【実施例】
【0028】
図1に示されるように、車両10は、鞍乗型車両である。車両10は、車体フレーム20の前部を形成するヘッドパイプ21と、ヘッドパイプ21の下端に取付けられ左右一対のフロントフォーク11Lの上端を支持するボトムブリッジ12と、フロントフォーク11Lに支持され上方がフロントフェンダ13に覆われる前輪14と、フロントフォーク11Lに設けられ前輪14を制動するブレーキ装置15と、このブレーキ装置15の近傍に設けられ車両10の速度を検出する車両速度検出装置16とを備える。
【0029】
また、車両10は、ヘッドパイプ21に設けられ車両前方に延びるフロントカバーステー30と、このフロントカバーステー30に設けられヘッドパイプ21の前方を覆うフロントカバー41と、このフロントカバー41に設けられ車両前方に向かって点灯する灯火器51Lと、ヘッドパイプ21の上部に回転可能に支持されるハンドルバー17と、このハンドルバー17に設けられブレーキ装置15を操作する操作子18と、ハンドルパー17を覆うハンドルバーカバー42と、このハンドルカバー42に配置され車両速度検出装置16から伝達された車速を表示するメータ52とを備える。
【0030】
車体フレーム20は、ヘッドパイプ21から後下がりに延びるメインフレーム22と、このメインフレーム22の後端部から後上がりに延び直接又は間接的にシート53を支持するシートレール23とを備える。
【0031】
また、メインフレーム22にパワーユニット60が設けられ、このパワーユニット60は、エンジン61及び変速機62から構成される。パワーユニット60の後部に懸架部材63が揺動自在に設けられ、この懸架部材63の後端部に後輪64が回転可能に設けられ、エンジン61の出力は、変速機62を介して後輪64に伝達される。さらに、懸架部材63の後部とシートレール23の間に後輪64への衝撃を吸収するクッションユニット65が設けられる。
【0032】
シートレール23の後方に、テールライトユニット66が設けられ、このテールライトユニット66の下方に、後輪64の上方及び後方を覆うリアフェンダ67が配置される。車両10は、車体フレーム20等を覆う車体カバー40を備える。
【0033】
車体カバー40は、ヘッドパイプ21の少なくとも一部を覆うフロントカバー41と、ハンドルバー17を覆うハンドルカバー42と、メインフレーム22の上部を覆うメインフレームカバー43と、このメンインフレームカバー43に接続され車両10側部を覆うメインフレームサイドカバー44と、メインフレームカバー43に接続され車幅方向側方及び車両後部の車幅方向を覆うリアサイドカバー45とを有する。
【0034】
次に車両正面の外観について説明する。
図2に示されるように、フロントカバー41に左右一対の灯火器51L、51R(Lは左を示す添え字。Rは右を示す添え字。以下同じ。)が設けられる。フロントカバー41下部の開口にフロントフェンダ13が位置する。フロントフェンダ13から下方に左右のフロントフォーク11L、11Rが延び、これらの左右のフロントフォーク11L、11Rの下端部に前輪14が設けられる。フロントフォーク11Lにブレーキ装置15が設けられ、このブレーキ装置15の近傍に且つブレーキ装置15より前輪14の回転中心に近い位置に車両速度検出装置16が設けられる。
【0035】
次に本発明に係る要部を断面図に基づいて説明する。
図3に示されるように、ヘッドパイプ21の前部にフロントカバーステー30を取り付けるためのステー取付部24が設けられ、このステー取付部24にフロントカバーステー30がボルト71により締結される。
【0036】
フロントカバーステー30は、ステー取付部24に締結される締結部31と、この締結部31の前側に設けられ上部32及び下部33が開放するように筒状に形成された筒状部34と、この筒状部34の前側に形成されフロントカバー41を支持する前部35と、この前部35の上端から上部32にかけて略水平に形成されたガイド部36aと、前部35の下端から筒状部34まで形成された下壁33aとからなる。筒状部34の上端前側にガイド部36aを設け、筒状部34の下端前側に下壁33aを設けることで、ガイド部36a及び下壁33aが筒状部34の前側を補強し、筒状部34の剛性を向上させることができる。また、締結部31は、板状であると共に、ヘッドパイプ21に沿って上下に長い矩形状を呈しており、筒状部34の後側を上下方向に補強するリブの役割を果たす。
【0037】
操作子18の操作力をブレーキ装置15に伝達するブレーキホース54が、フロントカバー41内に通される。具体的には、ブレーキホース54は、ヘッドパイプ21の上方からフロントカバー41の上部開口46に通され、フロントカバーステー30の筒状部34内に通され、フロントカバー41の下面47に設けられた下部開口48から下方に延びるように配策される。
【0038】
車両速度検出装置16からの信号をメータ52に送るメータケーブル55が、フロントカバー41内に通される。フロントカバーステー30に、メータケーブル55を狭持する狭持部37が設けられる。具体的には、ヘッドパイプ21の上方からフロントカバー41の上部開口46に通されたメータケーブル55は、フロントカバーステー30の狭持部37とヘッドパイプ21に狭持され、さらにヘッドパイプ21の下部に設けられたフック部25に通され、フロントカバー41の下面47に設けられた下部開口48から下方に延びるように配策される。
【0039】
また、フロントカバーステー30は、補機類としてのコネクタ56を保持する補機類保持部38が一体的に設けられている。コネクタ56は、灯火器51L、51Rから延びるハーネス57に接続するための、車両10側の給電用ハーネス58のものである。コネクタ56から下方へ延びる給電用ハーネス58は、フロントカバーステー30に設けられたクリップ72に係止され、さらにフック25に通される。
【0040】
ステー取付部24の下部に、ホーン73が設けられ、ホーン73から延びるホーン73用のハーネス74は、フック25に通される。
【0041】
フロントカバーステー30の前部35に、グロメット39が設けられている。フロントカバー41の内側に、突起部49が設けられており、この突起部49は、グロメット39に挿入されている。
【0042】
フロントカバー41の内側に、フロントカバーステー30に向かって突出するガイドバー49bが設けられている。このガイドバー49bと、フロントカバーステー30のガイド部36aによりガイド手段36が構成される。
【0043】
次にフロントカバー41の取付について説明する。
想像線で示すフロントカバー41を、矢印(1)のように移動させる。想像線で示されるガイドバー49bを、フロントカバーステー30のガイド部36aに当て、想像線で示すフロントカバー41をガイドする。想像線で示す突起部49を、グロメット39に挿入する。突起部49の基端側に座面部49aが設けられており、座面部49aがグロメット39に当接し、実線で示す突起部49と、実線で示されるガイドバー49bの位置で止まる。このように、ガイド手段36により、フロントカバー41を容易にフロントカバーステー30に組み付けることができる。
【0044】
なお、ブレーキ装置15には、ブレーキホース54を接続したが、これに限定されず、ブレーキ装置15に応じてブレーキケーブル54を採用しても差し支えない。以降は便宜上、ブレーキホース54を用いて説明する。
【0045】
次にフロントカバーステー30の取付及びブレーキホース54の取付を平面図に基づいて説明する。
図4に示されるように、ヘッドパイプ21のステー取付部24に、ナット26が設けられている。フロントカバーステー30の締結部31を、ボルト71により、ナット26に締結することで、フロントカバーステー30が、ヘッドパイプ21に取り付けられる。
【0046】
筒状部34は、後側のベース部34aと、前側の開閉部34bとからなる。フロントカバーステー30は、フランジ状のヒンジ部34cと、筒状部34をはさんでヒンジ部34cの反対にフランジ部34dを有する。
【0047】
開閉部34bを開いた状態にし、ブレーキホース54を筒状部34内に矢印(2)のように入れる。開閉部34bを閉じて、ボルト75によりフランジ部34dをベース部34aに締結する。さらに、ボルト76によりフランジ状のヒンジ部34cをベース部34aに締結することで、ブレーキホース54が筒状部34に通された状態に保たれる。
【0048】
次にブレーキホース54をフロントカバーステー30に通した状態について説明する。
図5に示されるように、ブレーキホース54は、フロントカバーステー30の筒状部34に上下に通されている。フロントカバーステー30は、ヘッドパイプ21に近接して設けられているので、筒状部34を通るブレーキホース54も、ヘッドパイプ21の近傍に配策される。結果、ブレーキホース54のホース長を極力短くすることができる。
【0049】
前輪14が操舵されることで、ブレーキホース54も移動するが、筒状部34はブレーキホース54の可撓範囲よりも大きく設定されているので、ブレーキホース54を適切に保持することができる。
【0050】
メータケーブル55は、ヘッドパイプ21と狭持部37との間に狭持されているので、メータケーブル55をヘッドパイプ21近傍に配策することができ、メータケーブル55のケーブル長を極力短くすることができる。また、狭持部37を設けることで、メータケーブル55を保持するための部品が不要となり、部品点数の削減を図ることができる。
【0051】
フロントカバーステー30は、ステー取付部24に取り付けられる締結部31と、締結部31の前側に設けられるベース部34aと、ベース部34aの上端に設けられる上部フランジ部34eと、ベース部34aの前側に設けられる湾曲形状の開閉部34bと、この開閉部34bの車幅方向の一端に上下に長く形成されたフランジ状のヒンジ部34cと、開閉部34bの車幅方向の他端に上下に長く形成されたフランジ部34dと、開閉部34bの前側に設けられる箱状の前部35とを有する。
【0052】
箱状の前部35は、前壁35aと、前壁35aの上端に設けられるガイド部36aと、前壁35aの左端に設けられる側壁35bと、前壁35aの右端に設けられる側壁35c(
図6)と、前壁35aの下端に設けられる下壁33a(
図3)とからなる。前部は、前壁35a、ガイド部36a、側壁35b、側壁35c及び下壁33aの5面が閉じ、後ろ側が開放する箱状を呈する。この箱状の前部35を開閉部34bの前側に設けることで、筒状部34の前側の剛性を向上させることができる。
【0053】
また、筒状部34の左側にフランジ状のヒンジ部34cを設け、筒状部34の右側にフランジ部34dを設け、筒状部34の上端に上部フランジ部34eを設けることで、筒状部34の周囲を補強することができる。筒状部34はフロントカバーステー30の前後方向中間部に位置し、周囲が補強されているので、フロントカバーステー30全体としての剛性が向上し、フロントカバー41(
図3)の保持を強固にすることができる。
【0054】
ボルト76によりフランジ状のヒンジ部34cを締結することで、筒状部34を閉じた状態において、ヒンジ部34cを補強することができる。
【0055】
図6に示されるように、ブレーキホース54は、筒状部34に通されている。フロントカバーステー30は樹脂製であるので、ブレーキホース54が筒状部54に当たっても、ブレーキホース54を保護することができる。フランジ部34dも、2個のボルト75により締結されるので、樹脂製であっても強固に締結することができる。
【0056】
また、ステー取付部24は、下端にL字状のL字部24aを有するので、左右方向において、ヘッドパイプ21にステー取付部24を強固に溶接することができる。
【0057】
図7に示されるように、ステー取付部24は、ヘッドパイプ21に沿って上下に長く、ヘッドパイプ21に溶接されている。このため、上下方向において、ヘッドパイプ21にステー取付部24を強固に溶接することができる。加えて、フロントカバーステー30を介してフロントカバー41(
図3)を上下方向においても強固に支えることができる。
【0058】
前壁35aは略鉛直の面であるので、車両前後方向の突出を抑えることができる。加えて、筒状部34を有するフロントカバーステー30を、ヘッドパイプ21近傍に設けることで、ブレーキホース54を可撓範囲内に保持すると共に、フロントカバー41も支持することができ、車両10前部をコンパクトにすることができる。
【0059】
尚、本発明の鞍乗型車両の前部構造は、実施の形態では筒状部にブレーキホースのみを通したが、これに限定されず、筒状部にメータケーブル、ハーネス等、可撓範囲を有するケーブルを通しても差し支えない。