(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の遊技機の一例を示す正面図であり、
図2は、当該遊技機の部分拡大図である。遊技機1は、遊技盤101を備えている。遊技盤101の下部位置には、発射部(
図3における符号292を参照)を備える操作ハンドル113が配置されている。発射部の駆動によって発射された遊技球は、レール102a,102b間を上昇して遊技盤101の上部位置に達した後、遊技領域103内を落下する。遊技領域103には、図示を省略する複数の釘が設けられ、遊技球を各種の方向に向けて落下させるとともに、落下途中の位置には、遊技球の落下方向を変化させる風車や、入球口が配設されている。
【0022】
遊技盤101の遊技領域103の中央部分には、図柄表示部104が配置されている。図柄表示部104としては、例えば液晶表示器(LCD)が用いられる。図柄表示部104の下方には、遊技領域103に向けて打ち込まれた遊技球を受入れ可能な第1始動口105が配置されている。第1始動口105の下方には、一対の可動片120aを有する第2始動口120が配置されている。第2始動口120は、一対の可動片120aが閉状態であるときは遊技球を受入れることが不可能または受入れ困難となっており、この一対の可動片120aが開状態であるときは、第1始動口105よりも遊技球の受入れが容易となる。上記一対の可動片120aは、通常遊技状態においては第1始動口105よりも遊技球が入球しにくい第1の状態に制御され、確変状態あるいは時短状態等の特別遊技状態においては第1始動口105よりも遊技球が入球しやすい第2の状態に制御される。なお、本実施形態における時短状態とは、上記第2始動口120が第2の状態に制御された遊技状態をいい、確変状態とは、上記第2始動口120が第2の状態に制御され、かつ、大当たりに当選する確率が、通常遊技状態に比べて高く設定された遊技状態をいう。
【0023】
また、図柄表示部104の左側には入賞ゲート106が配設されている。
入賞ゲート106は、遊技球の通過を検出し、第2始動口120を一定時間だけ開放させる普通図柄の抽選を行うために設けられる。図柄表示部104の側部や下方等には普通入賞口107が配設されている。普通入賞口107に遊技球が入球すると、所定の賞球数(例えば10個)の払い出しが行われる。遊技領域103の最下部には、どの入球口にも入球しなかった遊技球を回収する回収口108が設けられている。
【0024】
図柄表示部104の右下には、後述する第1特別図柄抽選手段300による抽選結果を表示する第1特別図柄表示器84と、第2特別図柄抽選手段320による抽選結果を表示する第2特別図柄表示器86とが設けられている。これら両表示器84,86においては、特別図柄が変動表示された後、最終的に抽選結果が表示される。そして、この特別図柄の変動表示中に第1始動口105あるいは第2始動口120に遊技球が入球すると、当該入球によって得られる特別図柄の変動表示の権利、いわゆる保留球が留保される。この留保された保留球の数は、第1特別図柄保留表示器88および第2特別図柄保留表示器90に表示される。なお、上記第1特別図柄表示器84と第2特別図柄表示器86とによって、本発明の特別図柄変動表示手段を構成している。
また、上記と同様に、入賞ゲート106に遊技球が入球すると、普通図柄抽選手段360による抽選が行われるが、この抽選結果を表示する普通図柄表示器82が設けられている。そして、普通図柄の変動表示中に入賞ゲート106に遊技球が入球することによって得られる普通図柄の変動表示の権利、すなわち保留球の数が、普通図柄保留表示器92に表示される。
【0025】
これらの各表示器82,84,86,88,90,92は、例えばLEDで構成されており、このLEDの点灯態様によって、第1特別図柄抽選手段300による抽選結果、第2特別図柄抽選手段320による抽選結果、普通図柄抽選手段360による抽選結果、第1始動口105に入球して得られた保留球の数、第2始動口120に入球して得られた保留球の数、および入賞ゲート106に入球して得られた保留球の数が報知される。
【0026】
上述した図柄表示部104は、第1始動口105または第2始動口120に遊技球が入球したときに、複数の装飾図柄の変動表示を開始し、所定時間後に当該装飾図柄の変動を停止させる。この停止時に特定図柄(例えば「777」)が揃ったとき、大当たり状態となる。大当たり状態のとき、下方に位置する大入賞口開閉装置109における大入賞口開閉扉109aを一定の期間開放する動作を所定回数(例えば15回)繰り返し、入球した遊技球に対応した数の賞球を払い出す。また、図柄表示部104は、第1始動口105に遊技球が入球したことにより、当該第1始動口105の入球に係る装飾図柄を変動表示し、第2始動口120に遊技球が入球したことにより、当該第2始動口120の入球に係る装飾図柄を変動表示する。本実施形態においては、第1始動口105あるいは第2始動口120に遊技球が入球した場合、第1特別図柄表示器84または第2特別図柄表示器86において特別図柄が変動表示され、この特別図柄の変動表示中に、図柄表示部104において、装飾図柄が変動表示される。そして、第1始動口105と第2始動口120との双方に、変動表示の権利いわゆる保留球がある場合には、入球順に保留球が消化される。
【0027】
遊技盤101の遊技領域103の外周部分には、枠部材110が設けられている。枠部材110は、遊技盤101の上下左右の4辺において遊技領域103の周囲を囲む形状を有している。また、枠部材110は、遊技盤101の盤面から遊技者側に突出する形状を有している。これにより、本実施の形態の遊技機を、枠部材110を備えていない他機種の遊技機よりも目立たせることができる。遊技機を目立たせることにより、遊技機の稼働率の向上を図るとともに、遊技機に対する不正行為に対する抑止力の強化を図ることができる。
【0028】
枠部材110において、遊技領域103の上側および下側となる2辺には、演出ライト111(ランプユニット)が設けられている。演出ライト111は、それぞれ、複数のライト112を備えている。各ライト112は、遊技機の正面にいる遊技者を照射し、その照射位置が遊技者の頭上から腹部に沿って移動するように、光の照射方向を上下方向に変更することができる。各ライト112は、演出ライト111に設けられたモータ(図示せず)によって、光の照射方向を上下方向に変更するように駆動される。
【0029】
また、各ライト112は、遊技機の周囲を照射し、その照射位置が遊技機を基準にして円をなすように、光の照射方向を回転させることができる。各ライト112は、演出ライト111に設けられたモータによって、光の照射方向を回転させるように駆動される。各ライト112から光の照射方向を回転させるように駆動するモータは、各ライト112からの光の照射方向を上下方向に変更するモータとは別のモータである。
【0030】
演出ライト111は、各ライト112から照射される光の照射方向を、上下方向に変更しながら回転させることにより、演出ライト111全体から照射する光の照射方向を3次元に変更することができる。
【0031】
光の照射方向は、たとえば、大当たり状態となった場合に変更させる。これにより、遊技者および遊技機の周囲を順次照射して、遊技機が大当たり状態となっていることを周囲に知らしめることができ、大当たり状態となった遊技者の注目度を高めることができる。
したがって、遊技者に対して、注目されていることによる高揚感を与え、本実施の形態の遊技機を継続あるいは繰り返して利用させ、遊技機の稼働率の向上を図ることができる。
また、光の照射方向あるいは照射パターンは、例えば、後に詳しく説明する遊技機に対する不正行為がおこなわれた場合など、通常の遊技時とは異なる異常事態が発生した場合に異ならせるようにしてもよい。これにより、不正行為などの異常事態を迅速に発見するとともに、遊技機に対する次回以降の不正行為に対する抑止力の強化を図ることができる。
【0032】
枠部材110において、遊技領域103の下側となる辺には、遊技球が供給される受け皿ユニット119が設けられている。この受け皿ユニット119には、図示しない貸し玉装置から貸し出される遊技球が供給される。
枠部材110の下部位置には、操作ハンドル113が配置されている。操作ハンドル113は、上記の発射部の駆動によって遊技球を発射させる際に、遊技者によって操作される。操作ハンドル113は、上記の枠部材110と同様に、遊技盤101の盤面から遊技者側に突出する形状を有している。
【0033】
操作ハンドル113は、上記の発射部を駆動させて遊技球を発射させる発射指示部材114を備えている。発射指示部材114は、操作ハンドル113の外周部において、遊技者から見て右回りに回転可能に設けられている。発射部は、発射指示部材114が遊技者によって直接操作されている場合に、遊技球を発射させる。公知の技術であるため説明を省略するが、操作ハンドル113には、遊技者が発射指示部材114を直接操作していることを検出するセンサなどが設けられている。
【0034】
図柄表示部104の上側および側方(
図1においては紙面右側)には、演出用の役物(以下、「演出役物」という)115,116が設けられている。本実施形態の遊技機における演出役物115,116は、日本刀の一部(鍔の周辺)を模式的にあらわしている。演出役物115,116は、鞘から刀身を抜き、抜いた刀身を再び鞘に戻すかの如くに、演出役物115,116の長手方向に沿って移動可能に設けられている。
【0035】
演出役物115は、ソレノイドによって駆動され、演出役物116は、モータによって駆動される。同様の演出役物115,116を異なる種類の駆動源によって駆動することにより、演出役物115,116それぞれに独自の動きをおこなわせることができ、これによって演出効果を増大させることができる。
【0036】
枠部材110において、遊技領域103の下側となる辺には、遊技者による操作を受け付けるチャンスボタン117が設けられている。チャンスボタン117の操作は、例えば、遊技中における特定のリーチ演出に際し、チャンスボタン117の操作を促すガイダンスが表示されている間有効となる。
加えて、枠部材110には、演出効果音、または不正を知らしめる音声を出力するスピーカ(
図3における符号277を参照)が組み込まれている。このスピーカ277は高音・中音・低音の領域を出力できるタイプのもので、通常演出時は高音・中音・低音をバランス良く出力するが、後述する特別演出時または不正等があった場合には、周りに良く聞こえるように高音領域を高く出力するように制御されている。
【0037】
(制御手段の内部構成)
図3は、遊技機1の制御手段の内部構成を示すブロック図である。制御手段200は、複数の制御基板により構成されている。図示の例では、主制御基板201と、副制御基板202と、賞球制御基板203と、ランプ制御基板206とで構成されている。
【0038】
主制御基板201は遊技機1の遊技にかかる基本動作を制御し、ROM201bに記憶されたプログラムに基づき、遊技内容の進行に伴う基本処理を実行するCPU201aと、CPU201aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM201c等を備えて構成される。
【0039】
この主制御基板201では遊技に係る大当たりの抽選を行っており、また、この抽選結果に基づき、ROM201bに記録されている演出のコマンドの選択を行っている。このROM201bに記録されている演出コマンドは120種類程度あり、後に詳しく説明する各リーチ演出コマンドではそれぞれ演出時間が決定されている。
【0040】
この主制御基板201の入力側には、第1始動口105に入球した遊技球を検出する第1始動口検出部221と、第2始動口120に入球した遊技球を検出する第2始動口検出部225と、入賞ゲート106を通過した遊技球を検出するゲート検出部222と、普通入賞口107に入球した遊技球を検出する普通入賞口検出部223と、大入賞口開閉装置109に入球した遊技球を検出する大入賞口検出部224と、が接続されている。
【0041】
また、この主制御基板201の出力側には、大入賞口開閉部231が接続され、大入賞口開閉装置109の開閉を制御する。大入賞口開閉部231は、大当たり時に大入賞口開閉装置109を一定期間開放する機能であり、大入賞口開閉ソレノイド109b(詳細な図示はしない)等のソレノイドを用いて構成される。この大当たりは、生成した乱数に基づき所定の確率で発生するよう予めプログラムされている。
【0042】
副制御基板202の入力側には、上記のチャンスボタン117が操作されたことを検出するチャンスボタン検出部220が接続されている。
この副制御基板202は、主に遊技中における演出の制御をおこなうもので、主制御基板201より送信される演出コマンドに基づき、演出の抽選及び演出処理を実行するCPU202aと、プログラム及び過去の演出パターンを記憶するROM202bと、CPU202aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM202c等を備えている。
【0043】
この副制御基板202は、主制御基板201より送信される遊技演出の一部を構成する演出コマンドを受信し、この演出コマンドに基づきCPU202aにて抽選を行い、演出背景パターン、リーチ演出パターン、登場キャラクター等の演出を確定し、この演出確定コマンドを送信して遊技における副制御を行う。
なお、このCPU202aは、所定回数変動の過去の演出パターンと比較して、主制御基板201より送信される演出コマンドの範中で連続して同一の演出パターンを発生させないように制御する機能を備えてなるものであってもよい。
【0044】
副制御基板202の出力側には、図柄表示部104が接続されており、副制御基板202は、上述した演出確定コマンドに基づく演出処理を実行する機能も有する。すなわち、副制御基板202におけるCPU202aは、演出確定コマンドに基づき演出処理を実行し、ROM202bは背景画像、図柄画像、キャラクター画像など各種画像データを記憶し、RAM202cはCPU202aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。そして、副制御基板202は、図柄表示部104に表示させる画像データを書き込むVRAM202dをさらに備えて構成される。
【0045】
そして通常、CPU202aがROM202bに記憶されたプログラムを読み込んで、背景画像表示処理、図柄画像表示及び変動処理、キャラクター画像表示処理など各種画像処理を実行し、必要な画像データをROM202bから読み出してVRAM202dに書き込む。背景画像、図柄画像、キャラクター画像は、表示画面上において図柄表示部104に重畳表示される。すなわち、図柄画像やキャラクター画像は背景画像よりも手前に見えるように表示される。このとき、同一位置に背景画像と図柄画像が重なる場合、Zバッファ法など周知の陰面消去法により各画像データのZバッファのZ値を参照することで、図柄画像を優先してVRAM202dに記憶させる。
【0046】
また副制御基板202の出力側には、スピーカ277が接続されており、副制御基板202は、上述した演出確定コマンドに基づく演出処理として音声を出力制御する機能も有する。すなわち、副制御基板202における、CPU202aは演出確定コマンドに基づき音声処理を実行し、ROM202bは各種音声データを記憶し、RAM202cはCPU202aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。そして、各種演出が実行される際に、演出確定コマンドに基づき、CPU202aがROM202bに記憶されたプログラムを読み込んで、演出効果音処理などの各種音声出力処理を実行しスピーカ277より音声出力を行う。
【0047】
また副制御基板202の出力側には、ランプ262、演出ライト111及び役物部254を制御するランプ制御基板206を備えている。
ランプ制御基板206は、副制御基板202より送信された演出確定コマンドに基づき演出処理を実行するCPU206aと、各種演出パターンデータを記憶するROM206bと、CPU206aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM206c等を備えて構成される。
【0048】
ランプ制御基板206は、副制御基板202より送信された演出確定コマンドに基づき、遊技盤101や台枠等に設けられている各種ランプ262に対する点灯制御等を行い、また、演出ライト111における複数のライト112に対する点灯制御等を行い、各ライト112からの光の照射方向を変更するためにモータに対する駆動制御等を行う。
【0049】
また、ランプ制御基板206は、副制御基板202より送信された演出確定コマンドに基づき、役物部254に対しては、演出役物115を動作させるソレノイドに対する駆動制御等を行い、演出役物116を動作させるモータに対する駆動制御等を行う。
【0050】
また、上記主制御基板201には賞球制御基板203が双方向にて送信可能に接続されている。賞球制御基板203は、ROM203aに記憶されたプログラムに基づき、賞球制御を行う。この賞球制御基板203は、賞球制御の処理を実行するCPU203aと、CPU203aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM203c等を備えて構成される。
【0051】
賞球制御基板203は、接続される払出部291に対して入球時の賞球数を払い出す制御を行う。また、発射部292に対する遊技球の発射の操作を検出し、遊技球の発射を制御する。払出部291は、遊技球の貯留部から所定数を払い出すためのモータ等からなる。
【0052】
賞球制御基板203は、この払出部291に対して、各入球口(第1始動口105、第2始動口120、普通入賞口107、大入賞口開閉装置109)に入球した遊技球に対応した賞球数を払い出す制御を行う。発射部292は、遊技のための遊技球を発射するものであり、遊技者による遊技操作を検出するセンサ(図示しない)と、遊技球を発射させるソレノイド等(図示しない)を備える。賞球制御基板203は、発射部292のセンサにより遊技操作を検出すると、検出された遊技操作に対応してソレノイド等を駆動させて遊技球を間欠的に発射させ、遊技盤101の遊技領域103に遊技球を送り出す。
【0053】
(主制御基板および副制御基板の機能的な構成について)
図4は、遊技の進行を制御する制御手段200の機能的な構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【0054】
図4に示すように、主制御基板201のROM201bは、主に第1始動口105に遊技球が入球したときに機能する手段として、第1特別図柄抽選手段300、第1特別図柄表示制御手段301、第1特別図柄変動制御手段302、第1乱数判定手段303を備えている。
また、ROM201bは、主に第2始動口120に遊技球が入球したときに機能する手段として、第2特別図柄抽選手段320、第2特別図柄表示制御手段321、第2特別図柄変動制御手段322、第2乱数判定手段323を備えている。
また、ROM201bは、遊技を進行制御する手段として、大当たり遊技制御手段340、確変遊技制御手段341、時短遊技制御手段342、通常遊技制御手段343、当該変動判定手段331、演出実行コマンド送信手段333を備えている。
さらに、ROM201bは、入賞ゲート106に遊技球が入球したときに機能する手段として、普通図柄抽選手段360、普通図柄表示制御手段361、普通図柄変動制御手段362、普通図柄抽選結果判定手段363を備えている。
【0055】
また、主制御基板201のRAM201cは、第1特別図柄保留記憶手段401、第2特別図柄保留記憶手段402、普通図柄保留記憶手段403、遊技状態記憶手段404、保留順序記憶手段406を備えている。
一方、副制御基板202のROM202bには、演出抽選手段501および演出制御手段502を備えている。
なお、上記第1特別図柄抽選手段300および第2特別図柄抽選手段320によって、本発明の遊技データ抽選手段を構成している。
以下に、各手段の構成および機能について説明する。
【0056】
上記大当たり遊技制御手段340、確変遊技制御手段341、時短遊技制御手段342および通常遊技制御手段343は、いずれも各遊技状態において遊技の進行を制御するプログラムである。
【0057】
大当たり遊技制御手段340は、後述する第1特別図柄抽選手段300または第2特別図柄抽選手段320による大当たり抽選の結果、通常遊技状態から大当たり遊技状態へと移行したときに、当該大当たり遊技の進行を制御する。具体的には、大当たり遊技制御手段340は、大入賞口開閉装置109の開閉動作を計15ラウンドにわたって行う長当たり遊技と、大入賞口開閉装置109の開閉動作を2ラウンドにわたって行う短当たり遊技とを制御する。なお、本実施形態においては、「長当たりおよび短当たり」を「大当たり」と総称し、「長当たり遊技および短当たり遊技」を「大当たり遊技」と総称する。
【0058】
上記のように、長当たり遊技が実行されるときは、大入賞口開閉装置109の開閉動作が、短当たり遊技のときの大入賞口開閉装置109の開閉動作よりも多く実行されるようにしている。この大入賞口開閉装置109の開閉動作は、大入賞口開閉部231によって大入賞口開閉ソレノイド109bを作動させることによって行われる。具体的には、大当たり遊技制御手段340が、長当たり遊技状態では1ラウンドから15ラウンドまで、短当たり遊技状態では2ラウンドだけ、大入賞口開閉ソレノイド109bを作動させて、大入賞口開閉扉109aを開閉させる。そして、大入賞口開閉装置109に遊技球が入球すると、大入賞口検出部224によって入球数がカウントされる。また、大入賞口開閉装置109に遊技球が入球したことが、大入賞口検出部224に検出されると、払出部291によって賞球として遊技球が払い出される。
【0059】
ここで、「ラウンド」とは、長当たり遊技および短当たり遊技が実行されている場合において、所定時間(例えば30秒)経過することおよび所定数(例えば9球)の遊技球が入球することのいずれかの条件を満たすことによって大入賞口開閉装置109が開閉動作する単位を意味する。本実施形態においては、短当たり遊技における1ラウンド当たりの大入賞口開閉装置109の開放時間は、長当たり遊技における1ラウンド当たりの大入賞口開閉装置109の開放時間よりも極めて短い時間に設定している。
【0060】
確変遊技制御手段341は、長当たり遊技または短当たり遊技が実行されたのちの遊技において、第1特別図柄抽選手段300および第2特別図柄抽選手段320が抽選を行う際に、大当たりへの当選確率を高める確変遊技を制御する。詳しくは後述するが、第1特別図柄抽選手段300による当否判定を第1特別図柄確変時当たり判定用テーブルに基づいて行い、第2特別図柄抽選手段320による当否判定を第2特別図柄確変時当たり判定用テーブルに基づいて行う。
【0061】
本実施形態において、「確変遊技」とは、第1特別図柄抽選手段300および第2特別図柄抽選手段320による当否判定が、それぞれ、第1特別図柄確変時当たり判定用テーブルおよび第2特別図柄確変時当たり判定用テーブルに基づいて行われる遊技を意味する。また、確変遊技が行われている遊技状態を「確変遊技状態」と称する。ここで、特別図柄確変時当たり判定用テーブル(第1特別図柄確変時当たり判定用テーブルおよび第2特別図柄確変時当たり判定用テーブル)は、特別図柄通常時当たり判定用テーブルよりも長当たりおよび短当たりへの当選確率が高く設定されている(例えば、通常時に比べて約10倍程度当選確率が高く設定される。詳細は後述する)。
【0062】
なお、本実施形態においては、第1特別図柄抽選手段300によって抽選された乱数が、長当たりと判定された場合には、該長当たり遊技が実行されたのちに例えば2分1の確率で確変遊技状態となり、短当たりと判定された場合には、該短当たり遊技が実行されたのち、ほぼ100%の確率で確変遊技状態となる。一方、第2特別図柄抽選手段320によって抽選された乱数が、長当たりと判定された場合には、該長当たり遊技が実行されたのちに例えば60%の確率で確変遊技状態となる。ただし、短当たりと判定された場合には、上記と同様に、該短当たり遊技が実行されたのちにほぼ100%の確率で確変遊技状態となる。
【0063】
また、上記の短当たりと略同様の態様であるものの、当該当たり遊技が実行されたのちに確変遊技状態とならずに時短遊技状態となる通常短当たりや、確変遊技状態および時短遊技状態のいずれともならずに通常遊技状態となる小当たり等を適宜組み合わせてもよい。
【0064】
時短遊技制御手段342は、普通図柄抽選手段360による抽選において抽選時間を短くする時短遊技を制御する。なお、確変遊技状態のときには、確変遊技制御手段341による確変遊技と併せて、時短遊技制御手段341による時短遊技が行われる。
【0065】
本実施形態において、「時短遊技状態」とは、後述する普通図柄抽選手段360による抽選が、普通図柄時短時当たり判定用テーブルに基づいて行われる遊技状態を意味する。つまり、普通図柄抽選手段360は、通常遊技状態においては、普通図柄通常時当たり判定用テーブルに基づいて抽選を行うが、時短遊技状態においては、普通図柄時短時当たり判定用テーブルに基づいて抽選が行われる。普通図柄時短時当たり判定用テーブルは、普通図柄通常時当たり判定用テーブルよりも抽選時間が短く設定されている。
【0066】
なお、普通図柄抽選手段360による抽選の結果、当たりが当選すると、一対の可動片120aが一定時間開放し、遊技球が第2始動口120に入球しやすくなる。そして、普通図柄時短時当たり判定用テーブルは、当選確率が例えば90%と高く設定されている。したがって、時短遊技状態においては、第2始動口120への入球による賞球を多く獲得することが可能となり、遊技球を極力減らすことなく遊技を進行することができる。
また、上記確変遊技および時短遊技のように、遊技者に有利な遊技価値が付与された状態で行われる遊技を特別遊技という。
【0067】
そして、通常遊技制御手段343は、上記大当たり遊技、特別遊技のいずれにも該当しない遊技、すなわち通常遊技を進行制御する。上記のように、遊技状態によって、大当たり遊技制御手段340、確変遊技制御手段341、時短遊技制御手段342、および通常遊技制御手段343のいずれかが遊技の進行を制御することとなるが、これら各制御手段340〜343が進行している遊技状態は、RAM201cの遊技状態記憶手段404に書き込まれるようにしている。
【0068】
第1始動口105及び第2始動口120への入賞に係る権利が留保されたとき、その入賞(入球)順序に係るデータは、入賞した始動口の種類を識別するデータとともに保留順序記憶手段406に記憶される。この保留順序記憶手段406に記憶されたデータは、CPU201aの制御により副制御基板202に送信される。
【0069】
次に、遊技球が入賞ゲート106を通過することによって制御を開始する普通図柄抽選手段360、普通図柄表示制御手段361、普通図柄変動制御手段362、普通図柄抽選結果判定手段363、および普通図柄保留記憶手段403について説明する。
普通図柄抽選手段360は、遊技球が入賞ゲート106を通過してゲート検出部222により検出されると、予め用意された乱数値(例えば、0〜250)から乱数を抽出する。普通図柄抽選手段360によって乱数値が抽出されると、普通図柄抽選結果判定手段363が、ROM201bに記憶されたテーブルに基づいて当たりか否かの判定を行う。このとき、通常遊技状態であれば普通図柄通常時当たり判定用テーブルに基づいて当たりが判定され、時短遊技状態時(確変遊技状態時も含む)であれば普通図柄時短時当たり判定用テーブルに基づいて当たりが判定される。
【0070】
普通図柄抽選結果判定手段363による判定の結果、当たりである場合には、第2始動口開閉ソレノイド120bを作動させて可動片120aを開放し、ハズレであった場合には第2始動口開閉ソレノイド120bを作動させることなく制御を終了する。したがって、普通図柄抽選結果判定手段363による判定の結果がハズレであった場合には、第2始動口120が開放されることなく、閉状態が維持されることとなる。そして、普通図柄抽選結果判定手段363による判定の結果は、普通図柄表示制御手段361によって普通図柄表示器82に表示される。
なお、入賞ゲート106を遊技球が通過してから、判定結果が普通図柄表示器82に表示されるまでには所定時間を要する。この間に、さらに遊技球が入賞ゲート106を通過した場合には、普通図柄抽選手段360による抽選の権利が、普通図柄保留記憶手段403に留保される。この抽選の権利の留保は最大4つであり、普通図柄表示制御手段361によって普通図柄保留表示器92に表示される。
【0071】
次に、遊技球が第1始動口105または第2始動口120に入球した際の制御について説明する。
第1始動口105に遊技球が入球したことを第1始動口検出部221が検出すると、当該検出信号が主制御基板201に送信される。当該信号を受信すると、第1特別図柄抽選手段300が、予め用意された乱数値(例えば、0〜600)の中からいずれかの乱数値を抽出する。ここで抽出した乱数値には、当たり乱数、図柄乱数、リーチ乱数が含まれている。当たり乱数とは、大当たりか否かを判別するための乱数であり、図柄乱数とは、当たりの種類(長当たり、短当たり)を決定するための乱数である。そして、リーチ乱数とは、リーチ演出(後述する関連演出を含む)をするか否かを決定するための乱数である。
【0072】
RAM201cには、遊技状態記憶手段404が設けられており、この遊技状態記憶手段404が、現在の遊技状態が通常遊技状態であるのか、特別遊技状態(確変遊技状態、時短遊技状態)であるのかを記憶している。そして、第1特別図柄抽選手段300が乱数値を抽出した際には、遊技状態記憶手段404に記憶された遊技状態に基づいて、第1乱数判定手段303が上記乱数値を判定する。
【0073】
具体的には、通常遊技状態であれば、抽出された乱数値を特別図柄通常時当たり判定テーブルに基づいて判定し、確変遊技状態であれば特別図柄確変時当たり判定テーブルに基づいて判定する。そして、特別図柄通常時当たり判定テーブルには、第1特別図柄通常時当たり判定テーブル、第2特別図柄通常時当たり判定テーブルが用意されており、特別図柄確変時当たり判定テーブルにも、第1特別図柄確変時当たり判定テーブル、第2特別図柄確変時当たり判定テーブルが用意されている。これら各判定テーブルは、ROM201bに格納されており、遊技状態や入球した始動口に基づいて、それぞれ異なるテーブルが参照されるようにしている。
【0074】
上記のようにして抽出された第1抽出乱数値は、RAM201cの第1特別図柄保留記憶手段401に記憶されるが、この第1特別図柄保留記憶手段401は、
図5(a)に示すように構成されている。即ち、
図5は、保留順に拘わる記憶領域の一例を示す図であるが、この図からも明らかなように、第1特別図柄保留記憶手段401は、遊技球が第1始動口検出部221に検出されたことに基づいて取得した乱数(当たり乱数、図柄乱数、リーチ乱数)即ち遊技データを、遊技球が検出された順番と対応付けて保留球として記憶する。つまり、第1始動口105に遊技球が入球すると、第1特別図柄の変動表示の権利が、第1特別図柄保留記憶手段401に、いわゆる保留球として記憶される。そして、当該記憶領域401に留保された保留球は、当該記憶手段401内で、記憶された順に消化、処理がなされる。
【0075】
具体的には、第1特別図柄保留記憶手段401は、第1記憶領域401aから第4記憶領域401dまで4つの記憶領域を備えており、第1始動口105に遊技球が入球するたびに、第1記憶領域401aから順番に上記保留球が留保されていく。つまり、第1記憶領域401aに保留球が留保された状態で、さらに第1始動口105に遊技球が入球すると、今度は第2記憶領域401bに保留球が留保される。このようにして、本実施形態においては、第1特別図柄保留記憶手段401には、最大4つまで保留球が留保される。一方、第1記憶領域401aから第4記憶領域401dまでの全てに保留球が留保された状態で、さらに第1始動口105に遊技球が入球した場合には、保留球として上記変動表示の権利は留保されない。言い換えれば、第1特別図柄保留記憶手段401の上限保留個数まで保留球が留保されている場合には、第1始動口105に遊技球が入球したとしても、当該入球による大当たりの抽選は行われない。ただし、この場合でも、第1始動口105への遊技球の入球に対する賞球は所定数払い出される。
【0076】
また、第1特別図柄保留記憶手段401に留保された保留球は、第1特別図柄保留記憶手段401のみに保留球が留保されている場合、第1特別図柄変動制御手段302によって、常に第1記憶領域401aから消化される。第1記憶領域401aに記憶された保留球が消化されると、第2記憶領域401bから第4記憶領域401dまで留保された保留球が、当該記憶領域から一つ前の領域に移行する。つまり、第1記憶領域401aに留保された保留球が消化されると、第2記憶領域401bに留保された保留球は第1記憶領域401aに移行する。同様に、第3記憶領域401cに留保された保留球は第2記憶領域401bに移行し、第4記憶領域401dに留保された保留球は第3記憶領域401cに移行する。したがって、第4記憶領域401dは、再び保留球の受け入れ、即ち留保が可能となる。なお、各記憶領域401a〜401dに留保された保留球のシフト処理は、制御手段200の図示しない保留シフトプログラムによってなされる。
【0077】
一方、第2特別図柄保留記憶手段402も、上記遊技球が第2始動口検出部225に検出されたことに基づいて取得した乱数(当たり乱数、図柄乱数、リーチ乱数)、即ち遊技データを、遊技球が検出された順番と対応付けて保留球として記憶する。即ち、第2始動口120に遊技球が入球すると、第2特別図柄の変動表示の権利、即ち大当たりの抽選の権利が第2特別図柄保留記憶手段402に保留球として記憶される。そして、当該記憶領域402に留保された特別図柄の変動表示の権利は、当該記憶手段402のみに保留球が留保されている場合、当該記憶領域402内で、第2特別図柄変動制御手段322によって、記憶された順に消化、処理がなされる。
【0078】
具体的には、第2特別図柄保留記憶手段402は、第5記憶領域402aから第8記憶領域402dまで4つの記憶領域を備えており、第2始動口120に遊技球が入球するたびに、第5記憶領域402aから順番に上記保留球が留保されていく。つまり、第5記憶領域402aに留保された状態で、さらに第2始動口120に遊技球が入球すると、今度は第6記憶領域402bに保留球が留保される。このようにして、第2特別図柄保留記憶手段402には、最大4つまで保留球が留保される。一方、第5記憶領域402aから第8記憶領域402dまでの全てに保留球が留保された状態で、さらに第2始動口120に遊技球が入球した場合には、保留球として上記変動表示の権利は留保されない。言い換えれば、第2特別図柄保留記憶手段402の上限保留個数まで保留球が留保されている場合には、第2始動口120に遊技球が入球したとしても、当該入球による大当たりの抽選は行われない。ただし、この場合でも第2始動口120への遊技球の入球に対する賞球は所定数払い出される。
【0079】
また、第2特別図柄保留記憶手段402に複数の保留球が留保された場合には、常に第5記憶領域402aから消化されることとなるが、第5記憶領域402aに記憶された保留球が消化されると、第6記憶領域402bから第8記憶領域402dまで留保された保留球が、当該記憶領域から一つ前の領域に移行する。つまり、第5記憶領域402aに留保された保留球が消化されると、第6記憶領域402bに留保された保留球は第5記憶領域402aに移行する。同様に、第7記憶領域402cに留保された保留球は第6記憶領域402bに移行し、第8記憶領域402dに留保された保留球は第7記憶領域402cに移行する。したがって、第8記憶領域402dは、再び保留球の受け入れ、即ち留保が可能となる。なお、各記憶領域402a〜402dに留保された保留球のシフト処理は、制御手段200の図示しない保留シフトプログラムによってなされる。
【0080】
なお、上記第1記憶領域401aから第8記憶領域402dまでの8つの各記憶領域は、
図5(c)に示すように、いずれも、当たり乱数記憶領域、図柄乱数記憶領域およびリーチ乱数記憶領域を有している。当たり乱数記憶領域は、大当たり遊技を開始させるか否かの判定に用いる当たり乱数を記憶する領域である。また、図柄乱数記憶領域は、大当たりの場合に第1特別図柄表示器84または第2特別図柄表示器86の停止図柄の態様を確変図柄とするか否かの判定(ラウンド数を15ラウンドとするか否かも含む)に用いる図柄乱数を記憶する領域である。
【0081】
そして、第1始動口105に遊技球が入球して、第1始動口検出部221による遊技球の検出があると、既に説明したとおり、第1特別図柄抽選手段300が当たり乱数、図柄乱数およびリーチ乱数、即ち、遊技データを抽出する。抽出された当たり乱数、図柄乱数およびリーチ乱数は、上記のとおり、第1記憶領域401a〜第4記憶領域401dにおける当たり乱数記憶領域、図柄乱数記憶領域およびリーチ乱数記憶領域に記憶される。
【0082】
そして、第1特別図柄保留記憶手段401に保留球が留保されると、第1特別図柄表示制御手段301が、留保されている保留球の数を、第1特別図柄保留表示器88に表示する。
【0083】
なお、第2始動口120に遊技球が入球し、第2始動口検出部225による遊技球の検出があった場合にも、第2特別図柄抽選手段320、第2特別図柄表示制御手段321、第2特別図柄変動制御手段322によって、上記と同様の処理がなされる。ただし、抽出された遊技データ、即ち、当たり乱数、図柄乱数およびリーチ乱数は、第5記憶領域402a〜第8記憶領域402dのいずれかに記憶される。
【0084】
そして、上記第1及び第2の特別図柄保留記憶手段401、402に保留球が複数留保された場合には、次のような順序で保留球を消化するようにしている。
【0085】
図6は、第1特別図柄保留表示器88、第2特別図柄保留表示器90に保留球が表示される態様をと、その消化処理の順序を説明するための図である。上記したように、本実施形態においては、
図6(a)に示すように、第1特別図柄保留表示器88及び第2特別図柄保留表示器90は各4個のLEDから構成されている。
【0086】
例えば、
図6(b)に示すように、第1特別図柄保留記憶手段401の第1記憶領域401a〜401cに保留球が留保され、第2特別図柄保留記憶手段402の第5記憶領域402aおよび第6記憶領域402bに保留球が留保されているとする。
【0087】
また、第1始動口105および第2始動口120に対して、遊技球が入球した順序は、図示のとおり、1個目が第1始動口105、2個目が第2始動口120、3個目が第1始動口105、4個目が第2始動口120、そして、5個目が第1始動口105であったとする。この場合、計5個の保留球は、
図6(c)に示す矢印の順序で入球順に消化されていく。即ち、保留球が第1始動口105への入球によるものか第2始動口120への入球によるものかには無関係に入球順に処理される。
【0088】
上記のようにして保留球は順次消化されていくが、この保留球の消化を制御しているのが、CPU201aであり、ROM201bの第1特別図柄変動表示制御手段302および第2特別図柄変動表示制御手段322である。
【0089】
即ち、両変動表示制御手段302、322は、いずれの保留球を処理するのかを監視している。そして、第1記憶領域401aもしくは第5記憶領域402aに記憶された処理すべき保留球の遊技データに基づいて、変動表示を開始する。
【0090】
具体的には、通常遊技状態であれば、第1特別図柄抽選手段300および第2特別図柄抽選手段320により抽出された乱数を、当該変動判定手段331が、特別図柄通常時当たり判定テーブルに基づいて判定し、確変遊技状態であれば特別図柄確変時当たり判定テーブルに基づいて判定する。そして、特別図柄通常時当たり判定テーブルは第1特別図柄通常時当たり判定テーブル、第2特別図柄通常時当たり判定テーブルが用意されており、特別図柄確変時当たり判定テーブルも第1特別図柄確変時当たり判定テーブル、第2特別図柄確変時当たり判定テーブルが用意されている。これら各判定テーブルは、ROM201bに格納されており、遊技状態に基づいて、それぞれ異なるテーブルが参照されるようにしている。
【0091】
ここで、第1特別図柄抽選手段300によって抽出される乱数について、
図7に基づき説明する。
図7(a)は、大当たりの当選確率および当たり乱数を示すテーブルである。
図7(b−1)は、図柄乱数および大当たりに当選した場合における大当たり遊技の種類(ラウンド数、確変、通常)を決定するためのテーブル(第1特別図柄乱数判定テーブル)である。同様に、
図7(b−2)は、第2特別図柄乱数判定テーブルである。
【0092】
図7(a)に示すように、本実施形態において、当たり乱数は0〜600までの601個の乱数値から一つ抽出される。そして、通常遊技状態で参照される特別図柄通常時当たり判定テーブルには、7および317が大当たり乱数として記憶されており、確変遊技状態で参照される特別図柄確変時当たり判定テーブルには、7、37、67、97、127、157、187、217、247、277、317、337、367、397、427、457、487、517、547、577が大当たりの乱数として記憶されている。
【0093】
そして、当該変動判定手段331は、第1特別図柄抽選手段300に抽出され当たり乱数が、通常遊技状態においては、特別図柄通常時当たり判定テーブルを参照して当たりであるか否かを判定する。つまり、抽出された当たり乱数が、7または317である場合には、当たりと判定し、その他の乱数であった場合には、ハズレと判定する。また、確変遊技状態においても、上記と同様に当たりであるか否かを判定する。
【0094】
その結果、該抽出された当たり乱数が大当たり乱数であると判定した場合には、当該変動判定手段331が、
図7(b−1)に基づいて、大当たりの種類を決定する。大当たりの種類には、大当たり遊技の時間が長く、多量の遊技球の払い出しが期待できる長当たりと、大当たり遊技の時間が短い短当たりとがある。長当たりには、大当たり遊技(以下、長当たりに対応する大当たり遊技を「長当たり遊技」と称する)の終了後に確変遊技状態および時短遊技状態の両方が発生する「確変時短付長当たり」と、長当たり遊技の終了後に時短遊技状態のみが発生する(確変遊技状態は発生しない)「通常長当たり」とがある。短当たりには、大当たり遊技(以下、短当たりに対応する大当たり遊技を「短当たり遊技」と称する)の終了後に時短遊技状態のみが発生する(確変遊技状態は発生しない)「通常短当たり」と、短当たり遊技の終了後に確変遊技状態および時短遊技状態の両方が発生する「確変時短付短当たり」とがある。
なお、第2特別図柄抽選手段320に抽出され当たり乱数の場合も同様に、通常遊技状態においては、特別図柄通常時当たり判定テーブルを参照して当たりであるか否かが判定される。確変遊技状態においても、上記と同様に当たりであるか否かが判定される。その結果、該抽出された当たり乱数が大当たり乱数であると判定した場合には、当該変動判定手段331が、
図7(b−2)に基づいて大当たりの種類を決定する。
【0095】
また、当該変動判定手段331は、該抽出された当たり乱数が大当たり乱数ではないと判定した場合、つまり、ハズレと判定した場合には、
図8に示すテーブル(ハズレ乱数テーブル)を参照してハズレの内容を判定する。ここでいうハズレの内容とはハズレの演出内容、つまり通常ハズレ演出やリーチ演出などの内容を意味する。すなわち、当該変動判定手段331がハズレと判定した場合には、該ハズレに基づく演出内容が判定されることになる。
【0096】
すなわち、
図8に示すハズレ乱数テーブルにおいては、大当たり乱数を除く全てのハズレ乱数にはそれぞれハズレ変動に対応する演出内容が、通常ハズレ変動A〜Z、ノーマルリーチA〜Z、および、スーパーリーチA〜Zというように予め決められている。
図8では一例としてハズレ乱数の一部を抜粋したものを示しているが、実際には、大当たり乱数を除くハズレ乱数、通常遊技状態においては、0〜6、8〜316、318〜600、確変遊技状態においては、0〜6、8〜36、38〜66、68〜96、98〜126、128〜156、158〜186、188〜216、218〜246、248〜276、278〜316、318〜336、338〜366、368〜396、398〜426、428〜456、458〜486、488〜516、518〜546、548〜576、578〜600のハズレ乱数にそれぞれハズレ変動に対応する演出内容が予め決められている。
【0097】
また、本実施形態では、ハズレ乱数テーブルは、第1特別図柄抽選手段300および第2特別図柄抽選手段320により抽出された乱数ともに共通して参照されるテーブルとしている。
【0098】
なお、リーチ演出とは、図柄表示部104における装飾図柄の一演出態様のことであり、次のような演出をいう。
すなわち、図柄表示部104には、左列、中列、右列の3列のそれぞれに数字等からなる図柄が表示される。これらの数字や図柄は、所定時間スクロールした後に停止するが、このスクロールの停止時に、横または斜めにわたる一直線上において、「7,6,7」のように数字が停止する。
【0099】
リーチ演出というのは、上記3つの列において数字がスクロールした後、まず、いずれか2つの列において数字のスクロールが停止する。このとき、横または斜めにわたるいずれかの一直線上に、「7,―,7」のように同一の数字が表示されている。その後、残りの1列においてスクロール速度を遅くして、3つの数字が揃うのではないかという期待感を遊技者に与えるものである。このようなリーチ演出には、最終的に「7,6,7」のように、数字が揃わないでスクロールが完全に停止するハズレ用のリーチ演出と、最終的に「7,7,7」のように、数字が揃った状態でスクロールが停止する大当たり用のリーチ演出とがある。いずれにしても、リーチ演出というのは、図柄表示部104に表示される装飾図柄によって、遊技者に対して大当たりに当選したのではないかという期待感を与える演出をいうものである。
【0100】
なお、本実施形態では、リーチ演出については、ノーマルリーチ(
図12(b)参照)、スーパーリーチ(
図12(d)参照)に加えて、発展リーチ(
図12(c)参照)も用意されている。これらは、大当たりの信頼度(大当たりの期待度)ごとに分けられているものである。すなわち、
[ ノーマルリーチ < 発展リーチ < スーパーリーチ ]
というように、ノーマルリーチは大当たりとなる期待度が最も低く、スーパーリーチは大当たりとなる期待度が最も高いリーチ演出となっている。
【0101】
一方、通常ハズレ変動演出とは、リーチ無し演出ともいわれ、図柄表示部104に表示される上記左列、中列、右列上の数字が、スクロールした後、横または斜めにわたる一直線上において、「5,4,7」のようにバラバラの状態でスクロールが停止する演出のことである。例えば、
図12(a)に示すようにいずれの数字も揃うことなくそのままスクロールが停止するような場合の演出が通常ハズレ変動演出に該当する。あるいは、上記のような図柄に限らず、図柄表示部104に単純にハズレと表示するようなものであってもよい。いずれにしても、本実施形態における通常ハズレ変動演出(リーチ無し演出)というのは、大当たりの抽選結果がハズレであったことを、何ら遊技者に期待感を与えることなく報知する演出のことをいう。
【0102】
次に、主制御基板201における保留球の制御について、
図9を用いて説明する。
【0103】
まず、
図9に示すように、第1始動口105もしくは第2始動口120に遊技球が入球したことを、第1始動口検出部221もしくは第2始動口検出部225が検出する。
【0104】
(ステップS101)
すると、主制御基板201の図示しない変動検出手段が、特別図柄が変動表示中であるか否かを検出する。
【0105】
(ステップS102)
上記ステップS101において、変動中と判定された場合には、第1特別図柄保留記憶手段401もしくは第2特別図柄保留記憶手段402が、第4記憶領域401dもしくは第8記憶領域402dに乱数値が記憶されているかを検出する。具体的には、第1始動口検出部221から入球信号を受信した場合には、第1特別図柄保留記憶手段401における保留球の留保個数が4未満であるかを判断し、第2始動口検出部225から入球信号を受信した場合には、第2特別図柄保留記憶手段402における保留球の留保個数が4未満であるかを判断する。
【0106】
上記ステップS102において、保留球が4つあると判断された場合には、当該遊技球の入球によっては、特別図柄の変動表示すなわち大当たりの抽選が行われることはないため、そのまま制御を終了する。
【0107】
(ステップS103)
一方、上記ステップS102において、保留球の留保個数が4未満すなわち保留球を留保すると判断された場合には、第1記憶領域401a〜第4記憶領域401dもしくは第5記憶領域402a〜第8記憶領域402dに保留球(乱数値)が記憶される。
【0108】
また、上記ステップS101において、第1始動口検出部221もしくは第2始動口検出部225が信号を検出した際に、それ以前の遊技球の入球に係る特別図柄の変動がなされていない場合には、後述する
図13の変動開始処理がなされる。つまり、変動がなされていない場合に、いずれかの始動口に遊技球が入球した場合には、当該入球に係る特別図柄の変動が即座になされるため、記憶手段401,402に保留球が記憶されることはない。
【0109】
(変動開始処理)
次に、変動開始処理について
図10に基づいて説明する。なお、本実施形態においては、保留順序記憶手段406に記憶された順序に従い保留球が消化される。
【0110】
(ステップS201)
特別図柄の変動表示は、保留球の消化により開始される。CPU201aは、まず、遊技状態記憶手段404に記憶された遊技状態が通常遊技状態または時短遊技状態であるか否かを判定する。
【0111】
(ステップS202)
上記ステップS201において、通常遊技状態または時短遊技状態であると判定された場合には、第1記憶領域401aに乱数値(保留球)が記憶されているか、または第5記憶領域402aに乱数値(保留球)が記憶されているか、すなわち、第1特別図柄保留記憶手段401の保留球または第2特別図柄保留記憶手段402の保留球が1以上であるか否かを判断する。ここで、第1記憶領域401aおよび第5記憶領域402aのいずれにも保留球が記憶されていないと判定された場合、つまり、いずれの記憶領域にも保留球がないと判定された場合には処理を終了する。
【0112】
(ステップS203)
上記ステップS202において、第1記憶領域401aまたは第5記憶領域402aのいずれかに保留球が記憶されていれば、すなわち保留球が0でなければ(ステップS202におけるYES)、保留順序記憶手段406に記憶された順序に従い、第1記憶領域401aまたは第5記憶領域402aに記憶された乱数値を図示しない処理領域にシフトするとともに、第2記憶領域401b〜第4記憶領域401dまたは第6記憶領域402b〜第8記憶領域402dに記憶された乱数値を1つ前の記憶領域にシフトさせる。なお、第1記憶領域401aまたは第5記憶領域402aのいずれか一つのみに乱数値が記憶されている場合(第2記憶領域401b〜第4記憶領域401dおよび第6記憶領域402b〜第8記憶領域402dが空き領域の場合)には、第1記憶領域401aまたは第5記憶領域402aに記憶されている乱数値を処理領域に記憶させる処理のみが行われる。
【0113】
(ステップS204)(ステップS205)
上記ステップS201およびステップS202の処理を経てステップS204に到達する場合は、通常遊技状態または時短遊技状態であって、しかも第1記憶領域401aまたは第5記憶領域402aに保留球が留保されている場合である。したがって、第1記憶領域401aに保留球が留保されている場合には、第1特別図柄通常時当たり判定用テーブル(第1通常時判定テーブルという)が選択され、第5記憶領域402aに保留球が留保されている場合には、第2特別図柄通常時当たり判定用テーブル(第2通常時判定テーブルという)が選択される。
【0114】
ステップS205における当たり判定処理では、大当たり判定が行われる。つまり、第1記憶領域401aに保留球が留保されている場合には、第1特別図柄変動制御手段302が第1通常時判定テーブルを参照して処理領域にシフトされた乱数の判定処理を行う。また、第5記憶領域402aに保留球が留保されている場合には、第2特別図柄変動制御手段322が第2通常時判定テーブルを参照して処理領域にシフトされた乱数の判定処理を行う。
この当たり判定処理において、大当たりであると判定されると、大当たりフラグがON状態にされ、次に、長当たりか否かの判定が行われる。具体的には、ステップS204において選択された当たり乱数判定テーブルと、図柄乱数とを参照して大当たり判定の結果が長当たりであるか否かが判定される。
また、当たり判定処理においてハズレと判定された場合には、上述したハズレ乱数テーブルを参照してハズレ変動に対応する演出内容が判定される。
【0115】
(ステップS206)
上記のようにして、大当たりか否か、ハズレの場合にはハズレ変動に対応する演出内容が判定されると、この判定結果に基づく演出コマンドを、演出実行コマンド送信手段333が演出実行コマンドを副制御基板202に送信する。この演出実行コマンドは、演出内容を決定するものであり、演出の時間(尺)も決定される。
【0116】
以上のようにして、演出実行コマンドが決定したら、当該演出実行コマンドが副制御基板202に送信されるとともに、第1特別図柄表示制御手段301および第1特別図柄変動制御手段302が特別図柄の変動を制御する。
【0117】
(ステップS207)
一方、上記ステップS201において確変遊技状態と判定された場合、上記ステップS202と同様に、第1記憶領域401aに乱数値(保留球)が記憶されているか否か、または第5記憶領域402aに乱数値(保留球)が記憶されているか否かを判断する。ここで、第1記憶領域401aおよび第5記憶領域402aのいずれにも保留球が記憶されていないと判定された場合、つまり、いずれの記憶領域にも保留球がないと判定された場合には処理を終了する。
【0118】
(ステップS208)
一方、上記ステップS207において、第1記憶領域401aまたは第5記憶領域402aに保留球が留保されていると判定された場合には、上記ステップS203と同様のシフト処理がなされる。
【0119】
(ステップS209)
上記ステップS201およびステップS207の処理を経てステップS209に到達する場合は、確変遊技状態であって、しかも第1記憶領域401aまたは第5記憶領域402aに保留球が留保されている場合である。したがって、第1記憶領域401aに保留球が留保されている場合には、第1特別図柄確変時当たり判定用テーブル(第1確変時判定テーブルという)が選択され、第5記憶領域402aに保留球が留保されている場合には、第2特別図柄確変時当たり判定用テーブル(第2確変時判定テーブルという)が選択される。
そして、以後、上記ステップS205以降の処理が行われる。
【0120】
なお、
図9において、第1始動口105もしくは第2始動口120に遊技球が入球した際に、保留球が1つも留保されていない場合には、
図9のステップS102以降の処理は行われず、ステップS101から、
図10に示した変動開始処理がなされる。
【0121】
上記のようにして、送信された演出実行コマンドを受信すると、副制御基板202は、
図11に示すように、演出の制御を開始する。
すなわち、演出実行コマンドを受信すると、RAM202cの処理領域に当該演出実行コマンドが記憶される。この演出実行コマンドには、第1記憶領域401aおよび第5記憶領域402aのいずれに係るコマンドであるのか、大当たりおよびハズレのいずれに係るコマンドであるのか、リーチの有無、リーチ演出である場合の種類や尺等が記憶されている。
【0122】
(ステップS301)
演出制御手段502は、受信した演出実行コマンドに大当たりフラグが付されているか否かを判定する。
【0123】
(ステップS302)(ステップS303)
演出制御手段502が、大当たりフラグは付されていないと判定した場合、すなわち大当たりに当選していないコマンド(ハズレコマンド)と判定した場合には、演出制御手段502は、ハズレ変動用テーブルを参照して当該演出実行コマンドに基づく演出を決定する。ここでは、演出実行コマンドにおいて決定されたリーチの有無、リーチの種類や尺に合わせて、背景パターンやリーチパターン、あるいは登場キャラクター等が決定される。
【0124】
(ステップS304)
上記のようにして演出パターンが決定されると、演出制御手段502が、これらの演出パターンのとおりに、図柄表示部104、スピーカ277、ランプ112、役物部254を制御する。
【0125】
(ステップS305)
上記ステップS301において、大当たりフラグが付されていると判定された場合には、演出抽選手段501が、大当たり用テーブルを参照して演出の抽選を行う。なお、大当たり時の演出実行コマンドは、ほぼリーチ演出がなされるよう大当たり用テーブルには、リーチ演出パターンが複数記憶されている。上記のようにして演出パターンが決定されると、演出制御手段502が、これらの演出パターンのとおりに、図柄表示部104、スピーカ277、ランプ112、役物部254を制御する。
【0126】
以上の内容から、本実施形態においては、大当たりと判定されなかった場合にはハズレと判定されることとなるが、このハズレにはそれぞれ演出パターンが予め対応付けられている。言い換えれば、単にハズレとなったとしても全てのハズレが同じに扱われることがない。このようにすると、当該変動判定手段331によりハズレと判定されたときには、そのハズレの内容(演出パターン)が決定していることになる。したがって、遊技状態や保留状況によって演出内容を変える必要がなくなるため、ハズレの演出においても同じような演出が続いて遊技が単調になってしまうことが極力回避されることとなる。
【0127】
また、保留球の留保状況(留保されている個数など)に拘らず、当該遊技データが、ハズレであってリーチ演出有りであった場合には、該リーチ演出が実行される。したがって、遊技データが当該変動判定手段331により判定されるときの保留状況に影響を受けることがなくなるため、ハズレの演出においても様々な演出を行うことができ、遊技に単調さを生じにくくすることができる。
【0128】
また、本実施形態の遊技機1は一実施形態であり、これに限られない。すなわち、本実施形態では2つの始動口を有する遊技機を用いて説明したが、1つの始動口を有する遊技機にも好適である。