(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1フレキシブルプリント配線層は、前記第1端子電極に接続される異方性導電層と、前記異方性導電層上に配置されるフレキシブル導電層と、前記フレキシブル導電層上に配置されるフレキシブル絶縁層とを備えることを特徴とする請求項2に記載の有機EL装置。
前記第2フレキシブルプリント配線層は、前記第2端子電極に接続される異方性導電層と、前記異方性導電層上に配置されるフレキシブル導電層と、前記フレキシブル導電層上に配置されるフレキシブル絶縁層とを備えることを特徴とする請求項2又は3に記載の有機EL装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、図面を参照して、本発明の第1〜第7の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0016】
又、以下に示す第1〜第7の実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0017】
尚、以下の説明において、「フレキシブル」とは、「可暁性を有すること」、或いは「折り曲げられること」を云う。
【0018】
(第1の実施の形態]
(有機EL装置)
本発明の第1の実施の形態に係る有機EL装置2の模式的断面構造は、
図1に示すように表される。
【0019】
第1の実施の形態に係る有機EL装置2は、
図1に示すように、基板フィルム10と、基板フィルム10上に配置された第1電極層12と、第1電極層12上に配置された有機EL層14と、有機EL層14上に配置された第2電極層16と、基板フィルム10上に配置され、第1電極層12に接続された第1端子電極30aと、基板フィルム10上に配置され、第2電極層16に接続された第2端子電極30kと、基板フィルム10上に接着層21を介して配置され、基板フィルム10と同一形状を有する封止フィルム20とを備える。ここで、後述する
図4(c)に示すように、封止フィルム20は基板フィルム10上に端面が面一に配置され、封止フィルム20と基板フィルム10間の応力集中が防止されている。
【0020】
さらに、
図1に示すように、基板フィルム10上には、無機層11が配置されていても良い。無機層11は、例えば、厚さ約50μmの超薄板ガラス、或いは、例えば、シリコン窒化膜などで形成された厚さ約数μmの無機膜などで形成される。
【0021】
基板フィルム10は、光を透過する透明基板として、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネートなどの透明な樹脂を用いてフレキシブル性を持たせることができる。例えば、基板フィルムの厚さは、約100μmである。
【0022】
第1電極層12は、厚さが、例えば、約150〜160nm程度のITO(インジウム−スズ酸化物)の透明電極で形成することができる。また、第1電極層12は、IZO(インジウム−亜鉛酸化物)、ATO(アンチモンースズ酸化物)、或いはPEDOT−PSSで形成することもできる。
【0023】
有機EL層14は、基板フィルム10側から、例えば、正孔輸送層、発光層および電子輸送層が順次積層されている。
【0024】
正孔輸送層は、第1電極層12から注入された正孔を円滑に発光層に輸送するための層であり、例えば、厚さが約60nm程度のNPB(N,N−ジ(ナフタリル)−N,N−ジフェニル−ベンジデン)で形成することができる。
【0025】
電子輸送層は、第2電極層16から注入された電子を円滑に発光層に輸送するための層であり、例えば、厚さが約35nm程度のAlq
3(アルミニウムキノリノール錯体)で形成することができる。
【0026】
発光層は、注入された正孔および電子が再結合して発光するための層であり、例えば、発光種であるクマリン化合物(C545T)が約1%程度ドーピングされ、厚さが約30nm程度のAlq
3で形成することができる。
【0027】
なお、有機EL層14は、上記、正孔輸送層、電子輸送層以外の層、例えば、正孔注入層、電子注入層等を用いて構成しても良い。
【0028】
第2電極層16は、例えば、厚さが約150nm程度で、材質が、例えば、MgAg、或いはアルミニウム(Al)の蒸着膜で形成することができる。なお、後述するトップエミッション構成の場合には、第1電極層12と同様の透明電極で構成する。ここで、第1電極層12、有機EL層14および第2電極層16の積層構造の厚さは、0.3〜1μm程度である。
【0029】
接着層21の材質としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、或いはUV硬化樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネートなどの樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂は、好ましくは、加熱により軟化させた状態において、有機EL層14よりも流動性を有するのがよい。熱可塑性樹脂の粘度は、例えば、加熱により軟化させた状態において、約1×10
4Pa・s(パスカル・セカンド)未満であるのがよい。好ましくは、約1×10〜1×10
4Pa・s程度の範囲であるのがよい。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。また、UV硬化樹脂としては、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
【0030】
また、接着層21としては、素子の封止に高いガスバリア性(10
-6g/m
2day)を有するガスバリア層を適用しても良い。ガスバリア層としては、ポリマー層と無機層を交互に積層した交互積層型構造、分散型ポリマー層構造、ゾルゲル型ポリマー層構造などを適用することができる。接着層21の厚さは、約10μmである。
【0031】
保護膜として機能する封止フィルム20には、PET、PEN、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ステンレススチール(SUS)などを適用することができる。封止フィルム20の厚さは、約50μm〜100μmである。
【0032】
(エミッション構成)
第1の実施の形態に係る有機EL装置2は、
図1に示すように、基板フィルム10が発光面24を有する透明基板で形成され、第2電極層16が金属層で形成されたボトムエミッション構成を備えている。第1の実施の形態に係る有機EL装置2においては、第1電極層12から正孔輸送層を介して発光部に正孔が注入されるとともに、第2電極層16から電子輸送層を介して発光部に電子が注入される。発光部に注入された正孔と電子とが再結合することによって、光を発光する。発光された光は、基板フィルム10を介して基板フィルム10の発光面24から外部に出射される。
【0033】
また、第1の実施の形態に係る有機EL装置1は、基板フィルム10が透明基板で形成され、第1電極層12および第2電極層16が透明電極で形成されたトップエミッションおよびボトムエミッション構成を備えていても良い。ここで、基板フィルム10は、例えば、プラスチック基板で形成され、第1電極層12および第2電極層16は、例えば、ITOで形成され、封止フィルム20は、例えば、プラスチック基板などで形成される。
【0034】
また、第1の実施の形態に係る有機EL装置2は、基板フィルム10が不透明基板で形成され、第1電極層12が金属層で形成され、第2電極層16は透明電極で形成されたトップエミッション構成を備えていても良い。ここで、基板フィルム10は、例えば、表面に絶縁層を有したステンレスフィルムで形成され、第1電極層12は、例えば、アルミニウム蒸着膜で形成され、第2電極層16は、例えば、ITOで形成され、封止フィルム20は、例えば、プラスチック基板などで形成される。
【0035】
第1の実施の形態に係る有機EL装置において、端子部を封止フィルム20が被覆していない状態の模式的鳥瞰構造は、
図2(a)に示すように表され、
図2(a)のI−I線に沿う模式的断面構造は、
図2(b)に示すように表される。
【0036】
また、
図2(a)に示された有機EL装置2を曲面形状に湾曲させた状態を示す模式的断面構造は、
図3(a)に示すように表され、
図3(a)の発光部近傍の拡大された模式的断面構造は、
図3(b)に示すように表され、
図3(a)の端子部近傍の拡大された模式的断面構造は、
図3(c)に示すように表される。
【0037】
発光面24を凹に曲げたとき、丸印Aで表される発光部の応力は、
図3(b)に示すように、無機層11の略中央部に中心面L1―L1を有し、封止フィルム20内では、中心面L1―L1に平行に、伸びる応力E1、E2が発生し、基板フィルム10内では、中心面L1―L1に平行に、圧縮する方向に応力C1、C2が発生している。応力E1、E2、C1、C2の大きさは、中心面L1―L1からの距離が遠いほど大きくなる。
【0038】
一方、
図3(a)において丸印Bで表される端子部の応力は、
図3(c)に示すように、無機層11の略中央部からずれた位置に中心面L2―L2を有し、封止フィルム表面では、中心面L2―L2に平行に、伸びる応力F1、F2が発生し、基板フィルム10内では、中心面L2―L2に平行に、圧縮する方向に応力G1、G2が発生している。同様に、応力F1、F2、G1、G2の大きさは、中心面L2―L2からの距離が遠いほど大きくなる。
【0039】
このように応力の中心面は、丸印Aで表される発光部と丸印Bで表される端子部において大きくずれているため、
図3(a)に示すように、封止フィルム20と基板フィルム10の段差部において、大きな引っ張り応力D1、D2が無機層11に加わる。有機EL装置2を曲げた時に、封止フィルム20と基板フィルム10の段差部に応力が集中する。
【0040】
第1の実施の形態に係る有機EL装置2において、封止フィルム20の模式的鳥瞰構造は、
図4(a)に示すように表され、基板フィルム10の模式的鳥瞰構造は、
図4(b)に示すように表され、封止フィルム20と基板フィルム10を貼り合せた状態の模式的鳥瞰構造は、
図4(c)に示すように表される。
【0041】
また、
図4(c)のII−II線に沿う模式的断面構造は、
図5に示すように表される。
【0042】
第1の実施の形態に係る有機EL装置2は、
図4に示すように、端子電極30a上の封止フィルム20に開口された開口部32aと、端子電極30k上の封止フィルム20に開口された開口部32kとを備える。
【0043】
第1の実施の形態に係る有機EL装置2は、
図4(c)に示すように、基板フィルム10上に接着層21を介して基板フィルム10と同一形状で、端子電極30a、30k上にのみ開口部32a、32kを有する封止フィルム20が配置されている。しかも、封止フィルム20は基板フィルム10上に端面が、H−Hで示すように、面一に配置されており、封止フィルム20と基板フィルム10の接続端面に段差構造がないため、封止フィルム20と基板フィルム10間の応力集中が防止されている。
【0044】
また、第1の実施の形態に係る有機EL装置2は、
図5に示すように、開口部32aに埋め込まれて端子電極30aに接続され、かつ封止フィルム20上に引き出された引き出し配線層40aとを備えていても良い。図示は省略されているが、開口部32kに埋め込まれて端子電極30kに接続され、かつ封止フィルム20上に引き出された引き出し配線層とを備えていても良い。このような引き出し配線層40aの材料としては、例えば、スパッタリング技術、真空蒸着技術などを用いて形成された金属膜、或いは、はんだ材、Agペーストなどを用いることができる。
【0045】
(製造方法)
第1の実施の形態に係る有機EL装置2の製造方法は、
図1および
図4〜
図5に示すように、基板フィルム10上に第1電極層12を形成する工程と、第1電極層12上に有機EL層14を形成する工程と、有機EL層14上に第2電極層16を形成する工程と、基板フィルム10上に、第1電極層12に接続された第1端子電極30aを形成する工程と、基板フィルム10上に、第2電極層16に接続された第2端子電極30kを形成する工程と、基板フィルム10上に接着層21を介して、基板フィルム10と同一の形状で、予め開口部32aおよび開口部32kを有する封止フィルム20を接着する工程とを有する。
【0046】
さらに、
図5に示すように、開口部32aに埋め込まれ、第1端子電極30aに接続され、かつ封止フィルム20上に引き出された第1引き出し配線層40aを形成する工程を備えていても良い。
【0047】
第1の実施の形態によれば、端子電極上にのみ開口部を有するため、基板フィルムと封止フィルムとの折り曲げた時に発生する応力集中を防止し、信頼性の向上した有機EL装置を提供することができる。
【0048】
(第2の実施の形態)
(有機EL装置)
第2の実施の形態に係る有機EL装置2において、封止フィルム20の模式的鳥瞰構造は、
図6(a)に示すように表され、基板フィルム10の模式的鳥瞰構造は、
図6(b)に示すように表され、封止フィルム20と基板フィルム10を貼り合せた状態の模式的鳥瞰構造は、
図6(c)に示すように表される。
【0049】
また、
図6のIII−III線に沿う模式的断面構造は、
図7に示すように表される。
【0050】
第2の実施の形態に係る有機EL装置2は、
図6〜
図7に示すように、第1端子電極30a上の封止フィルム20に開口された第1開口端31aと、第2端子電極30k上の封止フィルム20に開口された第2開口端31kとを備える。
【0051】
また、第2の実施の形態に係る有機EL装置2は、
図7に示すように、第1開口端31aに配置され、第1端子電極30aに接続された第1フレキシブルプリント配線層42aと、図示は省略されているが、第2開口端31kに配置され、第2端子電極30kに接続された第2フレキシブルプリント配線層とを備える。
【0052】
第2の実施の形態に係る有機EL装置2は、
図6(c)に示すように、基板フィルム10上に接着層21を介して基板フィルム10と同一形状で、端子電極上にのみ開口端を有する封止フィルム20が配置されている。しかも、封止フィルム20は基板フィルム10上に端面が、面一に配置されており、封止フィルム20と基板フィルム10の接続端面には、開口端31a、31kを除き、段差構造がないため、封止フィルム20と基板フィルム10間の応力集中が防止されている。
【0053】
第1フレキシブルプリント配線層42aは、
図7に示すように、第1端子電極30aに接続される異方性導電層44aと、異方性導電層44a上に配置されるフレキシブル導電層46aと、フレキシブル導電層46a上に配置されるフレキシブル絶縁層48aとを備える。
【0054】
ここで、異方性導電層44aは、例えば、ACFなどで形成される。フレキシブル導電層46aは、例えば、銅(Cu)箔などで形成される。フレキシブル絶縁層48aは、例えば、ポリイミドなどで形成可能である。
【0055】
その他の構成は、第1の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。第2の実施の形態に係る有機EL装置2の発光部の構成は、
図1の模式的断面構造と同様である。
【0056】
(製造方法)
第2の実施の形態に係る有機EL装置2の製造方法は、
図6〜
図7および
図1に示すように、基板フィルム10上に第1電極層12を形成する工程と、第1電極層12上に有機EL層14を形成する工程と、有機EL層14上に第2電極層16を形成する工程と、基板フィルム10上に、第1電極層12に接続された第1端子電極30aを形成する工程と、基板フィルム10上に、第2電極層16に接続された第2端子電極30kを形成する工程と、基板フィルム10上に接着層21を介して、基板フィルム10と同一の形状で、予め第1開口端31aおよび第2開口端31kを形成した封止フィルム20を接着する工程とを有する。
【0057】
さらに、
図6(c)および
図7に示すように、第1開口端31aに、第1端子電極30aに接続されたフレキシブルプリント配線層を42a形成する工程を有する。
【0058】
第2の実施の形態によれば、端子電極30a、30k上にのみ開口端31a、31kを有するため、基板フィルムと封止フィルムとの折り曲げた時に発生する応力集中を防止し、信頼性の向上した有機EL装置を提供することができる。
【0059】
(第3の実施の形態)
(有機EL装置)
第3の実施の形態に係る有機EL装置において、封止フィルム20の模式的鳥瞰構造は、
図8(a)に示すように表され、基板フィルム10の模式的鳥瞰構造は、
図8(b)に示すように表され、封止フィルム20と基板フィルム10を貼り合せた状態の模式的鳥瞰構造は、
図8(c)に示すように表される。
【0060】
さらに、レーザトリミング技術によって、封止フィルム20に対して開口部32aおよび開口部32kを形成した状態の模式的鳥瞰構造は、
図8(d)に示すように表され、同様に、レーザトリミング技術によって、封止フィルム20に対して開口端31aおよび開口端31kを形成した状態の模式的鳥瞰構造は、
図8(e)に示すように表される。
【0061】
第3の実施の形態に係る有機EL装置2の発光部の構成は、
図1の模式的断面構造と同様である。
【0062】
第3の実施の形態に係る有機EL装置2は、製造方法が異なるのみで、最終的な構造は、第1の実施の形態、或いは第2の実施の形態に係る有機EL装置2と同様である。
【0063】
(製造方法)
第1の実施の形態においては、予め封止フィルム20の開口部32a、32kを加工しており、第2の実施の形態においては、予め、開口端31a、31kの封止フィルム20を加工している。これに対して、第3の実施の形態においては、封止フィルム20と基板フィルム10を貼付け後に開口部32a、32k或いは開口端31a、31kを加工している。
【0064】
第3の実施の形態に係る有機EL装置2の製造方法は、
図8および
図1に示すように、基板フィルム10上に第1電極層12を形成する工程と、第1電極層12上に有機EL層14を形成する工程と、有機EL層14上に第2電極層16を形成する工程と、基板フィルム10上に、第1電極層12に接続された第1端子電極30aを形成する工程と、基板フィルム10上に、第2電極層16に接続された第2端子電極30kを形成する工程と、基板フィルム10上に接着層21を介して、基板フィルム10と同一の形状の封止フィルム20を接着する工程とを有する。
【0065】
さらに、
図8(d)に示すように、レーザトリミング技術によって、第1端子電極上の封止フィルムに第1開口部を形成する工程を有する。また、レーザトリミング技術によって、第2端子電極上の封止フィルムに第2開口部を形成する工程を有していても良い。
【0066】
或いは、レーザトリミング技術によって、第1端子電極上の封止フィルムに第1開口端を形成する工程を有していても良い。また、レーザトリミング技術によって、第2端子電極上の封止フィルムに第2開口端を形成する工程を有していても良い。
【0067】
第3の実施の形態によれば、端子電極30a、30k上にのみ開口部32a、32k若しくは開口端31a、31kを有するため、基板フィルムと封止フィルムとの折り曲げた時に発生する応力集中を防止し、信頼性の向上した有機EL装置を提供することができる。
【0068】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態に係る有機EL装置2において、封止フィルム20の模式的鳥瞰構造は、
図9(a)に示すように表され、基板フィルム10の模式的鳥瞰構造は、
図9(b)に示すように表される。また、
図9(b)のIV−IV線に沿う模式的断面構造は、
図10に示すように表される。
【0069】
第4の実施の形態に係る有機EL装置2は、
図10に示すように、端子電極30に接続されたフレキシブルプリント配線層50を封止フィルム20と基板フィルム10で上下から挟み込み、接着層21で固定した固体封止構造を備える。
【0070】
第4の実施の形態に係る有機EL装置2は、
図10に示すように、基板フィルム10上に接着層21を介して基板フィルム10と同一形状の封止フィルム20が配置されている。しかも、封止フィルム20は基板フィルム10上に端面が、面一に配置されており、封止フィルム20と基板フィルム10の接続端面には、段差構造がないため、封止フィルム20と基板フィルム10間の応力集中が防止されている。
【0071】
その他の構成は、第1の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。第4の実施の形態に係る有機EL装置2の発光部の構成は、
図1の模式的断面構造と同様である。
【0072】
第4の実施の形態に係る有機EL装置2は、
図9〜
図10の示すように、基板フィルム10と、基板フィルム10上に配置された第1電極層12と、第1電極層12上に配置された有機EL層14と、有機EL層14上に配置された第2電極層16と、基板フィルム10上に配置され、第1電極層12に接続された端子電極30と、端子電極30に接続されたフレキシブルプリント配線層50と、基板フィルム10、フレキシブルプリント配線層50上に接着層21を介して配置され、基板フィルム10と同一形状を有する封止フィルム20とを備える。
【0073】
また、第4の実施の形態に係る有機EL装置2において、フレキシブルプリント配線層50は、第1端子電極30に接続される異方性導電層54と、異方性導電層54上に配置されるフレキシブル導電層56と、フレキシブル導電層56上に配置されるフレキシブル絶縁層58とを備える。
【0074】
(製造方法)
第4の実施の形態に係る有機EL装置2の製造方法は、
図9〜
図10および
図1に示すように、基板フィルム10上に第1電極層12を形成する工程と、第1電極層12上に有機EL層14を形成する工程と、有機EL層14上に第2電極層16を形成する工程と、基板フィルム10上に、第1電極層12に接続された端子電極30を形成する工程と、端子電極30上に端子電極30に接続されたフレキシブルプリント配線層50を形成する工程と、基板フィルム10およびフレキシブルプリント配線層50上に接着層21を介して、基板フィルム10と同一形状を有する封止フィルム20を形成する工程とを有する。
【0075】
また、第4の実施の形態に係る有機EL装置2の製造方法において、第1フレキシブルプリント配線層50を形成する工程は、端子電極30上に異方性導電層54を形成する工程と、異方性導電層54上にフレキシブル導電層56を形成する工程と、フレキシブル導電層56上にフレキシブル絶縁層58を形成する工程とを有する。
【0076】
ここで、異方性導電層54は、例えば、ACFなどで形成される。フレキシブル導電層56は、例えば、銅(Cu)箔などで形成される。フレキシブル絶縁層58は、例えば、ポリイミドなどで形成可能である。
【0077】
(変形例)
第4の実施の形態の変形例に係る有機EL装置2の模式的断面構造は、
図11に示すように、封止フィルム20と基板フィルム10の端面に配置され、フレキシブル導電層56と接続された端面電極層60を備えていても良い。
【0078】
また、
図11に示すように、端面電極層60は、封止フィルム20上に延在されていても良い。
【0079】
第4の実施の形態およびその変形例によれば、封止フィルム20と基板フィルム10の接続端面には、段差構造がないため、基板フィルム10と封止フィルム20との折り曲げた時に発生する応力集中を防止し、信頼性の向上した有機EL装置を提供することができる。
【0080】
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態に係る有機EL装置4であって、表面型静電容量方式タッチパネルを備える有機EL装置4の模式的断面構造は、
図12に示すように表される。
【0081】
第5の実施の形態に係る有機EL装置4において、有機EL装置部は第1の実施の形態と同様の有機EL装置で構成され、封止フィルム20は、基板フィルム10上に端面が面一に配置され、封止フィルム20と基板フィルム10間の応力集中が防止される点は、第1の実施の形態と同様である。
【0082】
また、表面型静電容量方式タッチパネル部は、基板フィルム10の発光面上に配置された透明電極66と、透明電極66上に粘着層68を介して配置された接触層70とを備える。
【0083】
接触層70には、カバーガラス若しくはPETフィルムを用いることができる。
【0084】
第5の実施の形態に係る有機EL装置4は、タッチパネルユニットの四隅にセンサ(図示省略)が設けられており、接触層70の発光面25に接触手段72により接触すると、接触手段72によるシングルタッチをセンシングすることができる。
【0085】
なお、第2〜第4の実施の形態に係る有機EL装置を用いても、表面型静電容量方式タッチパネルを備える有機EL装置4を構成することができる。
【0086】
第5の実施の形態に係る有機EL装置4は、基板フィルム10と封止フィルム20との折り曲げた時に発生する応力集中を防止し、信頼性の向上した、表面型静電容量方式タッチパネルを備える有機EL装置を提供することができる。
【0087】
(第6の実施の形態)
第6の実施の形態に係る有機EL装置4であって、投影型静電容量方式タッチパネルを備える有機EL装置4の模式的断面構造は、
図13に示すように表される。
【0088】
第6の実施の形態に係る有機EL装置4において、有機EL装置部は第1の実施の形態と同様の固体封止構成の有機EL装置で構成され、封止フィルム20は、基板フィルム10上に端面が面一に配置され、封止フィルム20と基板フィルム10間の応力集中が防止される点は、第1の実施の形態と同様である。
【0089】
また、投影型静電容量方式タッチパネル部は、基板フィルム10の発光面上に粘着層68aを介して配置された透明電極66aと、透明電極66a上に配置された支持基板64と、支持基板64上に配置された透明電極66bと、透明電極66b上に粘着層68bを介して配置された接触層70とを備える。
【0090】
支持基板64には、ガラスまたはPC板を適用することができる。接触層70には、カバーガラス若しくはPETフィルムを用いることができる。
【0091】
第6の実施の形態に係る有機EL装置4は、上下2枚の透明電極66b,66aがパターンを組んで構成され、接触層70の発光面25に接触手段72により接触すると、接触手段72によるマルチタッチをセンシングすることができる。
【0092】
なお、第2〜第4の実施の形態に係る有機EL装置を用いても、表面型静電容量方式タッチパネルを備える有機EL装置4を構成することができる。
【0093】
第6の実施の形態に係る有機EL装置4は、基板フィルム10と封止フィルム20との折り曲げた時に発生する応力集中を防止し、信頼性の向上した、投影型静電容量方式タッチパネルを備える有機EL装置を提供することができる。
【0094】
(第7の実施の形態)
第7の実施の形態に係る有機EL装置4であって、抵抗膜方式タッチパネルを備える有機EL装置4の模式的断面構造は、
図14に示すように表される。
【0095】
第7の実施の形態に係る有機EL装置4において、有機EL装置部は第1の実施の形態と同様の固体封止構成の有機EL装置で構成され、封止フィルム20は、基板フィルム10上に端面が面一に配置され、封止フィルム20と基板フィルム10間の応力集中が防止される点は、第1の実施の形態と同様である。
【0096】
また、抵抗膜方式タッチパネル部は、基板フィルム10の発光面上に粘着層68aを介して配置された下部電極板74と、下部電極板74上に配置された透明電極66aと、透明電極66a上に配置されたスペーサ76と、スペーサ76上に離隔され、かつ透明電極66a上に貼り合せ剤78を介して配置された透明電極66bと、透明電極66b上に配置された上部電極板80と、上部電極板80上に粘着層68bを介して配置された接触層70とを備える。
【0097】
下部電極板74および上部電極板80には、PETフィルムまたはガラスを適用することができる。接触層70には、カバーガラス若しくはPETフィルムを用いることができる。
【0098】
第7の実施の形態に係る有機EL装置4は、上下2枚の透明電極66b,66aがパターンを組んで構成され、接触層70の発光面25に接触手段72により接触すると、接触手段72によるタッチを抵抗膜の抵抗値によりセンシングすることができる。
【0099】
なお、第2〜第4の実施の形態に係る有機EL装置を用いても、抵抗膜方式タッチパネルを備える有機EL装置4を構成することができる。
【0100】
第7の実施の形態に係る有機EL装置4によれば、基板フィルム10と封止フィルム20との折り曲げた時に発生する応力集中を防止し、信頼性の向上した、抵抗膜方式タッチパネルを備える有機EL装置を提供することができる。
【0101】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は第1〜第7の実施の形態、および第4の実施の形態の変形例によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0102】
第1〜第7の実施の形態、および第4の実施の形態の変形例においては、四角形を基本パターンとする平面構造の有機ELパネルについて主として開示したが、これらに限定されるものではなく、有機ELパネル本体は、円筒構造、球体構造、フラーレン構造などであっても良い。また、有機ELパネルの基本パターンも四角形に限定されるものではなく、5角形、6角形、多角形、円形、楕円形、若しくはこれらの組み合わせパターンなどであっても良い。また、有機ELパネルは、ペンローズタイルのようなパターン構造として、配置されていても良い。
【0103】
また、第1〜第7の実施の形態、および第4の実施の形態の変形例においては、主として、第1電極層12を有機EL層のアノードに接続された透明電極、第2電極層16を有機EL層のカソードに接続された金属電極で形成する例を説明したが、第1電極層12と第2電極層の役割を反対にしても良い。
【0104】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。