(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
端末装置の利用者を識別するIDに基づいて、前記端末装置毎に広告を表示するための広告情報を選択して前記端末装置に配信するサーバへ、前記IDを含む広告配信要求を送信し、前記サーバから前記広告情報を受信して表示部に広告を表示させる広告アプリケーションと、
前記IDを生成するのに使用する要素値を保持するID管理アプリケーションと、
を有し、
前記広告アプリケーションは、前記ID管理アプリケーションから前記要素値を取得し、取得した前記要素値に基づいて前記IDを生成する
ことを特徴とする端末装置。
前記広告アプリケーションは、前記要素値の更新指示に基づいて前記要素値を更新し、更新後の前記要素値と更新時刻を保持し、前記ID管理アプリケーションから取得した前記更新時刻が、自身の保持している前記更新時刻よりも古い場合に、自身が保持している前記要素値に基づいて前記IDを生成し、自身が保持している前記要素値および前記更新時刻を前記ID管理アプリケーションに通知し、
前記ID管理アプリケーションは、前記広告アプリケーションから通知された前記要素値および前記更新時刻を保持する
ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
端末装置の利用者を識別するIDを生成するのに使用する要素値を保持するID管理アプリケーションから前記要素値を取得し、取得した前記要素値に基づいて前記IDを生成するステップと、
前記IDに基づいて、前記端末装置毎に広告を表示するための広告情報を選択して前記端末装置に配信するサーバへ、前記IDを含む広告配信要求を送信するステップと、
前記サーバから前記広告情報を受信して表示部に広告を表示させるステップと、
をコンピュータに実行させるための広告アプリケーションのプログラム。
端末装置にインストールされた広告アプリケーションが、当該端末装置の利用者を識別するIDを生成するのに使用する要素値を保持するID管理アプリケーションから前記要素値を取得し、取得した前記要素値に基づいて前記IDを生成するステップと、
前記IDに基づいて、前記端末装置毎に広告を表示するための広告情報を選択して前記端末装置に配信するサーバへ、前記広告アプリケーションが、前記IDを含む広告配信要求を送信するステップと、
前記広告アプリケーションが前記サーバから前記広告情報を受信して表示部に広告を表示させるステップと、
を有することを特徴とする広告表示方法。
【背景技術】
【0002】
利用者のニーズや嗜好、行動などの情報から、利用者本人に適した広告を配信するサービスがあり、ターゲティング広告と呼ばれている。利用者向けにカスタマイズした情報を利用者に提供することで、よりよい広告効果を得ることができる。上記の広告配信技術を利用するにあたり、広告配信業者(広告事業者)は利用者の情報(位置情報、購買履歴、広告の閲覧履歴など)を取得する必要がある。情報収集にあたっては、利用者を識別するための識別子を設ける必要がある。利用者がスマートフォンなどの携帯情報端末を利用してサービスを利用する場合には、IMEI(International Mobile Equipment Identity)や、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)、MAC(Media Access Control address)アドレス、電話番号、OS(Operating Systems)がランダムに生成するIDといった端末毎に固有な識別子を当該利用者の識別子として利用することが想定されており、一部のサービスでは実際に利用されている。
【0003】
図8は、端末毎に固有な識別子であるグローバルIDを使用した広告配信の仕組みを示している。以下、
図8を参照して、グローバルIDを使用した広告配信の仕組みを説明する。
【0004】
スマートフォンなどの携帯情報端末である端末装置8には、同一の広告事業者が提供している広告アプリケーション80a,80bがインストールされている。実際には、これらの広告アプリケーション80a,80bは、何らかのアプリケーションに組み込まれている。広告アプリケーション80aが起動すると、広告アプリケーション80aは、端末装置8内の所定の場所からグローバルIDを取得する(ステップS900)。続いて、広告アプリケーション80aは、広告配信用のサーバ9に対して、広告の配信を要求することを示すメッセージである広告配信要求を送信する(ステップS905)。この広告配信要求にはグローバルIDが含まれている。
【0005】
サーバ9は、広告の選択履歴をグローバルIDと対応付けて管理している。つまり、サーバ9は、グローバルIDに基づいて、端末装置8を所有する利用者の嗜好を管理している。端末装置8からの広告配信要求を受信したサーバ9は、自身が管理しているグローバルIDの中に、広告配信要求に含まれるグローバルIDと同一のIDがない場合、例えば広告の画像等を含む広告情報をランダムに選択し、選択した広告情報を含むメッセージを端末装置8へ送信する(ステップS910)。
【0006】
端末装置8の広告アプリケーション80aは、受信したメッセージから広告情報を抽出して表示部81へ出力し、表示部81に広告を表示させる(ステップS915)。これによって、広告アプリケーション80aが組み込まれたアプリケーションの画面内に広告が表示される。
【0007】
以後、表示された広告に対して、利用者がクリック等の選択操作を行った場合、広告が選択されたことを示す操作情報とグローバルIDがサーバ9へ送信される。サーバ9は操作情報とグローバルIDを受信し、受信した操作情報に関する広告の選択履歴をグローバルIDと対応付けて管理する。これによって、サーバ9は、グローバルIDにより識別される広告の選択履歴を、利用者の嗜好を示す情報として管理する。
【0008】
続いて、広告アプリケーション80bが起動すると、広告アプリケーション80bは、端末装置8内の所定の場所からグローバルIDを取得する(ステップS920)。続いて、広告アプリケーション80bはサーバ9へ広告配信要求を送信する(ステップS925)。この広告配信要求にはグローバルIDが含まれている。
【0009】
端末装置8からの広告配信要求を受信したサーバ9は、自身が管理しているグローバルIDの中に、広告配信要求に含まれるグローバルIDと同一のIDがあるので、そのグローバルIDと対応付けられている広告の選択履歴を参照する。サーバ9は、広告の選択履歴に基づいて、利用者に適した広告を選択し、その広告の画像等を含む広告情報を含むメッセージを端末装置8へ送信する(ステップS930)。端末装置8の広告アプリケーション80bは、受信したメッセージから広告情報を抽出して表示部81へ出力し、表示部81に広告を表示させる(ステップS935)。
【0010】
しかしながら、上記のような端末毎に固有な識別子は、端末上のアプリケーションを介して比較的容易に取得できてしまい、異なる広告事業者が結託してお互いの情報を交換する場合などでは、この識別子に基づいて双方の広告事業者間で利用者を特定できてしまう「名寄せ」と言われるセキュリティ上の懸念がある。このため、端末毎に固有な識別子の利用が推奨されていない(例えば、非特許文献1参照)。
【0011】
端末上のアプリケーションが固有の識別子を生成する手法として、乱数を利用する手法がある。例えば、端末上の広告アプリケーションは、充分大きい乱数を生成し、利用者の識別子として利用する。この手法の場合、同じ端末上の広告アプリケーション毎に異なる値を識別子として利用できるため、上記の名寄せの問題を回避することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。
【0028】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態を説明する。本実施形態による広告配信システムは、広告を表示する広告アプリケーションを有する端末装置と、端末装置に広告を配信するサーバとを有する。サーバは、端末装置の利用者を識別するIDと広告選択履歴とを対応付けて管理しており、利用者の嗜好に適した広告を端末装置に配信する。広告選択履歴は、端末装置で表示された広告に対して、クリック等により、利用者が反応したこと、言い換えると利用者が意図的に広告を選択したことを示す情報であり、例えば利用者が選択した広告の種類(あるいは広告に対応する商品の種類)を示す情報である。
【0029】
図1は、本実施形態による端末装置の構成を示している。
図1に示す端末装置1は、スマートフォン等の携帯情報端末である。端末装置1は、通信部10、表示部11、アプリケーション12a,12b、ID管理アプリケーション13、プログラム記憶部14、情報記憶部15、操作部16を有する。
【0030】
通信部10は、サーバ2と通信を行う通信回路を有する。表示部11は、情報を表示する液晶パネル等を有する。
【0031】
アプリケーション12a,12bは、アプリケーションの処理として規定された各種の処理を行う。アプリケーション12a,12bは、広告の画像等を含む広告情報をサーバ2から受信し、受信した広告情報に基づく広告を表示部11に表示させる広告アプリケーション17a,17bを有する。広告アプリケーション17a,17bは、同一の広告事業者、例えばサーバ2を提供する広告事業者によって作成されたアプリケーション(モジュール)である。
図1では2個のアプリケーション12a,12bが示されているが、3個以上のアプリケーションがあってもよい。
【0032】
ID管理アプリケーション13は、IDに関する管理を行う。ID管理アプリケーション13は、広告アプリケーション17a,17bを提供する広告事業者によって作成されたアプリケーションである。
【0033】
プログラム記憶部14は、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)による情報の読み出しが可能な記録媒体を有しており、アプリケーション12a,12bのそれぞれに対応したアプリケーションプログラム18a,18bと、ID管理アプリケーション13に対応したID管理アプリケーションプログラム19とを記憶する。例えば端末装置1がスマートフォンである場合、プログラム記憶部14は、スマートフォンに内蔵されたフラッシュメモリである。アプリケーションプログラム18a,18bには、広告アプリケーション17a,17bのそれぞれに対応した広告アプリケーションプログラムが含まれる。アプリケーションプログラム18aが、図示していないCPUによって揮発性のメモリ(RAM:Random Access Memory)に読み込まれることで、アプリケーション12aが起動する。同様に、アプリケーションプログラム18bが、図示していないCPUによって揮発性のメモリに読み込まれることで、アプリケーション12bが起動し、ID管理アプリケーションプログラム19が、図示していないCPUによって揮発性のメモリに読み込まれることで、ID管理アプリケーション13が起動する。
【0034】
プログラム記憶部14は、端末装置1に内蔵される記録媒体、または端末装置1に外部から挿入される記録媒体であって、少なくとも一定期間、情報を保持できる記録媒体であればよく、ハードディスクドライブやROM(Read Only Memory)等であってもよい。プログラム記憶部14に格納されているアプリケーションプログラム18a,18bおよびID管理アプリケーションプログラム19は、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、カード媒体等の可搬性の記録媒体から、あるいは、外部のコンピュータに内蔵されたフラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等の記録媒体からプログラム記憶部14に入力されてプログラム記憶部14に保存されてもよい。また、プログラム記憶部14に保存されるアプリケーションプログラム18a,18bおよびID管理アプリケーションプログラム19は、インターネット等の通信回線を介して他の装置から伝送されたプログラムであってもよい。
【0035】
情報記憶部15は、CPUによる読み出しが可能な記録媒体を有しており、IDの生成に使用される要素値と、IDをサーバ2へ送信するか否かを制御するのに使用されるID送信制御情報とを記憶する。例えば端末装置1がスマートフォンであり、端末装置1のOSがアンドロイドである場合、情報記憶部15は、スマートフォンに内蔵されたフラッシュメモリまたはSD(登録商標)カードである。情報記憶部15は、端末装置1に内蔵される記録媒体、または端末装置1に外部から挿入される記録媒体であって、少なくとも一定期間、情報を保持できる記録媒体であればよく、ハードディスクドライブ等であってもよい。
【0036】
操作部16は、利用者によって操作されるボタンやキー等の部材や、利用者の操作を検知する圧電素子等を有する。表示部11と操作部16は、例えばタッチパネルとして一体化されていてもよい。
【0037】
次に、広告アプリケーション17a,17bとID管理アプリケーション13の詳細を説明する。広告アプリケーション17a,17bを含むアプリケーション12a,12bとID管理アプリケーション13は、アプリケーションの配信サイトからダウンロードするなどの方法によって端末装置1にインストールされている。
【0038】
広告アプリケーション17a,17bは、サーバ2に通知するIDを生成する。一方向性関数(ハッシュ関数など)をh()とし、端末装置1の識別情報(MACアドレスなど)をIDtとし、IDを生成する元となる要素値(暗号化のための鍵となる要素値)をKeyとすると、IDは以下のように生成される。
ID=h(IDt||key)
上記の||は、ビットを結合することを示している。つまり、端末装置1の識別情報IDtと、要素値Keyとのビットを結合した値を一方向性関数h()の入力値として演算した値がIDとなる。
【0039】
広告アプリケーション17a,17bは、要素値の初期値(デフォルト値)を保持している。同一の広告事業者によって作成された広告アプリケーション17a,17bは同一の初期値を保持している。要素値の初期値は広告アプリケーション17a,17b内に隠ぺいされており、第三者には秘匿されている。
【0040】
ID管理アプリケーション13は、広告アプリケーション17a,17bがIDを生成するのに使用する要素値を管理する。ID管理アプリケーション13は、広告アプリケーション17a,17bから要素値の取得が要求された場合に広告アプリケーション17a,17bに要素値を通知する。また、ID管理アプリケーション13は、利用者がIDの変更を希望した場合に、新しい要素値を生成する。新しい要素値が生成され、要素値が更新されると、広告アプリケーション17a,17bによって生成されるIDが新しいIDに変更される。
【0041】
サーバ2は、端末装置1から通知されたIDに対応する広告選択履歴に基づいて、端末装置1に配信する広告を選択する。IDを変更することによって、サーバ2からの広告の配信が、新しいIDに対応する広告選択履歴に基づいて行われるようになる。このため、サーバ2から配信される広告を、古いIDに対応する広告選択履歴と無関係にすることができる。
【0042】
利用者は、サーバ2へIDを送信するか否かを選択することが可能である。ID管理アプリケーション13は、サーバ2へIDを送信するか否かを制御するためのID送信制御情報を管理する。ID管理アプリケーション13は、広告アプリケーション17a,17bからID送信制御情報の取得が要求された場合に広告アプリケーション17a,17bにID送信制御情報を通知する。広告アプリケーション17a,17bは、ID送信制御情報がサーバ2へのIDの送信を許可することを示している場合にサーバ2へIDを送信し、ID送信制御情報がサーバ2へのIDの送信を禁止することを示している場合にサーバ2へのIDの送信を停止する。
【0043】
端末装置1からIDが通知されない場合、サーバ2は、例えばランダムに広告を選択する。このため、サーバ2へのIDの送信を停止することで、サーバ2から配信される広告を広告選択履歴と無関係にすることができる。また、サーバ2へのIDの送信を停止することで、広告選択履歴の収集が行われなくなるので、利用者のプライバシを保護することができる。
【0044】
OSとしてアンドロイドが実装された端末上で、異なる複数のアプリケーション同士が通信を行う場合、複数のアプリケーションが同一の事業者から提供されるなどにより、通信を行うアプリケーションが予め分かっていれば、安全な通信が可能となる。また、この通信には、利用者からの特別な許諾は不要である。
【0045】
本実施形態では、広告アプリケーション17a,17bは、ID管理アプリケーション13と通信を行い、ID管理アプリケーション13から要素値とID送信制御情報を取得する。ID管理アプリケーション13との通信の際、広告アプリケーション17a,17bはID管理アプリケーション13のパッケージ名称をパラメータとして指定する。ID管理アプリケーション13のパッケージ名称は、アプリケーションプログラム18a,18bに含まれる各広告アプリケーションのプログラムに組み込まれている。広告アプリケーション17a,17bは、ID管理アプリケーション13が情報記憶部15に保持している要素値とID送信制御情報に直接アクセスすることはできない。
【0046】
広告アプリケーション17a,17bは、ID管理アプリケーション13から同一の要素値を取得するので、広告アプリケーション17a,17bのそれぞれが生成するIDは同一となる。したがって、広告アプリケーション17a,17bが同一の識別子を使用することができる。
【0047】
また、広告アプリケーション17a,17bのそれぞれがサーバ2へIDを送信するか否かが、同一のID送信制御情報に基づいて制御されるので、広告アプリケーション17a,17bがサーバ2へIDを送信するか否かを統一的に制御することができる。
【0048】
次に、広告アプリケーション17a,17bとID管理アプリケーション13の動作を説明する。
図2は広告アプリケーション17a,17bの動作を示している。
図2では、広告アプリケーション17a,17bがIDを生成するID生成処理(ステップS100〜S120)と、広告アプリケーション17a,17bが表示部11に広告を表示させる広告表示処理(ステップS125〜S140)とが示されており、他の処理については省略されている。
【0049】
利用者の指示により広告アプリケーション17a,17bが起動すると、広告アプリケーション17a,17bは、端末装置1上にID管理アプリケーション13が存在するか否か(インストール済みであるか否か)を確認する(ステップS100)。この際、必要に応じてID管理アプリケーション13の認証を行い、ID管理アプリケーション13の正当性を確認してもよい。
【0050】
端末装置1上にID管理アプリケーション13が存在しない場合、広告アプリケーション17a,17bは、自身が保持している要素値(初期値)を使用してIDを生成する(ステップS115)。また、端末装置1上にID管理アプリケーション13が存在する場合、広告アプリケーション17a,17bは、要素値とID送信制御情報の取得をID管理アプリケーション13に要求し、要素値とID送信制御情報をID管理アプリケーション13から取得する(ステップS105)。このとき、ID管理アプリケーション13が起動していない場合には、ID管理アプリケーション13を強制的に起動してもよい。
【0051】
続いて、広告アプリケーション17a,17bは、ID送信制御情報に基づいて、IDをサーバ2へ送信するか否かを判定する(ステップS110)。ID送信制御情報がサーバ2へのIDの送信の許可を示している場合、広告アプリケーション17a,17bは、ID管理アプリケーション13から取得した要素値を使用してIDを生成する(ステップS120)。
【0052】
ステップS115またはステップS120でIDが生成された後、広告アプリケーション17a,17bは、生成されたIDを含み、広告の配信を要求するメッセージである広告配信要求を、通信部10を介してサーバ2へ送信する(ステップS125)。一方、ステップS110でID送信制御情報がサーバ2へのIDの送信の禁止を示している場合、広告アプリケーション17a,17bは、IDを含まない広告配信要求を、通信部10を介してサーバ2へ送信する(ステップS130)。ステップS125またはステップS130で広告配信要求が送信された後、広告アプリケーション17a,17bは、広告情報を含むメッセージを、通信部10を介してサーバ2から受信する(ステップS135)。
【0053】
続いて、広告アプリケーション17a,17bは、受信したメッセージから広告情報を抽出して表示部11へ出力し、表示部11に広告を表示させる(ステップS140)。これによって、アプリケーション12a,12bの画面に広告が表示される。
【0054】
上記のように広告が表示された後、所定の時間間隔で、または利用者からの指示などに応じて、ID生成処理または広告表示処理を再度行ってもよい。
【0055】
また、図示していないが、
図2に示した動作とは別に、利用者が広告を選択する操作に基づく動作が行われる。利用者がGUI(Graphical User Interface)の機能を利用して広告を選択する操作(クリック等)を行うと、操作部16から広告アプリケーション17a,17bに操作結果が通知される。広告アプリケーション17a,17bが保持している要素値(初期値)またはID管理アプリケーション13から取得した要素値を使用してIDを生成した場合、広告アプリケーション17a,17bは、IDと、操作結果に応じた操作情報とを含むメッセージをサーバ2へ送信する。操作情報は、利用者が広告に対して行った操作の内容を示す情報であり、例えば利用者が選択した広告の種類(あるいは広告に対応する商品の種類)を示す情報である。IDと操作情報とが別々のメッセージによりサーバ2へ送信されてもよい。
【0056】
広告の表示後、例えば一定期間内に広告を選択する操作が行われなかった場合に、広告に対して操作が行われなかったことを示す操作情報がサーバ2へ送信されてもよい。また、ID送信制御情報がサーバ2へのIDの送信の禁止を示している場合、広告アプリケーション17a,17bはIDおよび操作情報の送信を行わない。
【0057】
サーバ2は、端末装置1によって送信された、IDと操作情報を含むメッセージを受信した場合、受信したメッセージからIDと操作情報を抽出する。サーバ2は、このIDと同一のIDを、自身が管理しているIDから検索し、そのIDに対して、操作情報に基づく広告選択履歴を追加する。これによって、端末装置1で表示された広告に対する利用者の操作の結果が、サーバ2で管理されている、利用者の嗜好に関する情報に反映される。広告選択履歴は操作情報と同一の情報であってもよいし、操作情報に対してフォーマットの変換等を行った情報であってもよい。
【0058】
図3はID管理アプリケーション13の動作を示している。利用者の指示によりID管理アプリケーション13が起動すると、ID管理アプリケーション13は、IDの更新が指示されているか否かを判定する(ステップS200)。利用者がGUIの機能を利用してIDの更新を指示する操作を行うと、操作部16からID管理アプリケーション13に操作結果が通知される。
【0059】
IDの更新を指示する操作が行われていない場合、ステップS210の判定が行われる。また、IDの更新を指示する操作が行われた場合、ID管理アプリケーション13は、新しい要素値を生成し、自身が情報記憶部15に保持している要素値を、新しい要素値で更新する(ステップS205)。続いて、ID管理アプリケーション13は、ID送信制御情報の変更が指示されているか否かを判定する(ステップS210)。利用者がGUIの機能を利用してID送信制御情報の変更を指示する操作を行うと、操作部16からID管理アプリケーション13に操作結果が通知される。
【0060】
ID送信制御情報の変更を指示する操作が行われていない場合、ステップS220の判定が行われる。また、ID送信制御情報の変更を指示する操作が行われた場合、ID管理アプリケーション13は、自身が情報記憶部15に保持しているID送信制御情報を変更する(ステップS215)。例えば、サーバ2へのIDの送信が許可されている場合、サーバ2へのIDの送信を禁止するようにID送信制御情報が変更され、サーバ2へのIDの送信が禁止されている場合、サーバ2へのIDの送信を許可するようにID送信制御情報が変更される。
【0061】
続いて、ID管理アプリケーション13は、広告アプリケーション17a,17bから要素値とID送信制御情報の取得が要求されているか否かを判定する(ステップS220)。広告アプリケーション17a,17bから要素値とID送信制御情報の取得が要求されていない場合、ステップS200の判定が行われる。また、広告アプリケーション17a,17bから要素値とID送信制御情報の取得が要求されている場合、ID管理アプリケーション13は、自身が情報記憶部15に保持している要素値とID送信制御情報を情報記憶部15から読み出し、広告アプリケーション17a,17bに要素値とID送信制御情報を通知する(ステップS225)。続いて、ステップS200の判定が行われる。
【0062】
上述したように、本実施形態によれば、広告アプリケーション17a,17bがID管理アプリケーション13から要素値を取得し、取得した要素値に基づいてIDを生成することによって、広告アプリケーション17a,17bが同一の識別子を使用することができる。
【0063】
また、利用者がIDの更新を指示する操作を行った場合に、ID管理アプリケーション13が要素値を更新することによって、広告アプリケーション17a,17bが生成するIDを更新することができる。
【0064】
また、ID管理アプリケーション13がID送信制御情報を管理することによって、広告アプリケーション17a,17bがIDをサーバ2へ送信するか否かを統一的に制御することができる。
【0065】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。本実施形態では、ID管理アプリケーション13と広告アプリケーション17a,17bの両方が自身の要素値を保持し、広告アプリケーション17a,17bが自身のID送信制御情報を保持する。また、ID管理アプリケーション13と広告アプリケーション17a,17bの両方がIDの更新指示に基づいて要素値を更新することが可能である。
【0066】
本実施形態による端末装置1の構成は、
図1に示した構成と同様であるが、本実施形態の情報記憶部15は、要素値とID送信制御情報を記憶することに加えて、要素値が生成または更新された時刻である更新時刻を記憶する。
【0067】
図4は広告アプリケーション17a,17bの動作を示している。
図4では、広告アプリケーション17a,17bがIDを生成するID生成処理(ステップS300〜S340)と、広告アプリケーション17a,17bが表示部11に広告を表示させる広告表示処理(ステップS345〜S360)とが示されており、他の処理については省略されている。
【0068】
利用者の指示により広告アプリケーション17a,17bが起動すると、広告アプリケーション17a,17bは、自身が情報記憶部15に保持しているID送信制御情報を情報記憶部15から読み出し、ID送信制御情報に基づいて、IDをサーバ2へ送信するか否かを判定する(ステップS300)。ID送信制御情報がサーバ2へのIDの送信の許可を示している場合、広告アプリケーション17a,17bは、端末装置1上にID管理アプリケーション13が存在するか否か(インストール済みであるか否か)を確認する(ステップS305)。この際、必要に応じてID管理アプリケーション13の認証を行い、ID管理アプリケーション13の正当性を確認してもよい。
【0069】
端末装置1上にID管理アプリケーション13が存在しない場合、広告アプリケーション17a,17bは、自身が情報記憶部15に保持している要素値を情報記憶部15から読み出し、読み出した要素値を使用してIDを生成する(ステップS310)。また、端末装置1上にID管理アプリケーション13が存在する場合、広告アプリケーション17a,17bは、要素値と更新時刻の取得をID管理アプリケーション13に要求し、要素値と更新時刻をID管理アプリケーション13から取得する(ステップS315)。このとき、ID管理アプリケーション13が起動していない場合には、ID管理アプリケーション13を強制的に起動してもよい。
【0070】
続いて、広告アプリケーション17a,17bは、自身が情報記憶部15に保持している更新時刻を情報記憶部15から読み出し、ID管理アプリケーション13から取得した更新時刻と、自身が保持している更新時刻とを比較する(ステップS320)。ID管理アプリケーション13から取得した更新時刻と、自身が保持している更新時刻とが同じ場合、あるいはID管理アプリケーション13から取得した更新時刻が、自身が保持している更新時刻よりも古い場合、広告アプリケーション17a,17bは、自身が情報記憶部15に保持している要素値を情報記憶部15から読み出し、読み出した要素値を使用してIDを生成する(ステップS325)。IDの生成後、広告アプリケーション17a,17bは、自身が情報記憶部15に保持している要素値と更新時刻をID管理アプリケーション13に通知する(ステップS335)。
【0071】
また、ID管理アプリケーション13から取得した更新時刻が、自身が保持している更新時刻よりも新しい場合、広告アプリケーション17a,17bは、ID管理アプリケーション13から取得した要素値を使用してIDを生成する(ステップS330)。IDの生成後、広告アプリケーション17a,17bは、自身が情報記憶部15に保持している要素値を、ID管理アプリケーション13から取得した要素値で更新すると共に、自身が情報記憶部15に保持している更新時刻を、ID管理アプリケーション13から取得した更新時刻で更新する(ステップS340)。
【0072】
ステップS310,S335,S340のいずれかの処理が行われた後、広告アプリケーション17a,17bは、生成されたIDを含む広告配信要求を、通信部10を介してサーバ2へ送信する(ステップS345)。一方、ステップS300でID送信制御情報がサーバ2へのIDの送信の禁止を示している場合、広告アプリケーション17a,17bは、IDを含まない広告配信要求を、通信部10を介してサーバ2へ送信する(ステップS350)。ステップS345またはステップS350で広告配信要求が送信された後、広告アプリケーション17a,17bは、広告情報を含むメッセージを、通信部10を介してサーバ2から受信する(ステップS355)。
【0073】
続いて、広告アプリケーション17a,17bは、受信したメッセージから広告情報を抽出して表示部11へ出力し、表示部11に広告を表示させる(ステップS360)。これによって、アプリケーション12a,12bの画面に広告が表示される。
【0074】
上記のように広告が表示された後、所定の時間間隔で、または利用者からの指示などに応じて、ID生成処理または広告表示処理を再度行ってもよい。
【0075】
また、図示していないが、
図4に示した動作とは別に、利用者が広告を選択する操作に基づく動作が行われる。この動作は、第1の実施形態で説明した動作と同様である。
【0076】
また、図示していないが、
図4に示した動作とは別に、利用者がIDを更新する操作に基づく動作が行われる。利用者がGUIの機能を利用してIDの更新を指示する操作を行うと、操作部16から広告アプリケーション17a,17bに操作結果が通知される。広告アプリケーション17a,17bは、IDの更新を指示する操作が行われると、新しい要素値を生成し、自身が情報記憶部15に保持している要素値を、新しい要素値で更新すると共に、自身が情報記憶部15に保持している更新時刻を更新する。
【0077】
また、図示していないが、
図4に示した動作とは別に、利用者がID送信制御情報を変更する操作に基づく動作が行われる。利用者がGUIの機能を利用してID送信制御情報の変更を指示する操作を行うと、操作部16から広告アプリケーション17a,17bに操作結果が通知される。広告アプリケーション17a,17bは、ID送信制御情報の変更を指示する操作が行われると、自身が情報記憶部15に保持しているID送信制御情報を変更する。
【0078】
図5はID管理アプリケーション13の動作を示している。利用者の指示によりID管理アプリケーション13が起動すると、ID管理アプリケーション13は、IDの更新が指示されているか否かを判定する(ステップS400)。利用者がGUIの機能を利用してIDの更新を指示する操作を行うと、操作部16からID管理アプリケーション13に操作結果が通知される。
【0079】
IDの更新を指示する操作が行われていない場合、ステップS410の判定が行われる。また、IDの更新を指示する操作が行われた場合、ID管理アプリケーション13は、新しい要素値を生成し、自身が情報記憶部15に保持している要素値を、新しい要素値で更新すると共に、自身が情報記憶部15に保持している更新時刻を更新する(ステップS405)。
【0080】
続いて、ID管理アプリケーション13は、広告アプリケーション17a,17bから要素値と更新時刻の取得が要求されているか否かを判定する(ステップS410)。広告アプリケーション17a,17bから要素値と更新時刻の取得が要求されていない場合、ステップS420の判定が行われる。また、広告アプリケーション17a,17bから要素値と更新時刻の取得が要求されている場合、ID管理アプリケーション13は、自身が情報記憶部15に保持している要素値と更新時刻を情報記憶部15から読み出し、広告アプリケーション17a,17bに要素値と更新時刻を通知する(ステップS415)。
【0081】
続いて、ID管理アプリケーション13は、広告アプリケーション17a,17bから要素値と更新時刻が通知されているか否かを判定する(ステップS420)。広告アプリケーション17a,17bから要素値と更新時刻が通知されていない場合、ステップS400の判定が行われる。また、広告アプリケーション17a,17bから要素値と更新時刻が通知されている場合、ID管理アプリケーション13は、自身が情報記憶部15に保持している要素値を、広告アプリケーション17a,17bから通知された要素値で更新すると共に、自身が情報記憶部15に保持している更新時刻を、広告アプリケーション17a,17bから通知された更新時刻で更新する(ステップS425)。続いて、ステップS400の判定が行われる。
【0082】
上述したように、本実施形態によれば、ID管理アプリケーション13だけでなく広告アプリケーション17a,17bも要素値の管理を行うことができる。また、広告アプリケーション17a,17bは自身についてのID送信制御情報の管理を行うことができる。
【0083】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。第1の実施形態および第2の実施形態では広告アプリケーション17a,17bがID管理アプリケーション13から要素値を取得しているが、第3の実施形態では広告アプリケーション17a,17bがID管理アプリケーション13からIDを取得する。
【0084】
第3の実施形態による端末装置1の構成は、
図1に示した構成と同様であるが、本実施形態の情報記憶部15は、要素値の代わりにIDを記憶する。また、第3の実施形態の広告アプリケーション17a,17bは、IDの初期値(デフォルト値)を保持している。同一の広告事業者によって作成された広告アプリケーション17a,17bは同一の初期値を保持している。IDの初期値は広告アプリケーション17a,17b内に隠ぺいされており、第三者には秘匿されている。
【0085】
図6は広告アプリケーション17a,17bの動作を示している。
図6では、広告アプリケーション17a,17bがIDを生成するID生成処理(ステップS500〜S520)と、広告アプリケーション17a,17bが表示部11に広告を表示させる広告表示処理(ステップS525〜S540)とが示されており、他の処理については省略されている。
【0086】
利用者の指示により広告アプリケーション17a,17bが起動すると、広告アプリケーション17a,17bは、端末装置1上にID管理アプリケーション13が存在するか否か(インストール済みであるか否か)を確認する(ステップS500)。この際、必要に応じてID管理アプリケーション13の認証を行い、ID管理アプリケーション13の正当性を確認してもよい。
【0087】
端末装置1上にID管理アプリケーション13が存在しない場合、広告アプリケーション17a,17bは、自身が保持しているID(初期値)を使用すると決定する(ステップS515)。また、端末装置1上にID管理アプリケーション13が存在する場合、広告アプリケーション17a,17bは、IDとID送信制御情報の取得をID管理アプリケーション13に要求し、IDとID送信制御情報をID管理アプリケーション13から取得する(ステップS505)。このとき、ID管理アプリケーション13が起動していない場合には、ID管理アプリケーション13を強制的に起動してもよい。
【0088】
続いて、広告アプリケーション17a,17bは、ID送信制御情報に基づいて、IDをサーバ2へ送信するか否かを判定する(ステップS510)。ID送信制御情報がサーバ2へのIDの送信の許可を示している場合、広告アプリケーション17a,17bは、ID管理アプリケーション13から取得したIDを使用すると決定する(ステップS520)。
【0089】
ステップS515またはステップS520で使用するIDが決定された後、広告アプリケーション17a,17bは、使用すると決定したIDを含む広告配信要求を、通信部10を介してサーバ2へ送信する(ステップS525)。一方、ステップS510でID送信制御情報がサーバ2へのIDの送信の禁止を示している場合、広告アプリケーション17a,17bは、IDを含まない広告配信要求を、通信部10を介してサーバ2へ送信する(ステップS530)。ステップS525またはステップS530で広告配信要求が送信された後、広告アプリケーション17a,17bは、広告情報を含むメッセージを、通信部10を介してサーバ2から受信する(ステップS535)。
【0090】
続いて、広告アプリケーション17a,17bは、受信したメッセージから広告情報を抽出して表示部11へ出力し、表示部11に広告を表示させる(ステップS540)。これによって、アプリケーション12a,12bの画面に広告が表示される。
【0091】
上記のように広告が表示された後、所定の時間間隔で、または利用者からの指示などに応じて、ID生成処理または広告表示処理を再度行ってもよい。
【0092】
また、図示していないが、
図6に示した動作とは別に、利用者が広告を選択する操作に基づく動作が行われる。この動作は、第1の実施形態で説明した動作と同様である。
【0093】
図7はID管理アプリケーション13の動作を示している。利用者の指示によりID管理アプリケーション13が起動すると、ID管理アプリケーション13は、IDの更新が指示されているか否かを判定する(ステップS600)。利用者がGUIの機能を利用してIDの更新を指示する操作を行うと、操作部16からID管理アプリケーション13に操作結果が通知される。
【0094】
IDの更新を指示する操作が行われていない場合、ステップS610の判定が行われる。また、IDの更新を指示する操作が行われた場合、ID管理アプリケーション13は、新しいIDを生成し、自身が情報記憶部15に保持しているIDを、新しいIDで更新する(ステップS605)。続いて、ID管理アプリケーション13は、ID送信制御情報の変更が指示されているか否かを判定する(ステップS610)。利用者がGUIの機能を利用してID送信制御情報の変更を指示する操作を行うと、操作部16からID管理アプリケーション13に操作結果が通知される。
【0095】
ID送信制御情報の変更を指示する操作が行われていない場合、ステップS620の判定が行われる。また、ID送信制御情報の変更を指示する操作が行われた場合、ID管理アプリケーション13は、自身が情報記憶部15に保持しているID送信制御情報を変更する(ステップS615)。例えば、サーバ2へのIDの送信が許可されている場合、サーバ2へのIDの送信を禁止するようにID送信制御情報が変更され、サーバ2へのIDの送信が禁止されている場合、サーバ2へのIDの送信を許可するようにID送信制御情報が変更される。
【0096】
続いて、ID管理アプリケーション13は、広告アプリケーション17a,17bからIDとID送信制御情報の取得が要求されているか否かを判定する(ステップS620)。広告アプリケーション17a,17bからIDとID送信制御情報の取得が要求されていない場合、ステップS600の判定が行われる。また、広告アプリケーション17a,17bからIDとID送信制御情報の取得が要求されている場合、ID管理アプリケーション13は、自身が情報記憶部15に保持しているIDとID送信制御情報を情報記憶部15から読み出し、広告アプリケーション17a,17bにIDとID送信制御情報を通知する(ステップS625)。続いて、ステップS600の判定が行われる。
【0097】
上述したように、本実施形態によれば、広告アプリケーション17a,17bがID管理アプリケーション13からIDを取得することによって、広告アプリケーション17a,17bが同一の識別子を使用することができる。
【0098】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。