特許第6043875号(P6043875)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6043875フォースプレートの3次元較正のシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043875
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】フォースプレートの3次元較正のシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 25/00 20060101AFI20161206BHJP
   G01L 5/16 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   G01L25/00 B
   G01L5/16
【請求項の数】17
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-534446(P2015-534446)
(86)(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公表番号】特表2015-530589(P2015-530589A)
(43)【公表日】2015年10月15日
(86)【国際出願番号】US2012057703
(87)【国際公開番号】WO2014051599
(87)【国際公開日】20140403
【審査請求日】2015年7月30日
(31)【優先権主張番号】13/628,433
(32)【優先日】2012年9月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512118554
【氏名又は名称】アドバンスト・メカニカル・テクノロジー・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED MECHANICAL TECHNOLOGY,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100152319
【弁理士】
【氏名又は名称】曽我 亜紀
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト,ブルース,エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ローランド,フレッド
(72)【発明者】
【氏名】カリニャン,フォレスト,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ドルーディング,アルバート
(72)【発明者】
【氏名】グラス,ゲイリー
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0123701(US,A1)
【文献】 特開2006−275650(JP,A)
【文献】 特開2003−254843(JP,A)
【文献】 特表平8−511094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/00− 1/26
G01L 5/00− 5/28
G01L25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォースプラットフォームを較正する方法であって、
フォースプラットフォームを提供するとともに、コンピューティングデバイスを介して前記フォースプラットフォームの上面にn×mの格子を適用することであって、前記n×mの格子は、前記フォースプラットフォームのX軸に沿ってn個の点を含み、Y軸に沿ってm個の点を含むことと、
前記X軸及び前記Y軸に直交するZ軸に沿って、かつ前記X軸及び前記Y軸に沿って前記上面の前記n×mの格子点のそれぞれにp個の既知の負荷を加えることと、
各格子点において、前記X軸、前記Y軸及び前記Z軸に沿って加わる既知の負荷ごとに多点測定を行うことと、
格子点ごとに、6つの測定済出力信号、正確な位置座標及び加わる既知の負荷の大きさを生成することと、
格子点及び加わる既知の負荷ごとに、6つの六元方程式のn×m×pのアレイを組み立てることと、
前記組み立てられた式を解くとともに、格子点ごとに位置及び負荷に固有の較正行列を導出することと、
較正テーブル内の全ての格子点について前記導出された位置及び負荷に固有の較正行列を入力するとともに、前記較正テーブルを不揮発性メモリに記憶することと、
を含む、フォースプラットフォームを較正する方法。
【請求項2】
前記p個の既知の負荷は、3Dデカルト負荷装置を介して加わる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加わるp個の既知の負荷は、10 %の増分においてゼロからフルスケール容量(FSC)までの範囲の大きさを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記n個の点及び前記m個の点は1〜20の範囲の値を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記6つの測定済出力信号は、3つの力成分Fx、Fy、Fz及び3つのモーメント成分Mx、My、Mzを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
推定アルゴリズムを提供するとともに、前記不揮発性メモリに大域プラットフォーム較正行列を記憶することを更に含み、前記推定アルゴリズムは、未知の加わる負荷について測定されるプラットフォーム出力上に前記大域プラットフォーム較正行列を適用することによって、前記フォースプラットフォーム上に加わる前記未知の負荷の大きさ及び位置の第1の推定値を生成するように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記未知の加わる負荷の大きさ及び位置の前記第1の推定値を用いて、前記較正テーブル内の位置及び負荷に固有の較正行列を求める、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記未知の負荷について前記測定されるプラットフォーム出力上に前記求められた位置及び負荷に固有の較正行列を適用することによって、前記加わる未知の負荷の前記大きさ及び位置の正確な測定値を生成することを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記上面格子点上にNISTトレーサブルな死荷重を加えることによって、前記導出された位置及び負荷に固有の較正行列を検証することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
10ポイントアップ較正プロトコル及び10ポイントダウン較正プロトコルを用いて8個の格子点において二次特性を測定することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
フォースプラットフォームを較正するシステムであって、
フォースプラットフォームと、
前記フォースプラットフォームの上面にn×mの格子を適用するように構成されるコンピューティングデバイスであって、前記n×mの格子は、前記フォースプラットフォームのX軸に沿ってn個の点を含み、Y軸に沿ってm個の点を含む、コンピューティングデバイスと、
前記X軸及び前記Y軸に直交するZ軸に沿って、かつ前記X軸及び前記Y軸に沿って前記上面の前記n×mの格子点のそれぞれにp個の既知の負荷を加えるように構成される3Dデカルト負荷装置と、
各格子点において、前記X軸、前記Y軸及び前記Z軸に沿って加わる既知の負荷ごとに多点測定を行い、格子点ごとに、6つの測定済出力信号、正確な位置座標及び加わる既知の負荷の大きさを生成するように構成されるセンサーと、
格子点及び加わる既知の負荷ごとに、6つの六元方程式のn×m×pの組み立てられたアレイを解き、格子点ごとに位置及び負荷に固有の較正行列を導出するためのアルゴリズムと、
全ての格子点について前記導出された位置及び負荷に固有の較正行列を含む較正テーブルを記憶するように構成される不揮発性メモリと、
を備える、フォースプラットフォームを較正するシステム。
【請求項12】
前記加わるp個の既知の負荷は、10 %の増分においてゼロからフルスケール容量(FSC)までの範囲の大きさを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記n個の点及び前記m個の点は1〜20の範囲の値を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記6つの測定済出力信号は、3つの力成分Fx、Fy、Fz及び3つのモーメント成分Mx、My、Mzを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
推定アルゴリズム及び大域プラットフォーム較正行列を更に含み、前記推定アルゴリズムは、未知の加わる負荷について測定されるプラットフォーム出力上に前記大域プラットフォーム較正行列を適用することによって、前記フォースプラットフォーム上に加わる前記未知の負荷の大きさ及び位置の第1の推定値を生成するように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記未知の加わる負荷の大きさ及び位置の前記第1の推定値を用いて、前記較正テーブル内の位置及び負荷に固有の較正行列を求める、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記未知の負荷について前記測定されるプラットフォーム出力上に前記求められた位置及び負荷に固有の較正行列を適用することによって、前記加わる未知の負荷の前記大きさ及び位置の正確な測定値を生成する補正アルゴリズムを更に含む、請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォースプレートの3次元較正のシステム及び方法に関し、より詳細には、測定精度の改善及びクロストーク誤差の低減をもたらすフォースプレートの3次元較正に関する。
【背景技術】
【0002】
フォースプラットフォームは、地面反力を測定する測定デバイスである。通常、フォースプラットフォームは、上面が床と同一平面上にあるようにピット内に搭載される。次に、被験者は、プラットフォームを横切って歩くか又はプラットフォーム上に立つように指示され、発生する地面反力が記録される。フォースプラットフォームは、中でも、生体力学、医学研究、整形外科学、リハビリテーション評価、人工装具の使用、及び工学における研究及び臨床試験において一般的に用いられる。1つの例において、フォースプラットフォームは、人がプラットフォーム上に立っている間、その人の姿勢の揺れ量を測定するのに用いられる。フォースプラットフォームは、x軸、y軸及びz軸に沿った3つの直交する力成分(Fx、Fy、Fz)及びこれらの軸の回りのモーメント(Mx、My、Mz)を測定することによってこれを達成する。
【0003】
フォースプラットフォームシステムは通常、フォースプレートと、複数の軸に沿って負荷を感知するために一連の歪みゲージが固定される多軸ばね部材と、フォースプレート又はプラットフォームに接続されるか又は組み込まれる増幅器又は信号調節器と、データ収集のためのコンピューターとを備える。歪みゲージからの電気信号は増幅器に送信され、増幅器は、コンピューターにおいて信号を処理するのに十分な電圧に増幅する。選択される媒体に応じて、データ収集はデジタルとすることもアナログとすることもできる。他の実施形態では、圧電センサー、ホール効果センサー、光センサー、コンデンサ又は機械センサーを用いて、プラットフォームの複数の軸に沿って負荷を測定する。
【0004】
フォースプレート及び信号調節器の双方が、生のデータを有用なデータに正確に変換するために較正を必要とする。さらに、歪み信号の感知及び送信において、高度の感度及び正確度が必要とされる。上述したように、フォースプラットフォームは、6つの可能な負荷、すなわち、x軸、y軸及びz軸に沿った3つの直交する力成分(Fx、Fy、Fz)及びこれらの軸の回りの3つのモーメント(Mx、My、Mz)に対応する複数のチャネル出力を生成するように設計される。一方、フォースプラットフォームの製造及び設計における小さな欠陥によって、結果として僅かに軸外の感度が生じる。1つの例において、軸外の感度によって、Fxチャネル内の出力信号は、z方向に沿って加わる力の負荷Fzに対し僅かに感度が高くなる。この軸外感度によって、誤った信号の感知及び送信が生じ、これは一般的にクロストーク誤差と呼ばれる。通常、クロストーク誤差の結果として不正確な測定値が生じる。
【0005】
したがって、クロストーク誤差を補正する、フォースプレートを較正する改善されたシステム及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、フォースプレート較正問題に対処し、改善された正確度でフォースプレートを較正するシステム及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
概して、1つの態様において、本発明は、フォースプラットフォームを較正する方法を特徴とする。この方法は以下のことを含む。フォースプラットフォームを提供するとともに、コンピューティングデバイスを介してフォースプラットフォームの上面にn×mの格子を適用すること。n×mの格子は、フォースプラットフォームのX軸に沿ってn個の点を含み、y軸に沿ってm個の点を含む。次に、X軸及びY軸に直交するZ軸に沿って、かつX軸及びY軸に沿って上面のn×mの格子点のそれぞれにp個の既知の負荷を加えることを含む。次に、各格子点において、X軸、Y軸及びZ軸に沿って加わる既知の負荷ごとに多点測定を行うことと、格子点ごとに、6つの測定済出力信号、正確な位置座標及び加わる既知の負荷の大きさを生成することとを含む。次に、格子点及び加わる既知の負荷ごとに、6つの六元方程式のn×m×pのアレイを組み立てることを含む。次に、組み立てられた式を解くとともに、格子点ごとに位置及び負荷に固有の較正行列を導出すること。最後に、較正テーブル内の全ての格子点について、導出された位置及び負荷に固有の較正行列を入力するとともに、較正テーブルを不揮発性メモリに記憶すること。
【0008】
本発明のこの態様の実施態様は、1つ又は複数の以下の特徴を含むことができる。p個の既知の負荷は、3Dデカルト負荷装置を介して加わる。前記加わるp個の既知の負荷は、10 %の増分においてゼロからフルスケール容量(FSC)までの範囲の大きさを含む。前記n個の点及び前記m個の点は1〜20の範囲の値を含む。前記6つの測定済出力信号は、3つの力成分Fx、Fy、Fz及び3つのモーメント成分Mx、My、Mzを含む。本方法は、推定アルゴリズムを提供するとともに、前記不揮発性メモリに大域プラットフォーム較正行列を記憶することを更に含む。前記推定アルゴリズムは、未知の加わる負荷について測定されるプラットフォーム出力上に前記大域プラットフォーム較正行列を適用することによって、前記フォースプラットフォーム上に加わる前記未知の負荷の大きさ及び位置の第1の推定値を生成するように構成される。前記未知の加わる負荷の大きさ及び位置の前記第1の推定値を用いて、前記較正テーブル内の位置及び負荷に固有の較正行列を求める。本方法は、前記未知の負荷について前記測定されるプラットフォーム出力上に前記求められた位置及び負荷に固有の較正行列を適用することによって、前記加わる未知の負荷の前記大きさ及び位置の正確な測定値を生成することを更に含む。本方法は、前記上面格子点上にNISTトレーサブルな死荷重を加えることによって、前記導出された位置及び負荷に固有の較正行列を検証することを更に含む。本方法は、10ポイントアップ較正プロトコル及び10ポイントダウン較正プロトコルを用いて8個の格子点において二次特性を測定することを更に含む。
【0009】
概して、別の態様では、本発明は、フォースプラットフォームと、コンピューティングデバイスと、3Dデカルト負荷装置と、センサーと、アルゴリズムと、不揮発性メモリとを備えるフォースプラットフォームを較正するシステムを特徴とする。コンピューティングデバイスは、フォースプラットフォームの上面にn×mの格子を適用するように構成される。n×mの格子は、フォースプラットフォームのX軸に沿ってn個の点を含み、Y軸に沿ってm個の点を含む。3Dデカルト負荷装置は、X軸及びY軸に直交するZ軸に沿って、かつX軸及びY軸に沿って上面のn×mの格子点のそれぞれにp個の既知の負荷を加えるように構成される。センサーは、各格子点において、X軸、Y軸及びZ軸に沿って加わる既知の負荷ごとに多点測定を行い、格子点ごとに、6つの測定済出力信号、正確な位置座標及び加わる既知の負荷の大きさを生成するように構成される。アルゴリズムは、格子点及び加わる既知の負荷ごとに、6つの六元方程式のn×m×pの組み立てられたアレイを解き、格子点ごとに位置及び負荷に固有の較正行列を導出するのに用いられる。不揮発性メモリは、全ての点について導出された位置及び負荷に固有の較正行列を含む較正テーブルを記憶するように構成される。
【0010】
本発明のこの態様の実施態様は、1つ又は複数の以下の特徴を含むことができる。前記加わるp個の既知の負荷は、10 %の増分においてゼロからフルスケール容量(FSC)までの範囲の大きさを含む。前記n個の点及び前記m個の点は1〜20の範囲の値を含む。前記6つの測定済出力信号は、3つの力成分Fx、Fy、Fz及び3つのモーメント成分Mx、My、Mzを含む。前記システムは、推定アルゴリズム及び大域プラットフォーム較正行列を更に含む。前記推定アルゴリズムは、未知の加わる負荷について測定されるプラットフォーム出力上に前記大域プラットフォーム較正行列を適用することによって、前記フォースプラットフォーム上に加わる前記未知の負荷の大きさ及び位置の第1の推定値を生成するように構成される。前記未知の加わる負荷の大きさ及び位置の前記第1の推定値を用いて、前記較正テーブル内の位置及び負荷に固有の較正行列を求める。前記システムは、前記未知の負荷について前記測定されるプラットフォーム出力上に前記求められた位置及び負荷に固有の較正行列を適用することによって、前記加わる未知の負荷の前記大きさ及び位置の正確な測定値を生成する補正アルゴリズムを更に含む。
【0011】
一般的に、別の態様において、本発明は、較正されたフォースプラットフォームであって、位置及び負荷に固有の構成行列を含む較正テーブルを記憶する不揮発性メモリを備える、較正されたフォースプラットフォームを特徴とする。
【0012】
本発明のこの態様の実施態様は、1つ又は複数の以下の特徴を含むことができる。前記位置及び負荷に固有の較正行列は前記フォースプラットフォームの上面のn×mの格子点及び該上面に直交する軸に沿って加わるp個の既知の負荷に対応する。前記較正されたフォースプラットフォームは、大域較正行列を更に備える。前記較正されたフォースプラットフォームは、測定されるプラットフォーム出力上に前記大域プラットフォーム較正行列を適用することによって、前記フォースプラットフォーム上に加わる未知の負荷及び位置座標の第1の推定値を生成するように構成される推定アルゴリズムを更に含む。前記加わる未知の負荷及び位置座標の前記第1の推定値は、前記較正テーブル内の位置固有の較正行列を特定するのに用いられる。前記較正されたフォースプラットフォームは、前記測定されるプラットフォーム出力上に前記特定された位置固有の較正行列を適用することによって、前記加わる未知の負荷の大きさ及び位置座標の正確な測定値を生成するように構成される補正アルゴリズムを更に備える。
【0013】
本発明の利点の中でも以下のうちの1つ又は複数が存在し得る。本発明の較正プロセスは、図12A図12Fに示すように、フォースプラットフォーム測定の正確度を改善する。通常のクロストーク誤差は、加わる負荷の約±0.01 %にあり、通常の負荷の誤差は加わる負荷の0.001未満すなわち±0.1 %である。平均圧力中心(COP)誤差は通常0.2 mm未満である。
【0014】
本発明の1つ又は複数の実施形態の詳細が、添付図面及び以下の説明に示されている。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、好ましい実施形態の以下の説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかになる。
【0015】
図面を参照すると、幾つかの図を通して、類似の符号は類似の部品を表す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】フォースプラットフォームシステムの概観図である。
図2】変換器と、変換器を用いて測定される3つの力及び3つのモーメント成分とを示す図である。
図3A図1のシステムのハードウェアアーキテクチャを示す図である。
図3B図1のシステムのハードウェアアーキテクチャを示す図である。
図4】従来技術の較正手順において用いられるフォースプラットフォームの物理座標系及び電気機械座標系を示す図である。
図5】一般的な従来技術によるFyのクロストーク誤差分布を示す図である。
図6A】較正プロセスにおいて用いられる3D格子を示す図である。
図6B】本発明による、フォースプラットフォーム3D較正プロセスの流れ図である。
図7】本発明の3D較正手順を実行するためのフォースプラットフォーム上に適用される3D格子を示す図である。
図8】本発明の3D較正手順において用いられる3Dデカルト負荷装置を示す図である。
図9】本発明の3D較正手順中にフォースプラットフォームの上面、前側面及び右側面上に加わる3D負荷を示す図である。
図10】本発明のフォースプラットフォーム3D較正システムを示す図である。
図11A】本発明の3D較正されたフォースプラットフォームを用いるフォースプラットフォーム測定システムを示す図である。
図11B】本発明の3D較正されたフォースプラットフォームを用いる測定プロセスの流れ図である。
図12A】本発明の較正方法を用いて生成されるCOPx誤差分布を示す図である。
図12B】本発明の較正方法を用いて生成されるCOPy誤差分布を示す図である。
図12C】本発明の較正方法を用いて生成されるFz誤差分布を示す図である。
図12D】本発明の較正方法を用いて生成されるFz対Fxのクロストーク誤算分布を示す図である。
図12E】本発明の較正方法を用いて生成されるFz対Fyのクロストーク誤算分布を示す図である。
図12F】本発明の較正方法を用いて生成されるFz対Mzのクロストーク誤算分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の一実施形態による、フォースプラットフォームシステム100の図である。システム100は地面反力を測定するのに用いられ、フォースプラットフォーム102と、信号調節器104と、データ収集に用いられるコンピューター108とを備える。システムは、2つ以上のフォースプラットフォーム及び/又は信号調節器を備えることができる。信号調節器104は、アナログ増幅器及び/又はデジタルプロセッサとすることができ、フォースプレートに接続されるか又はフォースプレートに埋め込むことができる。コンピューター108は、パーソナルコンピューター(PC)、サーバー、モバイルコンピューティングデバイス又は演算回路とすることができる。
【0018】
図1に示すフォースプラットフォーム102は、被験者がそのフォースプラットフォーム上に立つか、乗るか、又は飛び乗るときにその上面101に加わる力及びモーメントを測定するように設計される。フォースプラットフォーム102は、力信号を出力ポート103に出力し、この出力ポート103において、プラットフォーム102は力信号調節器104に接続し、力信号調節器104と通信することができる。
【0019】
フォースプラットフォーム102は、力を測定するための1つ又は複数の力変換器又は負荷セルを含む。図2は、被験者がプラットフォーム200と接触するときに力変換器201によって測定される3つの力成分Fx、Fy及びFzと3つのモーメント成分Mx、My及びMzとを示している。Fx、Fy及びFzは、直交するx、y及びz座標系の軸202、204及び206に沿って作用する力成分である。図2において、矢印は、右手の法則に従う各軸に沿った正の力の方向を指す。Fx及びFyは、水平力成分すなわちせん断力成分であり、Fzは垂直力成分である。Mx、My及びMzは3つのトルク及びモーメント成分である。トルク及びモーメントは、それぞれ対応するx軸202、y軸204及びz軸206の回りを回転する。正のモーメントは右手の法則に従って求められる。軸を(正の方向に)見下ろすと、正のモーメントは時計回りの回転を有する。
【0020】
図1に戻ると、増幅器又は信号調節器104はフォースプレート102に接続されている。測定される3つの力成分Fx、Fy、Fz及び3つのモーメント成分Mx、My、Mzのそれぞれについて、信号調節器104は、フォースプラットフォーム102に埋め込まれた1組の歪みゲージブリッジに励起電圧を供給する。結果として得られる出力は、加わる機械的負荷のその成分に比例する低レベルの電圧である。この出力は、信号調節器104によってサンプリングすることができ、様々な信号調節技法を適用することができる。信号調節器104は接続されたコンピューター108にデジタル及び/又はアナログデータストリームを提供する。
【0021】
信号調節器104は、アナログカード、ユニバーサルシリアルバス(USB)、イーサネット登録商標又はシリアルインターフェース(図示せず)等の或る種の媒体を通じてコンピューター108に接続する。図1の例において、信号調節器104はUSB接続112を介して単一のコンピューター108に接続される。コンピューター108は、地面反力データを受信すると、追加の処理を実行し、ソフトウェアプログラムに応じてデータを表示又は保存する。
【0022】
図3A及び図3Bは、フォースプラットフォーム102と、信号調節器104と、コンピューター108とを備えるフォースプラットフォームシステム100の一実施形態のハードウェアアーキテクチャを示している。フォースプラットフォーム102は接続又はケーブル110を介して信号調節器104に接続され、これは力信号の複数のチャネルのための励起電圧VExE+、VExE-並びに出力電圧VIN+及びVIN-用の接続を含む。図3Aの例において、プラットフォーム102は、6つの歪みゲージと関連付けられた6つの力チャネルを含み、6つの歪みゲージはそれぞれ、励起電圧VExE+、VExE-によって駆動されるブリッジ回路301〜306を備え、ブリッジ出力電圧VIN+及びVIN-を提供する。単純にするために、図3Aには、プラットフォーム102内の歪みゲージ301及び306、並びに信号調節器104内の増幅器1及び6を備える力チャネル1及び6の回路部のみが示されている。チャネル2〜5の省かれた回路部は、チャネル1及び6について示したものと同一である。
【0023】
接続又はケーブル110は、信号調節器104がプラットフォーム102の不揮発性メモリ307内に記憶されたデータを取り出すことを可能にする、1-Wireインターフェース等の通信リンクも含むことができる。不揮発性メモリ307は、図3Aに示すような読み出し専用メモリ(ROM)とすることもできるし、EPROM等の再プログラム可能なメモリを含み、プログラム可能とすることもできる。不揮発性メモリ307は、フォースプラットフォーム較正データを記憶し、プラットフォームのシリアル番号及びプラットフォームの容量も記憶することができる。
【0024】
図3Bに示すように、信号調節器104はUSB接続112を介してPC108に接続されている。信号調節器104の主な機能は、複数の歪みゲージ入力からの力データを調節し、複数のアナログチャネル及び/又は多重チャネルデジタルデータストリームとして結果を出力することである。アナログ出力は高レベルとすることができ、マルチチャネルアナログ/デジタルコンバーター(ADC)に対する入力として適することができる。デジタルデータ出力は、USB接続112を介してホストPC108に送信することができる。また、USB接続112を用いて、信号調節器104によって用いられる制御情報及びステータス情報を送受信することができる。追加の信号調節器104はUSBを介してコンピューター108に接続することができることを理解されたい。信号調節器104は、ホストPC108からコマンド及びタイミング信号を受信し、デジタル力信号を、USB接続112を介してPC108に送信する。代替的に又は付加的に、信号調節器104は、アナログ出力ポート313において、図3BにおいてVOUT(1-6)として示されるアナログ力信号を出力する。アナログ出力ポート313は、アナログ信号を受信するためにコンピューター108の入力ポート(図示せず)に更に接続することができる。
【0025】
図3A及び図3Bは、信号調節器104のハードウェア成分の更なる詳細を示している。信号調節器104は、プラットフォーム102から受信される力信号をデジタル化し調整するためのマイクロプロセッサ10と、USB接続112を介してPC108と通信するためのマイクロプロセッサ18とを備える。マイクロプロセッサ10は、通信回線を介してマイクロプロセッサ18に接続され、マイクロプロセッサ18と通信する。通信回線は、I2Cバスインターフェース10.11と、8ビット拡張メモリインターフェース10.12と、1ビットSOF対カウントキャプチャ回線(1-bit SOF to Count-and-Capture line)10.16と、1ビットマイクロプロセッサとUSBとのインターフェースバス10.17と、3ビット一方向非同期バス10.18とを含む。マイクロプロセッサ10は、シリアル周辺インターフェース(SPI)バスを介して信号調節器104の他の構成要素に接続され、その構成要素と通信する。SPIバスはSPIバスインターフェース10.9においてマイクロプロセッサ10に接続する。
【0026】
信号調節器104は、力チャネル1について、歪みゲージ301のブリッジ回路部に接続されるアナログ信号調節回路部1を備え、差動増幅器1.1を備える。差動増幅器1.1への1つの入力は、ブリッジ出力電圧VIN+であり、別の入力は、信号調節回路部1によって提供されるブリッジ平衡電圧である。差動増幅器1.1は利得GANAL1と、マルチプレクサー9に接続される出力とを有する。差動増幅器1.2は、力チャネル1にブリッジ平衡電圧を挿入するために歪みゲージ301と差動増幅器1.1との間に接続される。デジタル/アナログコンバーター(DAC)1.3を用いて、マイクロプロセッサ10の制御下でブリッジ平衡電圧が生成される。差動増幅器1.2の一方の入力はDAC1.3の出力に接続され、増幅器1.2の他方の入力は、歪みゲージ301からブリッジ出力電圧VIN-を受信するように歪みゲージ301に接続される。信号調節回路部1は、正のブリッジ励起電圧VEXE+を歪みゲージ301に供給するための、歪みゲージ301に接続された電力増幅器1.4も備える。また、信号調節回路部1は、負のブリッジ励起電圧VEXE-を歪みゲージ301に提供するための、歪みゲージ301に接続された電力増幅器1.5も備える。電力増幅器1.5の入力に接続されたDAC1.6を用いて、マイクロプロセッサ10の制御下で負のブリッジ励起電圧VEXE-が生成される。DAC1.3及びDAC1.6の双方がマイクロプロセッサ10のSPIバスインターフェース10.9に接続される。
【0027】
図3Aに示すように、力チャネル6のためのアナログ信号調節回路部6は、力チャネル1のための信号調節回路部1と同一の構成要素を備える。調節回路部6は歪みゲージ306に接続され、差動増幅器6.1と、差動増幅器6.2と、DAC6.3と、電力増幅器6.4と、電力増幅器6.5と、DAC6.6とを備える。増幅器1.1の場合のように、差動増幅器6.1は利得GANAL6と、マルチプレクサー9に接続された出力とを有する。同様に、DAC6.3及びDAC6.6の双方がSPIバス接続を介してマイクロプロセッサ10に接続される。同様の回路部がチャネルごとに提供されるが図示されていない。
【0028】
マルチプレクサー9は、信号調節回路部1〜6から6つの力チャネルを受信し、6つのチャネルを、マイクロプロセッサ10に接続された3つの差動出力線に多重化する6対3差動線マルチプレクサーである。マルチプレクサー9は、マイクロプロセッサ10から3ビットバス接続を介して入力、例えば制御信号を受信する。
【0029】
図3Aに示す例において、マイクロプロセッサ10はSILICON LABORATORIES (Silab) 8051に基づく混合信号マイクロコントローラーであり、この混合信号マイクロコントローラーは、例えば100MHzの公称クロックレートを有するシステムクロック10.6と、8051ベースのコアCPU10.7と、例えば較正データ及び構成データを記憶するためのシステム不揮発性メモリ10.8と、外部回路部と通信する様々なインターフェース及び入力/出力とを含む複数の構成要素を備える。マイクロプロセッサ10の構成要素は、構成要素間及びCPU10.7との通信を可能にするように相互接続される。単純にするために、図3Aには、相互接続のうちの幾つかのみが示されている。
【0030】
マイクロプロセッサ10は、外部マルチプレクサー9から、3線対1線差動マルチプレクサー10.1を介して入力、すなわち力信号入力を受信する。そして、マイクロプロセッサ10は3ビットバスインターフェース10.13を介して外部マルチプレクサー9と通信する。利得GPGAを有するプログラム可能な利得増幅器10.2は、マルチプレクサー10.1の出力を12ビット差動入力アナログ/デジタルコンバーター(ADC)10.3の入力に接続する。信号調節器104は、増幅器10.2を用いて、信号調節回路部1〜6から受信した多重化されたアナログ力信号を増幅し、増幅された信号を、ADC10.3を用いてデジタル信号に変換する。デジタル化された力信号は、次に、較正データに基づく信号の調節等の更なるプロセスに利用可能になる。較正データは、フォースプラットフォーム102の不揮発性メモリ307から取り出した較正データを含み、マイクロプロセッサ10の不揮発性メモリ10.8に記憶される信号調節較正データも含むことができる。
【0031】
再び図2を参照すると、フォースプレートの直交するx、y及びz座標系の軸に沿って作用する力成分がFx、Fy及びFzで示される。各力軸の回りを回転するモーメント及びトルク成分は、Mx、My及びMzで示される。フォースプラットフォーム102は出力の6つのチャネルを提供する。各チャネルは、加わる負荷の6つの成分、すなわち、3つの直交する力及び3つの直交するモーメント及びトルクのうちの1つを表す。1つのチャネルに加わる負荷の或る部分が別のチャネルの出力に現れるとき、クロストークが生じる。この残りの出力は、測定デバイスの機械的/電気的制限によって生じ、補正することができる。これは、既知の力、モーメント及びトルクを、主要な位置における各プラットフォーム102に適用し、全てのチャネルにわたって出力を記録することによって行われる。この出力から、6×6の較正行列が導出される(以下の表1を参照されたい)。表1において、Fx、Fy、Fz、Mx、My、Mzは加わる負荷成分を表し、VFx、VFy、VFz、VMx、VMy、VMzは測定値である。次に、この行列(感度行列とも呼ばれる)は、各チャネルから工学単位に出力を変換すること、及びクロストークを補正することの双方のために用いられる。
【0032】
表1:サンプル較正行列
【表1】
【0033】
フォースプラットフォームシステム100内のプラットフォーム102は、不揮発性メモリ307内にプラットフォーム識別及び較正行列を記憶する(図3Aを参照されたい)。フォースプラットフォーム102が信号調節器104に接続されると、較正行列が信号調節器104に利用可能になる。信号調節器104は不揮発性メモリ内に独自の較正設定を記憶している(図3Aのメモリ10.8を参照されたい)。他の実施形態では、較正データは外部電子機器、例えば信号調節器104によってプログラム可能かつ取り出し可能とすることができる。
【0034】
データを記録するとき、信号調節器104は各プラットフォーム出力チャネルからmV個の入力を読み出し、それらを工学単位に変換する。これを行っているとき、信号調節器104は較正された利得及び励起を用い、較正行列を適用することによってクロストーク補正を提供する。PC108に対する信号調節器104のデジタル出力ストリームは、それぞれの工学単位において提示される完全に処理されたIEEEの浮動小数点数からなる。
【0035】
信号調節器104は拡張的な数値処理を実行する。この処理は、利得及び励起のための公称値の代わりに工場出荷時に較正された定数を用いることと、有限のブリッジ抵抗に起因したケーブル損失を補正することと、工場出荷時に較正されたプラットフォーム補正行列を適用することによってクロストーク補正を提供することとを含む。信号調節器104は、DCオフセットを除去し、ユーザーが定義したDCセットポイントを実装し、回転変換を実行して物理的なプラットフォーム配置の懸案を補償することもできる。
【0036】
従来技術の較正手順は、限られた数のロケーション点において既知の負荷を用いてフォースプラットフォームに負荷をかけ、歪みゲージ読み値を取得することを含む。較正行列の6つの未知の感度の6つの式を生成するためには、少なくとも6つのロケーションが必要である。6つの式は、較正行列の6つの未知の感度について解かれ、結果として得られる単一の(「大域」)較正行列を用いて、フォースプラットフォームの表面エリア全体に対し加わる力が計算される。フォースプラットフォームの表面エリアにおける結果として得られるクロストーク誤差分布が図5に示されている。図5に示されているように、従来技術の較正手順では、フォースプラットフォームの表面エリアにわたって約1 %のクロストーク誤差が観察される。このタイプの正確度は通常、診断目的では受け入れ可能でない。したがって、クロストーク誤差を、フォースプラットフォームの表面エリアにわたって1 %未満に低減する改善された較正手順が必要である。
【0037】
通常の従来技術の較正手順では、既知の力がプラットフォーム表面上の様々な空間ロケーションにおいて加わり、6つの出力信号が測定される。6つの出力信号は、3つの力成分vfx、vfy、vfz及び3つのモーメント成分vmx、vmy、vmzを表す。以下の式(1)は、3つの加わる力fx、fy、fz及び3つの総モーメントMx、My、Mzをそれぞれ有する3つの力成分vfx、vfy、vfz及び3つのモーメント成分vmx、vmy、vmzを含む6つの測定された出力間の関係を表している。
【数1】
【0038】
総モーメントMx、My、Mzは、それぞれ軸x、y、zの回りの加わるトルクTx、Ty、Tzと、それぞれ軸x、y、zの回りの力の加わるモーメントmx、my、mzとの和である。比例定数Sfx、Sfy、Sfz、Smx、Smy、Smzは、「大域」較正感度項である。較正手順は、既知の力及び既知のモーメントを加えることと、感度項について解くこととを含む。
【0039】
別の間接的な測定は、圧力中心(COP)ロケーションのX座標及びY座標を含む。COPは、被験者の足(又は他の接触する要素)によってフォースプラットフォーム表面上に加わる分散した力を生成する(正:to generate)ために単一の力ベクトルを加えることができる点である。COPのX座標及びY座標は、以下の式に従って求められる。
【数2】
【0040】
式(1)は、クロストーク項を考慮に入れない。クロストークを考慮に入れる一般方程式は以下の式(3)に示されている。
【数3】
【0041】
項v1〜v6は式(1)における項vfx、vfy、vfz、vmx、vmy、vmzに等しい。同様に、項fl〜f6は式(1)における項fx、fy、fz、Mx、My、Mzに等しい。式(3)は行列形式において以下のように書き換えられる。
【数4】
【0042】
式(4)において、行列項s11〜s66は較正感度成分を表す。6つの対角項は、変換器較正感度を表し、30個の非対角項はクロストーク項を表す。式(4)は以下のように表すこともできる。
【数5】
ここで、Vは測定される出力を含み、Fは加わる力及びモーメントを含む。Sは較正行列である。較正手順は、較正行列Sの成分を求める。
【0043】
較正行列が求められ、フォースプラットフォームメモリに記憶されると、フォースプラットフォームは、出力Vを測定し、以下の式に従って較正行列の逆行列S-1を用いて加わる力及びモーメントを求めることによって、未知の加わる力を測定するのに用いられる。
【数6】
【0044】
図6A及び図6Bを参照すると、本発明の改善された較正手順300は以下のステップを含む。第1に、図6Aに示すように、3次元(3D)格子420がコンピューティングデバイスを介してフォースプラットフォーム400上に適用される(302)。3D格子は、X軸に沿ったn個の位置、Y軸に沿ったm個の位置及びZ軸に沿ったp個の力の大きさ(Fの大きさ)を含む。1つの例において、nは0〜20の範囲にあり、mは0〜20の範囲にあり、pは0〜10の範囲にある。n=20、m=20及びp=10の場合、フォースプラットフォーム400の上面に400個の格子位置が定義される。各選択された格子位置(Xi,Yj)において、10個の異なる負荷(Fk)が3つの異なる方向X、Y及びZから加わり、フォースプラットフォーム測定値が取得され、記録される。加わる負荷は10 %の増分においてゼロからフルスケール容量(FSC)までの力値を含む。これらの測定値は、上述した6つの出力測定信号(Fx、Fy、Fz、Mx、My、Mz)を生成する。これらはこの時点で格子位置ごと及び加わる負荷ごとに測定されたものである。6つの出力測定信号に加えて、各格子位置の正確な位置座標及び加わる負荷が記録される(308)。次に、6つの六元方程式(6×6)のn×m×pのアレイがn×mの格子位置及びp個の負荷について組み立てられる。次に、組み立てられた式が解かれ、位置及び負荷ごとに位置及び負荷に固有の較正行列Sijkが導出される。各位置及び負荷に固有の較正行列は、9つの固有の感度項(6つの主対角項及び3つのクロストーク項)を含む(312)。次に、格子位置及び負荷ごとの導出された位置及び負荷に固有の行列が較正テーブルに入力され、較正テーブルが不揮発性メモリに記憶される(314)。不揮発性メモリは、フォースプラットフォーム内に組み込むこともできるし、外部メモリとすることもできる。システム性能は、アメリカ国立標準技術研究所(NIST)トレーサブルな50 1bs、100 lbs及び200 lbsの死荷重をフォースプラットフォームの上面上に加えることによって更に検証される(316)。さらに、10ポイントアップ較正プロトコル及び10ポイントダウン較正プロトコルを用いて8個の格子ロケーションにおいて二次特性が測定される(318)。二次特性は、中でも、線形性及びヒステリシスを含む。
【0045】
図8を参照すると、較正システム450は、負荷を加えるアクチュエーター454と、X方向、Y方向及びZ方向における負荷を測定する少なくとも1つの変換器456とを有するデカルト負荷装置452を備える。デカルト負荷装置452は、フォースプラットフォーム400の上面402、前側面406及び右側面404にわたって点間で移動するようにプログラムされる。各プログラムされた点において、選択された既知の較正負荷が3つの異なる直交負荷方向(Z、X、Y)において加わり、較正データが測定される。死荷重又は空気軸受けによりサポートされる負荷セルによりFz負荷が加わる。これらは共に、モーメントMx又はMyを生じさせる、上面に作用するせん断負荷が存在しないことを確実にする。側面負荷Fx及びFyが、空気軸受けのサポートなしで同じ負荷セルにより加わる。側面負荷を加えている間、軸外負荷が測定され、それらの効果が特徴付けされる。3つの負荷条件によって、最小二乗法によって解くことができる3つの三元方程式の3つの組を組み立てることが可能になる。デカルト負荷装置452は、0.0001インチ(0.025 mm)の位置決め精度を維持することが可能である。1つの例において、負荷装置452は、1インチ(25.4 mm)の格子間隔において重みを位置特定し、プラットフォームの上面における300個の測定点を得る。プラットフォームの前側面及び右側面において追加の100個のロケーションが試験される。
【0046】
3つの直交負荷Fx、Fy、Fz及び負荷が加わる点がわかっているので、各負荷のモーメント寄与を正確に求めることができる。このため、Fzのモーメント寄与についてMx及びMyを補正し、次にzオフセット距離を求めることができる。同様にして、この点において作用するFx及びFyからMzを完全に求めることができる。Fz対Mzのクロストークは、Fz負荷シナリオから正確に求めることができる。Fx対Mx及びFy対Myのクロストークは、2つの異なるdzにおいて2つの側面負荷測定を行うことによって推定される。
【0047】
プレートの長さ及び幅にわたって延在する格子パターンにおいてFz負荷が加わり、(0,0)点がプレートの中心にあると判断される。側面負荷がゼロであると確信することが可能であるとき、死荷重が用いられる。1つの例では、3つの異なる負荷、すなわち50 lbs、100 lbs及び200 lbsが用いられる。フルスケール較正を提供するために、フルスケールにおいて少なくとも1つの更なる負荷点を追加する。Fx及びFyの側面負荷が各格子点における上面格子線と同一線上に加わる。この負荷をプラットフォーム上面のエッジにおいて加えることが幾分有利であるが、上面の僅かに下に負荷を加えることがより好都合である。側面負荷の大きさは、上面に加わる負荷と同じである。側面負荷の作用線は、上面にわたって複数の負荷点と交差する。この側面負荷は、交差のノードのそれぞれにおいて加わると仮定される。
【0048】
上記の手順の結果として、格子ロケーション(n×m)及び負荷(p)ごとに6つの六元方程式(6×6)のn×m×pのアレイが得られる。各式に、3つの力成分Fx、Fy、Fz及び6つの変換器出力のベクトルの情報が与えられる。最小二乗回帰を用いて、9つの感度項(3つのクロストーク項及び6つの主対角項)について解く。また、この手順の結果として、側面負荷について2つのアレイ、すなわち、前側面についてn×2×2のアレイ、及び右側面についてm×2×2のアレイが得られる。側面負荷について、各式は、力対モーメントのクロストーク項及びdz項を含む2つの未知数を有する。これらの式は最小二乗法を用いて解く(be solved)こともできる。
【0049】
上述したように、各格子位置における較正データは、正確な格子ロケーション、加わる負荷の大きさ及び6つの測定されたフォースプラットフォーム出力信号も含む。図10を参照すると、順方向較正アルゴリズム480を用いて、点ごと及び加わる負荷ごとに較正行列の感度項が導出される。導出された感度行列項は、3次元テーブル490に記憶され、x位置座標491、y位置座標492及び加わる負荷レベル(Fx、Fy、Fz及びMx)493、494、495、496によってそれぞれインデックス付けされる。
【0050】
図11Aを参照すると、フィールド測定システム500は、フォースプラットフォーム510と、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ又は任意の他の中央処理装置(CPU)、較正行列を有するテーブル490を記憶するように構成されるメモリ、初期推定アルゴリズム530及び補正較正アルゴリズム540を備えるコンピューティングデバイス520とを備える。さらに、大域較正係数もフィールドシステム内に記憶される。
【0051】
図11Bを参照すると、動作時に、未知の負荷550がフォースプラットフォーム510の上面に加わり、1組の6つの測定されたプラットフォーム出力が生成される(612)。初期推定アルゴリズム530を用いて、大域較正係数に基づいて、加わる負荷及び位置座標の最初の推定値が生成される(614)。次に、推定される位置座標、負荷及びモーメントを用いてテーブル490内の適切な位置及び負荷に固有の較正行列が特定される(616)。次に、補正アルゴリズム540を用いて、特定された位置及び負荷に固有の較正を測定されたプラットフォーム出力に適用し、適用された負荷560の正確な測定値を生成する(618)。このプロセスは、予め設定された誤差レベルに到達するまで反復的に繰り返すことができる。
【0052】
本発明の幾つかの実施形態が説明されてきた。それにもかかわらず、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、種々の変更を加えることができることは理解されよう。したがって、他の実施形態も以下の特許請求の範囲内にある。
【符号の説明】
【0053】
図3A
8 1-WIRE TO UART 1-WIRE対UART
10.4 DIVIDE BY N Nで除算
10.5 COUNT AND CAPTURE カウント及び捕捉
10.6 SYSTEM CLOCK システムクロック
10.7 8051 CORE CPU 8051コアCPU
10.8 MEMORY CALIBRATION DATA メモリ較正データ
10.12 EXT MEM 拡張メモリ
102 PLATFORM プラットフォーム
104 SIGNAL CONDITIONER 信号調節器
307 PLATFORM CALIBRATION DATA プラットフォーム較正データ
ELECTRICAL ISOLATION 電気的絶縁
AUTO ZERO オートゼロ
TO FIG 3B 図3B
図3B
18.1 8051 CORE CPU 8051コアCPU
18.2 DIVIDE BY N Nで除算
18.4 CONTROL EP 制御EP
18.5 BULK EP バルクEP
FROM FIG.3A 図3Aから
ISOLATION 絶縁
図4
prior art 従来技術
図5
prior art 従来技術
Fy Crosstalk Fyクロストーク
図6A
X-position X位置
Y-position Y位置
F-magnitude F大きさ
図6B
302 Apply an (nXm) grid pattern on a force platform
フォースプラットフォームに(n×mの)グリッドパターンを適用する
304 Select up to 400 (nXm) grid locations, and apply up to 10 (p) known loads along X, Y and Z directions with a 3-D Cartesian load apparatus
最大で400個の(n×mの)グリッドロケーションを選択し、3Dデカルト負荷装置を用いてX方向、Y方向及びZ方向に沿って最大で10個(p個)の既知の負荷を加える
308 Take load measurements at each selected nXm grid location and for each applied p load; Generate six measured output signals, exact position and applied load for each selected grid location and load
各選択されたn×mの格子ロケーションにおいて、加わるpの負荷ごとに負荷測定を行う;選択された格子ロケーション及び負荷ごとに、6つの測定済出力信号、正確な位置及び加わる負荷を生成する
310 Assemble an array of (n X m X p) of 6X6 equations (six equations with six unknowns) for each grid location and load.
格子ロケーション及び負荷ごとに、6×6の式(6つの六元方程式)の(n×m×pの)アレイを組み立てる。
312 Solve the assembled equations and derive a position and load specific calibration matrix for each grid location and load; Each position and load specific calibration matrix includes nine sensitivity (3 cross talk and 6 main diagonal) calibration matrix terms
組み立てられた式を解き、格子ロケーション及び負荷ごとに、位置及び負荷に固有の較正行列を導出する;各位置及び負荷に固有の較正行列は、9個の感度(3つのクロストーク及び6つの主対角)較正行列項を含む
314 Enter the derived position and load specific calibration matrices for each grid location in a calibration table and store the calibration table in a non-volatile memory
較正テーブル内の格子ロケーションごとに導出された位置及び負荷に固有の較正行列を入力し、較正テーブルを不揮発性メモリに記憶する
図10
480 Forward calibration algorithm 順方向較正アルゴリズム
490 Database データベース
Calibration system 較正システム
図11A
490 Database データベース
500 Field system フィールドシステム
530 initial estimate algorithm 初期推定アルゴリズム
540 Correction Algorithm 補正アルゴリズム
560 Optomized platform outputs 最適化された(optimized)プラットフォーム出力
図11B
610 Provide a calibrated force platform system having a calibration table stored in a non-volatile memory. The calibration table includes position and load specific calibration matrices. The calibrated force platform also includes a global calibration matrix.
不揮発性メモリに記憶された較正テーブルを有する較正されたフォースプラットフォームシステムを提供する。較正テーブルは、位置及び負荷に固有の較正行列を含む。較正されたフォースプラットフォームも、大域較正行列を含む。
612 Apply an unknown load onto the force platform; Measure six platform outputs (Fx, Fy, Fz, Mx, My, Mz)
未知の負荷をフォースプラットフォーム上に加える;6つのプラットフォーム出力(Fx, Fy, Fz, Mx, My, Mz)を測定する
614 Use an estimate algorithm to generate a first estimate of the positon coordinates and load magnitude of the applied load based on the global calibration matrix.
推定アルゴリズムを用いて、大域較正行列に基づいて、加わる負荷の位置座標及び負荷の大きさの第1の推定値を生成する。
616 Use the estimated load magnitude and position coordinates to identify a position and load specific calibration matrix in the calibration table.
推定された負荷の大きさ及び位置座標を用いて、較正テーブル内の位置及び負荷に固有の較正行列を特定する。
618 Use a correction calibration algorithm to generate optimized platform outputs by applying the specific calibration matrix on the measured outputs.
補正較正アルゴリズムを用いて、固有の較正行列を測定された出力に適用することによって最適化されたプラットフォーム出力を生成する。
図12A
Error 誤差
図12B
Error 誤差
図12C
Accuracy 正確度
図12D
Crosstalk クロストーク
図12E
Crosstalk クロストーク
図12F
Crosstalk クロストーク

図1
図2
図3A
図3B
図6A
図6B
図11B
図4
図5
図7
図8
図9
図10
図11A
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図12F