(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043802
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】プラグ型接続部
(51)【国際特許分類】
H01R 13/639 20060101AFI20161206BHJP
H01R 13/52 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
H01R13/639 Z
H01R13/52 301H
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-540342(P2014-540342)
(86)(22)【出願日】2012年10月22日
(65)【公表番号】特表2014-535143(P2014-535143A)
(43)【公表日】2014年12月25日
(86)【国際出願番号】EP2012004418
(87)【国際公開番号】WO2013072002
(87)【国際公開日】20130523
【審査請求日】2015年10月1日
(31)【優先権主張番号】202011107900.0
(32)【優先日】2011年11月15日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506333314
【氏名又は名称】ローゼンベルガー ホーフフレクベンツテクニーク ゲーエムベーハー ウント ツェーオー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100072718
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 史旺
(74)【代理人】
【識別番号】100116001
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊秀
(72)【発明者】
【氏名】ヴィレム ブラークボルン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス レディング
【審査官】
前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−111172(JP,A)
【文献】
特開2005−122942(JP,A)
【文献】
実公昭59−37987(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/639
H01R 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1プラグ型コネクタ(1)と第2プラグ型コネクタ(2)とを備え、前記第1プラグ型コネクタ(1)及び第2プラグ型コネクタ(2)は、少なくとも一つの第1電気接点要素をそれぞれ有し、前記第1電気接点要素は、前記第1プラグ型コネクタ(1)と前記第2プラグ型コネクタ(2)とをプラグ接続することにより相互に接触させることが可能なプラグ型接続部において、
前記第1プラグ型コネクタ(1)に設けられた第1係止要素と、
前記第2プラグ型コネクタ(2)に設けられ、前記プラグ型接続部の係止位置で前記第1の係止要素がクリップ接続されることが可能な第2係止要素と、
前記第1プラグ型コネクタ(1)及び前記第2プラグ型コネクタ(2)の各々に設けられた少なくとも一つの第2電気接点要素と、
前記第1プラグ型コネクタ(1)及び前記第2プラグ型コネクタ(2)の各々に設けられた少なくとも一つの第3電気接点要素と、
を有し、
前記第1プラグ型コネクタ(1)の第1電気接点要素及び前記第2プラグ型コネクタ(2)の第1電気接点要素は、前記係止位置で機械的接触された後、シフト装置により、プラグ接続方向に前記係止位置から第1接触位置へ移動させることで導電性接触され、
前記第1プラグ型コネクタ(1)及び前記第2プラグコネクタ(2)の前記第2電気接点要素は、前記係止位置で導電性接触され、
前記第1プラグ型コネクタ(1)及び前記第2プラグコネクタ(2)の前記第3電気接点要素は、前記第1接触位置からさらにシフトさせた第2接触位置まで移動させることで機械的接触及び導電性接触されることを特徴とするプラグ型接続部。
【請求項2】
請求項1に記載のプラグ型接続部において、
前記第1係止要素は、突部または凹部であり、
前記第2係止要素は、前記突部にスナップ固定される、又は前記凹部に嵌合する弾性撓曲可能な係止タブ(8)であることを特徴とするプラグ型接続部。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のプラグ型接続部において、
前記第1係止要素及び前記第2係止要素のクリップ接続を解除するための解除デバイスを有することを特徴とするプラグ型接続部。
【請求項4】
請求項3に記載のプラグ型接続部において、
前記第1係止要素及び/又は前記第2係止要素は、前記係止位置から前記第1係止要素及び前記第2係止要素の前記クリップ接続が解除される前記プラグ型接続部の解除位置へシフトすることが可能であることを特徴とするプラグ型接続部。
【請求項5】
請求項4に記載のプラグ型接続部において、
前記第1係止要素及び前記第2係止要素は、前記解除位置へのシフト時に前記係止タブ(8)を撓曲させる傾斜面(24,25)を有することを特徴とするプラグ型接続部。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載のプラグ型接続部において、
前記第1係止要素及び/又は前記第2係止要素は、前記解除位置に予備付勢されたばね要素により前記係止位置の方向に負荷をかけられることを特徴とするプラグ型接続部。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のプラグ型接続部において、
前記第1接触位置及び/又は前記第2接触位置での前記第1係止要素及び前記第2係止要素のクリップ接続の解除を防止する固定デバイスを有することを特徴とするプラグ型接続部。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のプラグ型接続部において、
前記第1接触位置及び/又は前記第2接触位置において、前記第1プラグ型コネクタ(1)及び前記第2プラグ型コネクタ(2)の間に形成される間隙内で変形され、前記係止位置では変形されないシーリング要素(27)を有することを特徴とするプラグ型接続部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1プラグ型コネクタと第2プラグ型コネクタとを備え、第1プラグ型コネクタ及び第2プラグ型コネクタは、少なくとも一つの電気接点要素(electrical contact element)をそれぞれ有し、電気接点要素は、第1プラグ型コネクタと第2プラグ型コネクタとをプラグ接続することにより相互に接触することが可能なプラグ型接続部(plug-type connection)に関する。具体的には、本発明は、特に電気自動車に使用されるような高電圧ケーブルを接続するためのプラグ型接続部に関する。
【背景技術】
【0002】
このような汎用型のプラグ型接続部は、例えば特許文献1から周知である。
【0003】
高電圧ケーブルの接続のために設計されたこのようなプラグ型接続部で生じる問題は、接続される電気接点要素の設計にあり、電気接点要素の一方はソケットとして、他方はソケットと嵌合する雄コネクタとして設計される。高電流を伝送させるため、これらの電気接点要素は大きな寸法で設計される。2つの電気接点要素は、電気エネルギーの確実な伝送を保証するために、比較的高い圧力で接触する必要がある。電気接点要素がソケット及び雄コネクタとして設計される場合、これは比較的高いプラグ接続力及びプラグ接続解除力につながる。
【0004】
これらのプラグ接続力及びプラグ接続解除力がねじ接続を介して作用することは周知である。他の実施形態では、旋回時に接続部材を介して2つのプラグ型コネクタをともに移動させるレバーを介して、プラグ接続力及びプラグ接続解除力が作用する。プラグ型接続部は、2つのプラグ型コネクタの簡便かつ迅速な接触を可能にするが、レバーの旋回動作のために広い空間を占有してしまい、これは、特に自動車のエンジン室で使用される際には可能ではないことが多い。
【0005】
汎用型のプラグ型接続部、特に自動車で使用されるものには、さらなる要件が課せられる。これらは、特に、プラグ型コネクタをプラグ接続する組立担当者にとっての安全性とともに、自動車に取り付けられる電子部品の保護に関するものである。例えば、高電圧の伝送のために設けられる電気接点要素に加えて、(12V)低電圧安全回路の一部を形成するさらなる電気接点要素が、プラグ型コネクタに組み込まれる。この事例では、低電圧安全回路に組み込まれるさらなる電気接点要素が接触する時にも、プラグ型コネクタを介して接続される高電圧ケーブルのみに高電圧が印加される。したがって、プラグ型コネクタは、プラグ接続動作中に高電圧ケーブル用の電気接点要素がまず接触してから、低電圧安全回路用の電気接点要素が接触するように設計される。切断中には、低電圧安全回路の電気接点要素が最初に切断され、低電圧安全回路の電気接点要素が最初に切断されていない場合、高電圧ケーブルへの高電圧の供給を遮断する。それから初めて、高電圧ケーブルの電気接点要素が切断される。こうして、高電圧の伝送のために設計されたプラグ型接続部の電気接点要素が確実に接触している時にのみ高電圧ケーブルに高電圧が供給されることが保証される。これは、高電圧が存在する際にプラグ型接続部をプラグ接続又は切断する時に、組立担当者の負傷及び電気接点要素の燃焼につながる火花連絡を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許発明第10 2009 053 779 B3号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この先行技術を出発点として、本発明は、特に自動車における高電圧用途のための汎用型のプラグ型接続部をさらに改良するという問題に基づいている。特に、プラグ型接続部は、プラグ接続する時の簡便かつ確実な接触とともに低い空間要求により特徴付けられるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この問題は、独立請求項1に記載のプラグ型接続部により解決される。本発明によるプラグ型接続部の有利な実施形態は、従属請求項の主題であって、発明についての以下の記載で説明される。
【0009】
本発明によれば、第1プラグ型コネクタと第2プラグ型コネクタとを備え、第1プラグ型コネクタと第2プラグ型コネクタは、少なくとも一つの(第1)電気接点要素をそれぞれ有し、電気接点要素は、第1プラグ型コネクタ及び第2プラグ型コネクタをプラグ接続することにより相互に接触することが可能な汎用型のプラグ型接続部は、第1プラグ型コネクタは圧力及び/又は引張力の付加に対して安全なプラグ型接続部の係止位置で第2プラグ型コネクタの第2係止要素とクリップ接続されることが可能な第1係止要素(locking element)を有し、第1係止要素及び/又は第2係止要素は、第1プラグ型コネクタ及び第2プラグ型コネクタの電気接点要素を接触させるために、シフト装置により、対応するプラグ型コネクタの電気接点要素に対するプラグ接続方向に、プラグ型接続部の(第1)接触位置へ移動することが可能であることを特徴とする。
【0010】
汎用型のプラグ型接続の進歩的設計は、確実かつ簡便なプラグ接続部(プラグ接続/切断)が実現されることを可能にする。第1段階では、本発明によるクリップ接続を用いて、2つのプラグ型コネクタを手動でプラグ接続して係止することを可能にする。これは、想定外の(完全な)切断がもはや発生しないような方法で、すでに接続させることが可能であることを意味している。これは、プラグ型接続部を離すか、片手のみで保持することを可能にする。次に、第2段階では、第1係止要素及び/又は第2係止要素に作用するシフト装置を使用して、2つのプラグ型コネクタ又は少なくともその電気接点要素が、相互に接触するために相対移動させることが可能である。2つのプラグ型コネクタが相互に完全切断されることなくプラグ型接続部を置いたり、少なくとも一方の手のみでプラグ型接続部を持つことができるということは、シフト装置を少なくとも空いたもう片方の手で操作できることを意味する。
【0011】
シフト装置は、例えば高電圧用途のために設計されたプラグ型接続部では一般的であるような大型の電気接点要素を確実に相互接触させるのに充分に高い力が簡単で楽に付加されるようにするための、一つ又はいくつかのねじ付きスピンドルの形で設計されることが可能である。
【0012】
好ましくは、シフト装置が2つの電気接点要素の接触のためのプラグ接続動作ばかりでなく、反対方向に実行される切断動作をもたらすために使用することができるように、係止要素は、引張力及び圧縮力に対する耐性を持つ手法でクリップ接続される。
【0013】
「引張力に対する耐性」は、クリップ接続を介した引張負荷の伝達を可能にする設計を意味する。したがって、「圧縮力に対する耐性」は、クリップ接続を介した圧縮力の伝達を可能にする設計を意味する。これにより、圧縮負荷又は引張負荷の方向は、プラグ型接続部のプラグ接続又はプラグ接続解除に適用される。
【0014】
本発明によるプラグ型接続部の好適な実施形態では、第1係止要素は、突部又は凹部の形であって、第2係止要素は、突部にスナップ固定される、又は凹部に嵌合する弾性撓曲可能な係止タブの形である。これは、反復的に使用されることが可能なクリップ接続を設けるための構成上単純で経済的な可能性を表す。
【0015】
また好ましくは、電気接点要素が接触していないプラグ型接続部の解除位置において、第1係止要素及び第2係止要素のクリップ接続を解除する解除デバイスを設けることが可能である。好ましくは、係止位置を始点として、プラグ型接続部はこうして、2つのプラグ型コネクタに引張力を付加することにより解除位置へ動かすことができる。したがって、2つのプラグ型コネクタを(完全に)切断するためには、最初にシフト装置を用いてこれらが係止位置へ動かされ(戻され)なければならず、そして、完全な切断がプラグ型接続部の解除位置を経由する引張力の付加によりもたらされる。この実施形態は、プラグ型接続部の迅速かつ簡便な切断を可能にする。
【0016】
このような解除デバイスは、第1係止要素及び第2係止要素が、解除位置への2つのプラグ型コネクタの動作が(傾斜面が相互に向かって摺動する結果として)例えば弾性係止タブとして設計された係止要素の一つの撓曲につながるように設計された傾斜面を備えるという点で、単純な手法で形成することが可能である。
【0017】
2つのプラグ型コネクタの完全な切断に続いて次の接続のためにプラグ型接続部を準備するために、プラグ型接続部の完全な切断に続いて第1係止要素及び/又は第2係止要素が自動的に係止位置を再び取ることが実現しうる。これは、解除位置に予備付勢されたばね要素を用いて達成することができる。
【0018】
発明されたプラグ型接続部の第1プラグ型コネクタ及び第2プラグ型コネクタは、係止位置ですでに接触している少なくとも一つの第2電気接点要素をそれぞれ備える。これらの電気接点要素は、好ましくは、特に第1電気接点要素を包囲する遮蔽体の形でも設計することができるアース接点要素であり得る。
【0019】
第1プラグ型コネクタ及び第2プラグ型コネクタは、第2接触位置で接触する少なくとも一つのさらなる(必要であれば第3)電気接点要素も備え、第2接触位置は、係止位置を始点として、第1係止要素及び/又は第2係止要素を、第1接触位置を越えてシフトさせることにより実現することができる。これらの電気接点要素は、好ましくは、低電圧安全回路に組み込まれるものである。第1電気接点要素への高電圧の印加は、これらを介して制御することができる。特に、低電圧安全回路の電気接点要素が接触している時にのみ、本発明によるプラグ型接続部の第1電気接点要素に電圧が印加されることを実現することができる。係止位置を始点として、第2接触位置が(2つのプラグ型コネクタのプラグ接続動作について)第1接触位置の後方に位置しているので、さらなる電気接点要素に電圧が印加される時にも第1電気接点要素が常に接触することが保証される。
【0020】
本発明によるプラグ型接続部のさらなる好適な実施形態では、第1接触位置及び/又は第2接触位置での第1係止要素及び第2係止要素のクリップ接続の解除を防止する固定デバイスを設けることが可能である。これは、接触位置でのプラグ型接続部の想定外又は不要な切断を防止させる。
【0021】
本発明によるプラグ型接続のさらなる好適な実施形態では、第1接触位置及び/又は第2接触位置において、第1プラグ型コネクタ及び第2プラグ型コネクタの間に形成される間隙内で変形され、係止位置では変形されないシーリング要素(sealing element)を設けることが可能である。このようなシーリング要素は、2つのプラグ型コネクタを接続するために必要な力を著しく増大させうる。この好適な実施形態により、シフト装置によりプラグ型コネクタの間の相対動作が発生する時にこれらの力がシーリング要素のみによって増大されることが保証されうる。したがって、係止位置までの2つのプラグ型コネクタの手動プラグ接続が、シーリング要素により妨げられることはない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明によるプラグ型接続部において、2つのプラグ型コネクタが係止解除位置にある場合を示す図である。
【
図2】
図1に示すプラグ型接続部において、2つのプラグ型コネクタが係止位置にある場合を示す図である。
【
図3】
図2に示すプラグ型接続部の垂直方向における層状長手方向断面図である。
【
図4】
図2に示すプラグ型接続部の水平方向における長手方向断面図である。
【
図5】
図1及び
図2に示すプラグ型接続部において、2つのプラグ型コネクタが接触位置にある場合を示す図である。
【
図6】
図1から
図3に示すプラグ型接続部において、2つのプラグ型コネクタが解除位置にある場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、図面に描かれた例示的実施形態を参照して、以下により詳しく説明される。
【0024】
図1から
図6に表されるプラグ型接続部は、第1プラグ型コネクタ1と第2プラグ型コネクタ2とを含む。プラグ型コネクタ1,2は、高電圧の伝送を目的とするケーブルを接続するのに用いる。第1プラグ型コネクタ1は2つの高電圧ケーブル3の全てに接続するために設計されているが、第2プラグ型コネクタは、例えば自動車を駆動するための電動モータなど、別の部品(不図示)のハウジングにフランジ接続されるように設計されている。
【0025】
第1プラグ型コネクタ1は、ハウジング7の中に配設されて高電圧ケーブル3の一つとそれぞれ接続される2つのプラグ形状の(高電圧)接点要素4を備える。プラグ型接続部の(接触位置での)電気接触のために、第1プラグ型コネクタ1の2つのプラグ形状の高電圧接点要素4は、第2プラグ型コネクタ2のソケット形状の高電圧接点要素5へプラグ接続される。この目的のため、2つのプラグ型コネクタ1,2は、プラグ型接続部のプラグ接続方向(これは第1及び第2プラグ型コネクタ1,2の接点要素4,5の長手方向に対応する)に、相対移動、言い換えれば、押し込まれる。
【0026】
図1は、2つのプラグ型コネクタ1,2が係止解除位置にある場合のプラグ型接続部を示す。言い換えれば、2つのプラグ型コネクタ1,2は、すでに相対的に配置されているがまだ接続されていない。
【0027】
2つのプラグ型コネクタ1,2の内部接続は、2つのプラグ型コネクタの係止要素を嵌合させることにより、
図2に示すプラグ型接続部の係止位置で生じる。この目的のため、第1プラグ型コネクタ1は、第1プラグ型コネクタ1のハウジング7に、プラグ型接続部のプラグ接続方向に(リミット内)変位可能に取り付けられる係止ブラケット6を備える。係止ブラケット6は、各々の一端部が係止ブラケット6のブリッジ9を介して接続される、側面に沿って配設された2つの係止タブ8を含む。係止タブ8は、係止タブ8の自由端部が規定された側面に対する撓曲を可能にするために弾性変形可能な材料から製造される。自由端部の領域には、係止タブ8は係止孔10をそれぞれ備える。これらは、第1プラグ型コネクタ1と第2プラグ型コネクタ2との間に形状係止接続(form-locking connection)を形成するために、第2プラグ型コネクタ2のハウジング12に形成される係止突部11の周囲に嵌合するように設計されている。この形状係止接続は、(プラグ接続方向について)引張力及び圧縮力の両方の伝達を可能にする。
【0028】
図2に示されたプラグ型接続部の係止位置を実現するために、2つのプラグ型コネクタ1,2は、第2プラグ型コネクタ2の係止突部11が第1プラグ型コネクタ1の係止タブ8の係止孔10に嵌合するまで、手動で一体化される。これは、相互の上を摺動する係止突部11の傾斜面13及び係止タブ8により、また2つのプラグ型コネクタ1,2の相対動作の結果として、自動的に発生する係止タブ8の撓曲を必要とする。係止突部11と係止タブ8とがクリップ接続された後、2つのプラグ型コネクタ1,2に(手動で)圧縮力を単純に付加して、2つのプラグ型コネクタ1,2をさらにプラグ接続させることはもはや不可能である。
【0029】
図2に示された係止位置では、第1及び第2プラグ型コネクタ1,2の高電圧接点要素4,5はまだ電気接触状態にない(ただし、すでに機械的接触状態にある。しかしながら、第1プラグ型コネクタ1のプラグ形状の高電圧接点要素(plug-formed high voltage contact elements)4の電気絶縁ヘッド要素14が導電性接触を妨げている)。対照的に、2つのプラグ型コネクタの2つのアース接点要素15,16の間には、導電性接触がすでに存在する。ゆえに、第2プラグ型コネクタ2のアース接点要素15は、第1プラグ型コネクタ1のばね付勢タブを備えるソケット(アース接点要素16)と各々が嵌合するリング形状の雄コネクタとして設計される。
【0030】
2つのプラグ型コネクタ1,2の高電圧接点要素4,5を導電性接触させるため、ここでは第1プラグ型コネクタ1のハウジング7上の係止ブラケット6を高電圧ケーブル3の方向にシフトさせることが必要である。こうして係止ブラケット6の動作が、係止タブ8と係止突部11との間の形状係止接続を介して第2プラグ型コネクタ2へ伝達され、その結果、第2プラグ型コネクタ2が第1プラグ型コネクタへ引き込まれる。
【0031】
第1接点プラグ1のハウジング7の係止ブラケット6のシフトは、係止タブ8の一つにあるガイド溝18へそれぞれ突出するハウジング7の上の2つのガイド突部17によって案内され、ねじ付きボルト19及びヘッド20を含むねじ付きスピンドルによって実行される。ねじ付きスピンドルを回転させるため、工具をヘッドに嵌着することが可能である。ねじ付きスピンドルのヘッド20は、ハウジング7のケーブル側部分の貫通孔の中で回転されうるが、Cリング21によって軸方向に固定された状態で取り付けられる。ねじ付きボルト19は係止ブラケット6のブリッジ9にある貫通孔に挿通され、ねじ付きボルト19の外ねじは貫通孔の内ねじと嵌合する。ヘッド20と反対側のねじ付きボルト19の端部にはねじが形成されず、ハウジング7に保持された支承プレート22の開口部に回転可能に取り付けられる。係止ブラケット6をシフトさせるために、ねじ付きスピンドルが工具により時計方向に回転され、ねじ付きボルト19の回転は、係止ブラケット6とのねじ嵌合を通して、第1プラグ型コネクタ1のハウジング7(及びこれに配設された接点要素)に対する係止ブラケット6の移動につながる。
【0032】
第1及び第2プラグ型コネクタ1,2の高電圧接点要素4,5の間の導電性接触は、プラグ型接続部の第1接触位置ですでに存在する。この第1接触位置は、まだ、(2つのプラグ型コネクタ1,2の相対移動について)
図3に示された第2接触位置の前に、特に、
図2及び
図5に示された2つのプラグ型コネクタ1,2の2つの相対位置の間のほぼ中央に所在する。
【0033】
2つのプラグ型コネクタ1,2の高電圧接点要素4,5の間の接触は第1接触位置ですでに実現されているが、プラグ型接続部が機能するには、
図5に示された第2接触位置までの2つのプラグ型コネクタ1,2のプラグ接続をまだ必要とする。この目的のため、ねじ付きスピンドルが時計方向にさらに回転される。第2接触位置では、高電圧接点要素4,5が接触状態のままであるので、加えて低電圧安全回路の(低電圧)接点要素23も接触する。これらの低電圧接点要素23は第1接触位置ではまだ相互に触れていない。安全回路の目的は、高電圧接点要素4,5が確実に相互接触する時に高電圧ケーブル3へ高電圧のみが印加されるようにすることである。低電圧接点要素23が接触している時にも、これが常に実現する。したがって、高電圧状態でのプラグ型接続部のプラグ接続又は切断を防止することができる。これは、プラグ型接続部を取り扱う組立担当者への安全性を高めるとともに、電気火花連絡によりプラグ型接続部が損傷を受けるのを防止する。
【0034】
第2接触位置では、ガイド溝18よりも突出するエッジ領域によって、ガイド突部17は係止タブ8が側面に対して撓曲しないことを保証する。こうして、係止タブ8の手動撓曲と2つのプラグ型コネクタ1,2への引張力の付加とによるプラグ型接続部の切断の可能性はない。
【0035】
むしろ、プラグ型接続部を再び切断するために、工具により、ねじ付きスピンドルは反時計方向に回転されなければならない。これは、第2プラグ型コネクタ2の方向に係止ブラケット6を移動させ、その結果、このブラケットが第1プラグ型コネクタ1から押し出される。安全回路の低電圧接点要素23がこうして最初に切断され、それから第1接触位置を通過する際に高電圧接点要素4,5が切断される。2つのプラグ型コネクタ1,2の切断動作は、係止位置(
図2参照)に達するまで、ねじ付きスピンドルを用いて実行される。それからねじ付きボルト19とブリッジ9の内ねじとがもはや相互に嵌合しなくなるまで、係止ブラケット6のブリッジ9は、ねじ付きボルト上をシフトする。2つのプラグ型コネクタを完全に切断するために、これらに引張力が付加されなければならず、その結果、第1プラグ型コネクタ1のハウジング7上の係止ブラケット6は第2プラグ型コネクタ2の方向にさらに移動される。こうして係止タブ8の傾斜面24が、ハウジング7の傾斜面25の上を摺動する。これは、係止タブ8の側面に対する撓曲につながり、その結果、第2プラグ型コネクタ2の係止突部11が解除される(
図6参照)。
【0036】
図2に示された係止位置から
図6に示された解除位置へのハウジング7に対する係止ブラケット6の変位は、ねじ付きボルト19のねじ無し部に配設されてさらに予備張力を受けたばね26の圧縮につながる。ばね26の予備張力の結果、係止突部11が解除された後で、係止ブラケット6は
図1及び
図2に示された位置へ自動的に戻る。この位置は、係止ブラケット6のブリッジ9の内ねじへのねじ付きボルト19の外ねじの新たな嵌合を可能にする。こうしてプラグ型コネクタは、再びプラグ接続準備状態となる。
【0037】
第1プラグ型コネクタ1は、少なくともプラグ型接続部の接触位置において周囲からプラグ型コネクタ1,2の接点要素を密封するのに役立つシーリング要素27を備える。この目的のため、シーリング要素27は、プラグ型接続部の接触位置において、プラグ型コネクタ1,2により形成される環状空間の内部で変形される。対照的に、係止位置(
図2参照)では、シーリング要素27はまだ第2プラグ型コネクタ2のハウジング12との接触状態にない。