特許第6043885号(P6043885)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6043885
(24)【登録日】2016年11月18日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20161206BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20161206BHJP
【FI】
   H01M8/04 Z
   !H01M8/12
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-107521(P2016-107521)
(22)【出願日】2016年5月30日
【審査請求日】2016年7月1日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白井 麻理恵
(72)【発明者】
【氏名】井出 卓宏
(72)【発明者】
【氏名】中島 達哉
(72)【発明者】
【氏名】中村 和郎
【審査官】 武市 匡紘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−187981(JP,A)
【文献】 特開2005−317489(JP,A)
【文献】 特開2016−091683(JP,A)
【文献】 特開2009−142778(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00−8/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと空気とを反応させて発電する燃料電池セルスタックと、
金属製部材で囲まれた燃焼空間が内部に形成され、前記燃料電池セルスタックから排出されたオフガスを前記燃焼空間へ導入する導入口を有し、前記燃焼空間で前記オフガスを燃焼させる燃焼器と、
原料ガスを前記燃料電池セルスタックへ供給する燃料ガスに改質する改質器と、
前記燃焼器から排出された燃焼排ガスと前記燃料電池セルスタック及び前記改質器の少なくとも一方へ供給される気体との間で熱交換を行う熱交換部と、
前記燃料電池セルスタック、前記燃焼器、及び前記改質器を有する高温部を覆い、前記熱交換部と前記高温部との間を断熱する断熱体と、
前記高温部と前記熱交換部を内部に収容し、内部を保温する筐体と、
を備えた燃料電池システム。
【請求項2】
前記改質器は、前記燃焼器と前記燃料電池セルスタックとの間に前記燃料電池セルスタック及び前記燃焼器と熱交換が可能に配置されている、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記燃料電池セルスタック、前記改質器、前記燃焼器の順に下から上へ積層されている、ことを特徴とする、請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記燃焼器、前記改質器、前記燃料電池セルスタックの順に下から上へ積層されている、ことを特徴とする、請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記燃焼器は、前記改質器と前記燃料電池セルスタックとの間に前記改質器及び前記燃料電池セルスタックと熱交換が可能に配置されている、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記燃料電池セルスタック、前記燃焼器、前記改質器の順に下から上へ積層されている、ことを特徴とする、請求項5に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記改質器、前記燃焼器、前記燃料電池セルスタックの順に下から上へ積層されている、ことを特徴とする、請求項5に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記燃料電池セルスタックは、前記改質器と前記燃焼器との間に前記改質器及び前記燃焼器と熱交換が可能に配置されている、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項9】
前記燃焼器、前記燃料電池セルスタック、前記改質器の順に下から上へ積層されている、ことを特徴とする、請求項8に記載の燃料電池システム。
【請求項10】
前記改質器、前記燃料電池セルスタック、前記燃焼器の順に下から上へ積層されている、ことを特徴とする、請求項8に記載の燃料電池システム。
【請求項11】
前記熱交換部は、前記改質器へ供給する水を気化させる気化器、及び前記燃焼排ガスと前記燃料電池セルスタックへ供給される気体との間で熱交換を行う熱交換器、を含み、
前記熱交換器は前記高温部に隣接配置され、前記気化器は前記熱交換器に対して前記高温部と反対側に隣接配置されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムにおいて、エネルギー利用効率を向上させるための構成として、種々の提案がなされている。燃料電池システムの中でも、燃料電池セルスタックが高温で稼働するものについては、燃料電池セルスタックで生成される熱を、燃料電池システム内で利用することにより、燃料電池システムの効率向上が見込める。
【0003】
上記に関連して特許文献1には、固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)について、燃料電池セルスタックの発電時に発生する熱を吸熱する位置に改質器を配置する構成が開示されている。特許文献1では、SOFCについて、燃料電池セルスタック、一部の改質器を断熱部材に覆われた装置本体内に配置している。また、特許文献2では、円柱形状の中心にSOFCスタックを配置し、その外側に燃焼器を配置する構成が開示されている。また、特許文献3では、燃料電池セルスタック、改質器、燃焼部を燃料電池ハウジング内に配置し、気化器や他の熱交換部と隔離して燃料電池ハウジング内を高温に維持している。
【0004】
しかしながら、特許文献1には、燃料電池セルスタックから排出される未使用燃料を含むオフガスを燃焼させること、及びオフガス燃焼位置についての記載はない。また、特許文献2には、改質器の外側における断熱等の構成についての記載はない。また、特許文献3には、燃料電池セルスタック、改質器、燃焼部を燃料電池ハウジング内に配置する記載はあるが、燃焼部は燃料電池セルスタックの上部に限定され、さらに燃焼点が広範囲に拡散されるため、必要な熱量を効率よく供給することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−73357号公報
【特許文献2】特開2005−268171号公報
【特許文献3】特開2015−103477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事実を考慮して成されたもので、燃料電池システムの発電効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明に係る燃料電池システムは、燃料ガスと空気とを反応させて発電する燃料電池セルスタックと、金属製部材で囲まれた燃焼空間が内部に形成され、前記燃料電池セルスタックから排出されたオフガスを前記燃焼空間へ導入する導入口を有し、前記燃焼空間で前記オフガスを燃焼させる燃焼器と、原料ガスを前記燃料電池セルスタックへ供給する燃料ガスに改質する改質器と、前記燃焼器から排出された燃焼排ガスと前記燃料電池セルスタック及び前記改質器の少なくとも一方へ供給される気体との間で熱交換を行う熱交換部と、前記燃料電池セルスタック、前記燃焼器、及び前記改質器を有する高温部を覆い、前記熱交換器と前記高温部との間を断熱する断熱体と、前記高温部と前記熱交換部を内部に収容し、内部を保温する筐体と、を備えている。
【0008】
請求項1に係る燃料電池システムは、燃料電池セルスタック、燃焼器、及び改質器を有する高熱部、及び、熱交換部を備えている。熱交換部は、燃焼器から排出された燃焼排ガスと燃料電池セルスタック及び改質器の少なくとも一方へ供給される気体との間で熱交換を行うが、高温部とは断熱体で断熱されている。したがって、発電効率の高い燃料電池システムにおいても、外部への放熱を抑制して高温部内を高温に維持し、燃料電池システムにおける発電効率を向上させることができる。
【0009】
また、燃焼器は、金属製部材で囲まれた燃焼空間が内部に形成され、燃料電池セルスタックから排出されたオフガスを燃焼空間へ導入する導入口を有し、燃焼空間でオフガスを燃焼させるように構成されているので、燃焼点を限定して効率的に熱を供給することができる。
【0010】
請求項2記載の発明に係る燃料電池システムは、前記改質器は、前記燃焼器と前記燃料電池セルスタックとの間に前記燃料電池セルスタック及び前記燃焼器と熱交換が可能に配置されている、ことを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の燃料電池システムでは、改質器は、燃料電池セルスタックと燃焼器の間に配置されている。すなわち、改質器の一方側に燃料電池セルスタックが配置され、他方側に燃焼器が配置されている。そして、改質器は、燃料電池セルスタック及び燃焼器と熱交換が可能とされている。したがって、改質器での改質反応に必要な熱を燃料電池セルスタック及び燃焼器の両方のから受けることができると共に、改質器からの熱の放散を抑制することができる。これにより、効率的に改質器を加熱して、燃料電池システムにおける熱効率を向上せることができる。
【0012】
請求項3記載の発明に係る燃料電池システムは、前記燃料電池セルスタック、前記改質器、前記燃焼器の順に下から上へ積層されている、ことを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明に係る燃料電池システムによれば、燃料電池セルスタックの温度が燃焼器の温度よりも高温の場合に、高温部内において燃料電池セルスタックからの熱が上昇し、高温部内の熱を対流させることができる。また、相対的に質量が大きい燃料電池セルスタックを下部に配置するので、安定した積層構造とすることができる。さらに、燃焼器や改質器の耐荷重性を軽減することができる。
【0014】
請求項4記載の発明に係る燃料電池システムは、前記燃焼器、前記改質器、前記燃料電池セルスタックの順に下から上へ積層されている、ことを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明に係る燃料電池システムによれば、燃焼器の温度が燃料電池セルスタックの温度よりも高温の場合に、高温部内において燃焼器からの熱が上昇し、高温部内の熱を対流させて効率的に熱の供給を行うことができる。
【0016】
請求項5記載の発明に係る燃料電池システムは、前記燃焼器は、前記改質器と前記燃料電池セルスタックとの間に前記改質器及び前記燃料電池セルスタックと熱交換が可能に配置されている、ことを特徴とする。
【0017】
請求項5記載の発明に係る燃料電池システムによれば、改質器及び燃料電池セルスタックの両方が燃焼器と熱交換可能に配置されている。したがって、改質器及び燃料電池セルスタックを、効率的に加熱することができる。
【0018】
請求項6記載の発明に係る燃料電池システムは、前記燃料電池セルスタック、前記燃焼器、前記改質器の順に下から上へ積層されている、ことを特徴とする。
【0019】
請求項6記載の発明に係る燃料電池システムによれば、燃焼器からの熱の対流を利用して改質器を効果的に加熱することができる。また、相対的に質量が大きい燃料電池セルスタックを下部に配置するので、安定した積層構造とすることができる。また、燃焼器や改質器の耐荷重性を軽減することができる。
【0020】
請求項7記載の発明に係る燃料電池システムは、前記改質器、前記燃焼器、前記燃料電池セルスタックの順に下から上へ積層されている、ことを特徴とする。
【0021】
請求項7記載の発明に係る燃料電池システムによれば、燃焼器が燃料電池セルスタックと隣接された下側に配置されているので、燃料電池セルスタックと燃焼器との間で効果的に熱交換を行うことができる。
【0022】
請求項8記載の発明に係る燃料電池システムは、前記燃料電池セルスタックは、前記改質器と前記燃焼器との間に前記改質器及び前記燃焼器と熱交換が可能に配置されていることを特徴とする。
【0023】
請求項8記載の発明に係る燃料電池システムでは、燃料電池セルスタックの一方側に改質器が配置され、他方側に燃焼器が配置されている。したがって、燃料電池セルスタックからの熱の放散を抑制することができ、燃料電池セルスタックの温度を安定させることができる。
【0024】
請求項9記載の発明に係る燃料電池システムは、前記燃焼器、前記燃料電池セルスタック、前記改質器の順に下から上へ積層されている、ことを特徴とする。
【0025】
請求項9記載の発明に係る燃料電池システムによれば、燃焼器の温度が燃料電池セルスタックの温度よりも高温の場合に、高温部内において燃焼器からの熱が上昇し、高温部内の熱を対流させて効率的に熱の供給を行うことができる。
【0026】
請求項10記載の発明に係る燃料電池システムは、前記改質器、前記燃料電池セルスタック、前記燃焼器の順に下から上へ積層されている、ことを特徴とする。
【0027】
請求項10記載の発明に係る燃料電池システムによれば、燃焼器が燃料電池セルスタックの上側に配置されているので、燃焼器の耐荷重性を軽減することができる。
【0028】
請求項11記載の発明に係る燃料電池システムは、前記熱交換部は、前記改質器へ供給する水を気化させる気化器、及び前記燃焼排ガスと前記燃料電池セルスタックへ供給される気体との間で熱交換を行う熱交換器、を含み、前記熱交換器は前記高温部に隣接配置され、前記気化器は前記熱交換器に対して前記高温部と反対側に隣接配置されている。
【0029】
請求項11記載の発明に係る燃料電池システムによれば、高温部に隣接して熱交換器が配置されているので、燃焼排ガスやアノードオフガスの温度を維持しつつ当該熱交換器へ導入することができる。これにより、熱のロスを抑制しつつ、他のガスとの間で効率的に熱交換を行うことができる。また、改質器へ供給する水を気化する気化器が、熱交換器に隣接して配置されている。したがって、熱交換器を高温部と気化器の間に配置して、熱交換器からの放熱を抑制することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る燃料電池システムによれば、燃料電池システムにおける発電効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】第1実施形態に係る燃料電池システムの主要部の配置図である。
図2】第1実施形態に係る燃料電池システムの接続関係を示す説明図である。
図3】第1実施形態の変形例に係る燃料電池システムの主要部の配置図である。
図4】第1実施形態の他の変形例に係る燃料電池システムの主要部の配置図である。
図5】第2実施形態に係る燃料電池システムの主要部の配置図である。
図6】第3実施形態に係る燃料電池システムの主要部の配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[第1実施形態]
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
【0033】
図1には、本発明の実施形態に係る燃料電池システム10Aの主要構成の概略配置が示されている。本発明の実施形態に係る燃料電池システム10Aは、発電効率が50%以上、好ましくは55%以上のモノジェネレーションシステムであり、コジェネレーションシステム(熱併給発電)と区別される。図1では、鉛直方向の上方を矢印UPで示している。燃料電池システム10Aは、主要な構成として、気化器12、改質器14、第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、第2燃料電池セルスタック18、熱交換部30、燃焼器40を備えている。
【0034】
第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、及び第2燃料電池セルスタック18は、固体酸化物形の燃料電池セルスタックであり(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)、積層された複数の燃料電池セルを有している。第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、及び第2燃料電池セルスタック18は、作動温度がT1とされている。例えば、作動温度T1は、600℃〜1000℃程度に設定できる。第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、及び第2燃料電池セルスタック18は、上下方向に重なり合わないように、改質器14の下側に配置されている。
【0035】
本実施形態の燃料電池システム10Aは、第1−1燃料電池セルスタック16及び第1−2燃料電池セルスタック17を経た燃料が不図示の燃料再生装置によって再生され、燃料ガスとして第2燃料電池セルスタック18で再利用される多段式の燃料電池システムとなっている。なお、燃料再生装置としては、水や二酸化炭素を除去する分離膜や吸着剤を用いることができる。
【0036】
第1−1燃料電池セルスタック16の個々の燃料電池セルは、電解質層と、当該電解質層の表裏面にそれぞれ積層されたアノード(燃料極)16A、及びカソード(空気極)16Bと、を有している。
【0037】
なお、第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、及び第2燃料電池セルスタック18は、同様の基本構成を有しており、アノード16Aに対応するアノード17A、18A、及びカソード16Bに対応するカソード17B、18Bを、各々有している。ここでは、第1−1燃料電池セルスタック16の構成についてのみ説明する。
【0038】
第1燃料電池セルスタック16のカソード16Bには、酸化ガス(空気)が供給される。カソード16Bでは、下記(1)式に示すように、酸化ガス中の酸素と電子とが反応して酸素イオンが生成される。生成された酸素イオンは電解質層を通って第1燃料電池セルスタック16のアノード16Aに到達する。
【0039】
(空気極反応)
1/2O+2e →O2− …(1)
【0040】
また、カソード16Bからは、カソードオフガスが排出される。
【0041】
一方、第1燃料電池セルスタック16のアノード16Aでは、下記(2)式及び(3)式に示すように、電解質層を通ってきた酸素イオンが燃料ガス中の水素及び一酸化炭素と反応し、水(水蒸気)及び二酸化炭素と電子が生成される。アノード16Aで生成された電子がアノード16Aから外部回路を通ってカソード16Bに移動することで、各燃料電池セルにおいて発電される。また、各燃料電池セルは、発電時に発熱する。
【0042】
(燃料極反応)
+O2− →HO+2e …(2)
CO+O2− →CO+2e …(3)
【0043】
第1燃料電池セルスタック16のアノード16Aからは、アノードオフガスが排出される。アノードオフガスには、未反応の水素、未反応の一酸化炭素、二酸化炭素及び水蒸気等が含まれている。
【0044】
なお、本発明の燃料電池としては、固体酸化物形の燃料電池(SOFC)に限られるものではなく、高温で作動する他の燃料電池、例えば溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)であってもよい。
【0045】
第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、及び第2燃料電池セルスタック18の上には、改質器14が配置され、両者の間で熱交換が可能とされている。ここでの熱交換は、伝熱材の配置による伝熱や、輻射により行うことができる。改質器14では、メタンを改質し、水素を含む燃料ガスが生成される。改質器14は、第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、及び第2燃料電池セルスタック18と熱交換可能とされている。改質器14での改質温度をT2とする。改質温度をT2は、例えば、600℃〜700℃程度に設定できる。
【0046】
改質器14の上には、燃焼器40が配置されている。燃焼器40は、金属製とされ、金属正部材で囲まれた燃焼空間Rが内部に形成されている。また、燃焼器40は、アノードオフガスを燃焼空間Rへ導く導入口40A、及びカソードオフガスを燃焼空間Rへ導く導入口40Bを有している。燃焼器40の下面は改質器14の上面に沿って配置され、両者の間で熱交換が可能とされている。ここでの熱交換も、伝熱材の配置による伝熱や、輻射により行うことができる。改質器14は、第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、及び第2燃料電池セルスタック18と燃焼器40との間に配置される。燃焼器40では、第2燃料電池セルスタック18のアノード18Aから排出されたアノードオフガスが燃焼される。燃焼器40の温度をT3とする。T3は、例えば、600℃〜900℃程度に設定できる。定常運転では、燃焼器温度T3(出口温度)は、温度T1と同程度に設定されている。
【0047】
第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、第2燃料電池セルスタック18、改質器14、及び燃焼器40は、断熱体26Aによって覆われている。断熱体26Aとしては、市販の断熱材、例えば、ロスリムボード(ロスリム:登録商標)やマイクロサーム(登録商標)等を用いることができる。なお、断熱体26Aの他に、金属板などでさらに高温部26を覆ってもよい。第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、第2燃料電池セルスタック18、改質器14、及び燃焼器40で、高温部26が構成されている。高温部26の内部温度を、T0とする。温度T0は、例えば、600℃〜700℃程度となる。
【0048】
燃焼器40の上で、断熱体26Aの外側には、熱交換部30が配置されている。熱交換部30は、後述する熱交換器35及び気化器12を含んで構成されている。熱交換器35は、カソード16B、17Bへ供給する空気と燃焼排ガスとの間で熱交換を行う。熱交換器35の雰囲気温度をT4とする。T4はT0よりも低温となっている。温度T4は、例えば、200℃〜600℃程度に設定できる。
【0049】
熱交換器35は、断熱体26Aの上に配置され、気化器12は、熱交換器35の上に配置されている。気化器12には、メタン及び水が供給され、気化器12内で水(液相)が気化される。なお、本実施形態では、原料ガスとしてメタンを用いるが、改質が可能なガスであれば特に限定されず、炭化水素燃料を用いることができる。炭化水素燃料としては、天然ガス、LPガス(液化石油ガス)、石炭改質ガス、低級炭化水素ガスなどが例示される。低級炭化水素ガスとしては、メタン、エタン、エチレン、プロパン、ブタン等の炭素数4以下の低級炭化水素が挙げられる。気化器12内の温度をT5とすると、温度T5は温度T4よりも低温となっている。温度T5は、例えば、70℃〜250℃程度に設定できる。
【0050】
高温部26、熱交換器35、及び気化器12は、筐体24内に収納されている。筐体24は、断熱材で構成されており、筐体24内は、筐体24の外部よりも高温に保持されている。筐体24によって、燃料電池システム10Aにおいて高温となる燃料電池ハウジング、所謂ホットモジュールが構成されている。なお、筐体24は、金属板で構成してもよく、金属板の材料は輻射率の高い金属を使用してもよい。
【0051】
次に、燃料電池システム10Aの各部の接続、及びガスの流路構成について説明する。
【0052】
図2に示されるように、気化器12には、原料ガス管P1の一端が接続されており、原料ガス管P1の他端は図示しないガス源に接続されている。ガス源からは、ブロアB1によりメタンが気化器12へ送出される。また、不図示のポンプにより、水(液相)が気化器12へ送出される。気化器12には、燃焼器40から燃焼排ガスを排出する燃焼排ガス管P10が熱交換のために導入されている。気化器12では水(液相)が気化される。
【0053】
メタン及び水蒸気は、気化器12から配管P3を介して改質器14へ送出される。改質器14は、第1−1燃料電池セルスタック16(アノード16A)、及び、第1−2燃料電池セルスタック17(アノード17A)、と接続されている。第1−1燃料電池セルスタック16(アノード16A)と第1−2燃料電池セルスタック17(アノード17A)は、並列に配置されている。改質器14で生成された燃料ガスは、燃料ガス管P4を介して第1燃料電池セルスタック16(アノード16A)、及び、第1−2燃料電池セルスタック17(アノード17A)に供給される。
【0054】
第1燃料電池セルスタック16(アノード16A)、及び、第1−2燃料電池セルスタック17(アノード17A)には、アノードオフガスを排出する第1アノードオフガス管P7−1が接続されている。第1アノードオフガス管P7−1の他端は、不図示の燃料再生装置を介して第2燃料電池セルスタック18(アノード18A)と接続されている。第1アノードオフガス管P7−1を通って、アノードオフガスからCOや水が分離された再生燃料ガスが、第2燃料電池セルスタック18(アノード18A)へ供給される。
【0055】
第2燃料電池セルスタック18(アノード18A)には、第2アノードオフガス管P7−2の一端が接続されている。第2アノードオフガス管P7−2の他端は、燃焼器40と接続されている。第2アノードオフガス管P7−2により、第2燃料電池セルスタック18からのアノードオフガスが燃焼器40へ送出される。
【0056】
一方、第1−1燃料電池セルスタック16(カソード16B)及び第1−2燃料電池セルスタック17(カソード17B)には、酸化ガス管P5の一端が接続され、酸化ガス管P5の他端には、ブロアB2が接続されている。酸化ガス管P5は、熱交換器35を経て、第1−1燃料電池セルスタック16(カソード16B)及び第1−2燃料電池セルスタック17(カソード17B)と接続されている。第1−1燃料電池セルスタック16(カソード16B)と第1−2燃料電池セルスタック17(カソード17B)は、並列に配置されている。ブロアB2から送出された空気は、酸化ガス管P5によって、第1−1燃料電池セルスタック16(カソード16B)及び第1−2燃料電池セルスタック17(カソード17B)へ供給される。
【0057】
第1−1燃料電池セルスタック16(カソード16B)、及び、第1−2燃料電池セルスタック17(カソード17B)には、カソードオフガスを排出する第1カソードオフガス管P9−1が接続されている。第1カソードオフガス管P9−1の他端は、第2燃料電池セルスタック18(カソード18B)と接続されている。第1カソードオフガス管P9−1により、カソードオフガスが、第2燃料電池セルスタック18(カソード18B)へ供給される。
【0058】
第2燃料電池セルスタック18(カソード18B)には、第2カソードオフガス管P9−2の一端が接続されている。第2カソードオフガス管P9−2の他端は、燃焼器40と接続されている。第2カソードオフガス管P9−2により、第2燃料電池セルスタック18からのカソードオフガスが燃焼器40へ送出される。
【0059】
燃焼器40の出口側には、燃焼排ガス管P10の一端が接続されている。燃焼排ガス管P10は、熱交換器35、気化器12を経て、外部に排出されている。熱交換器35は、熱交換部30内に収納されている。熱交換器35では、酸化ガス管P5を流れる酸化ガスと、燃焼排ガスとの間での熱交換が行われ、酸化ガスが加熱され、燃焼排ガスが冷却される。
【0060】
次に、本実施形態の燃料電池システム10Aの動作について説明する。
【0061】
燃料電池システム10Aにおいては、まず、ガス源からの燃料であるメタン及び水タンクからの水が、気化器12へ供給される。気化器12では、供給されたメタン及び水が混合されると共に、燃焼排ガス管P10を流通する燃焼排ガスから熱を得て加熱され、水が気化され水蒸気となる。
【0062】
メタン及び水蒸気は、気化器12から配管P3を介して改質器14へ送出される。改質器14では、改質反応により、水素を含む600℃程度の燃料ガスが生成される。燃料ガスは、燃料ガス管P4を介して第1−1燃料電池セルスタック16のアノード16A、及び、第1−2燃料電池セルスタック17のアノード17Aに供給される。
【0063】
第1−1燃料電池セルスタック16のカソード16B、及び、第1−2燃料電池セルスタック17のカソード17Bには、酸化ガス管P5を経て酸化ガスが供給される。この酸化ガスは、ブロアB2で送出された空気が、熱交換器35で加熱されて供給される。
【0064】
これにより、第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17では、前述の反応により発電が行われる。上記反応により第1燃料電池セルスタック16は発熱し、温度T1で発電が行われる。
【0065】
この発電に伴い、第1−1燃料電池セルスタック16のアノード16A、第1−2燃料電池セルスタック17のアノード17Aからは、アノードオフガスが排出される。また、カソード16B、17Bからは、カソードオフガスが排出される。カソードオフガスは、カソードオフガス管P9−1を通って第2燃料電池セルスタック18のカソード18Bへ供給される。
【0066】
アノード16A、17Aから排出されたアノードオフガスは、第1アノードオフガス管P7−1に導かれ、水、二酸化炭素が除去されて第2燃料電池セルスタック18のアノード18Aへ供給される。
【0067】
第2燃料電池セルスタック18では、前述の反応により発電が行われる。この反応により第2燃料電池セルスタック18は発熱し、温度T1程度の温度で発電が行われる。アノード18A、カソード18Bでの使用済ガスは、第2アノードオフガス管P7−2、第2カソードオフガス管P9−2により各々燃焼器40へ送出され、燃焼器40で焼却に供される。
【0068】
燃焼器40からの燃焼排ガスは、燃焼排ガス管P10により、熱交換器35、及び気化器12を経て、外部へ排出される。
【0069】
本実施形態の燃料電池システム10Aは、第1−1燃料電池セルスタック16及び第1−2燃料電池セルスタック17から排出されたアノードオフガスを第2燃料電池セルスタック18で再利用する多段式であるので、発電効率を高くすることができる。このように発電効率の高い燃料電池システムでは、燃焼に供されるアノードオフガスに含まれる未使用燃料が少ないため、改質反応や燃料電池セルスタックの温度維持のために必要な熱量を確保することが重要となる。本実施形態の燃料電池システム10Aでは、断熱された筐体24内に燃料電池セルスタック(第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、第2燃料電池セルスタック18)、改質器14、及び、燃焼部40を配置している。したがって、外部への熱の放散が抑制され、筐体24内で熱を効率的に供給することができる。
【0070】
また、本実施形態の燃料電池システム10Aでは、改質器14が、第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、及び第2燃料電池セルスタック18と、燃焼器40との間に配置され、且つ熱交換可能とされている。したがって、改質器14での改質反応に必要な熱を燃料電池セルスタック及び燃焼器40の両側から受けることができる。また、改質器14が燃料電池セルスタックと燃焼器40に挟まれているので、改質器14からの熱の放散を抑制することができる。これにより、効率的に改質器14を加熱して、燃料電池システム10Aにおける熱効率を向上させ、アノードオフガス以外の燃料の使用を抑制して発電効率を向上させることができる。
【0071】
また、本実施形態では、質量が大きい第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、及び第2燃料電池セルスタック18が下部に配置され、比較的軽量の改質器14、燃焼器40がその上に配置されている。したがって、安定した積層構造とすることができると共に、燃焼器40や改質器14の耐荷重性を軽減し、支持構造を軽量化することにより、高温部26の熱容量を小さくすることができる。
【0072】
また、本実施形態では、熱交換部30が高温部26に隣接して配置されているので、高温部26からの燃焼排ガス管P10や第1アノードオフガス管P7−1等の温度を維持しつつ各熱交換器への配管を行うことができる。したがって、熱のロスを抑制して、他のガスとの熱交換を効率的に行うことができる。
【0073】
また、本実施形態では、熱交換部30の上部に気化器12が配置されており、熱勾配、温度T0(高温部26)>温度T4(熱交換器35)>温度T5(気化器12)が、各部の配置順となっている。したがって、高温部26、熱交換部30、及び、気化器12において、適切に熱を融通させることができる熱勾配とすることができる。
【0074】
また、本実施形態では、第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、及び第2燃料電池セルスタック18、燃焼器40、及び改質器14で構成された高温部26が、断熱体26Aに覆われているので、高温部26からの放熱を抑制して、高温部26内の温度T0を維持することができる。また、高温部26と熱交換部30を断熱することができる。
【0075】
また、本実施形態では、第1−1燃料電池セルスタック16と第2燃料電池セルスタック18の間に第1−2燃料電池セルスタック17を配置したが、第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、第2燃料電池セルスタック18の配置順は、この順序である必要はない。本実施形態のように、第1−1燃料電池セルスタック16と第1−2燃料電池セルスタック17を隣接させた場合、全体配管長を短縮することができ、熱の放散を抑制することが可能である。一方、第1−1燃料電池セルスタック16と第1−2燃料電池セルスタック17の間に挟んだ場合、第1−1燃料電池セルスタック16及び第1−2燃料電池セルスタック17の発電状況に影響を受けて温度が変動し温度低下する可能性が高い第2燃料電池セルスタック18の保温を行うことができる。
【0076】
また、本実施形態では、燃焼器40は、金属製部材で囲まれた燃焼空間Rを有し、アノードオフガスを導く導入口40A、カソードオフガスを導く導入口40Bを有している。アノードオフガスは、燃焼器40の内部で燃焼される。したがって、燃焼点を限定して、所望の位置に効率よく熱を供給することができる。また、燃焼器40は、容易に所望の大きさ、形状、配置にすることができ、設計の自由度を高くすることができる。
【0077】
なお、本実施形態では、改質器14を挟んで、下側に第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、及び第2燃料電池セルスタック18を配置し、上側に燃焼器40を配置したが、他の構成で改質器14を加熱することもできる。例えば、図3に示されるように、改質器14を挟んで、下側に燃焼器40を配置し、上側に第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、及び第2燃料電池セルスタック18を配置した、燃料電池システム10Bとしてもよい。
【0078】
一般的に、第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、及び第2燃料電池セルスタック18の温度は、負荷変動により変化する。一方、燃焼器40の温度は、可燃ガスを供給することにより、制御が容易である。そこで、燃焼器40を改質器14の下側に配置する上記の構成により、容易に改質器14の温度を制御することができる。例えば、燃料電池システム10Aの起動時などで、第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、及び第2燃料電池セルスタック18の温度がT1よりも低い場合に、燃焼器40への可燃ガスの供給量を調整することにより、燃焼熱を制御して、改質器14を加熱することができる。また、燃焼器40の温度が燃料電池セルスタックの温度よりも高温の場合に、高温部26内において燃焼器40からの熱が上昇し、高温部26内の熱を対流させて効率的に熱の供給を行うことができる。
【0079】
また、図4に示されるように、改質器14を挟んで、左右に燃焼器40と、第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、及び第2燃料電池セルスタック18とを配置した、燃料電池システム10Cとすることもできる。
【0080】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、第2燃料電池セルスタック18と、改質器14と、燃焼器40の位置が第1実施形態と異なり、その他の構成については第1実施形態と同様である。
【0081】
本実施形態では、図5(A)に示されるように、第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、及び第2燃料電池セルスタック18を挟んで、上側に燃焼器40が配置され、下側に改質器14が配置されている。第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、及び第2燃料電池セルスタック18と燃焼器40との間では、熱交換が可能とされている。また、第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、及び第2燃料電池セルスタック18と改質器14の間でも熱交換が可能とされている。ここでの熱交換は、伝熱材の配置による伝熱や、輻射により行うことができる。
【0082】
本実施形態では、第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、及び第2燃料電池セルスタック18が、燃焼器40と改質器14に挟まれている。したがって、第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、及び第2燃料電池セルスタック18からの熱の放散を抑制することができ、第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、及び第2燃料電池セルスタック18の温度を安定させることができる。
【0083】
また、本実施形態では、燃焼器40が第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、及び第2燃料電池セルスタック18よりも上に配置されているので、燃焼器40の耐荷重性を軽減することができる。
【0084】
なお、本実施形態では、第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、及び第2燃料電池セルスタック18を挟んで、上側に燃焼器40を配置し、下側に改質器14を配置したが、図5(B)に示されるように、上側に改質器14を配置し、下側に燃焼器40を配置してもよい。このような配置にすることにより、燃焼器40の温度が第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、及び第2燃料電池セルスタック18の温度よりも高温の場合に、高温部26内において燃焼器40からの熱が上昇し、高温部26内の熱を効果的に対流させて効率的に熱の供給を行うことができる。また、第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、及び第2燃料電池セルスタック18を燃焼器40の直下に配置することにより、燃料電池セルスタックの昇温速度が上がる。したがって、起動時に所定の起動温度に達するまでの時間が短縮されるので、起動に要する時間を短縮することができる。
【0085】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態では、第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、第2燃料電池セルスタック18と、改質器14と、燃焼器40の位置が第1、2実施形態と異なり、その他の構成については第1、2実施形態と同様である。
【0086】
本実施形態では、図6(A)に示されるように、燃焼器40を挟んで、上側に第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、及び第2燃料電池セルスタック18が配置され、下側に改質器14が配置されている。第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、及び第2燃料電池セルスタック18と燃焼器40との間では、熱交換が可能とされている。また、燃焼器40と改質器14の間でも熱交換が可能とされている。ここでの熱交換は、伝熱材の配置による伝熱や、輻射により行うことができる。
【0087】
本実施形態では、燃焼器40が、第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、及び第2燃料電池セルスタック18と改質器14に挟まれている。したがって、改質器及び燃料電池セルスタックの両方が燃焼器40と隣接して熱交換可能に配置されている。したがって、改質器14、及び、第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、第2燃料電池セルスタック18を、効率的に加熱することができる。
【0088】
また、本実施形態では、燃焼器40が第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、及び第2燃料電池セルスタック18の直下に配置されているので、燃焼器40と第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、及び第2燃料電池セルスタック18との間で、効果的に熱交換を行うことができ、燃料電池セルスタックの昇温速度が上がる。したがって、起動時に所定の起動温度に達するまでの時間が短縮されるので、起動に要する時間を短縮することができる。
【0089】
なお、本実施形態では、燃焼器40を挟んで、上側に第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、及び第2燃料電池セルスタック18を配置し、下側に改質器14を配置したが、図6(B)に示されるように、上側に改質器14を配置し、下側に第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、及び第2燃料電池セルスタック18を配置してもよい。このような配置にすることにより、燃焼器40からの熱の対流を利用して改質器14を効果的に加熱することができる。また、第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、及び第2燃料電池セルスタック18を燃焼器40の直下に配置することにより、燃料電池セルスタックの昇温速度が上がる。したがって、起動時に所定の起動温度に達するまでの時間が短縮されるので、起動に要する時間を短縮することができる。さらに、相対的に質量が大きい第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、及び第2燃料電池セルスタック18を下部に配置するので、安定した積層構造とすることができる。また、燃焼器40や改質器14の耐荷重性を軽減することができる。
【0090】
本発明の燃料電池セルスタックとしては、上記第1〜第3実施形態の燃料電池セルスタックに代えて、円筒状の燃料電池セルスタックを採用してもよい。その場合には、燃料電池セルスタックを中心として、外周に同心円状に円筒状の改質器、燃焼器を配置することができる。
【0091】
また、本発明は、多段式の燃料電池システムに適用した例で説明したが、循環式など、他の燃料電池システムや、燃料を再利用しない1段の燃料電池システムに適用することもできる。また、多段式の燃料電池システムにおいて、COや水を分離しないシステムや、他の方法で分離するシステムに適用することもできる。
【0092】
また、上記第1〜第3実施形態では、本発明をモノジェネレーションシステムの燃料電池システムに適用した例について説明したが、本発明はコジェネレーションシステムの燃料電池システムに適用することもできる。本発明を適用することにより、コジェネレーションシステムの燃料電池システムにおいても、効率的に改質器を加熱して、発電効率を向上させることができる。なお、上記第1〜第3実施形態に例示したモノジェネレーションシステムにおいて、発電効率の高い燃料電池システムでは、燃料利用率が高く、燃焼器で燃焼させる未反応燃料が少ないため、特に本発明が好適である。
【0093】
さらに、本発明は、本発明の技術的思想内で、当業者によって、既知の装置を組み合わせて実施することができる。例えば、熱交換器の設置、組み合わせなどを、種々に設定することができる。
【符号の説明】
【0094】
10A 燃料電池システム、 12 気化器、 14 改質器
16 第1−1燃料電池セルスタック(燃料電池セルスタック)
17 第1−2燃料電池セルスタック(燃料電池セルスタック)
18 第2燃料電池セルスタック(燃料電池セルスタック)
26 高温部、 26A 断熱体
30 熱交換部、 40 燃焼器、 40A、40B 導入口、 R 燃焼空間
【要約】
【課題】燃料電池システムにおける発電効率を向上させる。
【解決手段】改質器14は、第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、及び第2燃料電池セルスタック18の上に配置されている。改質器14の上には、燃焼器40が配置されている。改質器14は、第1−1燃料電池セルスタック16、第1−2燃料電池セルスタック17、第2燃料電池セルスタック18、及び燃焼器40と熱交換可能とされている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6