特許第6043646号(P6043646)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043646
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】無線通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/08 20090101AFI20161206BHJP
   H04M 3/22 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   H04W24/08
   H04M3/22
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-26249(P2013-26249)
(22)【出願日】2013年2月14日
(65)【公開番号】特開2014-155210(P2014-155210A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2016年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】竹内 靖裕
【審査官】 羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】 特開平6−6293(JP,A)
【文献】 特開平7−264660(JP,A)
【文献】 特開2009−290575(JP,A)
【文献】 特開2011−87093(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0194250(US,A1)
【文献】 都道府県・市町村デジタル移動通信システム,ARIB STD-T79 3.0版(第1分冊),2009年 7月29日,P.3-24
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00−99/00
H04M 3/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通話可能な端末局と、前記端末局の無線通話を音声モニタするモニタ装置と、前記モニタ装置が位置登録された第1の基地局と、前記第1の基地局とは別の基地局であって前記端末局が位置登録された第2の基地局と、前記モニタ装置及び端末局の位置登録状態を記憶し通話に使用する基地局及び通信スロットを決定する回線制御装置とを備えた無線通信システムであって、
前記モニタ装置は、操作者からの指示を受け付ける操作部を備え、該操作部を介して、前記第2の基地局の通信スロットを音声モニタの対象であるモニタ対象スロットとする指示を受け付けると、音声モニタを要求することを示すモニタ要求を、前記第1の基地局を介して前記回線制御装置へ送信し、
前記回線制御装置は、前記モニタ要求を受信すると、モニタ用通信スロットとして前記第1の基地局の通信スロットを決定し、前記第2の基地局のモニタ対象スロットの音声データを、前記第1の基地局のモニタ用通信スロットに複製し、
前記モニタ装置は、前記第1の基地局のモニタ用通信スロットを受信して、該モニタ用通信スロットに複製された前記第2の基地局のモニタ対象スロットの音声データを、音声信号として出力することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載された無線通信システムであって、
前記回線制御装置は、前記モニタ装置からの前記モニタ要求を受信すると、前記第2の基地局の複数の通信スロットのそれぞれについて音声通話中であるか否かを示す通信スロット使用状況を、前記第1の基地局を介して前記モニタ装置へ送信し、
前記モニタ装置は、更に表示部を備え、前記通信スロット使用状況を受信すると該通信スロット使用状況を前記表示部に表示し、該表示した通信スロットのうち1つを選択する選択指示を前記操作部を介して受け付けると、該選択された通信スロットを前記モニタ対象スロットとするモニタ対象スロット特定情報を、前記第1の基地局を介して前記回線制御装置へ送信し、
前記回線制御装置は、前記モニタ対象スロット特定情報を受信すると、該モニタ対象スロット特定情報で特定される前記第2の基地局のモニタ対象スロットの音声データを、前記第1の基地局のモニタ用通信スロットに複製することを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された無線通信システムであって、
前記第2の基地局のモニタ対象スロットの音声データは、前記第2の基地局の下り方向のデータ又は上り方向のデータのいずれか一方であることを特徴とする無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムにおいて通話内容をモニタする技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の無線通信システム、例えば防災無線システムにおいて音声通話をモニタする例について、図1を用いて説明する。図1に示すように、この防災無線システムは、主として、統制局10と基地局30と端末局60とから構成される。端末局60は、固定端末局や移動端末局を含み、複数設けることができる。統制局10と基地局30は、有線やマイクロ波回線等で接続される。基地局30と端末局60は、例えば260MHzのデジタル無線で接続される。
【0003】
このような防災無線システムの基地局30において、例えば、基地局30の検査や異常確認等の保守目的のために、基地局30を介して行われる端末局60同士の音声通話を、基地局30の近くに設置したモニタ装置にてモニタすることが行われる。例えば、通話音声の品質が劣化する不具合が発生した場合、どこで劣化しているのか(基地局で劣化しているのか否か)を判断するために、基地局30から送信される音声通話のモニタが行われる。
【0004】
従来は、上述したように、基地局30の近くにモニタ装置を設置し、該モニタ装置において、基地局30から送信される電波を傍受していた。しかしながら、このような従来の通話モニタ方法では、モニタ装置から遠い位置にある他の基地局30を介して行われる音声通話をモニタすることはできなかった。
【0005】
下記の特許文献1には、基地局に複数の半固定無線機が無線で接続され、統制局と基地局との接続が遮断されると、半固定無線機の1つが他の半固定無線機の通話をモニタすることのできる無線通信システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−87093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を解決し、モニタ装置から遠い位置にある基地局を介して行われる音声通話をモニタすることのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための、本願発明の代表的な構成は、次のとおりである。すなわち、
無線通話可能な端末局と、前記端末局の無線通話を音声モニタするモニタ装置と、前記モニタ装置が位置登録された第1の基地局と、前記第1の基地局とは別の基地局であって前記端末局が位置登録された第2の基地局と、前記モニタ装置及び端末局の位置登録状態を記憶し通話に使用する基地局及び通信スロットを決定する回線制御装置とを備えた無線通信システムであって、
前記モニタ装置は、操作者からの指示を受け付ける操作部を備え、該操作部を介して、前記第2の基地局の通信スロットを音声モニタの対象であるモニタ対象スロットとする指示を受け付けると、音声モニタを要求することを示すモニタ要求を、前記第1の基地局を介して前記回線制御装置へ送信し、
前記回線制御装置は、前記モニタ要求を受信すると、モニタ用通信スロットとして前記第1の基地局の通信スロットを決定し、前記第2の基地局のモニタ対象スロットの音声データを、前記第1の基地局のモニタ用通信スロットに複製し、
前記モニタ装置は、前記第1の基地局のモニタ用通信スロットを受信して、該モニタ用通信スロットに複製された前記第2の基地局のモニタ対象スロットの音声データを、音声信号として出力することを特徴とする無線通信システム。
【発明の効果】
【0009】
本願発明によれば、モニタ装置から遠い位置にある基地局を介して行われる音声通話をモニタすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態における無線通信システムの構成図である。
図2】本発明の実施形態における端末局の構成図である。
図3】本発明の実施形態におけるモニタ装置の構成図である。
図4】本発明の第1実施例における無線通信システムの構成図である。
図5】本発明の第1実施例における音声モニタシーケンスである。
図6】本発明の第2実施例における無線通信システムの構成図である。
図7】本発明の第2実施例における音声モニタシーケンスである。
図8】本発明の実施形態における無線キャリア周波数割当ての一例である。
図9】本発明の実施形態におけるフレーム構成を示す図である。
図10】本発明の実施形態における通信チャネルフォーマットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(無線通信システムの構成)
本発明の実施形態の一例である無線通信システムの構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態における無線通信システムの構成を示す図である。なお、前述の背景技術の説明において図1を用いたが、音声通話モニタ機能に関する事項以外は、本発明の実施形態の構成は、背景技術の構成と同様である。背景技術で既に説明したものについては適宜説明を省略する。
【0012】
図1の無線通信システムは、例えば、標準規格ARIB STD−T79(Association of Radio Industries and Businesses−T79)の「都道府県・市町村デジタル移動通信システム」、あるいは「市町村デジタル移動通信システム」で定められているデジタル無線システムである。このデジタル無線システムは、基地局を経由した端末局間の通信接続サービス等が行なわれるように構成されている。
【0013】
標準規格ARIB STD−T79で定められているデジタル無線技術を用いたデジタル無線システムで使用が許可されている無線キャリア(carrier)周波数割当ての一例を図8に示す。図8において、例えば、上り方向、即ち、端末局→基地局の方向では、約260MHz〜266MHzの無線キャリアfで、25kHz幅で、複数波(f1、f2、・・・)が認められている。また、下り方向、即ち、基地局→端末局の方向では、上り方向の260MHzから9MHz離れた約269MHz〜275MHzの無線キャリアFで、25kHz幅で、複数波(F1、F2、・・・)が認められている。従って、デジタル無線システムの通信においては、上り方向f1、f2、・・・、下り方向F1、F2、・・・の各周波数が使用される。そして、各システムは、その規模に応じて1又は複数の無線キャリアを使用することができる。
【0014】
更に、各無線キャリアは、図9に示すようなフレームに分割され、さらにフレームを4つの通信スロット(以下、単にスロットともいう。)に分けられた後、そのスロットに制御チャネルCと通信チャネルS1、S2、S3が割り当てられている。なお、通信チャネルS1、S2、S3を代表する場合は、通信チャネル(または通話チャネル、あるいは無線通話チャネルともいう。)Sと称する。ここで、1フレームは、例えば、40ms、1スロットは、10msである。制御チャネルCは、無線回線の接続制御を行うチャネルであり、通信チャネルSは、通話やデータ通信を行うチャネルである。なお、図9は、一例を示すもので、システムの規模、使用目的に応じて上り下りのペア波の数、制御チャネル、通信チャネルの数等を適宜変更することができる。
【0015】
図10は、標準規格ARIB STD−T79で定められている通信チャネルの信号フォーマットである。図中の数字は、ビット数を示す。通信チャネルを構成する全320ビットのうち、2か所に分かれて配置されているTCH(トラヒックチャネル)計256ビットにより、通話音声データが伝送される。
【0016】
図1の説明に戻る。図1に示すように、本実施形態の無線通信システムは、主として、統制局10と、基地局30と、端末局60と、音声モニタ装置(以下、単にモニタ装置ともいう。)40とを備える。端末局60は、例えば、位置が固定された固定端末局や移動可能な移動端末局である。統制局10と基地局30は、本例では有線接続しているが、マイクロ波回線を介して接続してもよい。基地局30と端末局60間、及び基地局30とモニタ装置40間は、例えば260MHzのデジタル無線により無線通信可能なように接続される。図1では端末局60やモニタ装置40は、1つだけ示されているが、それぞれ、2つ以上であってもよい。端末局60は、基地局30を介して他の端末局60と無線通話可能である。また、図1では基地局30は、1つだけ示されているが、本実施形態では2つ以上存在する。
【0017】
(統制局)
統制局10は、統制台12とファクシミリ13と統制局制御装置(LCU)20を備え、統制局制御装置20には、統制台12とファクシミリ13とが接続される。
統制台12は、マイク12aやスピーカ12bを備え、端末局60同士の通話等の他通話のモニタ、割込み、強制切断が可能な統制機能を有し、また、電話機としての通話機能を有する有線端末局である。統制台12は、基地局30を介して端末局60と無線通話可能である。統制台12は、電話機として機能する場合は、マイク12aから入力された音声信号が統制台12外の他の電話機へ送信され、他の電話機から受信した音声信号がスピーカ12bから音声出力される。
【0018】
統制局制御装置20は、回線制御部21、記憶部23を備え、統制局10を構成する各構成部や、統制局10全体を制御する。
回線制御部21は、本無線通信システムにおける呼制御を行い管理するもので、統制台12や端末局60等から呼接続するための通信要求が発信された場合に、該通信要求の発信元から受信した発信元ID情報(発信元の端末局を識別する情報)及び着信先ID情報(着信先の端末局を識別する情報)とに基づき、本無線通信システムにおける音声データの経路、つまり、通話に使用する基地局30や通信スロットを決定し管理する。
【0019】
記憶部23は、通信要求の発信元ID情報及び着信先ID情報に対応付けて、音声データの経路を記憶する。また、記憶部23は、端末局60と該端末局60が接続されている基地局30とを対応付けて記憶する、つまり、端末局60の位置を登録する。
【0020】
また、統制局制御装置20には、中継交換機15が接続される。中継交換機15には、内線電話機16とファクシミリ17が接続される。内線電話機16のマイクから入力された音声信号が他の電話機へ送信され、他の電話機から受信した音声信号が内線電話機16のスピーカから音声出力される。
【0021】
(基地局)
基地局30は、制御部31と無線部32とインタフェース(IF)部33とを備える。無線部32は、端末局60との間で無線通信を行うもので、そのためのアンテナ32aを有している。IF部33は、統制局10の回線制御部21との間で通信するためのインタフェースである。制御部31は、基地局30を構成する各構成部や、基地局30全体を制御する。
【0022】
(端末局)
図2は、本発明の実施形態における端末局の構成図である。図2に示すように、端末局60は、制御部61と無線部62と記憶部63と操作表示部64とマイク65とスピーカ66を備え、電話機として機能する。無線部62には、基地局30と無線通信を行うためのアンテナ62aが接続される。制御部61は、端末局60を構成する各構成部や、端末局60全体を制御する。
制御部61は、マイク65から入力された音声信号を、無線部62から無線送信させる。また、他の電話機から無線受信した音声信号をスピーカ66から音声出力させる。
【0023】
(モニタ装置)
図3は、本発明の実施形態におけるモニタ装置の構成図である。モニタ装置40は、基地局30を介する無線通話をモニタ、つまり通話音声の監視や傍受を行う音声モニタ無線機である。図3に示すように、モニタ装置40は、制御部41と無線部42と記憶部43と操作部44と表示部45とスピーカ46とを備える。無線部42には、基地局30と無線通信を行うためのアンテナ42aが接続される。なお、モニタ装置40のハードウェア構成は図2に示した端末局60と同様であってもよい。
【0024】
操作部44は、操作者からの指示や各種データ入力を受け付ける。表示部45は、各種データを表示する。例えば、操作部44は、ある通話チャネルをモニタするための指示を受け付ける。具体的には、例えば、モニタ対象設定指示として、モニタ対象の基地局30の基地局番号と通信スロット番号を指示するための入力を受け付けた後、モニタ開始の実行指示を受け付ける。基地局番号は、基地局30を特定するための基地局ID(識別)情報である。通信スロット番号は、当該基地局30の通信スロットを特定するための通信スロット特定情報である。基地局番号と通信スロット番号を指示するための入力は、基地局番号と通信スロット番号そのものを直接的に入力するものであってもよいし、各基地局30毎に通信スロット番号を表示部45に表示しておき、その中から選択するようにしてもよい。
【0025】
記憶部43は、当該モニタ装置40が接続されている基地局30、つまり当該モニタ装置40が位置登録されている基地局30の基地局番号を記憶している。
また、記憶部43は、当該無線通信システムを構成する各基地局30が無線通話に使用する下り通信周波数と下り通信スロット番号を、各基地局30に対応付けて記憶している。例えば、基地局30(1)については、下り通信周波数がF1で下り通信スロット番号がNo.1〜No.4であることを、基地局30(1)の基地局番号と対応付けて記憶し、基地局30(2)については、下り通信周波数がF2で下り通信スロット番号がNo.1〜No.4であることを、基地局30(2)の基地局番号と対応付けて記憶している。これらの通信周波数と通信スロット番号は、例えば操作表示部44を介して予め操作者から設定されている。
【0026】
制御部41は、モニタ装置40を構成する各構成部や、モニタ部40全体を制御する。
また、制御部41は、当該モニタ装置40が位置登録されている基地局30の基地局番号を記憶部43から読み出し、表示部45に適宜表示するよう制御する。
また、制御部41は、操作者により操作部44から入力されたモニタ対象設定の指示を読み込んで、該モニタ対象設定指示で指定された基地局30及び通信スロット番号の通話内容を、当該モニタ装置40が位置登録されている基地局30から受信し、スピーカ46から音声出力するよう制御する。上記モニタ対象設定指示には、前述したように、例えばモニタ対象の基地局番号と通信スロット番号とが含まれる。
【0027】
制御部41は、上記操作部44から入力されたモニタ対象の基地局30(基地局Bとする。)の基地局番号が、当該モニタ装置40が位置登録されている基地局30(基地局Aとする。)の基地局番号であるか否かを照合、つまり、記憶部43に記憶している位置登録された基地局Aの基地局番号であるか否かを照合し、基地局Aの基地局番号である場合は、記憶部43に記憶している基地局Aの下り通信周波数に無線部42の受信周波数を合わせ、上記モニタ対象として指定された通信スロット番号の通話データをスピーカ46から音声出力するよう制御する。
【0028】
また、制御部41は、上記操作部44から入力されたモニタ対象の基地局30(基地局B)の基地局番号が、当該モニタ装置40が位置登録されている基地局Aの基地局番号でない場合は、基地局Aを介して統制局制御装置20の回線制御部21との間で通信を確立し、モニタ対象の基地局Bの基地局番号と通信スロット番号とを、基地局Aを介して回線制御部21へ送信する。そうすると、回線制御部21が、モニタ対象の基地局Bの通信スロット番号の通話データを、基地局Aの下り通話チャネルに複製して送信してくるので、制御部41は、記憶部43に記憶している基地局Aの下り通信周波数に無線部42の受信周波数を合わせ、この通話データを受信しスピーカ46から音声出力するよう制御する。
【0029】
詳しく説明すると、制御部41は、モニタ対象に指定された基地局30の基地局番号が基地局Aの基地局番号でない場合は、例えば、発信元ID情報に当該モニタ装置40のID情報(当該モニタ装置40を識別する情報)を指定し、着信先ID情報に回線制御部21を指定した呼接続するための通信要求を、音声モニタを要求することを示すモニタ要求として回線制御部21へ送信する。あるいは、制御部41は、モニタ要求であることを示す通信種別を含む通信要求を送信する。このようなモニタ要求は、端末局60が他の端末局60へ呼接続するための通信要求を行う場合と同様の手順で行われる。
【0030】
このモニタ要求を基地局Aを介して受信すると、回線制御部21は、発信元ID情報や着信先ID情報、あるいは通信種別に基づき、モニタ装置40からのモニタ要求であることを認識する。そうすると、回線制御部21は、基地局Aの通信チャネル(通信スロット)の1つを使用し、モニタ装置40と回線制御部21との間を、例えば、基地局Aを介した単信通信による通信状態にする。単信通信とは、同時に片方向通信しかできない通信方式である。このとき、回線制御部21は、該使用する通信チャネルを、モニタ装置40へ通知する。
【0031】
モニタ装置40と回線制御部21の間で通信状態になると、モニタ装置40の制御部41は、モニタ対象である基地局Bの基地局番号と通信スロット番号とを、基地局Aの通信チャネルを使用し、回線制御部21へ送信する。そうすると、回線制御部21は、モニタ装置40から受信した基地局Bの基地局番号と通信スロット番号で特定されるモニタ対象スロットの通話データを複製して、基地局Aの通信チャネル(通信スロット)をモニタ用通信スロットとして使用し、モニタ装置40へ送信する。なお、上記複製する通話データは、基地局Bのモニタ対象スロットのデータのうち、データ部分(図10のTCH)のみでかまわない。仮に同期ワード(図10のSW)を複製してモニタ装置40へ送信すると、モニタ装置40は基地局Aと同期をとれなくなるおそれがある。
モニタ装置40は、基地局Aを介して回線制御部21から送信された基地局Bの通話データを受信すると、スピーカ46から音声出力するよう制御する。
【0032】
(第1実施例:モニタ対象の基地局にモニタ装置が位置登録されている場合)
モニタ対象の基地局にモニタ装置が位置登録されている場合の音声モニタシーケンスについて、図4図5を用いて説明する。図4は、本発明の第1実施例における無線通信システムの構成図である。図5は、本発明の第1実施例における音声モニタシーケンスである。
【0033】
図4に示すように、第1実施例においては、001市の基地局001と、002市の基地局002と、003市の基地局003とが、統制局制御装置20に接続されている。基地局001と基地局002と基地局003は、それぞれ、異なる周波数の電波を用いている。図4では、各基地局の通信スロットを示す。そして、モニタ装置40が基地局001に位置登録されており、また、基地局001に位置登録されている端末局60(1)と基地局002に位置登録されている端末局60(2)とが、基地局001と統制局制御装置20と基地局002を介して通話中である。この通話において、基地局001は通信スロットとしてNo.1を用い、基地局002は通信スロットとしてNo.3を用いている。
【0034】
この通話中状態において、モニタ装置40で、モニタ対象として基地局001の市町村コード、基地局001の基地局番号、通信スロット番号を指定する(図4のS41)。例えば、001市の市町村コード001、基地局001の基地局番号001、通信スロット番号No.1を指定する。
すると、モニタ対象である基地局の市町村コードと基地局番号が、モニタ装置40が位置登録されている基地局001の市町村コードと基地局番号と同一なので、モニタ装置40は、無線部42の受信周波数を基地局001の下り通信周波数に合わせ、受信スロットを通信スロット番号No.1に合わせて、基地局001からの送信データを受信し、該受信したデータをデコード(復号化)して、スピーカ46から音声出力する(図4のS42)。
なお、基地局番号だけで各基地局を識別できる場合は、市町村コードの使用を省略することが可能である。
【0035】
図5を用いて、第1実施例の音声モニタシーケンスを詳しく説明する。図5においては、市町村コードの使用を省略している。
図5に示すように、端末局60が基地局Aに位置登録される、つまり、端末局60が基地局Aに位置登録状態であることが、統制局制御装置20内の回線制御部21の記憶部23に記憶される(図5のステップS1)。また、モニタ装置40が基地局Aに位置登録される、つまり、モニタ装置40が基地局Aに位置登録状態であることが、回線制御部21の記憶部23に記憶される(ステップS2)。また、端末局60が、基地局Aの通信スロット番号No.1を用いて、例えば他の基地局30傘下の端末局60と通話中であるとする(ステップS3)。
【0036】
以上の状態において、モニタ装置40の操作者が、モニタ装置40の操作部44から、モニタ対象の基地局30(基地局A)を指定する。具体的には、基地局Aの基地局番号を入力する(ステップS11)。次に、操作者が、操作部44から、基地局Aの各通信スロットの使用状況、つまり、基地局Aの各通信スロットが通話中であるか否かを問い合わせる指示を入力する(ステップS12)。
【0037】
すると、モニタ装置40の制御部41は、モニタ対象の基地局30が、モニタ装置40が位置登録されている基地局30と同一か否かを判断する。具体的には、操作部44から入力されたモニタ対象の基地局番号と、位置登録されている基地局Aの基地局番号とが同一か否かを判断する(ステップS13)。
モニタ対象の基地局番号と、位置登録されている基地局Aの基地局番号とが同一でない場合は(ステップS14でNo)、後述する第2実施例のステップS115へ遷移する。
【0038】
モニタ対象の基地局番号と、位置登録されている基地局Aの基地局番号とが同一である場合は(ステップS14でYes)、モニタ装置40の制御部41は、位置登録されている基地局Aからの各通信スロットの信号を受信して、各通信スロットの使用状況を確認する(ステップS15)。具体的には、モニタ装置40の無線部42の受信周波数を、基地局Aの送信周波数(下り通信周波数)に合わせ、基地局Aの各通信スロットの信号を受信する。各通信スロットのTCH(図10参照)に音声データが存在する場合は、その通信スロットは使用中であると判断し、音声データが存在しない場合は、その通信スロットは使用中でないと判断する。
【0039】
そして、モニタ装置40の制御部41は、基地局Aの各通信スロットの使用状況を、表示部45に表示する(ステップS16)。例えば、各通信スロットの状況を表示部に文字表示してもよいし、各通信スロットに対応して設けられたLEDを、使用中の場合は点灯し、使用中でない場合は消灯するようにしてもよい。
【0040】
各通信スロットの使用状況が表示された状態において、モニタ装置40の操作者が、操作部44から、モニタ対象の通信スロットを選択、例えば、通信スロットNo.1を選択して指定し、モニタ開始指示を入力する(ステップS17)。
すると、制御部41は、指定された通信スロットNo.1を受信するように、無線部42の受信機を設定し(ステップS18)、受信した通信スロットNo.1のデータをデコードして音声出力する(ステップS19)。
【0041】
(第2実施例:モニタ対象の基地局にモニタ装置が登録されていない場合)
次に、モニタ対象の基地局にモニタ装置が登録されていない場合の音声モニタシーケンスについて、図6図7を用いて説明する。図6は、本発明の第2実施例における無線通信システムの構成図である。図7は、本発明の第2実施例における音声モニタシーケンスである。
【0042】
図6に示すように、第2実施例においても、001市の基地局001と、002市の基地局002と、003市の基地局003とが、統制局制御装置20に接続されている。基地局001と基地局002と基地局003は、それぞれ、異なる周波数を用いている。図6では、各基地局の通信スロットを示す。そして、モニタ装置40が基地局001に位置登録されており、基地局002に位置登録されている端末局60(1)と基地局003に位置登録されている端末局60(2)とが、基地局002と統制局制御装置20と基地局003を介して通話中である。この通話において、基地局002は通信スロットとしてNo.3を用い、基地局003は通信スロットとしてNo.2を用いている。
【0043】
この通話中状態において、モニタ装置40で、モニタ対象である基地局002の市町村コード、基地局002の基地局番号、通信スロット番号を指定する(図6のS61)。例えば、002市の市町村コード002、基地局002の基地局番号002、通信スロット番号No.3を指定する。
すると、モニタ対象である基地局002の市町村コード(002)及び基地局番号(002)が、モニタ装置40が位置登録されている基地局001の市町村コード(001)及び基地局番号(001)と異なるので、モニタ装置40は、統制局制御装置20に対して、音声モニタを要求するモニタ要求を行う(図6のS62)。そうすると、統制局制御装置20は、基地局001の通信スロットを、モニタ用通信スロットとして確保する。例えば、モニタ用通信スロットとして基地局001の通信スロットNo.2を確保する。
【0044】
すると、モニタ装置40は、上記確保された基地局001のモニタ用通信スロットを使用し、モニタ対象である基地局Bの市町村コード(002)、基地局番号(002)、通信スロット番号No.3を、統制局制御装置20へ送信する(図6のS63)。
【0045】
統制局制御装置20は、モニタ装置40から受信した基地局002の市町村コード、基地局番号、通信スロット番号に基づき、該基地局002の通信スロット番号No.3で通信中のデータを、統制局制御装置20とモニタ装置40が通信中である基地局001の通信スロット、つまりモニタ用通信スロットNo.2に複製する。この複製データを、基地局001はモニタ装置40へ送信する(図6のS64)。
【0046】
モニタ装置40は、無線部42の受信周波数を基地局001の通信周波数に合わせ、受信スロットをモニタ用通信スロット番号No.2に合わせて、基地局001からの送信データを受信し、該受信したデータをデコードして、スピーカ46から音声出力する。
なお、第2実施例においても、基地局番号だけで各基地局を識別できる場合は、市町村コードの使用を省略することが可能である。
【0047】
図7を用いて、第2実施例の音声モニタシーケンスを詳しく説明する。図7においては、市町村コードの使用を省略している。
図7に示すように、端末局60が基地局Bに位置登録される、つまり、端末局60が基地局Bに位置登録状態であることが、統制局制御装置20内の回線制御部21の記憶部23に記憶される(図7のステップS101)。また、モニタ装置40が基地局Aに位置登録される、つまり、モニタ装置40が基地局Aに位置登録状態であることが、回線制御部21の記憶部23に記憶される(ステップS102)。また、端末局60が、基地局Bと回線制御部21を介して、例えば他の基地局30傘下の端末局60と通話中であるとする(ステップS103)。
【0048】
以上の状態において、モニタ装置40の操作者が、モニタ装置40の操作部44から、モニタ対象の基地局30(基地局B)を指定する。具体的には、基地局Bの基地局番号を入力する(ステップS111)。次に、操作者が、操作部44から、基地局Bの各通信スロットの使用状況を問い合わせる指示を入力する(ステップS112)。
【0049】
すると、モニタ装置40の制御部41は、モニタ対象の基地局Bが、モニタ装置40が位置登録されている基地局Aと同一か否かを判断する。具体的には、操作部44から入力されたモニタ対象の基地局Bの基地局番号と、位置登録されている基地局Aの基地局番号とが同一か否かを判断する(ステップS113)。
モニタ対象の基地局番号と、位置登録されている基地局Aの基地局番号とが同一である場合は(ステップS114でYes)、前述した第1実施例のステップS15へ遷移する。
【0050】
モニタ対象の基地局番号と、位置登録されている基地局Aの基地局番号とが同一でない場合は(ステップS114でNo)、モニタ装置40は、回線制御部21に対して音声モニタを要求するモニタ要求を送信する(ステップS115)。具体的には、発信元ID情報を当該モニタ装置40とし、着信先ID情報を特番である「999」とし、基地局Aを介して回線制御部21へ送信し呼接続を要求する。特番「999」は、回線制御部21を呼び出すための呼出番号である。
【0051】
特番「999」を受信すると、回線制御部21は、発信元のモニタ装置40からのモニタ要求であると判断し(ステップS116)、発信元のモニタ装置40との間で、単信通信を確立する。このとき、この単信通信に使用するモニタ用通信スロットを割付け決定する。例えば、モニタ用通信スロットとして、基地局AのスロットNo.2を割付する。この単信通信の確立は、例えば標準規格ARIB STD−T79 4.7.1.1.1で定められているグループ発信時と同様のシーケンスとなる。そして、回線制御部21は、上記割付られた基地局AのスロットNo.2(モニタ用通信スロット)を用いて、モニタ用通信スロットを特定するモニタ用スロット特定情報を、モニタ装置40へ通知する(ステップS117)。例えば、基地局AのスロットNo.2がモニタ用通信スロットであることを、モニタ装置40へ通知する。
【0052】
回線制御部21からモニタ用スロット割付通知を受信すると、モニタ装置40は、上記割付られた基地局Aのモニタ用スロットを用いて、モニタ対象の基地局Bの基地局番号(002)を、モニタ対象基地局通知として回線制御部21へ通知する(ステップS118)。すると、回線制御部21は、モニタ対象が基地局Bであることを認識し、基地局Bの各通信スロットの使用状況、つまり基地局Bの各通信スロットが使用中であるか否かを確認する(ステップS119)。そして、回線制御部21は、基地局Aのモニタ用通信スロットNo.2を用いて、基地局Bの各通信スロットの使用状況を、モニタ装置40へ通知する(ステップS120)。
【0053】
基地局Bの各通信スロットの使用状況を回線制御部21から受信すると、モニタ装置40の制御部41は、基地局Bの各通信スロットの使用状況を、表示部45に表示する(ステップS121)。例えば、各通信スロットの状況を表示部に文字表示してもよいし、基地局Bの各通信スロットのそれぞれに対応して設けられたLEDを、使用中の場合は点灯し、使用中でない場合は消灯してもよい。
【0054】
基地局Bの各通信スロットの使用状況が表示された状態において、モニタ装置40の操作者が、操作部44から、モニタ対象の通信スロット(モニタ対象スロット)を選択、例えば、通信スロットNo.3を選択して指定し、モニタ開始指示を入力する(ステップS122)。
すると、制御部41は、指定された通信スロットNo.3がモニタ対象の通信スロットであることを、基地局Aのモニタ用通信スロットを用いて、回線制御部21へ通知する(ステップS123)。
【0055】
回線制御部21は、モニタ装置40から受信したモニタ対象スロット(基地局Bの通信スロット番号No.3)に基づき、基地局Bの通信スロット番号No.3で通信中のデータを、回線制御部21とモニタ装置40が通信中である基地局Aのモニタ用通信スロットNo.2に複製する(ステップS124)。こうして、基地局Bの通信スロット番号No.3(モニタ対象スロット)で通信中のデータを、基地局Aを介してモニタ装置40へ送信する(ステップS125)。
【0056】
モニタ装置40は、基地局Aからの送信データを受信し、該受信したデータをデコードして、スピーカ46から音声出力する(ステップS126)。
【0057】
なお、第2実施例では、回線制御部21からモニタ装置40へ、基地局Aのモニタ用スロット割付を通知した後、モニタ装置40から回線制御部21へ、モニタ対象の基地局Bを通知し、その後、回線制御部21からモニタ装置40へ、基地局Bの各通信スロットの使用状況を通知し、その後、モニタ装置40から回線制御部21へ、モニタ対象の基地局Bの通信スロットを通知するように構成した。しかし、回線制御部21からモニタ装置40へ、基地局Aのモニタ用スロット割付を通知した後、モニタ装置40から回線制御部21へ、モニタ対象の基地局Bと通信スロットとを同時に通知するように構成することも可能である。この場合、回線制御部21からモニタ装置40への基地局Bの各通信スロットの使用状況の通知は行わない。
【0058】
本実施形態によれば、少なくとも次の効果を得ることができる。
(1)モニタ対象の基地局の通信スロットをモニタ装置で指定できるので、保守員等の操作者が、統制局制御装置の回線制御部に接続されている任意の基地局の通信スロットをモニタすることができる。
(2)モニタ装置で指定されたモニタ対象の基地局(基地局B)が、モニタ装置が位置登録されている基地局(基地局A)でない場合は、回線制御部とモニタ装置との間で、基地局Aを介して通信を確立し、モニタ対象の基地局と通信スロットをモニタ装置から回線制御部へ通知し、回線制御部がモニタ対象の基地局Bの通信スロットの内容を、基地局Aの通信スロットに複製するので、モニタ装置が位置登録されていない基地局Bの通信スロットをモニタすることができる。
(3)モニタ対象の基地局の各通信スロットの使用状況をモニタ装置の表示部に表示するよう構成したので、表示された各通信スロットのうち、使用中(通話中)の通信スロットを選択することが容易にできる。
【0059】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々変形、組み合わせて実施することができる。
例えば、上述の実施形態では、モニタ対象の基地局にモニタ装置が位置登録されていない場合(第2実施例)において、モニタ装置と回線制御部との間で単信通信状態にし、該単信通信状態において、モニタ対象の基地局や通信スロットをモニタ装置から回線制御部へ通知し、モニタ用通信スロットを回線制御部からモニタ装置へ通知するように構成したが、単信通信に限られるものではなく、同時に双方向通信が可能な複信通信を用いる構成とすることもできる。
【0060】
また、上述の実施形態では、モニタ装置が位置登録されていない基地局(基地局B)の通信スロットを、モニタ装置が位置登録されている基地局(基地局A)の通信スロットを使用してモニタするように構成したが、基地局Bの上り通信スロットと下り通信スロットの一方をモニタするように構成することもできる。基地局30の検査や異常確認等の保守目的のためには、基地局の上り通信スロットと下り通信スロットのいずれか一方をモニタすることで足りる場合が多い。
【0061】
また、上述の実施形態では、モニタ対象の基地局の各通信スロットの使用状況をモニタ装置の表示部に表示しておき、該表示された各通信スロットのなかから、モニタ対象の通信スロットを選択する構成としたが、モニタ対象の基地局の各通信スロットの使用状況を表示することなく、モニタ対象の基地局の通信スロットを指定する構成とすることもできる。この場合、モニタ装置の表示部は必ずしも必要ではない。
【0062】
また、上述の実施形態では、回線制御部を統制局制御装置内に設ける構成としたが、回線制御部を回線制御装置として、統制局外に設ける構成とすることも可能である。
また、上述の実施形態では、001市の基地局001と、002市の基地局002と、003市の基地局003とが、統制局制御装置に接続される構成としたが、基地局001と、基地局002と、基地局003が、同じ市に属する構成であってもよい。また、基地局001と基地局002とが001市に属し、基地局003が003市に属する構成であってもよい。
【0063】
また、本発明は、本発明に係る処理を実行するシステムや装置としてだけでなく、方法として、或いは、このような方法やシステムを実現するためのプログラムや当該プログラムを記録する記録媒体などとして把握することができる。
また、本発明は、CPUがメモリに格納された制御プログラムを実行することにより制御する構成としてもよく、また、ハードウエア回路として構成してもよい。例えば、上述した回線制御部21や基地局制御部31やモニタ装置制御部41や端末局制御部61等の各構成部は、それぞれ、CPU(Central Processing Unit)と各構成部の動作プログラム等を格納するメモリを備え、それぞれのCPUは、その動作プログラムに従って動作するよう構成してもよく、あるいは、CPUを用いないハードウエア回路として構成してもよい。
【0064】
本明細書には、少なくとも次の構成が含まれる。すなわち、
第1の構成は、
無線通話可能な端末局と、前記端末局の無線通話を音声モニタするモニタ装置と、前記モニタ装置が位置登録された第1の基地局と、前記第1の基地局とは別の基地局であって前記端末局が位置登録された第2の基地局と、前記モニタ装置及び端末局の位置登録状態を記憶し通話に使用する基地局及び通信スロットを決定する回線制御装置とを備えた無線通信システムであって、
前記モニタ装置は、操作者からの指示を受け付ける操作部を備え、該操作部を介して、前記第2の基地局の通信スロットを音声モニタの対象であるモニタ対象スロットとする指示を受け付けると、音声モニタを要求することを示すモニタ要求を、前記第1の基地局を介して前記回線制御装置へ送信し、
前記回線制御装置は、前記モニタ要求を受信すると、モニタ用通信スロットとして前記第1の基地局の通信スロットを決定し、前記第2の基地局のモニタ対象スロットの音声データを、前記第1の基地局のモニタ用通信スロットに複製し、
前記モニタ装置は、前記第1の基地局のモニタ用通信スロットを受信して、該モニタ用通信スロットに複製された前記第2の基地局のモニタ対象スロットの音声データを、音声信号として出力することを特徴とする無線通信システム。
【0065】
第2の構成は、前記第1の構成の無線通信システムであって、
前記回線制御装置は、前記モニタ装置からの前記モニタ要求を受信すると、前記第2の基地局の複数の通信スロットのそれぞれについて音声通話中であるか否かを示す通信スロット使用状況を、前記第1の基地局を介して前記モニタ装置へ送信し、
前記モニタ装置は、更に表示部を備え、前記通信スロット使用状況を受信すると該通信スロット使用状況を前記表示部に表示し、該表示した通信スロットのうち1つを選択する選択指示を前記操作部を介して受け付けると、該選択された通信スロットを前記モニタ対象スロットとするモニタ対象スロット特定情報を、前記第1の基地局を介して前記回線制御装置へ送信し、
前記回線制御装置は、前記モニタ対象スロット特定情報を受信すると、該モニタ対象スロット特定情報で特定される前記第2の基地局のモニタ対象スロットの音声データを、前記第1の基地局のモニタ用通信スロットに複製することを特徴とする無線通信システム。
【0066】
第3の構成は、前記第2の構成の無線通信システムであって、
前記回線制御装置は、前記モニタ装置からの前記モニタ要求を受信すると、前記第1の基地局と前記モニタ装置との間に、上り及び下りのモニタ用通信スロットを設定し、該上り及び下りのモニタ用通信スロットを特定するモニタ用スロット特定情報を、前記第1の基地局を介して前記モニタ装置へ送信し、
前記モニタ装置は、前記モニタ用スロット特定情報を受信すると、前記上りのモニタ用通信スロットを使用して、前記第2の基地局がモニタ対象であることを示すモニタ対象基地局通知を前記回線制御装置へ送信し、
前記回線制御装置は、前記モニタ対象基地局通知を受信すると、前記通信スロット使用状況を、前記第1の基地局を介して前記モニタ装置へ送信し、
前記モニタ装置は、前記通信スロット使用状況を受信すると該通信スロット使用状況を前記表示部に表示し、該表示した通信スロットのうち1つを選択する選択指示を前記操作部を介して受け付けると、該選択された通信スロットを前記モニタ対象スロットとするモニタ対象スロット特定情報を、前記第1の基地局を介して前記回線制御装置へ送信することを特徴とする無線通信システム。
【0067】
第4の構成は、前記第1の構成ないし第3の構成の無線通信システムであって、
前記第2の基地局のモニタ対象スロットの音声データは、前記第2の基地局の下り方向のデータ又は上り方向のデータのいずれか一方であることを特徴とする無線通信システム。
【符号の説明】
【0068】
10…統制局、12…統制台、12a…マイク、12b…スピーカ、13…FAX、15…中継交換機、16…内線電話機、17…FAX、20…統制局制御装置、21…回線制御部、23…記憶部、30…基地局、31…基地局制御部、32…無線部、33…インタフェース(IF)部、40…モニタ装置、41…制御部、42…無線部、42a…アンテナ、43…記憶部、44…操作部、45…表示部、46…スピーカ、60…端末局、61…制御部、62…無線部、62a…アンテナ、63…記憶部、64…操作表示部、65…マイク、66…スピーカ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10