(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基板の搬送方向に沿って搬送開始位置から前記基板を1枚ずつ搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルト上に突設され、前記基板と当接することで該基板を滑り止めする突起部と、前記搬送開始位置に設けられ、前記基板の有無を検出する検出部と、を備える搬送装置を用いて前記基板を搬送する基板の搬送方法であって、
前記検出部が前記基板を検出するより前に前記駆動部を駆動して、前記突起部を前記搬送開始位置まで移動させる第1の移動工程と、
前記検出部が前記基板を検出したときに前記突起部を前記基板における前記搬送方向に沿った方向の少なくとも一端に近接させる駆動開始工程と、
前記基板が前記実装位置まで搬送されたときに前記駆動部の駆動を停止する駆動停止工程と、
を備える基板の搬送方法。
基板の搬送方向に沿って搬送開始位置から前記基板を1枚ずつ搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルト上に突設され、前記基板と当接することで該基板を滑り止めする突起部と、前記搬送開始位置に設けられ、前記基板の有無を検出する検出部と、を備える搬送装置を用いて前記基板を搬送する基板の搬送方法であって、
前記搬送開始位置からの前記搬送ベルトに沿った距離が前記基板の前記搬送方向に沿った長さよりも長い距離だけ離れた位置を待機位置とした場合に、
前記検出部が前記基板を検出するより前に前記駆動部を駆動して、前記突起部を前記待機位置まで移動させる第2の移動工程と、
前記基板の搬送が開始されてから前記実装位置に搬送されるまでに前記突起部を前記基板における前記搬送方向の上流側の先端に近接させる駆動開始工程と、
前記基板が前記実装位置まで搬送されたときに前記駆動部の駆動を停止する駆動停止工程と、
を備える基板の搬送方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1に開示された基板搬送装置では、搬送ベルト上における基板の滑り止めを図るために複雑な構成を備えたストッパを別途必要とする。このため、コンベアレイアウトが大きくなり、また、製造コストが増大する問題があった。
【0006】
本明細書で開示される技術は、上記の課題に鑑みて創作されたものである。本明細書では、簡単な構成で搬送ベルト上における基板の滑りを防止ないし抑制することが可能な技術を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で開示される技術は、基板の搬送方向に沿って搬送開始位置から前記基板を1枚ずつ搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルト上に突設され、前記基板と当接することで該基板を滑り止めする突起部と、前記搬送開始位置に設けられ、前記基板の有無を検出する検出部と、前記搬送ベルトを駆動する駆動部と、前記駆動部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記検出部が前記基板を検出したときに前記駆動部の駆動を開始し、前記基板が前記搬送開始位置から該基板に部品を実装する実装位置に搬送されるまでに前記突起部を前記基板における前記搬送方向に沿った方向の少なくとも一端に近接させ、前記基板が前記実装位置まで搬送されたときに前記駆動部の駆動を停止する、基板の搬送装置に関する。
【0008】
上記の基板の搬送装置では、基板が搬送開始位置に搬入されると検出部が当該基板を検出して駆動部の駆動が開始される。そして、基板が搬送開始位置から実装位置まで搬送されるまでの間に突起部が基板の搬送方向における少なくとも一端に近接される。ここで、突起部が基板の一端と当接すれば、搬送ベルト上において基板がそれ以上突起部側に滑ることが防止される。また、突起部と基板の一端との間に隙間が空いていても、突起部は基板の一端と近接しているので、基板が搬送ベルト上を滑った場合には当該基板の一端が即座に突起部と当接し、搬送ベルト上において基板がそれ以上突起部側に滑ることが防止される。
【0009】
このように、上記の基板の搬送装置では、搬送ベルト上に突起部を設け、その搬送ベルトの駆動を制御することで、基板を実装位置で停止させる際の減速時又は基板を実装位置から移動開始させる際の加速時に基板が搬送ベルト上を滑ることを、複雑な装置を必要とすることなく簡単な構成で、防止ないし抑制することができる。以上のように、上記の基板の搬送装置では、簡単な構成で搬送ベルト上における基板の滑りを防止ないし抑制することができる。
【0010】
制御部は、前記検出部が前記基板を検出するより前に前記駆動部を駆動して、前記突起部を前記搬送開始位置まで移動させることで、前記検出部が前記基板を検出したときに前記突起部を前記基板における前記搬送方向の下流側の先端に近接させてもよい。
【0011】
この構成によると、基板を搬送開始位置から移動開始させる際に当該基板における搬送方向の下流側の先端に突起部が近接した状態となる。このため、搬送開始位置から移動開始された基板を実装位置で停止させる際に、基板を減速させるのに伴って当該基板が搬送ベルト上において搬送方向の下流側に滑ることを突起部によって防止ないし抑制することができる。
【0012】
前記制御部は、前記検出部が前記基板を検出するより前に前記駆動部を駆動して、前記突起部を前記搬送開始位置からの前記搬送ベルトに沿った距離が前記基板の前記搬送方向に沿った長さよりも長い距離となる待機位置まで移動させ、前記基板が前記搬送開始位置から前記実装位置に搬送されるまでに前記突起部を前記基板における前記搬送方向の上流側の先端に近接させてもよい。
【0013】
この構成によると、基板を搬送開始位置から当該基板の搬送方向に沿った長さの分だけ移動させたときに、突起部と基板における搬送方向の上流側の先端との間に隙間が空いた状態となる。ここで、搬送開始位置から移動開始された基板は、所定時間経過後に搬送ベルトの駆動速度と等しい速度に到達する。このため、基板を搬送開始位置から実装位置に移動させるまでの間に、突起部を基板に近付けさせることができ、突起部を基板における搬送方向の上流側の先端に近接させることができる。その結果、実装位置で停止した基板を移動開始させる際に、基板を加速させるのに伴って当該基板が搬送ベルト上において搬送方向の上流側に滑ることを突起部によって防止ないし抑制することができる。
【0014】
前記搬送ベルトは、前記搬送方向と直交する方向に並列して設けられた第1のベルトと、第2のベルトと、を有し、前記第1のベルトに設けられた第1の前記突起部と、前記第2のベルトに設けられた第2の前記突起部と、前記第1のベルトを駆動する第1の前記駆動部と、前記第2のベルトを駆動する第2の前記駆動部と、を備え、前記制御部は、前記検出部が前記基板を検出するより前に前記第1の駆動部を駆動して、前記第1の突起部を前記搬送開始位置まで移動させることで、前記検出部が前記基板を検出したときに前記第1の突起部を前記基板における前記搬送方向の下流側の先端に近接させ、前記検出部が前記基板を検出するより前に前記第2の駆動部を駆動して、前記第2の突起部を前記搬送開始位置からの前記第2のベルトに沿った距離が前記基板の前記搬送方向に沿った長さよりも長い距離となる待機位置まで移動させ、前記基板が前記搬送開始位置から前記実装位置に搬送されるまでに前記第2の突起部を前記基板における前記搬送方向の上流側の先端に近接させてもよい。
【0015】
この構成によると、基板を搬送開始位置から移動開始させる際に当該基板における搬送方向の下流側の先端に第1の突起部が近接した状態となる。さらに、基板を搬送開始位置から実装位置に移動させるまでの間に、第2の突起部を基板に近付けさせることができ、第2の突起部を基板における搬送方向の上流側の先端に近接させることができる。このため、基板を減速させるのに伴って当該基板が搬送方向の下流側に滑ることを第1の突起部によって防止ないし抑制することができ、さらに、基板を加速させるのに伴って当該基板が搬送方向の上流側に滑ることを第2の突起部によって防止ないし抑制することができる。
【0016】
前記搬送ベルトは、前記搬送方向と直交する方向に並列して設けられた第1のベルトと、第2のベルトと、前記第1のベルトと前記第2のベルトの間に設けられた少なくとも一つの中間ベルトと、を有し、前記突起部は前記中間ベルト上に設けられ、前記制御部は前記中間ベルトを駆動する前記駆動部を制御してもよい。
【0017】
この構成によると、中間ベルト上に設けられた突起部によって基板の減速時または加速時に当該基板が搬送ベルト上を滑ることを防止ないし抑制することができる。このため、基板の滑り止めを図るための突起部が設けられたベルトを、基板を搬送するためのベルト、即ち第1のベルト及び第2のベルトとは独立して配置することができる。
【0018】
本明細書で開示される他の技術は、基台と、基板の搬送方向に沿って搬送開始位置から前記基板を1枚ずつ搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルト上に突設され、前記基板と当接することで該基板を滑り止めする突起部と、前記搬送開始位置に設けられ、前記基板の有無を検出する検出部と、前記搬送ベルトを駆動する駆動部と、前記駆動部を制御する制御部と、を有する基板の搬送装置と、前記基台上の実装位置に搬送された前記基板の表面に部品を実装する実装装置と、前記部品が供給される部品供給部と、を備え、前記制御部は、前記検出部が前記基板を検出したときに前記駆動部の駆動を開始し、前記基板が前記搬送開始位置から前記実装位置に搬送されるまでに前記突起部を前記基板における前記搬送方向に沿った方向の少なくとも一端に近接させ、前記基板が前記実装位置まで搬送されたときに前記駆動部の駆動を停止する、表面実装機に関する。
【0019】
上記の表面実装機では、基板の搬送装置において基板が搬送開始位置に搬入されると検出部が当該基板を検出して駆動部の駆動が開始される。そして、基板が搬送開始位置から実装位置まで搬送されるまでの間に突起部が基板の搬送方向における少なくとも一端に近接される。ここで、突起部が基板の一端と当接すれば、搬送ベルト上において基板がそれ以上突起部側に滑ることが防止される。また、突起部と基板の一端との間に隙間が空いていても、突起部は基板の一端と近接しているので、基板が搬送ベルト上を滑った場合には即座に突起部と当接し、搬送ベルト上において基板がそれ以上突起部側に滑ることが防止される。このように、搬送ベルト上に突起部を設け、その搬送ベルトの駆動を制御することで、基板を実装位置で停止させる際の減速時または基板を実装位置から移動開始させる際の加速時に、基板が搬送ベルト上を滑ることを防止ないし抑制することができる。以上のように、上記の表面実装機では、簡単な構成で基板の搬送装置の搬送ベルト上における基板の滑りを防止ないし抑制することができる。
【0020】
本明細書で開示される他の技術は、基板の搬送方向に沿って搬送開始位置から前記基板を1枚ずつ搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルト上に突設され、前記基板と当接することで該基板を滑り止めする突起部と、前記搬送開始位置に設けられ、前記基板の有無を検出する検出部と、を備える搬送装置を用いて前記基板を搬送する基板の搬送方法であって、前記検出部が前記基板を検出したときに前記駆動部の駆動を開始し、前記基板が前記搬送開始位置から前記実装位置に搬送されるまでに前記突起部を前記基板における前記搬送方向に沿った方向の少なくとも一端に近接させる駆動開始工程と、前記基板が前記実装位置まで搬送されたときに前記駆動部の駆動を停止する駆動停止工程と、を備える基板の搬送方法に関する。
【0021】
上記の基板の搬送方法では、搬送開始位置に搬入された基板を検出部が検出すると駆動開始工程が行われる。この駆動開始工程では、基板が搬送開始位置から実装位置まで搬送されるまでの間に突起部が基板の搬送方向における少なくとも一端に近接される。ここで、突起部が基板の一端と当接すれば、搬送ベルト上において基板がそれ以上突起部側に滑ることが防止される。また、突起部と基板の一端との間に隙間が空いていても、突起部は基板の一端と近接しているので、基板が搬送ベルト上を滑った場合には即座に突起部と当接し、搬送ベルト上において基板がそれ以上突起部側に滑ることが防止される。このため、駆動開始工程において基板を実装位置で停止させる際の減速時、または駆動停止工程の後に基板を実装位置から移動開始させる際の加速時に、基板が搬送ベルト上を滑ることを防止ないし抑制することができる。以上のように、上記の基板の搬送方法では、搬送ベルト上における基板の滑りを防止ないし抑制することができる。
【0022】
前記駆動開始工程の前に前記駆動部を駆動して、前記突起部を前記搬送開始位置まで移動させる第1の移動工程をさらに備え、前記駆動開始工程では、前記検出部が前記基板を検出したときに前記突起部を前記基板における前記搬送方向の下流側の先端に近接させてもよい。
【0023】
この搬送方法によると、駆動開始工程の前に第1の移動工程を行うことで、駆動開始工程を開始する際、即ち基板を搬送開始位置から移動開始させる際に当該基板における搬送方向の下流側の先端に突起部が近接した状態となる。このため、駆動開始工程において搬送開始位置から移動開始された基板を実装位置で停止させる際に、基板を減速させるのに伴って当該基板が搬送ベルト上において搬送方向の下流側に滑ることを突起部によって防止ないし抑制することができる。
【0024】
前記検出部が前記基板を検出するより前に前記駆動部を駆動して、前記突起部を前記搬送開始位置からの前記搬送ベルトに沿った距離が前記基板の前記搬送方向に沿った長さよりも長い距離となる待機位置まで移動させる第2の移動工程をさらに備え、前記駆動開始工程では、前記基板が前記上流側端部から前記実装位置に搬送されるまでに前記突起部を前記基板における前記搬送方向の上流側の先端に近接させてもよい。
【0025】
この搬送方法によると、駆動開始工程の前に第2の移動工程を行うことで、駆動開始工程において基板を搬送開始位置から当該基板の搬送方向に沿った長さの分だけ移動させたときに、突起部と基板における搬送方向の上流側の先端との間に隙間が空いた状態となる。このため、駆動開始工程において基板を搬送開始位置から実装位置に移動させるまでの間に、突起部を基板に近付けさせることができ、突起部を基板における搬送方向の上流側の先端に近接させることができる。その結果、駆動停止工程の後に実装位置で停止した基板を移動開始させる際に、基板を加速させるのに伴って当該基板が搬送ベルト上において搬送方向の上流側に滑ることを突起部によって防止ないし抑制することができる。
【発明の効果】
【0026】
本明細書で開示される技術によれば、簡単な構成で基板の滑りを防止ないし抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<実施形態1>
(表面実装機の全体構成)
図1から
図7を参照して実施形態1を説明する。
図1に示すように、表面実装機1は、平面視長方形状をなすとともに上面が平らな基台10上に各種装置を配置した構成とされている。なお、以下の説明では、基台10の長辺方向(
図1の左右方向)をX軸方向とし、基台10の短辺方向(
図1の上下方向)をY軸方向とし、基台10の上下方向(
図2の上下方向)をZ軸方向とする。
【0029】
基台10の中央には、プリント基板(基板の一例)Mを搬送するためのコンベア(基板の搬送装置の一例)20が配置されている。コンベア20は、X軸方向に循環駆動する一対の搬送ベルト21を備えている。プリント基板Mは、両搬送ベルト21を架設するようにセットすることができる。搬送ベルト21の上面に載置されたプリント基板Mは、搬送ベルト21との間の摩擦によって当該搬送ベルト21の駆動方向(X軸方向)に搬送される。
【0030】
コンベア20における搬送ベルト21にセットされたプリント基板Mは、
図1、
図2等において図の右側から左側に向かう方向(以下、搬送方向と称する)に搬送されるようになっている。なお、本実施形態では、搬送ベルト21はプリント基板Mを1枚ずつ搬送するものとする。
【0031】
表面実装機1では、
図1に示す右側が入口とされ、搬送開始位置(
図1参照)P1とされている。搬送開始位置P1に搬入されたプリント基板Mは
図1に示す右側よりコンベア20を通じて機内へと搬入される。機内へと搬入されたプリント基板Mは、コンベア20によって基台10の中央の実装位置(
図1参照)P2まで運ばれ、そこで停止する。このコンベア20の構成については、後で詳しく説明する。
【0032】
実装位置P2の周囲(プリント基板Mの搬送方向における側方)には、プリント基板Mに実装する電子部品Eを供給するための部品供給部30が設けられている。部品供給部30は、コンベア20の両側(
図1の上下両側)においてX軸方向に並んで2箇所ずつ、計4箇所に設けられている。
【0033】
これらの部品供給部30には、複数のフィーダーFが横並び状に整列して取り付けられている。各フィーダーFは、部品供給テープが巻回されたリール(不図示)、リールから部品供給テープを引き出す電動式の送出装置(不図示)等から構成されており、電子部品Eが一つずつ供給されるようになっている。
【0034】
そして、実装位置P2では、上記フィーダーFを通じて供給された電子部品Eを、プリント基板M上に実装する実装処理が部品実装装置30によって行われる。実装処理が終了したプリント基板Mは、再び搬送が開始され、コンベア20を通じて
図1における左方向へ運ばれて機外に搬出される構成になっている。
【0035】
次に、プリント基板M上に電子部品Eを実装するための実装装置40について説明する。実装装置40は、X軸サーボ機構、Y軸サーボ機構、Z軸サーボ機構、及びこれらの各サーボ機構の駆動によってX軸方向、Y軸方向、Z軸方向にそれぞれ移動操作される吸着ヘッド41等を備えている。
【0036】
具体的には、
図1に示すように、基台10上には一対の支持脚42が設置されている。両支持脚42は、作業位置のX軸方向における両側に位置しており、共にY軸方向に沿ってまっすぐに延びている。
【0037】
両支持脚42には、その上面にY軸方向に沿って延びるガイドレール43が設置されている。X軸方向における両側に設置された各ガイドレール43には、X軸方向に沿って延びるヘッド支持体44が、その長辺方向の両端部が嵌合された状態で取り付けられている。
【0038】
一方(
図1の右側)の支持脚42には、Y軸方向に沿って延びるY軸ボールねじ45が装着されている。このY軸ボールねじ45には、図示しないボールナットが螺合されている。また、Y軸ボールねじ47には、Y軸モータ46が付設されている。
【0039】
Y軸モータ46を通電操作すると、Y軸ボールねじ45に沿ってボールナットが進退し、その結果、ボールナットに固定されたヘッド支持体44、及び次述するヘッドユニット48がガイドレール43に沿ってY軸方向に移動する。
【0040】
また、ヘッド支持体44には、X軸方向に沿って延びるX軸ボールねじ49が装着されている。このX軸ボールねじ49には、図示しないボールナットが螺合されている。
【0041】
X軸ボールねじ49にはX軸モータ50が付設されており、このX軸モータ50を通電操作すると、X軸ボールねじ49に沿ってボールナットが進退し、その結果、ボールナットに固定されたヘッドユニット48がX軸方向に移動する。
【0042】
以上のように、X軸サーボ機構、Y軸サーボ機構を複合的に制御することで、基台10上においてヘッドユニット48を水平方向(X−Y平面方向)に移動操作できる構成となっている。
【0043】
このヘッドユニット48には、実装動作を行う実装ヘッド63が列状をなして複数個搭載されている。ヘッドユニット48の下面側には下向きに突出する吸着ノズル41が設けられている。各吸着ノズル41には、図示しない吸引装置から負圧が供給されるように構成されており、吸着ノズル41の先端に吸引力を生じさせるようになっている。
【0044】
このような構成とすることで、フィーダーFを通じて供給される電子部品Eを、実装装置40の吸着ノズル41で吸着し、実装位置P2に停止したプリント基板M上に実装するようになっている。
【0045】
また、コンベア20の両側(
図1の上下両側)であってX軸方向に並んだ2つの部品供給部30の間には、それぞれ部品認識カメラ52が配置されている。部品認識カメラ52は、実装装置40の吸着ノズル41で吸着された電子部品Eの画像を撮像することで、電子部品Eの吸着姿勢を検出する。
【0046】
(コンベアの構成)
続いてコンベア20の構成について詳しく説明する。コンベア20を構成する一対の搬送ベルト21は同様の構成であり、以下では、一方の搬送ベルト21について説明する。搬送ベルト21は、回転可能な4つのローラ22によって支持されている。各ローラ22は、搬送ベルト21における搬送方向の上流側端部と下流側端部とにそれぞれ一対ずつ配置されている。これらの4つのローラ22が回転駆動することで、搬送ベルト21が搬送方向に循環駆動される。
【0047】
図2に示すように、コンベア20の上流側端部には、各ローラ22を駆動するとともに位置制御が可能なサーボモータ(駆動部の一例)23が配置されている。サーボモータ23は、各搬送ベルト21に1つずつ配置されている。
【0048】
また、
図1及び
図2に示すように、コンベア20における搬送方向の上流側端部、具体的には上述した搬送開始位置P1とされる部位には、プリント基板Mの有無を検出する基板検出センサSが配置されている。基板検出センサSは、一対の搬送ベルト21の内側においてプリント基板Mが搬送される高さよりも下側(
図2の下側)に配置されている。
【0049】
プリント基板Mが搬送される際、基板検出センサSの上側にプリント基板Mが位置した状態となると、基板検出センサSはプリント基板Mを検出し、ON状態とされる。
【0050】
コンベア20における一対の搬送ベルト21上には、
図2に示すように、それぞれ突起状のベルト突起24が突設されている。ベルト突起24は、1つの搬送ベルト21に対して2つずつ設けられている。1つの搬送ベルト21に設けられた2つのベルト突起24は、搬送ベルト21に沿った二方向において等間隔で離間するように配置されている。
【0051】
搬送ベルト21に設けられたベルト突起24は、搬送ベルト21のベルト面に対して垂直に立ち上がる略ブロック状をなしており、搬送方向における両側端面が搬送ベルト21上を搬送されるプリント基板Mの搬送方向における両側端面と略平行に対向するものとなっている。
【0052】
さらに、ベルト突起24は、その立ち上がり寸法がプリント基板Mの厚み寸法の半分程度とされている。このためベルト突起24は、搬送ベルト21上を搬送されるプリント基板Mの搬送方向における両側端面と面で当接することで、当該プリント基板Mを滑り止めすることが可能となっている。
【0053】
本実施形態のコンベア20では、一対の搬送ベルト21にそれぞれ配置されたサーボモータ23が互いに同期して駆動するようになっている。即ち、コンベア20では、CPU50は、各サーボモータ23を同様のタイミング及び駆動速度で駆動する。従って、各搬送ベルト21上に設けられた各ベルト突起24は、プリント基板Mの板面方向であって搬送方向と直交する方向(
図1で示すY軸方向)に沿って並んだ状態で移動する。
【0054】
(コンベアの電気的構成)
次に、コンベア20の電気的構成について、
図3を参照して説明する。コンベア20は、CPU(制御部の一例)50によって制御統括されている。CPU50は、サーボモータ23と電気的に接続されており、サーボモータ23は搬送ベルト21と電気的に接続されている。
【0055】
CPU50には、サーボモータ23の駆動を制御する駆動プログラム等が記憶されている。この駆動プログラムには、後述するベルト突起24を移動させる距離等の情報が含まれている。従って、CPU50は、サーボモータ23を通じて搬送ベルト21の駆動を制御する。
【0056】
また、CPU50は、基板検出センサSと電気的に接続されている。基板検出センサSがプリント基板Mを検出してON状態となると、その情報がCPU50へと送信される。
【0057】
(搬入処理)
本実施形態に係る表面実装機1及びコンベア20は以上のような構成であって、次に、コンベア20において、プリント基板Mが当該コンベア20の搬送開始位置P1に搬入されてから実装位置P2に搬送されるまでにCPU50が実行する搬入処理について、
図4に示すフローチャートを参照して説明する。
【0058】
搬入処理が開始されると、CPU50は、搬送開始位置P1にプリント基板Mが搬入される前に、即ち、基板検出センサSがプリント基板Mを検出するより前にサーボモータ23を駆動し、ベルト突起24を搬送開始位置P1まで移動させる(S2)。S2でCPU50が実行する処理は、第1の移動工程の一例である。CPU50は、S2の処理が終了すると、S4に移行する。
【0059】
S4では、CPU50は、基板検出センサSが搬送開始位置P1に搬入されたプリント基板Mを検出してON状態となったのか否かを判断する。CPU50は、S4でON状態になっていないと判断した場合(S4:NO)、基板検出センサSがON状態となるまでS4の処理を繰り返し実行する。CPU50は、S4でON状態になったと判断した場合(S4:YES)、S6に移行する。なお、CPU50は、ベルト突起24を搬送開始位置P1に移動させてから基板検出センサSがON状態となったと判断するまでの間、サーボモータ23の駆動を停止しており、待機状態となっている。
【0060】
S6では、CPU50は、コンベア20のサーボモータ23を駆動開始し、S8に移行する。コンベア20のサーボモータ23が駆動開始することで、搬送ベルト21が回転駆動する。これにより、コンベア20の搬送開始位置P1まで搬入されたプリント基板Mは、搬送開始位置P1で停止することなく、継続してコンベア20の実装位置P2まで搬送される。S6でCPU50が実行する処理は、駆動開始工程の一例である。CPU50は、S6の処理が終了すると、S8に移行する。
【0061】
S8では、CPU50は、コンベア20のサーボモータ23を駆動停止し、搬入処理を終了する。具体的には、CPU50は、プリント基板Mがコンベア20の実装開始位置まで到達したときにサーボモータ23を駆動停止する。S8でCPU50が実行する処理は、駆動停止工程の一例である。
【0062】
続いて、
図5〜
図7の側面図を参照して、上述した搬入処理の具体例について説明する。なお、
図5から
図7では、図の右側から左側に向かう方向が搬送方向であり、図の右側に示すコンベア20が搬送方向の上流側(以下、単に上流側と称する)のコンベア20を示しており、図の左側に示すコンベア20が搬送方向の下流側(以下、単に下流側と称する)のコンベア20を示している。上流側のコンベア20と下流側のコンベア20は同様の構成である。
【0063】
また、以下に説明する具体例では、プリント基板Mが、上流側のコンベア20から、下流側のコンベア20の搬送開始位置P1に搬入され、下流側のコンベア20の実装位置P2に搬送されるまでに、下流側のコンベア20のCPU50が実行する搬入処理について説明する。
【0064】
搬入処理が開始されてプリント基板Mが下流側のコンベア20の搬送開始位置P1に搬入されるより前の状態では、
図5に示すように、プリント基板Mが上流側のコンベア20に位置している。
図5に示す状態では、プリント基板Mは、上流側のコンベア20において、その下流側の端面DEが上流側のコンベア20の搬送ベルト21上に設けられたベルト突起24と当接している。これにより、プリント基板Mが上流側のコンベア20の搬送ベルト21上において下流側へ滑ることが防止されている。
【0065】
また、
図5に示す状態では、下流側のコンベア20において、ベルト突起24が搬送開始位置P1まで移動されている。詳しくは、下流側のコンベア20において、プリント基板Mが搬送開始位置P1に搬入されたときにプリント基板Mの下流側の端面DEと当接するような位置までベルト突起24が移動される。
【0066】
その後、
図6に示すように、プリント基板Mが下流側のコンベア20の搬送開始位置P1に搬入されると、下流側のコンベア20の基板検出センサSがプリント基板Mの下流側の端部を検出し、ON状態とされる。
図6に示す状態では、プリント基板Mの下流側の端部が基板検出センサSの上方に位置しており、上流側のコンベア20の搬送ベルト21上と下流側のコンベア20の搬送ベルト21上とにプリント基板Mが跨って載置された状態となっている。
【0067】
また、下流側のコンベア20において、プリント基板Mが搬送開始位置P1に搬入されるより前にベルト突起24が予め搬送開始位置P1まで移動されることで、
図6に示すように、搬送開始位置P1においてプリント基板Mの下流側の端面DEが下流側のコンベア20のベルト突起24と当接する。
【0068】
その後、
図7に示すように、プリント基板Mが下流側のコンベア20の実装位置P2まで搬送されると、サーボモータ23の駆動が停止され、プリント基板Mの搬送が停止する。下流側のコンベア20において、プリント基板Mが搬送開始位置P1から実装位置P2まで搬送される間、プリント基板Mの下流側の端面DEにはベルト突起24が当接した状態となっている。
【0069】
ここで、搬入処理における、プリント基板Mの搬送速度及び下流側のコンベア20に設けられた搬送ベルト21の回転速度の変化について説明する。プリント基板Mが上流側のコンベア20の搬送ベルト21上から下流側のコンベア20の搬送ベルト21上に乗り継ぐ際、下流側のコンベア20ではサーボモータ23の駆動が停止している。このため、上流側のコンベア20の搬送ベルト21上から下流側のコンベア20の搬送ベルト21上に乗り継いだプリント基板Mは、その搬送速度が減速される。
【0070】
プリント基板Mが下流側のコンベア20の搬送開始位置P1に到達して下流側のコンベア20のサーボモータ23が駆動を開始すると、下流側のコンベア20の搬送ベルト21が回転駆動を開始し、所定の速度になるまでその速度が加速されていく。これに伴い、下流側のコンベア20において、搬送開始位置P1から実装位置P2まで搬送されるプリント基板Mの搬送速度が加速され、所定時間経過後、プリント基板Mの搬送速度が搬送ベルト21の回転駆動速度と等しくなる。
【0071】
その後、下流側のコンベア20において、プリント基板Mが実装位置P2に近づくと、搬送ベルト21の回転駆動速度が減速され、プリント基板Mが実装位置P2に到達すると搬送ベルト21の回転駆動が停止する。これに伴い、プリント基板Mの搬送速度が減速されていく。
【0072】
搬送ベルト21の回転駆動速度が減速される場合、搬送ベルト21上のプリント基板Mには搬送方向下流側向きの慣性力が働くため、プリント基板Mが搬送ベルト21上を下流側へ滑る虞がある。この点、本実施形態では、プリント基板Mが搬送開始位置P1から実装位置P2まで搬送されるまでの間、プリント基板Mの下流側の端面DEにベルト突起24が当接しているため、プリント基板Mが搬送ベルト21上を下流側へ滑ることがベルト突起24によって防止される。
【0073】
以上のように本実施形態のコンベア20では、プリント基板Mが搬送開始位置P1に搬入されると基板検出センサSが当該プリント基板Mを検出してサーボモータ23の駆動が開始される。そして、プリント基板Mが搬送開始位置P1から実装位置P2まで搬送されるまでの間にベルト突起24がプリント基板Mの搬送方向における下流側の端面に当接される。ここで、ベルト突起24がプリント基板Mの一端と当接すれば、搬送ベルト21上においてプリント基板Mがそれ以上ベルト突起24側に滑ることが防止される。また、ベルト突起24とプリント基板Mの一端との間に隙間が空いていても、ベルト突起24はプリント基板Mの一端と近接しているので、プリント基板Mが搬送ベルト21上を滑った場合には即座にベルト突起24と当接し、搬送ベルト21上においてプリント基板Mがそれ以上ベルト突起24側に滑ることが防止される。
【0074】
また、このように、本実施形態のコンベア20では、搬送ベルト21上にベルト突起24を設け、その搬送ベルト21の駆動を制御することで、プリント基板Mを実装位置P2で停止させる際の減速時又はプリント基板Mを実装位置P2から移動開始させる際の加速時にプリント基板Mが搬送ベルト21上を滑ることを、複雑な装置を必要とすることなく簡単な構成で、防止ないし抑制することができる。以上のように、上記のプリント基板Mの搬送装置では、簡単な構成で搬送ベルト21上におけるプリント基板Mの滑りを防止ないし抑制することができる。
【0075】
また、本実施形態では、CPU50は、基板検出センサSがプリント基板Mを検出するより前にサーボモータ23を駆動して、ベルト突起24を搬送開始位置P1まで移動させることで、基板検出センサSがプリント基板Mを検出したときにベルト突起24をプリント基板Mにおける搬送方向の下流側の先端に当接させる。このような構成とされていることで、下流側のコンベア20において、プリント基板Mを搬送開始位置P1から移動開始させる際に当該プリント基板Mにおける下流側の先端DEにベルト突起24が当接した状態となる。このため、下流側のコンベア20において、搬送開始位置P1から移動開始されたプリント基板Mを実装位置P2で停止させる際に、プリント基板Mを減速させるのに伴って当該プリント基板Mが搬送ベルト21上において搬送方向の下流側に滑ることをベルト突起24によって防止ないし抑制することができる。
【0076】
なお、表面実装機1が、実装位置P2におけるプリント基板Mの停止位置のずれを撮像して位置を調整するための位置調整カメラを備えている場合、通常の位置調整カメラでは5mm程度以内のずれまでしか撮像することができない。このため、プリント基板Mがその減速時に搬送ベルト21上を5mm以上滑った場合、プリント基板Mの位置ずれを通常の位置調整カメラでは調整することができない。これに対し、本実施形態では、搬送開始位置P1においてプリント基板Mの下流側の先端DEにベルト突起24が当接した状態となるので、プリント基板Mがその減速時に搬送ベルト21上を5mm以上滑ることを防止することができる。このため、本実施形態の表面実装機1では、位置調整カメラでは撮像及び調整することができないようなプリント基板Mの位置ずれが発生することを防止することができる。
【0077】
また、プリント基板の滑り止めを図るための固定式のストッパを備えるコンベアでは、プリント基板の両面に電子部品を実装する場合、2回目のプリント基板の搬送工程、即ち1回目のプリント基板の搬送工程で電子部品が実装された面が裏面としてプリント基板が搬送される工程では、1回目のプリント基板の搬送工程で実装された電子部品がストッパと干渉することがある。さらに、固定式のストッパを備えるプリント基板の搬送装置では、搬送中の基板にストッパが突き当たることとなるため、その衝撃によって、はんだが固まっていない電子部品がプリント基板上から外れてしまう虞がある。この点、本実施形態のコンベア20では、搬送ベルト21上に当該搬送ベルト21と共に移動するベルト突起24が突設され、当該ベルト突起24によって搬送ベルト21上におけるプリント基板Mの滑り止めを図るため、上記のように電子部品Eがベルト突起21と干渉することや電子部品Eがプリント基板M上から外れてしまうこと等を回避することができる。
【0078】
<実施形態2>
図面を参照して実施形態2を説明する。実施形態2は、コンベア120(
図9等参照)のCPUが実行する搬入処理の一部が実施形態1のものと異なっている。表面実装機の構成やコンベア120の構成等、他の構成については、実施形態1と同様であるため説明を省略する。なお、
図9、
図10、
図11において、
図5、
図6、
図7の参照符号にそれぞれ数字100を加えた部位は、実施形態1で説明した部位と同様である。
【0079】
図8に示すフローチャートを参照して実施形態2に係る搬入処理を説明する。搬入処理が開始されると、CPUは、搬送開始位置にプリント基板Mが搬入される前に、即ち、基板検出センサSがプリント基板Mを検出するより前にサーボモータ123(
図9等参照)を駆動し、ベルト突起124(
図9等参照)を所定の待機位置まで移動させる(S102)。S102でCPUが実行する処理は、第2の移動工程の一例である。
【0080】
ここで、所定の待機位置とは、搬送開始位置からの搬送ベルト121(
図9等参照)に沿った距離がプリント基板Mの搬送方向に沿った長さより長い距離だけ離れた位置である。CPUは、S102の処理が終了すると、S104に移行する。
【0081】
S104では、CPUは、基板検出センサSが搬送開始位置に搬入されたプリント基板Mを検出してON状態となったのか否かを判断する。CPUは、S104でON状態になっていないと判断した場合(S104:NO)、基板検出センサSがON状態となるまでS104の処理を繰り返し実行する。CPUは、S104でON状態になったと判断した場合(S104:YES)、S106に移行する。なお、CPUは、ベルト突起124を搬送開始位置に移動させてから基板検出センサSがON状態となったと判断するまでの間、サーボモータ123の駆動を停止しており、待機状態となっている。
【0082】
S106、S108においてCPUが実行する処理は、実施形態1の搬入処理のS6、S8においてそれぞれCPU50が実行する処理と同様である。このため、S106、S108でCPUが実行する処理については説明を省略する。
【0083】
続いて、
図9〜
図11の側面図を参照して、上述した搬入処理の具体例について説明する。なお、
図9から
図11では、図の右側から左側に向かう方向が搬送方向であり、図の右側に示すコンベア120が搬送方向の上流側(以下、単に上流側と称する)のコンベア20を示しており、図の左側に示すコンベア120が搬送方向の下流側(以下、単に下流側と称する)のコンベア120を示している。上流側のコンベア120と下流側のコンベア120は同様の構成である。
【0084】
また、以下に説明する具体例では、プリント基板Mが、上流側のコンベア120から、下流側のコンベア120の搬送開始位置に搬入され、下流側のコンベア120の実装位置に搬送されるまでに、下流側のコンベア120のCPUが実行する搬入処理について説明する。
【0085】
搬入処理が開始されてプリント基板Mが下流側のコンベア120の搬送開始位置に搬入されるより前の状態では、
図9に示すように、プリント基板Mが上流側のコンベア120に位置している。
図9に示す状態では、プリント基板Mは、上流側のコンベ1ア20において、その上流側の端面UEが上流側のコンベア120の搬送ベルト121上に設けられたベルト突起124と当接している。これにより、プリント基板Mが上流側のコンベア120の搬送ベルト121上において上流側へ滑ることが防止されている。
【0086】
また、
図9に示す状態では、下流側のコンベア120において、ベルト突起124が所定の待機位置まで移動されている。詳しくは、待機位置は、
図10に示すように、下流側のコンベア120において、搬送開始位置からの搬送ベルト121に沿った距離がプリント基板Mの搬送方向に沿った長さL1に所定のマージンL2を加えた長さの距離L3だけ離れた位置である。ここでいう所定のマージンL2は、経験則により導き出される任意の距離とする。
【0087】
その後、
図10に示すように、プリント基板Mが下流側のコンベア120の搬送開始位置に搬入されると、下流側のコンベア120の基板検出センサSがプリント基板Mの下流側の端部を検出し、ON状態とされる。
図10に示す状態では、プリント基板Mの下流側の端部が基板検出センサSの上方に位置しており、上流側のコンベア120の搬送ベルト121上と下流側のコンベア120の搬送ベルト121上とにプリント基板Mが跨って載置された状態となっている。
【0088】
また、下流側のコンベア120において、プリント基板Mが搬送開始位置に搬入されるより前にベルト突起124が予め待機位置まで移動されることで、
図10に示すように、プリント基板Mが搬送開始位置に搬入された状態では、プリント基板Mとベルト突起124との間が離間した状態となる。
【0089】
その後、下流側のコンベア120の搬送ベルト120上にプリント基板Mの全面が載置された状態となると、プリント基板Mとベルト突起124との間は上記した所定のマージンL2の距離だけ離間した状態となる。そして、
図11に示すように、プリント基板Mが下流側のコンベア120の実装位置まで搬送されると、サーボモータ123の駆動が停止され、プリント基板Mの搬送が停止する。
【0090】
ここで、下流側のコンベア120において、搬送ベルト121が回転駆動を開始してから所定の速度になるまでの間は、実施形態1で説明したようにその速度が加速されていくため、搬送ベルト121上のプリント基板Mには搬送方向上流側向きの慣性力が働く。この慣性力によってプリント基板Mが搬送ベルト121上を上流側に滑り、これにより、所定のマージンL2の距離だけ離間したプリント基板Mの上流側の端面UEとベルト突起124との間が近接していく。そして、プリント基板Mが実装位置に到達するまでに、プリント基板Mの上流側の端面UEにベルト突起124が当接する(
図11参照)。
【0091】
実装位置で停止したプリント基板M上への電子部品の実装が終了すると、プリント基板Mの搬送が再び開始される。このとき、搬送ベルト121の回転駆動速度が加速されるため、プリント基板Mが搬送ベルト121上を上流側に滑ることがある。この点、本実施形態では、プリント基板Mが実装位置に到達するまでに、プリント基板Mの上流側の端面UEにベルト突起124が当接するため、プリント基板Mが実装位置から再び搬送開始されるときに搬送ベルト121上を上流側へ滑ることが、ベルト突起124によって防止される。
【0092】
以上のように本実施形態の表面実装機では、CPUは、基板検出センサSがプリント基板Mを検出するより前にサーボモータ123を駆動して、ベルト突起124を搬送開始位置からの搬送ベルト121に沿った距離がプリント基板Mの搬送方向に沿った長さよりも長い距離となる待機位置まで移動させる。そして、CPUは、プリント基板Mが搬送開始位置から実装位置に搬送されるまでにベルト突起124をプリント基板Mにおける搬送方向の上流側の端面UEに当接させる。このような構成とされていることで、プリント基板Mを搬送開始位置から当該プリント基板Mの搬送方向に沿った長さの分だけ移動させたときに、ベルト突起124とプリント基板Mにおける搬送方向の上流側の端面UEとの間に隙間が空いた状態となる。ここで、搬送開始位置から移動開始されたプリント基板Mは、所定時間経過後に搬送ベルト124の駆動速度と等しい速度に到達する。このため、プリント基板Mを搬送開始位置から実装位置に移動させるまでの間に、ベルト突起124をプリント基板Mに近付けさせることができ、ベルト突起124を基板における搬送方向の上流側の端面UEに当接させることができる。その結果、実装位置で停止したプリント基板Mを移動開始させる際に、プリント基板Mを加速させるのに伴って当該基板が搬送ベルト上において搬送方向の上流側に滑ることをベルト突起124によって防止ないし抑制することができる。
【0093】
また、仮に搬送開始位置から待機位置までの距離に上記のような所定のマージンL2を加えない場合、ベルト突起124を待機位置まで移動させた際に、搬送開始位置から待機位置までの搬送ベルト121に沿った距離がプリント基板Mの長さよりも小さくなり、搬送開始位置に搬入されたプリント基板Mがベルト突起124上に乗り上げてしまう虞がある。この点、本実施形態では、搬送開始位置から待機位置までの距離に上記のような所定のマージンL2を加えるため、搬送開始位置においてプリント基板Mがベルト突起124上に乗り上げてしまうことを防止することができる。
【0094】
<実施形態3>
図面を参照して実施形態3を説明する。実施形態3は、コンベア220の構成が実施形態1のものと異なっている。表面実装機における他の構成については、実施形態1と同様であるため説明を省略する。
【0095】
実施形態3に係るコンベア220では、
図13に示すように、当該コンベア220を構成する一対の搬送ベルト221がそれぞれ第1の搬送ベルト(第1のベルトの一例)221A及び第2の搬送ベルト(第2のベルトの一例)221Bとされている。第1の搬送ベルト221Aは当該第1の搬送ベルト221Aの内側に配置された第1のサーボモータ(第1の駆動部の一例)223Aによって駆動され、第2の搬送ベルト221Bは当該第2の搬送ベルト221Bの内側に配置された第2のサーボモータ(第2の駆動部の一例)223Bによって駆動されるようになっている。
【0096】
図13に示すように、第1の搬送ベルト221A及び第2の搬送ベルト221Bの内側には、それぞれ基板検出センサSが配置されている。また、第1の搬送ベルト221A上には第1のベルト突起(第1の突起部の一例)224Aが突設され、第2の搬送ベルト221B上には第2のベルト突起(第2の突起部の一例)224Bが突設されている。基板検出センサの構成及び配置、各搬送ベルト221A,221B、各サーボモータ223A,223B及び各ベルト突起224A,224Bの構成については、実施形態1で説明したものと同様である。また、本実施形態のコンベア220では、CPUは、第1のサーボモータ223Aと第2のサーボモータ223Bを個別に駆動させることが可能とされている。
【0097】
続いて、
図14に示すフローチャートを参照して、実施形態3に係るコンベア220による搬入処理について説明する。搬入処理が開始されると、CPUは、搬送開始位置にプリント基板Mが搬入される前に、即ち、基板検出センサSがプリント基板Mを検出するより前に第1のサーボモータ223Aを駆動し、第1のベルト突起224Aを搬送開始位置まで移動させる(S202)。CPUは、S202の処理が終了すると、S204に移行する。
【0098】
S204では、CPUは、基板検出センサSがプリント基板Mを検出するより前に第2のサーボモータ223Bを駆動し、第2のベルト突起224Bを所定の待機位置まで移動させる。ここでいう所定の待機位置は、実施形態2で説明した待機位置と同様である。CPUは、S204の処理が終了すると、S206に移行する。
【0099】
S206では、CPUは、基板検出センサSが搬送開始位置に搬入されたプリント基板Mを検出してON状態となったのか否かを判断する。CPUは、S206でON状態になっていないと判断した場合(S206:NO)、基板検出センサSがON状態となるまでS206の処理を繰り返し実行する。CPUは、S206でON状態になったと判断した場合(S206:YES)、S208に移行する。なお、CPUは、第1のベルト突起224Aを搬送開始位置に移動させるとともに、第2のベルト突起224Bを所定の待機位置に移動させてから基板検出センサSがON状態となったと判断するまでの間、第1のサーボモータ223A及び第2のサーボモータ223Bの駆動を停止しており、待機状態となっている。
【0100】
S208では、CPUは、第1のサーボモータ223A及び第2のサーボモータ223Bを駆動開始し、S210に移行する。第1のサーボモータ223A及び第2のサーボモータ223Bが駆動開始することで、第1の搬送ベルト221A及び第2の搬送ベルト221Bが回転駆動する。これにより、コンベア220の搬送開始位置まで搬入されたプリント基板Mは、搬送開始位置で停止することなく、継続してコンベア220の実装位置まで搬送される。CPUは、S208の処理が終了すると、S210に移行する。
【0101】
S8では、CPUは、第1のサーボモータ223A及び第2のサーボモータ223Bを駆動停止し、搬入処理を終了する。具体的には、CPUは、プリント基板Mがコンベア220の実装開始位置まで到達したときに第1のサーボモータ223A及び第2のサーボモータ223Bを駆動停止する。
【0102】
なお、コンベア220において、CPUは、プリント基板Mが搬送開始位置に到達してからコンベア220から離れるまでの間は、第1のサーボモータ223Aと第2のサーボモータ223Bを同期して駆動させる。このため、コンベア220におけるプリント基板Mの搬送時には第1の搬送ベルト221Aと第2の搬送ベルト221Bとの駆動速度に差が生じることはなく、これにより、第1の搬送ベルト221Aと第2の搬送ベルト221Bとの駆動速度の違い等によって、プリント基板Mが搬送中に傾いたり各搬送ベルト221A,221B上から脱落したりすること等が防止される。
【0103】
このようにコンベア220では、CPUは、第1のサーボモータ223Aを実施形態1で説明した手順と同様の手順で駆動し、第2のサーボモータ223Bを実施形態2で説明した手順と同様の手順で駆動する。これにより、第1のベルト突起224Aは実施形態1で説明したベルト突起24と同様の手順で移動し、第2のベルト突起224Bは実施形態2で説明したベルト突起124と同様の手順で移動する。
【0104】
以上のように本実施形態に係るコンベア220では、プリント基板Mを搬送開始位置から移動開始させる際に当該プリント基板Mにおける搬送方向の下流側の端面DEに第1のベルト突起224Aが当接した状態となる。さらに、プリント基板Mを搬送開始位置から実装位置に移動させるまでの間に、第2のベルト突起224Bをプリント基板Mに近接させることができ、第2のベルト突起224Bをプリント基板Mにおける搬送方向の上流側の端面UEに当接させることができる。このため、プリント基板Mを減速させるのに伴って当該プリント基板Mが搬送方向の下流側に滑ることを第1のベルト突起224Aによって防止ないし抑制することができ、さらに、プリント基板Mを加速させるのに伴って当該プリント基板Mが搬送方向の上流側に滑ることを第2のベルト突起224Bによって防止ないし抑制することができる。この結果、1つのコンベア220上において、簡単な構成で、搬送ベルト221上においてプリント基板Mが搬送方向の上流側及び下流側に滑ることを防止ないし抑制することができる。
【0105】
<実施形態4>
図面を参照して実施形態4を説明する。実施形態4は、コンベア320における搬送ベルト321の構成が実施形態1のものと異なっている。表面実装機における他の構成については、実施形態1と同様であるため説明を省略する。
【0106】
実施形態4に係るコンベア320は、
図15に示すように、3つのベルトからなる搬送ベルト321を備えている。即ち、コンベア330は、第1の搬送ベルト321Aと第2の搬送ベルト321Bを備える他、第1の搬送ベルト321Aと第2の搬送ベルト321Bの間に設けられた一つの中間搬送ベルト(中間ベルトの一例)321Cからなる搬送ベルト321を備える構成とされている。
【0107】
本実施形態のコンベア320では、中間搬送ベルト321C上にのみベルト突起324が突設されている。また、コンベア320において、CPUは、中間搬送ベルト321Cの内側に配置されたサーボモータ323の駆動を制御する。具体的には、コンベア320において、CPUは、サーボモータ323を実施形態1又は実施形態2で説明した手順と同様の手順で駆動する。これにより、中間搬送ベルト321C上に設けられたベルト突起324は実施形態1又は実施形態2で説明したベルト突起24(124)の移動態様と同様の態様で移動する。なお、第1の搬送ベルト321A及び第2の搬送ベルト321Bは、その内側に配置された通常のモータ325によって駆動するようになっている。
【0108】
以上のように本実施形態のコンベア320では、中間搬送ベルト321C上に設けられたベルト突起324によってプリント基板Mの減速時または加速時に当該プリント基板Mが搬送ベルト321上を滑ることを防止ないし抑制することができる。このため、コンベア320では、プリント基板Mの滑り止めを図るためのベルト突起324が設けられたベルトを、プリント基板Mを搬送するためのベルト、即ち第1の搬送ベルト321A及び第2の搬送ベルト321Bとは独立して配置することができる。
【0109】
<実施形態5>
図面を参照して実施形態5を説明する。実施形態5は、コンベア420における搬送ベルト421の構成が実施形態4のものと異なっている。その他の構成については、実施形態4と同様であるため説明を省略する。なお、
図16において、
図15の参照符号に数字100を加えた部位は、実施形態1及び実施形態4で説明した部位と同様である。
【0110】
実施形態5に係るコンベア420は、
図16に示すように、4つのベルトからなる搬送ベルト421を備えている。即ち、コンベア430は、第1の搬送ベルト421Aと第2の搬送ベルト421Bを備える他、第1の搬送ベルト421Aと第2の搬送ベルト421Bの間に設けられた第1の中間搬送ベルト(中間ベルトの一例)421Cと第2の中間搬送ベルト(中間ベルトの一例)421Dからなる搬送ベルト421を備える構成とされている。コンベア420では、第1の中間搬送ベルト421C上に第1のベルト突起424Cが突設され、第2の中間搬送ベルト421D上に第2のベルト突起424Dが突設されている。
【0111】
また、コンベア420では、CPUは、第1の中間搬送ベルト421Cの内側に配置された第1のサーボモータ423Cと、第2の中間搬送ベルト421Dの内側に配置された第2のサーボモータ423Dと、を個別に駆動する。そして、コンベア420では、CPUは、第1のサーボモータ423Cを実施形態1で説明した手順と同様の手順で駆動し、第2のサーボモータ423Dを実施形態2で説明した手順と同様の手順で駆動する。これにより、第1のベルト突起424Cは実施形態1で説明したベルト突起24と同様の手順で移動し、第2のベルト突起424Dは実施形態2で説明したベルト突起124と同様の手順で移動する。なお、第1の搬送ベルト421A及び第2の搬送ベルト421Bは、その内側に配置された通常のモータ425によって駆動するようになっている。
【0112】
このため、コンベア420では、プリント基板Mを搬送開始位置から移動開始させる際に当該プリント基板Mにおける搬送方向の下流側の端面DEに第1のベルト突起424Cが当接した状態となる。さらに、プリント基板Mを搬送開始位置から実装位置に移動させるまでの間に、第2のベルト突起424Dをプリント基板Mに近接させることができ、第2のベルト突起424Dをプリント基板Mにおける搬送方向の上流側の端面UEに当接させることができる。
【0113】
以上のように本実施形態のコンベア420では、第1の中間搬送ベルト421C上に設けられた第1のベルト突起424Cによってプリント基板Mの減速時に当該プリント基板Mが搬送ベルト421上を滑ることを防止ないし抑制することができ、さらに、第2の中間搬送ベルト421D上に設けられた第2のベルト突起424Dによってプリント基板Mの加速時に当該プリント基板Mが搬送ベルト421上を滑ることを防止ないし抑制することができる。このため、コンベア420では、プリント基板Mの滑り止めを図るための第1のベルト突起424C及び第2のベルト突起424Dが設けられたベルトを、プリント基板Mを搬送するためのベルト、即ち第1の搬送ベルト421A及び第2の搬送ベルト421Bとは独立して配置することができる。
【0114】
<実施形態6>
図面を参照して実施形態6を説明する。実施形態6は、1台の表面実装機501上に配置されたコンベア520の数が実施形態1のものと異なっている。その他の構成については、実施形態1と同様であるため説明を省略する。なお、
図17において、
図1の参照符号に数字500を加えた部位は、実施形態1で説明した部位と同様である。
【0115】
実施形態6に係る表面実装機501では、
図17に示すように、1台の表面実装機501上において、搬送方向の上流側と下流側とにそれぞれコンベア520が1つずつ配置されている。各コンベア520の構成は実施形態1で説明したものと同様である。各コンベア520の上流側端部はそれぞれ搬送開始位置とされており、各コンベア520の搬送開始位置とされる部位には、それぞれ基板検出センサSが配置されている。
【0116】
また、各コンベア520における搬送方向の略中央位置は、電子部品Eが実装される実装位置とされている。そして、各コンベア520において、CPUは、実施形態1又は実施形態2で説明した搬入処理の手順に従ってサーボモータを駆動する。これにより、表面実装機501上に配置された各コンベア520において、プリント基板Mが搬送ベルト521上を滑ることを防止ないし抑制することができる。このように表面実装機501上に複数のコンベアが配置された構成であっても、各コンベア520においてプリント基板Mの滑り止めを図ることができる。
【0117】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記既述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
(1)上記の各実施形態では、ベルト突起をプリント基板の下流側の端面又は上流側の端面に当接させることで、プリント基板が滑ることを防止する例を示したが、ベルト突起をプリント基板の下流側の端面又は上流側の端面に近接させることで、プリント基板が滑ることを抑制する構成であってもよい。
【0118】
(2)上記の各実施形態では、ベルト突起が搬送ベルトのベルト面に対して垂直に立ち上がる略ブロック状をなす構成とされた例を示したが、ベルト突起はプリント基板と当接することで当該プリント基板を滑り止め可能な構成であればよく、その形状等については限定されない。
【0119】
(3)上記の各実施形態以外にも、コンベアの構成については、適宜に変更可能である。
【0120】
以上、実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。