特許第6043845号(P6043845)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6043845殺菌容器をブロー成形するための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043845
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】殺菌容器をブロー成形するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/42 20060101AFI20161206BHJP
   B29C 49/06 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   B29C49/42
   B29C49/06
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-162594(P2015-162594)
(22)【出願日】2015年8月20日
(62)【分割の表示】特願2013-545041(P2013-545041)の分割
【原出願日】2011年11月14日
(65)【公開番号】特開2016-26118(P2016-26118A)
(43)【公開日】2016年2月12日
【審査請求日】2015年8月27日
(31)【優先権主張番号】102010056450.8
(32)【優先日】2010年12月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509017365
【氏名又は名称】カーハーエス コーポプラスト ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091867
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ヘーロルト
(72)【発明者】
【氏名】ハラルト リーガー
(72)【発明者】
【氏名】ディーター クラット
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ゲルハルツ
【審査官】 辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−500134(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/020529(WO,A1)
【文献】 特開2009−274740(JP,A)
【文献】 特開2010−235209(JP,A)
【文献】 特表2001−510104(JP,A)
【文献】 米国特許第06562281(US,B1)
【文献】 特開2011−056943(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0061343(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C49/00−49/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロー成形され、少なくとも部分的に殺菌された容器を製造する方法であって、熱可塑性プラスチックから成るパリソンをまず加熱し、次に加圧状態にある流体を作用させ、殺菌剤を前記パリソンの領域に供給するようにした前記方法において、
前記パリソン(1)を成形するブローステーション(3)を含んでいるブロー機構に対し空間的に間隔をもって殺菌を実施し、前記パリソン(1)に殺菌剤を作用させる殺菌機構(41)と前記ブロー機構とが殺菌通路(43)を介して結合されていること、
前記パリソン(1)を、少なくとも、前記殺菌通路(43)に沿って設けた搬送経路の一部分に沿って殺菌場所から前記ブローステーション(3)へ次のように搬送し、すなわち前記パリソン(1)全体が前記殺菌通路(43)の内部で案内されないように、または、前記パリソン(1)の一部のみが前記殺菌通路(43)の内部で案内されるように、搬送すること、
前記殺菌通路(43)から殺菌ガスを前記パリソン(1)の方向へ放出させて、前記殺菌ガスを前記パリソン(1)の口部分(21)の方向へ誘導すること、
を特徴とする方法。
【請求項2】
前記殺菌ガスの少なくとも一部分が、前記殺菌通路(43)の内部で、該殺菌通路(43)の長手方向への流動成分をもって流動することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記殺菌ガスが前記ブロー機構の方向への流動成分をもって流動することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ブロー成形した前記容器を、前記ブロー機構から取り出した後に、少なくともその一部分を前記搬送経路の少なくとも一部分にわたって他の殺菌通路(44)に沿って搬送することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記他の殺菌通路(44)によって前記ブロー機構を充填機構と結合させることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも部分的に殺菌したブロー成形容器を製造する装置であって、パリソンの少なくとも一部分に殺菌剤を作用させるための供給機構と、前記パリソンを温度調整するための加熱区間と、前記パリソンを容器にブロー成形するためのブロー機構とを有している前記装置において、
前記パリソン(1)に殺菌剤作用させる殺菌機構(41)が前記ブロー機構に対し空間的に間隔をもって配置され、前記殺菌機構(41)と前記ブロー機構とが殺菌通路(43)を介して結合されていること、
前記パリソン(1)を前記殺菌機構(41)から前記ブロー機構へ搬送する搬送経路の少なくとも一部分が、次のように前記殺菌通路(43)に沿って延在し、すなわち前記パリソン(1)全体が前記殺菌通路(43)の内部で案内されないように、または、前記パリソン(1)の一部のみが前記殺菌通路(43)の内部で案内されるように、延在していること、
前記殺菌通路(43)が、殺菌ガスを供給するための接続部と、前記パリソン(1)の口部分(21)の方向に前記殺菌ガスを放出するための少なくとも1つの排流穴(46)とを有していること、
を特徴とする装置。
【請求項7】
前記殺菌ガスが前記殺菌通路(43)の長手方向の流動成分をもって流動するように前記排流穴(46)が配向されていることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記殺菌ガスが前記ブロー機構方向の流動成分をもって流動するように前記排流穴(46)が配向されていることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記容器(2)の搬送方向において前記ブロー機構の後方に他の殺菌通路(44)が設けられていることを特徴とする、請求項6から8までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項10】
前記他の殺菌通路(44)が前記ブロー機構を充填機構と結合させていることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロー成形され、少なくとも部分的に殺菌された容器を製造する方法であって、熱可塑性プラスチックから成るパリソンをまず加熱し、次に加圧状態にある流体を作用させ、殺菌剤を前記パリソンの領域に供給するようにした前記方法に関するものである。
本発明は、さらに、少なくとも部分的に殺菌したブロー成形容器を製造する装置であって、パリソンの少なくとも一部分に殺菌剤を作用させるための供給機構と、前記パリソンを温度調整するための加熱区間と、前記パリソンを容器にブロー成形するためのブロー機構とを有している前記装置にも関わる。
【背景技術】
【0002】
ブロー成形された殺菌容器の製造は、典型的には、容器のブロー成形後にして充填前に過酸化水素または他の化学薬品を使用して容器を殺菌するようにして行われる。容器をブロー成形する際に一次生産物として使用されるパリソンを殺菌すること、特にこのパリソンの内表面領域を殺菌することもすでに知られている。
【0003】
ブロー圧を作用させて容器を成形する場合、熱可塑性材料から成るパリソンは、たとえばPET(ポリエチレンテレフタラート)から成るパリソンは、ブロー機内部で種々の加工ステーションに供給される。この種のブロー機は、典型的には、加熱機構とブロー機構とを有し、ブロー機構内部で、予め温度調整されたパリソンが2方向配向によって膨張せしめられて容器が形成される。膨張は、膨張されるパリソン内部に導入される加圧空気を用いて行われる。このようなパリソン膨張時の方法技術的工程に関しては、特許文献1に説明がある。
【0004】
容器成形用のブローステーションの基本構成に関しては特許文献2に記載されている。パリソンを温度調整する可能性に関しては特許文献3に説明がある。
【0005】
ブロー成形装置の内部では、パリソンおよびブロー成形された容器は種々の操作機構を用いて搬送することができる。特に優れているのは、パリソンを嵌合させる搬送心棒を使用することである。しかし、他の搬送機構を用いてパリソンを搬送することもできる。パリソンを操作するための把持やっとこの使用、保持のためにパリソンの口領域に挿入可能な拡開心棒の使用も、適用可能な構成に属する。
【0006】
受け渡しホイールを使用した容器の操作は、ブローホイールと装入区間との間に該受け渡しホイールを配置するようにした特許文献4に記載されている。
【0007】
すでに説明したパリソンの操作は、一方ではいわゆる2段階方式で行われ、すなわちこの方式では、パリソンをまず射出成形法で製造し、次に中間保管し、その後で初めて温度に関してコンディショニングを行ない、ブロー成形して容器を形成させる。他方、いわゆる1段階方式が適用され、すなわちパリソンを射出成形して十分に固化した直後に適当に温度調整し、次にブロー成形する。
【0008】
使用されるブローステーションに関しては、種々の実施態様が知られている。回転する搬送ホイール上に配置されるブローステーションの場合には、型担持体が本のように頻繁に開閉される。他方、相互に変位可能または他の態様で案内される型担持体を使用することも可能である。複数のキャビティを受容して容器を成形するのに特に適した位置固定のブローステーションの場合は、典型的には、互いに並列に配置される板が型担持体として使用される。
【0009】
パリソンの殺菌に関しては、技術水準から種々の方法および装置が知られているが、すべて方法上の欠点があり、パリソンを確実に殺菌するとともに同時に高いスループットを得ることができない。
【0010】
たとえば特許文献5には、高温のパリソンを高温のガス状殺菌剤で殺菌することが記載されている。互いに直列に配置される複数の別個の操作ステーションが使用され、すなわち第1の加熱モジュールと、殺菌モジュールと、第2の加熱モジュールとが使用される。この場合の欠点は、殺菌工程中のパリソンの温度状態と、加熱部内部でパリソンから殺菌剤が流出するのをコントロールできないことである。
【0011】
特許文献6には、加熱前にガス状殺菌剤を低温パリソン内へ導入して、ここで凝縮させるようにした方法が記載されている。この場合の問題は、パリソンの内面全体に凝縮物を完全に形成することを確保することである。というのは、流入する高温の殺菌剤がパリソンの内壁温度を上昇させるからである。さらに、この方法においても、殺菌剤が加熱部の領域で蒸発した後、殺菌剤が加熱部内部でパリソンから流出するのをコントロールできない。
【0012】
特許文献7には、慎重を期して、使用するブローモジュールの前方と使用するブローモジュールの後方との双方に殺菌機構を配置した装置が記載されている。このため、機械構造上非常に大きなコストが生じる。
【0013】
特許文献8には、加熱部とブローモジュールとの間に殺菌機構を配置することが記載されている。この方法の場合、ブローモジュールの領域への殺菌剤の装入量を予測するのが困難である。さらに、周囲への殺菌剤の流出量をコントロールできず、対応的に汚染が防止されない。
【0014】
パリソンは、殺菌と加熱とを行った後にブロー機構に供給され、そこで殺菌ブローエアを使用して容器に成形される。このため、公知の技術水準によれば、ブロー機構の領域全体が殺菌室として実施される。このように空間的に大きな殺菌室を提供して維持するには、機器技術上非常に大きなコストが必要である。さらに、この大きく広がった領域は多数の潜在性汚染個所を有しており、その結果十分な殺菌を確保するのは極めて困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】独国特許出願公開第4340291号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第4212583号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第2352926号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第19906438号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第1086019号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第1896245号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第2138298号明細書
【特許文献8】国際公開第2010/020530A1号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の課題は、冒頭で述べた種類の方法において、十分な殺菌を簡単に保証できるように改善することである。
本発明の他の課題は、冒頭で述べた種類の装置において、効果的な殺菌が低コストで保証されているように構成することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題は、方法においては、パリソンを成形するブローステーションを含んでいるブロー機構に対し空間的に間隔をもって殺菌を実施し、前記パリソンに殺菌剤を作用させる殺菌機構と前記ブロー機構とが殺菌通路を介して結合されていること、パリソンを、少なくとも、殺菌通路に沿って設けた搬送経路の一部分に沿って殺菌場所からブローステーションへ次のように搬送し、すなわち前記パリソン全体が前記殺菌通路の内部で案内されないように、または、前記パリソンの一部のみが前記殺菌通路の内部で案内されるように、搬送すること、前記殺菌通路から殺菌ガスを前記パリソンの方向へ放出させて、前記殺菌ガスを前記パリソンの口部分の方向へ誘導することによって解決される。
【0018】
また、装置においては、パリソンに殺菌剤作用させる殺菌機構がブロー機構に対し空間的に間隔をもって配置され、前記殺菌機構と前記ブロー機構とが殺菌通路を介して結合されていること、前記パリソンを前記殺菌機構からブロー機構へ搬送する搬送経路の少なくとも一部分が、次のように殺菌通路に沿って延在し、すなわち前記パリソン全体が前記殺菌通路の内部で案内されないように、または、前記パリソンの一部のみが前記殺菌通路の内部で案内されるように、延在していること、前記殺菌通路が、殺菌ガスを供給するための接続部と、前記パリソンの口部分の方向に殺菌ガスを放出するための少なくとも1つの排流穴とを有していることによって解決される。
【0019】
殺菌機構とブロー機構とを殺菌通路によって結合することにより、空間的に拡がる殺菌室を設ける必要がなくなる。特に、典型的には回転するブローホイールを有しているブローモジュールの領域で、油脂およびその他の作動媒体で汚染される領域の殺菌状態を保持する必要がなくなる。むしろ、パリソンまたはブロー成形された容器の問題となる領域と直接接触している領域を殺菌し、殺菌状態を保持すれば十分である。これにより、一方では殺菌および殺菌状態を維持するためのコストが著しく低減し、さらに殺菌領域と周囲領域との間の境界面の大きさが縮小するので、汚染のリスクがかなり減少する。
【0020】
パリソンの殺菌状態を維持するため、通路の内部でパリソンに殺菌ガスを作用させることが提案される。
【0021】
特に、殺菌ガスをパリソンの口部分の方向へ誘導することが考えられる。
【0022】
細菌の侵入を阻止するため、殺菌ガスの少なくとも一部分は、通路の内部で、該通路の長手方向への流動成分をもって流動する。
【0023】
パリソンをブロー機構内へ挿入するための殺菌受け渡し領域を提供するため、殺菌ガスはブロー機構の方向への流動成分をもって流動する。
【0024】
仕上がった容器の殺菌操作を支援するため、ブロー成形した容器を、ブロー機構から取り出した後に、少なくともその一部分を搬送経路の少なくとも一部分にわたって他の殺菌通路に沿って搬送する。
【0025】
前記他の殺菌通路によってブロー機構を充填機構と結合させることが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図面には、本発明の実施形態が図示されている。
図1】パリソンから容器を製造するための1つのブローステーションの斜視図である。
図2】パリソンを延伸し膨張させるブロー成形型の縦断面図である。
図3】容器をブロー成形するための装置の基本構成を説明する概略図である。
図4】加熱容量を拡大させた加熱区間の変形実施形態の図である。
図5】加熱モジュールの領域に殺菌機構を配置したブロー機の加熱モジュールの図である。
図6】加熱機構とブローホイールとを結合させる通路と、ブローホイールと搬出区間とを結合させる通路とを使用する例を示す図である。
図7】パリソン用搬送区間に沿って殺菌ガスを供給する構成を説明する図である。
図8図7の変形実施形態の図である。
図9】殺菌搬送領域の横断面図である。
図10図9の切断線X−Xによる縦断面図である。
図11】ボトル注ぎ口の領域に殺菌ガスを供給する構成の横断面図である。
図12図11の切断線XII−XIIによる縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
容器(2)を成形するための装置は実質的にブローステーション(3)から成っている。ブローステーション(3)はブロー成形型(4)を備え、該ブロー成形型にパリソン(1)を挿入可能である。パリソン(1)はポリエチレンテレフタラートから射出成形された部品であってよい。ブロー成形型(4)へのパリソン(1)の挿入を可能にし、且つ仕上がった容器(2)の取り出しを可能にするため、ブロー成形型(4)は、型半部分(5,6)と、昇降機構(8)によって位置決め可能な底部部分(7)とから構成されている。パリソン(1)はブローステーション(3)の領域で搬送心棒(9)によって保持されていてよく、搬送心棒(9)はパリソン(1)とともに、装置内部の複数の処理ステーションを通過する。他方、パリソン(1)をたとえばやっとこまたは他の操作手段を介してダイレクトにブロー成形型(4)に挿入してもよい。
【0028】
加圧空気の供給を可能にするため、搬送心棒(9)の下方に接続ピストン(10)が配置され、該接続ピストンはパリソン(1)に加圧空気を供給するとともに、これと同時に搬送心棒(9)に対する密封を行う。しかし、変形実施形態によれば、基本的には、位置固定した加圧空気供給管を使用することも考えられる。
【0029】
パリソン(1)の延伸は、シリンダ(12)によって位置決め可能な延伸棒(11)を用いて行う。しかし、基本的には、延伸棒(11)の機械的位置決めを、ピックオフローラの作用を受けるカムセグメントを介して行うことも考えられる。カムセグメントの使用は、複数のブローステーション(3)が1つの回転ブローホイール上に配置されている場合に特に合目的である。シリンダ(12)の使用は、ブローステーション(3)が位置固定して配置されている場合に合目的である。
【0030】
図1に図示した実施形態では、延伸システムは、2つのシリンダ(12)のタンデム配置が提供されるように構成されている。延伸棒(11)は、一次シリンダ(13)によってまず本来の延伸工程の開始前にパリソン(1)の底部(14)の領域まで移動させる。本来の延伸工程を行なっている間、走出した延伸棒を備えた一次シリンダ(13)を、該一次シリンダ(13)を担持しているスライダ(15)とともに、二次シリンダ(16)によって或いはカム制御を介して位置決めする。特に、二次シリンダ(16)を次のようにカム制御して使用すること、すなわち延伸工程を実施している間にカム軌道に沿って滑動するガイドローラ(17)により、現時点の延伸位置が設定されるようにカム制御して使用することが考えられる。ガイドローラ(17)は二次シリンダ(16)によって案内軌道に対し押圧される。スライダ(15)は2つの案内要素に沿って滑動する。
【0031】
担持体(19,20)の領域に配置されている型半部分(5,6)を閉じた後、ロック機構(40)を用いて担持体(19,20)相互のロックを行う。
【0032】
パリソン(1)の口部分(21)の種々の形状に適合させるため、図2によれば、ブロー成形型(4)の領域に別個のスクリューインサート(22)が設けられている。
【0033】
図2は、ブロー成形された容器(2)に加えて、パリソン(1)を破線で示したもので、成長中の容器ブロー部(23)を図示したものである。
【0034】
図3はブロー成形機の基本構成を示している。ブロー成形機は、加熱区間(24)と回転ブローホイール(25)とを備えている。パリソン(1)は、パリソン装入部(26)を起点として受け渡しホイール(27,28,29)によって加熱区間(24)の領域へ搬送される。パリソン(1)を温度調整するため、加熱区間(24)に沿って放射加熱器(30)と送風機(31)とが配置されている。パリソン(1)は、十分に温度調整した後に、ブローホイール(25)へ受け渡され、該ブローホイールの領域にブローステーション(3)が配置されている。ブロー成形を終了した容器(2)は他の受け渡しホイールによって搬出区間(32)に供給される。
【0035】
パリソン(1)を次のように容器(2)に成形することができるようにするには、すなわち容器(2)内部に充填されている食料品の、特に飲料水の長期使用を保証する材料特性を容器(2)が有するようにするには、パリソン(1)の加熱および配向の際に特別な方法ステップを維持しなければならない。さらに、特別なサイズ規定を厳守することによって有利な作用を得ることができる。
【0036】
熱可塑性材料として種々のプラスチックを使用することができる。たとえばPET,PENまたはPPを使用可能である。
【0037】
配向工程中のパリソン(1)の膨張は、加圧空気の供給によって行われる。加圧空気の供給は、ガス(たとえば圧縮空気)を低圧力レベルで供給する予ブロー段階と、次の主ブロー段階とに分割され、主ブロー段階においてガスはより高い圧力レベルで供給される。予ブロー段階の間、典型的には、10バールないし25バールのインターバルの圧力をもった加圧空気を使用し、主ブロー段階の間は、25バールないし40バールのインターバルの圧力をもった加圧空気を供給する。
【0038】
同様に図3から認められるように、図示した実施形態では、加熱区間(24)は多数の周回する搬送要素(33)から形成され、これらの搬送要素は互いにチェーン状に並んで、転向ホイール(34)によって誘導されている。特に、チェーン状の配置によって、実質的に長方形の基本輪郭を張ることが考えられている。図示した実施形態では、加熱区間(24)の、受け渡しホイール(29)および装入ホイール(35)側の膨らみ部の領域に、ただ1つの比較的大きなサイズの転向ホイール(34)が使用され、これに隣接する転向部の領域には2つの比較的小さなサイズの転向ホイール(36)が使用される。基本的には、任意の他のガイドも考えられる。
【0039】
受け渡しホイール(29)と装入ホイール(35)とを互いに可能な限り密に配置することを可能にするためには、図示した実施形態が特に合目的である。というのは、加熱区間(24)の対応するふくらみの領域に3つの転向ホイール(34,36)が配置され、より小さな転向ホイール(36)が加熱区間(24)の直線状に延びている部分の移行領域に配置され、より大きな転向ホイール(34)が受け渡しホイール(29)および装入ホイール(35)に対し直接受け渡す領域に配置されているからである。チェーン状の搬送要素(33)を使用する代わりに、たとえば回転加熱ホイールを使用することも可能である。
【0040】
容器(2)のブロー成形が終了した後、容器は取り出しホイール(37)によってブローステーション(3)の領域から取り出されて、受け渡しホイール(28)および搬出ホイール(38)を介して搬出区間(32)へ搬送される。
【0041】
図4に図示した加熱区間(24)の変形実施形態では、より多数の放射加熱器(30)を設けることにより、単位時間当たりより多数のパリソン(1)を温度調整することができる。送風器(31)はここでは冷却空気を冷却空気通路(39)内へ導入させる。冷却空気通路(39)は付設の放射加熱器(30)にそれぞれ対向配置され、排流穴を介して冷却空気を放出する。排流方向を選定することにより、冷却空気の流動方向は実質的にパリソン(1)の搬送方向に対し横方向に実現される。冷却空気通路(39)は、加熱要素(30)に対向している表面の領域に、加熱放射線のためのリフレクタを有していてよく、また、放出された冷却空気によって放射加熱器(30)の冷却を実現してもよい。
【0042】
図5は、加熱区間(24)の領域にさらに殺菌機構(41)を配置した、図3に対応する概略配置構成図である。加熱区間(24)の搬送要素(33)も図示されている。
【0043】
殺菌剤は、好ましくはガス状状態でパリソン(1)内部へ挿入される。特に、殺菌剤の温度は100℃以上であることが想定されている。好ましくは、殺菌工程を実施する際、パリソン(1)は殺菌すべき内表面の領域で80℃以上の温度を有している。殺菌剤に関しては、特に過酸化水素の使用が考えられる。
【0044】
図5は、加熱区間(24)の領域で殺菌工程を実施している間のパリソン(1)の配置を説明するためのものである。この場合パリソン(1)は、殺菌剤と加熱放射線(30)との双方の作用を受ける。好ましくは、パリソン(1)に対する殺菌剤の作用はパリソン(1)の内表面の領域で行い、加熱放射線による作用は外表面の領域で行う。図示した実施形態の場合、放射加熱器(30)は加熱区間(24)を通過するパリソン(1)の搬送方向に沿って片側に配置されている。放射加熱器(30)に対向してリフレクタ(42)が位置決めされている。典型的には、放射加熱器(30)はヒートボックスの領域に配置され、この場合放射加熱器(30)の、パリソン(1)とは逆の側には、ヒートボックスによって保持されるリフレクタが配置されている。コマしくは、リフレクタは反射プロファイルを有している。放射加熱器(30)とパリソン(1)との間には、周波数選択特性を有するフィルタディスクを位置決めしてよい。フィルタディスクはたとえば石英ガラスから成っている。
【0045】
この膜は、放射加熱器(30)はNIR範囲の加熱放射線を発生させる。他方、赤外線放射器、光放出ダイオード、或いは、マイクロ波または高周波エネルギー用の放射機構を使用してもよい。
場合によっては、前述した熱源の2つまたはそれ以上の組み合わせも可能である。
【0046】
典型的なプロセス条件によれば、殺菌を実施している間の殺菌剤は100℃ないし130℃の範囲の温度を有している。パリソン(1)は、殺菌を実施している間、少なくともその内表面の領域で、100℃ないし130℃の範囲の温度を有している。典型的な殺菌時間はほぼ0.1ないし0.5秒である。殺菌剤としては、有利には、加熱空気と混合される蒸発した過酸化水素を使用する。過酸化水素の濃度は、15ないし35重量パーセントである。
【0047】
図6図3に対応している図であるが、かなり簡略に示してある。ここではパリソン(1)は加熱区間(24)の領域で加熱されて、殺菌機構(41)によって殺菌される。加熱区間(24)は、パリソン(1)の搬送方向において殺菌機構(41)と装入ホイール(35)との間で殺菌領域として実施されている。殺菌機構(41)の端部を起点として、または、加熱区間(24)の殺菌領域の端部を起点として、ブローホイール(25)の領域に通路(43)が延在している。この通路(43)は、パリソン(1)を少なくとも部分的に殺菌ガスで取り囲んで、細菌によるパリソン(1)の汚染を搬送経路に沿って防止するために用いられる。パリソン(1)はブローホイール(25)の領域でブローステーション(3)に挿入される。ここでもパリソン(1)を十分に殺菌処理する配慮がなされている。
【0048】
加熱区間(24)の領域でパリソン(1)が付設の搬送要素によって保持されたとき、特に、パリソン(1)の口部分に保持要素を挿入し、該保持要素がパリソン(1)の内部空間を周囲に対し密封させ、これによって周囲空気からの細菌による汚染を防止することが考えられる。これに対応する密封要素は、パリソン(1)のための搬送要素としても形成されていてよい。特に、密封要素がこれを通じて殺菌剤をパリソン(1)の内部空間に挿入することが考えられる。これは好ましくは過酸化水素と空気との混合物である。パリソン(1)の内部空間は、殺菌機構(41)を離れた後、保持要素によって周囲に対し密封されたままであり、汚染から保護される。
【0049】
保持要素とパリソン(1)とを切り離した後に初めて、パリソン(1)の内部空間は周囲空気から汚染しやすくなる。この保持要素とパリソン(1)との分離以後は、前記通路(43)が配置されているので好ましい。
【0050】
ブローホイール(25)の放出領域も、少なくとも取り出しホイール(37)に沿って同様の通路(44)を備えており、この通路(44)は前記通路(43)と同様に十分大きなサイズの浄化空間を提供し、この浄化空間を通じて、このケースではブロー成形された容器(2)を少なくとも部分的に搬送する。
【0051】
図7は、通路(43)に沿って案内されるパリソン(1)の横断面図である。通路(43)は、殺菌ガス用の供給穴(45)と、多数の排流穴(46)とを有している。図示した実施形態では、排流穴(46)は鉛直方向に対し傾斜して配置されている。これにより、通路(43)から排流される殺菌ガスに、パリソン(1)の搬送方向(47)において拡張成分が生じる。これによって、ブローホイール(25)の装入領域の方向に殺菌ガスの流動が発生し、その結果殺菌環境でパリソン(1)をブローステーション(3)に挿入することが可能になる。
【0052】
殺菌ガスは通路(43)から次のように排流され、すなわち殺菌ガス内部でパリソン(1)の少なくとも口部分(21)が位置決めされて細菌の侵入が阻止されるように、排流される。
【0053】
図8は、殺菌ガスを通路(43)からほぼ鉛直方向に排出させるようにした実施形態を示している。ここでは、特に、層状流動を提供することが考慮されている。これによって殺菌されていない周囲空気が巻き添えにされることが回避される。
【0054】
図9は、図7の実施形態の変形実施形態を示している。この実施形態では、口部分(21)を取り囲んでいる通路(43)の領域を側部から画成する補助的な側壁(48)が使用される。これによって殺菌ガスの流動誘導が支援される。他の図示していない実施形態によれば、通路(43)は鉛直方向下側においても、口部分(21)がこの制限された領域内部で誘導されるように、壁によって画成される。これによっても殺菌ガスの誘導が支援されるとともに、パリソン(1)の支持リング(49)下方領域への殺菌ガスの流動が減少する。この場合、通路(43)の対応する画成部は、たとえば支持リング(49)の方向に延在し、或いは、支持リング(49)の下方に終端を有する。
【0055】
図10は、通路(41)内部での殺菌ガスの流動誘導を説明する図である。
【0056】
図11図12は、ブロー成形された容器(2)に対し局部的に殺菌環境を提供するための通路(44)の構成を説明する図である。通路(44)の構成は実質的に通路(43)の構成に等しい。通路(43)と同様に、通路(44)はオプションで1つまたは2つの側壁(48)を備えていてよく、或いは、これに加えて鉛直方向下側で完全にまたは部分的に壁によって画成されていてよい。
【0057】
通路(44)は、好ましくは、ブローホイール(25)を起点として、容器(2)に生産物を充填するための充填機構の領域内まで延在している。これにより、容器(2)の搬送領域全体に対し十分な殺菌環境が提供される。
【0058】
ブローステーション(3)の領域では、好ましくは、パリソン(1)または容器(2)の口部分(21)または内部空間と接触している部分のみが殺菌維持される。これに対し、パリソン(1)または容器(2)の他の領域に対しては、特別な殺菌は要求されない。このように殺菌の場所を局部的に制限することにより、容器(2)を充填物で充填した後に適宜密閉することにより、容器(2)の充填した内部空間を周囲に対し殺菌上境界づけることが考慮される。従って、外表面に細菌が付着していても、充填物の領域内まで細菌が達することがない。
【0059】
このように、パリソン(1)または容器(2)を、1つの通路(43,44)に沿って搬送し、該通路から殺菌ガスをパリソン(1)または容器(2)の方向に排流させるか、或いは、パリソン(1)または容器(2)を殺菌通路(43,44)の内部でその全体または一部分において搬送することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12