特許第6043722号(P6043722)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6043722鶏卵を生産する方法、鶏卵、およびそれに用いる養鶏用飼料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043722
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】鶏卵を生産する方法、鶏卵、およびそれに用いる養鶏用飼料
(51)【国際特許分類】
   A01K 67/00 20060101AFI20161206BHJP
   A23K 50/75 20160101ALI20161206BHJP
   A23K 10/16 20160101ALI20161206BHJP
【FI】
   A01K67/00 501
   A23K50/75
   A23K10/16
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-531284(P2013-531284)
(86)(22)【出願日】2012年8月24日
(86)【国際出願番号】JP2012071470
(87)【国際公開番号】WO2013031691
(87)【国際公開日】20130307
【審査請求日】2015年7月1日
(31)【優先権主張番号】61/527,660
(32)【優先日】2011年8月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506359060
【氏名又は名称】有限会社メイショウ
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】御手洗 薫
【審査官】 竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/095463(WO,A1)
【文献】 特開平09−056337(JP,A)
【文献】 特開平08−333263(JP,A)
【文献】 特開2006−027591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 67/00
A23K 10/00 − 50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
品質および生産性が向上した鶏卵を生産する方法であって、
MRE共生菌群の胞子形成に伴う細胞融解で生じる免疫賦活物質を養鶏用飼料に添加して得られる添加飼料、及び/又は当該免疫賦活物質を飲料水に添加して得られる添加飲料水を採卵鶏に給餌する工程
を有し、前記免疫賦活物質は、前記MRE共生菌群を培養し、得られた培養液を飢餓状態におくことにより当該共生菌群を内胞子化させ、さらにその培養液から当該内胞子化された共生菌群を含む不純物を除去することによって得られるものである、
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、
前記品質の向上が、ハウユニット、黄身の高さ、卵殻強度の向上である
ことを特徴とする、方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、
前記生産性の向上が、死鶏率の改善、産卵率の向上、破卵率の減少である
ことを特徴とする、方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、
前記採卵鶏は、白色レグホン、さくら、もみじ、イサ・ブラウン、デカルブ・ワーレン
・セクサルリンク、ハーバード・コメット、シェーバー・スタークロス、ハイセックス・
ブラウン、ハイライン・ブラウン、横斑プリマスロック、ロードアイランド・レッド、ホ
シノクロス、ノーリン・クロス、名古屋コーチン、ロックホーン、白色プリマスロック、
ミノルカ、アローカナ、及び烏骨鶏からなる群から選択されるものである
ことを特徴とする、方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、
前記免疫賦活物質は、点滴装置により前期飲料水に添加されるものである
ことを特徴とする、方法。
【請求項6】
品質および生産性が向上した鶏卵を生産するための養鶏用飼料を生成する方法であって、
養鶏用飼料に、MRE共生菌群の胞子形成に伴う細胞融解で生じる免疫賦活物質を添加する工程
を有し、前記免疫賦活物質は、前記MRE共生菌群を培養し、得られた培養液を飢餓状態におくことにより当該共生菌群を内胞子化させ、さらにその培養液から当該内胞子化された共生菌群を含む不純物を除去することによって得られるものである、
ことを特徴とする、方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、養鶏用飼料および鶏卵の生産方法に関する。特に、高品質であり且つ生産性が向上した鶏卵を得るための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鶏を含む家禽類の卵の品質を向上させ、また生産性を向上させるために、その飼料の改良について様々な工夫がなされてきた。例えば、ビタミンB6を飼料に添加したり、また抗酸化作用を持つ茶エキス、ポリフェノール、イソフラボンアグリコン、梅酢などを飼料に添加したりすることにより、鶏の生存飼育率、産卵率、卵のハウユニット、殻の強度などの卵の品質や生産性を上げる試みがなされている(特許文献1〜5を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−56585号
【特許文献2】特開平8−266230号
【特許文献3】特許第4302895号
【特許文献4】特開2002−330707号
【特許文献5】特開2005−73651号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、これらの従来の方法はいずれも、抗酸化栄養素を含む栄養物を飼料に添加することにより、その飼料自体を富栄養化させ、その富栄養化した飼料を食べた鶏が生産した卵の栄養価も高くなるという原理に基づいている。すなわち、単に栄養価の高い飼料を給餌することで卵の栄養価を高めるものであり、鶏が生来有する卵の生産能(より栄養価の高い卵を生産する能力やより高品質の卵を生産する能力など)を高めるものではなかった。
【0005】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、卵生産のための養鶏について従来の飼料や飼育法を大幅に変更せずに品質の高い卵を生産可能とするとともに、その生産性を向上させる方法を提供することを目的とする。また、本発明は、本願発明の免疫賦活物質を、養鶏用飼料だけではなく飲料水に添加することによっても、高品質の卵を生産させ、また生産性を向上させる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、MRE共生菌群の胞子形成に伴う細胞融解で生じる免疫賦活物質が養鶏の生命力を高め、上記課題を効果的に解決し得るという知見に基づくものである。本発明者らは、MRE共生菌群の免疫賦活物質を約10000倍に希釈して鶏に飲ませたところ、卵を産まなくなった鶏が再び卵を産むようになり、その卵のハウユニットや卵の殻の強度が著しく改善されたという事実を発見し、また同時に、飼育中の病気感染が少なくなり死鶏率も著しく減少することも見出した。
【0007】
したがって、本発明の第一の主要な観点によれば、品質および生産性が向上した鶏卵を生産する方法であって、MRE共生菌群の胞子形成に伴う細胞融解で生じる免疫賦活物質を養鶏用飼料に添加して得られる添加飼料、及び/又は当該免疫賦活物質を飲料水に添加して得られる添加飲料水を採卵鶏に給餌する工程を有し、前記免疫賦活物質は、前記MRE共生菌群を培養し、得られた培養液を飢餓状態におくことにより当該共生菌群を内胞子化させ、さらにその培養液から当該内胞子化された共生菌群を含む不純物を除去することによって得られるものである、ことを特徴とする、方法が提供される。
【0008】
このような構成によれば、鶏が生産する卵の品質と、その生産性を著しく改良することができる。また、本発明によれば、鶏が有する自然免疫による抗菌、抗ウイルス、抗真菌作用等を強化することができる。そしてこれにより鶏が生来有する卵の生産能を高めることができる。
【0009】
また、本発明の一実施形態によれば、このような方法において、前記品質の向上は、ハウユニット、黄身の高さ、卵殻強度の向上である。
【0010】
また、本発明の別の実施形態によれば、このような方法において、前記生産性の向上は、死鶏率の改善、産卵率の向上、破卵率の減少である。
【0011】
また、本発明の他の実施形態によれば、このような方法において、前記採卵鶏は、白色レグホン、さくら、もみじ、イサ・ブラウン、デカルブ・ワーレン・セクサルリンク、ハーバード・コメット、シェーバー・スタークロス、ハイセックス・ブラウン、ハイライン・ブラウン、横斑プリマスロック、ロードアイランド・レッド、ホシノクロス、ノーリン・クロス、名古屋コーチン、ロックホーン、白色プリマスロック、ミノルカ、アローカナ、及び烏骨鶏からなる群から選択されるものである。
【0012】
また、本発明の更に他の実施形態によれば、このような方法において、前記免疫賦活物質は、点滴装置により前期飲料水に添加されるものである。
【0013】
本発明の第二の主要な観点によれば、養鶏用飼料であって、MRE共生菌群の胞子形成に伴う細胞融解で生じる免疫賦活物質を添加して得られるものであり、前記免疫賦活物質は、前記MRE共生菌群を培養し、得られた培養液を飢餓状態におくことにより当該共生菌群を内胞子化させ、さらにその培養液から当該内胞子化された共生菌群を含む不純物を除去することによって得られるものである、ことを特徴とする、養鶏用飼料が提供される。
【0014】
さらに、本発明の第三の主要な観点によれば、上述の方法によって生産された鶏卵が提供される。
【0015】
なお、上記した以外の本発明の特徴及び顕著な作用・効果は、次の発明の実施形態の項を参照することで、当業者にとって明確となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本願発明に係る一実施形態および実施例を説明する。
本発明は、上述したように、MRE共生菌群の胞子形成に伴う細胞融解で生じる免疫賦活物質を養鶏用飼料や飲料水に添加し、その添加した飼料や飲料水を鶏に給餌することで、品質および生産性が向上した鶏卵を生産するものである。すなわち、本発明は、栄養補助剤などを飼料に混ぜて栄養補給するという従来の方法とは異なり、単にMRE由来の免疫賦活物質を適宜希釈して、飼料や飲料水に添加するだけで、鶏自体が有する卵生産能を強化し、高品質の鶏卵の生産を可能としている。
【0017】
これは、抗酸化栄養素を含む栄養物を飼料に混入するという従来の方法とは異なり、鶏自体の自然免疫を活性化させるという方法によって、病気で死ぬ鶏が少なくなり、産卵率が改善され、ハウユニットの著しい増加や卵殻強度および卵黄高の増加を含む卵品質の向上が得られるという養鶏技術を確立するものである。本願発明に係る方法では、自然免疫活性化物質であるMRE由来の免疫賦活物質を少量与えれば良いため、鶏の飲用水に希釈混合するだけで高品質の鶏卵の生産を可能とする。
【0018】
自然免疫活性化物質であるMRE由来の免疫賦活物質を与えると、I型のインターフェロンであるインターフェロンαとインターフェロンβといういわゆるSOS物質の産生が活発になる。そして上皮細胞や好中球などの食細胞からαディフェンシンやβディフェンシンを始めとする様々な抗菌物質の分泌が活性化され、ウイルス、バクテリア、カビなどの病原菌に対する抗菌力が強化される。これにより死鶏率の減少が達成される。
【0019】
表1は、ヒトの血液を使ってMRE由来の免疫賦活物質によるI型のインターフェロン産生を測定したものである。鶏の場合は体温が著しく高いため、I型のインターフェロンやI型のインターフェロンによって刺激されて放出される抗菌物質もヒトより遥かに多いと考えられている。
【0020】
【表1】
【0021】
なぜ鶏の自然免疫を活性化させると、産卵率、ハウユニット、卵殻強度、卵黄高の増加等がみられるのかについては、2つの理由が考えられる。
【0022】
1つは、鶏を含む鳥類の体温が哺乳類より著しく高い点である。例えば、ヒトの平熱は約36.5℃であるのに対し、鶏の平熱は約42℃もある。他の哺乳類でも39℃以下である。42℃といえばヒトでは危険水準の体温である。
【0023】
自然免疫のメカニズムの中には、分子レベルでのスイッチングによって老朽化した細胞内器官をリソゾーム酵素によって分解するオートファジーという仕組みが作動することが分かっている。例えば、効率の悪い老朽化したミトコンドリアがリソゾーム酵素によって分解され、新しいミトコンドリアに入れ替わる仕組みが明らかにされている。このリソゾーム酵素は、温度が高い領域で活発になることが知られている。普通の消化酵素では著しく分解力が低下する40℃〜65℃でその分解力が最大になる。したがって、鳥類の場合、MRE由来の免疫賦活物質の働きでリソゾーム酵素が哺乳類よりも活発に作用し、その分解力を高めることになる。すなわち、鶏の体温が高いことがMRE由来の免疫賦活物質の効果を高めていることになる。
【0024】
もう1つの理由は、卵子の細胞に含まれるミトコンドリアの数の多さである。通常の筋肉の細胞1つに含まれているミトコンドリアの数は、500〜2000個と言われている。これに対して、1つの卵子の細胞に含まれているミトコンドリアの数は、数万〜20万個と言われている。ATPを産生するエネルギー工場であるミトコンドリアが卵細胞に著しく多いということは生命誕生にいかに莫大なエネルギーが必要かを暗示している。
【0025】
本願のMRE由来の免疫賦活物質は自然免疫系を活性化すると共に、卵子の細胞内の老朽化した働きの悪いミトコンドリアを分解除去し、若いミトコンドリアの再生を促す働きをする。もともと鶏の卵巣には約3万個の卵細胞があり、それが成熟して卵として産み落とされるが、通常1羽の雌鶏は300〜320個の卵を産み落とし、産卵率が悪くなり、廃鶏されてしまう。卵細胞のミトコンドリアにMRE由来の免疫賦活物質が適用された場合、若いミトコンドリアによってATP合成が活性化され、卵細胞の生命力が高まるため、産卵率が高まり、高品質の卵が生産される。
【0026】
このため、本願発明に係る方法によって生産された鶏卵は、ハウユニット、卵殻強度、卵黄高が増加し、通常の卵以上の鮮度を保つことができる。
【0027】
本願発明に係る「免疫賦活物質」は、好気性の細菌類であるMRE共生菌群の菌体を3000Da以下(好ましくは1000Da〜300Da)の低分子領域まで母細胞融解酵素群やリソゾーム酵素群によって分解することで得られる。
【0028】
ここで、MRE共生菌群は、バシラスsp.(Bacillus sp.)(FERM BP−11209、識別番号MK−005)、リシニバシラス フシフォルミス(Lysinibacillus fusiformis)(FERM BP−11206、識別番号MK−001)、バシラス ソノレンシス(Bacillus sonorensis)(識別番号MK−004)、リシニバシラスsp.(Lysinibacillus sp.)(FERM BP−11207、識別番号MK−002)、及びコマモナスsp.(Comamonas sp.)(FERM BP−11208、識別番号MK−003)から成るものであり、いずれも好気性の細菌類である。
【0029】
本発明では、MRE共生菌群を培養し、その内胞子化(スポア化)を促進することで母細胞融解酵素群を誘導させ菌体の低分子分解を行う。具体的には、まずMRE共生菌群の培養液を、培養PH6.0〜6.8、培養温度25℃〜30℃で、エアレーションにより溶存酸素濃度0.1mg/L〜1.0mg/Lの培養条件下で液体培養する。菌の栄養物としては、魚粉・米ぬか・油カス・肉汁および硫酸マグネシュウムやシリカなどを含むミネラルを与える。混合菌群の場合は、菌相互の安定な共生関係を構築するのを待つ。
【0030】
菌の培養が安定化したら、その栄養細胞状態にある菌群を別の曝気培養槽に分別し培養を続ける。つぎに分別した曝気培養槽でエアレーション(曝気)を続行しつつ、シリカを除く一切の栄養を絶ち飢餓状態下に置く。残存栄養物がなくなる頃、窒素成分の枯渇をトリガーにスポア化(内胞子化)が起こり、液が透明化してゆく。スポア化が完了したことを確認した上で、エアーレーション(酸素供給)を止め暫く静置するとスポア(内胞子)は一斉に沈殿を始め透明な上澄み液を得る。こうして得られた上澄み液を0.2μmのメンブレンで濾過することにより、残存した極微量の培養細胞と残存浮遊する内胞子(スポア)とを除去し、養鶏用の自然免疫リガンドとなる免疫賦活物質の原液を得る。必要に応じて、さらに0.02μのフィルターで濾過しても良い。本願発明に係る方法においては、上澄み液、メンブレン濾過液、0.02μのフィルターで濾過のいずれも利用できる。
【0031】
例えば、MRE共生菌群(MK−001、MK−002、MK003、MK−004、MK−005)の培養液1mを同一形状の1.2mの2つの培養曝容器に入れ、溶存酸素濃度0.5mg/L〜1.2mg/Lになるようにエアレーション(曝気)を行う。その一つを培養細胞槽、他の一つをスポア化槽と呼ぶ。培養細胞槽には、魚粉500g、米ぬか500g、油カス250g、肉汁50gを最小限の栄養物として与え培養PH6.0〜6.8および培養温度25℃〜35℃の培養条件下でエアレーションを加え培養を続行した。一方、スポア化槽では一切の栄養を絶って飢餓状態下に置き、さらに25℃〜35℃の条件下でエアレーションを加え続けると窒素成分の枯渇をトリガーに内胞子化が始まる。培養液の透明度が増すのを待ってエアレーション(酸素供給)を止めると、内胞子は一斉に沈殿を始め透明な溶液になる。この溶液を0.2μmのメンブレンで濾過し、さらに0.02μmのフィルターにかけたものを、再度良く洗浄したスポア化槽に入れて、分解力実験の準備を整える。ここで、MRE菌をスポア化した液からフィルターによって残存母細胞とスポアを除去したものをMRE濾過液と呼ぶことにする。従って、MRE濾過液には菌もスポアもほとんどない状態といえ、当該MRE濾過液には免疫賦活物質が存在する。本発明は、この免疫賦活物質を利用するものである。
【0032】
本願発明において、上述の溶液に適用するメンブレン及びフィルターの大きさは特に制限されるものではない。例えば、メンブレンは1μm、0.7μm、0.5μm、0.3μmであっても良く、好ましくは0.2μmである。また、フィルターは、0.15μm、0.1μm、0.07μm、0.05μm、0.03μmであっても良く、好ましくは0.02μmである。
【0033】
また、本願発明においては、上述の2つの培養細胞槽とスポア化槽を使用して、両方とも溶存酸素濃度0.5mg/L〜1.2mg/Lになるようにエアレーション(曝気)を行いつつ、以下の実験を行っている。
【0034】
こうして得られた自然免疫を活性化する免疫賦活物質を含有するMREを原料とする溶液は、養鶏の飲み水に混入されて1倍〜10000倍、好ましくは100〜5000倍、さらに好ましくは1000倍〜3000倍に希釈されて使用されるが、好ましい効果が得られるものであれば特に限定されるものではない。具体的には、鶏1羽が1日に飲用する水の量は約300mlであるため、1羽あたり0.03ml〜0.6ml、好ましくは0.1ml〜0.15mlの前記MREを原料とする溶液を300mlの飲用水に混入または点滴混入するようにする。例えば1万羽であれば、3000Lの飲用水に1L〜1.5Lの前記溶液を混入または点滴するようにすればよい。また、本願の免疫賦活物質含有溶液は点滴装置により飲料水に添加されることができ、点滴によって濃度調整をするためには点滴の袋を交換するだけで済むため、極めて効率的ある。
【0035】
従来の方法では、例えば梅酢を使用した方法でも1日1羽あたり2.5gの梅酢を飼料に混入する必要があるため、1万羽では1日250kgもの梅酢を混入しなければならず、また酢特有の臭いもある。この点、本願発明に係るMRE由来の溶液は無味無臭の液体であるため、鶏による選り好みがない。しかも、1万羽分を用意しても1Lの量で済み、自然免疫を活性化するため、優れた副次効果も期待できる。
【0036】
この副次効果により、病死する鶏をほとんどなくすことが可能となり、ケージの広さを改良するだけで死鶏率もゼロに近づけることが可能となる。実際に、広いケージを備えた北京郊外の養鶏場で約8120羽の鶏に対して本願発明に係る免疫賦活物質を飲み水に添加して給餌したところ、病死および事故死した鶏の数が0であった。
【0037】
また本願発明に係る方法では、上述のようにして得られた免疫賦活物質を含有する溶液を、養鶏用飼料に添加することによっても達成される。この際、養鶏用飼料全体に対する免疫賦活物質の濃度は、上記した飲料水の場合と同じように調整し得る。
【0038】
また、ニワトリ以外にも、ウズラ、アヒル、ハト、ダチョウ等の他、その産生する卵を食用として利用可能な鳥類に対して、本願発明に係る免疫賦活物質を用いて卵の品質と生産性を向上させることができる。
【0039】
また、本願発明において、卵の品質と生産性を向上させることができるニワトリとしては、白色レグホン、さくら、もみじ、イサ・ブラウン、デカルブ・ワーレン・セクサルリンク、ハーバード・コメット、シェーバー・スタークロス、ハイセックス・ブラウン、ハイライン・ブラウン、横斑プリマスロック、ロードアイランド・レッド、ホシノクロス、ノーリン・クロス、名古屋コーチン、ロックホーン、白色プリマスロック、ミノルカ、アローカナ、烏骨鶏、等の種類のニワトリが含まれるが、これらに限られるものではない。
【実施例】
【0040】
上述の通り、本願発明に係る方法によって、卵の品質と生産性が著しく改良されるばかりか、卵の味が良くすることができる。具体的には、死鶏率の減少、産卵率と産卵日数の増加、ハウユニットの向上、卵殻強度の増加、卵黄高の増加、箸で卵黄を摘める経過日数などが改善される。以下に具体例を説明する。
【0041】
実施例1
死鶏率の減少
通常の飼育方法(「通常飼育」と称する)と本願発明に係る飼育方法(「MRE飼育」と称する)を用いて、それぞれ100,290羽の鶏を飼育した。飼育300日目において、通常飼育では5,721羽の死鶏(死鶏率5.7%)が発生したが、MRE飼育では1,685羽(死鶏率1.7%)の死鶏しか発生しなかった。これにより本願のMRE由来の免疫賦活物質により死鶏率が大幅に減少したことがわかる。しかも、MRE飼育による鶏の死因は病死によるものがゼロであった。よって、ケージの広さを広くすることで、死鶏率をゼロに近づけることが可能となる。
【0042】
実施例2
産卵率と産卵日数の増加
卵を産まなくなった鶏に本願のMRE由来の免疫賦活物質を与えると、再び卵を産むようになった。産卵率は約5%増加した。
【0043】
実施例3
卵の品質の向上
白色レグホン20羽を2群A群(10羽)とB群(10羽)に分け、B群の飲料水にMRE由来の免疫賦活物質の溶液を、最初の1か月は1000倍希釈になるように、2か月目からは3000倍希釈になるように点滴装置により混入して与えた。
【0044】
記録はA群とB群が産んだ卵を2か月間9回にわたり採取して、そのハウユニット、卵殻強度、黄身の高さ、黄身の色、卵の重さについて計測および記録し、集計した。
【0045】
その集計結果を表2に示し、以下に説明する。
【0046】
1.ハウユニット(HU)の向上:表2に示したように比較例(通常飼育)ではHU値は平均79.1であるのに対し、MRE飼育によって産卵された卵のHU値は平均87.9であり、最大の平均では93.4と著しく増加している。
【0047】
2.卵黄高の増加:表2に示したように卵黄の高さは、比較例(通常飼育)では6.4mmであるのに対し、MRE飼育によって産卵された卵では7.9mmであり、最大の平均では9.0mmと著しく高くなっている。
【0048】
3.卵殻強度の増加:表2に示したように卵殻強度は、比較例(通常飼育)では4.0kg/cmであるのに対し、MRE飼育によって産卵された卵では4.4kg/cmであり、最大の平均では5.1kg/cmと強度が著しく強化されている。
【0049】
4.箸で卵黄を摘める経過日数:比較例(通常飼育)では2〜3日目には卵黄は箸で摘まめなくなるが、MRE飼育によって産卵された卵では6日たっても箸で摘まめるようになった。
【0050】
【表2】
【0051】
実施例4
死鶏率の減少、産卵率の増加、破卵率の減少
15万5千羽を養鶏して卵を生産している養鶏場の鶏舎2棟を使用して比較試験を実施した。それぞれの鶏舎において雌鶏6400羽ずつ同条件で飼育し、一方(A群)の鶏舎の飲用水は通常の水を、他方(B群)の鶏舎の飲用水にはMRE由来の免疫賦活物質の溶液を最初の1か月は1000倍希釈になるように、2か月目からは3000倍の希釈になるように点滴装置により混入した。6400羽の雌鶏は1日平均約1860Lの水を飲むため、MRE由来の免疫賦活物質の溶液を最初の1か月目は1日1.9Lを、2か月目からは1日620mlをB群の鶏舎の飲み水に混入投与した。
【0052】
その結果、通常飼育A群の年間の死鶏率は6.94%であったのに対し、MRE飲み水を与えたB群の年間の死鶏率は2.19%と著しく減少した。また、B群の死因は病死のものがほとんどなく、ケージが狭いことに起因する事故死がその多くの原因であった。
【0053】
産卵率も平均で5.2%上昇した。飼育開始後380日を過ぎた時点で、A群の産卵率は71.3%を下回ったが、B群の産卵率は82.6%を維持していた。破卵率もA群が年間2.2%であったのに対して、B群では1.0%であった。
【0054】
実施例5
免疫賦活物質の製造
MRE共生菌群の培養は、好気性グラム陽性菌の一般的な培養方法で培養を行う。1.2立法メ−トルの培養曝気槽に1000リットルの水と入れエアレーション(曝気)を行う。その培養曝気槽に魚粉3kg、米ぬか3kg、油カス1.6kg、肉汁350gを栄養物として与え、さらに硫酸マグネシュウムやシリカなどのミネラルを適量加える。さらに菌体を投入し、培養PH6.0〜6.8および培養温度25℃〜35℃の培養条件下で、かつ溶存酸素濃度0.5mg/L〜1.2mg/Lになるようにエアレーション(曝気)を加えながらMRE共生菌培養する。
【0055】
菌の十分な増殖と安定化を待って、MRE共生菌群の一切の栄養を絶って飢餓状態下に置き、さらに15℃〜35℃の条件下でエアレーションを加え続けると窒素成分の枯渇をトリガーにMRE共生菌群の内胞子化が始まる。培養液の透明度が一気に増すのを待ってエアレーション(酸素供給)を止めると、内胞子は一斉に沈殿を始め透明な上澄み液を得る。
【0056】
こうして得られた上澄み液をさらに0.2μのメンブレンで加圧ろ過し、免疫賦活物質を含有したMRE分解液を得る。エアレーションを止めるタイミングは、また、位相差顕微鏡でスポア化が完了したことを確認した上で行うことができる。
【0057】
その他、本発明は、さまざまに変形可能であることは言うまでもなく、上述した一実施形態に限定されず、発明の要旨を変更しない範囲で種々変形可能である。