(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
主幹ブレーカと、前記主幹ブレーカの二次側に接続され、自身の厚み方向となる上下方向に所定間隔を有して並設される複数の帯状の主幹バーと、前記主幹バーの長手方向に沿って列設される複数の分岐ブレーカとを有しているとともに、各前記分岐ブレーカに流れる分岐電流を計測するための複数の電流センサが搭載された電流センサ基板を収容してなる分電盤であって、
前記主幹バーの長辺部に所定間隔で切り欠きを設け、前記切り欠き間に形成される各舌片に前記分岐ブレーカを接続する一方、
前記電流センサ基板に前記切り欠きと同間隔で突出する複数の突片を設け、各前記突片の表面に前記電流センサを搭載し、前記電流センサ基板を、前記主幹バーに対して起立した姿勢で、前記突片を前記切り欠き内に位置させて組み付けるとともに、
絶縁性を有する合成樹脂から形成され、前記電流センサ基板を覆う箱状の本体部と、前記本体部から前記突片と同間隔で突設され、前記切り欠きに外周面を当接させた状態で挿通可能であるとともに自身の内部に前記突片を挿通可能とした複数の筒状部とを有するセンサカバーを、前記電流センサ基板と前記主幹バーとの間に介在させたことを特徴とする分電盤。
前記主幹バーの前後両側において、複数の前記分岐ブレーカが列設されているとともに、前記電流センサが計測した分岐電流から求めた電力データ等を外部に出力する通信計測ユニットを有する分電盤であって、
上下方向で隣り合う前記主幹バーのうち、一方の前記主幹バーについては前側の長辺部に前記切り欠きを設ける一方、他方の前記主幹バーについては後側の長辺部に前記切り欠きを設けるとともに、
前記電流センサ基板が、前記通信計測ユニットを接続可能なユニット用コネクタを有するセンサ接続基板の表裏両面に、前記突片が前記センサ接続基板の表裏で上下相反する方向へ突出するような姿勢で組み付けられており、
前記電流センサ基板及び前記センサ接続基板を、上方へ突出する前記突片が上側の前記主幹バーの前記切り欠き内に、下方へ突出する前記突片が下側の前記主幹バーの前記切り欠き内に夫々位置するような状態で、両前記主幹バーの間に配置したことを特徴とする請求項1に記載の分電盤。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の構成では、ただ単に接続部を電流センサに挿通させているにすぎないため、電流センサや電流センサ基板と接続部(主幹ブレーカ)とが電気的に接触するおそれがあり、電流センサ基板が故障しやすいという問題がある。また、接続部と電流センサとの距離を一定に保ちにくく、電流計測の精度といった点でも問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、主幹ブレーカと電流センサ等との電気的な接触を防止することができ、耐久性に優れている上、主幹ブレーカと電流センサとの距離を一定に保つことができ、電流計測の精度が高い分電盤を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、主幹ブレーカと、前記主幹ブレーカの二次側に接続され、自身の厚み方向となる上下方向に所定間隔を有して並設される複数の帯状の主幹バーと、前記主幹バーの長手方向に沿って列設される複数の分岐ブレーカとを有しているとともに、各前記分岐ブレーカに流れる分岐電流を計測するための複数の電流センサが搭載された電流センサ基板を収容してなる分電盤であって、前記主幹バーの長辺部に所定間隔で切り欠きを設け、前記切り欠き間に形成される各舌片に前記分岐ブレーカを接続する一方、前記電流センサ基板に前記切り欠きと同間隔で突出する複数の突片を設け、各前記突片の表面に前記電流センサを搭載し、前記電流センサ基板を、前記主幹バーに対して起立した姿勢で、前記突片を前記切り欠き内に位置させて組み付けるとともに、絶縁性を有する合成樹脂から形成され、前記電流センサ基板を覆う箱状の本体部と、前記本体部から前記突片と同間隔で突設され、前記切り欠きに外周面を当接させた状態で挿通可能であるとともに自身の内部に前記突片を挿通可能とした複数の筒状部とを有するセンサカバーを、前記電流センサ基板と前記主幹バーとの間に介在させたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記主幹バーの前後両側において、複数の前記分岐ブレーカが列設されているとともに、前記電流センサが計測した分岐電流から求めた電力データ等を外部に出力する通信計測ユニットを有する分電盤であって、上下方向で隣り合う前記主幹バーのうち、一方の前記主幹バーについては前側の長辺部に前記切り欠きを設ける一方、他方の前記主幹バーについては後側の長辺部に前記切り欠きを設けるとともに、前記電流センサ基板が、前記通信計測ユニットを接続可能なユニット用コネクタを有するセンサ接続基板の表裏両面に、前記突片が前記センサ接続基板の表裏で上下相反する方向へ突出するような姿勢で組み付けられており、前記電流センサ基板及び前記センサ接続基板を、上方へ突出する前記突片が上側の前記主幹バーの前記切り欠き内に、下方へ突出する前記突片が下側の前記主幹バーの前記切り欠き内に夫々位置するような状態で、両前記主幹バーの間に配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、主幹バーの長辺部に所定間隔で切り欠きを設け、切り欠き間に形成される各舌片に分岐ブレーカを接続する一方、電流センサ基板に切り欠きと同間隔で突出する複数の突片を設け、各突片の表面に電流センサを搭載し、電流センサ基板を、主幹バーに対して起立した姿勢で、突片を切り欠き内に位置させて組み付けるとともに、絶縁性を有する合成樹脂から形成され、電流センサ基板を覆う箱状の本体部と、本体部から突片と同間隔で突設され、切り欠きに外周面を当接させた状態で挿通可能であるとともに自身の内部に突片を挿通可能とした複数の筒状部とを有するセンサカバーを、電流センサ基板と主幹バーとの間に介在させている。したがって、電流センサを主幹バーに近接して位置させているにも拘わらず、電流センサや電流センサ基板と主幹バーとの電気的な接触を確実に防止することができ、耐久性の向上を図ることができる。また、センサカバーが電流センサや電流センサ基板の主幹バーに対する位置決め手段としての機能をも有するため、電流センサを容易に且つ精度良く計測位置に位置させることができる。
請求項2に記載の発明によれば、上下方向で隣り合う主幹バーのうち、一方の主幹バーについては前側の長辺部に切り欠きを設ける一方、他方の主幹バーについては後側の長辺部に切り欠きを設けるとともに、電流センサ基板が、通信計測ユニットを接続可能なユニット用コネクタを有するセンサ接続基板の表裏両面に、突片がセンサ接続基板の表裏で上下相反する方向へ突出するような姿勢で組み付けられており、電流センサ基板及びセンサ接続基板を、上方へ突出する突片が上側の主幹バーの前記切り欠き内に、下方へ突出する突片が下側の主幹バーの切り欠き内に夫々位置するような状態で、両主幹バーの間に配置している。したがって、1組の電流センサ基板及びセンサ接続基板で前後両側の分岐電流を計測することができ、部品点数の削減を図ることができるし、下側の主幹バー、電流センサ基板及びセンサ接続基板、上側の主幹バーとの順で、重ねて配置していくだけで電流センサ基板やセンサ接続基板、及び主幹バーを組み付けることができ、組み付け作業を非常に容易に行うことができる。また、主幹バー間に電流センサ基板及びセンサ接続基板を設置するため、分電盤内のスペースの有効利用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】分電盤に組み付けた機器の接続を示す構成図である。
【
図3】(a)は、主幹バーを上方から示した斜視説明図であり、(b)は、主幹バーの切り欠きを拡大して示した説明図である。
【
図4】電流センサユニットを示した斜視説明図である。
【
図5】上側の保護カバーを取り外した状態にある電流センサユニットを示した斜視説明図である。
【
図6】組み付け状態にある電流センサ基板及びセンサ接続基板を示した説明図であり、(a)は後方から、(b)は右側方から夫々示している。
【
図7】電流センサを1つ取り外した状態にある電流センサ基板及びセンサ接続基板を後方から示した説明図である。
【
図8】電流センサ基板を示した説明図であり、(a)は前方から、(b)は後方から夫々示している。
【
図9】センサカバーを示した説明図であり、(a)は斜視説明図、(b)は下方から示した説明図、(c)は側方から示した説明図である。
【
図10】保護カバーを示した説明図であり、(a)は斜視説明図、(b)は水平断面を示した説明図である。
【
図11】電流センサユニットと主幹バーとを組み付ける様子を示した説明図である。
【
図12】電流センサユニットと主幹バーとを組み付ける様子を示した説明図である。
【
図13】電流センサユニットと主幹バーとを組み付けた様子を示した説明図である。
【
図14】主幹ブレーカ位置での主幹バー等の垂直断面を示した説明図である。
【
図15】キャビネット内に主幹バーや分岐ブレーカ等を組み付けた状態を示した斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となる分電盤について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0010】
図1は、分電盤1を上方から示した説明図であり、
図2は、分電盤2に組み付けた機器の接続を示す構成図である。なお、
図1の上下方向を分電盤1の前後方向とし、特に
図1の下方を分電盤1の前方とする。
分電盤1は、箱状のキャビネット2内に、単相三線式の主幹ブレーカ3や複数の分岐ブレーカ4、4・・を始め、太陽光発電の発電電力あるいは電気温水器の消費電力を計測するための拡張計測ユニット5、水道メータやガスメータが出力するパルスから水道やガスの使用量を計測するためのパルス計測ユニット6、太陽電池パネル7から太陽光発電電流を供給するための一次送り開閉器8、そして各分岐ブレーカ4を流れる分岐電流から求めた電力データ等を外部に出力するための通信計測ユニット10等の各種機器が組み付けられてなる。また、分電盤1の略中央には、自身の厚み方向である上下方向に並設された3枚の主幹バー11a、11b、11c(
図14や
図15に示す)が左右方向へ配設されており、主幹ブレーカ3の二次側に接続されている。そして、主幹バー11a、11b、11cの長手方向での前後両側に、複数の分岐ブレーカ4、4・・が左右方向に列設され、各分岐ブレーカ4の一次側が主幹バー11a、11b、11cに接続されている。さらに、主幹バー11a、11b、11cのうち、上下で隣り合い、L1相及びL2相となる主幹バー11b、11cと分岐ブレーカ4、4・・との接続部には、各分岐ブレーカ4を流れる分岐電流を計測するための電流センサ基板12、12、及び計測した分岐電流情報を通信ユニット10に送信するためのセンサ接続基板13を有する電流センサユニット14が取り付けられている。なお、
図1中の9は、分岐先を表示するためのネームプレートである。
【0011】
ここで、発明の要部となる電流センサユニット14の構成、及び電流センサユニット14の取付構造について詳細に説明する。
図3(a)は、主幹バー11cを上方から示した斜視説明図であり、
図3(b)は、主幹バー11cの切り欠き16、16・・を拡大して示した説明図である。
図4は、電流センサユニット14を示した斜視説明図である。
図5は、上側の保護カバー18を取り外した状態にある電流センサユニット14を示した斜視説明図である。
図6は、組み付け状態にある電流センサ基板12、12・・及びセンサ接続基板13を示した説明図であり、(a)は後方から、(b)は右側方から夫々示している。
図7は、電流センサ12を1つ取り外した状態にある電流センサ基板12、12・・及びセンサ接続基板13を後方から示した説明図である。
図8は、電流センサ基板12を示した説明図であり、(a)は前方から、(b)は後方から夫々示している。
図9は、センサカバー18を示した説明図であり、(a)は斜視説明図、(b)は下方から示した説明図、(c)は側方から示した説明図である。
図10は、保護カバー20を示した説明図であり、(a)は斜視説明図、(b)は水平断面を示した説明図である。
図11〜
図13は、電流センサユニット14と主幹バー11b、11cとを組み付ける様子を示した説明図である。
図14は、主幹ブレーカ3位置での主幹バー11a、11b、11c等の垂直断面を示した説明図である。
図15は、キャビネット2内に主幹バー11a、11b、11cや分岐ブレーカ4、4・・等を組み付けた状態を示した斜視説明図である。
【0012】
まず主幹バー11cについて説明すると、主幹バー11cは、左右方向に長い帯状の金属板であって、長手方向両端部には、主幹バー11cをキャビネット2内に組み付けるための複数の丸孔を有する組み付け部15、15が設けられている。また、主幹バー11cの前側の長辺部は、複数の切り欠き16、16・・が所定間隔で設けられた櫛状に形成されている。各切り欠き16は、長辺部の端縁から中央側へと切り込まれた切り込み部16aと、切り込み部16aの中央側で切り込み部16aと連通しており、切り込み部16aよりも左右幅が広い位置決め部16bとからなる。そして、切り欠き16、16間の舌片17の先端部が、主幹バー11cの前側に列設される分岐ブレーカ4、4・・の一次側を接続する接続部となる。また、主幹バー11cの後側の長辺部は、略直線状に形成されており、該直線状部がそのまま主幹バー11cの後側に列設される分岐ブレーカ4、4・・の一次側を接続する接続部となる。一方、主幹バー11bは、主幹バー11cと略同じ構成要素を有してなるもので、主幹バー11cとは異なり、後側の長辺部に切り欠き16、16・・が主幹バー11cの切り欠き16、16・・と同間隔で設けられている。したがって、主幹バー11bの舌片17、17・・の先端部には、主幹バー11bの後側に列設される分岐ブレーカ4、4・・の一次側が、主幹バー11bの直線状部には、主幹バー11cの前側に列設される分岐ブレーカ4、4・・の一次側が夫々接続されることになる。なお、主幹バー11bの長手方向両端部にも組み付け部15、15が設けられている。また、分電盤1では、主幹バー11cがL2相、主幹バー11bがL1相となっている。さらに、N相となる主幹バー11aは、前後どちらの長辺部も直線状に形成された左右方向へ長い帯状の金属板として形成されている。
【0013】
次に電流センサユニット14について説明すると、電流センサユニット14は、センサ接続基板13と、センサ接続基板13の前後両面に夫々組み付けられる電流センサ基板12、12・・と、電流センサ基板12、12・・及びセンサ接続基板13の電流センサ基板12、12・・の接続部を覆うセンサカバー18、18と、センサ接続基板13の通信計測ユニット10が接続されるユニット用コネクタ19を保護する保護カバー20とからなる。センサ接続基板13は、左右方向へ長い板状体で、後述の如く上下方向へ起立した姿勢で組み付けられるものであって、その前面及び後面には、電流センサ基板12、12を電気的に接続した状態で組み付けるための基板用コネクタ21、21が設けられている。また、センサ接続基板13の後面左端部には、上記ユニット用コネクタ19、及び各電流センサの計測誤差を補正するための補正値を記憶したメモリ22が設けられている。なお、基板用コネクタ21、21・・とユニット用コネクタ19やメモリ22とは、基板内部等に配設された配線(図示せず)によって電気的に接続されている。
【0014】
電流センサ基板12は、左右方向の長さがセンサ接続基板13の略半分程度の長さとされた帯状体であって、一方側の長辺部には、上記切り欠き16、16・・と略同間隔で複数の突片23、23・・が突設されている。そして、該電流センサ基板12の一方側の表面で、各突片23上となる位置には、分岐電流を計測するための電流センサ24、24・・が設置されている。該電流センサ24としては、GMR(巨大磁気抵抗)素子を用いた電流センサを採用している。また、電流センサ基板12の他方の表面には、センサ接続基板13に組み付けるためのコネクタ25が設けられている。そして、電流センサ基板12、12・・は、センサ接続基板13の前側では突片23、23・・が下方を向くような姿勢で、センサ接続基板13の後側では突片23、23・・が上方を向くような姿勢で、各コネクタ25を対応する基板用コネクタ21へ差し込むことにより、センサ接続基板13に組み付けられている。すなわち、センサ接続基板13の表裏両面に、突片23、23・・が表裏で夫々上下相反する方向へ突出するような姿勢で電流センサ基板12、12・・が組み付けられている。なお、各電流センサ24とコネクタ25とは、基板内部等に配設された配線(図示せず)によって電気的に接続されている。
【0015】
センサカバー18は、絶縁性を有する合成樹脂により形成されており、電流センサ基板12、12・・及びセンサ接続基板13を全体的に覆う本体部26と、該本体部26から上方へ突出する複数の筒状部27、27・・とを有している。本体部26は、下面に開口する左右方向へ長い矩形箱状に形成されており、左右長さは2枚の電流センサ基板12、12の左右長さと略同じとなっている一方、前後幅は組み付け状態にある電流センサ基板12、12及びセンサ接続基板13の前後幅と略同じとなっている。また、本体部26の左右両側面には、組み付け時にセンサ接続基板13が進入可能なスリット28が夫々設けられている。さらに、本体部26の前面の内面には、組み付け時に前側の電流センサ基板12、12の表面に当接(若しくは近接)してセンサカバー18の前後方向へのばたつきを防止するための複数のリブ29、29・・が設けられている。加えて、本体部26の上面で後側の長辺部に沿って、複数の筒状部27,27・・が設けられている。各筒状部27は、位置決め部16bに外周面を当接させながら挿通可能な角筒状に形成されている。また、各筒状部27内の空間は本体部26の内部空間と連通しており、組み付け時に突片23を本体部26の内側から挿通可能となっている。また、各筒状部27内にも、組み付け時に後側の電流センサ基板12、12(特に突片23、23)の表面に近接してセンサカバー18の前後方向へのばたつきを防止するためのリブ29が設けられている。そして、該センサカバー18は、すでに組み付け状態にある電流センサ基板12、12・・及びセンサ接続基板13に対し、その上方から突片23、23・・を対応する筒状部27、27・・内へ差し込み、スリット28、28内にセンサ接続基板13が進入するまで下方へ移動させることにより、突片23、23・・が筒状部27、27内を挿通し、本体部26により電流センサ基板12、12・・及びセンサ接続基板13の略上半分が覆われた状態で組み付けられることになる。そして、電流センサ基板12、12・・及びセンサ接続基板13の略下半分については、もう1つのセンサカバー18を上下逆さとし、同様にして下方から組み付ければよい。すると、
図4に示す如く一対のセンサカバー18、18により、電流センサ基板12、12・・及びセンサ接続基板13が覆われることになる。
【0016】
保護カバー20は、絶縁性を有する合成樹脂により形成された後面及び右側面が開口する略矩形箱状体であって、下面から上面までの高さはセンサ接続基板13における短手方向の幅と略同じになっており、右側面の開口からセンサ接続基板13のユニット用コネクタ19を含んだ左部を差し込み可能となっている。また、保護カバー20の上面及び下面の内面側の左端部には、センサ接続基板13を差し込んだ際にセンサ接続基板13の後面に当接し、センサ接続基板13の前面を保護カバー20の前面側に当接させた状態で保持するための保持凸条30、30が設けられている。また、保護カバー20の上面及び下面であって、センサ接続基板13を差し込んだ際にユニット用コネクタ19の上方及び下方に対応する位置には、後方へ延設されて先端が上方若しくは下方へ折り曲げられた掛止片31、31が設けられている。なお、32は、保護カバー20をキャビネット2内で固定するための固定部である。
【0017】
ここで、上述したような構成を有する電流センサユニット14、及び主幹バー11b、11cの組み付けについて説明すると、まずセンサ接続基板13、電流センサ基板12、12・・、センサカバー18、18、及び保護カバー20を組み付けて予め電流センサユニット14を組み立てておく。このとき、保護カバー20の上面及び下面は、同じく電流センサ基板12、12・・及びセンサ接続基板13に組み付けられているセンサカバー18、18の本体部26、26の上面(なお、一方のセンサカバー18は下側を向いているため、上面も下側を向いている)と略面一となっている。そして、キャビネット2内に主幹バー11cを組み付けた後、該主幹バー11cに対し、ユニット用コネクタ19を後方へ向けた姿勢で、電流センサユニット14の下方へ突出している筒状部27、27・・を主幹バー11cの上面側から位置決め部16b、16b・・へ挿通させ(
図11)、電流センサユニット14を主幹バー11c上に載置する(
図12)。さらに、電流センサユニット14の上方へ突出している筒状部27、27・・に対し、その上方側から主幹バー11bの位置決め部16b、16b・・を挿通させるようにして、主幹バー11bを電流センサユニット14の上面に載置する(
図13)。このように主幹バー11c、電流センサユニット14、主幹バー11bとの順で、主幹バー11b、11cに対して起立した姿勢にある電流センサ基板12、12・・の突片23、23・・を位置決め部16b、16b・・内へ位置させていくだけで、分岐電流を計測可能な主幹バー11b、11cの所定の計測位置(すなわち各舌片17に近接した位置)に電流センサ24、24・・を位置させた状態で、電流センサユニット14及び主幹バー11b、11cを組み付けることができる。そして、当該組み付け状態では、電流センサ基板12、12・・及びセンサ接続基板13と主幹バー11b、11cとの間に、センサカバー18、18が介在した状態となっており、各基板12、13と主幹バー11b、11cとの絶縁が確保されている。また、該組み付け状態において、保護カバー20の掛止片31、31が主幹バー11b、11cの後縁に掛止しており、保護カバー20、ひいてはセンサ接続基板13の左端部が前後方向へずれないようになっている。したがって、通信計測ユニット10の背面に設けられたコネクタ(図示せず)をユニット用コネクタ19へ差し込んで接続する際、センサ接続基板13が前方へ撓む等することがない。なお、主幹バー11bの組み付け後、更にその上方へ主幹バー11aや分岐ブレーカ固定部材33を組み付ける。そして、該主幹バー11a、11b、11cに対し、主幹ブレーカ3や分岐ブレーカ4、4・・の背面にプラグ状に形成された端子を差し込むようにして組み付ければ、主幹ブレーカ3や分岐ブレーカ4、4・・の組み付けは完了となる(
図14、
図15)。また、通信計測ユニット10については、上述したようにユニット用コネクタ19へ接続すればよい。
【0018】
以上のような分電盤1によれば、主幹バー11b、11cの長辺部に所定間隔で切り欠き16、16・・を設け、切り欠き16、16間に形成される各舌片17を分岐ブレーカ4の接続部とする一方、各電流センサ基板12に切り欠き16、16・・と同間隔で突出する複数の突片23、23・・を設け、各突片23の表面に電流センサ24、24・・を搭載し、電流センサ基板12、12・・を、主幹バー11b、11cに対して起立した姿勢で、突片23、23・・を切り欠き16、16・・内に位置させて組み付けている。また、絶縁性を有する合成樹脂から形成され、電流センサ基板12、12・・やセンサ接続基板13を覆う箱状の本体部26と、本体部26から突片23、23・・と同間隔で突設され、切り欠き16に外周面を当接させた状態で挿通可能であるとともに自身の内部に突片23を挿通可能とした複数の筒状部27、27・・とを有するセンサカバー18を、電流センサ基板12、12やセンサ接続基板13と主幹バー11b、11cとの間に介在させている。したがって、電流センサ24、24・・を主幹バー11b、11cに近接して位置させているにも拘わらず、電流センサ24や電流センサ基板12、センサ接続基板13と主幹バー11b、11cとの電気的な接触を確実に防止することができ、耐久性の向上を図ることができる。また、センサカバー18、18が電流センサユニット14の主幹バー11b、11cに対する位置決め手段としての機能をも有するため、電流センサ24、24・・を容易に且つ精度良く計測位置に位置させることができる。
【0019】
また、上下方向で隣り合う主幹バー11b、11cのうち、主幹バーに11cについては前側の長辺部に切り欠き16、16・・を設ける一方、主幹バー11bについては後側の長辺部に切り欠き16、16・・を設けるとともに、電流センサ基板12、12・・を、センサ接続基板の表裏両面に、突片23、23・・がセンサ接続基板13の表裏で上下相反する方向へ突出するような姿勢で組み付け、電流センサユニット14を、上方へ突出する突片23、23・・が上側の主幹バー11bの切り欠き16、16・・内に、下方へ突出する突片23、23・・が下側の主幹バー11cの切り欠き16、16・・内に夫々位置するような状態で、主幹バー11bと主幹バー11cとの間に配置している。したがって、1つの電流センサユニット14で前後両側の分岐電流を計測することができ、部品点数の削減を図ることができるし、主幹バー11c、電流センサユニット14、主幹バー11bとの順で、重ねて配置していくだけで電流センサユニット14及び主幹バー11b、11cを組み付けることができ、組み付け作業を非常に容易に行うことができる。また、主幹バー11b、11c間に電流センサユニット14を設置しているため、キャビネット2内のスペースの有効利用を図ることができる。
【0020】
さらに、絶縁性を有する合成樹脂により形成された保護カバー20によって、センサ接続基板13におけるユニット用コネクタ19の設置部を覆うため、センサ接続基板の左部の絶縁性も確保することができる。また、該保護カバー20に、組み付け状態において主幹バー11b、11cの後縁に掛止する掛止片31、31を設けている。したがって、通信計測ユニット10を接続する際に、センサ接続基板13が前方へ撓んだりすることがなく、通信計測ユニット10を容易に接続することができる。
【0021】
なお、本発明に係る分電盤は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、分電盤の全体的な構成は勿論、電流センサ基板や主幹バー等の構成について、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0022】
たとえば、上記実施形態では、電流センサ基板12、12・・を、センサ接続基板の表裏両面に、突片23、23・・がセンサ接続基板13の表裏で上下相反する方向へ突出するような姿勢で組み付けることで、1つの電流センサユニット14で主幹バー11b、11cの前後両側の分岐電流を計測可能としているが、突片23、23・・が下方(若しくは上方)へしか突出していない電流センサユニットを2つ準備し、主幹バー11b、11cの前後で電流センサユニットを別個設置するような構成とすることも可能である。
また、分岐ブレーカ4、4・・が主幹バー11a、11b、11cの前後何れか一方側にのみ列設されているような分電盤であっても何ら問題はない。
さらに、どの主幹バー間に電流センサユニット14を配置するかは、どの主幹バーをL1相やL2相とするか等とともに適宜変更可能である。
加えて、上記実施形態では、単相三線式の分電盤としているが、本発明は単相二線式の分電盤についても好適に採用することができる。