【実施例】
【0020】
(実施例1)
図2は、実施例1に係る発光装置100の構成を示すブロック図である。本実施例に係る発光装置100は、実施形態に示した発光装置100に、通信I/F部12、通信I/F部23、及び操作部40を追加したものである。
【0021】
操作部40は、マスタ制御部10への入力を受け付ける。具体的には、操作部40は、入力インターフェースであり、発光装置100のユーザによって操作される。マスタ制御部10は、操作部40からの入力に従って、制御データを生成して出力する。通信I/F(インターフェース)部12は、マスタ制御部10を通信線32に接続するインターフェースとなっている。
【0022】
通信I/F部23は、通信制御部22を通信線32に接続するためのインターフェースとなっている。
【0023】
また、通信制御部22は、接続信号を受信する受信端子と、接続信号を出力する出力端子とを有する。具体的には、受信端子は、その通信制御部22の一つ手前の通信制御部22(又はマスタ制御部10)から接続信号を受信するための端子である。また出力端子は、その通信制御部22の一つ後の通信制御部22に接続信号を出力するための端子である。そして通信制御部22は、接続信号を受信すると、通信I/F部23を介して通信線32を流れている信号を受信する。
【0024】
実施の形態で説明したように、発光モジュール20の通信制御部22には、その発光モジュール20のアドレスが設定される。また、本実施例では、発光装置100は、DMX512−A規格に準拠している。
【0025】
図3は、マスタ制御部10が通信線32に出力する制御データの構造を説明するための図である。DMX512−Aでは、通信線の電気使用としてEIA−485規格(RS−485規格)が採用されている。このため、マスタ制御部10と発光モジュール20の間の通信は、非同期シリアル通信である。そしてその信号のフォーマットは、ブレーク信号と呼ばれるスタート信号の後、1バイトのスタートコードと、それに続く512バイトのデータ部分とから構成されている。
【0026】
スタートコードとしては、照明制御などの各種の制御を行うときにはヌルコマンドが使用される。一方、独自のコマンドを用いる場合、スタートコードとしては、「0x91」が用いられる。この場合、
図3(a)に示すように、スタートコードの次の2バイトには、Maucfacture IDと呼ばれる会社・組織を識別するMID(MID−H,MID−L)が使用される。そして残りの510バイトを用いて、独自のコマンドが送信される。
【0027】
本実施例において、発光モジュール20に対してアドレス設定を行うときには、スタートコードとしては「0x91」が用いられる。そして2バイトのMIDを除いた残りの510バイトを用いて、アドレス設定のためのデータが送信される。
【0028】
具体的には、
図3(b)及び(c)に示すように、最初から4バイト目には、コマンド長(データ長)を示すデータが設定され、5バイト目で、データの属性を示すコマンド(例えば6バイト目以降のデータがアドレスであることを示すデータ)が設定される。例えばアドレス設定を開始する場合には、5バイト目としては「0x00」が使用され、アドレスを実際に送信する場合には5バイト目としては「0x80」が使用される。
【0029】
そして
図3(c)に示すように、6バイト目以降で、アドレスが送信される。本図に示す例では、6バイト目及び7バイト目のデータ(すなわち2バイト)で、アドレスが示されている。
【0030】
次に、アドレス付与動作について
図4のシーケンス図を参照しつつ説明する。
図4においては、通信線32を介して送信される信号を実線で示し、制御線34を介して送信される信号を一点鎖線で示す。
【0031】
アドレスを付与する動作を開始するに当たっては、先ず、照明システム全体がアドレスモードに設定される。例えば、ユーザが操作部40に、アドレスモードに設定する旨の入力操作を行うと、操作部40はアドレス付与指令を生成してマスタ制御部10に出力する(ステップS10)。マスタ制御部10は、アドレス付与指令を受信すると、アドレスモード開始のためのコマンド(アドレスモード開始コマンド)を作成する。マスタ制御部10は、作成したアドレスモード開始コマンドを、通信I/F部12及び通信線32を介して複数の発光モジュール20各々に送信する(ステップS11)。各発光モジュール20においては、通信I/F部23が通信I/F部12から送信されたアドレスモード開始コマンドを受信すると、発光モジュール20各々の通信制御部22はアドレス情報をリセットする。そして各通信制御部22は、接続線34を介して接続信号を受信しない限り、通信線32を流れるアドレス付与コマンドを受け付けない状態になる(アドレスモード:ステップS12)。
【0032】
ここで、使用されるコマンドには、上記したDMX512−A規格の独自コマンドのフォーマットが利用される。
図3(c)に示すように、スロット0〜スロット2は
図3(a)に示した通りである。スロット3がコマンド長(バイト数)、スロット4がコマンド内容を示すコマンド番号である。
【0033】
アドレスモード開始コマンド送付後、マスタ制御部10は、一定時間後に制御線34に接続信号を出力する(ステップS14)。これにより、通信I/F部12から見てアドレス未設定の発光モジュール20が一つできることになる。最初は、制御線34を介してマスタ制御部10に直接接続されている発光モジュール20が、アドレス未設定の発光モジュール20になる。
【0034】
そして、マスタ制御部10は、アドレス(例えばDMXアドレス)を決定する(ステップS18)。マスタ制御部10は、アドレスモードの開始後、予め定められたタイミングでアドレスの値を順番に昇順することで決定する。そしてマスタ制御部10は、その決定したアドレスを含むアドレス付与コマンドを作成する(ステップS20)。アドレス付与コマンドは、例えば上記したようにスロット5にDMXアドレスの上位8ビット(AD−H)を含み、スロット6にDMXアドレスの下位8ビット(AD−L)を含む。
【0035】
マスタ制御部10は、作成したアドレス付与コマンドを、通信I/F部12を介して通信線32に出力する(ステップS22)。上記したように、複数の発光モジュール20の通信制御部22は、接続線34を介して接続信号を受信しない限り、通信線32を流れるアドレス付与コマンドを受け付けない。このため、通信線32を流れるアドレス付与コマンドは、一つの発光モジュール20のみが受信可能である。このタイミングでは、制御線34を介してマスタ制御部10に直接接続している発光モジュール20が、通信線32を流れるアドレス付与コマンドを受け付ける。なお、ステップS18〜S22に示す処理が、送信手段が行う処理に相当する。
【0036】
アドレス付与コマンドを受信した発光モジュール20においては、通信I/F部23が通信I/F部12から送信されたアドレス付与コマンドを受信する。受信されたコマンドは通信制御部22に供給される。通信制御部22は、供給されたコマンドのスロット0〜スロット4に応じてアドレス付与コマンドであることを確認すると、スロット5及びスロット6からアドレスを取り出してそれを自身のアドレスとして設定する(ステップS24)。なお、ステップS24におけるアドレスの設定処理において、アドレスの取り出し処理が、取得手段が行う処理に対応する。そしてアドレスは、例えば、発光モジュール20が有するメモリに記憶される。
【0037】
そして通信制御部22は、その通信制御部22に繋がっている制御線34に接続信号を出力し(ステップS26)、アドレスモードを終了する(ステップS28)。制御線34への接続信号の出力により、その次の発光モジュール20は、アドレス付与コマンドを受信可能になる。一方、アドレスを設定した発光モジュール20はアドレスモードを終了しているため、その発光モジュール20が有する通信制御部22は、通信線32を流れるアドレス付与コマンドを受け付けない。このようにして、その次の発光モジュール20のみが通信線32を介してマスタ制御部10と通信可能になる。
【0038】
そしてその発光モジュール20も、上記した処理を行う(ステップS20〜S28)ことにより、アドレスを設定する。このような処理が繰り返されることにより、全ての発光モジュール20に対してアドレスが設定される。
【0039】
なお、発光モジュール20の一部を交換してアドレスを再設定する場合も、上記の手順と同じである。具体的には、発光モジュール20の一部を交換した後、ユーザは、操作部40に、アドレスモードに設定する旨の入力操作を行う。すると、操作部40はアドレス付与指令を生成してマスタ制御部10に出力する(ステップS10)。マスタ制御部10は、アドレス付与指令を受信すると、アドレスモード開始コマンドを作成し、作成したアドレスモード開始コマンドを、通信I/F部12及び通信線32を介して複数の発光モジュール20各々に送信する(ステップS11)。各発光モジュール20においては、通信I/F部23が通信I/F部12から送信されたアドレスモード開始コマンドを受信すると、発光モジュール20各々の通信制御部22はアドレス情報をリセットする。その後、ステップS12以降に示した処理が行われる。
【0040】
以上の方法によれば、複数の発光モジュール20のアドレスは、制御線34における接続順序の通りに設定される。このため、複数の発光モジュール20を、予め定められたとおりに制御線34で接続すれば、所望の通りに複数の発光モジュール20にアドレスを設定できる。
【0041】
全ての通信制御部22に対してアドレスが設定された後、マスタ制御部10は、発光モジュール20の発光を制御するための制御データ(例えば発光パターンを示すデータ)を、対象となる発光モジュール20のアドレスに対応付けて通信線32に出力する。通信制御部22は、その発光モジュール20のアドレスに対応する制御データが通信線32に出力されると、その制御データを発光制御部24に受信させる。発光制御部24は、受信した制御データに基づいて光源26の発光を制御する。
【0042】
図5は、光源26の構成の一例を示す断面図である。本実施例において、光源26は有機ELパネルであり、基板200上に、第1電極202、ホール注入層206、発光層208、電子注入層210、及び第2電極212をこの順に積層させた構成を有している。また、第1電極202上には、複数の隔壁204が形成されている。隔壁204は絶縁性の材料から形成されており、ホール注入層206、発光層208、電子注入層210、及び第2電極212の積層構造を複数の領域に区画している。隣り合う領域は、少なくとも発光層208が異なる材料により形成されており、発光スペクトルは互いに異なる最大ピーク波長を有している。
【0043】
基板200は、発光層208が発光した光を透光する材料(例えばガラスや樹脂)から形成されている。第1電極202は陽極であり、発光層208が発光した光を透光する。第1電極202は、例えばITOであるが、他の材料で構成されていても良い。第1電極202は、例えばスパッタリング法により形成されている。また基板200のうち第1電極202とは逆側の面には、光取出層220(例えば光取り出しフィルム)が設けられている。
【0044】
隔壁204は、長手形状を有しており、例えば第1電極202上に有機絶縁層をスピンコート法又は印刷法で形成し、この有機絶縁層をパターニングすることにより形成される。有機絶縁層が感光性の材料で形成されている場合、このパターニングは、露光及び現像により、行われる(フォトリソグラフィ技術)。隔壁204の断面形状は台形であり、底辺が第1電極202に接している。
【0045】
なお、第1電極202の上に複数の補助電極(バスライン)が形成されることがある。補助電極は、第1電極202よりも抵抗の低い材料から形成されている。この場合、隔壁204は、補助電極上に形成される。
【0046】
ホール注入層206、発光層208、及び電子注入層210は、いずれも有機層である。これらの層は、蒸着法又は塗布法(例えばインクジェット法)を用いて形成される。なお、ホール注入層206と発光層208の間にはホール輸送層が形成されてもよいし、発光層208と電子注入層210の間には電子輸送層が形成されても良い。
【0047】
第2電極212は、例えばAlなどの金属で形成されている。第2電極212は、スパッタリング法により導体層を形成した後、この導体層をパターニングすることにより、形成されている。第2電極212は、隔壁204の上面で分割されている。
【0048】
このような構成において、発光層208は、発光スペクトル別に発光することができる。例えば本図に示す例では、発光層208は、赤色を発光する層(発光層208(R))、緑色を発光する層(発光層208(G))、及び青色を発光する層(発光層208(B))が繰り返し設けられている。発光制御部24は、いずれの発光層をどの程度の強度で発行させるかを、マスタ制御部10から送信された制御データに基づいて定める。
【0049】
図6は、マスタ制御部10が発光制御部24に送信する制御データのフォーマットの一例を示す図である。上記したように、照明制御を行うとき、スタートコードとしては、ヌルコマンド(00h)が使用される。そして、残りのバイトに、各発光モジュール20における光源26の発光強度を示すデータを、アドレス順に格納される。本図に示す例では、発光モジュール20は3色(赤、緑、青)の発光層を有しているため、一つの発光モジュール20に対して3バイトの信号が用いられる。
【0050】
以上、本実施例によっても、実施形態と同様の効果を得ることができる。また、マスタ制御部10は、予め定められた時間が経過すると、通信線32に出力するアドレスを更新する。このため、DMX512−Aのような非同期シリアル通信においても、複数の発光モジュール20に対して互いに異なるアドレスを設定することができる。
【0051】
また、通信制御部22は、接続信号を受信する前は通信線32からの信号を受け付けない。このため、複数の通信制御部22に同一のアドレスが設定されることを抑制できる。
【0052】
また、通信制御部22は、接続信号を受信する受信端子と、接続信号を出力する出力端子とを有している。このため、複数の通信制御部22を容易に制御線34を用いて直列に接続することができる。
【0053】
なお、本実施例において、通信制御部22のオンオフの代わりに通信I/F部23のアクティブ/非アクティブを制御しても良い。また、通信制御部22がマイコンの一部の機能である場合、このマイコンそのものをアクティブ/非アクティブにしても良い。また、発光モジュール20の電源をアクティブ/非アクティブにしてもよい。
【0054】
(実施例2)
図7は、実施例2に係る発光装置100の動作を説明するためのフローチャートであり、実施例1における
図4に対応している。本実施例に係る発光装置100は、以下の点を除いて、実施例1に係る発光装置100と同様の動作を行う。
【0055】
まず、発光モジュール20は、アドレスの設定が終了した(ステップS24)後、アドレスの設定が終了したことを示すアドレス設定終了信号を、通信線32を介してマスタ制御部10に出力する(ステップS30)。アドレス設定終了信号の送信タイミングは、アドレスモードの終了(ステップS28)後であっても良いし、前であっても良い。そしてマスタ制御部10は、アドレス設定終了信号を受信した後、通信線32に出力するアドレスを更新する(ステップS18)
【0056】
本実施例によっても、実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0057】
(実施例3)
実施例3に係る発光装置100は、以下の点を除いて、実施例1又は2に係る発光装置100と同様の構成である。
【0058】
まず、マスタ制御部10は、発光装置100が有する発光モジュール20の数を知っている。そしてマスタ制御部10は、発光装置100が有する発光モジュール20と同数のアドレスを通信線32に出力し終えると、アドレスの設定処理を終了する。
【0059】
本実施例においても、実施例1又は2と同様の効果を得ることができる。
【0060】
(実施例4)
実施例4に係る発光装置100は、光源26の構成を除いて、実施例1〜3に係る発光装置100と同様の構成である。
【0061】
本実施例4において、光源26は、いずれの領域においても発光層208(
図5に図示)が同一の層構造を有している。発光層208は、複数の色を発光するための材料を混ぜることにより、白色の光を発光するように構成されていても良い。また発光層208は、複数の発光層を積層させた構成を有していてもよい。この場合、複数の発光層は、互いに異なる色の光(例えば赤、緑、及び青)である。そして複数の発光層が同時に発光することにより、発光装置は白色に発光する。
【0062】
また、マスタ制御部10が発光制御部24に送信する制御データにおいて、一つの発光モジュール20に対して1バイトを割り当てれば足りる。
【0063】
本実施例においても、実施例1又は2と同様の効果を得ることができる。
【0064】
以上、図面を参照して実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。