特許第6043727号(P6043727)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6043727強化されたマイクロキャピラリーフィルムおよびフォーム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043727
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】強化されたマイクロキャピラリーフィルムおよびフォーム
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/18 20060101AFI20161206BHJP
   C08J 9/04 20060101ALI20161206BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20161206BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20161206BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   C08J5/18CER
   C08J5/18CEZ
   C08J9/04
   B32B5/18 101
   B32B27/00 Z
   C08L101/00
【請求項の数】7
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-547724(P2013-547724)
(86)(22)【出願日】2012年1月3日
(65)【公表番号】特表2014-503015(P2014-503015A)
(43)【公表日】2014年2月6日
(86)【国際出願番号】US2012020078
(87)【国際公開番号】WO2012094317
(87)【国際公開日】20120712
【審査請求日】2014年12月4日
(31)【優先権主張番号】61/429,407
(32)【優先日】2011年1月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ザラミー バスティッロ,ルイス ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ボンガルツ,ハーバート
(72)【発明者】
【氏名】コープマンズ,ルドルフ ジェー.
【審査官】 大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−514566(JP,A)
【文献】 特開平10−176310(JP,A)
【文献】 特表2000−508270(JP,A)
【文献】 特開昭56−056858(JP,A)
【文献】 特開2001−018310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/00 − 5/24
B32B 1/00−43/00
B29C 47/00−47/96
C08J 9/00− 9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部および第2の端部を有する強化されたマイクロキャピラリーフィルムまたはフォームであって、前記フィルムまたはフォームが、
(a)第1の熱可塑性材料を含むマトリックスと、
(b)前記フィルムの第1の端部から第2の端部まで、前記マトリックス中に平行に配置された2つ以上のチャネルであって、お互いに少なくとも1μm離間しており、円形、長方形、星形、ひし形、三角形、正方形およびそれらの組み合わせからなる群より選択される断面形状を有し、それぞれが2〜1998μmの範囲の直径を有する、2つ以上のチャネルと、
(c)前記2つ以上のチャネル中に配置された、第1の熱可塑性材料とは異なる第2の熱可塑性材料と
を含み、
前記フィルムまたはフォームが、前記フィルムまたはフォームの総体積に対して20〜90体積パーセントの空隙率を有し、総空隙率体積に対して50〜100体積パーセントの第2の熱可塑性材料を含み、
前記フィルムまたはフォームが、フィルムまたはフォームの厚さとチャネルの直径の比が2:1から400:1の範囲になるような厚さを有する、
フィルムまたはフォーム。
【請求項2】
前記第1の熱可塑性材料が、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンビニルアルコール(PVOH)、ポリ塩化ビニル、ポリ乳酸(PLA)、およびポリエチレンテレフタレートからなる群より選択される、請求項1に記載のフィルムまたはフォーム。
【請求項3】
前記ポリオレフィンが、ポリエチレンまたはポリプロピレンである、請求項2に記載のフィルムまたはフォーム。
【請求項4】
前記ポリアミドがナイロン6である、請求項2に記載のフィルムまたはフォーム。
【請求項5】
前記第2の熱可塑性材料が、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンビニルアルコール(PVOH)、ポリ塩化ビニル、ポリ乳酸(PLA)、およびポリエチレンテレフタレートからなる群より選択される、請求項1に記載のフィルムまたはフォーム。
【請求項6】
請求項1に記載のフィルムまたはフォームを備える多層構造体。
【請求項7】
請求項1に記載のフィルムまたはフォームを備える物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、強化されたマイクロキャピラリーフィルムおよびフォームに関する。
【0002】
発明の背景
ポリマー性フィルムおよび/またはフォームの機械的特性を改良するために繊維質材料を使用することは、一般的に知られている。さらに、ポリマー性フィルムおよび/またはフォーム中に組み入れられるこれらの繊維質材料の長さが増すに従い、そのような機械的特性も向上することが一般的に知られている。ポリマー材料中に組み入れられたガラス繊維もしくは炭素繊維に対して引き抜き成形法を用いることにより、そのようなポリマー材料が強化されることも一般的に知られている。しかしながら、現在利用可能な技術は、様々な最終用途において必要とされる機械的特性のすべてを満たすことはできない。
【0003】
したがって、そのようなポリマー材料を強化する研究努力にもかかわらず、改良された機械的特性を有する強化されたマイクロキャピラリーフィルムおよび/またはフォームが、依然として必要とされている。
【0004】
発明の概要
本発明は、強化されたマイクロキャピラリーフィルムおよび/またはフォームを提供する。本発明の強化されたフィルムおよび/またはフォームは、第1の端部および第2の端部を有しており、この場合、フィルムおよび/またはフォームは、(a)第1の熱可塑性材料を含むマトリックスと、(b)フィルムおよび/またはフォームの第1の端部から第2の端部まで、マトリックス中に平行に配置された少なくとも1つまたは複数のチャネルであって、お互いに少なくとも1μm離間しており、それぞれが、少なくとも1μmの範囲の直径を有する、1つまたは複数のチャネルと、(c)1つまたは複数のチャネル中に配置された、第1の熱可塑性材料とは異なる第2の熱可塑性材料とを含み、フィルムは、2μmから2000μmまでの範囲の厚さを有する。
【0005】
代替の一実施形態において、本発明は、第1の熱可塑性材料がポリオレフィン;ポリアミド;ポリ塩化ビニリデン;ポリフッ化ビニリデン;ポリカーボネート;ポリスチレン;ポリエチレンビニルアルコール(PVOH)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ乳酸(PLA)、およびポリエチレンテレフタレートからなる群より選択されることを除いて、前記実施形態のいずれかによる、強化されたマイクロキャピラリーフィルムおよび/またはフォームを提供する。
【0006】
代替の実施形態において、本発明は、1つまたは複数のチャネルが、円形、長方形、楕円形、星形、ひし形、三角形、正方形など、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される断面形状を有することを除いて、前記実施形態のいずれかによる、強化されたマイクロキャピラリーフィルムおよび/またはフォームを提供する。
【0007】
代替の実施形態において、本発明は、第2の熱可塑性材料がポリオレフィン;ポリアミド;ポリ塩化ビニリデン;ポリフッ化ビニリデン;ポリカーボネート;ポリスチレン;ポリエチレンビニルアルコール(PVOH)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ乳酸(PLA)、およびポリエチレンテレフタレートからなる群より選択されることを除いて、前記実施形態のいずれかによる、強化されたマイクロキャピラリーフィルムおよび/またはフォームを提供する。
【0008】
代替の実施形態において、本発明は、前記実施形態のいずれかによる強化されたマイクロキャピラリーフィルムおよび/またはフォームを含む多層構造体を提供する。
【0009】
代替の実施形態において、本発明は、前記実施形態のいずれかによる強化されたマイクロキャピラリーフィルムおよび/またはフォームを含む物品を提供する。
【0010】
本発明を説明するために、図面において例示的な形態が示されるが、本発明は、図示されるところの正確な配置および手段に限定されないということは理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の強化されたマイクロキャピラリーフィルムおよび/またはフォームの上面図である。
図2】本発明の強化されたマイクロキャピラリーフィルムおよび/またはフォームの長手方向の断面図である。
図3】a〜eは、本発明の強化されたマイクロキャピラリーフィルムおよび/またはフォームの様々な断面図である。
図4】本発明の強化されたマイクロキャピラリーフィルムおよび/またはフォームの斜視図である。
図5図2に示されたような、本発明のマイクロキャピラリー強化されたマイクロキャピラリーフィルムおよび/またはフォームの長手方向の断面のセグメントである。
図6】本発明の強化されたマイクロキャピラリーフィルムおよび/またはフォームの分解立体図である。
図7a】マイクロキャピラリーダイの概略図である。
図7b】マイクロキャピラリーダイの概略図である。
図8a】本発明の強化されたマイクロキャピラリーフィルム1の断面の写真である。
図8b】本発明の強化されたマイクロキャピラリーフィルム1の断面の写真である。
図9a】本発明の強化されたマイクロキャピラリーフィルム2の断面の写真である。
図9b】本発明の強化されたマイクロキャピラリーフィルム2の断面の写真である。
図9c】本発明の強化されたマイクロキャピラリーフィルム2の断面の写真である。
図10a】比較フィルムAの断面の写真である。
図10b】比較フィルムAの断面の写真である。
図11】比較フィルムBの断面の写真である。
図12a】比較フィルムCの断面の写真である。
図12b】比較フィルムCの断面の写真である。
図12c】比較フィルムCの断面の写真である。
【0012】
発明の詳細な説明
図を参照すると、同一番号は同一要素を示しており、図1〜6に、強化されたマイクロキャピラリーフィルムおよび/またはフォーム(10)の第1の実施形態が示されている。
【0013】
本発明による本発明の強化されたマイクロキャピラリーフィルムまたはフォーム(10)は、第1の端部(14)および第2の端部(16)を有し、ならびに、(a)第1の熱可塑性材料(11)を含むマトリックス(18)と、(b)強化されたマイクロキャピラリーフィルムまたはフォーム(10)の第1の端部(14)から第2の端部(16)へとマトリックス(18)に平行に配置された少なくとも1つまたは複数のチャネル(20)であって、お互いに少なくとも1μm離間されており、それぞれが、少なくとも1μmの範囲の直径を有する、1つまたは複数のチャネルと、(c)1つまたは複数のチャネル(20)中に配置された、第1の熱可塑性材料(11)とは異なる第2の熱可塑性材料(12)とを含み、この場合、強化されたマイクロキャピラリーフィルムまたはフォーム(10)は、2μmから2000μmまでの範囲の厚さを有する。
【0014】
強化されたマイクロキャピラリーフィルムまたはフォーム(10)は、2μmから2000μmまでの範囲の厚さを有し得る。例えば、強化されたマイクロキャピラリーフィルムまたはフォーム(10)は、10μmから2000μmまでの範囲、あるいは100μmから1000μmまで、あるいは200μmから800μmまで、あるいは200μmから600μmまで、あるいは300μmから1000μmまで、あるいは300μmから900μmまで、あるいは300μmから700μmまでの範囲の厚さを有し得る。フィルムの厚さとマイクロキャピラリーの直径との比は、2:1から400:1までの範囲である。
【0015】
強化されたマイクロキャピラリーフィルムまたはフォーム(10)は、強化されたマイクロキャピラリーフィルムまたはフォーム(10)の総体積に対して、少なくとも10体積パーセントのマトリックス(18)を含み得る。例えば、強化されたマイクロキャピラリーフィルムまたはフォーム(10)は、強化されたマイクロキャピラリーフィルムまたはフォーム(10)の総体積に対して、10体積パーセントから80体積パーセントまでのマトリックス(18)、あるいは、強化されたマイクロキャピラリーフィルムまたはフォーム(10)の総体積に対して、20体積パーセントから80体積パーセントまでのマトリックス(18)、あるいは、強化されたマイクロキャピラリーフィルムまたはフォーム(10)の総体積に対して、30体積パーセントから80体積パーセントまでのマトリックス(18)を含み得る。
【0016】
強化されたマイクロキャピラリーフィルムまたはフォーム(10)は、強化されたマイクロキャピラリーフィルムまたはフォーム(10)の総体積に対して、20体積パーセントから90体積パーセントまでの空隙率を含み得る。例えば、強化されたマイクロキャピラリーフィルムまたはフォーム(10)は、強化されたマイクロキャピラリーフィルムまたはフォーム(10)の総体積に対して、20体積パーセントから80体積パーセントまでの空隙率、あるいは、強化されたマイクロキャピラリーフィルムまたはフォーム(10)の総体積に対して、20体積パーセントから70体積パーセントまでの空隙率、あるいは、強化されたマイクロキャピラリーフィルムまたはフォーム(10)の総体積に対して、30体積パーセントから60体積パーセントまでの空隙率を含み得る。
【0017】
強化されたマイクロキャピラリーフィルムまたはフォーム(10)は、上記に記載された総空隙率体積に対して50体積パーセントから100体積パーセントまでの第2の熱可塑性材料(12)を含み得、例えば、強化されたマイクロキャピラリーフィルムまたはフォーム(10)は、上記に記載された総空隙率体積に対して60体積パーセントから100体積パーセントまでの第2の熱可塑性材料(12)、あるいは、上記に記載された総空隙率体積に対して70体積パーセントから100体積パーセントまでの第2の熱可塑性材料(12)、あるいは、上記に記載された総空隙率体積に対して80体積パーセントから100体積パーセントまでの第2の熱可塑性材料(12)を含み得る。
【0018】
本発明の強化されたマイクロキャピラリーフィルムまたはフォーム(10)は、第1の端部(14)および第2の端部(16)を有する。少なくとも1つまたは複数のチャネル(20)が、第1の端部(14)から第2の端部(16)へとマトリックス(18)に対して平行に配置されている。1つまたは複数のチャネル(20)は、お互いに少なくとも1μm離間されている。少なくとも1つまたは複数のチャネル(20)は、少なくとも1μm、例えば、2μmから1998μmまで、あるいは5μmから990μmまで、あるいは5μmから890μmまで、あるいは5μmから790μmまで、あるいは5μmから690μmまで、あるいは5μmから590μmまでの範囲の直径を有する。少なくとも1つまたは複数のチャネル(20)は、円形、長方形、楕円形、星形、ひし形、三角形、正方形など、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される断面形状を有し得る。少なくとも1つまたは複数のチャネル(20)は、さらに、第1の端部(14)、第2の端部(16)、第1の端部(14)と第2の端部(16)との間、および/またはそれらの組み合わせに、1つまたは複数のシール材も含み得る。
【0019】
マトリックス(18)は、1種または複数種の第1の熱可塑性材料(11)を含む。そのような第1の熱可塑性材料(11)としては、これらに限定されるわけではないが、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレンなど;ポリアミド、例えば、ナイロン6など;ポリ塩化ビニリデン;ポリフッ化ビニリデン;ポリカーボネート;ポリスチレン;ポリエチレンテレフタレート;ポリウレタン、およびポリエステルが挙げられる。マトリックス(18)は、例えば、ガラス繊維もしくは炭素繊維および/または任意の他の鉱物充填材、例えば、タルクまたは炭酸カルシウムなど、により強化され得る。例示的充填材としては、これらに限定されるわけではないが、天然炭酸カルシウム、例えば、白亜、方解石、および大理石など、合成炭酸塩、マグネシウムおよびカルシウムの塩、苦灰石、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、石灰、マグネシア、硫酸バリウム、重晶石、硫酸カルシウム、シリカ、ケイ酸マグネシウム、タルク、珪灰石、粘土およびケイ酸アルミニウム、高陵土、マイカ、金属もしくはアルカリ土類の酸化物もしくは水酸化物、水酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化亜鉛、ガラスもしくは炭素繊維もしくは粉末、木材繊維もしくは粉末、またはこれらの化合物の混合物が挙げられる。
【0020】
第1の熱可塑性材料(11)の例としては、これらに限定されるわけではないが、1種または複数種のα−オレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、および1−ドデセンなど、のホモポリマーおよびコポリマー(エラストマーを含む)、典型的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ペンテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−1−ブテンコポリマー、およびプロピレン−1−ブテンコポリマーで代表されるもの;α−オレフィンとコンジュゲートジエンもしくは非コンジュゲートジエンとのコポリマー(エラストマーを含む)、典型的には、エチレン−ブタジエンコポリマーおよびエチレン−エチリデンノルボルネンコポリマーで代表されるもの;ならびにポリオレフィン(エラストマーを含む)、例えば、2種以上のα−オレフィンとコンジュゲートジエンもしくは非コンジュゲートジエンとのコポリマー、典型的には、エチレン−プロピレン−ブタジエンコポリマー、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエンコポリマー、エチレン−プロピレン−1,5−ヘキサジエンコポリマー、およびエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネンコポリマーで代表されるもの;エチレン−ビニル化合物コポリマー、例えば、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、エチレン−塩化ビニルコポリマー、エチレンアクリル酸またはエチレン−(メタ)アクリル酸コポリマー、およびエチレン(メタ)アクリレートコポリマー;スチレン性コポリマー(エラストマーを含む)、例えば、ポリスチレン、ABS、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、α−メチルスチレン−スチレンコポリマー、スチレンビニルアルコール、スチレンアクリレート、例えば、スチレンメチルアクリレート、スチレンブチルアクリレート、スチレンブチルメタクリレートなど、ならびにスチレンブタジエンおよび架橋スチレンポリマーなど;ならびにスチレンブロックコポリマー(エラストマーを含む)、例えば、スチレン−ブタジエンコポリマーおよびそれらの水和物、ならびにスチレン−イソプレン−スチレントリブロックコポリマーなど;ポリビニル化合物、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−塩化ビニリデンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、ポリメチルアクリレート、およびポリメチルメタクリレートなど;ポリアミド、例えば、ナイロン6、ナイロン6,6、およびナイロン12など;熱可塑性ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートなど;ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシドなど;ならびにガラス状炭化水素ベースの樹脂、例えば、ポリジシクロペンタジエンポリマーおよび関連するポリマー(コポリマー、ターポリマー)など;飽和モノオレフィン、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルバーサテート、およびビニルブチレートなど;ビニルエステル、例えば、モノカルボン酸のエステル、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、フェニルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、およびブチルメタクリレートなど;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、それらの混合物;開環メタセシスおよび交差メタセシス重合によって製造された樹脂など、が挙げられる。これらの樹脂は、単独において、または2種以上の組み合わせにおいて使用され得る。
【0021】
選択された実施形態において、第1の熱可塑性材料(11)は、例えば、エチレン−α−オレフィンコポリマー、プロピレン−α−オレフィンコポリマー、およびオレフィンブロックコポリマーからなる群より選択される1種または複数種のポリオレフィンを含み得る。特に、選択された実施形態において、第1の熱可塑性材料(11)は、1種または複数種の非極性ポリオレフィンを含み得る。
【0022】
特定の実施形態において、ポリオレフィン、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、それらのコポリマー、およびそれらのブレンドなど、ならびにエチレン−プロピレン−ジエンターポリマーが使用され得る。いくつかの実施形態において、例示的オレフィン性ポリマーとしては、均一ポリマー;高密度ポリエチレン(HDPE);不均一分枝化直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE);不均一分枝化直鎖状超低密度ポリエチレン(ULDPE);均一分枝化直鎖状エチレン/α−オレフィンコポリマー;均一分枝化した実質的に直鎖状のエチレン/α−オレフィンポリマー;および高圧でのフリーラジカル重合エチレンポリマーおよびコポリマー、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)またはエチレン酢酸ビニルポリマー(EVA)が挙げられる。
【0023】
一実施形態において、エチレン−α−オレフィンコポリマーは、例えば、エチレン−ブテン、エチレン−ヘキセン、もしくはエチレン−オクテンコポリマーもしくはインターポリマーでもよい。他の特定の実施形態において、プロピレン−α−オレフィンコポリマーは、例えば、プロピレン−エチレンもしくはプロピレン−エチレン−ブテンコポリマーもしくはインターポリマーでもよい。
【0024】
ある特定の他の実施形態において、第1の熱可塑性材料(11)は、例えば、半結晶性ポリマーの場合もあり、110℃未満の融点を有し得る。別の実施形態において、融点は、25℃から100℃まででもよい。別の実施形態において、融点は、40℃から85℃の間でもよい。
【0025】
特定の一実施形態において、第1の熱可塑性材料(11)は、プロピレン/α−オレフィンコポリマーおよび、適宜に1種または複数種のポリマー、例えば、ランダムコポリマーポリプロピレン(RCP)など、を含むプロピレン/α−オレフィンインターポリマー組成物である。特定の一実施形態において、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、実質的にアイソタクチックなプロピレン配列を有する。「実質的にアイソタチックなプロピレン配列」は、配列が、13C−NMRによって測定された、約0.85を超える;あるいは約0.90を超える;あるいは約0.92を超える;あるいは約0.93を超えるアイソタチックトライアド(mm)を有することを意味する。アイソタチックトライアドは、当技術分野において周知であり、例えば、13C−NMRスペクトルによって特定されたコポリマー分子鎖におけるトライアドユニットに関してアイソタクチック配列に言及している米国特許第5,504,172号および国際公開第00/01745号に記載されている。
【0026】
プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、ASTM D−1238(230℃/2.16kg)に従って測定された0.1g/10分から500g/10分までの範囲のメルトフローレートを有し得る。0.1g/10分から500g/10分までのすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、ならびに本明細書において開示されるところであり、例えば、メルトフローレートは、0.1g/10分、0.2g/10分、または0.5g/10分の下限から、500g/10分、200g/10分、100g/10分、または25g/10分の上限まででもよい。例えば、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、0.1g/10分から200g/10分までの範囲のメルトフローレートを有してもよく、あるいは、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、0.2g/10分から100g/10分までの範囲のメルトフローレートを有してもよく、あるいは、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、0.2g/10分から50g/10分までの範囲のメルトフローレートを有してもよく、あるいは、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、0.5g/10分から50g/10分までの範囲のメルトフローレートを有してもよく、あるいは、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、1g/10分から50g/10分までの範囲のメルトフローレートを有してもよく、あるいは、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、1g/10分から40g/10分までの範囲のメルトフローレートを有してもよく、あるいは、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、1g/10分から30g/10分までの範囲のメルトフローレートを有してもよい。
【0027】
プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)までの範囲の結晶化度を有する。1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)までのすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、ならびに本明細書において開示されるところであり、例えば、結晶化度は、1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)、2.5パーセント(少なくとも4ジュール/グラムの融解熱)、または3パーセント(少なくとも5ジュール/グラムの融解熱)の下限から、30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)、24重量パーセント(40ジュール/グラム未満の融解熱)、15重量パーセント(24.8ジュール/グラム未満の融解熱)、または7重量パーセント(11ジュール/グラム未満の融解熱)の上限まででもよい。例えば、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から24重量パーセント(40ジュール/グラム未満の融解熱)までの範囲の結晶化度を有し得る。あるいは、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から15重量パーセント(24.8ジュール/グラム未満の融解熱)までの範囲の結晶化度を有し得;あるいは、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から7重量パーセント(11ジュール/グラム未満の融解熱)までの範囲の結晶化度を有し得;あるいは、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から5重量パーセント(8.3ジュール/グラム未満の融解熱)までの範囲の結晶化度を有し得る。結晶化度は、DSC法によって測定される。プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、プロピレンに由来するユニットと、1種または複数種のα−オレフィンコモノマーに由来するポリマーユニットとを含む。プロピレン/α−オレフィンコポリマーを製造するために用いられる例示的コモノマーは、CおよびCからC10までのα−オレフィン、例えば、C、C、C、およびCα−オレフィンである。
【0028】
プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、1重量パーセントから40重量パーセントまでの1種または複数種のα−オレフィンコモノマーを含む。1重量パーセントから40重量パーセントまでのすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれており、本明細書に開示される。例えば、コモノマー含有量は、1重量パーセント、3重量パーセント、4重量パーセント、5重量パーセント、7重量パーセント、または9重量パーセントの下限から、40重量パーセント、35重量パーセント、30重量パーセント、27重量パーセント、20重量パーセント、15重量パーセント、12重量パーセント、または9重量パーセントの上限まででもよい。例えば、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、1重量パーセントから35重量パーセントまでの1種または複数種のα−オレフィンコモノマーを含み;あるいは、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、1重量パーセントから30重量パーセントまでの1種または複数種のα−オレフィンコモノマーを含み;あるいは、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、3重量パーセントから27重量パーセントまでの1種または複数種のα−オレフィンコモノマーを含み;あるいは、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、3重量パーセントから20重量パーセントまでの1種または複数種のα−オレフィンコモノマーを含み;あるいは、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、3重量パーセントから15重量パーセントまでの1種または複数種のα−オレフィンコモノマーを含む。
【0029】
プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、3.5以下、あるいは3.0以下、あるいは1.8から3.0までの分子量分布(MWD)を有しており、分子量分布は数平均分子量で除した重量平均分子量(M/M)として定義される。
【0030】
そのようなプロピレン/α−オレフィンコポリマーは、さらに、米国特許第6,960,635号および米国特許第6,525,157号に詳細に記載されており、なお、当該文献は、参照により本明細書に組み入れられる。そのようなプロピレン/α−オレフィンコポリマーは、The Dow Chemical CompanyからVERSIFY(商標)の商標名において、またはExxonMobil Chemical CompanyからVISTAMAXX(商標)の商標名において市販されている。
【0031】
一実施形態において、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、さらに、(A)60重量パーセントから100重量パーセント未満の間、好ましくは80重量パーセントから99重量パーセントの間、より好ましくは85重量パーセントから99重量パーセントの間の、プロピレンに由来するユニットと、(B)ゼロ重量パーセント超から40重量パーセントの間、好ましくは1重量パーセントから20重量パーセントの間、より好ましくは4重量パーセントから16重量パーセントの間、さらにより好ましくは4重量パーセントから15重量パーセントの間の、エチレンおよび/またはC4〜10α−オレフィンの少なくとも1つに由来するユニットとを含み;平均で少なくとも0.001、好ましくは平均で少なくとも0.005、より好ましくは平均で少なくとも0.01の長鎖分岐/1000総炭素を含有するとして特徴付けられる。プロピレン/α−オレフィンコポリマーにおける長鎖分岐の最大数は重要ではないが、典型的には、それは、3長鎖分岐/1000総炭素を超えない。長鎖分岐なる用語は、プロピレン/α−オレフィンコポリマーに関して本明細書において使用される場合、短鎖分岐よりも少なくとも炭素1個(1)長い鎖長を意味し、ならびに、短鎖分岐なる用語は、プロピレン/α−オレフィンコポリマーに関して本明細書において使用される場合、コモノマーにおける炭素の数より炭素2個(2)短い鎖長を意味する。例えば、プロピレン/1−オクテンインターポリマーは、少なくとも炭素7個(7)の長さの長鎖分岐を有する骨格を有しているが、これらの骨格は、炭素6個(6)だけの長さの短鎖分岐も有する。そのようなプロピレン/α−オレフィンコポリマーは、さらに、米国特許仮出願第60/988,999号および国際特許出願第PCT/US08/082599号において詳細に記載されており、なお、当該文献のそれぞれは、参照により本明細書に組み入れられる。
【0032】
ある特定の他の実施形態において、第1の熱可塑性材料11、例えば、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、例えば半結晶性ポリマーの場合もあり、110℃未満の融点を有し得る。好ましい実施形態において、融点は、25℃から100℃まででもよい。さらに好ましい実施形態において、融点は、40℃から85℃の間でもよい。
【0033】
他の選択された実施形態において、オレフィンブロックコポリマー、例えば、エチレンマルチブロックコポリマー、例えば、国際公開第2005/090427号および米国特許出願公開第2006/0199930号に記載されているものなど、は、第1の熱可塑性材料(11)として使用することができ、なお、当該文献は、そのようなオレフィンブロックコポリマーおよびそのようなポリマーに対して以下に一覧されるこれらの特性を測定するための試験方法を説明する程度に、参照により本明細書に組み入れられる。そのようなオレフィンブロックコポリマーは、
(a)約1.7から約3.5までのM/M、摂氏度表示の少なくとも1つの融点T、およびグラム/立方センチメートル表示の密度dを有する(この場合、Tおよびdの数値は以下の関係:
>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)
に対応する);または
(b)約1.7から約3.5までのM/Mを有し、ならびにJ/g表示の融解熱ΔH、および最高DSCピークと最高CRYSTAFピークとの温度差として定義される摂氏度表示のデルタ量ΔTによって特徴付けられる(この場合、ΔTおよびΔHの数値は以下の関係:
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81(ゼロ超から130J/gまでのΔH)
ΔT>48℃(130J/gを超えるΔH)
を有し、CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを用いて決定され、ならびにポリマーの5パーセント未満が識別可能なCRYSTAFピークを有する場合にはCRYSTAF温度は30℃である);または
(c)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成型フィルムで測定される、300パーセント歪みおよび1サイクルでの、パーセント表示の弾性回復率Reによって特徴付けられ、ならびにグラム/立方センチメートル表示の密度dを有する(この場合、Reおよびdの数値は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まないとき、以下の関係:
Re>1481−1629(d)
を満足する);または
(d)TREFを用いて分画する場合に40℃から130℃の間において溶出する分子画分であって、同じ温度間において溶出する、匹敵するランダムエチレンインターポリマー画分よりも少なくとも5パーセント高いモルコモノマー含有量を有することを特徴とする分子画分を有する(この場合、匹敵するランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマー(複数可)を有し、かつエチレン/α−オレフィンインターポリマーの10パーセント以内のメルトインデックス、密度、およびモルコモノマー含有量(全ポリマーに対して)を有する);または
(e)25℃での貯蔵弾性率G’(25℃)および100℃での貯蔵弾性率G’(100℃)を有する(この場合、G’(25℃)とG’(100℃)の比率は約1:1から約9:1までの範囲である)、
エチレン/α−オレフィンインターポリマーでもよい。
【0034】
そのようなオレフィンブロックコポリマー、例えば、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、
(a)TREFを用いて分画する場合に40℃から130℃の間において溶出する分子画分であって、少なくとも0.5から約1までのブロックインデックスおよび約1.3を超える分子量分布M/Mを有することを特徴とする分子画分も有し得るか、または
(b)ゼロ超から約1.0までの平均ブロックインデックスおよび約1.3を超える分子量分布M/Mも有し得る。
【0035】
一実施形態において、マトリックス(18)は、さらに、フォーム材料の形成を容易にする発泡剤を含み得る。一実施形態において、マトリックスは、フォーム、例えば、独立気泡フォームでもよい。別の実施形態において、マトリックス(18)は、さらに、配向、例えば二軸配向など、または空洞化、例えば、単軸配向または二軸配向、あるいはリーチング、すなわち、充填材の溶解、を介して微孔質マトリックスの形成を容易にする1種または複数種の充填材を含み得る。そのような充填材としては、これらに限定されるわけではないが、天然炭酸カルシウム、例えば、白亜、方解石、および大理石など、合成炭酸塩、マグネシウムおよびカルシウムの塩、苦灰石、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、石灰、マグネシア、硫酸バリウム、重晶石、硫酸カルシウム、シリカ、ケイ酸マグネシウム、タルク、珪灰石、粘土およびケイ酸アルミニウム、高陵土、マイカ、金属もしくはアルカリ土類の酸化物もしくは水酸化物、水酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化亜鉛、ガラスもしくは炭素繊維もしくは粉末、木材繊維もしくは粉末、またはこれらの化合物の混合物が挙げられる。
【0036】
1種または複数種の第2の熱可塑性材料(12)としては、これらに限定されるわけではないが、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレン;ポリアミド、例えば、ナイロン6など;ポリ塩化ビニリデン;ポリフッ化ビニリデン;ポリカーボネート;ポリスチレン;ポリエチレンテレフタレート;ポリウレタン、およびポリエステルが挙げられる。マトリックス(18)は、例えば、ガラス繊維もしくは炭素繊維および/または任意の他の鉱物充填材、例えば、タルクまたは炭酸カルシウムなど、により強化され得る。例示的充填材としては、これらに限定されるわけではないが、天然炭酸カルシウム、例えば、白亜、方解石、および大理石など、合成炭酸塩、マグネシウムおよびカルシウムの塩、苦灰石、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、石灰、マグネシア、硫酸バリウム、重晶石、硫酸カルシウム、シリカ、ケイ酸マグネシウム、タルク、珪灰石、粘土およびケイ酸アルミニウム、高陵土、マイカ、金属もしくはアルカリ土類の酸化物もしくは水酸化物、水酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化亜鉛、ガラスもしくは炭素繊維もしくは粉末、木材繊維もしくは粉末、またはこれらの化合物の混合物が挙げられる。
【0037】
第2の熱可塑性材料(12)の例としては、これらに限定されるわけではないが、1種または複数種のα−オレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、および1−ドデセンなど、のホモポリマーおよびコポリマー(エラストマーを含む)、典型的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ペンテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−1−ブテンコポリマー、およびプロピレン−1−ブテンコポリマーで代表されるもの;α−オレフィンとコンジュゲートジエンもしくは非コンジュゲートジエンとのコポリマー(エラストマーを含む)、典型的には、エチレン−ブタジエンコポリマーおよびエチレン−エチリデンノルボルネンコポリマーで代表されるもの;ならびにポリオレフィン(エラストマーを含む)、例えば、2種以上のα−オレフィンとコンジュゲートジエンもしくは非コンジュゲートジエンとのコポリマー、典型的には、エチレン−プロピレン−ブタジエンコポリマー、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエンコポリマー、エチレン−プロピレン−1,5−ヘキサジエンコポリマー、およびエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネンコポリマーで代表されるもの;エチレン−ビニル化合物コポリマー、例えば、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、エチレン−塩化ビニルコポリマー、エチレンアクリル酸またはエチレン−(メタ)アクリル酸コポリマー、およびエチレン(メタ)アクリレートコポリマー;スチレン性コポリマー(エラストマーを含む)、例えば、ポリスチレン、ABS、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、α−メチルスチレン−スチレンコポリマー、スチレンビニルアルコール、スチレンアクリレート、例えば、スチレンメチルアクリレート、スチレンブチルアクリレート、スチレンブチルメタクリレートなど、ならびにスチレンブタジエン、および架橋スチレンポリマーなど;ならびにスチレンブロックコポリマー(エラストマーを含む)、例えば、スチレン−ブタジエンコポリマーおよびそれらの水和物、ならびにスチレン−イソプレン−スチレントリブロックコポリマーなど;ポリビニル化合物、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−塩化ビニリデンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、ポリメチルアクリレート、およびポリメチルメタクリレートなど;ポリアミド、例えば、ナイロン6,ナイロン6,6,およびナイロン12など;熱可塑性ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートなど;ポリウレタン;ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシドなど;ならびにガラス状炭化水素ベースの樹脂、例えば、ポリジシクロペンタジエンポリマーおよび関連するポリマー(コポリマー、ターポリマー)など;飽和モノ−オレフィン、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルバーサテート、およびビニルブチレートなど;ビニルエステル、例えば、モノカルボン酸のエステル、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、フェニルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、およびブチルメタクリレートなど;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、それらの混合物;開環メタセシスおよび交差メタセシス重合によって製造された樹脂など、が挙げられる。これらの樹脂は、単独において、または2種以上の組み合わせにおいて使用され得る。
【0038】
選択された実施形態において、第2の熱可塑性材料(12)は、例えば、エチレン−α−オレフィンコポリマー、プロピレン−α−オレフィンコポリマー、およびオレフィンブロックコポリマーからなる群より選択される1種または複数種のポリオレフィンを含み得る。特に、選択された実施形態において、第2の熱可塑性材料(12)は、1種または複数種の非極性ポリオレフィンを含み得る。
【0039】
特定の実施形態において、ポリオレフィン、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、それらのコポリマー、およびそれらのブレンドなど、ならびにエチレン−プロピレン−ジエンターポリマーが使用され得る。いくつかの実施形態において、例示的オレフィン性ポリマーとしては、均一ポリマー;高密度ポリエチレン(HDPE);不均一分枝化直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE);不均一分枝化直鎖状超低密度ポリエチレン(ULDPE);均一分枝化直鎖状エチレン/α−オレフィンコポリマー;均一分枝化した実質的に直鎖状のエチレン/α−オレフィンポリマー;および高圧でのラジカル重合エチレンポリマーおよびコポリマー、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)またはエチレン酢酸ビニルポリマー(EVA)が挙げられる。
【0040】
一実施形態において、エチレン−α−オレフィンコポリマーは、例えば、エチレン−ブテン、エチレン−ヘキセン、またはエチレン−オクテンコポリマーもしくはインターポリマーでもよい。他の特定の実施形態において、プロピレン−α−オレフィンコポリマーは、例えば、プロピレン−エチレンまたはプロピレン−エチレン−ブテンコポリマーもしくはインターポリマーでもよい。
【0041】
ある特定の他の実施形態において、第2の熱可塑性材料(12)は、例えば、半結晶性ポリマーの場合もあり、110℃未満の融点を有し得る。別の実施形態において、融点は、25℃から100℃まででもよい。別の実施形態において、融点は、40℃から85℃の間でもよい。
【0042】
特定の一実施形態において、第2の熱可塑性材料(12)は、プロピレン/α−オレフィンコポリマーおよび、適宜に1種または複数種のポリマー、例えば、ランダムコポリマーポリプロピレン(RCP)など、を含むプロピレン/α−オレフィンインターポリマー組成物である。特定の一実施形態において、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、実質的にアイソタクチックなプロピレン配列を有する。「実質的にアイソタチックなプロピレン配列」は、配列が、13C−NMRによって測定された、約0.85を超える;あるいは約0.90を超える;あるいは約0.92を超える;あるいは約0.93を超えるアイソタチックトライアド(mm)を有することを意味する。アイソタチックトライアドは、当技術分野において周知であり、例えば、13C−NMRスペクトルによって特定されたコポリマー分子鎖におけるトライアドユニットに関してアイソタクチック配列に言及している米国特許第5,504,172号および国際公開第00/01745号に記載されている。
【0043】
プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、ASTM D−1238(230℃/2.16kg)に従って測定された0.1g/10分から500g/10分までの範囲のメルトフローレートを有し得る。0.1g/10分から500g/10分までのすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、ならびに本明細書において開示されるところであり、例えば、メルトフローレートは、0.1g/10分、0.2g/10分、または0.5g/10分の下限から、500g/10分、200g/10分、100g/10分、または25g/10分の上限まででもよい。例えば、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、0.1g/10分から200g/10分までの範囲のメルトフローレートを有してもよく、あるいは、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、0.2g/10分から100g/10分までの範囲のメルトフローレートを有してもよく、あるいは、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、0.2g/10分から50g/10分までの範囲のメルトフローレートを有してもよく、あるいは、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、0.5g/10分から50g/10分までの範囲のメルトフローレートを有してもよく、あるいは、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、1g/10分から50g/10分までの範囲のメルトフローレートを有してもよく、あるいは、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、1g/10分から40g/10分までの範囲のメルトフローレートを有してもよく、あるいは、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、1g/10分から30g/10分までの範囲のメルトフローレートを有してもよい。
【0044】
プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)までの範囲の結晶化度を有する。1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)までのすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、ならびに本明細書において開示されるところであり、例えば、結晶化度は、1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)、2.5パーセント(少なくとも4ジュール/グラムの融解熱)、または3パーセント(少なくとも5ジュール/グラムの融解熱)の下限から、30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)、24重量パーセント(40ジュール/グラム未満の融解熱)、15重量パーセント(24.8ジュール/グラム未満の融解熱)、または7重量パーセント(11ジュール/グラム未満の融解熱)の上限まででもよい。例えば、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から24重量パーセント(40ジュール/グラム未満の融解熱)までの範囲の結晶化度を有し得る。あるいは、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から15重量パーセント(24.8ジュール/グラム未満の融解熱)までの範囲の結晶化度を有し得;あるいは、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から7重量パーセント(11ジュール/グラム未満の融解熱)までの範囲の結晶化度を有し得;あるいは、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)から5重量パーセント(8.3ジュール/グラム未満の融解熱)までの範囲の結晶化度を有し得る。結晶化度は、DSC法によって測定される。プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、プロピレンに由来するユニットと、1種または複数種のα−オレフィンコモノマーに由来するポリマーユニットとを含む。プロピレン/α−オレフィンコポリマーを製造するために用いられる例示的コモノマーは、CおよびCからC10までのα−オレフィン、例えば、C、C、C、およびCα−オレフィンである。
【0045】
プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、1重量パーセントから40重量パーセントまでの1種または複数種のα−オレフィンコモノマーを含む。1重量パーセントから40重量パーセントまでのすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、ならびに本明細書において開示され、例えば、コモノマー含有量は、1重量パーセント、3重量パーセント、4重量パーセント、5重量パーセント、7重量パーセント、または9重量パーセントの下限から、40重量パーセント、35重量パーセント、30重量パーセント、27重量パーセント、20重量パーセント、15重量パーセント、12重量パーセント、または9重量パーセントの上限まででもよい。例えば、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、1重量パーセントから35重量パーセントまでの1種または複数種のα−オレフィンコモノマーを含み;あるいは、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、1重量パーセントから30重量パーセントまでの1種または複数種のα−オレフィンコモノマーを含み;あるいは、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、3重量パーセントから27重量パーセントまでの1種または複数種のα−オレフィンコモノマーを含み;あるいは、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、3重量パーセントから20重量パーセントまでの1種または複数種のα−オレフィンコモノマーを含み;あるいは、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、3重量パーセントから15重量パーセントまでの1種または複数種のα−オレフィンコモノマーを含む。
【0046】
プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、3.5以下、あるいは3.0以下、あるいは1.8から3.0までの分子量分布(MWD)を有し、分子量分布は数平均分子量で除した重量平均分子量(M/M)として定義される。
【0047】
そのようなプロピレン/α−オレフィンコポリマーは、さらに、米国特許第6,960,635号および米国特許第6,525,157号に詳細に記載されており、なお、当該文献は、参照により本明細書に組み入れられる。そのようなプロピレン/α−オレフィンコポリマーは、The Dow Chemical CompanyからVERSIFY(商標)の商標名において、またはExxonMobil Chemical CompanyからVISTAMAXX(商標)の商標名において市販されている。
【0048】
一実施形態において、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、さらに、(A)60重量パーセントから100重量パーセント未満の間、好ましくは80重量パーセントから99重量パーセントの間、より好ましくは85重量パーセントから99重量パーセントの間の、プロピレンに由来するユニットと、(B)ゼロ重量パーセント超から40重量パーセントの間、好ましくは1重量パーセントから20重量パーセントの間、より好ましくは4重量パーセントから16重量パーセントの間、さらにより好ましくは4重量パーセントから15重量パーセントの間の、エチレンおよび/またはC4〜10α−オレフィンの少なくとも1つに由来するユニットとを含み;平均で少なくとも0.001,好ましくは平均で少なくとも0.005,より好ましくは平均で少なくとも0.01の長鎖分岐/1000総炭素を含有するとして特徴付けられる。プロピレン/α−オレフィンコポリマーにおける長鎖分岐の最大数は重要ではないが、典型的には、それは、3長鎖分岐/1000総炭素を超えない。長鎖分岐なる用語は、プロピレン/α−オレフィンコポリマーに関して本明細書において使用される場合、短鎖分岐よりも少なくとも炭素1個(1)長い鎖長を意味し、ならびに、短鎖分岐なる用語は、プロピレン/α−オレフィンコポリマーに関して本明細書において使用される場合、コモノマーにおける炭素の数より炭素2個(2)短い鎖長を意味する。例えば、プロピレン/1−オクテンインターポリマーは、少なくとも炭素7個(7)の長さの長鎖分岐を有する骨格を有しているが、これらの骨格は、鎖長に炭素6個(6)だけの長さの短鎖分岐も有する。そのようなプロピレン/α−オレフィンコポリマーは、さらに、米国特許仮出願第60/988,999号および国際特許出願第PCT/US08/082599号において詳細に記載されており、なお、当該文献のそれぞれは、参照により本明細書に組み入れられる。
【0049】
ある特定の他の実施形態において、第2の熱可塑性材料12、例えば、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、例えば半結晶性ポリマーの場合もあり、110℃未満の融点を有し得る。好ましい実施形態において、融点は、25℃から100℃まででもよい。さらに好ましい実施形態において、融点は、40℃から85℃の間でもよい。
【0050】
他の選択された実施形態において、オレフィンブロックコポリマー、例えば、エチレンマルチブロックコポリマー、例えば、国際公開第2005/090427号および米国特許出願公開第2006/0199930号に記載されているものなど、は、第2の熱可塑性材料(12)として使用することができ、なお、当該文献は、そのようなオレフィンブロックコポリマーおよびそのようなポリマーに対して以下に一覧されるこれらの特性を測定するための試験方法を説明する程度に、参照により本明細書に組み入れられる。そのようなオレフィンブロックコポリマーは、
(a)約1.7から約3.5までのM/M、摂氏度表示の少なくとも1つの融点T、およびグラム/立方センチメートル表示の密度dを有する(この場合、Tおよびdの数値は以下の関係:
>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)
に対応する)、または
(b)約1.7から約3.5までのM/Mを有し、ならびにJ/g表示の融解熱ΔH、および最高DSCピークと最高CRYSTAFピークとの温度差として定義される摂氏度表示のデルタ量ΔTによって特徴付けられる(この場合、ΔTおよびΔHの数値は以下の関係:
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81(ゼロ超から130J/gまでのΔH)
ΔT>48℃(130J/gを超えるΔH)
を有し、CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを用いて決定され、ならびにポリマーの5パーセント未満が識別可能なCRYSTAFピークを有する場合にはCRYSTAF温度は30℃である);または
(c)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成型フィルムで測定される、300パーセント歪みおよび1サイクルでの、パーセント表示の弾性回復率Reによって特徴付けられ、ならびにグラム/立方センチメートル表示の密度dを有する(この場合、Reおよびdの数値は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に含まないとき、以下の関係:
Re>1481−1629(d)
を満足する);または
(d)TREFを用いて分画する場合に40℃から130℃の間において溶出する分子画分を有し、画分が、同じ温度間において溶出する、匹敵するランダムエチレンインターポリマー画分よりも少なくとも5パーセント高いモルコモノマー含有量を有することを特徴とする(この場合、匹敵するランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマー(複数可)を有し、かつエチレン/α−オレフィンインターポリマーの10パーセント以内のメルトインデックス、密度、およびモルコモノマー含有量(全ポリマーに対して)を有する);または
(e)25℃での貯蔵弾性率G’(25℃)および100℃での貯蔵弾性率G’(100℃)を有する(この場合、G’(25℃)とG’(100℃)の比率は約1:1から約9:1までの範囲である)、
エチレン/α−オレフィンインターポリマーでもよい。
【0051】
そのようなオレフィンブロックコポリマー、例えば、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、
(a)TREFを用いて分画する場合に40℃から130℃の間において溶出する分子画分であって、少なくとも0.5から約1までのブロックインデックスおよび約1.3を超える分子量分布M/Mを有することを特徴とする分子画分も有し得るか、または
(b)ゼロ超から約1.0までの平均ブロックインデックスおよび約1.3を超える分子量分布M/Mも有し得る。
【0052】
一実施形態において、第2の熱可塑性材料(12)は、発泡剤をさらに含むことにより、フォーム材料の形成を容易にし得る。一実施形態において、第2の熱可塑性材料(12)は、フォーム、例えば、独立気泡フォームに形成され得る。別の実施形態において、第2の熱可塑性材料(12)は、さらに、1種または複数種の充填材を含み得る。そのような充填材としては、これらに限定されるわけではないが、天然炭酸カルシウム、例えば、白亜、方解石、および大理石など、合成炭酸塩、マグネシウムおよびカルシウムの塩、苦灰石、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、石灰、マグネシア、硫酸バリウム、重晶石、硫酸カルシウム、シリカ、ケイ酸マグネシウム、タルク、珪灰石、粘土およびケイ酸アルミニウム、高陵土、マイカ、金属もしくはアルカリ土類の酸化物もしくは水酸化物、水酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化亜鉛、ガラスもしくは炭素繊維もしくは粉末、木材繊維もしくは粉末、またはこれらの化合物の混合物が挙げられる。
【0053】
生産において、押出機器は、モーターによって駆動されるスクリュー押出機を含む。第1の熱可塑性材料(11)が溶融され、図7aおよび7bに示されているようなダイ(24)へ運ばれる。溶融した熱可塑性材料(11)が、図7aおよび7bに示されているようなダイ(24)を通過させられて、所望の形状および断面へと成形される。図7aおよび7bを参照すると、ダイ24は、入口部分(26)、先細部分(28)、および所定の形状を有するオリフィス(30)を含む。溶融した第1の熱可塑性材料(11)は、ダイ(24)の入口部分(26)に入り、オリフィス(30)を出るまでに、先細部分(28)によって徐々に成形される。ダイ(24)はさらに、射出器(32)を含む。各射出器(32)は、導管(36)を有する本体部分(34)を有し、導管は、ダイ(24)の壁を貫通している第2の導管(40)によって第2の熱可塑性材料(12)の供給源(38)へと流動接続されており、溶融した第1の熱可塑性材料(11)は射出器の周りを流れてオリフィス(30)を通過しなければならない。射出器(30)はさらに、導出口(42)を含む。射出器(32)は、導出口(42)がオリフィス(30)内に位置するように配置される。溶融した第1の熱可塑性材料(11)がダイオリフィス(30)を出るとき、溶融した第2の熱可塑性材料(12)が共押出されて、溶融した第1の熱可塑性材料(11)中に射出され、それによって、第2の熱可塑性材料(12)で満たされたマイクロキャピラリーが形成される。一実施形態において、溶融した第1の熱可塑性材料(11)がダイオリフィス(30)を出て、溶融した第2の熱可塑性材料(12)が、連続的に共押出されて、溶融した第1の熱可塑性材料(11)中に射出され、それによって、第2の熱可塑性材料(12)で満たされたマイクロキャピラリーが形成される。別の実施形態では、溶融した第1の熱可塑性材料(11)がダイオリフィス(30)を出て、溶融した第2の熱可塑性材料(12)が、断続的に共押出されて、溶融した第1の熱可塑性材料(11)中に射出され、それにより、フォーム様構造を示す、第2の熱可塑性材料(12)のセグメントおよび空隙セグメントで満たされたマイクロキャピラリーが形成される。
【0054】
本発明による強化されたフィルムまたはフォームは、包装(例えば、トレー、テープ包装、バケット、ビーカー、箱のための強化された熱成形部品);熱成形された艇体、羽目、座席装置、自動車車体部品、機体部品、車両内部装備品などにおいて使用され得る。
【0055】
1つまたは複数の本発明の強化されたフィルムまたはフォームは、多層構造、例えば、ラミネートされた多層構造または共押出された多層構造、における1つまたは複数の層を形成し得る。強化されたフィルムまたはフォームは、マイクロキャピラリーの1つまたは複数の平行な列を含み得る(図3bに示されるようなチャネル)。チャネル20(マイクロキャピラリー)は、図3a〜eに示されているように、マトリックス(10)における任意の場所に配置され得る。
【実施例】
【0056】
本発明の強化されたフィルム1を、以下のプロセスにより調製した。
【0057】
マトリックス材料は、ASTM−D792による約0.919g/cmの密度ならびにISO 1133による190℃および2.16kgで約1.1g/10分のメルトインデックス(I)を有する、The Dow Chemical CompanyからDOWLEX(商標) NG 5056 Gの商標名において入手可能な直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含んでいた。マイクロキャピラリー中に配置された第2の熱可塑性材料は、ISO 1183による0.900g/cmの密度ならびに230℃および2.16kgにおいてISO 1133に従って測定した25g/10分のメルトマスフローレートを有する、The Dow Chemical CompanyからDOW(商標) Polypropylene H502−25RGの商標名において入手可能なホモポリマーのポリプロピレン(hPP)であった。
【0058】
一次および二次押出機は、両方とも単軸スクリュー押出機であった。一次押出機は、約20mmの直径のスクリューを有するBetol 1820Jであり、これは、ギアポンプに接続されており、無脈動ポリマー流を生じた。マイクロキャピラリーフィルムダイの下流には、ローラーギャップが調節可能な1セットのニップローラー(Dr.Collin GmbH 「Techline」 CR72T)を配置した。二次押出機は、約12mmの直径のスクリューを有するBetol 1420Jであり、これは、加熱された4分の1インチのSwagelok管材によってマイクロキャピラリーフィルムダイの導入口に接続されていた。管材は、注意深く成形された4分の1インチの短い管材(SS−T4−S−049−6ME)であり、これは、2フィートにおいて加熱テープ(Omega HTWC102−002)で覆われており、これが、マスキングテープによって封入されたSuperwool鉱質綿断熱材で覆われていた。管材は、3Mのポリアミドテープ(3M 70−0062−8328−0)によって管表面に取り付けられたk−タイプのワイヤー熱電対を具備していた。熱伝達を良くするために、少量の銅グリース(Coppaslip)を熱電対の先端に塗った。
【0059】
マイクロキャピラリーフィルムダイは、射出器の開口面が確実にダイ出口に一致するように設計されていた。マトリックス材料を、約900μmの直径を有する、14のマイクロキャピラリー射出ヘッドが中に配置されているマイクロキャピラリーフィルムダイを通して押し出した。
【0060】
本発明の強化されたマイクロキャピラリーフィルム(10)(LLDPE/hPP)を、図8aおよびbに示す。本発明の強化されたマイクロキャピラリーフィルム(10)(LLDPE/hPP)を、その特性について試験した。これらの特性は表1に報告する。本発明の強化されたマイクロキャピラリーフィルム(10)(LLDPE/hPP)は、第2のhPPで満たされた14のマイクロキャピラリーおよび約608μmの厚さを有しており、各マイクロキャピラリーは、約360μmの直径を有していた。
【0061】
本発明の強化されたフィルム2を、以下のプロセスにより調製した。
【0062】
マトリックス材料は、ISO 1183による0.900g/cmの密度ならびに230℃および2.16kgにおいてISO 1133に従って測定した25g/10分のメルトマスフローレートを有する、The Dow Chemical CompanyからDOW(商標) Polypropylene H502−25RGの商標名において入手可能なホモポリマーであるポリプロピレン(hPP)を含んでいた。マイクロキャピラリー中に配置された第2の熱可塑性材料は、ASTM−D792による約0.919g/cmの密度ならびにISO 1133による190℃および2.16kgで約1.1g/10分のメルトインデックス(I)を有する、The Dow Chemical CompanyからDOWLEX(商標) NG 5056 Gの商標名において入手可能な直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)であった。
【0063】
一次および二次押出機は、両方とも単軸スクリュー押出機であった。一次押出機は、約20mmの直径のスクリューを有するBetol 1820Jであり、これは、ギアポンプに接続されており、無脈動ポリマー流を提供した。マイクロキャピラリーフィルムダイの下流には、ローラーギャップが調節可能な1セットのニップローラー(Dr.Collin GmbH「Techline」CR72T)を配置した。二次押出機は、約12mmの直径のスクリューを有するBetol 1420Jであり、これは、加熱された4分の1インチのSwagelok管材によってマイクロキャピラリーフィルムダイの導入口に接続されていた。管材は、注意深く成形された4分の1インチの短い管材(SS−T4−S−049−6ME)であり、これは、2フィートにおいて加熱テープ(Omega HTWC102−002)で覆われており、これが、マスキングテープによって封入されたSuperwool鉱質綿断熱材で覆われていた。管材は、3Mのポリアミドテープ(3M 70−0062−8328−0)によって管表面に取り付けられたk−タイプのワイヤー熱電対を具備していた。熱伝達を良くするために、少量の銅グリース(Coppaslip)を熱電対の先端に塗った。
【0064】
マイクロキャピラリーフィルムダイは、射出器の開口面が確実にダイ出口に一致するように設計されていた。マトリックス材料を、約900μmの直径を有する、14のマイクロキャピラリー射出ヘッドが中に配置されているマイクロキャピラリーフィルムダイを通して押し出した。
【0065】
本発明の強化されたマイクロキャピラリーフィルム10(hPP/LLDPE)を、図9a〜cに示す。本発明の強化されたマイクロキャピラリーフィルム10(hPP/LLDPE)は、第2のLLDPEで満たされた14のマイクロキャピラリーおよび約624μmの厚さを有しており、各マイクロキャピラリーは、約210μmの直径を有する。
【0066】
比較フィルムAを、以下のプロセスにより調製した。
【0067】
比較フィルムAは、ASTM−D792による約0.919g/cmの密度ならびにISO 1133による190℃および2.16kgで約1.1g/10分のメルトインデックス(I)を有する、The Dow Chemical CompanyからDOWLEX(商標) NG 5056 Gの商標名において入手可能な直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含んでいた。比較フィルムAは、約20mmの直径のスクリューを有するBetol 1820J押出機により成形し、押出機は、ギアポンプに接続されており、無脈動ポリマー流を提供した。マイクロキャピラリーフィルムダイの下流には、ローラーギャップが調節可能な1セットのニップローラー(Dr.Collin GmbH「Techline」CR72T)を配置した。ダイは、射出器インサートを含んでいなかった。
【0068】
図10a〜bに示された比較フィルムA(LLDPE)を、それらの特性について試験しており、これらの結果は表1に報告する。比較フィルムA(LLDPE)は、約457μmの厚さを有し、マイクロキャピラリーは有していなかった。
【0069】
比較フィルムBを、以下のプロセスにより調製した。
【0070】
マトリックス材料は、ASTM−D792による約0.919g/cmの密度ならびにISO 1133による190℃および2.16kgで約1.1g/10分のメルトインデックス(I)を有する、The Dow Chemical CompanyからDOWLEX(商標) NG 5056 Gの商標名において入手可能な直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含んでいた。
【0071】
比較フィルムBは、約20mmの直径のスクリューを有するBetol 1820J押出機により成形し、押出機は、ギアポンプに接続されており、無脈動ポリマー流を提供した。マイクロキャピラリーフィルムダイの下流には、ローラーギャップが調節可能な1セットのニップローラー(Dr.Collin GmbH「Techline」CR72T)を配置した。
【0072】
射出器インサートを含むマイクロキャピラリーフィルムダイは、射出器の開口面が確実にダイ出口に一致するように設計されていた。マトリックス材料を、約400μmの直径を有する、19のマイクロキャピラリー射出ヘッドが中に配置されているマイクロキャピラリーフィルムダイを通して押し出した。
【0073】
比較フィルムB(LLDPE/空気)を図11に示す。比較フィルムB(LLDPE/空気)を、その特性について試験した。これらの特性は表1に報告する。比較フィルムB(LLDPE/空気)は、空気で満たされた19のマイクロキャピラリーおよび約519μmの厚さを有しており、各マイクロキャピラリーは、約145μmの直径を有していた。
【0074】
比較フィルムCを、以下のプロセスにより調製した。
【0075】
マトリックス材料は、(1)97.5重量パーセントの、ASTM−D792により約0.919g/cmの密度ならびにISO 1133により190℃および2.16kgにおいて約1.1g/10分のメルトインデックス(I)を有する、The Dow Chemical CompanyからDOWLEX(商標)NG 5056 Gの商標名において入手可能な直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、および(2)2.5重量パーセントのLDPE/TiO2マスターバッチ(60重量パーセントのTiOを含む)を含んでいた。
【0076】
比較フィルムCは、約20mmの直径のスクリューを有するBetol 1820J押出機により成形し、押出機は、ギアポンプに接続されており、無脈動ポリマー流を提供した。マイクロキャピラリーフィルムダイの下流には、ローラーギャップが調節可能な1セットのニップローラー(Dr.Collin GmbH「Techline」CR72T)を配置した。
【0077】
射出器インサートを含むマイクロキャピラリーフィルムダイは、射出器の開口面が確実にダイ出口に一致するように設計されていた。マトリックス材料を、約400μmの直径を有する、19のマイクロキャピラリー射出ヘッドが中に配置されているマイクロキャピラリーフィルムダイを通して押し出した。
【0078】
比較フィルムC(LLDPE+LDPE/TiOマスターバッチ/空気)を図12a〜cに示す。比較フィルムC(LLDPE+LDPE/TiOマスターバッチ/空気)を、その特性について試験しており、これらの特性を表1に報告する。比較フィルムC(LLDPE+LDPE/TiOマスターバッチ/空気)は、空気で満たされた19のマイクロキャピラリーおよび約602μmの厚さを有し、各マイクロキャピラリーは、約105μmの直径を有していた。
【0079】
本発明は、その趣旨およびその本質的特徴から逸脱することなく他の形態において実施することができ、したがって、本発明の範囲を示すには、以上の説明よりも、添付の請求の範囲を参照すべきである。
本願発明には以下の態様が含まれる。
[1]
第1の端部および第2の端部を有する強化されたフィルムまたはフォームであって、前記フィルムが、
(a)第1の熱可塑性材料を含むマトリックスと、
(b)前記フィルムの第1の端部から第2の端部まで、前記マトリックス中に平行に配置された少なくとも1つまたは複数のチャネルであって、お互いに少なくとも1μm離間しており、それぞれが、少なくとも1μmの範囲の直径を有する、1つまたは複数のチャネルと、
(c)前記1つまたは複数のチャネル中に配置された、第1の熱可塑性材料とは異なる第2の熱可塑性材料と
を含み、前記フィルムが、2μmから2000μmまでの範囲の厚さを有する、フィルムまたはフォーム。
[2]
前記第1の熱可塑性材料が、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンビニルアルコール(PVOH)、ポリ塩化ビニル、ポリ乳酸(PLA)、およびポリエチレンテレフタレートからなる群より選択される、上記[1]に記載のフィルムまたはフォーム。
[3]
前記ポリオレフィンが、ポリエチレンまたはポリプロピレンである、上記[2]に記載のフィルムまたはフォーム。
[4]
前記ポリアミドがナイロン6である、上記[2]に記載のフィルムまたはフォーム。
[5]
前記1つまたは複数のチャネルが、円形、長方形、楕円形、星形、ひし形、三角形、正方形など、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される断面形状を有する、上記[1]に記載のフィルムまたはフォーム。
[6]
前記第2の熱可塑性材料が、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンビニルアルコール(PVOH)、ポリ塩化ビニル、ポリ乳酸(PLA)、およびポリエチレンテレフタレートからなる群より選択される、上記[1]に記載のフィルムまたはフォーム。
[7]
上記[1]に記載のフィルムまたはフォームを備える多層構造体。
[8]
上記[1]に記載のフィルムまたはフォームを備える物品。
【0080】
【表1】
【符号の説明】
【0081】
10 強化されたマイクロキャピラリーフィルムまたはフォーム
11 第1の熱可塑性材料
12 第2の熱可塑性材料
14 第1の端部
16 第2の端部
18 マトリックス
20 1つまたは複数のチャネル
24 ダイ
26 入口部分
28 先細部分
30 オリフィス
32 射出器
34 本体部分
36 導管
38 第2の熱可塑性材料(12)の供給源
40 第2の導管
42 導出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8a
図8b
図9a
図9b
図9c
図10a
図10b
図11
図12a
図12b
図12c