特許第6043797号(P6043797)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6043797通信システム、電子部品装着装置及び電子部品装着装置の起動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043797
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】通信システム、電子部品装着装置及び電子部品装着装置の起動方法
(51)【国際特許分類】
   H03K 19/173 20060101AFI20161206BHJP
【FI】
   H03K19/173 101
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-535297(P2014-535297)
(86)(22)【出願日】2012年9月13日
(86)【国際出願番号】JP2012073433
(87)【国際公開番号】WO2014041651
(87)【国際公開日】20140320
【審査請求日】2015年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】富士機械製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】特許業務法人ネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100142974
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 和久
(74)【代理人】
【識別番号】100162237
【弁理士】
【氏名又は名称】深津 泰隆
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 義彦
(72)【発明者】
【氏名】神藤 高広
(72)【発明者】
【氏名】今寺 泰章
(72)【発明者】
【氏名】廣田 重元
【審査官】 小林 正明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−193321(JP,A)
【文献】 特開2006−178826(JP,A)
【文献】 特開2009−124196(JP,A)
【文献】 特開2011−145926(JP,A)
【文献】 特開2004−326143(JP,A)
【文献】 特開2009−44473(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 19/173
G06F 11/00
G06F 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品の基板への装着作業を行う電子部品装着装置において、該電子部品装着装置に備えられる電装ユニット間でデータの伝送を行う通信システムであって、
前記電装ユニットは、
コンフィグレーション情報に基づいて回路構築されるプログラマブル論理デバイスと、
前記コンフィグレーション情報による前記プログラマブル論理デバイスの前記回路構築の間、前記データに対して所定の信号処理を実行する専用処理部と、
前記プログラマブル論理デバイスにおける前記回路構築が完了したことに基づいて、前記プログラマブル論理デバイスに対して前記データに対する信号処理を実行させる起動手段と、
前記起動手段による動作を、前記プログラマブル論理デバイスにおける前記回路構築と通信先のプログラマブル論理デバイスにおける回路構築とが共に完了したことに応じて開始させる同期手段とを備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記プログラマブル論理デバイスの前記回路構築の完了を通知する通知部を備え、
前記通知部は、前記回路構築の完了情報を通信先に対して出力し、
前記同期手段は、前記通知部からの前記完了情報と通信先からの完了情報とに基づいて、前記起動手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記専用処理部で実行される前記所定の信号処理は、前記プログラマブル論理デバイスで実行される前記信号処理とは異なる処理であり、
前記起動手段に応じて、動作が開始する前記プログラマブル論理デバイスと、前記専用処理部とが、前記データに対して並列的に処理を実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記専用処理部で実行される前記所定の信号処理は、前記プログラマブル論理デバイスで実行される前記信号処理に含まれる一部の処理であり、
前記起動手段に応じて、動作が開始する前記プログラマブル論理デバイスからの出力結果のうち前記所定の信号処理に係る部分が前記専用処理部からの出力結果に一致した場合に、前記専用処理部の動作を停止することを特徴とする請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項5】
電子部品の基板への装着作業に係るデータを電装ユニット間で通信により伝送する電子部品装着装置であって、
前記電装ユニットは、
コンフィグレーション情報に基づいて回路構築されるプログラマブル論理デバイスと、
前記コンフィグレーション情報による前記プログラマブル論理デバイスの前記回路構築の間、前記データに対して所定の信号処理を実行する専用処理部と、
前記プログラマブル論理デバイスにおける前記回路構築が完了したことに基づいて、前記プログラマブル論理デバイスに対して前記データに対する信号処理を実行させる起動手段と、
前記起動手段による動作を、前記プログラマブル論理デバイスにおける前記回路構築と通信先のプログラマブル論理デバイスにおける回路構築とが共に完了したことに応じて開始させる同期手段とを備えることを特徴とする電子部品装着装置。
【請求項6】
電子部品の基板への装着作業に係るデータを電装ユニット間で通信により伝送する電子部品装着装置の起動方法であって、
前記電装ユニットは、
コンフィグレーション情報に基づいて回路構築されるプログラマブル論理デバイスと、
前記データに対して所定の信号処理を実行する専用処理部と、
前記プログラマブル論理デバイスにおける前記回路構築が完了したことに基づいて、前記プログラマブル論理デバイスに対して前記データに対する信号処理を実行させる起動手段と、を備えるものであり、
前記プログラマブル論理デバイスの回路構築を開始するステップと、
前記回路構築の開始のステップにより前記プログラマブル論理デバイスの前記回路構築が行われている間、前記専用処理部による前記所定の信号処理を実行するステップと、
前記プログラマブル論理デバイスにおける前記回路構築の完了を通知するステップと、
通信先から、該通信先にあるプログラマブル論理デバイスにおける回路構築の完了の通知を受けるステップと、
前記通知のステップ及び前記通信先からの通知のステップにより、前記プログラマブル論理デバイスに対して前記データに対する信号処理を開始させるステップとを備えることを特徴とする電子部品装着装置の起動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品装着装置をはじめとする各種装置におけるデータの通信に関し、特に、プログラマブル論理デバイスを用いて通信を行う通信システム、その通信システムを用いる電子部品装着装置及び電子部品装着装置の起動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ハードウエアの機能を任意にプログラム可能なプログラマブル論理デバイスの一つであるFPGA(Field Programmable Gate Array)の起動動作に係る技術が開示されている。例えば、特許文献1に開示される制御装置は、車両のエンジン等を制御する制御装置であり、FPGAと、FPGAの機能の一部を実行可能な専用処理回路とを備える。制御装置は、各種センサ(クランク角センサ)等の出力信号をFPGA及び専用処理回路により処理し、インジェクタ等の駆動装置を動作させる制御信号を出力する。この制御装置では、起動時においてFPGAの回路構築(コンフィグレーション)を実行している間は、専用処理回路が駆動装置に対する制御信号等の処理をすることによって、エンジン等を含む車両システムの制御を早期に開始することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許4321472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、プログラマブル論理デバイスは、ユーザ側(フィールド)においてハードウエアの機能を任意に変更可能なことから上記したような制御装置の他に様々な装置への適用が検討・開発されている。例えば、プログラマブル論理デバイスは通信システムのデータ処理の回路に適用することが可能である。このような通信システムとして、例えば送受信を行う複数の制御装置の各々に伝送するデータに対する所定の処理(例えば誤り訂正など)を実行する回路としてFPGAを設けた構成が考えられる。このような構成とすることで伝送するデータの種類が変更された場合等に応じてユーザ側でFPGAの処理内容を更新できる。そして、このような通信システムにおいてもシステムの制御を早期に開始したいという要望がある。
【0005】
これに対し、上記したような制御装置には、駆動装置が接続される装置とこの駆動装置の動作を制御する装置との間で制御信号の通信を行う場合がある。この場合、一方の制御装置から制御信号が通信され、他方の制御装置において入力される制御信号に応じて駆動装置を動作させる。こうした制御装置では、FPGA及び専用処理回路で実行する処理内容を装置内におけるFPGAのコンフィグレーションの状況に応じて変更している。しかしながら、通信システムにおいては、送信側と受信側とが協働して処理を実行する必要がある。このため、このような通信システムのシステム制御をより早期に開始したい場合には、送信側と受信側との制御装置がFPGAのコンフィグレーションの状況に応じて処理回路を変更するとともに、互いの制御装置が同期を取ってこの処理回路の変更を実行する必要がある。
【0006】
本発明は、上記した課題を鑑みてなされたものであり、プログラマブル論理デバイスを用いて通信を行う通信システムに対し、システムの制御を早期に開始しながら定常の状態にスムーズに立ち上げることが可能な通信システム、その通信システムを用いる電子部品装着装置及び電子部品装着装置の起動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を鑑みてなされた本願の請求項1に記載の通信システムは、電子部品の基板への装着作業を行う電子部品装着装置が備える電装ユニット間でデータの伝送を行う。電装ユニットは、コンフィグレーション情報に基づいて回路構築されるプログラマブル論理デバイスと、コンフィグレーション情報によるプログラマブル論理デバイスの回路構築の間、データに対して所定の信号処理を実行する専用処理部と、プログラマブル論理デバイスにおける回路構築が完了したことに基づいて、プログラマブル論理デバイスに対してデータに対する信号処理を実行させる起動手段と、起動手段による動作を、プログラマブル論理デバイスにおける回路構築と通信先のプログラマブル論理デバイスにおける回路構築とが共に完了したことに応じて開始させる同期手段とを備える。
【0008】
また、請求項2に記載の通信システムは、請求項1に記載の通信システムにおいて、プログラマブル論理デバイスの回路構築の完了を通知する通知部を備え、通知部は、回路構築の完了情報を通信先に対して出力し、同期手段は、通知部からの完了情報と通信先からの完了情報とに基づいて、起動手段を制御する。
【0009】
また、請求項3に記載の通信システムは、請求項1又は2に記載の通信システムにおいて、専用処理部で実行される所定の信号処理は、プログラマブル論理デバイスで実行される信号処理とは異なる処理であり、起動手段に応じて、動作が開始するプログラマブル論理デバイスと、専用処理部とが、データに対して並列的に処理を実行する。
【0010】
また、請求項4に記載の通信システムは、請求項1又は2に記載の通信システムにおいて、専用処理部で実行される所定の信号処理は、プログラマブル論理デバイスで実行される信号処理に含まれる一部の処理であり、起動手段に応じて、動作が開始するプログラマブル論理デバイスからの出力結果のうち所定の信号処理に係る部分が専用処理部からの出力結果に一致した場合に、専用処理部の動作を停止する。
【0011】
また、本願の請求項5に記載の電子部品装着装置は、電子部品の基板への装着作業に係るデータを電装ユニット間で通信により伝送する電子部品装着装置であって、電装ユニットは、コンフィグレーション情報に基づいて回路構築されるプログラマブル論理デバイスと、コンフィグレーション情報によるプログラマブル論理デバイスの回路構築の間、データに対して所定の信号処理を実行する専用処理部と、プログラマブル論理デバイスにおける回路構築が完了したことに基づいて、プログラマブル論理デバイスに対してデータに対する信号処理を実行させる起動手段と、起動手段による動作を、プログラマブル論理デバイスにおける回路構築と通信先のプログラマブル論理デバイスにおける回路構築とが共に完了したことに応じて開始させる同期手段とを備える。
【0012】
また、本願の請求項6に記載の電子部品装着装置の起動方法は、電子部品の基板への装着作業に係るデータを電装ユニット間で通信により伝送する電子部品装着装置の起動方法であって、電装ユニットは、コンフィグレーション情報に基づいて回路構築されるプログラマブル論理デバイスと、データに対して所定の信号処理を実行する専用処理部と、プログラマブル論理デバイスにおける回路構築が完了したことに基づいて、プログラマブル論理デバイスに対してデータに対する信号処理を実行させる起動手段と、を備えるものであり、プログラマブル論理デバイスの回路構築を開始するステップと、回路構築の開始のステップによりプログラマブル論理デバイスの回路構築が行われている間、専用処理部による所定の信号処理を実行するステップと、プログラマブル論理デバイスにおける回路構築の完了を通知するステップと、通信先から、該通信先にあるプログラマブル論理デバイスにおける回路構築の完了の通知を受けるステップと、通知のステップ及び通信先からの通知のステップにより、プログラマブル論理デバイスに対してデータに対する信号処理を開始させるステップとを備える。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の通信システムでは、電装ユニット間で伝送されるデータがプログラマブル論理デバイス及び専用処理部において信号処理される。プログラマブル論理デバイスは、通信システムの電源投入時や再起動時に、コンフィグレーション情報に基づいて回路構築(コンフィグレーション)が実行される。この回路構築が実行される間は、専用処理部が伝送されるデータに対する信号処理を実行する。起動手段は、回路構築が完了したことに基づいてプログラマブル論理デバイスに対して信号処理を実行させる。そして、同期手段は、自身の電装ユニットが備えるプログラマブル論理デバイスと、通信先のプログラマブル論理デバイスとにおける回路構築が共に完了したことに応じて起動手段による動作を開始させる。これにより、送受信を行う電装ユニットは、回路構築の完了後のプログラマブル論理デバイスにおける信号処理を相互に同期を取って実行させる。その結果、回路構築の完了に応じた信号処理を行う処理回路の変更が適切に実行され、通信システムの制御を早期に開始しながら定常の状態にスムーズに立ち上げることが可能となる。
【0014】
また、請求項2に記載の通信システムは、プログラマブル論理デバイスの回路構築の完了を通知する通知部を備える。通知部は、回路構築の完了情報を通信先に出力し、同期手段が自身の電装ユニットが備える通知部の完了情報と通信先からの完了情報とに基づいて起動手段を制御する。これにより、電装ユニット間において回路構築の完了の有無を適切に検出し同期を取ることが可能となる。
【0015】
また、請求項3に記載の通信システムでは、回路構築が完了すると、専用処理部とプログラマブル論理デバイスとは、データに対して異なる処理内容の信号処理を並列的に実行する。このような構成では、プログラマブル論理デバイスにおいて実行され得る信号処理の一部を専用処理部にて実行することが可能となり、プログラマブル論理デバイスの回路規模を小さくすることが可能となる。従って、プログラマブル論理デバイスの回路構築に必要な時間を短くでき、通信システムの制御をより迅速に開始することが可能となる。
【0016】
また、請求項4に記載の通信システムでは、専用処理部がプログラマブル論理デバイスで実行される信号処理の一部を実行する。専用処理部は、プログラマブル論理デバイスと専用処理部との出力結果が一致した場合に動作が停止される。これにより、専用処理部とプログラマブル論理デバイスとの出力の比較結果に応じて回路構築が正常に完了したかを確認することによって、回路構築の完了に応じた信号処理を行う処理回路の変更をより確実に行うことが可能となる。
【0017】
また、請求項5に記載の電子部品装着装置では、電子部品の基板への装着作業に係るデータを伝送する電装ユニットが、プログラマブル論理デバイスの回路構築が実行される間は、専用処理部が伝送されるデータに対する信号処理を実行する。起動手段は、回路構築が完了したことに基づいてプログラマブル論理デバイスに対して信号処理を実行させる。そして、同期手段は、自身の電装ユニットが備えるプログラマブル論理デバイスと、通信先のプログラマブル論理デバイスとにおける回路構築が共に完了したことに応じて起動手段による動作を開始させる。これにより、電装ユニット間のデータ伝送が早期に開始されながら定常の状態にスムーズに立ち上げることによって、システムの起動時間の改善を図った電子部品装着装置が構成できる。
【0018】
また、請求項6に記載の電子部品装着装置の起動方法では、プログラマブル論理デバイスの回路構築が開始されると、回路構築が行われている間は専用処理部による信号処理が実行される。回路構築が完了すると、その旨を電装ユニット間で通知する。通信先から完了の通知を受けると、プログラマブル論理デバイスに対して信号処理を実行させる。これにより、回路構築が行われている間は専用処理部による信号処理を実行しつつ、回路構築の完了後のプログラマブル論理デバイスにおける信号処理を相互に同期を取って実行させる。これにより、電装ユニット間のデータ伝送が早期に開始されながら定常の状態にスムーズに立ち上げることによって、電子部品装着装置の起動時間の改善を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態の通信システムが適用される電子部品装着装置の斜視図である。
図2図1に示す電子部品装着装置の上部カバーを取り外した状態の概略平面図である。
図3】電子部品装着装置のブロック図である。
図4】多重化通信システムの概略構成図である。
図5】光無線装置の概略構成図である。
図6】多重化通信システムの起動動作を示す概念図である。
図7】多重化通信システムの起動時の動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図を参照して説明する。初めに、本願の通信システムを適用する装置の一例として電子部品装着装置(以下、「装着装置」と略する場合がある)について説明する。
【0021】
(装着装置10の構成)
図1に示すように、装着装置10は、装置本体11と、装置本体11に一体的に設けられる一対の表示装置13と、装置本体11に対して着脱可能に設けられる供給装置15,16とを備える。本実施形態の装着装置10は、図3に示す制御装置80の制御に基づいて、装置本体11内に収容される搬送装置21にて搬送される回路基板100に対して電子部品(図示略)の装着作業を実施する装置である。なお、本実施形態では、図1に示すように、搬送装置21により回路基板100が搬送される方向(図2における左右方向)をX軸方向、回路基板100の搬送方向に水平でX軸方向に対して直角な方向をY軸方向と称し、説明する。
【0022】
装置本体11は、X軸方向の一端側でY軸方向における両端部に表示装置13を各々備える。各表示装置13は、タッチパネル式の表示装置であり、電子部品の装着作業に関する情報を表示する。また、装置本体11は、Y軸方向の両側から挟むようにして装着される供給装置15,16を備える。供給装置15は、フィーダ型の供給装置であり、各種の電子部品がテーピング化されリールに巻回させた状態で収容されるテープフィーダ15Aを複数有している。供給装置16は、トレイ型の供給装置であり、複数の電子部品が載置された部品トレイ16A(図2参照)を複数有している。
【0023】
図2は、装置本体11の上部カバー11A(図1参照)を取り除いた状態で装着装置10を上方(図1における上側)からの視点において示した概略平面図である。図2に示すように、装置本体11は、上記搬送装置21と、回路基板100に対して電子部品を装着する装着ヘッド22と、その装着ヘッド22を移動させる移動装置23とを基台20の上に備える。
【0024】
搬送装置21は、基台20におけるY軸方向の略中央部に設けられており、1対のコンベアベルト31と、コンベアベルト31に保持された基板保持装置32と、基板保持装置32を移動させる電磁モータ33とを有している。基板保持装置32は回路基板100を保持する。電磁モータ33は、出力軸がコンベアベルト31に駆動連結されている。電磁モータ33は、例えば、回転角度を精度良く制御可能なサーボモータでる。搬送装置21は、電磁モータ33の駆動に基づいてコンベアベルト31が周回動作を行うことで、基板保持装置32とともに回路基板100がX軸方向に移動する。
【0025】
装着ヘッド22は、回路基板100と対向する下面に電子部品を吸着する吸着ノズル41を有する。吸着ノズル41は、正負圧供給装置42(図3参照)を介して負圧エア、正圧エア通路に通じており、負圧にて電子部品を吸着保持し、僅かな正圧が供給されることで保持した電子部品を離脱する。また、装着ヘッド22は、吸着ノズル41を昇降させるノズル昇降装置43(図3参照)及び吸着ノズル41をそれの軸心回りに自転させるノズル自転装置44(図3参照)を有しており、保持する電子部品の上下方向の位置及び電子部品の保持姿勢を変更する。ノズル昇降装置43は、駆動源として例えば電磁モータ43A(図3参照)を備える。また、装着ヘッド22は、保持する電子部品の上下方向の位置を検出するための位置検出センサ45(図3参照)を有している。また、装着ヘッド22には、回路基板100を撮影するためのマークカメラ47が下方を向いた状態で固定されている。なお、吸着ノズル41は、装着ヘッド22に対し着脱可能であり、電子部品のサイズ、形状等に応じて変更できる。
【0026】
また、装着ヘッド22は、移動装置23によって基台20上の任意の位置に移動する。詳述すると、移動装置23は、装着ヘッド22をX軸方向に移動させるためのX軸方向スライド機構50と、装着ヘッド22をY軸方向に移動させるためのY軸方向スライド機構52とを備える。X軸方向スライド機構50は、X軸方向に移動可能に基台20上に設けられたX軸スライダ54と、駆動源として電磁モータ56とを有している。X軸スライダ54は、電磁モータ56の駆動に基づいてX軸方向の任意の位置に移動する。
【0027】
また、Y軸方向スライド機構52は、Y軸方向に移動可能にX軸スライダ54の側面に設けられたY軸スライダ58と、駆動源としての電磁モータ60とを有している。Y軸スライダ58は、電磁モータ60の駆動に基づいて、Y軸方向の任意の位置に移動する。そして、装着ヘッド22は、Y軸スライダ58に取り付けらており、移動装置23の駆動にともなって基台20上の任意の位置に移動する。これにより、マークカメラ47は、装着ヘッド22が移動させられることで回路基板100の任意の位置の表面が撮像可能となる。マークカメラ47により撮影された画像データは、画像処理装置71(図3参照)により処理され制御装置80に出力される。また、装着ヘッド22は、Y軸スライダ58にコネクタ48を介して取り付けられワンタッチで着脱可能であり、種類の異なる作業ヘッド、例えば、ディスペンサヘッド等に変更できる。
【0028】
また、基台20は、Y軸方向の両側に設けられた各側面部に供給装置15,16が接続されている。各供給装置15,16は、供給する電子部品の不足や電子部品の種類の変更等に対応するべく、基台20に着脱可能とされている。また、基台20には、各供給装置15,16が接続される部分におけるX軸方向の略中央部にパーツカメラ73が各々設けられている。各パーツカメラ73は、上方を向いた状態で設けられており、各供給装置15,16から装着ヘッド22の吸着ノズル41に吸着保持された電子部品を撮像する。パーツカメラ73は、撮影された画像データを画像処理装置71(図3参照)に出力する。画像処理装置71は、処理したデータを制御装置80に出力する。
【0029】
(装着装置10に適用される通信システム)
ここで、図3に示すように、本実施形態の装着装置10は、装着装置10の制御装置80と制御装置80以外の部分(各種装置)との間のデータ通信に光無線の多重化通信を用いる。なお、図3に示す装着装置10の構成は、通信システムを適用する場合の一例であり、装着装置10が備える装置の種類や数等に応じて適宜変更する。また、本願の通信システムは、装着装置10に例示される電子部品装着装置の他に、様々な製造ラインにおいて稼働する自動機などに適用可能なシステムである。
【0030】
図3に示すように、制御装置80は、CPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータを主体とするコントローラ82と、画像ボード84と、駆動制御ボード85と、I/Oボード86とを備える。コントローラ82は、各ボード84,85,86を介して各種装置と通信を行う。各ボード84,85,86は、光無線装置91を介して伝送路95の一端に接続され、その伝送路95の他端には光無線装置93を介して各種装置(カメラ、モータ、センサ等)が接続されている。各ボード84,85,86と各種装置とが入出力するデータは、光無線装置91,93を介して伝送路95において光無線による通信で伝送される。例えば、図2に示すように、移動装置23には、制御装置80に接続される光無線装置91の受発光部92Aに対向して、光無線装置93の受発光部92Bが設けられている。受発光部92Bは、光無線装置91側の受発光部92Aとの間で光軸が一致するように移動装置23のX軸スライダ54に固定されている。これにより、受発光部92A,92B(光無線装置91,93)間で各種通信が可能とされている。
【0031】
図3に示す画像ボード84は、画像データの入出力を制御するボードである。例えば、コントローラ82は、画像ボード84を介して画像処理装置71がマークカメラ47の画像データに対する処理から検出した回路基板100に関する情報(種類・形状等)や回路基板100の基板保持装置32による保持位置の誤差等の情報を受信する。駆動制御ボード85は、電磁モータに対する動作指令や電磁モータからリアルタイムでフィードバックされる情報等の入出力を制御するボードである。例えば、コントローラ82は、駆動制御ボード85を介して電磁モータ43Aにより取得されるトルク情報や位置情報(吸着ノズル41に保持される電子部品の上下位置)などのサーボ制御情報を受信する。I/Oボード86は、例えば位置検出センサ45の出力信号等の入出力を制御するボードである。これら制御装置80に各装置から入力されるデータは、光無線装置93により多重化された上で光無線信号として伝送路95を伝送される。光無線装置91は、伝送された多重化信号の多重化を解除し個々のデータに分離する処理を行う。光無線装置91は、分離されたデータのうち、画像データを画像ボード84に、サーボ制御情報を駆動制御ボード85に、I/O信号をI/Oボード86に転送する。
【0032】
一方で、コントローラ82は、光無線装置91により受信された各データを処理する。コントローラ82は、例えば処理結果に基づいた電磁モータ43Aに対する制御信号を、駆動制御ボード85を介して光無線装置91に出力する。光無線装置93は、光無線装置91から伝送される制御信号をノズル昇降装置43に転送する。これにより、電磁モータ43Aが制御信号に基づいて動作する。また、コントローラ82は、例えば表示装置13の表示を変更する制御信号をI/Oボード86、光無線装置91,93を介して表示装置13に出力する。このように、制御装置80と制御装置80以外の各装置とで送受信される各種情報は、伝送路95上を多重化されたデータ、例えば時分割多重(TDM)方式のフレームデータとして送受信される。なお、制御装置80と他の装置間の通信は、その一部だけを光無線通信にて実施してよい。
【0033】
上述した装着装置10では、基板保持装置32に保持された回路基板100に対して装着ヘッド22によって電子部品の装着作業を行う。具体的には、コントローラ82は、搬送装置21を駆動して回路基板100を作業位置まで搬送し、電磁モータ33を停止させて回路基板100を固定的に保持させる。次に、コントローラ82は、移動装置23を駆動して装着ヘッド22を回路基板100上に移動させマークカメラ47により回路基板100を撮像する。この際に、コントローラ82は、画像処理装置71から受信した回路基板の種類及び回路基板100の保持位置の誤差を判定する。次に、コントローラ82は、基板の種類に対する判定結果に応じた電子部品を有する供給装置15,16を駆動し、該当する電子部品を装着ヘッド22への供給位置に送り出す制御を行う。次に、コントローラ82は、移動装置23を駆動して供給位置の搬送された電子部品を装着ヘッド22の吸着ノズル41により吸着保持させる。
【0034】
次に、コントローラ82は、電子部品を保持した装着ヘッド22をパーツカメラ73上に移動させて電子部品の状態を撮像させる。この際に、コントローラ82は、撮像結果に基づいて電子部品の保持位置の誤差を取得する。次に、コントローラ82は、装着ヘッド22を回路基板100上の装着位置に移動させ回路基板及び電子部品の保持位置誤差に基づいて吸着ノズル41を自転させた後に電子部品を回路基板100に装着させる。
【0035】
次に、上記した多重化通信を用いて電子部品の装着を実施する装着装置10に適用して好適な通信システム(多重化通信システム)について図4を用いて説明する。図4に示す多重化通信システム110は、装着ヘッド22と制御装置80とを接続する通信システムの一例である。以下の説明では、まず制御装置80から装着ヘッド22へのデータ伝送について説明する。
【0036】
制御装置80は、画像ボード84、駆動制御ボード85及びI/Oボード86が光無線装置91に電気的に接続されている。装着ヘッド22は、ノズル昇降装置43の電磁モータ43A、位置検出センサ45及びマークカメラ47が光無線装置93に電気的に接続されている。
【0037】
光無線装置91は、入出力回路120と、FPGA(Field Programmable Gate Array)122と、CPLD(Complex Programmable Logic Device)123と、セレクタ124と、ROM126と、CPU127と、多重化装置129とを備え、通信バス(図示略)により各種回路が相互に接続されている。制御装置80は、各ボード84,85,86の出力信号を光無線装置91の入出力回路120に出力する。入出力回路120は、入力された信号をFPGA122及びCPLD123に出力する。
【0038】
FPGA122及びCPLD123は、入出力回路120から入力されるデータに対して所定の信号処理を施しセレクタ124に出力する。この所定の信号処理は、例えば、伝送されるデータに対する誤りの検出・訂正を実施するための処理である。ROM126は、例えばフラッシュメモリ等の書き換え可能な不揮発性メモリであり、FPGA122が備える後述する各処理回路の回路データを含むコンフィグレーション情報が保存されている。
【0039】
セレクタ124は、FPGA122及びCPLD123から多重化装置129に出力する信号を切り替える。CPU127は、光無線装置91を統括制御する回路であり、FPGA122の起動時のコンフィグレーションに応じて入出力回路120及びセレクタ124の入出力先を制御する。多重化装置129は、セレクタ124の出力信号を多重化し伝送路95を介して光無線装置93の多重化装置139に伝送する。CPU127は、FPGA122のコンフィグレーションに応じて多重化装置129における多重化処理の有無を制御する。
【0040】
光無線装置93は、光無線装置91と同様の構成となっており、入出力回路130と、FPGA132と、CPLD133と、セレクタ134と、ROM136と、CPU137と、上記した多重化装置139とを備える。多重化装置139は、多重化装置129から伝送される信号の多重化を解除し個々のデータに分離してセレクタ134に出力する。CPU137は、FPGA132のコンフィグレーションに応じて多重化装置139における多重化処理の有無を制御する。セレクタ134は、多重化装置139の出力信号をFPGA132及びCPLD133に出力する。FPGA132及びCPLD133は、入力されるデータに対して所定の信号処理を施し入出力回路130を介して各装置(電磁モータ43A等)に信号を出力する。CPU137は、FPGA132のコンフィグレーションに応じて入出力回路130及びセレクタ134の入出力先を変更する。
【0041】
例えば、コントローラ82は、電磁モータ43Aに対するサーボ制御信号を、駆動制御ボード85から光無線装置91,93を介して装着ヘッド22に出力し電磁モータ43Aを制御する。なお、装着ヘッド22から制御装置80にデータを伝送する場合には、上記した説明とは逆の方向にデータが転送され、各回路にて同様の処理がなされるため、詳細についての説明を省略する。
【0042】
ここで、制御装置80と、装着ヘッド22を含む制御装置80以外の各装置との間の通信では、異なる種類のデータが伝送される。例えば、画像ボード84により送受信される画像データは、1フレームを構成するデータ量が比較的大きなものであり、例えば1Gbps以上のデータ転送レートが要求されるデータである。また、例えば、駆動制御ボード85により送受信される動作指令やサーボ制御情報は、必要なデータ量が上記した画像データに比して小さなものであり、例えば125Mbpsのデータ転送レートが要求される。
【0043】
光無線装置91,93は、このような各データ種に応じた誤り訂正の符号付与及び検出・訂正回路がFPGA122,132に構成される。このため、FPGA122,132は、データの種類の増加等にともなって必要な回路数が増加するため回路規模が増大する傾向にある。つまり、多重化通信システム110の信頼性向上等を図るためにFPGA122,132に様々な機能を追加するにつれて回路規模が増大し、起動時のコンフィグレーションの時間、即ちシステムの起動時間が長くなることが懸念される。
【0044】
そこで、本実施形態の多重化通信システム110では、伝送されるデータの種類等に基づいて起動時に必要な処理内容の優先度を決定し、その処理をFPGA122,132がコンフィグレーションを行っている間はCPLD123,133が実行する。例えば、駆動制御ボード85と電磁モータ43Aとの間で伝送されるサーボ制御情報は、伝送されるデータ量が比較的少なく1指令あたりのデータ処理に係る負荷が小さい。このため、光無線装置91,93は、CPLD122,123にサーボ制御情報を処理する回路を備え、FPGA122,132がコンフィグレーションを行っている間はCPLD123,133がサーボ制御情報に対するデータ処理を行う構成となっている。
【0045】
CPLD123,133は、回路データが書き換え可能なEEPROM等の不揮発性メモリを備え、装着装置10の電源投入にともなって機能する専用LSIとして構成されている。このため、CPLD123,133は、起動後にコンフィグレーションが必要なFPGA122,132に比べて機能するまでに必要な時間が短くなっている。従って、FPGA122,132のコンフィグレーション中にCPLD123,133によりFPGA122,132の機能の一部を実行することで、通信システムの制御を早期に開始することが可能となる。
【0046】
さらに、CPU127,137は、FPGA122,132のコンフィグレーションが完了すると、入出力回路120,130、セレクタ124,134及び多重化装置129,139を制御しサーボ制御情報を処理する回路をCPLD123,133からFPGA122,132に切り替える制御を行う。これにより、光無線装置91,93は、相互に同期をとりながらサーボ制御情報を処理する回路が切り替えられ、多重化通信システム110の制御を早期に開始しながら定常の状態にスムーズに立ち上げられる。
【0047】
次に、光無線装置91のCPLD123及びFPGA122の構成について説明する。なお、光無線装置93は、光無線装置91と同様の構成であるため、説明を省略する。図5に示すように、光無線装置91のFPGA122は、処理部122Aと、通知部122Bとを備える。処理部122Aは、FPGA122のコンフィグレーションが完了した後に、サーボ制御情報を含むデータ215(図6参照)に対して誤り訂正等の処理を実行する。通知部122Bは、FPGA122のコンフィグレーションの完了をCPLD123に通知する処理を実行する。
【0048】
CPLD123は、起動部123Aと、検出部123Bと、初期処理部123Cとを備える。起動部123Aは、CPLD123の起動にともなってFPGA122に対しコンフィグレーションを開始させる処理を行う。通知部122Bの出力信号は、検出部123Bに入力される。検出部123Bは、通知部122Bから入力される信号に基づいてFPGA122のコンフィグレーションが完了したことを検知する。また、検出部123Bは、コンフィグレーションが完了した情報を保持するとともに、検知した旨の信号を初期処理部123Cに出力する。
【0049】
初期処理部123Cは、FPGA122がコンフィグレーションを行っている間においてサーボ制御情報(図6に示すサーボ情報210)に対して誤り訂正等の処理を行う。また、初期処理部123Cは、検出部123Bの出力に基づいて、サーボ情報210に対しFPGA122がコンフィグレーションを完了したことを示す情報(図6に示すフラグデータ212)を設定し出力する。
【0050】
(多重化通信システム110の起動動作)
次に、多重化通信システム110の起動時の動作について図6及び図7を用いて説明する。なお、図6は多重化通信システム110の起動動作を示す概念図である。まず、図7に示すステップS1において、光無線装置91,93は、装着装置10に対する電源投入にともなってCPLD123,133を各々で起動する。CPLD123,133は、各処理回路(図5に示す起動部123A等)を構成する。
【0051】
次いで、ステップS2(図6参照)において、CPLD123,133の各々の起動部123Aは、ROM126,136に保存されたコンフィグレーション情報をFPGA122,132に出力する処理を行う。FPGA122,132は、入力されたコンフィグレーション情報に基づいて各処理回路(処理部122A等)を構成するコンフィグレーションを開始する。一方で、CPLD123,133の各々の初期処理部123Cは、入力あるいは出力されるサーボ情報210(図6参照)に対する信号処理を開始する(ステップS3)。また、初期処理部123Cは、図6に示すように、所定の信号処理を施したサーボ情報210に対しフラグデータ212を設定する処理を実行する。このフラグデータ212は、例えば所定の数のビット列であり初期値としてゼロが設定される。そして、初期処理部123Cは、検出部123Bの出力に基づいて、FPGA122,132がコンフィグレーションを完了した場合にフラグデータ212に所定のビット値を設定する。
【0052】
この際に、CPU127,137は、初期処理部123Cで処理されるサーボ情報210が伝送路95(図4参照)に伝送されるように入出力回路120,130、セレクタ124,134及び多重化装置129,139を制御する。例えば、CPU127は、入出力回路120に対し、駆動制御ボード85(図4参照)のデータ(サーボ制御情報を含む)をCPLD123に入出力するように制御する。また、CPU127は、セレクタ124に対し、多重化装置129にCPLD123のデータを入出力するように制御する。また、CPU127は、多重化装置129に対し、サーボ情報210及びフラグデータ212に多重化処理を施さずに伝送するように制御する。なお、CPU137は、CPU127と同様の制御を入出力回路130、セレクタ134及び多重化装置139に対して実行する。駆動制御ボード85と電磁モータ43Aとは、光無線装置91,93を介してサーボ情報210のデータ転送を実行する。
【0053】
次いで、ステップS4において、FPGA122あるいはFPGA132のコンフィグレーションが完了すると、各々の初期処理部123Cは、フラグデータ212に所定値を設定し出力する。例えば、CPLD123の初期処理部123Cは、CPLD133の初期処理部123Cからフラグデータ212に所定値が設定されたデータを受信すると、検出部123Bに光無線装置93側のFPGA132のコンフィグレーションが完了した旨を通知する。光無線装置91の検出部123Bは、FPGA122のコンフィグレーションが完了していた場合(ステップS7)には、初期処理部123C及びCPU127に光無線装置91,93の双方のFPGA122,132のコンフィグレーションが完了したことを通知する。CPLD123の初期処理部123Cは、FPGA122,132の両方のコンフィグレーションが完了したことを示すデータを、フラグデータ212に設定し出力する。光無線装置93のCPLD133の初期処理部123Cは、コンフィグレーションの完了をCPU137に通知する。これにより、光無線装置91,93の双方のCPU127,137がFPGA122,132のコンフィグレーションの完了を検出する。なお、ステップS7において、FPGA122,132の双方のコンフィグレーションが完了するまでは、CPLD123,133によるデータ処理が継続される。
【0054】
次いで、ステップS8において、CPU127,137は、伝送されるデータを処理する回路をCPLD123,133からFPGA122,132に切り替える制御を行う。例えば、CPU127,137は、双方のFPGA122,132のコンフィグレーションの完了を検出した時点から所定の動作クロックで切り替える制御を行う。CPU127は、入出力回路120に対し、各ボード84,85,86のデータをFPGA122に入出力するように制御する。また、CPU127は、セレクタ124に対し、多重化装置129にFPGA122のデータを入出力するように制御する。また、CPU127は、多重化装置129に対し入出力データの多重化処理を実行するように制御する。また、CPU137は、CPU127と同期して同様の制御を実行する。
【0055】
なお、光無線装置91,93は、FPGA122,132とCPLD123,133との出力を比較する回路を各々備えてもよい。例えば、FPGA122とCPLD123とのサーボ情報210に対する誤り検出の結果が異なる場合、及び出力されるデータそのものに誤りが含まれる場合の少なくとも一方の場合に、FPGA122を再構成(リコンフィグレーション)する構成とし、出力結果が一致するまでは初期処理部123Cがコンフィグレーションの完了を通知しない設定としてもよい。また、CPU127は、結果が一致するまでFPGA122とCPLD123の両方にサーボ情報210が入出力されるように入出力回路120及びセレクタ124を制御するとともに、多重化装置129による多重化処理を実行しないように制御する設定としてもよい。これにより、コンフィグレーションが正常に完了したかを確認することによって、同期を取った切替動作をより確実に行うことが可能となる。
【0056】
そして、ステップS9において、CPLD123,133からFPGA122,132への切り替えが完了すると、図6に示すように、FPGA122,132により処理されたデータが多重化されたデータ215として伝送され、多重化通信システム110が定常の状態に立ち上げられる。
【0057】
以上、詳細に説明した本実施形態によれば以下の効果を奏する。
光無線装置91,93が備えるFPGA122,132は、装着装置10の電源投入にともなって回路構築(コンフィグレーション)が実行される。このコンフィグレーションが実行される間は、CPLD123,133が多重化通信システム110の伝送路95に伝送されるデータ(サーボ情報210)に対する信号処理を実行する。入出力回路120,130及びセレクタ124,134は、CPU127,137の制御に基づいてFPGA122,132及びCPLD123,133に入出力されるデータを変更する。CPU127,137は、FPGA122,132の両方のコンフィグレーションの完了に基づいて、入出力回路120,130及びセレクタ124,134による切替動作を光無線装置91,93間で同期させて実行する。これにより、光無線装置91,93は、コンフィグレーションが完了した後のFPGA122,132及びCPLD123,133の切替動作を相互に同期を取って実行するようになる。従って、コンフィグレーションの完了に応じたデータの処理回路の変更が適切に実行され多重化通信システム110の制御を早期に開始しながら定常の状態にスムーズに立ち上げることが可能となる。その結果、装着装置10のシステムの起動時間の改善を図ることができる。
【0058】
因みに、多重化通信システム110は、通信システムの一例として、光無線装置91,93は、電装ユニットの一例として、FPGA122,132は、プログラマブル論理デバイスの一例として、CPLD123,133は、専用処理部の一例として、入出力回路120,130及びセレクタ124,134は、起動手段の一例として、CPU127,137は、起動手段及び同期手段の一例として、通知部122Bは、通知部の一例として、フラグデータ212は、回路構築の完了情報の一例として挙げられる。
【0059】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内での種々の改良、変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態では、光無線による通信を例に説明したが、本願はこれに限定されるものではない。有線の通信においても同様に適用でき、光通信ではなく電気通信においても同様に適用することができる。
【0060】
また、上記実施形態では、多重化した通信を例に説明したが、本願はこれに限定されるものではない。
また、上記実施形態では、一対の光無線装置91,93による通信を例に説明したが、3以上の複数の光無線装置間の通信に適用してもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、多重化通信システム110を、装着装置10に内蔵される装置(制御装置80とその他の装置)間の通信に用いたが、他の光無線装置91,93(FPGA122,132)を備える装置間の通信に適用してもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、コンフィグレーションの完了をCPLD123,133(検出部123B)により検出したが、CPU127,137のみで処理する構成としてもよい。この場合、通知部122Bの出力信号をCPU127,137に出力し、CPLD123,133の検出部123Bを省略した構成としてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、通知部122BをFPGA122,132に備える構成としたが、通知部122BをFPGA122,132とは別に設けた構成としてもよい。例えば、FPGA122,132の出力をモニタしてCPU127,137にコンフィグレーションの完了を通知する回路をFPGA122,132とは別に設けて通知部122Bとして機能させてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、CPLD123,133を、FPGA122,132の機能の一部を実行する構成としたが、FPGA122,132とは異なる処理を実行する設定としてもよい。即ち、上記実施形態において、サーボ情報210に対する処理をCPLD123,133のみが実行する。言い換えると、FPGA122,132には、サーボ情報210を処理する回路を備えない構成とする。例えば、CPLD123,133とFPGA122,132とは、コンフィグレーションが完了した後に並列的にデータの処理を実行する。このような構成では、FPGA122,132の回路規模を小さくすることが可能となり、多重化通信システム110の制御をより迅速に開始することが可能となる。
【0065】
また、上記実施形態では、コンフィグレーション中における処理を実行する処理部(専用処理部)として回路データが書き換え可能なCPLD123,133を用いたが、ユーザ側で回路構成が変更できない専用LSI等を用いてもよい。
【0066】
また、上記実施形態の装着装置10の構成は一例であり、適宜変更する。例えば、コンベアベルト31を複数個(複数レーン)備えた構成としてもよい。また、例えば、複数の装着装置10を搬送方向に駆動連結した構成としてもよい。
【符号の説明】
【0067】
91,93 光無線装置、110 多重化通信システム、120,130 入出力回路、122,132 FPGA、123,133 CPLD、124,134 セレクタ、127,137 CPU、212 フラグデータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7