(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043837
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】OFDMシンボルを同期化する方法
(51)【国際特許分類】
H04J 11/00 20060101AFI20161206BHJP
【FI】
H04J11/00 Z
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-111647(P2015-111647)
(22)【出願日】2015年6月1日
(65)【公開番号】特開2016-158228(P2016-158228A)
(43)【公開日】2016年9月1日
【審査請求日】2015年6月1日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0026778
(32)【優先日】2015年2月25日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514296559
【氏名又は名称】エフシーアイ インク
【氏名又は名称原語表記】FCI INC
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】バン ジェジュン
【審査官】
吉江 一明
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2004/0161046(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0004933(US,A1)
【文献】
特開平11−112460(JP,A)
【文献】
特開2001−333041(JP,A)
【文献】
特開2010−103908(JP,A)
【文献】
特表2006−522553(JP,A)
【文献】
特開2007−221743(JP,A)
【文献】
特表2009−517964(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04J 11/00
IEEE Xplore
CiNii
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速フーリエ変換または復調した複数のOFDMシンボル(以下、「複数の供給OFDMシンボル」と略称する)を受信するステップ;
高速フーリエ変換過程を経る第1の入力OFDMシンボルであるか、それとも精密周波数同期化過程を経る第2の入力OFDMシンボルであるかを区分するステップ;及び
前記複数の供給OFDMシンボルを用いて前記第1の入力OFDMシンボルであるか、それとも前記第2の入力OFDMシンボルであるかによって互いに異なる形に前記第1または第2の入力OFDMシンボルの保護区間を設定するステップ;
を含むことを特徴とするOFDMシンボル時間同期化方法。
【請求項2】
前記保護区間は、
前記保護区間の長さが既に設定されていることを特徴とする、請求項1に記載のOFDMシンボル時間同期化方法。
【請求項3】
前記第1または第2の入力OFDMシンボルの保護区間を設定するステップは、
前記第1または第2の入力OFDMシンボルの保護区間を前記複数の供給OFDMシンボルのチャンネルインパルス応答(Channel Impulse Response、CIR)を用いて設定することを特徴とする、請求項1に記載のOFDMシンボル時間同期化方法。
【請求項4】
前記第1の入力OFDMシンボルの保護区間は、
前記複数の供給OFDMシンボルのチャンネルの構成成分のパワーを最大に含むように設定されることを特徴とする、請求項2または3に記載のOFDMシンボル時間同期化方法。
【請求項5】
前記第1の入力OFDMシンボルの保護区間は、
前記複数の供給OFDMシンボルのチャンネルの構成成分のパワーを最大に含むために、前記保護区間の既に設定された長さの間に存在する複数の供給OFDMシンボルのチャンネルインパルス応答の和が最大になるように設定されることを特徴とする、請求項4に記載のOFDMシンボル時間同期化方法。
【請求項6】
前記第2の入力OFDMシンボルの保護区間は、
前記第2の入力OFDMシンボルの保護区間及び前記第2の入力OFDMシンボルのシンボル内に存在する第2の入力OFDMシンボルの保護区間と同一の区間(以下、「シンボル内の保護区間と同一の区間」と略称する)の相関関係が最大になるように設定されることを特徴とする、請求項2または3に記載のOFDMシンボル時間同期化方法。
【請求項7】
前記第2の入力OFDMシンボルの保護区間は、
前記第2の入力OFDMシンボルの保護区間及び前記シンボル内の保護区間と同一の区間の相関関係が最大になるように、前記複数の供給OFDMシンボルのうちチャンネルインパルス応答が最大のパワーを有するいずれか一つの供給OFDMシンボルの時点を前記第2の入力OFDMシンボルの保護区間の起点として設定されることを特徴とする、請求項6に記載のOFDMシンボル時間同期化方法。
【請求項8】
前記第2の入力OFDMシンボルの保護区間は、
前記第2の入力OFDMシンボルの保護区間及び前記シンボル内の保護区間と同一の区間の相関関係が最大になるように、相関関係指標に基づいて設定されることを特徴とする、請求項6に記載のOFDMシンボル時間同期化方法。
【請求項9】
前記相関関係指標は、
前記相関関係指標の数値が前記複数の供給OFDMシンボルのそれぞれのチャンネルインパルス応答時点で前記複数の供給OFDMシンボルのそれぞれのチャンネルインパルス応答のパワーのサイズに対応し、前記複数の供給OFDMシンボルのそれぞれのチャンネルインパルス応答時点の前後に算術級数的に減少することを特徴とする、請求項8に記載のOFDMシンボル時間同期化方法。
【請求項10】
前記第2の入力OFDMシンボルの保護区間は、
前記相関関係指標の各数値の和が最大になる時点を起点として設定されることを特徴とする、請求項9に記載のOFDMシンボル時間同期化方法。
【請求項11】
精密周波数変換過程に入力されるOFDMシンボルを精密時間同期化する方法において、
高速フーリエ変換または復調した複数のOFDMシンボル(以下、「複数の供給OFDMシンボル」と略称する)を受信するステップ;
前記複数の供給OFDMシンボルのそれぞれのチャンネルインパルス応答のパワーを把握するステップ;及び
前記複数の供給OFDMシンボルのうちチャンネルインパルス応答が最大のパワーを有するいずれか一つの供給OFDMシンボルの時点を精密周波数変換過程に入力されるOFDMシンボルの保護区間の起点として設定するステップ;
を含むことを特徴とするOFDMシンボル精密時間同期化方法。
【請求項12】
精密周波数変換過程に入力されるOFDMシンボルを時間同期化する方法において、
高速フーリエ変換または復調した複数のOFDMシンボル(以下、「複数の供給OFDMシンボル」と略称する)を受信するステップ;
前記複数の供給OFDMシンボルのそれぞれのチャンネルインパルス応答のパワーを把握するステップ;
前記複数の供給OFDMシンボルのそれぞれのチャンネルインパルス応答時点で前記複数の供給OFDMシンボルのそれぞれのチャンネルインパルス応答のパワーのサイズに対応し、前記複数の供給OFDMシンボルのそれぞれのチャンネルインパルス応答時点の前後に算術級数的に減少する数値を有する相関関係指標(以下、「相関関係指標」と略称する)を獲得するステップ;及び
前記相関関係指標の各数値の和が最大になる時点を、精密周波数変換過程に入力されるOFDMシンボルの保護区間の起点として設定するステップ;
を含むことを特徴とするOFDMシンボル精密時間同期化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施例は、OFDMシステムにおいて、OFDMシンボルを時間同期化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この部分に記述した内容は、単純に本実施例に対する背景情報を提供するものに過ぎず、従来技術を構成するものではない。
【0003】
図1は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)システムで送受信されるOFDMシンボルを示した図である。
【0004】
OFDMシンボル110は、CP(Cyclic Prefix)120及びシンボル130を含む。
【0005】
CP120は、シンボル130の前に位置する保護区間(Guard Interval、GI)に該当する。通常、OFDMシンボルがOFDM送信機からOFDM受信機に伝達される場合、一つ以上のチャンネルを用いて複数のOFDMシンボルが伝送される。複数のOFDMシンボルが伝送される場合において、それぞれのOFDMシンボルに保護区間が全くない状態で複数のOFDMシンボルが相次いで伝送されると、OFDMシンボル間、特に、OFDMシンボル内のシンボル間に干渉(Inter Symbol Interference、ISI)が発生するようになる。したがって、このような干渉を防止するために、CP120は、シンボル130の前に位置するようになる。CP120は、CPと同一の長さを有するシンボルの端部140と同一のデータを有する。
【0006】
シンボル130は、伝送しようとするデータを含んでいる部分に該当する。
【0007】
OFDM受信機は、OFDM送信機から伝送されたOFDMシンボルを受信する。OFDM受信機は、受信したOFDMシンボルを高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform、FFT)し、高速フーリエ変換されたデータを復調することによって所望のデータを抽出する。ただし、OFDMシンボルが伝送される過程のドップラー効果により、または、OFDM受信機がOFDMシンボルを受信して高速フーリエ変換する過程で周波数オフセットが発生するので、OFDM受信機は、高速フーリエ変換によって変換されたデータを復調する過程とは別途に、受信したOFDMシンボルの周波数同期化(Frequency Synchronization)を用いて、発生した周波数オフセットを除去する。
【0008】
OFDM受信機は、時間同期化(Time Synchronization)を用いることによって、受信したOFDMシンボルのCPとシンボルとの境界を把握する。しかし、従来のOFDM受信機は、OFDMシンボルが高速フーリエ変換されるOFDMシンボルであるか、それとも、周波数オフセットを除去するために周波数同期化されるOFDMシンボルであるかを考慮することなく、高速フーリエ変換されるOFDMシンボルのようにOFDMシンボルを時間同期化してきた。これにより、特に、マルチパス(Multipath)環境で周波数同期化を通じて周波数オフセットを除去する際に、予想した結果と多くの誤差を有するようになるという問題が発生した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本実施例は、OFDM受信機内でOFDMシンボルが高速フーリエ変換されるOFDMシンボルであるか、それとも精密周波数同期化されるOFDMシンボルであるかによって互いに異なる方式で時間同期化する方法を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本実施例の一側面によると、OFDM(Othogonal Frequency Division Multiplexing、直交周波数多重分割)送信機から受信し、高速フーリエ変換または変調した複数のOFDMシンボル(以下、「複数の供給OFDMシンボル」と略称する)を受信するステップと、前記複数の供給OFDMシンボルを用いて前記高速フーリエ変換過程を経る第1の入力OFDMシンボルであるか、それとも精密周波数同期化(Fine Frequency Synchronization)過程を経る第2の入力OFDMシンボルであるかによって互いに異なる形に前記第1及び第2の入力OFDMシンボルの保護区間を設定するステップとを含むことを特徴とするOFDMシンボル時間同期化方法を提供する。
【0011】
本実施例の他の一側面によると、精密周波数変換過程に入力されるOFDMシンボルを精密時間同期化する方法において、高速フーリエ変換または復調した複数のOFDMシンボル(以下、「複数の供給OFDMシンボル」と略称する)を受信するステップと、前記複数の供給OFDMシンボルのそれぞれのチャンネルインパルス応答のパワーを把握するステップと、前記複数の供給OFDMシンボルのうちチャンネルインパルス応答が最大のパワーを有するいずれか一つの供給OFDMシンボルの時点を、精密周波数変換過程に入力されるOFDMシンボルの保護区間の起点として設定するステップとを含むことを特徴とするOFDMシンボル精密時間同期化方法を提供する。
【0012】
また、本実施例の他の一側面によると、精密周波数変換過程に入力されるOFDMシンボルを時間同期化する方法において、高速フーリエ変換または復調した複数のOFDMシンボル(以下、「複数の供給OFDMシンボル」と略称する)を受信するステップと、前記複数の供給OFDMシンボルのそれぞれのチャンネルインパルス応答のパワーを把握するステップと、前記複数の供給OFDMシンボルのそれぞれのチャンネルインパルス応答時点で前記複数の供給OFDMシンボルのそれぞれのチャンネルインパルス応答のパワーのサイズに対応し、前記複数の供給OFDMシンボルのそれぞれのチャンネルインパルス応答時点の前後に算術級数的に減少する数値を有する相関関係指標(以下、「相関関係指標」と略称する)を獲得するステップと、前記相関関係指標の各数値の和が最大になる時点を、精密周波数変換過程に入力されるOFDMシンボルの保護区間の起点として設定するステップとを含むことを特徴とするOFDMシンボル精密時間同期化方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本実施例の一側面によると、高速フーリエ変換されるOFDMシンボルであるか、それとも精密周波数同期化されるOFDMシンボルあるかによって互いに異なる方式で時間同期化を行うので、OFDMシンボルが高速フーリエ変換または精密周波数同期化されたとしても、誤差を最大限減少する結果を有するという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】OFDMシステムで送受信されるOFDMシンボルを示した図である。
【
図2】本発明の一実施例に係るOFDM受信機を示したブロック図である。
【
図3a】本発明の一実施例に係る高速フーリエ変換されるOFDMシンボルを時間同期化する方法を図式化したタイミングダイヤグラムである。
【
図3b】本発明の一実施例に係る精密周波数同期化されるOFDMシンボルを時間同期化する方法を図式化したタイミングダイヤグラムである。
【
図4】本発明の他の一実施例に係る精密周波数同期化されるOFDMシンボルを時間同期化する方法を図式化したタイミングダイヤグラムである。
【
図5】本発明の一実施例に係る時間同期化方法を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一部の実施例を例示的な図面を通じて詳細に説明する。各図面の各構成要素に参照符号を付加するにおいて、同一の構成要素に対しては、たとえ他の図面上に表示されたとしても、可能な限り同一の符号を付与していることに留意しなければならない。また、本発明を説明するにおいて、関連する公知の構成または機能に対する具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にすると判断される場合は、それについての詳細な説明は省略する。
【0016】
また、本発明の構成要素を説明するにおいて、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって該当の構成要素の本質や順番または順序などが限定されることはない。明細書全体において、いずれかの部分がいずれかの構成要素を「含む」、「備える」としたとき、これは、特別に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことを意味する。また、明細書に記載した「...部」、「モジュール」などの用語は、少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を意味し、これは、ハードウェアやソフトウェアまたはハードウェアとソフトウェアとの結合で具現することができる。
【0017】
図2は、本発明の一実施例によるOFDM受信機を示したブロック図である。
【0018】
図2を参照すると、本発明の一実施例に係るOFDM受信機は、RF部210、ADC部220、デジタルフロントエンド部230、大略時間同期化部240、保護区間除去部250、精密周波数同期化部260、高速フーリエ変換部270、精密時間同期化部280及びその他の復号化部290を含む。
【0019】
RF部210は、OFDM送信機から受信したRF信号をアナログベースバンドベースバンド(Baseband)信号に変換する役割をする。
【0020】
ADC部220は、RF部で変換されたアナログベースバンド信号をデジタルベースバンド信号に変換する役割をする。
【0021】
デジタルフロントエンド(Digital Front End)部230は、多様な機能を行うが、具体的には、自動利得制御(Automatic Gain Control、AGC)、DCオフセット除去、IQ不整合(Imbalance)補償、隣接チャンネル干渉(Adjacent Channel Interference、ACI)または同一チャンネル干渉(Co―channel Interference、CCI)除去、キャリア周波数エラー補償、サンプリング周波数エラー補償などの機能を行うことができる。
【0022】
大略時間同期化(Coarse Symbol Time Synchronization)部240は、デジタルフロントエンド部から複数のOFDMシンボルを受信する場合、大略的にそれぞれのフレームの開始位置を確認する役割をする。このとき、精密に確認するステップではないので、多くの時間誤差が発生する。
【0023】
保護区間除去部250は、大略時間同期化部または精密時間同期化部から受信したOFDMシンボル内に保護区間として存在するCPを除去する役割をする。
【0024】
精密周波数同期化部260は、精密周波数同期化過程を用いて周波数オフセットを除去する役割をする。フーリエ変換やドップラー効果によって周波数オフセットが発生するが、このような周波数オフセットは、高速フーリエ変換後に隣接チャンネル干渉(Inter Channel Interference)を誘発するので、これを除去する必要がある。精密周波数同期化部は、精密周波数同期化過程を経てこのような周波数オフセットを除去する。
【0025】
高速フーリエ変換部270は、保護区間除去部から保護区間が除去されたOFDMシンボル内のシンボルを受信し、これを高速フーリエ変換する役割をする。
【0026】
精密時間同期化(Fine Time Synchronization)部280は、高速フーリエ変換部またはその他の復号化部から互いに異なるパス(Path)を通じて受信された複数のOFDMシンボルを受信し、時間同期化を行った後、保護区間除去部に入力OFDMシンボルを出力する。精密時間同期化部は、受信した複数のOFDMシンボルを用いて保護区間とシンボルとの境界が区分された入力OFDMシンボルを出力する。ただし、精密時間同期化部は、入力OFDMシンボルが保護区間除去部を経て高速フーリエ変換部に入力されるか、それとも精密周波数変換部に入力されるかによってそれぞれ異なる方式で保護区間とシンボルとの境界を区分する。これについての具体的な説明は、
図2及び
図3を参照して説明する。
【0027】
その他の復号化部290は、高速フーリエ変換部によってフーリエ変換されたデータを復号化し、所望のデータを出力する役割をする。
【0028】
以下では、本発明の一実施例に係るOFDM受信機が作動する方式を概略的に説明する。
【0029】
OFDM送信機から最初にOFDMシンボルを受信する場合は、従来のOFDM受信機と同一に作動する。OFDM送信機から受信した信号をアナログ信号に変換した後、これを再びデジタル信号に変換する。このように変換されたOFDMシンボルを大略信号同期化し、それぞれのフレームを区分した後、保護区間を除去する。このように保護区間が除去されたOFDMシンボルは、特別に区分されることなく高速フーリエ変換部と精密周波数同期化部に同一に入力される。精密周波数同期化部にOFDMシンボルが入力される場合、周波数同期化過程を経てデジタルフロントエンド部で周波数エラーを補償する過程を経るようになる。高速フーリエ変換部にOFDMシンボルが入力されてフーリエ変換された後、その他の復号化部で復号化を経ることによって所望のデータを獲得する。復号化部で復号化過程を経たOFDMシンボルは、再びデジタルフロントエンド部に入力され、上述した大略時間同期化過程で発生した誤差を補償する。
【0030】
ただし、本発明の一実施例に係るOFDM受信機は、精密時間同期化部で高速フーリエ変換部またはその他の復号化部からOFDMシンボルを受信する場合、これらを区分せずに一括的に時間同期化するのではなく、OFDMシンボルが高速フーリエ変換部に入力されるか、それともその他の復号化部に入力されるかによってそれぞれ時間同期化を異ならせる。このように区分されて時間同期化されたOFDMシンボルは、保護区間除去部を経ることによって保護区間が除去され、高速フーリエ変換部または精密周波数同期化部に入力されて上述した過程を繰り返す。このように精密時間同期化部で時間同期化するにおいて、どの構成に入力されるOFDMシンボルであるかを区分して時間同期化するので、発生する誤差を従来に比べて著しく減少させることができる。
【0031】
図2に示したOFDM受信機に含まれた各構成要素は、装置内部のソフトウェア的なモジュールまたはハードウェア的なモジュールを連結する通信経路に連結され、相互間で有機的に作動する。このような構成要素は、一つ以上の通信バスまたは信号線を用いて通信する。
【0032】
図3aは、本発明の一実施例に係る高速フーリエ変換されるOFDMシンボルを時間同期化する方法を図式化したタイミングダイヤグラムである。
【0033】
時間領域の信号を見ると、互いに異なるパスを通じて高速フーリエ変換部またはその他の復号化部から受信された複数の信号が存在する。いずれか一つの信号を見ると、0、1、2と表示された部分がそれぞれOFDMシンボルを示す。時間同期化方法を説明するにおいて、それぞれの信号に含まれたOFDMシンボルのうち1と表示されたOFDMシンボル(310、315、320)のみを用いて説明し、他のOFDMシンボルの全てに同一に適用することができる。
図3aには、互いに異なるパスを通じて受信された信号が3個と示され、それぞれの信号に含まれたOFDMシンボルが3個と示されているが、このとき、個数は一つの例示に過ぎず、必ずしもこれに限定されることはない。
【0034】
1番目のOFDMシンボル310は、t
1で最も小さいパワーのチャンネルインパルス応答(Channel Impulse Response)を有し、2番目及び3番目のOFDMシンボル320、330も、それぞれt
2とt
3でそれぞれ最も大きいパワー及び中間サイズのパワーのチャンネルインパルス応答を有する。ここで、チャンネルインパルス応答のパワーは、説明の便宜のために任意に設定したものであって、これに限定されることはなく、
図3aに示したものと異なり得る。
【0035】
この場合、保護区間除去部を経て高速フーリエ変換部に入力されるOFDMシンボルは、保護区間内にそれぞれのチャンネルの構成成分が最も多く含まれるように保護区間が設定される。保護区間は、既に設定された長さを有しているので、常に全てのチャンネルの構成成分を含むように設定することはできない。したがって、全てのチャンネルの構成成分が含まれるように保護区間を設定しなければならず、構成成分が最も多く含まれるようにするためには、保護区間内にパワーが大きいチャンネルインパルス応答が多く含まれるように保護区間を設定しなければならない。
図3aを参照すると、最もパワーが大きいチャンネルインパルス応答と、中間サイズのパワーを有するチャンネルインパルス応答とを含み、全てのチャンネルの構成成分を含めるように入力OFDMシンボルの保護区間をt
4から開始するように設定する。保護区間の開始点をt
4に設定することによって全てのチャンネルの構成成分を含み、パワーが大きいチャンネルインパルス応答が全て含まれる。
【0036】
以上説明したように、保護区間除去部を経て高速フーリエ変換部に入力されるOFDMシンボルを精密時間同期化するにおいては、それぞれのチャンネルの構成成分が最も多く含まれるように保護区間を設定する。このように既に設定された長さを有する保護区間が設定される場合、同様に、既に設定された長さを有するシンボルも共に設定される。
【0037】
図3bは、本発明の一実施例に係る精密周波数同期化されるOFDMシンボルを時間同期化する方法を図式化したタイミングダイヤグラムである。
【0038】
時間領域の信号を見ると、互いに異なるパスを通じて高速フーリエ変換部またはその他の復号化部から受信された複数の信号が存在する。
【0039】
それぞれのOFDMシンボル340、350、360は、それぞれt
5、t
6、t
7で互いに異なるサイズのパワーを有するチャンネルインパルス応答を有する。
【0040】
保護区間除去部を経て精密周波数同期化部に入力されるOFDMシンボルは、OFDMシンボル内のCP及びシンボルのCPと同一の部分の相関関係が最も大きくなるように保護区間が設定される。OFDMシンボル内のCP及びシンボルのCPと同一の部分の相関関係が最も大きくなるように設定する際に、簡便な方法で最も大きいパワーを有するチャンネルインパルス応答の時間を起点として保護区間を設定する。これは、OFDMシンボル内のCP及びシンボルのCPと同一の部分の相関関係がチャンネルインパルス応答のパワーに比例するためである。
図3bを参照すると、チャンネルインパルス応答のパワーのサイズは、2番目のOFDMシンボル350が最も大きいので、入力OFDMシンボルの保護区間は、2番目のOFDMシンボルのチャンネルインパルス応答が存在する時点であるt
6を起点として設定される。このようにt
6を起点として保護区間が設定され、シンボルも保護区間に相次いで存在するように設定される。
【0041】
以上説明したように、保護区間除去部を経て精密周波数同期化部に入力されるOFDMシンボルを精密時間同期化する際に、簡便な方法で最も大きいパワーを有するチャンネルインパルス応答の時間を起点として保護区間を設定する。
【0042】
図4は、本発明の他の一実施例に係る精密周波数同期化されるOFDMシンボルを時間同期化する方法を図式化したタイミングダイヤグラムである。
【0043】
時間領域の信号を見ると、互いに異なるパスを通じて高速フーリエ変換部またはその他の復号化部から受信された複数の信号が存在する。
【0044】
それぞれのOFDMシンボル410、420、430は、それぞれt
1、t
2、t
3で互いに異なるサイズのパワーを有するチャンネルインパルス応答を有する。
【0045】
それぞれのOFDMシンボルの相関関係指標をチャンネルインパルス応答のパワーに基づいて獲得する。ここで、相関関係指標は、OFDMシンボル内のCP及びシンボルのCPと同一の部分の相関関係を把握できる指標であって、時点及び数値がチャンネルインパルス応答時点及びパワーに対応する。相関関係指標は、チャンネルインパルス応答時点でチャンネルインパルス応答のパワーのサイズに対応する数値を有し、チャンネルインパルス応答の時刻を前後にして相関関係指標の数値が算術級数的に減少する。
【0046】
保護区間除去部を経て精密周波数同期化部に入力されるOFDMシンボルは、OFDMシンボル内のCP及びシンボルのCPと同一の部分の相関関係が最も大きくなるように保護区間が設定される。この場合、OFDMシンボル内のCP及びシンボルのCPと同一の部分の相関関係は、以前に獲得した相関関係指標を用いて把握することができる。
【0047】
獲得したそれぞれの相関関係指標を合算し、相関関係指標が最も大きい部分を検索する。これは、相関関係指標が最も大きい場合、OFDMシンボル内のCP及びシンボルのCPと同一の部分の相関関係が最も大きいと把握できるためである。したがって、保護区間除去部を経て精密周波数同期化部に入力されるOFDMシンボルは、相関関係指標が最も大きい部分の時点を起点として保護区間が設定される。
図4を参照すると、2番目のOFDMシンボルのチャンネルインパルス応答が存在する時点であるt
2が、相関関係指標が最も大きい時点であるので、この時点を起点として保護区間を設定する。このように保護区間が設定され、これに相次いでシンボルが位置するように設定される。
【0048】
以上説明したように、保護区間除去部を経て精密周波数同期化部に入力されるOFDMシンボルを精密時間同期化するにおいて、他の一つの方法でそれぞれのOFDMシンボルの相関関係指標を計算し、それぞれの相関関係指標の数値の和が最も大きい時点を起点として保護区間を設定する。
【0049】
図5は、本発明の一実施例に係る時間同期化方法を示したフローチャートである。
【0050】
高速フーリエ変換部またはその他の復号化部から複数のOFDMシンボルを受信する(S510)。精密時間同期化部は、高速フーリエ変換部またはその他の復号化部から互いに異なるパスを通じて受信された複数のOFDMシンボルを受信する。
【0051】
精密時間同期化されたOFDMシンボルが高速フーリエ変換部に入力されるかどうかを判断する(S520)。精密時間同期化部は、受信した複数のOFDMシンボルを用いて時間同期化し、出力するOFDMシンボルが保護区間除去部を経て高速フーリエ変換部に入力されるか、それとも精密周波数同期化部に入力されるかを判断する。
【0052】
入力されるOFDMシンボルの保護区間内に受信した複数のOFDMシンボルのそれぞれのチャンネルの構成成分が最も多く含まれるように、入力されるOFDMシンボルの保護区間を設定する(S530)。精密時間同期化部が受信した複数のOFDMシンボルのそれぞれのチャンネルの構成成分が最も多く含まれるように保護区間を設定する際に、複数のOFDMシンボルにおけるそれぞれのチャンネルインパルス応答のパワーを考慮する。複数のOFDMシンボルにおけるそれぞれのチャンネルの構成成分が最も多く含まれるようにするためには、それぞれのチャンネルインパルス応答のパワーの和が最も大きくなるように入力されるOFDMシンボルの保護区間を設定する。
【0053】
OFDMシンボル内のCP及びシンボルのCPと同一の部分の相関関係が最も大きくなるように、入力されるOFDMシンボルの保護区間を設定する(S540)。一つの実施例として、精密時間同期化部が受信した複数のOFDMシンボルにおけるそれぞれのチャンネルインパルス応答のパワーを把握し、最も大きいパワーを有するチャンネルインパルス応答が存在する時点を起点として保護区間を設定してもよい。他の実施例として、精密時間同期化部が受信した複数のOFDMシンボルのそれぞれの相関関係指標を把握し、それぞれの相関関係指標の和が最も大きい時点を起点として保護区間を設定してもよい。ここで、相関関係指標は、OFDMシンボル内のCP及びシンボルのCPと同一の部分の相関関係を把握できる指標であって、時点及び数値がチャンネルインパルス応答時点及びパワーに対応する。相関関係指標は、チャンネルインパルス応答時点でチャンネルインパルス応答のパワーのサイズに対応する数値を有し、チャンネルインパルス応答の時刻を前後にして相関関係指標の数値が算術級数的に減少する。
【0054】
図5では、過程S510〜過程S540を順次実行することを記載しているが、これは、本発明の一実施例の技術思想を例示的に説明したものに過ぎない。すなわち、本発明の一実施例の属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の一実施例の本質的な特性から逸脱しない範囲で
図5に記載した順序を変更して実行したり、過程S510〜過程S540のうち一つ以上の過程を並列的に実行することに多様に修正及び変形して適用可能であるので、
図5は、時系列的な順序に限定されるものではない。
【0055】
一方、
図5に示した各過程は、コンピューターで読み取り可能な記録媒体にコンピューターで読み取り可能なコードとして具現することが可能である。コンピューターで読み取り可能な記録媒体は、コンピューターシステムによって読み取り可能なデータが保存される全ての種類の記録装置を含む。すなわち、コンピューターで読み取り可能な記録媒体は、マグネチック保存媒体(例えば、ROM、フロッピーディスク、ハードディスクなど)、光学的判読媒体(例えば、CD―ROM、DVDなど)及びキャリアウェーブ(例えば、インターネットを介した伝送)などの保存媒体を含む。また、コンピューターで読み取り可能な記録媒体は、ネットワークで連結されたコンピューターシステムに分散され、分散方式でコンピューターで読み取り可能なコードが保存されて実行され得る。
【0056】
以上の説明は、本実施例の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本実施例の属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本実施例の本質的な特性から逸脱しない範囲で多様な修正及び変形が可能であろう。したがって、本実施例は、本実施例の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであって、このような実施例によって本実施例の技術思想の範囲が限定されることはない。本実施例の保護範囲は、下記の特許請求の範囲によって解釈しなければならず、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は本実施例の権利範囲に含まれるものと解釈しなければならないだろう。
【符号の説明】
【0057】
110:OFDMシンボル、120:保護区間、130:シンボル、140:シンボルの端部、210:RF部、220:ADC部、230:デジタルフロントエンド部、240:大略時間同期化部、250:保護区間除去部、260:精密周波数同期化部、270:高速フーリエ変換部、280:精密時間同期化部、290:その他の復号化部