回数記憶して、実際に使用される浴槽における真の水位低下リミット値を求め、予め定められている水位低下リミット値を前記真の水位低下リミット値に変更することにより、実際に使用される浴槽に対応した真の水位低下リミット値を用いて情報補正手段による前記のような補正を行うことによって、より適正な浴槽水位の時系列的変化情報を得ることができる。
【0022】
さらに、情報補正手段が、浴槽水位変化情報検出手段によって移動平均により検出される浴槽水位の時系列変化情報において浴槽水位の単位時間当たりの上昇量が予め定められる水位上昇リミット値よりも大きい値のときにはその値を該水位上昇リミット値に置き換えて浴槽水位の時系列変化情報を補正するか、浴槽水位検出手段により設定サンプリングタイミング毎に検出される検出水位の単位時間当たりの上昇値が前記水位上昇リミット値よりも大きい値のときにその値を前記水位上昇リミット値に置き換えて前記浴槽水位変化情報検出手段による移動平均による浴槽水位の時系列変化情報検出が行えるように情報補正するかの、いずれかの動作を行うことにより、例えば、利用者が浴槽湯水の排水をしながらシャワー等を用いて浴槽壁を洗い流そうとして浴槽内に水を入れることをした場合等の、浴槽水位の時系列変化情報をより一層適正に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る一缶二水路風呂給湯器の第1実施例の要部制御構成を示すブロック図である。
図2】実施例の一缶二水路風呂給湯器の要部システム構成例を模式的に示す説明図である。
図3】水位低下リミット値設定のために想定される浴槽の模式的な説明図である。
図4】浴槽湯水排水時の水位の時間的変化(a)と湯水導入時の水位の時間的変化(b)を模式的に示すグラフである。
図5】実施例の一缶二水路風呂給湯器において、給湯使用状態における浴槽湯水排水時の浴槽水位の移動平均により求めた時系列変化情報例およびその補正方法(a)と、補正データ例(b)を模式的に示すグラフである。
図6】本発明に係る一缶二水路風呂給湯器の第2実施例の要部制御構成を示すブロック図である。
図7】実施例の一缶二水路風呂給湯器において、給湯使用状態における浴槽湯水排水時の浴槽水位の時系列変化情報例と、その補正方法の例を模式的に示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき実施例によって説明する。なお、本実施例の説明において、従来例と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略または簡略化する。
【実施例1】
【0025】
図1には、本発明に係る一缶二水路風呂給湯器の第1実施例の制御構成が示されており、同図に示されるように、本実施例では、制御装置17に、給湯使用時浴槽湯水排水情報検出モードのモード制御部18、給湯燃焼制御手段19、配管洗浄制御手段20を有して構成されている。給湯使用時浴槽湯水排水情報検出モードのモード制御部18は、給湯使用監視手段33と、浴槽水位変化情報検出手段21と、情報補正手段26と、メモリ部28とを有している。なお、本実施例の一缶二水路風呂給湯器1は、図2に示したようなシステム構成を有している。
【0026】
給湯燃焼制御手段19は、従来と同様に、ガス電磁弁24の開閉や比例弁25の開弁量調節等によるバーナ8の燃焼制御や燃焼ファン22の回転制御等を適宜行い、リモコン装置により設定された給湯設定温度の湯を給湯回路6を通して給湯できるように制御する。
【0027】
給湯使用監視手段33は、給湯燃焼制御手段19の制御情報に基づいて給湯使用状態であるかどうかを監視し、給湯使用状態および、その後の給湯使用停止以降のあらかじめ定められる設定遅延時間(例えば15秒間)が経過する間は、この間に浴槽湯水の排水が行われたら、給湯使用状態における浴槽湯水排水時の特有の給湯使用兼浴槽排水時浴槽水位検出モードで浴槽水位の時系列変化情報の検出動作が行えるように、浴槽水位変化情報検出手段21と情報補正手段26に給湯使用兼浴槽排水時浴槽水位検出モードの実行指令を加える。
【0028】
メモリ部28には、予め定められる水位低下リミット値と水位上昇リミット値とが格納されている。水位低下リミット値は、例えば、実際使用される浴槽2のよりも小さい浴槽2(図3のA×Bで示されるような横断面積が小さい浴槽)において、実際使用される浴槽2の排水口30よりも大きい排水口30の穴から排水される状況を想定し、その想定される浴槽2の浴槽湯水の排水時に該排水による単位時間当たりの浴槽水位の低下量を求めた値が設定されている。
【0029】
例えば、図3に示されるような浴槽2内の横断面積が675mm×564mm(A=675mm、B=564mm)で極端に小さい浴槽2において、排水口30の穴の径が一番大きいものを用いた状況を想定する。具体的には、現在用いられている排水口30の外径寸法(この外径寸法は、実際に水が流れる穴の寸法ではなく、穴の寸法は排水口30の穴に嵌められるゴム栓の外径寸法になる)は、33.3mm、41.9mm、54mm、69mm、78mmであり、このうち、一番大きい径78mmの排水口30の穴には、通常、外径42.5mmのゴム栓(42.5mmφ)が嵌められるので、このゴム栓の嵌合を想定している。なお、実際に使用される浴槽2がこの例のように小さい浴槽2の場合や、排水口30がこの例のように大きい場合も全くないとはいえないが、この例のような小さい浴槽2と大きい排水口30が組み合わせて使用される可能性はきわめて小さい。
【0030】
本実施例では、図3に示すような、浴槽2内の横断面積が675mm×564mm(A=675mm、B=564mm)=380700mmで極端に小さい浴槽2と、外径42.5mmのゴム栓を用いた排水口30との組み合わせにおいて、トリチェリの定理を用いて湯水の流出速度を求め、以下のようにして水位低下リミット値を設定している。
【0031】
まず、浴槽貯湯量を、JIS S 2072 2009より、180リットルと仮定すると、この浴槽貯湯量と前記浴槽2内の横断面積S=380700mmの値から、排水口30の高さと浴槽湯水の水面の高さとの間の距離h[mm]は、次式(1)のようにして求めることができる。
【0032】
h=180×1000000÷380700=472.8132・・・(1)
【0033】
このhを用い、トリチェリの定理から、流出速度V[mm/秒]を次式(2)のようにして求めることができる。なお、式(2)において、gは重力加速度を示す。
【0034】
V=√(2gh)=√{2×(9.8÷1000)×472.8132}=3.044198・・・(2)
【0035】
また、ゴム栓外径を42.5mmと仮定した場合、排水口30の穴の面積S[mm]は、S=(42.5mm/2)×3.14=1417.906mmであるので、排水口30の穴からの単位時間当たりの排水量q(リットル/秒)は、次式(3)により求められる。
【0036】
q=S×V÷1000=4.316387・・・(3)
【0037】
したがって、水位低下速度v[mm/秒]は、v=S×V×1000÷380700=11.33803となる。
【0038】
なお、この値は、排水口30の穴を湯水が通る際の圧力損失が考慮されていないため、圧力損失係数K=1/2〜1/10を考慮し、そのうち、仮に、好ましい値(K=1/4〜1/5)を用い、次式(4)により水位低下リミット値Ld[mm/秒]を設定している。
【0039】
Ld=2.5=11.33803×K・・・(4)
【0040】
なお、前記式(2)から明らかなように、流出速度Vは浴槽湯水の水面高さに応じても変化するものであるので、例えば図4(a)の模式図に示されるように、時系列的に変化する。そこで、例えば浴槽水位(浴槽湯水の水面の高さ)に対応させて水位低下リミット値を設定してもよいし、水位低下速度の最大値を水位低下リミット値として設定してもよい。
【0041】
また、水位上昇リミット値は、例えば、実際使用される浴槽2の横断面積よりも小さい、前記と同様の横断面積を有する浴槽2において、最大給湯流量で浴槽2に水を入れる状況を想定し、その想定される浴槽2の単位時間当たりの浴槽水位の上昇量を時系列的に求めた情報(例えば図4(b)参照)に基づいて設定されている。なお、同図のHoは追い焚き循環路3の接続部(循環金具)の上端位置を示す。例えば図3に示される浴槽3を想定した場合、水位上昇速度は、(20/60)×1000000/S=0.87558となるので、本実施例では、水圧が高い地域も存在することを考慮して、水位上昇リミット値Lu=1.3[mm/秒]としている。
【0042】
ここで重要なのは、水位上昇リミット値≦水位低下リミット値とすることである。それというのは、水位低下リミット値よりも水位上昇リミット値の方が大きい値であると、前記対流現象等に起因して水位上昇リミット値を超える値が続いた場合には、なかなか真の値に補正することができないためである。理想的には、水位低下リミット値は水位上昇リミット値の2倍程度とすることが望ましい。
【0043】
浴槽水位変化情報検出手段21は、予め定められる設定サンプリングタイミング毎に圧力センサ14により検出される検出水位に基づき、移動平均により浴槽水位の時系列変化情報を求めるものであり、その求めた情報を情報補正手段26に加える。なお、移動平均による水位の求め方は周知であるので、その説明は省略する。
【0044】
情報補正手段26は、浴槽水位変化情報検出手段21が移動平均によって求めた浴槽水位の時系列変化情報を受けて、給湯使用監視手段33から給湯使用兼浴槽排水時浴槽水位検出モードの実行指令が加えられている間は、以下の動作を行う。つまり、浴槽水位変化情報検出手段21が移動平均によって求めた浴槽水位の時系列変化情報において、浴槽水位の単位時間当たりの低下量が前記水位低下リミット値よりも大きい値のときには、その値を前記水位低下リミット値に置き換えて前記浴槽水位の時系列変化情報を補正し、浴槽水位の単位時間当たりの上昇量が前記水位上昇リミット値よりも大きい値のときには、その値を前記水位上昇リミット値に置き換え、前記浴槽水位の時系列変化情報を補正する。
【0045】
例えば、浴槽水位変化情報検出手段21によって移動平均により求められる浴槽水位の時系列変化情報が図5(a)の特性線aに示す情報であり、時間TからTまでの時間(単位時間あたり)の浴槽水位低下量が水位低下リミット値Ldよりも大きいときには、このTにおける浴槽水位の低下量を水位低下リミット値Ldに補正する(点Wを点Rに置き換える)。また、時間TからTまでの時間(単位時間あたり)の浴槽水位上昇量が水位上昇リミット値Luよりも大きいときには、このTにおける浴槽水位の上昇量を水位上昇リミット値Luに補正する(点Wを点Rに置き換える)。
【0046】
なお、図5(a)には2つの補正点のみ示しているが、実際には他の時点でも同様に、単位時間当たりの浴槽水位が水位低下リミット値Ldよりも大きいときには水位低下リミット値Ldに補正し、浴槽水位が水位上昇リミット値Luよりも大きいときには上昇低下リミット値Luに補正する。このような補正を行うと、例えば図5(b)の特性線bのような浴槽水位変化補正情報が得られる。
【0047】
配管洗浄手段20は、情報補正手段26によって補正された浴槽水位変化補正情報(例えば図5(b)特性線b)に基づいて、浴槽水位が低下していき、予め定められる配管洗浄開始基準水位(図5(b)のHs)以下になったとき(Ts)、または、配管洗浄開始基準水位以下になってから予め定められる設定時間(ΔT)が経過したとき(Te)に、注水通路15を通して給湯回路6側から追い焚き循環路3側に湯水を送水し、追い焚き循環路3を洗浄する。この配管洗浄は、給湯熱交換器7により加熱された湯水により行ってもよいし、加熱されていない水により行ってもよい。
【0048】
なお、配管洗浄開始基準水位(Hs)は、例えば浴槽2に追い焚き循環路3を接続する循環金具の上端位置(図5(b)のHo)から20リットルの水を入れた場合の水位に10mmを加えた高さの水位とすることができるが、前記循環金具の上端位置を配管洗浄開始基準水位としてもよく、適宜設定される。また、前記設定時間としては、浴槽水位が配管洗浄開始基準水位になってから殆ど全ての湯水が排水されるまでの時間(例えば浴槽水位が0になると推定されるまでの時間ΔT)を設定したり、浴槽水位が配管洗浄開始基準水位になってから殆ど全ての湯水が排水されるまでの時間よりも少し多めの時間(ΔT+α)を設定したりすることができ、適宜設定される。
【0049】
以上のような特徴的な制御構成によって、本実施例は、給湯使用状態における浴槽湯水排水時に浴槽水位の時系列変化情報を適正に求め(情報補正手段26によって補正し)、その情報に基づき、浴槽水位が配管洗浄に適した水位となったときに配管洗浄を行うことにより、適切なタイミングで追い焚き循環路3の配管洗浄を行うことができる。つまり、例えば図5(a)の特性線aに示したような補正前の浴槽水位の時系列変化情報に応じて配管洗浄を行おうとすると、実際には配管洗浄開始基準水位(図5(a)のHs)になっていない状態で(特性線aのWに対応するTwで)配管洗浄が開始されてしまうが、このような動作を防止でき、適切なタイミングで追い焚き循環路3の配管洗浄を行うことができる。
【実施例2】
【0050】
図6には、本発明に係る一缶二水路風呂給湯器の第2実施例の制御構成が示されている。第2実施例は前記第1実施例とほぼ同様に構成されており、その重複説明は省略または簡略化する。第2実施例が前記第1実施例と異なる特徴的なことは、実際に使用される浴槽に対応させて水位低下リミット値を補正する学習機能構成を設けたことである。この学習機能構成は、制御装置17内に設けられている、排水スピード検出手段29と、記憶手段30と、真リミット値検出手段31、水位低下リミット値補正手段32とを有して構成されている。
【0051】
排水スピード検出手段29は、実際に使用される浴槽2において、給湯が使用されていない状態で浴槽湯水の排水時に該排水による単位時間当たりの浴槽水位の低下量を時系列的に移動平均により求める。つまり、排水スピード検出手段29は、実際に使用される浴槽2において、給湯が使用されていない状態であらかじめ定められる設定サンプリングタイミング毎に圧力センサ14により検出される検出水位に基づき、移動平均により浴槽水位の時系列変化情報を求め、この値を記憶手段30に加える。なお、この移動平均による浴槽水位の時系列変化情報は、給湯使用の影響を受けないのでほぼ正確に求められる。
【0052】
記憶手段30は、排水スピード検出手段29により検出される浴槽湯水排水時の単位時間当たりの時系列的な浴槽水位低下量を1回以上の予め定められる回数記憶する。なお、この記憶回数や記憶の仕方は、特に限定されるものでなく、適宜設定されるものであるが、例えば、排水スピード検出手段29によって浴槽湯水排水時の単位時間当たりの時系列的な浴槽水位低下量の新しいデータが検出されたときには、最も旧いデータを消去して新しいデータを蓄積し、常にN回分(Nは複数)のデータを記憶する方法をとることができる。
【0053】
真リミット値検出手段31は、記憶手段30により記憶した単位時間当たりの時系列的な浴槽水位低下量に基づいて、実際に使用される浴槽2における真の水位低下リミット値を求める。この真の水位低下リミット値の求め方は適宜設定されるものであるが、例えば、記憶手段30により記憶されているデータの平均値をとって真の水位低下リミット値としてもよいし、その平均値に排水スピードアップ方向の一定の値(あるいは割合)を上乗せした値を水位低下リミット値としてもよい。
【0054】
水位低下リミット値補正手段32は、予め定められていてメモリ部28に格納されている水位低下リミット値を、真リミット値検出手段31によって求めた真の水位低下リミット値に変更する。
【0055】
第2実施例では、情報補正手段26は、浴槽水位変化情報検出手段21が移動平均によって求めた浴槽水位の時系列変化情報を受けて、給湯使用監視手段33から給湯使用兼浴槽排水時浴槽水位検出モードの実行指令が加えられている間、浴槽水位の単位時間当たりの低下量が水位低下リミット値補正手段32により補正した真の水位低下リミット値よりも大きい値のときには、その値を前記真の水位低下リミット値に置き換えて前記浴槽水位の時系列変化情報を補正する。この補正によって、給湯使用状態の浴槽湯水排水時における浴槽水位の時系列変化情報をより一層適正に求めることができ、その情報に基づき、配管洗浄をより一層適切なタイミングで行うことができる。
【0056】
なお、本発明は、前記各実施例に限定されるものでなく適宜設定されるものである。例えば、前記各実施例では、予め1つの水位低下リミット値と1つの水位上昇リミット値を与えたが、一般家庭用として用いることが想定されている浴槽2のうち横断面積が極端に小さい浴槽2における水位低下リミット値や水位上昇リミット値と、一般家庭用として用いることが想定されている浴槽2よりは遙かに大きい、寮等に用いられる業務用の浴槽2のうち、横断面積が極端に小さい浴槽2における水位低下リミット値や水位上昇リミット値を与え、実際に使用される浴槽2が家庭用か業務用かに応じて、いずれかのリミット値を選択できるようにしてもよい。
【0057】
また、情報補正手段26は、浴槽水位変化情報検出手段21が移動平均によって求めた浴槽水位の時系列変化情報を受けて、この情報において浴槽水位の単位時間当たりの低下量が前記水位低下リミット値よりも大きい値のときには、その値を前記水位低下リミット値に置き換え、浴槽水位の単位時間当たりの上昇量が前記水位上昇リミット値よりも大きい値のときには、その値を前記水位上昇リミット値に置き換える動作によって、前記浴槽水位の時系列変化情報を補正するようにしたが、以下のような補正動作を行うようにしてもよい。
【0058】
つまり、情報補正手段26は、圧力センサ14による前記設定サンプリングタイミング毎に検出される検出水位の値を浴槽湯水変化情報検出手段21から取り込み、検出水位の単位時間あたりの低下値が前記水位低下リミット値よりも大きいときにはその値を前記水位低下リミット値に置き換え(図7の点wから点rへの変更を参照)、前記検出水位の単位時間当たりの上昇値が前記水位上昇リミット値よりも大きいときにはその値を前記水位上昇リミット値に置き換え(図7の点wから点rへの変更を参照)。そして、図1図6の破線矢印に示されるように、置き換えた情報を浴槽水位変化情報検出手段21に加え、その置き換えた情報(置き換えられたサンプリング値の情報)に基づいて浴槽水位変化情報検出手段21が移動平均による浴槽水位の時系列変化情報検出を行えるように検出水位情報を補正してもよい。この場合も、サンプリング値(検出水位)を補正してから移動平均を行うことにより、適切な浴槽水位の時系列変化情報を得ることができる。
【0059】
さらに、前記各実施例では、給湯使用状態における浴槽湯水排水時に特有の給湯使用兼浴槽排水時浴槽水位検出モードで浴槽水位の時系列変化情報の検出動作を行う時に、水位低下リミット値と水位上昇リミット値とに対応させて浴槽水位の低下と上昇の時系列変化情報を補正できるようにしたが、水位低下リミット値のみを与えて水位低下時のみ、情報補正手段26により浴槽水位の時系列変化情報を補正するようにしてもよい。
【0060】
さらに、一缶二水路風呂給湯器1は、暖房機能等の他の機能も備えていてもよい。
【0061】
さらに、本発明の燃焼装置は、例えば前記実施例で設けたガス燃焼を行うバーナの代わりに、石油燃焼用のバーナを設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、給湯使用中に浴槽湯水排水を行っても適正な浴槽水位の時系列変化情報を得ることができ、それに基づき適切に追い焚き循環路の配管洗浄動作が行えるので、家庭用や業務用の一缶二水路風呂給湯器として利用できる。
【符号の説明】
【0063】
1 一缶二水路風呂給湯器
2 浴槽
3 追い焚き循環路
4 追い焚き循環ポンプ
5 追い焚き熱交換器
6 給湯回路
7 給湯熱交換器
8 バーナ
10 管路
11 給湯熱交換水管サーミスタ
12 風呂往きサーミスタ
13 風呂戻りサーミスタ
17 制御装置
18 モード制御部
19 給湯燃焼制御手段
20 配管洗浄制御手段
21 浴槽水位変化情報検出手段
27 流量センサ
28 メモリ部
29 排水スピード検出手段
30 記憶手段
31 真リミット値検出手段
32 水位低下リミット値補正手段
33 給湯使用監視手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7