特許第6043721号(P6043721)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043721
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】改良型位置センサ
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/12 20060101AFI20161206BHJP
   G01D 5/14 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   G01D5/12 N
   G01D5/14 H
【請求項の数】14
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-530781(P2013-530781)
(86)(22)【出願日】2011年9月23日
(65)【公表番号】特表2013-542421(P2013-542421A)
(43)【公表日】2013年11月21日
(86)【国際出願番号】FR2011052217
(87)【国際公開番号】WO2012042154
(87)【国際公開日】20120405
【審査請求日】2014年8月27日
(31)【優先権主張番号】1057847
(32)【優先日】2010年9月29日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501377391
【氏名又は名称】ムービング マグネット テクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】デルベール、ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】ドルジェ、ティエリー
(72)【発明者】
【氏名】フラション、ディディエ
(72)【発明者】
【氏名】マッソン、ジェラール
【審査官】 榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/099054(WO,A1)
【文献】 特表2009−528530(JP,A)
【文献】 特表2009−516186(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00 − 252
G01D 5/39 − 62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶対位置を測定するシステムであって、前記システムは、永久磁石と、前記磁石に対して所定の経路を移動可能な少なくとも1つのプローブと、計算手段とを備え、前記磁石は、前記プローブにおいて、移動方向に、接線成分と称される第1磁界成分Bと、法線成分と称され、前記第1成分に直交し直交位相関係にある第2磁界成分Bとを有する磁界を生成し、前記プローブは、それぞれ前記成分B、Bに依存する2つの電気信号V、Vを伝達し、前記計算手段は、前記信号V、V間の比率の逆正接に基づいて計算される位置情報を提供し、前記信号Vn、Vt間の比率には、エッジ効果または不完全な磁化に起因する高調波を補償するために補正係数Gが割り当てられ、前記計算手段が、Vmax/Vmaxを表すkとは厳密に異なるゲインGを信号V、Vのうちの一方に適用するようにパラメータ化され、ここで、VmaxおよびVmaxは、それぞれ前記経路にわたる信号VおよびVの振幅を表し、前記ゲインGは、前記磁界成分から得られる位置値と対応する実際の機械的位置値との偏差を最小にするように計算され、前記永久磁石は、運動の方向に連続的に変化する磁化方向を有するか、または前記永久磁石は、強度が運動の方向に連続的に変化する一方向磁化を有することを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記計算手段は、前記信号V、Vのうちの一方に、0.4kから0.98kまでに含まれるゲインGを適用するようにパラメータ化されていることを特徴とする、請求項1に記載の絶対位置を測定するシステム。
【請求項3】
前記計算手段は、前記信号V、Vのうちの一方に、1.02kから2.5kまでに含まれるゲインGを適用するようにパラメータ化されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の絶対位置を測定するシステム。
【請求項4】
磁気センサは、少なくとも2つのホール効果センサを含むことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の絶対位置を測定するシステム。
【請求項5】
磁気センサは、磁束収束器に関連付けられている少なくとも2対のホール効果素子を含むことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の絶対位置を測定するシステム。
【請求項6】
前記永久磁石は、管状であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の絶対位置を測定するシステム。
【請求項7】
前記永久磁石は、半管状でタイル形であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の絶対位置を測定するシステム。
【請求項8】
前記永久磁石は、円盤形であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の絶対位置を測定するシステム。
【請求項9】
前記永久磁石は、扇形であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の絶対位置を測定するシステム。
【請求項10】
前記永久磁石は、直方体であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の絶対位置を測定するシステム。
【請求項11】
前記永久磁石は、法線中心方向と前記経路の両端に対して接線方向との間で変化する方向で磁化され、前記経路にわたる電気角の総回転は実質的に180°に等しいことを特徴とする、請求項および請求項4乃至10のいずれか1項に記載の絶対位置を測定するシステム。
【請求項12】
前記永久磁石は、接線中心方向と前記経路の両端に対して接線方向との間で変化する方向で磁化され、前記経路にわたる電気角の総回転は360°よりも小さいことを特徴とする、請求項1および請求項4乃至10のいずれか1項に記載の絶対位置を測定するシステム。
【請求項13】
前記磁石は、異方性タイプの磁石であり、磁化の方向は異方性の方向に揃えられることを特徴とする、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の絶対位置を測定するシステム。
【請求項14】
前記磁石は、異方性を有し、前記異方性の方向が前記磁石の前記経路に沿って連続的に変化することを特徴とする、請求項13に記載の絶対位置を測定するシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精密な線形または角度位置情報を提供するための磁気センサを備える絶対位置システムの分野に関連する。かなりのロバスト性および高い精度を必要とする当該測定システムは、特に自動車産業で使用される。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、特許文献1に記述される解決方法が周知であり、連続可変磁界を生成する磁石と、正弦波形の磁界成分を表す2つの電気信号を伝達する磁気センサとを用いて、磁石とセンサとの相対位置を判定する絶対位置センサの一般原理を紹介している。この特許は2つのセンサが伝達する信号間の比率の逆正接計算を行って、可動磁石の近似位置を提供することを提案している。このように、磁界の角度を直接測定点で測定する。
【0003】
このように判定される角度の精度は、一般的な事例では、磁界の2つの成分が非常に異なる振幅を有するために満足なものではない。その結果、逆正接および位置の変化によって計算される磁界の角度は比例しておらず、そのために位置を把握するときに不正確さが大きくなる。成分間の均一性を得ることを可能にする幾何学的な構成は、例えば特許文献2に記述されるように、制限される、またはバルクに多大な影響を要する。
【0004】
精度を改善するために、センサによって伝達される信号の比率にゲイン係数を適用することと、磁束収束器に関連する2対のホール素子を有するプローブとからなる特許文献3に解決方法が提案されている。この先行技術の特許は、その直径に沿って磁化されている円柱形磁石を有するセンサを記述している。検出素子を磁石の周辺に配置して、磁界の接線方向および半径方向成分の変化を感知する。センサの実際の回転角度を解読できるようにするために、半径方向成分からの電圧に対する接線方向成分からの電圧の最大振幅の比率に等しい補正ゲインを適用する。このように、得られる信号の非線形性は改善される。しかし、この構成は直径方向に磁化されたリングの場合に制限される。
【0005】
この解決方法は特許文献4に記述される発明によって完成された。この特許は磁石内の磁化方向の変動が線形に変動する磁石を有する線形センサまたは回転センサを記述している。このように、なお半径方向および接線方向の磁界からの電圧間の振幅の比率に等しい標準化係数を適用することによって、逆正接計算により、磁石に対するプローブの角度または線形運動を判定することが可能である。しかし、多くの場合、特に磁化高調波が著しい場合または素材に行われた磁化が周期全体で変化しない場合には、この単純な比率の適用では十分精密な位置情報を得ることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7741839号明細書
【特許文献2】米国特許第7030608号明細書
【特許文献3】仏国特許第2893410号明細書
【特許文献4】欧州特許第1989505号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
先行技術のセンサによって提供される位置情報は、磁気および電気信号の非線形性により今後業界が課す制約に照らして十分に精密とはならないと思われるため完全に満足いくものではない。
【0008】
実際、実務上では、実際に測定される信号は純粋に正弦波形ではなく、非常に大きくなることがある高調波成分を有する。したがって磁界成分のそれぞれは以下の式に従って書くことができる。
【0009】
【数1】
上記式において、
−Bは、運動の方向に法線方向で、磁石によって生成される磁界成分を表す。
−Bは、磁石が生成する、直角位相関係で、接線方向磁界成分を表す。
−θは、電気角、つまり対象信号の周期中の角度位置を表す。これが求めたいものであり、磁石に対するプローブの位置に比例するが、2つの対象成分に相当する2つのベクトル間の角度として定義される測定点の磁気角と混同してはならない。
−aは、信号Bを形成する様々な高調波の振幅を表す。
−bは、信号Bを形成する様々な高調波の振幅を表す。
−iは、高調波のランクを表す。
【0010】
信号の高調波は様々な破壊に由来し、特に、
−磁石の形状に内在するエッジ効果で、主に有効経路の両端で発生する。これらエッジ効果は運動の方向の磁石のサイズが有効経路に近づく、または有効経路よりもさらに小さくなるにつれて著しくなる。これらの効果は大きな磁石を選択することによって低減できるかもしれないが、これは望まれる小型化およびコスト削減に反する。
−不完全な磁化プロセス。方向が連続的に変動する磁石を製作することは、磁化ツールの製作に関係する困難を生む可能性がある。例えば、運動の方向に完全に線形に変動する磁化を生成することは難しく、ドリフトがホール効果素子により測定される電気信号の高調波をもたらす。
−磁石の相対透磁率。この相対透磁率は空気のものとは完全に同一ではないため、磁石と空気との間に寄生回折現象を生み、ホール効果素子によって検出される局所磁界を変形させる。
−磁石の非均質性。ある種類の磁石、特にボンド磁石で作動させるとき、素材は非均質性のことがあり、異なる磁気特性をもたらし、局所磁界の変形を生じさせる。
−磁界の成分を検出するホール効果素子のアライメント不良。
【0011】
このように、先行技術は高調波成分が弱いまたは存在せず、信号が基本成分の式を要約する構成の状況に置かれている。前述の成分BおよびBはさらに以下のようになる。
【0012】
【数2】
このように電気角はBをBで割った商を求めるだけで得られ、以下の公式を導くことができる。
【0013】
【数3】
このように、センサの運動のすべての点で電気角を把握すると、その絶対位置情報を得ることができる。
【0014】
一般に、信号が変形正弦曲線で、前述の理由で純粋に正弦波形ではない場合、磁石の表面と測定するプローブとの間の距離を小さく、つまり磁石の近くにして作動させると、高調波成分は増幅する。磁石から遠くするほど、高調波成分は低くなる。しかし、できるだけ小さい磁石で作動させたい場合、その測定エアギャップが大きいときにもエッジ効果により著しい高調波成分を生じさせることがある。電気角を提供する先行技術によって与えられる公式は不十分である。
【0015】
当業者は、例えばデジタル線形化処理をさせる補正テーブルを適用することによって、情報の後処理などの解決方法によって精度を改善しようと努めてきた。この解決方法は過剰なコストを生じさせるとともに、機械的変化量および位置決めの許容差、並びに特に磁石とプローブとの間の距離変化量に敏感なロバスト性に劣るシステムをもたらす。上記述べるパラメータの一部は経時的に変化し、後処理だけによる補償はセンサの寿命に依存するドリフトをもたらす。
【0016】
フランス特許第2893410号明細書で提案される別の解決方法は、磁石の非定形形状により、例えば円形ではなく楕円形の断面により線形性の欠点を相殺することからなる。この解決方法はより複雑な製造方法を伴う。
【0017】
別の解決方法は、センサの線形性を、ゾーンごとかつ反復的に改善するために曲線区間ごとに補正係数を適用することである。しかし、これには追加の電子リソースを要し、解決方法としては許容差に対してロバスト性があまりなく、劣化する経年変化を受ける解決方法となる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、後処理または特定の磁石構成を必要とせず、従来技術のセンサと比べて精度が改良された絶対測定システムを提案することによって、以上の欠点を解決することを目的とする。当然ながら、本発明に従い測定システムに追加処理を適用することは可能であるが、本質的に、本発明による測定システムは先行技術のセンサよりも精度が高くなっている。
【0019】
本特許の意味における「絶対精度」という用語は多重周期測定システムを参照すると規定される。そして絶対位置は一つの周期にわたる絶対位置に関係し、周期の時点に関する情報は追加手段によって判定される。
【0020】
有利なことに、本発明は特に当業者がロバストなセンサを製作することを可能にし、直方体磁石、または扇形もしくはタイル形の磁石の場合に、経路のサイズに対する磁石のサイズを最小化することを可能にするので、非常に良好な線形性を維持しながら経路よりも実質的に小さい磁石を得ることを可能にする。
【0021】
有利なことに、本発明は当業者が、高調波成分が非常に著しい小さな測定エアギャップおよび大きなものの両方と作動させることを可能にする。
実際、その場合、高調波成分は確かにかなり低くなるが、磁石が測定される経路よりも小さい場合にはエッジ効果が著しい高調波成分を生じうる。
【0022】
本明細書に引用される様々な事例において、高調波成分は無視できない。
一般に、本発明は絶対位置を測定するシステムに関係し、前記システムは永久磁石と、前記磁石に対して所定の経路を移動可能な少なくとも1つのプローブであって、前記磁石は移動方向に接線成分と称される第1磁界成分Bと、法線成分と称され、第1成分に直交し直交位相関係にある第2磁界成分Bとを有するプローブで磁界を生成し、前記プローブは、それぞれ前記成分B、Bに依存する2つの電気信号V、Vを伝達する前記プローブと、補正係数Gが割り当てられる前記信号V、V間の比率の逆正接に基づいて計算される位置情報を提供する計算手段とを備えており、前記計算手段は、kとは厳密に異なるゲインGを信号V、Vのうちの一方に適用するようにパラメータ化されており、kは、Vmax/Vmax比を表し、VmaxおよびVmaxは、それぞれ前記経路にわたる信号VおよびVの振幅を表し、ゲインGは、磁界成分から求める位置値と対応する実際の機械的位置値との間の偏差を最小化するように計算される。
【0023】
第1の代替例によると、永久磁石は運動の方向に連続的に変動する磁化方向を有する。
第2の代替例によると、永久磁石は一方向性磁化を有し、その強度は運動の方向に連続的に変動する。
【0024】
好ましくは、前記計算手段は、信号V、Vのうちの一方に、0.4kから0.98kまでまたは1.02kから2.5kまでに含まれるゲインGを適用するようにパラメータ化されており、kは信号VおよびVの振幅間の比率を表す。
【0025】
好ましくは、前記磁気センサは2つのホール効果センサを含む。
有利なことに、前記磁気センサは、例えば、メレキシス社製のMLX90316プローブなどの磁束収束器に関連する少なくとも2対のホール効果素子を含む。
【0026】
第2の実施形態では、プローブは、例えば、ミクロナス社製のHAL3625プローブなどの収束器のないホール効果プローブであってもよい。
第2の実施形態では、プローブは磁気抵抗タイプとすることができる。
【0027】
第1の代替例によると、永久磁石は管状タイプである。
第2の代替例によると、永久磁石は半管状タイル形タイプである。
第3の代替例によると、永久磁石は扇形である。
【0028】
第4の代替例によると、永久磁石は直方体素子である。
第5の代替例によると、永久磁石は円盤形である。
ある特定の実施形態によると、磁石は直径方向に磁化されている。
【0029】
ある特定の実施形態によると、磁石は管状で、直径方向に磁化されている。
その方向が連続的に変動する磁化は、測定する寸法に沿って位置する領域に優先方向を有することができる。例えば、磁石の中心に、磁気干渉場(例えば、ケーブルに由来)が磁石に印加されるかどうか、および磁石の中央位置であらゆる状況において悪化しない精度を保全するためにその効果を最小化したいかどうかに応じて、法線方向または接線方向の磁化を課すことが可能である。磁石の中心で干渉場の方向が分かっていると、磁石の中心で磁化の方向を賢明に選択することが可能となる。干渉場が運動の中央に対して接線方向を有する場合、磁石の中央に対して接線方向を有する磁化を選択する。当然ながら、上記提案される例は、センサの経路の中央位置に一切制限されることはなく、センサの経路のあらゆる点で考慮できる。
【0030】
ある特定の実施形態によると、永久磁石は方向が経路の法線中心方向と経路の両端に対して接線方向との間で変動しながら磁化され、経路にわたる電気角の総回転角は実質的に180°に等しい。
【0031】
別の特定の実施形態によると、永久磁石は、方向が経路の接線中心方向と経路の両端に対して接線方向との間で変動しながら磁化され、経路にわたる電気角の総回転角は360°よりも小さい。
【0032】
非管状磁石の場合、磁石の磁気タイプ(中央に対して法線方向または中央に対して接線方向)および磁化の総回転角は、サイズの制約および所望の性能に従い判断される。図4および図5の表は、所定の経路および磁石の固定寸法に関するいくつかの例を示す。これらの表は、所望の磁石のサイズに応じて、磁化のタイプの選択が、特に、非線形性を超えて得られる性能によって導かれることを示している。
【0033】
ある代替例によると、磁石は異方性タイプであり、磁化の方向は異方性の方向に揃えられる。
好ましくは、磁石はその異方性の方向が磁石の経路に沿って連続的に変動する異方性を有する。
【0034】
本発明は、有効経路にわたり信号V、Vの最大値Vmax、Vmaxを判定すること、Vmax/Vmax比に等しい係数kを計算すること、逆正接計算の前に実際の位置と計算位置との差の大域的最小化によりkとは厳密に異なるゲイン係数Gを設定することからなる絶対位置測定システムをパラメータ化する方法にも関係する。
【0035】
本発明は、磁石とプローブとを備え、信号VおよびVは変形正弦曲線または疑似正弦曲線で、純粋な正弦曲線ではない、前述の種類の絶対位置を測定するシステムを実施する方法にも関係し、方法は、測定またはシミュレーションにより、プローブと磁石の複数の異なる相対位置について、これら相対位置各々の測定値Xを、この相対位置Xに対して求められる電気信号VおよびVのV/V比にリンクする法則を確立することからなる予備校正操作と、様々な測定値Xと、Cを既知の構造定数とする関数C.Arctgの様々な対応値(G.V/V)との間の、複数の相対位置に関して求められる偏差が最小となるゲインGの値を判定することからなる予備最適化操作と、そのシステムの使用中に実施され、プローブおよび磁石の相対位置の測定値Xを関数C.Arctg(G.V/V)の値と比較することからなる後続実施操作とを含む。
【0036】
このような実施形態において、当業者は本明細書を読む際、予備校正および最適化操作は絶対位置を測定する関係システムをパラメータ化する方法に相当すると理解するであろう。
【0037】
さらに、構造定数Cは磁石の磁気ピッチによって定義され、角度Arctg(G.V/V)の対応する変動に対するプローブおよび磁石の相違位置の距離の比率を表す。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】その方向が連続的に変動する磁化を有する直方体磁石を含む測定システムの線図である。
図2図1の磁石の付近で測定される磁気誘導を示す図である。
図3a図2の誘導の比率に適用される係数の種類に応じて得られる計算電気角および非線形性の結果を示す図である。
図3b図2の誘導の比率に適用される係数の種類に応じて得られる計算電気角および非線形性の結果を示す図である。
図3c図2の誘導の比率に適用される係数の種類に応じて得られる計算電気角および非線形性の結果を示す図である。
図4】直方体磁石に関して、磁化が磁石の中央に接線方向である場合に適用される性能および補正パラメータをまとめた表を示す図である。
図5】直方体磁石に関して、磁化が磁石の中央に法線方向である場合に適用される性能および補正パラメータをまとめた表を示す図である。
図6a図6a、図6b、および図6cは、それぞれ、円盤状磁石を含む測定システムの線図、測定点の誘導、および非線形性に関する結果を示す。
図6b図6a、図6b、および図6cは、それぞれ、円盤状磁石を含む測定システムの線図、測定点の誘導、および非線形性に関する結果を示す。
図6c図6a、図6b、および図6cは、それぞれ、円盤状磁石を含む測定システムの線図、測定点の誘導、および非線形性に関する結果を示す。
図7a図7a、図7bおよび図7cは、それぞれ、管状磁石を有する測定システムの線図、測定点の誘導、非線形性に関する結果を示す。
図7b図7a、図7bおよび図7cは、それぞれ、管状磁石を有する測定システムの線図、測定点の誘導、非線形性に関する結果を示す。
図7c図7a、図7bおよび図7cは、それぞれ、管状磁石を有する測定システムの線図、測定点の誘導、非線形性に関する結果を示す。
図8a図8aおよび図8bは、それぞれ、タイルを含む第1測定システムの線図および非線形性に関する結果を示す。
図8b図8aおよび図8bは、それぞれ、タイルを含む第1測定システムの線図および非線形性に関する結果を示す。
図9a図9aおよび図9bは、それぞれ、タイルを有する第2測定システムの線図および非線形性の結果を示す。
図9b図9aおよび図9bは、それぞれ、タイルを有する第2測定システムの線図および非線形性の結果を示す。
図10】タイルを有する第3測定システムの線図を示す。
図11】多重周期リングを有する測定システムの線図を示す。
図12】一方向磁化であるが、運動の方向に依存して強度が変動する磁石を有する測定システムの線図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は、添付の図面を参照して、非制限的な実施形態の説明を読むとよりよく理解されるであろう。
図1は、直方体磁石(1)を備え、線形絶対位置を測定するためのシステムの第1実施形態の線図を示す。この実施例は、24mmに設定された比較的短い長さ(L)を有する磁石(1)で28mmにわたる線形位置センサを生成することに関わる。そのためこの構成の関心は素材およびバルクに関するゲインであり、したがってコストおよび質量である。この図1では、磁石(1)は5mmの幅(LA)および3mmの高さ(H)を有する。磁石(1)の幅および高さは高調波成分にほとんど影響せず、得られる信号の振幅にのみ影響することに留意するべきである。この磁石(1)は180°に近い角度で、磁石内部で連続的に変動する磁化方向で磁化される。この角度は非線形性に関して最適な結果を得ることができるように分析して判定されている。この磁石(1)の上、上面から3.5mmの距離(D)にあるのは、空間のその地点で、運動の方向に対して定義されるそれぞれ磁界の接線成分および法線成分の2つの垂直軸にわたる磁界の振幅BtおよびBnを検出できる磁気感度検出手段を内蔵するプローブ(2)である。前記検出手段は磁石(1)の対称面から寸法(LA)に沿ってシフトできるので、接線成分および法線成分よりも接線方向および軸方向の磁界成分を利用できるようになっていることに留意するべきである。
【0040】
図2は、図1の場合に、磁石(1)が検出手段(2)のホール素子に対するプローブの相対位置に応じて配置される点における、法線磁界成分(B)および接線磁界成分(B)の誘導測定の結果を示す。
【0041】
この構成では、接線信号および法線信号は、高調波成分が大きいため、特にエッジ効果によるが、より一般的には上記説明した様々な理由のために、90°移相した2つの曲線とは実質的に異なる。
【0042】
実際、図3aに図示するように位置を2つの成分間の逆正接計算に基づいて計算すると(米国特許第7741839号明細書に記述されるとおり)、または図3bに図示するように、欧州特許第1989505号明細書に記述されるとおり振幅Vmax/Vmaxの比率に等しい係数kを予め適用すると、著しく不正確になる。
【0043】
図3aでは、曲線POSは、ゲインを適用せずに、図2の信号比に適用される逆正接計算から計算される電気角、位置の像を示す。信号NLは、実際の機械的な位置に応じて、信号POSの非線形性を表す。見てわかるように、信号で得られる非線形性は+/−2.8%であるため、結果は不良である。
【0044】
図3bでは、逆正接の計算の前に、法線成分および接線成分に適用されるゲインは、その成分の振幅の比率に等しい。図2に従い、接線信号の振幅として433ガウス(433×10−4テスラ)および法線信号の振幅として660ガウス(660×10−4テスラ)を使用すると、このゲイン値はそのため0.65(433/660)に近い。経路にわたり成分の比率に適用されて逆正接計算により計算された位置POSkは、この比率では、NLkで示される非線形性+/−1.3%を有する。多くのアプリケーションでは、このような非線形性は受け入れられない。そのため当業者は前述の様々な技術を使用して非線形性を補正しようとするであろう。
【0045】
そのために、逆正接計算は、ホール効果素子によって検出される電気信号の比率、または振幅Vmax/Vmaxの単純な比率kによって重み付けされる信号には適用せず、本発明に固有のゲイン係数Gを使用して重み付けされる信号によって適用される。
【0046】
実際、これらの電気信号が変形正弦曲線で、純粋な正弦曲線ではない場合、このゲイン係数は、潜在的には振幅Vmax/Vmaxの比率に近いかもしれないが、常にその比率とは異なる。この係数の正確な値は、シミュレートして計算した磁化位置および実際の機械的な位置データに適用される最適化アルゴリズムによって判定する。磁化位置と機械的位置の値の偏差は最小化されて、測定システムの計算手段に使用されるゲイン係数Gを判定する。
【0047】
シミュレーションにより誘導場を求めることができない場合、またはプローブの位置決めの欠陥を補正しなければならない場合、実際の機械的位置に応じてプロトタイプで成分を測定し、機械的位置は校正済み位置センサを使用して測定する。上述のように、比率V/Vの逆正接によって計算される磁化位置値と機械的位置値の偏差をさらに最小化して、測定システムの計算手段のために使用されるゲイン係数Gを判定する。
【0048】
図3cは、まだ図1のシナリオであるが、本発明で提案する方法を適用した出力信号およびその信号の非線形性に関する結果を示す。信号POSGは、ゲインGを適用する接線成分および法線成分の像である電圧の比率の逆正接計算によって得られる信号を示す。0.76に等しいゲインGを適用する場合、NLGで示される得られる位置信号の非線形性はこのように+/−0.62%まで低下し、つまり振幅の比率のゲインのみで得られるものよりも2倍低い値となる。
【0049】
図1の実施形態に関係する実施例には、一切制限はない。磁石のサイズおよび測定条件が異なれば、異なる補正ゲイン値を使用する。
実施してきた様々な試験から、このゲインGは0.4kから0.98kの範囲の振幅の比率の値kより下、または1.02kから2.5kの範囲の値kより上のいずれかまで変化し、高調波成分が無視できない場合には、係数Gはkとは非常に異なることが分かっている。
【0050】
図4は、磁化方向が直方体磁石の中央に対して接線方向の場合に、28mmの経路で線形位置センサを探すために行われた試験をまとめた表を示しており、経路で得られる信号の非線形性に関して最善の結果を得るために、先行技術が推奨するゲインkと最適な補正ゲインGとを法線成分および接線成分の比率に適用した結果の変化および差を示す。最初の欄(寸法)は、検討された様々な幾何的学形状のケースの寸法を示す。それぞれ、これはその長さが20mmから32mmまで変化する直方体磁石を含む。2番目の欄(エアギャップ)は、磁石表面と検出手段との間の測定エアギャップまたは距離(D)を示す。3番目の欄は、接線方向の振幅(b)および法線方向の振幅(a)の比率に対応する先行技術の本発明に従い計算した係数kの変化を示す。4番目の欄は、本発明により推奨され、kの値のλ倍に等しい係数Gの変化を示す。5番目の欄は、λの値を示す。6番目の欄は、補正係数Gを使用して28mm経路にわたり得られる非線形性の値を示し、7番目の欄は先行技術の補正係数kを使用して得られる28mm経路にわたり得られる非線形性を示す。
【0051】
非制限的であるが代表的な実施例であるこれら具体的なケースのすべてが、そのそれぞれについて、先行技術の係数kで得られる非線形性は、kとは厳密に異なる係数Gを使用して実質的に改善できることを示している。
【0052】
図4のこの表は、特に、非常に良好な線形性を確保しながら、その長さが経路よりもはるかに短いセンサを生成できることを示している。「ケース5」の例を取り上げると、磁石の長さは20mmで、つまり28mmの経路よりもはるかに短い。先行技術で推奨される0.47の補正係数kを使用すると、得られる最善の非線形性は+/−9%である。この値は工業用の仕様とは相容れない。1.05の補正係数Gを使用すると、得られる最善の非線形性は+/−0.94%である。先行技術は磁石が経路よりもはるかに短いこのような構成の使用を禁じたが、本発明により推奨される補正係数を使用すると、解決方法を実行可能なものとすることができる。
【0053】
図5は、磁化方向が直方体磁石の中央に対して法線方向である場合に、28mm経路で線形位置センサを探すために行った試験をまとめた表を示す。図4の表ですでに示したものと同じ欄がこの表でも認められる。このため読者は、検討するシナリオに応じて、磁石(1)の中央に対して法線方向または接線方向に磁化を生成することの影響および重要性を観察できる。
【0054】
例えば、「ケース14番」を考えてみる。これは長さが24mmの磁石(1)で、そのため経路よりも短く、その測定距離は磁石の上6.5mmであり、つまり比較的大きな距離である。先行技術が推奨する0.52の補正係数kを使用すると、得られる最善の非線形性は+/−3.7%である。この値は工業用の仕様のほとんどと相容れない。1.30倍大きい、つまり0.69に等しい補正係数Gを使用すると、得られる最善の非線形性は+/−0.08%である。磁化方向が中央に対して接線方向である場合と比べて図4の表を見ると、0.87の係数Gの場合得られる最善の結果は+/−0.21%であることがわかる。このように、磁石(1)の中央に対して法線方向に磁化を生成することによって、磁石から著しく離れて作用する可能性を保ち、最小限の非線形性および非常に厳密な仕様への適合性を確保しながら、磁石(1)のサイズを最小限にしたセンサが得られる。
【0055】
さらに表5で、別の実施形態を検討する。「ケース20」は、磁石が経路よりも大きいケース(長さ32mm)を表す。磁石から3.5mmの距離離れて作用させることによって、非線形性を0.48の係数kの場合の+/−4.6%から、0.3の補正係数Gの+/−0.29%の非線形性になるまで改善できる。このように、磁石が経路よりも長さが長い場合でも、精度が改善されたセンサを生成することが可能である。
【0056】
図5のこの表は有利なことに、制約条件が厳しい場合に特に最適なケースを判定することを可能にする。「ケース21番」は、測定エアギャップが小さく(2mm)、磁石(1)が経路よりもはるかに短い長さである(28mmの経路に対して20mm)ケースに相当する。その場合、エッジ効果は大きく、プローブ(2)と磁石(1)との近接性のために高調波成分が非常に豊富になる。先行技術の0.55の補正係数kで得られる最善の非線形性は+/−6%であるが、0.31の補正係数Gで得られる非線形性は+/−0.6%に等しい。このように、より小型の磁石を備え、小さい測定エアギャップで作用する高精度センサを生成してきた。
【0057】
図6aは、円盤状磁石で絶対角度位置を測定するためのシステムの第1実施形態の線図を示す。
その方向が磁石(1)の厚さに沿って連続的に変動する磁化は、360°回転を行う。プローブは、磁石(1)と同心でかつ磁石(1)の上にあり、プローブ(2)が磁石(1)に対して動くまたは磁石(1)がプローブ(2)に対して動く仮想経路を表す(S)で示される円に配置されている。絶対位置を計算するために使用される成分は、VおよびVで示され、磁界成分BtおよびBnの像である接線方向および法線方向の電気成分である。
【0058】
図6bでは、外径が20mm、内径が10mmおよび厚さが2.5mmの磁石(1)のケースの表面から3mmの距離(D)離れて配置されているプローブ(2)から見て360°の機械的な角移動にわたる成分BtおよびBnが図示されている。これらの信号は、成分に依存する三角形および台形歪みを生じやすいランクi=3の高調波を含むことがわかる。
【0059】
図6cでは、本発明により請求される係数Gの寄与を再び確認でき、先行技術の提案による+/−3.6%に対して、+/−0.4%のセンサの非線形性を得ることが可能である。さらに適用される係数は、2つの信号の振幅の単純な比率の場合の0.44に対して、0.67である。
【0060】
図7aは、管状磁石(1)で絶対角度位置を測定するためのシステムの第1実施形態の線図を示す。
プローブ(2)から見たその方向が磁石(1)内部で連続的に変動する磁化は、360°の全角経路にわたり360°回転を生じさせる。プローブ(2)は磁石(1)と同心に、(S)で示される円軌道上に配置されており、磁石(1)の高さ(H)に配置されると有利である。絶対位置を計算するために使用される成分は、VおよびVで示され、磁界成分BtおよびBnの像である接線方向および法線方向電気成分である。読み取り直径(S)の高さに応じて、センサの誘導振幅または精度のために軸方向成分(Va)および接線方向成分(V)を選ぶことが可能であるのが有利である。
【0061】
図7bは、360°の機械的な角移動にわたり、外径が7mm、内径が5mmおよび厚さが3.5mmの磁石(1)のケースの表面から3.16mmの距離(D)離れて配置されているプローブ(2)から見た成分BtおよびBnを示す。初めは完全な正弦波形プロファイルを有するように思われるこれらの曲線は、高調波成分が非常に低いことに気付くであろう。
【0062】
しかし、図7cは、本願発明の係数(G)と先行技術の係数(k)との差は小さいが、特に磁化ツールの形状および磁石の透磁率のために高調波成分が低いために1.03に等しいため、実際にはその寄与は、+/−0.3%から+/−0.4%に改善されているセンサの非線形性に関して注目すべきであることを示している。
【0063】
図8aは、タイル磁石で絶対角度位置を測定するためのシステムの第1実施形態の線図を示す。
磁化方向は磁石(1)内部で運動の方向に沿って連続的に変動し、調査される総角度経路は80°である。プローブ(2)は磁石(1)の前に、磁石(1)の外径よりも大きい直径に対応する軌道(S)に、磁石(1)に同心状に配置されており、磁石(1)の高さ(H)に配置されると有利である。絶対位置を計算するために使用される成分は、VおよびVで示され、磁界成分BtおよびBnの像である接線方向および法線方向の電気成分である。読み取り直径(S)の高さに応じて、センサの誘導振幅または精度のために軸方向(Va)および接線方向(V)の成分を選ぶことが可能であるのが有利である。
【0064】
図8bは、先行技術による係数kの使用と比較して、本発明によるゲインGの使用によって得られる改善を示す。90°、100°および120°の扇状磁石の長さ(1)について、それぞれ得られる最善の非線形性は、+/−4%から+/−1%、+/−1.51%から+/−0.65%、および+/−0.9%から+/−0.39%になる。
【0065】
図9aは、タイル磁石で絶対角度位置を測定するためのシステムの第2の実施形態の線図を示す。
磁化方向は磁石(1)の内部で移動方向に連続的に変動し、調査される総角度移動は40°である。プローブ(2)は磁石(1)の前に、磁石(1)から距離(D)離れて、円形軌道(S)の弧に、磁石(1)に同心状に配置されている。絶対位置を計算するために使用される成分は、VおよびVで示され、磁界成分BtおよびBnの像である接線方向および法線方向の電気成分である。読み取り直径(S)に応じて、センサの誘導振幅または精度のために軸方向成分(Va)および接線方向成分(V)を選ぶことが可能であるのが有利である。
【0066】
図9bは、先行技術の係数kの使用と比較して、本発明によるゲインGの使用により得られる改善を示す。30°、40°、50°および70°の扇状磁石(1)の長さについて、それぞれ得られる最善の非線形性は、+/−2.53%から+/−0.14%、+/−5.3%から+/−0.13%、+/−3.7%から+/−0.45%、および+/−0.24%から+/−0.04%になる。
【0067】
図10は、タイル磁石で絶対角度位置を測定するためのシステムの第3の実施形態の線図を示す。その場合、プローブ(2)は、磁石(1)の曲線半径に同心であるが、前記曲線半径よりも小さい半径上の軌道(S)に配置されている。実際、曲線半径よりも半径が小さい軌道(S)は、軌道(S)が磁石(1)の曲線半径よりも大きい半径を有する場合よりも、展開される運動が著しく小さいことから、適用される補正係数に関して異なる結果を生じる。
【0068】
図11は、その方向が連続的に変動する多極磁化を有するリング磁石(1)から構成される本発明によるセンサ構成を示す。実際に、リングは機械的角度72°で5つの磁化周期を有することを確認することが可能である。各周期中、磁化方向の回転が360°に等しいことを確認できる。このように磁石の表面付近に配置されているプローブ(2)は、磁石がプローブに対して回転するとき、またはプローブが磁石に対して回転するとき、5つの周期にわたる角度位置を解読することを可能にする。したがって位置センサはもはや360°の回転角度で絶対位置を提供するのではなく、72°の周期にわたる絶対位置を提供する。この種の多極磁石構成は、例えば、モータの電気周期にわたる絶対位置を提供することを可能にする。コーダーの精度はモータの出力または後者が提供する動的なトルクの安定性に影響する。本発明は適応ゲインを使用することによってこれら2つの要因を改善することを可能にする。
【0069】
図12は、磁化タイプの代替例を示す。その方向が連続的に変動する磁化と違い、ここで提案される磁化は、センサの運動に対応する一方向に従い連続的に変動する磁化振幅の変調によって行う。ここでも、この磁化で準正弦波電気信号を得ることが可能だとしても、逆正接を計算する前に測定される2つの信号の振幅の比率とは異なるゲインを導入しても精度は高まらない。
【0070】
このような実施形態において、また当業者は本明細書を読むと理解するように、予備校正および最適化操作は、関係する絶対位置測定システムをパラメータ化する方法にあたる。
【0071】
さらに、構造定数Cは磁石の磁化ピッチによって定義され、プローブと磁石の相対的な運動の距離と、角度Arctg(G.V/V)の対応する変化量との比率を表す。
ここで概説し、いくつかの実施例にわたり例証してきた本発明は、当然運動の一方向のセンサに制限されない。運動の方向について上記説明してきたものと同じ原理に基づいて、2方向の運動を追従するセンサ(2Dセンサと呼ばれる)は、測定点で生まれる磁界の3つの成分(接線方向および2つの法線方向)を使用することによって1つまたは複数のプローブを使用して作ることができる。
図1
図6a
図7a
図8a
図9a
図10
図11
図12
図2
図3a
図3b
図3c
図4
図5
図6b
図6c
図7b
図7c
図8b
図9b