(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043782
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】レーザスキャナを設定する方法、及びそのための設定オブジェクト
(51)【国際特許分類】
G01S 7/497 20060101AFI20161206BHJP
G01S 17/06 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
G01S7/497
G01S17/06
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-249596(P2014-249596)
(22)【出願日】2014年12月10日
(65)【公開番号】特開2015-138026(P2015-138026A)
(43)【公開日】2015年7月30日
【審査請求日】2015年1月20日
(31)【優先権主張番号】14152456.1
(32)【優先日】2014年1月24日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591005615
【氏名又は名称】ジック アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マティアス メッツァー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ショップ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン リュック
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン ハルム
【審査官】
深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−207929(JP,A)
【文献】
特開2012−234527(JP,A)
【文献】
特開2010−216946(JP,A)
【文献】
特開2002−215238(JP,A)
【文献】
特開平07−077424(JP,A)
【文献】
特開2012−088296(JP,A)
【文献】
特開2007−122507(JP,A)
【文献】
特開2013−145240(JP,A)
【文献】
特開2004−085363(JP,A)
【文献】
特開2011−205216(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第02157401(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 1/72−1/82
3/80−3/86
5/18−5/30
7/00−7/64
13/00−13/95
15/00−15/96
17/00−17/95
G01C 1/00−1/14
5/00−15/14
G01B 11/00−11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザスキャナを設定する方法であって、
a)設定オブジェクトを準備するステップと、
b)前記レーザスキャナの教示モードを開始するステップと、
c)前記レーザスキャナにより該レーザスキャナの乱れのない視野を検出し、前記乱れのない視野内の背景として静止した物体を保存するステップと、
d)前記設定オブジェクトを前記乱れのない視野内に導入するステップと、
e)前記設定オブジェクトを、設定されるべき監視区域のエッジ点となるべき位置に停留させるステップと、
f)前記停留を前記レーザスキャナにより検出し、前記エッジ点の位置座標を保存するステップと、
g)前記エッジ点の全てが検出されるまで前記ステップd)〜f)を反復するステップと、
h)検出された前記エッジ点により前記監視区域を決定するステップと、
i)前記教示モードを終了するステップと
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記教示モードが、好ましくはキースイッチによりトリガされる切替信号により、前記レーザスキャナの切替信号入力を介して開始される方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、前記停留が数秒、好ましくは3〜5秒に達する方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法であって、設定されるべき前記監視区域のエッジ点となるべき場所を検出及び/又は保存することに続いて、前記レーザスキャナが信号を出力する方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記信号が光信号及び/又は音響信号であり、及び/又は、前記信号がインタフェースを介して出力することができる方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法であって、エッジ点が有効性に関して点検され、無効基準を満たすと無効であるとして放棄される方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法であって、前記走査平面内の前記設定オブジェクトの中心点が前記エッジ点として規定される方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法であって、前記監視区域の境界が度数多角形を形成し、前記エッジ点が直線により接続される方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法であって、設定された監視区域の削除を前記設定オブジェクトにより開始することができる方法。
【請求項10】
a)設定オブジェクトを準備するステップと、
b)レーザスキャナの教示モードを開始するステップと、
c)前記レーザスキャナにより該レーザスキャナの乱れのない視野を検出し、前記乱れのない視野内の背景として静止した物体を保存するステップと、
d)前記設定オブジェクトを前記乱れのない視野内に導入するステップと、
e)前記設定オブジェクトを、設定されるべき監視区域のエッジ点となるべき位置に停留させるステップと、
f)前記停留を前記レーザスキャナにより検出し、前記エッジ点の位置座標を保存するステップと、
g)前記エッジ点の全てが検出されるまで前記ステップd)〜f)を反復するステップと、
h)検出された前記エッジ点により前記監視区域を決定するステップと、
i)前記教示モードを終了するステップと
を含む方法を実行するための設定オブジェクトであって、該設定オブジェクトがロッドとして構成され、前記レーザスキャナと通信するために前記ロッドが通信インタフェースを有する設定オブジェクト。
【請求項11】
請求項10に記載の設定オブジェクトであって、エッジ点の検出及び保存を表示するために、及び/又は、エッジ点の放棄及び/又は監視区域の削除を示すために、信号エンコーダユニットが設けられる設定オブジェクト。
【請求項12】
請求項11に記載の設定オブジェクトであって、前記信号エンコーダユニットが振動信号を出力するように構成される設定オブジェクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザスキャナを設定する方法、並びに、この方法のための設定オブジェクトに関する。
【背景技術】
【0002】
高価な物体、例えば美術館の美術品を、レーザスキャナの助けを借りて保護することが知られている。このような通常のレーザスキャナは、
図6に略断面図で示しており、例えばDE 43 40 756 A1に記載されている。個々の光パルスを有する、光送信器12、例えばレーザにより生成された光ビーム14が、光偏向ユニット16a‐bを介して監視平面18へと偏向され、そこで、存在する可能性のある物体から戻される。戻された光20は、偏向ユニット16b並びに受信光学系22を介してレーザスキャナ10に帰着し、そこで、光受信器24、例えばフォトダイオードにより検出される。
【0003】
光偏向ユニット16bは、一般的には、モータ26の駆動を通して連続的に回転する回転式ミラーとして構成される。光偏向ユニット16bのそれぞれの角位置が、エンコーダ28を介して検出される。こうして、光送信器12により生成された光ビーム14は、回転運動により生成された監視平面18を走査する。光受信器24により受信された反射光信号20が監視平面18から受信されると、監視平面18内の物体の角位置を、偏向ユニット16bの角位置からエンコーダ28により求めることができる。
【0004】
更に、個々のレーザ光パルスの送信から、監視平面18内の物体にて反射した後、受信までの伝搬時間が求められる。この伝搬時間から、物体のレーザスキャナ10からの距離に関する決定が光速を使用して行われる。この評価は、光送信器12、光受信器24、モータ26、及びエンコーダ28にこの目的で接続された評価ユニット30にて行われる。こうして、監視平面18内の全ての物体の二次元極座標が、角度及び距離を介して利用可能となる。物体の位置に関するこの情報は、インタフェース32を介して出力することができる。
【0005】
このようなレーザスキャナの助けを借りて、絵画、例えば高価な絵画の前に、監視平面によりある種の仮想カーテンが展開され、誰かがこの絵画に許容できないやり方で過度に接近すると警報器がトリガされる。
【0006】
正しい領域、つまり保護されるべき絵画が掛かっている領域のみが監視区域として監視されるよう、レーザスキャナ及び/又は監視区域は、その作動前に設定されなければならない。特に監視されるべき監視区域は、決定及び/又は固定されなければならない。
【0007】
知られているこの目的の解決策は、レーザスキャナを作動させる際、コンピュータ及び特定のソフトウェアの助けを借りて、監視区域の幾何学形状がグラフィカルユーザインタフェースにてパラメータ化され、通信インタフェースを介してレーザスキャナに送信されることを実現する。この工程は、対応するコンピュータ及びソフトウェアの知識を有する訓練された使用者によってのみ実行することができると共に、コンピュータを必要とする。例えば、展示品及び陳列品の保護をその変更に合わせて適応させるためにこのような設定を実行すべき美術館スタッフは、通常、レーザスキャナ及びコンピュータをどのように作動させるべきか訓練されていない。
【0008】
知られているその他の解決策は、レーザスキャナにてキー及びディスプレイの助けを借りて、監視区域が直接入力されることを実現する。設定には労力及び費用が厳しく要求されるため、このような方法は、監視区域の幾何学形状が非常に単純である場合にのみ可能であると共に、特別に訓練されたスタッフを必要とする。更に、特にレーザスキャナがアクセスできない位置、例えば展示空間の天井に取り付けられると、労力及び費用の要求が厳しくなる。
【0009】
US 8,018,579 B1から、挙動を認識するための装置が知られている。この装置では、手による挙動がなされる空間を3Dスキャナが検出する。更に、仮想の作動要素が、挙動を検出するスキャナを介して挙動により人が作動させることができるよう、空間へと投影される。
【0010】
US 2011/0267262 A1から、散漫散乱スクリーン上を光ビームが移動し(走査され)、拡散反射光を検出する光受信器により、このスクリーンに例えば指が触れたかどうか、及び、触れた場合にはその場所を検出する装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】DE 43 40 756 A1
【特許文献2】US 8,018,579 B1
【特許文献3】US 2011/0267262 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、レーザスキャナの監視区域を極めて簡単かつ迅速に、また直感的に設定することを可能にする、該監視区域の設定方法を利用可能にすると共に、この目的のための設定オブジェクトを利用可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、レーザスキャナを設定する方法であって、
‐設定オブジェクトを準備するステップと、
‐前記レーザスキャナの教示モードを開始するステップと、
‐前記レーザスキャナにより該レーザスキャナの乱れのない視野を検出し、前記視野内の背景として静止した物体を保存するステップと、
‐前記設定オブジェクトを前記視野内に導入するステップと、
‐前記設定オブジェクトを、設定されるべき監視区域のエッジ点となるべき位置に停留させるステップと、
‐前記停留を前記レーザスキャナにより検出し、前記エッジ点の位置座標を保存するステップと、
‐前記エッジ点の全てが検出されるまで前記ステップd)〜f)を反復するステップと、
‐検出された前記エッジ点により前記監視区域を決定するステップと、
‐前記教示モードを終了するステップと
を含む方法により達成される。
【0014】
本発明による前記方法の基本的な利点は、前記監視区域の設定が最大限に単純化されることである。最も単純な実施形態において、前記設定オブジェクトは指又は腕とすることができ、原則として、追加の補助的手段は必要ですらない。前記レーザスキャナは、前記設定オブジェクトを認知しなくてよい。前記設定を実行するスタッフは前記教示モードを始めなければならないが、それだけではよく、後は、前記監視区域の前記エッジ点を例えば指を用いて「示す」だけでよい。そうすれば、前記設定は実際上、前記レーザスキャナにより完全に自己完結的に実行される。つまり、「指差し」がエッジ点として規定され、このエッジ点から前記監視区域が決定される。
【0015】
前記監視区域の前記した単純な設定により、訓練されていない美術館スタッフもこのような設定を技術的装置を用いて誤りなく実行できるよう、いかなるコンピュータも、またいかなるソフトウェアも、従っていかなる予備知識も不要であり、このようにして、展示品や陳列品の変更があっても迅速かつ単純に保護することができる。
【0016】
本発明の実施形態において、前記教示モードは、好ましくはキースイッチによりトリガされる切替信号により、前記レーザスキャナの切替信号入力を介して開始される。このようにして、前記教示モードが偶然に開始されないことが確実になる。
【0017】
前記レーザスキャナの前記視野が検出されると、前記レーザスキャナの前記視野内の静止した物体が背景として教示され、前記背景が変更されると、同様に、対応する信号を場合によっては引き起こすようにすると有益である。
【0018】
前記設定中に前記監視区域の前記エッジ点を前記レーザスキャナに対して認識可能とするために、前記視野内の前記設定オブジェクトの前記停留が数秒、好ましくは3〜5秒に達し、これにより、前記レーザスキャナに対してエッジ点をそのようなものとして認識することができると有益である。
【0019】
前記レーザスキャナを設定する者もエッジ点が検出されたことを確信できるよう、設定されるべき前記監視区域のエッジ点となるべき位置を検出及び/又は保存することに続いて、前記レーザスキャナが信号を出力し、この信号が光信号及び/又は音響信号であり、前記信号がインタフェースを介して出力することができると有利である。
【0020】
前記レーザスキャナの機能原則に起因して許容されない監視区域の形状が存在し得るため、本発明の実施形態において、エッジ点がその有効性に関して点検され、無効基準を満たすと無効であるとして放棄される。
【0021】
エッジ点が理論上は単に点であるが、前記設定オブジェクトは走査平面内で若干の広がり(例えば、指の厚さ)を有するため、本発明の実施形態において、前記設定オブジェクトの中心点が前記走査平面内のエッジ点として規定されることが実現される。
【0022】
大抵の応用事例を考慮すると、前記監視区域の境界が度数多角形を形成し、前記エッジ点が直線により接続されると十分である。このような度数多角形は、単純かつ迅速に計算することができる。
【0023】
前記設定中に修正をも実行できるようにするために、設定された監視区域の削除を前記設定オブジェクトにより開始できることが実現される。
【0024】
上述の目的は、本発明による前記方法を実行するための設定オブジェクトであって、該設定オブジェクトがロッドとして構成され、前記レーザスキャナと通信するために前記ロッドが通信インタフェースを有することを特徴とする設定オブジェクトによっても達成される。
【0025】
この通信インタフェースを介して、前記レーザスキャナからの情報、例えば有効なエッジ点の検出及び保存を信号エンコーダユニットによってインストーラに送信することができる結果、前記インストーラは各エッジ点が正しく決定されたことを認知する。
【0026】
前記通信は、エッジ点の放棄及び監視区域の削除に関する更なる情報を含むことができる。
【0027】
前記信号エンコーダユニットが振動信号を出力するように構成されると、特に有利である。その場合、前記レーザスキャナが各空間位置において前記エッジ点をいつ検出したかを前記インストーラが認識することが特に単純になる。
【0028】
以下、図面を参照して実施形態によって本発明を詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図3】異なる携帯の、有効及び無効な監視区域形状。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1及び
図2は、本発明の代表的な応用事例を示す。展示空間50において、壁52に、許容しがたいアクセスから保護されるべき絵画54及び56が展示される。この目的で、導入部において記載した、壁52の領域にて天井に配置されるレーザスキャナ10が役立つ。監視平面18は絵画54及び56の前に仮想のカーテンを形成する。一方で、壁52全部が保護される必要はなく、その後方に絵画が掛かっている監視区域58及び60のみが保護されればよいため、監視区域、つまり監視区域58及び60の形状、寸法、及び位置が、レーザスキャナ10に教示されねばならない。監視区域58及び60のこの設定は、本発明による方法及び本発明による設定オブジェクト62によって行われる。
【0031】
特に
図5を参照して、本発明による方法を説明する。第1ステップ102において、設定オブジェクトが利用可能になる。最も単純な応用事例において、この設定オブジェクトは、指又は異なる身体部分(例えば腕)又は好ましくは、本発明による設定オブジェクト62とすることができる。この設定オブジェクト62は、ハンドル66を有するロッド64として設定される。この設定オブジェクト62を
図4に概略的に示す。ロッド64は上側に、レーザスキャナのレーザ光を受信することのできる光受信要素68を包含する。更に設定オブジェクト62は、ハンドル66に一体化されるとともにハンドル66の振動により信号を出力することのできる信号エンコーダユニットを含む。
【0032】
ステップ104において、レーザスキャナの教示モードが最初に開始される。このことは、キースイッチ又は同様のものによりもたらすことができる。
【0033】
後続のステップ106において、レーザスキャナは最初に邪魔がなく歪みのない視野を検出し、ステップ108において、静止した物体を視野内の背景として保存する。
【0034】
その際、監視区域の境界の実際の規定が行われる。この目的で、設定オブジェクト62が、ステップ110においてレーザスキャナの視野に導入され、ステップ112において、規定されるべき監視区域58のエッジ点にて導入され維持される。設定オブジェクト62がこの点にて停留することを通して、レーザスキャナ10は、この点が設定オブジェクト58のエッジ点(例えば58‐1〜58‐4)であるべきことを認識する。
【0035】
ステップ114において、レーザスキャナ10はこの点をエッジ点として検出し、その位置座標を保存する。レーザスキャナが検出し保存したエッジ点の情報は、好ましくは、設定オブジェクト62に送信される。このことは、例えば、レーザスキャナが或る数n個のその光パルスを短い時間に送信しないことによって行うことができ、この光パルスは、設定オブジェクト62の光受信要素68により検出され、従って作動信号と解釈される。それから、この情報は、例えばハンドル66の1回の振動により、信号エンコーダユニットを介してインストーラに送信することができる。同様のやり方で、例えばレーザスキャナ10がそれに応じてこのエッジ点をいかなる理由でも保存しなかった情報も送信することができる。このような情報の1つは、m(nと同じでない)個の光パルスが送信され、この情報がハンドル66のパルス振動を介してインストーラに送信されることで、同じようなやり方で提供することができる。別法として、任意の情報を、インストーラにより光学的に読み取ることができるよう、例えばLEDを介してレーザスキャナに直接表示することができる。
【0036】
エッジ点を検出し規定するためのこれらのステップ112及び114は、全てのエッジ点58‐1〜58‐4がレーザスキャナ10内に保存されるまで長い間繰り返される(ステップ116)。
【0037】
最終的に、ステップ118において、全てのエッジ点58‐1〜58‐4の入力後、監視区域58が決定されこのようにして設定される。大抵の応用事例にとって、エッジ点が直線により接続される度数多角形を監視区域の境界が形成すれば十分である。このような度数多角形は単純かつ迅速に計算することができる。
【0038】
その後、最後に、ステップ120において、レーザスキャナが通常の作動モードへと戻されねばならない。
【0039】
レーザスキャナ10の機能原則に起因して許容されない監視区域形状が存在することがあるため、上述のように、エッジ点はその有効性に関して点検されねばならず、無効基準を満たせば無効であるとして放棄される。例えば、従来技術の原理に従い動くレーザスキャナ(
図6)は、しばしば、物体の現に計測された距離値が単に、対応する角度における監視区域の境界に対応する保存された最小値及び最大値と比較されるようなやり方で作動する。大抵の応用事例においてはこれで十分である。というのも、監視区域内に物体が(場所に関わらず)存在しているかどうかをレーザスキャナ10が判定するだけでよいからである。ところが、
図3に示す監視区域70は、具体的には監視区域70に2度切り込む例示的な送信ビーム72にて認識できるように、或る角度に対してこの評価を許容しない形状を有する。これによって、最小値及び最大値に対する明白な関連性はもはや不可能である。というのも、これらの値の2つがこの角度で存在するからである。
図3は更に、強調の目的で、まさに非矩形形状を持たない、ただしレーザスキャナ10が前に言及したやり方で作業する際には全体として許容される更なる例示的な監視区域74を示す。
【0040】
エッジ点は理論上は単に点であるが、設定オブジェクト62は走査平面内に若干の広がり、つまりロッド64の直径を有するため、レーザスキャナ10が、ロッド64の中心点を計算し、この中心点をエッジ点として規定することが実現される。
【0041】
設定中に修正を実行できるようにするためにも、設定オブジェクト62によって、設定された監視区域の削除を開始できることが実現される。このことは、設定オブジェクト62が削除されるべき監視区域内部の位置に、位置の安定したやり方で長い時間、例えば10秒間静止したままであるという点で行われる。監視区域全部の削除がレーザスキャナ10内で行われることを、エッジ点が成功裏に保存されることと同じようなやり方で、設定オブジェクト62に戻して送信することができ、信号エンコーダユニットを介してインストーラに出力することができる。