(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
LEDと、該LEDを載置する配線基板と、該配線基板を載置する配線基板載置部を備えた放熱板と、前記放熱板を固定するバックボーンと、前記バックボーンに絶縁板を介して取り付けられ前記LEDを制御する電源基板と、前記バックボーンの背面から側面を覆うように前記バックボーンに取り付けられるカバーセード上と、前記カバーセード上に取り付けられ前記LEDの前面を覆うカバーセード下と、を有するLED照明装置において、
前記配線基板は、略ドーナツ形状の平板の部品であり、前記LEDを外周縁部まで載置する円形部と、該円形部の外周に設けられた配線基板凸部と、からなり、
前記配線基板の周方向の回転により前記配線基板凸部を係止する基板押さえを前記配線基板載置部の外周側に設けたことを特徴とするLED照明装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係るLED照明装置1(LEDペンダントライト)について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、LED照明装置1を天井に取り付けたときのようにした状態、すなわち紙面上側が家屋の天井側であり、紙面下側が家屋の床側と下状態を図示しながら説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係るLED照明装置1の全体斜視図、
図2は
図1からセード26を外した器具本体28の全体斜視図、
図3は
図2の分解斜視図、
図4(a)〜(e)はLED基板30の取り付け工程図、
図5は
図4(e)の基板押さえ15近傍拡大図である。
【0012】
以下の説明において、特に断らない限り、LED照明装置1が天井面に取り付けられた状態を基準として、床側(LED13の光放射方向)を“表面側”、天井側を“背面側”と呼ぶ。
【0013】
図1に示すように、LED照明装置1は、ペンダントライト形のものであり、吊り具29とセード26とカバーセード上20とカバーセード下10とペンダント紐23などを備えている。吊り具29は器具本体28に接続されている。セード26は器具本体28に固定してもよいし、固定せずにかぶせて係止するのみでもよい。吊り具29を天井に取り付けることで、LED照明装置1を固定することが可能となる。
【0014】
また、
図2に示すように、LED照明装置1からセード26を外した器具本体28は、吊り具29、バックボーン19、カバーセード上20、カバーセード下10、ペンダント紐23などからなる。器具本体28は下から見て丸形となっている。
【0015】
図3に示すように、器具本体28は、吊り具29、バックボーン19、カバーセード上20、絶縁板18、電源基板17、放熱板16、基板押さえ15、LED基板30、遮光カバー12、パッキン11、カバーセード下10、ペンダント紐23などを備えている。なお、本実施形態では、器具本体28が下から見て丸形のものを例に挙げて説明するが、角形のものにも同様に適用することができる。
【0016】
カバーセード上20とカバーセード下10は、透光性(透明、半透明、または、乳白色を含む)を有する樹脂製(例えばポリプロピレンやアクリルやポリスチレンなど)の略円形かつ傘形状の部品である。
【0017】
カバーセード上20の背面側には、バックボーン19の背面部が露出するための開口部10aが設けられており、カバーセード上20の表面側の端部には、カバーセード下10の背面側の端部に設けられた環状のカバーセード下凸部10cと嵌合するための環状のカバーセード上凹部20aが設けられている。
【0018】
カバーセード下10の表面側には、カバーセード下10の中央にペンダント紐23が通るための開口部10aが設けられているとともに、開口部10aからLED照明装置1の内部方向(光源基板方向、背面側方向)に突出する円筒部10bと、を備えている。円筒部10bにおける開口部10aとは反対側の端部には、平坦部(図示なし)が設けられている。カバーセード上20と、カバーセード下10は、LED13から放射された光束を拡散させて、使用者がLED照明装置1を直視した際のまぶしさを軽減したり、LED照明装置1が設置された空間の明るさを均一化する役割を果たす。
【0019】
カバーセード下10の端部には環状のカバーセード下凸部10cが設けられている。また、前述の通り、カバーセード上20の端部には環状のカバーセード上凹部20aが設けられている。カバーセード下凸部10cとカバーセード上凹部20aとが嵌合することによりカバーセード下10はカバーセード上20に係止される。カバーセード下凸部10cとカバーセード上凹部20aとが嵌合することによりカバーセード下10が落下する恐れは抑制される。更に、前述の円筒部10bの平坦部とLED基板30及び放熱板16とをねじ止めすることでカバーセード下10を固定することで、カバーセード下10が落下する恐れが抑制される。さらに、平坦部16bと電源基板17とはパッキン11を介してねじ止めしており、カバーセード下10内部への虫などの侵入を抑制している。パッキン11は、パッキン11と円筒部10bの平坦部、パッキン11と電源基板17、との間に隙間が生じにくいように、例えばEPDMのように弾性を有する材料であることが望ましい。
【0020】
カバーセード下10は、端部から中央部にかけて膨らんだ形状を有する樹脂製の部品である。そのため、カバーセード下10の中央部に外側から力が加わるとカバーセード下10が撓んで凹む恐れがある。本実施形態のように、カバーセード下10と電源基板17との間で中央に円筒部10bを設けることで、カバーセード下10の中央部近傍に外側から力が加わった場合に、カバーセード下10の変形を抑制することができる。
【0021】
カバーセード上20とバックボーン19とは、カバーセード上20とバックボーン19とを接続した状態で、カバーセード上20の背面方向から器具本体28をみた際に隙間が生じないように接続される。これは、器具本体28内への虫などの侵入を防ぐためである。そのために、カバーセード上20およびバックボーン19の背面側には必要以上に穴を設けない構造とすることが望ましい。
【0022】
本実施形態では、後述する放熱板16を備えることによって、放熱空間の容積を大きくするとともに(放熱空間の空気の量を多くし)、放熱板16と空気との接触面積を広くとることで、電源基板17およびLED基板30の放熱効率の向上を図っている。その結果、LED13の発光効率が高く、かつ、放熱板16の絞り成形性が良好で生産性の優れたLED照明装置1を実現することができる。
【0023】
LED基板30は、ドーナツ形状の配線基板14と、この配線基板14の一面側(LED13の実装面側)に同心円状に複数列(本実施形態では7列)配置された複数のLED13と、を含んで構成されている。なお、LED13は、いずれも白色系の光束を放射する同一種類の素子で構成されている。
【0024】
配線基板14は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の平板に絶縁層および銅箔パターンなどを形成したものや、熱伝導性の良好な樹脂(例えばポリイミド樹脂など)製の平板上に銅箔パターンおよびソルダーレジストなどを形成したものなどで構成されている。つまり、配線基板14は、LED13の端子(不図示)や、LED13を配線基板14に対して密着させる目的でLED13の背面側に設けられる放熱パッド(不図示)などを介した熱伝導を受けて、複数のLED13の発光により生じた熱を、速やかに伝熱および放熱するようになっている。
【0025】
また、配線基板14は、1枚で略ドーナツ形状となるように構成したものであるが、この限りでない。略半ドーナツ形状の2枚の基板を組み合わせて略ドーナツ形状となるように構成したものでも、3枚以上を組み合わせたものでも良い。ただし、分割する枚数を少なくすることにより、LED基板30の組みつけが容易となるという効果を奏する。
【0026】
また、配線基板14は、円形部14aと、円形部14aの外周の4つの配線基板凸部14bとからなる。該配線基板凸部14bが後述する基板押さえ15の係止部15bに入ることで、配線基板14は基板押さえ15に係止される。さらに、配線基板14の中央部にはLED基板30を放熱板16にねじ固定する配線基板ねじ挿通孔14cが複数個所に形成されている。本実施形態では4つの配線基板凸部14bを設けているが、これは、一枚の板から配線基板14をとる際に、凸部を3つにするよりも4つにする方が多くの配線基板14をとることができるためである。
【0027】
なお、配線基板14には、その表面に、図示しない白色の反射シートを設けることもできる。この反射シートは、LED13から放射された後、カバーセード下10などの内面で反射して戻ってきた光を、表面側に向かって再反射させる機能を有し、各LED13に対応する位置には小孔が形成されている。
【0028】
また、配線基板14は、放熱板16の平坦部(載置面)16bの直径寸法D2よりも長い直径寸法D1を有している。つまり、本実施形態におけるLED基板30は、放熱板16の平坦部(載置面)16bに載置されたときに、LED基板30の外周縁部(最外周とその内周の2列分のLED13が配置されている基板領域)が、放熱板16の平坦部16bとは接しない構造となっている。
【0029】
このように構成されたLED基板30は、LED13の発光面(実装面)とは反対側の面が、縦断面がハット形状である放熱板16の錐台部16aの平坦部16bに密着状態を維持して取り付けられる。したがって、本実施形態によれば、LED基板30および放熱板16に関する伝熱および放熱に係る作用効果が相乗的に機能することによって、複数のLED13の発光により生じた熱を速やかに冷却することが可能になる。
【0030】
また、本実施形態に係るLED基板30では、LED照明装置1の中央部付近まで面積を広げてLED13を配置する構成を採用している。このように構成すれば、LED照明装置1の中央部から周縁部に至るまで、その明るさをほぼ均一にすることができる。
【0031】
LED基板30の中央には、保安灯用LED25が2つ設けられている。本実施形態では、保安灯用LED25と円筒部10bとの間を遮るように遮光カバー壁部12aを有する、ポリプロピレンなどの樹脂製の環状部品である遮光カバー12を配設している。遮光カバー12が有する遮光カバー壁部12aにより、保安灯用LED25から出射された光を遮り、カバーセード下10中央の円筒部10bを通過する光をなくすことで、カバーセード下10の表面に円筒部10bの影が映りこまないようにしている。
【0032】
基板押さえ15は、樹脂製(例えばポリプロピレンやアクリルやポリスチレンなど)の略環形状の部品である。基板押さえ15は、環状部15aと、係止部15bと、からなる。基板押さえ15の環状部15aの内径は、配線基板14の円形部14aの外径よりも大きい。係止部15bは、環状部15aからカバーセード下10側(表面側)に突出した部分である。係止部15bは、周方向に係止部開口15b1を有している。係止部開口15b1から配線基板凸部14bが入り、係止部15bに配線基板凸部14bが係止されることで、配線基板14が基板押さえ15に係止される。本実施形態において、基板押さえ15に係止部15bは4箇所ある。これは、係止される配線基板凸部14bが4箇所であるためである。
【0033】
なお、本実施形態では、基板押さえ15と放熱板16とを別体としたが、この限りでない。配線基板凸部14bが係止部15bに係止される機能を有していればよく、一部品で成形しても構わない。本実施形態のように基板押さえ15と放熱板16とを別部品で成形した場合は、別材料で成形することができる。別材料で成形することができるため、LED基板30と接触する面積が大きい放熱板16には効果の高い材料(アルミなど)を選び、LED基板30をきちんと係止する必要の有る基板押さえ15には作り易い材料(ポリプロピレンなど)や剛性の高い材料(セラミックスなど)など、適切な材料を選ぶことができる。対して、一部品で成型した場合には、部品点数の低減効果や、基板押さえ15を固定するための製造工数の低減という効果を奏する。
【0034】
係止部開口15b1は、基板押さえ15を放熱板16に取り付けた際に、放熱板16の平坦部16bと同じ高さの位置から、配線基板14の厚さ分と同程度の大きさの開口であることが望ましい。上記の大きさの開口部10aとすることで、LED基板30を係止部15bに取り付けた後のLED基板30が上下方向へ動く余地を少なくし、よりよく係止することができるという効果を奏する。加えて、LED基板30の背面側と放熱板16の表面側とが接触し放熱効果を高めるという効果を奏する。
【0035】
なお、本実施形態では、基板押さえ15は、環状部15aと係止部15bとからなる部品としたが、この限りでない。配線基板凸部14bが係止部15bに係止される機能を有していれば良く、例えば係止部15bのみからなる部品でもよい。
【0036】
放熱板16の背面側には、天井側に近い部品から、バックボーン19、絶縁板18、電源基板17が設けられている。
【0037】
バックボーン19は、例えば金属板などを略円形状に加工成形した部品である。バックボーン19の中央には、略円形状の孔である器具取付部19aが設けられている。器具取付部19aには、前記した取付アダプタが引掛け部(不図示)を介して係合固定される。取付アダプタは、天井側の屋内配線器具に係合固定される。これにより、バックボーン19を含むLED照明装置1は、取付アダプタ、器具取付部19aおよび屋内配線器具をそれぞれ介して、天井面の所定位置に固定されるようになっている。
【0038】
器具取付部19aの近傍には、不図示の給電接続部が設けられている。給電接続部は、不図示の電線を介して、取付アダプタと電源基板17との間を電気的に接続している。これにより、LED照明装置1は、屋内配線器具、取付アダプタ、給電接続部および電源基板17をそれぞれ介して、給電を受けるようになっている。
【0039】
絶縁板18は、バックボーン19と、放熱板16との間に介在させて設けられている。バックボーン19および放熱板16は、いずれも金属製である。これに対し、絶縁板18は、電気絶縁性および難燃性を有する例えばポリプロピレンなどの樹脂材料を用いて成形されている。
【0040】
電源基板17は、絶縁板18の外縁に突設された基板係止部18aなどを介して保持されている。
【0041】
ところで、放熱板16はLED基板30を主に熱伝導によって冷却する機能を有している。
【0042】
LED13は発光に伴う発熱によってLED13それ自体や周囲の部品が劣化する。かかる劣化を抑制して長寿命・高信頼性を実現するには、適切な放熱を行うことが求められる。
【0043】
また、電源基板17およびLED基板30が発熱すると、放熱板16によって囲まれた放熱空間の雰囲気温度は上昇する。このとき、放熱空間の容積が小さいと、本体内部に熱がこもりやすくなり、電子部品の劣化を早めたり、LED13の発光効率が下がる要因となる。そこで、本実施例では、放熱板16は、例えば亜鉛メッキ鋼板やアルミニウムなどの熱伝導性の良好な金属を素材として用いて、その縦断面がハット形状として内容積をできるだけ大きくするようにし、かつ、熱伝導性を良好に維持する観点から、絞り加工により、継ぎ目なく一体に成形している。
【0044】
放熱板16は、略円形状の錐台部16aと、この錐台部16aの外周側(径方向外側)に略ドーナツ形状(略環状)の外周固定部16cと、を有する構造を採用している。
【0045】
詳述すると、放熱板16の錐台部16aは、1枚ものの円形の薄い金属板を絞り加工することによって製造される。この錐台部16aは、LED基板30の裏面が面で接触して載置される円形状の平坦部16b(載置面)と、平坦部16bの外周縁部から背面側に向けて拡径しながら延びる筒形状の傾斜部と、を有している。
【0046】
平坦部16bには、LED基板30を放熱板16にねじ固定するねじ固定孔が複数個所に形成される。
【0047】
基板押さえ15と、放熱板16と、絶縁板18と、は、バックボーン19にねじ止め固定されている。本実施形態では、基板押さえ15に設けられたねじ止め用の孔である基板押さえねじ挿通孔15cと放熱板16に設けられたねじ止め用の孔である放熱板ねじ挿通孔16dとバックボーン19のねじ止め孔(図示なし)との位置が合うようにし、ねじ止めすることで部品点数の低減と、LED照明装置1の製造工数の低減を図っている。
【0048】
LED照明装置1を組み立てる場合には、まず、バックボーン19の前面側に絶縁板18を取り付ける。続いて、絶縁板18の前面側に電源基板17を取り付ける。続いて、電源基板17を覆うように放熱板16、基板押さえ15をバックボーン19に取り付ける。ここで、放熱板16と基板押さえ15のバックボーン19への取り付けは、基板押さえ15の基板押さえねじ挿通孔15cと放熱板16の放熱板ねじ挿通孔16dとバックボーン19のねじ止め孔の位置を合わせた状態とし(
図4(a)(b)参照)、一度のねじ止めで行う。これにより、製造工数の低減を図ることができる。続いて、基板押さえ15によりLED基板30を係止する。続いて、遮光カバー12によりLED基板30を挟むように放熱板16に取り付ける。続いて、バックボーン19の背面から側面を覆うようにカバーセード上20をバックボーン19に取り付ける。続いて、LED基板30の前面から側面を覆うようにカバーセード下10をカバーセード上20に取り付ける。カバーセード上20とカバーセード下10との接続は、カバーセード上凹部20aとカバーセード下凸部10cとの嵌合により行う。この際、カバーセード下10における円筒部10bの平坦部がパッキン11を介してLED基板30と当接するようにしてカバーセード上20とカバーセード下10とを嵌合させる。これにより、カバーセード下10の開口部10aからLED照明装置1内に虫などが入り込む恐れを減らすことができる。工程の最後に、バックボーン19の背面側に吊り具29をとりつけ、この際、天井などから引っ張ってきて吊り具29内を通るリード線(図示なし)を、バックボーン19の背面側に位置する電源基板17のコネクタに取り付ける。
【0049】
基板押さえ15によるLED基板30の係止について説明する。
図4(a)のような状態となった後、LED基板30を放熱板16側(背面側)に移動させる(
図4(b)参照)。続いて、LED基板30を周方向に回転させる(
図4(c)参照)。LED基板30を周方向に回転していくと、配線基板凸部14bが係止部開口15b1から係止部15に入っていく(
図4(d)参照)。配線基板凸部14bが係止部15に入ったときに、LED基板30は基板押さえ15に係止され、落下の恐れが抑制される(
図4(e)、
図5参照)。これにより、LED基板30を放熱板16に取り付ける工数が低減される。本実施形態では、保安灯用LED25から出射した光が円筒部10bを通過しカバーセード下10に到る際に影となる恐れを抑制するために、遮光カバー12を備えている。本実施形態では、LED基板30を挟むように遮光カバー12と放熱板16とを配線基板ねじ挿通孔14cを通るようにねじ止めなどにより固定している(
図4(e)参照)。これにより、LED基板30の背面側と放熱板16の表面側が押し付けられることになり、固定しない場合よりも接触し、放熱効果を高めることが可能となる。
【0050】
以上のように、LED13を載置する平板の部品である配線基板14を、LED13を載置する円形部14aと、円形部14aの外周に設けられた配線基板凸部14bと、からなる形状とし、配線基板14の周方向の回転により配線基板凸部14bを係止する基板押さえ15を放熱板16における平坦部16b(配線基板14を載置する部分)の外周側に設けたことにより、LED13を載置した配線基板14を固定する際の製造工数を低減し、より安価にLED照明装置1を提供することができるという効果を奏する。