(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043635
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】熱源機
(51)【国際特許分類】
F24D 3/00 20060101AFI20161206BHJP
F24H 1/12 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
F24D3/00 B
F24H1/12 B
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-11257(P2013-11257)
(22)【出願日】2013年1月24日
(65)【公開番号】特開2014-142140(P2014-142140A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2016年1月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000129231
【氏名又は名称】株式会社ガスター
(74)【代理人】
【識別番号】100121599
【弁理士】
【氏名又は名称】長石 富夫
(72)【発明者】
【氏名】高城 祐寿
【審査官】
柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−11409(JP,A)
【文献】
特開2001−165504(JP,A)
【文献】
特開昭58−78026(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 3/00
F24H 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼部と、
前記燃焼部によって加熱される第1熱交換器と、
前記燃焼部からの排気の流れで、前記第1熱交換器の下流に配置された第2熱交換器と、
前記第2熱交換器、前記第1熱交換器をこの順に経由した後、外部の放熱部をさらに経由して前記第2熱交換機へ戻るように熱媒体を循環させる循環経路と、
前記循環経路の、前記放熱部から前記第2熱交換器への戻り部分に介装され、前記熱媒体から吸熱して蓄熱する蓄熱ユニットと、
前記蓄熱ユニットに蓄熱されている熱を所定の被加熱体へ移動させる伝熱部と
を有する
ことを特徴とする熱源機。
【請求項2】
前記蓄熱ユニットでは、前記熱媒体から吸熱する際に相変化の生じる蓄熱材が使用される
ことを特徴とする請求項1に記載の熱源機。
【請求項3】
前記被加熱体は給水であり、
前記蓄熱ユニットの前記伝熱部を通って昇温された後の給水を加熱して出湯する給湯部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の熱源機。
【請求項4】
前記放熱部は、暖房用の放熱器である
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の熱源機。
【請求項5】
前記循環経路は、風呂の追い焚き回路であり、
前記熱媒体は浴槽水であり、
前記放熱部は浴槽水の張られた浴槽である
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の熱源機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暖房回路などに熱媒体を循環させる熱源機に関する。
【背景技術】
【0002】
バーナで加熱された空気から主に顕熱を回収する顕熱回収用熱交換器の下流に、排気の潜熱をさらに回収する潜熱回収用熱交換器を設けて熱回収効率を高めるように構成された潜熱回収型の給湯機などの熱源機がある(下記、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−52752号公報
【特許文献2】特許第3559381号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バーナおよび熱交換器で加熱した熱媒体を、放熱器を経由する暖房回路に循環させる方式の熱源機で暖房運転を行う場合、住戸内が設定温度まで暖められて定常運転に入ると暖房負荷が小さくなり、熱源機から放熱器へ向かう暖房往き配管内の熱媒体の温度(往き温度)と、放熱器から熱源機へ戻って来る暖房戻り配管内の熱媒体の温度(戻り温度)との温度差が少なくなる。特に、住宅の断熱性能が向上するに従って暖房負荷は小さくなり、放熱器からの熱媒体の戻り温度が高くなる傾向が見受けられる。たとえば、熱源機から床暖房用の放熱器へ60℃で送り出した熱媒体が熱源機へ50℃で戻って来るといったことが生じる。
【0005】
潜熱回収型の熱源機では、潜熱回収用熱交換器へ流入する熱媒体の温度が高いと、排気から潜熱を効率よく吸収してドレンを多く出すことができないので、前述のように、熱媒体の戻り温度が高くなると、熱源機としての効率が低下してしまう。また、最小燃焼量以下でバーナを燃焼させることはできないので、小さな暖房負荷に対して効率の良い領域で燃焼させることは難しい。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、暖房回路などに循環させる熱媒体の戻り温度が高くても効率の低下を防ぐことのできる熱源機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0008】
[1]燃焼部と、
前記燃焼部によって加熱される第1熱交換器と、
前記燃焼部からの排気の流れで、前記第1熱交換器の下流に配置された第2熱交換器と、
前記第2熱交換器、前記第1熱交換器をこの順に経由した後、外部の放熱部をさらに経由して前記第2熱交換機へ戻るように熱媒体を循環させる循環経路と、
前記循環経路の、前記放熱部から前記第2熱交換器への戻り部分に介装され、前記熱媒体から吸熱して蓄熱する蓄熱ユニットと、
前記蓄熱ユニットに蓄熱されている熱を所定の被加熱体へ移動させる伝熱部と
を有する
ことを特徴とする熱源機。
【0009】
上記発明では、熱媒体を循環させる循環経路のうち、放熱部からの戻り部分に、熱媒体から吸熱して蓄熱する蓄熱ユニットを設けてあるので、放熱部からの熱媒体の戻り温度が高い場合でも、蓄熱ユニットを通る際に熱媒体の温度が低下し、排気の潜熱を主として回収する第2熱交換器での効率が向上する。また、蓄熱ユニットに蓄熱された熱を他の被加熱体(たとえば、給湯用の給水)の加熱に利用するので、熱源機としての総合的な効率を高めることができる。
【0010】
[2]前記蓄熱ユニットでは、前記熱媒体から吸熱する際に相変化の生じる蓄熱材が使用される
ことを特徴とする[1]に記載の熱源機。
【0011】
上記発明では、熱媒体から熱を吸収したことで相変化の生じる蓄熱材を使用するので、熱媒体の温度を、相変化時の蓄熱材の温度(たとえば固体から液体に変化する場合は蓄熱材の溶融温度)に安定的に下げることができる。また、少量の蓄熱材で多くの熱を蓄熱することができる。
【0012】
[3]前記被加熱体は給水であり、
前記蓄熱ユニットの前記伝熱部を通って昇温された後の給水を加熱して出湯する給湯部を有する
ことを特徴とする[1]に記載の熱源機。
【0013】
上記発明では、本熱源機は給水を加熱して出湯する給湯機能を有し、給湯部で加熱する前に蓄熱ユニットで冷たい給水を予備加熱する。
【0014】
[4]前記放熱部は、暖房用の放熱器である
ことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の熱源機。
【0015】
上記発明では、床暖房、浴室暖房、室内暖房などの放熱器が放熱部とされる。このような用途では、熱媒体は60℃程度に加熱され、戻り温度は、暖房負荷が小さい場合には50℃程度になる。このような戻り温度は、排気の潜熱を回収する第2熱交換器での効率が低下する温度領域にあるので、第2熱交換器の手前に設けた蓄熱ユニットで熱媒体の温度を下げることで、第2熱交換器での効率が改善される。
【0016】
[5]前記循環経路は、風呂の追い焚き回路であり、
前記熱媒体は浴槽水であり、
前記放熱部は浴槽水の張られた浴槽である
ことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の熱源機。
【0017】
上記発明では、風呂の追い焚きでは、たとえば、設定温度が42℃程度にされるので、設定温度に近づくと、浴槽からの戻り温度は40℃近くになる。このような戻り温度は、排気の潜熱を回収する第2熱交換器での効率が低下する温度領域にあるので、浴槽から戻ってきた浴槽水の温度を第2熱交換器の手前に設けた蓄熱ユニットで下げることにより、第2熱交換器での効率が改善される。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る熱源機によれば、放熱部からの熱媒体の戻り温度が高い場合でも、潜熱回収用の熱交換器の手前に設けた蓄熱ユニットで熱回収して熱媒体の温度を下げるので、潜熱回収用の熱交換器での効率が改善されると共に、回収した熱を給水など他の被加熱体の加熱に利用するので、熱源機としての総合効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態に係る熱源機の概略の構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る熱源機で使用される蓄熱ユニットの概略構成を示す図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る熱源機で使用される蓄熱材の組成・溶融温度等を示す図でる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態に係る熱源機3の概略の構成を示している。熱源機3は、給水を加熱して出湯する給湯機能、および加熱した熱媒体を暖房回路に循環させる暖房機能を備えている。
【0022】
熱源機3は、燃焼ガスを燃焼させるバーナ4A、4Bと、バーナ4A、4Bへ空気を送り込む燃焼ファン5と、バーナ4Aの上方に設置されてバーナ4Aで加熱された空気から主に顕熱を回収して給水を加熱する第1の顕熱熱交換器6と、バーナ4Aからの空気の流れで第1の顕熱熱交換器6の下流に配置され、主として排気の潜熱を回収して給水を加熱する第1の潜熱熱交換器7を有する。また、バーナ4Bの上方に設置されてバーナ4Bで加熱された空気から主に顕熱を回収し、暖房回路を循環する熱媒体を加熱する第2の顕熱熱交換器8と、バーナ4Bからの空気の流れで第2の顕熱熱交換器8の下流に配置され、主として排気の潜熱を回収して熱媒体を加熱する第2の潜熱熱交換器9を有する。
【0023】
熱源機3の内部にはさらに、上記のバーナ4A、第1の顕熱熱交換器6、第1の潜熱熱交換器7を下からこの順に並べて収めた第1燃焼室11Aと、バーナ4B、第2の顕熱熱交換器8、第2の潜熱熱交換器9を下からこの順に並べて収めた第2燃焼室11Bと、第1燃焼室11Aおよび第2燃焼室11Bの上端に連通した排気筒12を有する。
【0024】
第1の潜熱熱交換器7および第2の潜熱熱交換器9の下方には、排気の潜熱を回収することで生じた酸性の凝縮水を受け止めて回収するための受け皿13A、13Bが設けてある。また、排気筒12の出口近傍の底部には、ドレン回収口14が設けてある。受け皿13A、13Bおよびドレン回収口14で回収された凝縮水は案内管を通じて中和器15に案内され、中和器15を通る間に中和されて排水される。
【0025】
暖房回路においては、第2の顕熱熱交換器8の出側は暖房往き配管21を通じて外部の放熱部2の入り側に接続され、放熱部2の出側は暖房戻り配管22を通じて第2の潜熱熱交換器9の入り側へ接続され、第2の潜熱熱交換器9の出側は、第2の顕熱熱交換器8の入り側へ接続されている。さらに暖房戻り配管22の途中に、蓄熱ユニット23と、循環ポンプ24が介挿されている。
【0026】
循環ポンプ24は、暖房回路内の熱媒体を第2の顕熱熱交換器8の出側から暖房往き配管21を経由して放熱部2の入り側へ流れる方向へ送り出す。ここでは、熱媒体は液体の流体である。
【0027】
蓄熱ユニット23は、熱媒体から熱を吸収して蓄熱する機能を果たす。
【0028】
図2は、蓄熱ユニット23の概略の構成を示している。蓄熱ユニット23は、中空箱状の外箱25と、外箱25を貫通すると共に外箱25の内部で螺旋等に湾曲して配管された管状の伝熱管26と、伝熱管26の周囲を埋めるように外箱25の中に充填された多数の蓄熱カプセル27を備えて構成される。伝熱管26は蓄熱カプセル27に蓄えられた熱を伝熱管26の内部を通る被加熱体(本例では給水)へ移動させる伝熱部としての役割を果たす。
【0029】
外箱25の一端および他端には内部に通じた接続口25a、25bが設けてある。放熱部2の出側から延設された暖房戻り配管22は外箱25の一方の接続口25aに接続され、他方の接続口25bには循環ポンプ24を経て第2の潜熱熱交換器9の入り側へ至る暖房戻り配管22が接続されている。
【0030】
蓄熱カプセル27は、熱媒体に溶けず、熱伝導が良好な材料(たとえば、メラミン樹脂などフッ素系樹脂)で構成された中空の殻(カプセル)の中に、放熱部2から暖房戻り配管22を通じて戻って来る熱媒体の熱を吸収して固体から液体へ相変化の生じる蓄熱材が充填されている。ここでは、熱媒体の戻り温度が35℃〜50℃程度になることを想定し、32℃付近に溶融温度を持った蓄熱材を使用する。蓄熱カプセル27の殻のサイズは、任意でよいが、表面積を増やすために、小粒とすることが望ましい。
【0031】
たとえば、溶融温度が32℃付近の蓄熱材として
図3に示すようなものを使用できる。
【0032】
図1に戻って説明を続ける。給水源からの給水が流入する給水管31は、蓄熱ユニット23の伝熱管26の一端に接続されている。伝熱管26の他端には、入水管32の一端が接続され、入水管32の他端は第1の潜熱熱交換器7の入り側に接続されている。第1の潜熱熱交換器7の出側は第2の顕熱熱交換器8の入り側に配管され、第2の顕熱熱交換器8の出側には給湯管33が接続されている。
【0033】
給水管31の途中には、給水管31を流れる給水の水量を計測する水量センサ34、給水管31を流れる給水の水量を調整するための水量サーボ35などが設けてある。また、入水管32の途中の所定箇所と給湯管33の途中の所定箇所は、第1の潜熱熱交換器7及び第2の顕熱熱交換器8を迂回するためのバイパス管36で接続されており、このバイパス管36を通って入水管32から給湯管33へ迂回させる給水の水量を調整するためのバイパスサーボ37が設けてある。
【0034】
循環ポンプ24を動作させると、熱媒体は、循環ポンプ24から第2の潜熱熱交換器9、第2の顕熱熱交換器8、暖房往き配管21、放熱部2、暖房往き配管21、蓄熱ユニット23の外箱25内を経て循環ポンプ24に戻るように暖房回路の中を循環する。
【0035】
給湯動作では、給水管31から流入する給水は、蓄熱ユニット23の伝熱管26を経た後、入水管32、第1の潜熱熱交換器7、第1の顕熱熱交換器6、給湯管33を通じて図示省略の給湯水栓などから流出される。
【0036】
次に、蓄熱ユニット23の作用を説明する。
【0037】
暖房運転では、バーナ4Bを燃焼させながら循環ポンプ24を動作させる。これにより、暖房回路内の熱媒体は第2の潜熱熱交換器9および第2の顕熱熱交換器8で約60℃に加熱されて放熱部2へ至り、室内を暖房等するための放熱が放熱部2で行われる。室内温度が暖房設定温度に近づくと、放熱部2での放熱量は少なくなり、暖房往き配管21を通じて蓄熱ユニット23へ戻って来る熱媒体の温度(戻り温度)は高くなり、第2の顕熱熱交換器8から放熱部2へ送り出された熱媒体の温度(往き温度)との差が少なくなる。
【0038】
蓄熱ユニット23は、戻り温度の高くなった熱媒体から熱を吸収して蓄熱する。熱媒体は、蓄熱ユニット23の外箱25の中へ接続口25aから流入し、外箱25の中に収められている多数の蓄熱カプセル27の隙間を通って他方の接続口25bから流出する。この際、蓄熱ユニット23の外箱25に充填されている多数の蓄熱カプセル27内の蓄熱材は、溶融温度より低い温度の固体のうちは熱媒体から熱を吸収しつつ温度上昇する。
【0039】
蓄熱材は、溶融温度に達すると、熱媒体から熱を吸収して固体から液体に相変化する。相変化が生じている間は、蓄熱材の温度は溶融温度に維持され、蓄熱ユニット23の外箱25から流出する熱媒体の温度も、蓄熱材の溶融温度とほぼ同一の温度になる。本実施の形態では、蓄熱ユニット23から流出する熱媒体は約32℃付近まで温度低下する。
【0040】
このように、蓄熱ユニット23で熱媒体の熱を吸収して熱媒体の温度を下げるので、その後に通る第2の潜熱熱交換器9において排気の潜熱を効率よく吸収することができる。また、蓄熱ユニット23においては、熱媒体から吸収した熱によって蓄熱材が相変化を起こすので、多くの熱量を効率よく蓄熱することができる。また、相変化中は、蓄熱ユニット23から流出する熱媒体の温度を溶融温度付近に安定的に下げることができる。
【0041】
蓄熱ユニット23に蓄熱された熱は、給水管31から供給される給水を昇温するために利用される。給水管31から供給される給水の温度は15℃程度(冬場はより低温)なので、蓄熱ユニット23の伝熱管26を給水が通る際に、蓄熱材に蓄積されていた熱が給水へ移動して給水が予備加熱される。この際、蓄熱ユニット23の蓄熱材は、溶融温度より高い温度の液体のうちは給水を加熱しながら温度低下する。溶融温度に到達すると、給水へ熱を移動させながら液体から固体へ相変化する。
【0042】
このように、蓄熱ユニット23に蓄熱されている熱で給水を予備加熱するので、給水を設定温度(たとえば40℃)に昇温するために必要なバーナ4Aでの加熱量が少なくなり、少ない燃焼量で設定温度の湯を出すことができる。このとき、第1の潜熱熱交換器7では、給水温が上昇することにより吸熱効果が悪くなるが、第2の潜熱熱交換器9での効率UPが大きいので、トータルで効率が良くなり、省エネルギー化が図られる。
【0043】
以上のように、蓄熱ユニット23で吸熱して熱媒体の温度を下げることで第2の潜熱熱交換器9での効率を向上させると共に、蓄熱ユニット23に蓄積された熱を給水の予備加熱に利用することで給湯時の燃焼量を少なくできるので、熱源機3としての総合的な効率を高めて、省エネルギー化が図られる。
【0044】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0045】
実施の形態では、第1の顕熱熱交換器6と第1の潜熱熱交換器7を設け、給水の加熱についても潜熱を利用する構成としたが、第1の潜熱熱交換器7を設けずに、給水の加熱は第1の顕熱熱交換器6のみを用いて行う構成であってもかまわない。この場合、第1の潜熱熱交換器7での吸熱悪化の影響がないので、第2の潜熱熱交換器9での効率UPの効果をダイレクトに享受できる。少なくとも熱媒体の加熱側が第1の潜熱熱交換器7と第2の顕熱熱交換器8を有する潜熱回収型の熱源機であればよい。
【0046】
また、実施の形態では、蓄熱ユニット23に蓄熱された熱を給水の予備加熱に利用したが、蓄熱された熱の利用形態はこれに限定されるものではない。蓄熱ユニットの熱で加熱される被加熱体は任意でよい。また、被加熱体は液体に限定されず、気体などでもかまわない。蓄熱カプセル27の形状は円形、楕円等、特にどのような形であってもかまわないが、カプセルが割れ難い円形、楕円形等が好ましく、また、割れたときにカプセル内の蓄熱材が給水に混じらないようにカプセル間に暖房回路の熱媒体を接触させ、給水は伝熱管26を通してカプセルに接触させることが好ましい。
【0047】
放熱部2は、床暖房用の放熱器、浴室暖房用の放熱器など任意でよい。また、暖房回路は、熱媒体を浴槽水とし、放熱部2を浴槽水の張られた浴槽とする、風呂の追い焚き回路であってもよい。熱源機から到来する浴槽水は浴槽内の浴槽水と混合され、浴槽内の浴槽水全体を昇温するために使用されるので、浴槽水の張られた浴槽は、熱源機から到来する浴槽水の温度(往き温度)に対して浴槽からの戻り温度を下げる働き、すなわち、放熱部としての役割を果たす。
【0048】
風呂の追い焚き回路においても、浴槽内の浴槽水の温度が設定温度に近づくと、熱源機から浴槽へ送り出した湯の温度(往き温度)と、浴槽からの戻り湯の温度(戻り温度)との温度差が少なくなり、浴槽からの戻り湯を潜熱回収用の熱交換器で加熱する際の効率が低下する。そこで、浴槽からの戻り湯を潜熱回収用の熱交換器の手前に設けた蓄熱ユニット23の外箱25に通してその熱を蓄熱材に吸収させて戻り湯の温度を下げることで、潜熱回収用の熱交換器での効率を向上させる。
【0049】
実施の形態で示した蓄熱材の溶融温度(約32度)は例示であり、第2の潜熱熱交換器9へ流入する時の熱媒体の目標温度(第2の潜熱熱交換器9での熱効率が良好となる温度)や放熱部2からの熱媒体の戻り温度、蓄熱ユニット23に蓄えられた熱で加熱される前の被加熱体の温度、などに応じて適宜に設定すればよい。熱媒体の戻り温度>蓄熱材の溶融温度>蓄熱ユニット23に蓄えられた熱で加熱される前の被加熱体の温度、の関係が成立することが好ましい。
【0050】
なお、蓄熱材は、必ずしも相変化の生じるものでなくてもかまわない。
【符号の説明】
【0051】
2…放熱部
3…熱源機
4A、4B…バーナ
5…燃焼ファン
6…第1の顕熱熱交換器
7…第1の潜熱熱交換器
8…第2の顕熱熱交換器
9…第2の潜熱熱交換器
11A…給湯側の燃焼室
11B…暖房回路側の燃焼室
12…排気筒
13A、13B…受け皿
14…ドレン回収口
15…中和器
21…暖房往き配管
22…暖房戻り配管
23…蓄熱ユニット
24…循環ポンプ
25…外箱
25a、25b…接続口
26…伝熱管
27…蓄熱カプセル
31…給水管
32…入水管
33…給湯管
34…水量センサ
35…水量サーボ
36…バイパス管
37…バイパスサーボ