(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1対の隣接チャンバが、該隣接チャンバ間のガスの該隣接チャンバへの流入を受けることなく排気されたチャンバと周囲圧力のチャンバとを構成することができるように、前記扉がチャンバ間を気密に封止する請求項1又は2に記載の滅菌システム。
前記複数のチャンバの各チャンバが、ガス不透過構成を複数設けて互いに他のチャンバに選択的に取り付けられるように、前記複数のチャンバが共通接合構造を備える請求項1ないし4のいずれかに記載の滅菌システム。
少なくとも1つのチャンバがガス注入ラインを受けるように構成及び配置され、少なくとも1つの他のチャンバがガス注入なしで構成及び配置される請求項1ないし5のいずれかに記載の滅菌システム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照して、滅菌すべき製品又は対象物の一例を示す。容器又は槽10は、複数のあらかじめ充填可能なシリンジ12を支持するトレイを保持するように設計される。典型的一例においては、槽は、充填する準備ができた100本のシリンジを保持することができる。シリンジは、上端を支持しながら各シリンジの外筒が通過できるように構成された複数の穴を含むプレート14によって支持される。プレートは、例えばポリプロピレンとすることができ、槽はポリスチレンとすることができる。槽は、(例えば、Tyvek(登録商標)などの)障壁層を含むことができる。ガスは、この障壁層を通ってパッケージに入り、パッケージからでていくことができる。障壁層は、微生物及び汚れの障壁として、槽内容物を保護するのに役立つ。同様に、槽は、障壁蓋(図示せず)で密封することができる。各槽をパウチに入れて、槽及びシリンジを更に保護することもできる。
【0016】
このタイプの槽を滅菌するために、
図2aに示すように、滅菌器100を使用することができる。滅菌器100は、幾つかのチャンバ102、104、106、108、110、112、114を備える。チャンバは、数組の扉116で分離されている。示した一実施形態においては、各チャンバは各端部に扉116を有するが、原則的には、チャンバを分離するのに各チャンバの一端の扉のみで十分であり得る。チャンバは、さらに、滅菌すべき対象物をシステムを通して搬送する少なくとも1つのコンベヤ120を備える。示した実施形態においては、上部及び下部コンベヤが示されているが、コンベヤ数は、例えばシステムの必要処理量に応じて、選択することができる。
【0017】
チャンバは、扉が閉じられているときには実質的に気密であるように構築、配置されて、真空にすることができ、及び/又は空気、加湿空気及び/又は滅菌ガスを充填することができる。扉は、ゴム又は他の適切な材料でできた封止材又はガスケットを有することができる。チャンバ自体は、金属又はプラスチックで作製することができる。目的とする特徴は、ガスや流体に対する低透過性、及び汚染粒子の付着や食い込みを防止する平滑な内面である。実施形態においては、汚染物質の付着防止を促進するために疎水性又は疎油性コーティングを使用することができる。
【0018】
実施形態においては、チャンバは、排気を考慮した減圧ポート、及び/又は滅菌ガス、空気及び/又は湿気の投入を考慮したガスポートを備えることができる。この点に関して、複数のガスポートが存在してもよく、すべてのガスを共通のポートから導入することもできる。同様に、単一の真空源によってチャンバすべてを減圧できるように、ガス又は真空ラインを多岐管に通すこともできる。この手法においては、個々の真空ラインを別々に制御できるようにバルブシステムを備えることも有用であり得る。
【0019】
実施形態は、例えば、温度センサ、ヒータ及び/又は冷却器を含めて、温度制御を含むことができる。システム湿度条件のフィードバック制御を可能にする湿度センサを備えることもできる。一実施形態においては、湿度源を制御して、蒸気の形で湿気を供給し、滅菌プロセスの態様を阻害する傾向があり得る水粒子の供給を防止する。
【0020】
一実施形態においては、1つ以上のチャンバは、放射エネルギによる直接滅菌のために、又は滅菌ガスとの協同作用で、対象物に放射エネルギを送る照射システムを備えることができる。同様に、1つ以上のチャンバは、滅菌ガス生成システムを備えることができる。例えば、チャンバは、空気中の酸素、又はガス状酸素を滅菌剤として使用されるオゾンに変換するように構成されたオゾン発生装置を含むことができる。
【0021】
図2aの例においては、製品が入る第1のチャンバ102は、製品を滅菌(又は除染)ガス混合物に曝露するように構成、配置される。
図2bに示したサイクルにおいては、まず、チャンバ102が排気され、次いで滅菌ガスが添加される。扉116を開けて、コンベヤ120が対象物を第2のチャンバ104に送ることができるようにする。実施形態においては、コンベヤは扉の十分近くまで延在するように構成され、その上で搬送される対象物は隣接モジュール間の移行中に支持される。一般に、これは、隣接コンベヤ間の距離が、滅菌すべき対象物の基部の長さの約半分未満であるように選択されることを意味する。さもなければ、搬送システムは、扉が動いて隣接チャンバ間の経路が開くと所定の位置に移動する手段など、この間隙を埋める手段を有することになる。
【0022】
図示例では、第2のチャンバ104は、対象物が選択された圧力(例えば、周囲圧力又は高圧若しくは低圧)に曝されて保持される保圧チャンバである。一実施形態においては、チャンバ内圧力をわずかに過小な圧力(underpressure)として保持して、滅菌ガスがシステムから周囲環境に漏れる可能性を低下させる。
【0023】
保圧操作後、対象物を第2の排気チャンバ106に送る。第2の排気チャンバにおいては、ガスを排気し、滅菌ガスを添加する。このチャンバは、次いで、対象物を第2の保圧チャンバ108に送り、そこで第2の保圧が行われる。各保圧の時間は必要に応じて又は所望の通りに選択することができ、2回の保圧を同じ持続時間とする必要はないことを理解されたい。第2の保圧後、対象物を一連のチャンバ110、112、114に移し、そこで通気ステップを行う。
図2bに示したように、ガスを排気し、次いで空気をチャンバに送る。このようにして、滅菌ガスを対象物及びそのパッケージから除去する。
【0024】
図2aの実施形態においては、2つの保圧チャンバ104及び108は、ガス又は真空源との接続を省略することができ、ガスの添加や除去をせずに厳密に保圧チャンバとして操作できることを理解されたい。あるいは、保圧チャンバは、曝露チャンバに開口したときに、曝露チャンバからのガスが保圧チャンバを満たしやすいように、保圧チャンバを排気することができる真空ラインを備えることができる。
【0025】
上述したように、滅菌プロセスの各段階を終了するために、製品は、組み立てられたシステムを通過し終えるまで、あるチャンバから次のチャンバへとコンベヤ(コンベヤベルト又は同様の機構とすることができる)によって移動する。全システムを通過することによって、製品は、滅菌又は除染プロセスの段階すべてに曝露される。一実施形態においては、各チャンバは同じ長さであり、保圧チャンバは、例えば、対象物がシステムを同時に通過することができるように幾つかのモジュールからなり、サイクルの各段階は、単一のチャンバを通る移動に対応する。
【0026】
上で手短に述べたように、システムチャンバ間に位置する扉116は、ガスが制御されずにシステムを通って移動するのを制限し、異なるチャンバの排気及び充填を可能にする。すなわち、隣接チャンバは異なる圧力を有することができ、所与のチャンバ内の雰囲気はその隣接する1つ又は複数のチャンバの雰囲気と異なることができる。扉が閉じていると、チャンバは密閉され、減圧ステップを使用してチャンバ中のガスの交換を促進することができる。したがって、いずれのステップも、空気排気及びチャンバの滅菌剤充填、滅菌剤除去及びチャンバの滅菌ガス混合物再充填、又は滅菌剤除去及びチャンバ水洗及び新鮮な空気又は不活性ガス若しくは他のガス混合物で囲まれた製品を含むことができる。例えば、酸化が懸念される場合、窒素ガスを空気の代わりに使用することができる。
【0027】
扉の開閉は、製品がシステムを効率的に通過するように時間調節される。扉の正確な順序付けは、所与のプログラム又はサイクルの特定の目標に従って制御することができる。各連結において2つの扉が存在する実施形態の場合、2つの扉が一緒に開くように扉の開閉を共通して制御することができ、又は1つのチャンバがその隣接チャンバよりも前に開くように独立に制御することができる。
【0028】
一実施形態においては、システムはモジュール式である。すなわち、各チャンバは、特定の滅菌段階を実施するように構成、配置され、さらに、互いにチャンバにモジュール式で接続できるように構成、配置される。この手法においては、サイクルプロファイルは、種々のモジュールの選択及び配置によって規定することができる。例として、特定のチャンバ(したがって、特定の滅菌段階)における保圧時間は、コンベヤ速度及び/又はチャンバ長さによって決定することができる。任意の選択されたサイクルプロファイルの場合、1セットのチャンバを選択して所望の操作を行うことができる。この点に関して、所望のサイクルが排気及び曝露(Ee)、保圧(Dw)、Ee、Dw、パージ(Pu)、Pu、Puからなる場合、チャンバを
図2aに示すように配置することができる。あるいは、Ee、Dw、Pu、Pu、Puのサイクルを実施するために、チャンバを
図3aに示すように配置することができる。
図3aのEe段階は、
図2aのEe段階よりも長いことに留意されたい。したがって、より長い曝露チャンバ104’が使用され、交互にではあるが、より短いコンベヤをより長いチャンバの代わりに使用することができる。
【0029】
この手法においては、各チャンバはプロセスの特定の段階専用であるので、サイクルプロファイルは、単純にシステムチャンバの配置の関数である。サイクルプロファイルは、対象物が経時的に曝露される圧力及びガス組成によって規定することができ、温度及び/又は湿度範囲を含むこともできる。一実施形態によれば、サイクルプロファイルは、システムの各チャンバによって生成されるプロセス段階の集合によって作成される。
図2a及び2b並びに3a及び3bに示すように、チャンバ要素は、生成される対応サイクルプロファイルと一緒に示される。したがって、プロセスサイクルが所望の製品に対して確立されると、提案システムのモジュール式要素が組み立てられて、所望のサイクルを実現する。
【0030】
図2aに示した実施形態の適用の一例においては、新規に製造された製品は2つの曝露プロセスで滅菌される。第1の曝露は、曝露生物体集団(challenge organism population)の必要とされる99.9999%の削減(six-log reduction)をもたらし(又は滅菌される製品に応じて別の測定基準を適用することができる)、第2の曝露段階は、必要な無菌性保証水準(SAL)をもたらす。
【0031】
図3aに示したシステム構成は、例えば、2つの曝露段階が必要とされない場合の製品の表面除染の完了に使用することができる。例として、この構成は、バルクバイアル又はシリンジ槽を無菌充填ライン隔離装置に送る前に、これらの製品の表面除染に使用することができる。一般に、電子線システムがこのタイプの除染プロセスに使用される。除染後、製品は、一般に、無菌充填ラインの無菌室(aseptic enclosure)に入る。
【0032】
上述したように、一実施形態は、安定した連結装置及びインターフェースを使用してモジュール形式のチャンバを製造することを含む。これによって、滅菌システムの構築を容易にすることができる。一例においては、入口チャンバ及び通気チャンバは、幅約30インチ、高さ12インチ、長さ12インチ(製品移動方向)である。これらのチャンバは、加圧及び排気を考慮して構築することができ、したがって、チャンバの体積を排気するときには外部大気圧を支持するのに十分な強度にすべきである。
【0033】
パージ又は通気チャンバは、入口チャンバと同じ形状を有することができる。一実施形態によるシステムの通気端部の略図を
図4に示す。
【0034】
幾つかの槽10がコンベヤ120上にある。この実施形態のパージチャンバ110’、112’、114’は、他の図と同様に、扉によって分離されている。扉は、開閉位置の間で扉を押し上げる又は引き下げる作動装置118によって動かすことができる。
【0035】
図では、扉116aは、その開位置で示されている(すなわち、ガス及び/又は対象物は、チャンバ110’の左側に自由に入ることができる)。扉116bは部分的に開いており、扉116cはその閉位置にある。扉116a〜116cの封止縁部140は、扉が開いていようと、閉じていようと、又はその中間であろうと、一般に隣接チャンバからのガス流を防止するように構成されるべきである。この点に関して、上部封止縁部142は、開口枠がチャンバの上面よりも上にスライドしたときに静止したままにすることができる。原則的には、扉の移動方向、及び固定封止部材のそれに応じた選択は、必要に応じて又は所望の通りに変更することができる。
【0036】
一般に、一連のチャンバは、共通枠の上にまとめて設置することができる。枠は、システムの各セグメントに適切な他の部品を支持することもできる。
【0037】
一実施形態においては、チャンバは、さらに、製品の位置及びチャンバ中への、また、チャンバからの移行を検証するように構成、配置されたセンサを備えることができる。例えば、これには、ビデオカメラ、静止カメラ、光線/フォトダイオード対などを挙げることができる。
【0038】
任意の2つのチャンバ要素間(チャンバ扉を含む位置)のインターフェースは、滅菌剤がシステム周囲の環境に漏出するのを防止するために密閉されるべきである。例えば、この目標を達成するために、覆い/外部包囲パネルを使用することができる。上述したように、システムにおける適度な過小な圧力は、かかる漏出の制御を助けることができる。同様に、外部包囲を使用する場合、外部包囲中の超過圧力は、材料が内部モジュールから漏れるのを防止することができる。
【0039】
本発明者らは二酸化窒素ガスの使用に特に利点を見いだしたが、記述したシステムは種々のガス状滅菌剤を使用できることを理解されたい。使用時、NO
2を用いる滅菌サイクルは、約5mg/Lから20mg/L(周囲圧力で概略0.25%から1%)を要する。槽表面の除染の場合、6mg/L(合計6分間)のNO
2が、必要な胞子の対数的な減少(spore log reduction)を得るのに十分である。ガス送達は、ある量の液体NO
2(実際には二量体N
2O
4)を保持するDOT認可ボンベを使用することによって行うことができる。二酸化窒素は室温で沸騰するので、発熱体や他の送達系なしで液体を使用して蒸気をチャンバに供給することができる。一実施形態においては、プレチャンバを使用して、適切な量の滅菌剤蒸気を生成することができる。このタイプのプレチャンバプロセスは、参照によりその全体を援用する米国特許出願第12/710,053号に記載されている。別の一実施形態においては、NO
2を生成する化学組成物は、滅菌チャンバ内又はプレチャンバ内に置くことができ、そこで活性化されて滅菌用NO
2を生成することができる。あるいは、ガスボンベ又は他の貯蔵装置でガスを直接送達することができる。
【0040】
チャンバの排気用真空ポンプを含む実施形態においては、スクラバシステムをチャンバとポンプの間のガス巡回路に置き、それを使用してNO
2を捕捉することができる。スクラバは、ポンプを滅菌ガス曝露から保護し、滅菌剤がポンプ排気から放出されるのを防止する傾向があり得る。一実施形態においては、スクラバシステムは、ポンプ排気のNO
2濃度を1ppm未満に削減するように構成することができる。例として、排ガスを過マンガン酸塩媒体に通して、NO
2を捕捉することができる。過マンガン酸塩は、良好なNO
2吸着剤であり、飽和すると、安全に埋め立てられる。排気ポンプのポンプ輸送速度は、チャンバを1分以内、より具体的には30秒以内に排気するのに十分なように選択することができる。
【0041】
ユーザインターフェース(図示せず)は、システムの態様のプログラミングを考慮して組み込むことができる。これには、例えば、段階のタイミング(すなわち、コンベヤ速度)、滅菌剤適用量、チャンバ間の扉の開閉、湿度及び/又は温度などが挙げられる。ユーザインターフェースは、システムの運転条件の定義パラメータ及び/又は指標に関する情報を使用者に提供するディスプレイを備えることもできる。制御装置は、コンピュータ、マイクロプロセッサ、プログラム可能論理制御装置(PLC)などに基づくことができる。
【0042】
上述した装置の使用の一例においては、あらかじめ充填されたシリンジを製造プロセスの種々のポイントにおける滅菌及び/又は除染に供する。第1の滅菌プロセスは、シリンジ部品の製造後に行われる。第2の除染(滅菌)プロセスは、充填ラインと呼ばれることが多い無菌室内でシリンジに充填する前に行われる。シリンジが充填ラインに入る前に、無菌充填ライン環境を損なうおそれのある槽表面の汚染物質を除去する除染プロセスにシリンジを曝露する。最後に、充填後、シリンジを充填ラインから取り出し、パッケージする。ある場合には、意図する用途(例えば、手術中の状態での使用が意図されるシリンジ)で必要であれば、充填されたシリンジを除染又は滅菌する。
【実施例1】
【0043】
あらかじめ充填されたシリンジの圧力の外部と内部の差によって滅菌中にプランジャが動き、製剤汚染を引き起こすおそれがある。したがって、滅菌中のオートクレーブ内の圧力は、微生物及び粒子による製剤の汚染を防止するために慎重に制御すべきである。密封瓶において以前に求められた温度と圧力の理論的関係を、プランジャの動きを考慮して、あらかじめ充填されたシリンジ用に修正した。この修正によって、シリンジの線熱膨張係数、プランジャの熱膨張、及びプランジャとシリンジ壁の摩擦を含む補正因子が生じた。この修正された関係の精度を確認するために、その一部が圧力及び温度センサを備えた、ブチルゴムプランジャを有するあらかじめ充填された100mLポリプロピレンシリンジを使用して、種々の滅菌条件を実験規模で試験した。その結果によれば、製造規模の滅菌の圧力条件を確立する際の主要な問題は、負荷(load)全体にわたる温度分布である。しかし、121℃及び0.34MPaにおける超過圧力滅菌サイクルが最もよい結果を示した。微生物曝露及び光遮断粒子計数試験を、修正関係から予測された最悪の場合の位置からシリンジ上で実施した。その結果によれば、これらの条件は、製剤の無菌性を維持し、製剤を粒子汚染から保護した。
【実施例2】
【0044】
図2a及び3aに示した両方の構成では、システム中の第1のチャンバは滅菌剤を導入する。減圧段階に耐えることができる製品では、最小圧力20mmHg(約1”Hg)が大部分の医療機器製品に十分であることが示された。これは、高真空(deep vacuum)ではなく、標準的なポンプで素早く達することができる。一実施形態においては、6個の槽が単一のチャンバでバッチ処理される(
図4に示すように、上部コンベヤ棚全体にわたる3つの槽、及び下部棚全体にわたる3つの槽)。1分当たり6個の一般的な100本のチューブの槽を処理するためには、チャンバ体積は60リットルから75リットルである。標準的なポンプは、この体積を標的圧力に約30秒で排気することができる。このチャンバが標的圧力にポンプ排気された後、この体積を滅菌剤及び加湿空気で充填して、次のチャンバの圧力及び滅菌剤濃度に合わせる。
【0045】
第2のチャンバは曝露チャンバであり、製品はその中に所望の曝露時間残留する。従来の滅菌チャンバと同様に、このチャンバを排気及び充填する必要はない。その代わりに、このチャンバは、定圧に維持され、このチャンバを通過する製品に一貫した曝露状態を提供する。5分間曝露される製品の場合、また、1分きざみでシステムに出入りする製品の場合、このチャンバの長さは、少なくとも5個の製品の長さに等しくなければならない。フットプリントが長さ8.75インチ(及び幅10.5インチ)であるBD Hypak
(登録商標) SCF槽などの一般的な槽の場合、この曝露チャンバは3.75フィートと短い。
【0046】
パッケージされたバイアル又はシリンジ槽の表面除染の場合、曝露チャンバの後に3つの連続した通気チャンバが続く。これらのチャンバの各々は、1分ごとに排気され、新鮮な空気が充填されるように設計される。これらのチャンバの体積は入口チャンバに等しく、各チャンバは専用真空ポンプを備える。本発明者らは、NO
2濃度が圧力低下に比例して低下することを見いだした。例えば、圧力を(初期圧力760mmHgから最終圧力76mmHgまで)90%減少させ、次いで新鮮な空気を充填すると、NO
2濃度が90%低下する。各々濃度が90%低下する3つの連続した通気チャンバによって、NO
2は99.9%低下する。曝露濃度が約5000ppmの範囲である場合、通気チャンバを通過後に得られる濃度は約5ppmである。利用可能な時間中に通気チャンバの始動圧力の3%に達し、最終NO
2濃度が1.7ppmになる可能性は極めて高い。このレベルは、NO
2ガスのOSHA規制値よりも十分低い。
【0047】
所望の曝露濃度が0.56%(10mg/L)であり、この量が1分ごとに入口チャンバに充填される場合、このチャンバは、(75リットルチャンバとして)1分当たり750mgのNO
2を受け取る。これは、1時間当たり45グラムの滅菌剤に等しい。毎分6個の槽が処理され、各槽が100本のシリンジを保持するこの例では、毎時36,000本のシリンジが処理される。24時間の運転では、このシステムは、滅菌剤1キログラム及びスクラバ媒体5キログラムを使用し、その間に860,000本のシリンジを処理する。
【実施例3】
【0048】
インラインシステムは、充填されたシリンジを処理するのに使用することもできる。一般に、無菌室において充填し、(プランジャがあってもなくても)栓で蓋をした後、充填されたシリンジを無菌充填室から取り出し、パッケージング場所に移す。パッケージングは、無菌封じ込め(aseptic containment)の外で行われる。したがって、充填されたシリンジはパッケージされた後、表面除染プロセスを経なければならない。これは2つの理由により必要となり得る。第1に、充填されたシリンジがパッケージング場所に移送中に大気に開放される(したがって、制御されず、恐らくは汚染される)ので外筒内面が殺菌されていないリスクがある。(輸送中に起こり得る)圧力変化に起因する栓の動きによって、シリンジ中の気泡が膨張し、それによってシリンジ内容物がシリンジ筒表面の殺菌されていない部分に曝されるおそれがある。第2に、一部のあらかじめ充填されたシリンジは手術中の状態で使用され、シリンジは手術室の滅菌フィールドに持ち込まれる。どちらの場合も、パッケージされたあらかじめ充填されたシリンジを滅菌(表面除染)処置に供さなければならない。この場合、滅菌処置は、栓が動かないように、又は栓の動きが十分に最小化されるように、大気圧に近い(大気圧の100mmHg以内の)範囲に減圧レベルを制限しなければならない。パッケージの中及び外への滅菌ガスの適切な移動は、圧力低下及びこのインラインシステムのチャンバへのガス添加の幾つかの急速なサイクルと一緒に起こり得る。
【0049】
現時点で最も実際的で好ましい実施形態と考えられるものに基づいて説明の目的で本発明を詳述したが、かかる詳細は、単にその目的のためにすぎず、本発明は、開示された実施形態に限定されず、逆に、本実施形態の精神及び範囲内の改変及び等価な構成を包含するものであることを理解されたい。例えば、本発明は、可能な程度に、任意の実施形態の1つ以上の特徴を任意の他の実施形態の1つ以上の特徴と組み合わせ可能であることを企図することを理解されたい。