(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つのスイッチは、前記送信アンテナと受信機との間の結合に基づいて前記第1のキャパシタを前記第1の構成と前記第2の構成の一方で選択的に接続するように構成される、請求項1に記載のワイヤレス電力送信機。
前記送信アンテナと前記受信機との間の前記結合を測定し、前記結合をしきい値と比較するように構成された少なくとも1つのプロセッサをさらに備える、請求項5に記載のワイヤレス電力送信機。
前記第1の構成では第1の巻数比で動作し、前記第2の構成では第2の巻数比で動作するように構成され、前記第1の巻数比は前記第2の巻数比よりも高いマルチタップ変圧器をさらに備える、請求項1に記載のワイヤレス電力送信機。
前記送信アンテナと受信機との間の結合に基づいて前記第1のキャパシタを前記第1の構成と前記第2の構成の一方で選択的に接続するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
マルチタップ変圧器を前記第1の構成では第1の巻数比で動作し、前記第2の構成では第2の巻数比で動作するように構成するステップであって、前記第1の巻数比は前記第2の巻数比よりも高いステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
送信アンテナと受信機との間の結合に基づいて前記第1のキャパシタを前記第1の構成と前記第2の構成の一方で選択的に接続するための手段をさらに備える、請求項15に記載の装置。
前記第1の構成では第1の巻数比で動作し、前記第2の構成では第2の巻数比で動作するように構成されたマルチタップ変圧器であって、前記第1の巻数比は前記第2の巻数比よりも高いマルチタップ変圧器をさらに備える、請求項15に記載の装置。
実行されたときに、前記装置に、前記送信アンテナと受信機との間の結合に基づいて前記第1のキャパシタを前記第1の構成と前記第2の構成の一方で選択的に接続させるコードをさらに含む、請求項22に記載の媒体。
実行されたときに、前記装置に前記送信アンテナと前記受信機との間の前記結合を測定させ、前記結合をしきい値と比較させるコードをさらに含む、請求項26に記載の媒体。
実行されたときに、前記装置に、マルチタップ変圧器を前記第1の構成では第1の巻数比で動作し、前記第2の構成では第2の巻数比で動作するように構成することであって、前記第1の巻数比は前記第2の巻数比よりも高いことを行わせるコードをさらに含む、請求項22に記載の媒体。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面に示された様々な特徴は、縮尺通りに描かれていないことがある。したがって、明確にするために、様々な特徴の寸法は任意に拡大または縮小されていることがある。加えて、図面のいくつかは、所与のシステム、方法、またはデバイスの構成要素のすべてを図示していないことがある。最後に、同様の参照番号が、明細書および図面全体を通じて同様の特徴を表すために使用され得る。
【0024】
添付の図面に関連して以下で述べられる発明を実施するための形態は、本発明の例示的な実施形態の説明として意図されており、本発明が実施され得る実施形態のみを表すことは意図されていない。本説明全体にわたって使用される「例示的」という用語は、「例、実例、または例示として機能すること」を意味しており、必ずしも、他の例示的な実施態様よりも好ましい、または有利であると解釈されるべきではない。詳細に記載される説明は、本発明の例示的な実施形態の完全な理解を与えるための具体的な詳細を含んでいる。場合によっては、いくつかのデバイスがブロック図の形式で示される。
【0025】
電力をワイヤレス伝達することは、物理的な導電体を使用することなく、電場、磁場、電磁場などに関連する任意の形態のエネルギーを送信機から受信機に伝達する(たとえば、電力は、自由空間を通って伝達され得る)ことを指す場合がある。電力伝達を実現するために、ワイヤレス場(たとえば、磁場)内に出力された電力は、「受信コイル」によって受信、捕捉、または結合され得る。
【0026】
本明細書では、遠隔システムを説明するために電動車両が使用され、その一例は、その運動能力の一部として、充電可能なエネルギー蓄積デバイス(たとえば、1つまたは複数の再充電可能な電気化学セルまたは他のタイプのバッテリー)から得られた電力を含む車両である。非限定的な例として、いくつかの電動車両は、電気モータ以外に、直接運動のための、または車両のバッテリーを充電するための従来型の内燃機関を含むハイブリッド電動車両であり得る。他の電動車両は、電力からすべての運動能力を引き出すことができる。電動車両は自動車に限定されず、オートバイ、カート、スクーターなどを含み得る。限定ではなく例として、遠隔システムは本明細書において、電動車両(EV)の形態で説明される。さらに、充電可能なエネルギー蓄積デバイスを使用して少なくとも部分的に電力供給され得る他の遠隔システム(たとえば、パーソナルコンピューティングデバイスなどの電子デバイス)も企図される。
【0027】
図1は、本発明の例示的な実施形態による、電動車両112を充電するための例示的なワイヤレス電力伝送システム100の図である。ワイヤレス電力伝送システム100は、電動車両112がベースワイヤレス充電システム102aの近くに駐車されている間の、電動車両112の充電を可能にする。2つの電動車両のための空間が、対応するベースワイヤレス充電システム102aおよび102bの上方に駐車されることになる駐車エリアの中に示されている。いくつかの実施形態では、ローカル配電センター130が、電力バックボーン132に接続され、電力リンク110を通じてベースワイヤレス充電システム102aに交流電流(AC)または直流(DC)電源を提供するように構成され得る。ベースワイヤレス充電システム102aはまた、電力をワイヤレスに伝達または受信するためのベースシステム誘導コイル104aおよびアンテナ136を含む。電動車両112は、バッテリーユニット118と、電動車両誘導コイル116と、電動車両ワイヤレス充電システム114と、アンテナ140とを含むことができる。電動車両誘導コイル116は、たとえば、ベースシステム誘導コイル104aによって生成される電磁場の領域を介して、ベースシステム誘導コイル104aと相互作用し得る。
【0028】
いくつかの例示的な実施形態では、電動車両誘導コイル116は、電動車両誘導コイル116がベースシステム誘導コイル104aによって生成されるエネルギー場の中に位置するとき、電力を受信することができる。この場は、ベースシステム誘導コイル104aによって出力されるエネルギーが電動車両誘導コイル116によって捕捉され得る領域に対応する。たとえば、ベースシステム誘導コイル104aによって出力されたエネルギーは、電動車両112を充電するか、または電動車両112に電力供給するのに(たとえば、バッテリーユニット118を充電するのに)十分なレベルにあり得る。いくつかの場合には、この場は、ベースシステム誘導コイル104aの「近接場」に対応し得る。近接場は、ベースシステム誘導コイル104aから遠くに電力を放射しない、ベースシステム誘導コイル104aの中の電流および電荷に起因する強い反応場がある、領域に対応し得る。いくつかの場合には、近接場は、以下でさらに説明されるように、ベースシステム誘導コイル104aの波長の約1/2π内にある(かつ電動車両誘導コイル116に対しては電動車両誘導コイル116の約1/2π内にある)領域に対応し得る。
【0029】
ローカル分配センター130は、通信バックホール134を介して外部ソース(たとえば、電力網)と、通信リンク108を介してベースワイヤレス充電システム102aと通信するように構成され得る。
【0030】
ベースワイヤレス充電システム102aおよび102bは、アンテナ136および138を介して電動車両ワイヤレス充電システム114と通信するように構成され得る。たとえば、ワイヤレス充電システム102aは、アンテナ138とアンテナ140との間の通信チャネルを使用して、電動車両ワイヤレス充電システム114と通信することができる。通信チャネルは、たとえば、ブルートゥース、zigbee、セルラー、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)などのような、任意のタイプの通信チャネルであってよい。様々な実施形態では、ベースワイヤレス充電システム102aおよび102bは、それぞれ
図8、
図9、
図10、
図12、および
図13に関して本明細書で説明するベースワイヤレス充電システム802、902A、1002A、1202A、および/または1302のうちのいずれかを含んでもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、電動車両誘導コイル116は、ベースシステム誘導コイル104aと揃えられ得るので、単に運転手が電動車両112をベースシステム誘導コイル104aに対して正しく配置することによって、近接場領域内に配設され得る。他の実施形態では、運転者は、電動車両112がワイヤレス電力伝達のために適切に配置されているときにそれを判定するために、視覚的なフィードバック、音声のフィードバック、またはそれらの組合せを与えられ得る。さらに他の実施形態では、電動車両112は、整列の誤差が許容可能な値に達するまで電動車両112を前後に(たとえば、ジグザグの動きで)動かすことができる、オートパイロットシステムによって配置され得る。これは、電動車両112が車両を調整するためのサーボ式ハンドル、超音波センサ、および知能を備えている限り、運転手の介入を伴うことなく、または運転手の最小限の介入を伴うことで、電動車両112によって自動的かつ自律的に実行され得る。さらに他の実施形態では、電動車両誘導コイル116、ベースシステム誘導コイル104a、またはそれらの組合せは、誘導コイル116および104aを互いに対してずらして移動させて、それらをより正確に配向し、それらの間のより効率的な結合を促進するための機能を有し得る。
【0032】
ベースワイヤレス充電システム102aは、種々の位置に配置され得る。非限定的な例として、いくつかの適切な位置は、電動車両112の所有者の自宅の駐車エリア、従来型の石油ベースの給油所にならって作られた電動車両のワイヤレス充電のために確保された駐車エリア、ならびにショッピングセンターおよび職場などの他の位置にある駐車場を含む。
【0033】
電動車両をワイヤレスに充電することは、多数の利点をもたらし得る。たとえば、充電が実質的に運転手の介入および操作を伴わずに自動的に実行され得るので、ユーザの利便性が向上する。また、露出した電気的接点および機械的な摩耗がなくなり得るので、ワイヤレス電力伝送システム100の信頼性が向上する。ケーブルおよびコネクタによる操作が必要とされなくてよく、屋外環境において蒸気および水に曝され得るケーブル、プラグ、またはソケットがなくなり得るので、安全性が向上する。また、目に見える、または手の届くソケット、ケーブル、およびプラグがなくなり得るので、電力の充電デバイスの損壊の可能性が減る。さらに、電動車両112は、電力網を安定化するための分散蓄電デバイスとして使用され得るので、vehicle-to-Grid(V2G)動作のための車両の利用可能性を上げるためにdocking-to-grid解決策を使用することが可能である。
【0034】
図1を参照して説明されるようなワイヤレス電力伝送システム100はまた、美観上の利点および障害にならないという利点をもたらし得る。たとえば、車両および/または歩行者の障害となり得る充電用の柱およびケーブルがなくなり得る。
【0035】
vehicle-to-grid能力のさらなる説明として、ワイヤレス電力送受信能力は、ベースワイヤレス充電システム102aが電力を電動車両112に伝送し、たとえばエネルギー不足のときに電動車両112が電力をベースワイヤレス充電システム102aに伝送するように、相互的であるように構成され得る。この能力は、過大な需要または再生可能エネルギーの産生(たとえば、風力または太陽光)の不足により引き起こされるエネルギー不足の際に、電動車両が配電系統全体へ電力を供給することを可能にすることによって、配電網を安定化するのに有用であり得る。
【0036】
図2は、
図1のワイヤレス電力伝達システム100の例示的な構成要素の概略図である。
図2に示されるように、ワイヤレス電力伝送システム200は、インダクタンスL
1を有するベースシステム誘導コイル204を含むベースシステム送信回路206を含み得る。ワイヤレス電力伝送システム200はさらに、インダクタンスL
2を有する電動車両誘導コイル216を含む電動車両受信回路222を含む。本明細書で説明される実施形態は、一次側構造物(送信機)と二次側構造物(受信機)の両方が共通の共振周波数に合わされている場合に、磁気的または電磁気的な近接場を介して一次側から二次側へとエネルギーを効率的に結合することが可能な、共振構造を形成する容量装荷型ワイヤループ(すなわち、多巻コイル)を使用することができる。このコイルは、電動車両誘導コイル216およびベースシステム誘導コイル204のために使用され得る。エネルギーを結合するための共振構造を使用することは、「磁気結合された共振」、「電磁結合された共振」、および/または「共振誘導」と呼ばれ得る。ワイヤレス電力伝送システム200の動作は、ベースワイヤレス電力充電システム202から電動車両112への電力伝達に基づいて説明されるが、それには限定されない。たとえば、上で論じられたように、電動車両112は、電力をベースワイヤレス充電システム102aに伝達することができる。様々な実施形態では、ベースワイヤレス電力充電システム202は、それぞれ
図8、
図9、
図10、
図12、および
図13に関して本明細書で説明するベースワイヤレス充電システム802、902A、1002A、1202A、および/または1302のうちのいずれかを含んでもよい。
【0037】
図2を参照すると、電源208(たとえば、ACまたはDC)が、電力P
SDCをベースワイヤレス電力充電システム202に供給して、エネルギーを電動車両112に伝達する。ベースワイヤレス電力充電システム202は、ベース充電システム電力コンバータ236を含む。ベース充電システム電力コンバータ236は、標準的な主要のAC電力から適切な電圧レベルのDC電力へと電力を変換するように構成されたAC/DCコンバータ、および、DC電力をワイヤレス高電力伝送に適した動作周波数の電力に変換するように構成されたDC/低周波(LF)コンバータのような回路を含み得る。ベース充電システム電力コンバータ236は、電力P
1をベースシステム誘導コイル204と直列のキャパシタC
1を含むベースシステム送信回路206に供給して、所望の周波数で電磁場を放出する。キャパシタC
1は、所望の周波数で共振するベースシステム誘導コイル204を伴う共振回路を形成するために設けられ得る。ベースシステム誘導コイル204は、電力P
1を受信し、電動車両112を充電または給電するのに十分なレベルの電力をワイヤレスに送信する。たとえば、ベースシステム誘導コイル204によってワイヤレスに提供される電力レベルは、キロワット(kW)程度(たとえば、1kWから110kWまでの範囲の電力、またはそれよりも高い電力、またはそれよりも低い電力)であり得る。
【0038】
ベースシステム誘導コイル204を含むベースシステム送信回路206および電動車両誘導コイル216を含む電動車両受信回路222は、実質的に同じ周波数に合わされてよく、ベースシステム誘導コイル204と電動車両誘導コイル116の1つによって送信される電磁場の近接場の中に配置され得る。この場合、ベースシステム誘導コイル204および電動車両誘導コイル116は、キャパシタC
2と電動車両誘導コイル116とを含む電動車両受信回路222に電力が伝達され得るように、互いに結合されるようになり得る。キャパシタC
2は、所望の周波数で共振する電動車両誘導コイル216とともに共振回路を形成するために設けられ得る。要素k(d)は、コイルの離隔に起因する相互結合係数を表す。等価抵抗R
eq,1およびR
eq,
2は、誘導コイル204および216ならびに逆リアクタンスキャパシタC
1およびC
2に固有であり得る損失を表す。電動車両誘導コイル316およびキャパシタC
2を含む電動車両受信回路222は、電力P
2を受信し、電力P
2を電動車両充電システム214の電動車両電力コンバータ238に提供する。
【0039】
電動車両電力コンバータ238は、とりわけ、ある動作周波数の電力を、電動車両バッテリーユニット218の電圧レベルに一致した電圧レベルのDC電力へ戻すように変換するように構成される、LF/DCコンバータを含み得る。電動車両電力コンバータ238は、電動車両バッテリーユニット218を充電するために、変換された電力P
LDCを供給することができる。電源208、ベース充電システム電力コンバータ236、およびベースシステム誘導コイル204は固定的であり、上で論じられたような種々の位置に配置され得る。バッテリーユニット218、電動車両電力コンバータ238、および電動車両誘導コイル216は、電動車両112の一部またはバッテリーパック(図示せず)の一部である電動車両充電システム214に含まれ得る。電動車両充電システム214はまた、電動車両誘導コイル216を通じてベースワイヤレス電力充電システム202に電力をワイヤレスに提供して、電力を電力網に戻すように構成され得る。電動車両誘導コイル216およびベースシステム誘導コイル204の各々は、動作のモードに基づいて、送信誘導コイルまたは受信誘導コイルとして動作し得る。
【0040】
示されないが、ワイヤレス電力伝送システム200は、電動車両バッテリーユニット218または電源208をワイヤレス電力伝送システム200から安全に切り離すための、負荷切断ユニット(LDU)を含み得る。たとえば、緊急事態またはシステム障害の場合、LDUは、負荷をワイヤレス電力伝送システム200から切断することをトリガされ得る。LDUは、バッテリーへの充電を管理するためのバッテリー管理システムに加えて設けられてもよく、または、バッテリー管理システムの一部であってもよい。
【0041】
さらに、電動車両充電システム214は、電動車両誘導コイル216を電動車両電力コンバータ238に選択的に接続し、またはそれから切り離すための、スイッチング回路(図示せず)を含み得る。電動車両誘導コイル216を切り離すことは、充電を中断することができ、また、(送信機として動作する)ベースワイヤレス充電システム102aによって「見られる」ような「負荷」を調整することができ、このことは、ベースワイヤレス充電システム102aから(受信機として動作する)電動車両充電システム114を「隠す」ために使用され得る。送信機が負荷感知回路を含む場合、負荷の変化が検出され得る。したがって、ベースワイヤレス電力充電システム202のような送信機は、電動車両充電システム114のような受信機がベースシステム誘導コイル204の近接場に存在するときを判定するための機構を有し得る。
【0042】
上で説明されたように、動作において、車両またはバッテリーへのエネルギー伝送を仮定すると、ベースシステム誘導コイル204がエネルギー伝送を提供するための場を生成するように、入力電力が電源208から提供される。電動車両誘導コイル216は、放射された場に結合し、電動車両112による蓄積または消費のための出力電力を生成する。上記のように、いくつかの実施形態では、電動車両誘導コイル116の共振周波数およびベースシステム誘導コイル204の共振周波数が非常に近くなるか、または実質的に同じになるように相互共振関係に従って、ベースシステム誘導コイル204および電動車両誘導コイル116は構成される。電動車両誘導コイル216がベースシステム誘導コイル204の近距離場に位置するとき、ベースワイヤレス電力充電システム202と電動車両充電システム214との間の送電損失は最小である。
【0043】
述べられたように、効率的なエネルギー伝送は、エネルギーの大半を電磁波で非近接場に伝播するのではなく、送信側誘導コイルの近接場におけるエネルギーの大部分を受信側誘導コイルに結合することによって、発生する。近接場の中にあるとき、送信誘導コイルと受信誘導コイルとの間にある結合モードが確立され得る。この近接場結合が発生し得る、誘導コイルの周りの領域は、本明細書では近接場結合モード領域と呼ばれる。
【0044】
示されないが、ベース充電システム電力コンバータ236および電動車両電力コンバータ238はともに、発振器と、電力増幅器のような駆動回路と、フィルタと、ワイヤレス電力誘導コイルとの効率的な結合のための整合回路とを含み得る。発振器は、調整信号に応答して調整され得る所望の周波数を生成するように構成されてもよい。発振器信号は、制御信号に応答した増幅量を伴って電力増幅器によって増幅され得る。フィルタおよび整合回路は、高調波および他の不要な周波数を除去し、電力変換モジュールのインピーダンスをワイヤレス電力誘導コイルに整合するために含まれ得る。電力コンバータ236および238はまた、バッテリーを充電するのに適切な電力出力を生成するための、整流器およびスイッチング回路を含み得る。
【0045】
開示される実施形態全体で説明されるような電動車両誘導コイル216およびベースシステム誘導コイル204は、「ループ」アンテナ、より具体的には多巻ループアンテナと呼ばれることがあり、またはそれとして構成され得る。誘導コイル204および216はまた、「磁気」アンテナと本明細書では呼ばれることがあり、または「磁気」アンテナとして構成され得る。「コイル」という用語は、別の「コイル」に結合するためのエネルギーをワイヤレスに出力または受信することができる構成要素を指すことが意図される。コイルは、電力をワイヤレスに出力または受信するように構成されるタイプの「アンテナ」とも呼ばれ得る。本明細書で使用される場合、コイル204および216は、電力をワイヤレスに出力し、ワイヤレスに受信し、かつ/またはワイヤレスに中継するように構成される、あるタイプの「電力伝送構成要素」の例である。ループ(たとえば、多巻ループ)アンテナは、空芯、またはフェライトコアのような物理的コアを含むように構成され得る。空芯ループアンテナにより、コアエリア内に他の構成要素を配置することが可能になる。強磁性体または強磁性材料を含む物理的コアアンテナは、より強い電磁場の展開および結合の改善を可能にし得る。
【0046】
上で論じられたように、送信機と受信機との間のエネルギーの効率的な伝送は、送信機と受信機との間の整合した共振またはほぼ整合した共振の間に発生する。しかしながら、送信機と受信機との間の共振が整合していないときでも、エネルギーはより低い効率で伝送され得る。エネルギーの伝送は、送信側誘導コイルからのエネルギーを自由空間へと伝播するのではなく、送信側誘導コイルの近接場からのエネルギーを、この近接場が確立される領域内に(たとえば、所定の周波数範囲の共振周波数内に、または近接場領域から所定の距離内に)存在する受信側誘導コイルに結合することによって発生する。
【0047】
共振周波数は、上で説明されたような誘導コイル(たとえば、ベースシステム誘導コイル204)を含む送信回路のインダクタンスおよびキャパシタンスに基づき得る。
図2に示されるように、インダクタンスは一般に誘導コイルのインダクタンスであり得るが、キャパシタンスは、所望の共振周波数において共振構造を形成するために、誘導コイルに追加され得る。非限定的な例として、
図2に示すように、キャパシタが、電磁場を生成する共振回路(たとえば、ベースシステム送信回路206)を形成するために誘導コイルと直列に追加され得る。したがって、より直径の大きな誘導コイルでは、共振を引き起こすために必要とされるキャパシタンスの値は、コイルの直径またはインダクタンスが増大するにつれて小さくなり得る。インダクタンスはまた、誘導コイルの巻数に依存し得る。さらに、誘導コイルの直径が増大するにつれて、近接場の効率的なエネルギー伝達エリアが増大し得る。他の共振回路が可能である。別の非限定的な例として、キャパシタが誘導コイルの2つの端子の間と並列に配置され得る(たとえば、並列共振回路)。さらに、誘導コイルは、誘導コイルの共振を改善するために高い品質(Q)値を有するように設計され得る。たとえば、Q値は300以上であり得る。
【0048】
上で説明されたように、いくつかの実施形態によれば、互いの近接場の中にある2つの誘導コイルの間の結合電力が開示される。上で説明されたように、近接場は、電磁場が存在するが電磁場が誘導コイルから遠くに伝播または放射し得ない、誘導コイルの周りの領域に対応し得る。近接場結合モード領域は、誘導コイルの物理ボリュームの近く、通常は波長のごく一部の範囲内にある、ボリュームに対応し得る。いくつかの実施形態によれば、実際の実施形態での近接磁場の振幅は電気タイプのアンテナ(たとえば、小型ダイポール)の近接電場と比較して磁気タイプのコイルではより高い傾向があるので、単巻ループアンテナおよび多巻ループアンテナのような電磁誘導コイルが、送信と受信の両方のために使用される。これは、ペアの間の潜在的により密な結合を可能にする。さらに、「電気」アンテナ(たとえば、ダイポールおよびモノポール)または磁気アンテナと電気アンテナの組合せが使用され得る。
【0049】
図3は、
図1のワイヤレス電力伝達システム100の例示的なコア構成要素および補助構成要素を示す別の機能ブロック図である。ワイヤレス電力伝達システム300は、通信リンク376、案内リンク366、ならびにベースシステム誘導コイル304および電気車両誘導コイル316のための位置合わせシステム352、354を示している。
図2に関して上述したように、電気車両112へのエネルギーフローを仮定すると、
図3では、ベース充電システム電力インターフェース360は、ACまたはDC電源126などの電源からの電力を充電システム電力変換器336に提供するように構成され得る。ベース充電システム電力コンバータ336は、ベース充電システム電力インターフェース360からAC電力またはDC電力を受信して、共振周波数で、またはその近くで、ベースシステム誘導コイル304を励振することができる。電動車両誘導コイル316は、近接場結合モード領域にあるとき、近接場結合モード領域からエネルギーを受け取り、共振周波数で、またはその近くで発振することができる。電動車両電力コンバータ338は、電動車両誘導コイル316からの発振信号を、電動車両電力インターフェースを介してバッテリーを充電するのに適した電力信号に変換する。
【0050】
ベースワイヤレス充電システム302はベース充電システムコントローラ342を含み、電動車両充電システム314は電動車両コントローラ344を含む。ベース充電システムコントローラ342は、たとえば、コンピュータ、ワイヤレスデバイスおよび電力分配センター、またはスマート電力網などの他のシステム(図示せず)へのベース充電システム通信インターフェースを含むことができる。電動車両コントローラ344は、たとえば、車両の車中コンピュータ、他のバッテリー充電コントローラ、車両内の他の電子システム、および遠隔電子システムのような、他のシステム(図示せず)への電動車両通信インターフェースを含み得る。様々な実施形態では、ベースワイヤレス充電システム302は、それぞれ
図8、
図9、
図10、
図12、および
図13に関して本明細書で説明するベースワイヤレス充電システム802、902A、1002A、1202A、および/または1302のうちのいずれかを含んでもよい。
【0051】
ベース充電システムコントローラ342および電動車両コントローラ344は、別々の通信チャネルを伴う特定の用途のためのサブシステムまたはモジュールを含み得る。これらの通信チャネルは、別々の物理チャネルまたは別々の論理チャネルであってよい。非限定的な例として、ベース充電整列システム352は、通信リンク356を通じて電動車両位置合わせシステム354と通信して、自律的に、またはオペレータの支援により、ベースシステム誘導コイル304および電動車両誘導コイル316をより厳密に整列するための、フィードバック機構を構成することができる。同様に、ベース充電案内システム362はベースシステム誘導コイル304と電動車両誘導コイル316とを位置合わせする際にオペレータを案内するためのフィードバック機構を構成する案内リンク366を介して、電気車両案内システム364と通信することができる。さらに、ベースワイヤレス電力充電システム302と電動車両充電システム314との間で他の情報を通信するためのベース充電通信システム372および電気車両通信システム374によってサポートされる、通信リンク376などの別個の汎用通信リンク(たとえば、チャネル)があり得る。この情報は、電動車両の特性、バッテリーの特性、充電状態、および、ベースワイヤレス充電システム302と電動車両充電システム314の両方の電力能力についての情報、同様に、電動車両112のメンテナンスデータおよび診断データを含み得る。これらの通信リンクまたはチャネルは、たとえば、専用短距離通信(DSRC)、IEEE 802.11x(たとえば、Wi-Fi)、Bluetooth(登録商標)、zigbee、セルラー、赤外線などの別個の物理的な通信チャネルであってもよい。
【0052】
電動車両コントローラ344はまた、電動車両の主要バッテリーの充電および放電を管理するバッテリー管理システム(BMS)(図示せず)と、マイクロ波または超音波レーダーの原理に基づく駐車支援システムと、半自動の駐車動作を実行するように構成されるブレーキシステムと、より高い駐車精度を提供できる大部分が自動化された駐車「park by wire」によって支援するように構成されるハンドルサーボシステムとを含み得るので、ベースワイヤレス充電システム102aと電動車両充電システム114のいずれにおいても機械的な水平方向の誘導コイル整列の必要性が減る。さらに、電動車両コントローラ344は、電動車両112の電子機器と通信するように構成され得る。たとえば、電動車両コントローラ344は、視覚的出力デバイス(たとえば、ダッシュボードのディスプレイ)、音響/オーディオ出力デバイス(たとえば、ブザー、スピーカー)、機械的入力デバイス(たとえば、キーボード、タッチスクリーン、および、ジョイスティック、トラックボールのようなポインティングデバイスなど)、およびオーディオ入力デバイス(たとえば、電子音声認識を伴うマイクロフォン)と通信するように構成され得る。
【0053】
さらに、ワイヤレス電力伝送システム300は、検出システムおよびセンサシステムを含み得る。たとえば、ワイヤレス電力伝送システム300は、運転手または車両を充電スポットへと適切に案内するためのシステムとともに使用するためのセンサ、要求される離隔/結合を伴って誘導コイルを相互に整列するためのセンサ、電動車両誘導コイル316が結合を達成するために特定の高さおよび/または位置へと移動するのを妨げ得る物体を検出するためのセンサ、および、信頼性のある、損傷を伴わない、かつ安全な、システムの動作を実行するためにシステムとともに使用するための安全センサを含み得る。たとえば、安全センサは、安全半径を超えてワイヤレス電力誘導コイル104a、116に近づく動物または子供の存在の検出、加熱され得る(誘導加熱)ベースシステム誘導コイル304の近くの金属物体の検出、ベースシステム誘導コイル304上の白熱を発する物体などの危険な事象の検出、および、ベースワイヤレス電力システム302および電動車両充電システム314構成要素の温度監視のための、センサを含み得る。
【0054】
ワイヤレス電力伝送システム300はまた、有線接続を介したプラグイン充電をサポートし得る。有線充電ポートは、電動車両112への、または電動車両112からの電力の伝達の前に、2つの異なる充電器の出力を統合し得る。スイッチング回路が、ワイヤレス充電と有線充電ポートを介した充電との両方をサポートするために必要とされるような機能を実現することができる。
【0055】
ベースワイヤレス充電システム302と電動車両充電システム314との間で通信するために、ワイヤレス電力伝送システム300は、帯域内シグナリングとRFデータモデム(たとえば、免許されていない帯域における無線を通じたイーサネット(登録商標))の両方を使用し得る。帯域外通信は、車両のユーザ/所有者への付加価値サービスの配分のために十分な帯域幅を提供することができる。ワイヤレス電力搬送波の低深度の振幅変調または位相変調が、最小限の干渉を伴う帯域内シグナリングシステムとして機能し得る。
【0056】
加えて、一部の通信は、特定の通信アンテナを使用することなく、ワイヤレス電力リンクを介して実行され得る。たとえば、ワイヤレス電力誘導コイル304および316はまた、ワイヤレス通信送信機として動作するように構成され得る。したがって、ベースワイヤレス電力充電システム302のいくつかの実施形態は、ワイヤレス電力経路上でのキーイングタイプのプロトコルを可能にするためのコントローラ(図示せず)を含み得る。あらかじめ定められたプロトコルによりあらかじめ定められた間隔で送信電力レベルをキーイングすることによって(振幅シフトキーイング)、受信機は送信機からのシリアル通信を検出することができる。ベース充電システム電力コンバータ336は、ベースシステム誘導コイル304によって生成される近接場の近傍における動作中の電動車両受信機の存在または不在を検出するための負荷感知回路(図示せず)を含み得る。例として、負荷感知回路は、電力増幅器への電流の流れを監視し、この電流の流れは、ベースシステム誘導コイル104aによって生成される近接場の近傍での動作中の受信機の存在または不在の影響を受ける。電力増幅器上の負荷の変化の検出が、エネルギーを送信するための発振器を有効にするかどうか、動作中の受信機と通信するかどうか、またはそれらの組合せを判定する際に使用するために、ベース充電システムコントローラ342によって監視され得る。
【0057】
ワイヤレスの大電力伝送を可能にするために、いくつかの実施形態は、10〜60kHzの範囲の周波数で電力を伝送するように構成され得る。この低周波結合は、固体デバイスを使用して達成され得る高度に効率的な電力変換を可能にし得る。加えて、他の帯域と比較して、無線システムとの共存問題が軽減され得る。
【0058】
前述のワイヤレス電力伝送システム100は、再充電可能な、または交換可能なバッテリーを含む、種々の電動車両102とともに使用され得る。
【0059】
図4は、本発明の例示的な実施形態による、電動車両412に配設された交換可能な非接触式バッテリーを示す機能ブロック図である。この実施形態では、ワイヤレス電力インターフェース(たとえば、充電器とバッテリー間のコードレスインターフェース426)を統合し地中に埋め込まれた充電器(図示せず)から電力を受信し得る電動車両バッテリーユニットのために、低いバッテリー位置が有利であり得る。
図4において、電動車両バッテリーユニットは、再充電可能なバッテリーユニットであってよく、バッテリーコンパートメント424に収容され得る。電動車両バッテリーユニットはまた、ワイヤレス電力インターフェース426を提供し、ワイヤレス電力インターフェース426は、共振誘導コイル、電力変換回路、ならびに、地中のワイヤレス充電ユニットと電動車両バッテリーユニットとの間での効率的かつ安全なワイヤレスエネルギー伝送のために必要とされるような他の制御機能および通信機能を含む、電動車両ワイヤレス電力サブシステム全体を統合し得る。
【0060】
電動車両誘導コイルは、突出した部分がないように、かつ、地面と車体の間に規定されたすきまが保たれ得るように、電動車両バッテリーユニットまたは車体の底面と同一平面上に統合されることが有利であり得る。この構成では、電動車両ワイヤレス電力サブシステム専用のある程度の空間が電動車両バッテリーユニット内に必要になることがある。電動車両バッテリーユニット422はまた、バッテリーとEVの間のコードレスインターフェース422と、電動車両412と
図1に示されるようなベースワイヤレス充電システム102aとの間で非接触の電力供給および非接触の通信を可能にする充電器バッテリー間コードレスインターフェース426とを含み得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、
図1を参照するとわかるように、ベースシステム誘導コイル104aおよび電動車両誘導コイル116は、固定された位置にあってよく、誘導コイルは、ベースワイヤレス充電システム102aに対する電動車両誘導コイル116の全体的な配置によって、近接場結合領域内に持ち込まれる。しかしながら、エネルギー伝送を高速に、効率的に、かつ安全に実行するために、ベースシステム誘導コイル104aと電動車両誘導コイル116との間の距離は、結合を改善するために短くする必要があり得る。したがって、いくつかの実施形態では、ベースシステム誘導コイル104aおよび/または電動車両誘導コイル116は、それらをより良好な整列状態にするために、展開可能かつ/または可動であり得る。
【0062】
図5A、
図5B、
図5C、および
図5Dは、本発明の例示的な実施形態による、誘導コイルおよびフェライト材料のバッテリーに対する配置の例示的な構成の図である。
図5Aは、完全にフェライトが埋め込まれた誘導コイル536aを示す。ワイヤレス電力誘導コイルは、フェライト材料538aと、フェライト材料538aの周りに巻かれたコイル536aとを含み得る。コイル536a自体は、撚られたリッツ線で作られてもよい。導電性シールド層532aが、過剰なEMFの伝達から車両の乗客を保護するために設けられ得る。導電性シールディングは、プラスチックまたは複合材料でできている車両において特に有用であり得る。
【0063】
図5Bは、結合を増強し、導電性シールド532bにおける渦電流(熱放散)を低減するための、理想的な寸法のフェライト板(すなわち、フェライト裏板)を示す。コイル536bは、非導電性の非磁性(たとえば、プラスチック)材料に完全に埋め込まれ得る。たとえば、
図5A〜
図5Dに示すように、コイル536bは、保護筐体534bに埋め込まれ得る。磁気結合とフェライトヒステリシス損との間のトレードオフの結果として、コイル536bとフェライト材料538bとの間には離隔距離があり得る。
【0064】
図5Cは、コイル536c(たとえば、銅リッツ線の多巻コイル)が横(「X」)方向に可動であり得る、別の実施形態を示す。
図5Dは、誘導コイルモジュールが下向きの方向に展開される、別の実施形態を示す。いくつかの実施形態では、バッテリーユニットは、ワイヤレス電力インターフェースの一部として、展開可能な電動車両誘導コイルモジュールと展開不可能な電動車両誘導コイルモジュール542dの1つを含む。磁場がバッテリー空間530dおよび車両の内部を貫通するのを防ぐために、バッテリー空間530dと車両との間には導電層シールド532d(たとえば、銅板)があり得る。さらに、非導電性(たとえば、プラスチック)の保護層534dが、導電層シールド532d、コイル536d、およびフェライト材料538dを環境的な衝撃(たとえば、機械的な損傷、酸化など)から保護するために使用され得る。さらに、コイル536dは、横のX方向および/またはY方向に可動であり得る。
図5Dは、電動車両誘導コイルモジュール540dがバッテリーユニット本体に対して下向きのZ方向に展開される実施形態を示す。
【0065】
この展開可能な電動車両誘導コイルモジュール542dの設計は、電動車両誘導コイルモジュール542dにおける導電性シールディングがないことを除き、
図5Bの設計と同様である。導電性シールド532dは、バッテリーユニット本体とともにある。電動車両誘導コイルモジュール542dが展開された状態にないとき、保護層534d(たとえば、プラスチック層)が、導電性シールド532dと電動車両誘導コイルモジュール542dとの間に設けられる。バッテリーユニット本体からの電動車両誘導コイルモジュール542dの物理的な離隔は、誘導コイルの性能に良い影響があり得る。
【0066】
上で論じられたように、展開される電動車両誘導コイルモジュール542dは、コイル536d(たとえば、リッツ線)およびフェライト材料538dのみを含み得る。フェライト裏板は、結合を増強し、車両のアンダーボディまたは導電層シールド532dにおける過剰な渦電流損を防ぐために設けられ得る。その上、電動車両誘導コイルモジュール542dは、電力変換電子機器およびセンサ電子機器への柔軟なワイヤ接続を含み得る。このワイヤ束は、電動車両誘導コイルモジュール542dを展開するための機械的なギアへと統合され得る。
【0067】
図1を参照するとわかるように、上で説明した充電システムは、電気車両112を充電するために、または電力網に電力を戻すために、種々の場所で使用され得る。たとえば、電力の伝達は、駐車場環境で生じ得る。「駐車エリア」は、本明細書で「駐車スペース」と呼ばれることもあることに留意されたい。車両ワイヤレス電力伝送システム100の効率を高めるために、電動車両112は、電動車両112内の電動車両誘導コイル116が関連する駐車エリア内のベースワイヤレス充電システム102aに対して適切に揃えられることを可能にするために、X方向およびY方向に沿って揃えられ得る。
【0068】
さらに、開示される実施形態は、1つもしくは複数の駐車スペースまたは駐車エリアを有する駐車場に適用可能であり、駐車場内の少なくとも1つの駐車スペースはベースワイヤレス充電システム102aを備え得る。電動車両112内の電動車両誘導コイル116をベースワイヤレス充電システム102aに対して揃えるように、車両のオペレータが電動車両112を駐車エリアにおいて配置するのを支援するために、案内システム(図示せず)が使用され得る。案内システムは、電気車両112内の誘導コイル116が充電ベース(たとえば、ベースワイヤレス充電システム102a)内の充電誘導コイルと適切に位置合わせされるのを可能にするために、電気車両のオペレータが電気車両112を配置するのを支援するための、電子ベースの手法(たとえば、無線測位、方向発見原理、ならびに/または光学的な、準光学的な、および/もしくは超音波の感知方法)あるいは機械ベースの手法(たとえば、車輪ガイド、トラックもしくはストップ)またはそれらの任意の組合せを含み得る。
【0069】
上で論じられたように、電動車両充電システム114は、電力を送信し、かつベースワイヤレス充電システム102aから電力を受信するために、電動車両112の下面に配置され得る。たとえば、電動車両誘導コイル116は、好ましくは中心位置の近くで車両のアンダーボディに組み込まれてよく、EM曝露に関して最大の安全な距離をもたらし、電動車両の前向き駐車および後向き駐車を可能にする。
【0070】
図6は、本発明の例示的な実施形態による、電動車両をワイヤレス充電するために使用され得る例示的な周波数を示す周波数スペクトルのチャートである。
図6に示すように、電気車両へのワイヤレス高電力伝達のための潜在的周波数範囲は、3kHz〜30kHz帯域内のVLF、いくつかの周波数を除く30kHz〜150kHz帯域内のより低いLF(ISM型アプリケーションの場合)、HF 6.78MHz(ITU-RISM-帯域6.765〜6.795MHz)、HF 13.56MHz(ITU-RISM-帯域13.553〜13.567)、およびHF 27.12MHz(ITU-RISM-帯域26.957〜27.283)を含んでもよい。
【0071】
図7は、本発明の例示的な実施形態による、電動車両をワイヤレス充電するのに有用であり得る例示的な周波数および送信距離を示すチャートである。電動車両のワイヤレス充電に有用であり得るいくつかの例示的な送信距離は、約30mm、約75mmおよび約150mmである。いくつかの例示的な周波数は、VLF帯域の約27kHzおよびLF帯域の約135kHzであり得る。
電動車両の充電サイクル中に、ワイヤレス電力伝達システムのベース充電ユニット(BCU)は、様々な動作段階を通過し得る。ワイヤレス電力伝達システムは「充電システム」と呼ばれ得る。BCUは、
図1のベースワイヤレス充電システム102aおよび/または102bを含むことができる。BCUは、コントローラおよび/または電力変換ユニット、たとえば
図2に示す電力変換器236を含むこともできる。さらに、BCUは、
図1に示す誘導コイル104aおよび104bなどの誘導コイルを含む1つまたは複数のベース充電パッドを含むことができる。BCUが様々な段階を通過するのに伴い、BCUは充電スタンドと対話する。充電スタンドは、
図1に示すローカル分配センター130を含むことができ、コントローラ、グラフィカルユーザインターフェース、通信モジュール、およびリモートサーバまたはサーバのグループへのネットワーク接続をさらに含むことができる。
【0072】
図8は、一実施形態による、ベースワイヤレス充電システム802の概略図である。様々な実施形態では、ベースワイヤレス充電システム802は、それぞれ
図1〜
図3に関して本明細書で説明するベースワイヤレス充電システム102a、102b、202、および302のうちのいずれかを含んでもよい。図示のように、ベースワイヤレス充電システム802は、インバータブリッジHと、第1のキャパシタC
Bと、第1のインダクタL
Bと、絶縁変圧器TXと、第1のスイッチS1と、第2のスイッチS2と、第2のキャパシタC
1Aと、第3のキャパシタC
1Bと、ベースシステム誘導コイルL
1とを含む。有効負荷Rは、それぞれ
図1〜
図3に関して上記で説明した電動車両充電システム114、214、および/または314などの受信機側負荷を表す。有効負荷Rは、誘導コイル(たとえば、ベースシステム誘導コイルL
1)および逆リアクタンスキャパシタ(たとえば、第4および第5のキャパシタC
1AおよびC
1B)に特有であり得る損失を含むこともある。
【0073】
ワイヤレス充電システム802の様々な部分が
図8に示されているが、当業者には、1つまたは複数の部分を削除、交換、または再構成してもよく、あるいは他の部分を含めてもよいことが諒解されよう。たとえば、単極単投(SPST)スイッチS1およびS2が単極双投(SPDT)スイッチと置き換えられてもよい。さらに、本明細書で説明する様々なキャパシタ、インダクタ、および/または抵抗器が、(たとえば、複数の構成要素を単一の構成要素として一体化したり、単一の構成要素を複数の構成要素に分割したりすることなどによって)等価回路と置き換えられてもよい。
【0074】
インバータブリッジHは、ワイヤレス電力伝送用の時変信号を生成する働きをする。様々な実施形態では、インバータブリッジHは、標準的な商用電源AC電力から適切な電圧レベルのDC電力へと電力を変換するように構成されるAC/DCコンバータ、および、DC電力をワイヤレス高電力伝達に適した動作周波数の電力に変換するように構成されたDC/低周波(LF)コンバータのような回路を含み得る。いくつかの実施形態において、インバータブリッジHは、それぞれ
図2および
図3に関して上記で説明したベース充電システム電力コンバータ236および/または336を含むことができる。
図8に示すインバータブリッジHは、インバータ出力電圧V
iおよびインバータ出力電流I
iを生成する。図示の実施形態では、インバータブリッジHは、少なくとも、キャパシタC
Bの第1の端子に電気的に結合された第1の端子と、絶縁変圧器TXの一次コイルの第2の端子に電気的に結合された第2の端子とを含む。
【0075】
第1のキャパシタC
Bおよび第1のインダクタL
Bは整合インピーダンスjXとして働く。第1のキャパシタC
Bと第1のインダクタL
Bはともに、jXが得られるように巻かれたLCLネットワークの第1の誘電素子を形成することができる。様々な実施形態では、キャパシタC
Bおよび第1のインダクタL
Bは、特性インピーダンスjXを有する別の無効ネットワークと置き換えられてもよい。図示の実施形態では、第1のキャパシタC
Bは、少なくとも、インバータブリッジHの第1の端子に電気的に結合された第1の端子と、第1のインダクタL
Bの第1の端子に電気的に結合された第2の端子とを含む。図示の実施形態では、第1のインダクタL
Bは、少なくとも、第1のキャパシタC
Bの第2の端子に電気的に結合された第1の端子と、絶縁変圧器TXの一次コイルの第1の端子に電気的に結合された第2の端子とを含む。
【0076】
絶縁変圧器TXは、送信ベースシステム誘導コイルL
1を商用電源から電気的に絶縁する働きをする。いくつかの実施形態では、絶縁変圧器TXは、インバータ出力電流I
iをスイッチS1およびS2に伝搬させてもよい。いくつかの実施形態では、絶縁変圧器TXは省略されてもよい。図示の実施形態では、絶縁変圧器TXは巻数比が1:1である。他の実施形態では、絶縁変圧器TXは、たとえば、1:n1などの別の巻数比を有してもよい。
【0077】
図示の実施形態では、絶縁変圧器TXは一次コイルと二次コイルとを含む。一次コイルは、少なくとも、第1のインダクタL
Bの第2の端子に電気的に結合された第1の端子と、インバータブリッジHの第2の端子に電気的に結合された第2の端子とを含む。二次コイルは、少なくとも、第1のスイッチS1の第1の端子および第2のスイッチS2の第1の端子に電気的に結合された第1の端子と、第3のキャパシタC
1Bの第2の端子およびベースシステム誘導コイルL
1の第2の端子に電気的に結合された第2の端子とを含む。
【0078】
キャパシタC
1AおよびC
1Bは、所望の周波数で共振するベースシステム誘導コイルL
1を伴う共振回路を形成するために設けられ得る。いくつかの実施形態では、キャパシタC
1AおよびC
1Bは、
図2に関して上記で説明したキャパシタC
1を形成してもよい。第2のキャパシタC
1Aは特性インピーダンス-jβXを有し、この場合、βは本明細書において詳しく説明する同調変動である。第3のキャパシタC
1Bは特性インピーダンス-j(1-β)Xを有する。
【0079】
第2のキャパシタC
1Aは、少なくとも、第1のスイッチS1の第2の端子およびベースシステム誘導コイルL
1の第1の端子に電気的に結合された第1の端子と、第2のスイッチS2の第2の端子および第3のキャパシタC
1Bの第1の端子に電気的に結合された第2の端子とを含む。第2のキャパシタC
1Aは、たとえば、スイッチS1およびS2の動作によって1つまたは少なくとも2つの構成に動的に設定されてもよい。並列構成とも呼ばれる第1の構成では、第2のキャパシタC
1Aはベースシステム誘導コイルL
1と並列に構成され、かつ第3のキャパシタC
1Bと直列に構成される。並列-直列構成とも呼ばれる第2の構成では、第2のキャパシタC
1Aはベースシステム誘導コイルL
1と直列に構成され、かつ第3のキャパシタC
1Bと並列に構成される。本明細書では、並列構成については
図9Aおよび
図9Bに示しかつ
図9Aおよび
図9Bに関して説明し、並列-直列構成については10Aおよび
図10Bに示しかつ
図10Aおよび
図10Bに関して説明する。
【0080】
第3のキャパシタC
1Bは、少なくとも、第2のスイッチS2の第2の端子および第2のキャパシタC
1Aの第2の端子に電気的に結合された第1の端子と、絶縁変圧器TXの二次コイルの第2の端子およびベースシステム誘導コイルL
1の第2の端子に電気的に結合された第2の端子とを含む。第3のキャパシタC
1Bはベースシステム誘導コイルL
1と並列に構成される。第2のキャパシタC
1Aが並列構成に設定されると、第2のキャパシタC
1Aは、第3のキャパシタC
1Bと直列に構成されかつベースシステム誘導コイルL
1と並列に構成される。第2のキャパシタC
1Aが並列-直列構成に設定されると、第2のキャパシタC
1Aは、第3のキャパシタC
1Bと並列に構成されかつベースシステム誘導コイルL
1と直列に構成される。第3のキャパシタC
1Bは電流I
Cを伝導させてもよい。
【0081】
第1のスイッチS1は、第1および第2の端子を選択的に結合する働きをする。第1のスイッチS1は、第2のスイッチS2とともに、第2のキャパシタC
1Aを並列構成または並列-直列構成のいずれかに設定してもよい。第1のスイッチS1は、たとえば、機械的リレーまたは半導体交流(AC)スイッチを含んでもよい。第1のスイッチS1は、少なくとも、絶縁変圧器TXの二次コイルの第1の端子および第2のスイッチS2の第1の端子に電気的に結合された第1の端子と、第2のキャパシタC
1Aの第1の端子およびベースシステム誘導コイルL
1Aの第1の端子に電気的に結合された第2の端子とを含む。第1のスイッチS1は、インバータ出力電流I
iを伝導させてもよい。
【0082】
第2のスイッチS2は、第1および第2の端子を選択的に結合する働きをする。第2のスイッチS2は、第1のスイッチS1とともに、第2のキャパシタC
1Aを並列構成または並列-直列構成のいずれかに設定してもよい。第2のスイッチS2は、たとえば、機械的リレーまたは半導体交流(AC)スイッチを含んでもよい。第2のスイッチS2は、少なくとも、絶縁変圧器TXの二次コイルの第1の端子および第1のスイッチS1の第1の端子に電気的に結合された第1の端子と、第2のキャパシタC
1Aの第2の端子および第3のキャパシタC
1Bの第1の端子に電気的に結合された第2の端子とを含む。第2のスイッチS2は、インバータ出力電流I
iを伝導させてもよい。
【0083】
ベースシステム誘導コイルL
1は、電動車両112を充電または給電するのに十分なレベルの電力をワイヤレスに送信する働きをする。たとえば、ベースシステム誘導コイルL
1によってワイヤレスに供給される電力レベルは、キロワット(kW)程度(たとえば、1kWから110kWまでの範囲の電力、またはそれよりも高い電力、またはそれよりも低い電力)であり得る。いくつかの実施形態では、ベースシステム誘導コイルL
1は、
図2に関して上記で説明したベースシステム誘導コイル204を含んでもよい。他の実施形態では、ベースシステム誘導コイルL
1は、ワイヤレス充電または電動車両充電に限定されない他の目的を果たすことができる。
【0084】
ベースシステム誘導コイルL
1は、有効負荷Rによって
図8に示す受信機側負荷を駆動してもよい。ベースシステム誘導コイルL
1は、共振電流I
1と呼ばれることもあるベースシステム出力電流I
1を伝導させてもよい。様々な実施形態では、ベースシステム出力電流I
1は、たとえば、インバータ出力電流I
iの約2倍から約6倍の間、インバータ出力電流I
iの約4倍、またはインバータ出力電流I
iの約5倍など、インバータ出力電流I
iの倍数であってもよい。様々な実施形態では、ベースシステム出力電流I
1は、約40Aなど約30Aから約50Aの間であってもよい。したがって、インバータ出力電流I
iは、約8A、約9A、または約10Aなど、約6Aから約12Aの間であってもよい。
【0085】
様々な実施形態では、有効負荷Rは経時的に変動してよい。たとえば、受信デバイス(たとえば、
図2の電動車両誘導コイル216)の整合がベースシステム誘導コイルL
1に対して変動し、それによって磁気結合および出力電力を変動させることができる。したがって、ベースシステム誘導コイルI
1が変動することができる。しかし、インバータ出力電流I
iは、4つの因子、すなわち、インバータブリッジHの直流(DC)バス電圧、最大インバータ出力電圧V
i、絶縁変圧器TX巻数比、および
図8のLCLネットワークの特性インピーダンスによって抑制され制限され得る。いくつかの実施形態では、最初の3つの因子を調整することが実現不可能でありならびに/あるいは非効率的である場合がある。特に、DCバスの変動範囲がデバイス定格に限定されることがある。したがって、変動βが大きいと、ベースワイヤレス充電システム802が最適効率点または予想効率点付近での動作から逸脱する恐れがある。場合によっては、DCバス電圧が固定されることもある。
【0086】
いくつかの実施形態では、ベースワイヤレス充電システム802は、ACスイッチS1およびS2を使用してLCLネットワーク特性インピーダンスに変動の段階変化を導入するように構成されてもよい。特に、上述のように、スイッチS1およびS2は、第2のキャパシタC
1Aを並列-直列構成と並列構成との間で切り換えるように構成されてもよい。この段階変化によって、動作時のインバータブリッジHにおける抑制量を低減させることができる。LCLネットワークインピーダンスを少しずつ(10%〜30%)変化させると、インバータブリッジHおよび入力力率補正ユニットは動作を好ましい領域に維持することができる。たとえば、並列-直列構成と並列構成を切り換えることによって、インバータ出力電流I
iを変化させずにベースシステム出力電流I
1を変化させることができる。
【0087】
一実施形態では、スイッチS1およびS2は、コントローラによって開閉されてもよい。たとえば、ベース充電システムコントローラ342(
図3)は、第2のキャパシタC
1Aを並列-直列構成から並列構成に切り換え、並列構成から並列-直列構成に切り換えるように構成されてもよい。並列構成では、ベース充電システムコントローラ342は、第1のスイッチS1を閉じて第2のスイッチS2を開いてもよい。並列-直列構成では、ベース充電システムコントローラ342は、第1のスイッチS1を開いて第2のスイッチS2を閉じてもよい。いくつかの実施形態では、ベース充電システムコントローラ342は、スイッチS1とスイッチS2を同時に開くこともスイッチS1とスイッチS2を同時に閉じることもない。他の実施形態では、スイッチS1とスイッチS2が同時に開かれならびに/あるいは閉じられる。
【0088】
図9Aは、一実施形態による、並列構成のベースワイヤレス充電システム902Aの概略図である。様々な実施形態では、ベースワイヤレス充電システム902Aは、それぞれ
図1〜
図3および
図8に関して上記で説明したベースワイヤレス充電システム102a、102b、202、302、および802のうちのいずれかを含んでもよい。図示のように、ベースワイヤレス充電システム902Aは、インバータブリッジHと、第1のキャパシタC
Bと、第1のインダクタL
Bと、絶縁変圧器TXと、第1のスイッチS1と、第2のスイッチS2と、第2のキャパシタC
1Aと、第3のキャパシタC
1Bと、ベースシステム誘導コイルL
1とを含む。有効負荷Rは、それぞれ
図1〜
図3に関して上記で説明した電動車両充電システム114、214、および/または314などの受信機側負荷を表す。有効負荷Rは、誘導コイル(たとえば、ベースシステム誘導コイルL
1)および逆リアクタンスキャパシタ(たとえば、第2および第3のキャパシタC
1AおよびC
1B)に特有であり得る損失を含むこともある。
【0089】
ワイヤレス充電システム902Aの様々な部分が
図9Aに示されているが、当業者には、1つまたは複数の部分を削除、交換、または再構成してもよく、あるいは他の部分を含めてもよいことが諒解されよう。たとえば、単極単投(SPST)スイッチS1およびS2が単極双投(SPDT)スイッチと置き換えられてもよい。さらに、本明細書で説明する様々なキャパシタ、インダクタ、および/または抵抗器が、(たとえば、複数の構成要素を単一の構成要素として一体化したり、単一の構成要素を複数の構成要素に分割したりすることなどによって)等価回路と置き換えられてもよい。
【0090】
図9Aの図示の実施形態では、第1のスイッチS1が閉じられ、第2のスイッチS2が開かれる。したがって、第2のキャパシタC
1Aが並列構成に設定される。言い換えると、第1のスイッチS1を短絡させ、第2のスイッチS2を開くことによって、インピーダンス-jβXを有する第2のキャパシタC
1Aが、インピーダンス-j(1-β)Xを有する第3のキャパシタC
1Bと直列に構成される。さらに、第2のキャパシタC
1Aおよび第3のキャパシタ
1Bは、インピーダンスjXを有するベースシステム誘導コイルL
1と並列に構成され、並列共振ネットワークを形成する。この構成では、LCLネットワークの特性インピーダンスはXである。この並列補償構成の等価回路を以下の
図9Bに示す。
【0091】
並列構成では、第2のキャパシタC1Aは電流I
Cを伝導させる。第1のスイッチS1は、電流I
iを伝導させる。第1のスイッチS1が短絡している間の第2のスイッチS2にわたる電圧ストレスは、式1によって求められる。
V
S2=I
C*βX...(1)
【0092】
図9Bは、一実施形態による、並列構成のベースワイヤレス充電システム用の等価回路902Bの概略図である。一実施形態では、等価回路902Bは、
図9Aに関して上記で説明したベースワイヤレス充電システム902A用の等価回路を含んでもよい。図示のように、等価回路902Bは、インバータブリッジHと、等価キャパシタC
Bと、等価インダクタL
Bと、等価キャパシタC
1A+C
1Bと、等価インダクタL
1と、有効負荷Rとを含む。有効負荷Rは、たとえば、それぞれ
図1〜
図3に関して上記で説明した電動車両充電システム114、214、および/または314などの受信機側負荷を表す。有効負荷Rは、誘導コイル(たとえば、ベースシステム誘導コイルL
1)および逆リアクタンスキャパシタ(たとえば、第2および第3のキャパシタC
1AおよびC
1B)に特有であり得る損失を含むこともある。ワイヤレス充電システム902Bの様々な部分が
図9Bに示されているが、当業者には、1つまたは複数の部分を削除、交換、または再構成してもよく、あるいは他の部分を含めてもよいことが諒解されよう。
【0093】
第2のキャパシタC
1Aと第3のキャパシタC
1Bが直列に接続されているので、等価キャパシタC
1A+C
1Bは特性インピーダンス-jXを有する。等価インダクタL
1は、等価キャパシタC
1A+C
1Bと共振し、特性インピーダンスjXを有する。整合等価キャパシタC
Bおよび等価インダクタL
Bも合成インピーダンスjXを有する。したがって、等価キャパシタC
Bと等価インダクタL
Bは、LCLネットワークの第1のインダクタを形成し、等価キャパシタC
1A+C
1BはLCLネットワークのキャパシタを形成し、等価インダクタL
1と有効負荷RはLCLネットワークの第2のインダクタを形成する。
【0094】
図10Aは、一実施形態による、並列-直列構成のベースワイヤレス充電システム1002Aの概略図である。様々な実施形態では、ベースワイヤレス充電システム1002Aは、それぞれ
図1〜
図3および
図8に関して上記で説明したベースワイヤレス充電システム102a、102b、202、302、および802のうちのいずれかを含んでもよい。図示のように、ベースワイヤレス充電システム1002Aは、インバータブリッジHと、第1のキャパシタC
Bと、第1のインダクタL
Bと、絶縁変圧器TXと、第1のスイッチS1と、第2のスイッチS2と、第2のキャパシタC
1Aと、第3のキャパシタC
1Bと、ベースシステム誘導コイルL
1とを含む。有効負荷Rは、それぞれ
図1〜
図3に関して上記で説明した電動車両充電システム114、214、および/または314などの受信機側負荷を表す。有効負荷Rは、誘導コイル(たとえば、ベースシステム誘導コイルL
1)および逆リアクタンスキャパシタ(たとえば、第2および第3のキャパシタC
1AおよびC
1B)に特有であり得る損失を含むこともある。
【0095】
ワイヤレス充電システム1002Aの様々な部分が
図10Aに示されているが、当業者には、1つまたは複数の部分を削除、交換、または再構成してもよく、あるいは他の部分を含めてもよいことが諒解されよう。たとえば、単極単投(SPST)スイッチS1およびS2が単極双投(SPDT)スイッチと置き換えられてもよい。さらに、本明細書で説明する様々なキャパシタ、インダクタ、および/または抵抗器が、(たとえば、複数の構成要素を単一の構成要素として一体化したり、単一の構成要素を複数の構成要素に分割したりすることなどによって)等価回路と置き換えられてもよい。
【0096】
図10Aの図示の実施形態では、第1のスイッチS1が開かれ、第2のスイッチS2が閉じられる。したがって、第2のキャパシタC
1Aが一部直列構成に設定される。言い換えれば、第1のスイッチS1を開き、第2のスイッチS2を短絡させることによって、インピーダンス-jβXを有する第2のキャパシタC
1Aは、インピーダンスjXを有するベースシステム誘導コイルL
1と直列に構成される。さらに、第2のキャパシタC
1Aとベースシステム誘導コイルL
1は、インピーダンス-j(1-β)Xを有する第3のキャパシタC
1Bと並列に構成され、並列共振ネットワークを形成する。この構成では、LCLネットワークの特性インピーダンスは(1-β)Xである。言い換えれば、ベースシステム出力電流I
1は1/(1-β)倍に増大する。この並列補償構成の等価回路を以下の
図10Bに示す。
【0097】
並列-直列構成では、第2のキャパシタC1Aは電流I
1を伝導させる。第2のスイッチS2は、電流I
iを伝導させる。第2のスイッチS2が短絡している間の第1のスイッチS1にわたる電圧ストレスは、式2によって求められる。
V
S2=
I1*βX...(2)
【0098】
図10Bは、一実施形態による、並列-直列構成のベースワイヤレス充電システム用の等価回路1002Bの概略図である。一実施形態では、等価回路1002Bは、
図10Aに関して上記で説明したベースワイヤレス充電システム1002A用の等価回路を含んでもよい。図示のように、等価回路1002Bは、インバータブリッジHと、等価キャパシタC
Bと、等価インダクタL
Bと、等価キャパシタC
1Bと、等価インダクタL
1+C
1Aと、有効負荷Rとを含む。有効負荷Rは、たとえば、それぞれ
図1〜
図3に関して上記で説明した電動車両充電システム114、214、および/または314などの受信機側負荷を表す。有効負荷Rは、誘導コイル(たとえば、ベースシステム誘導コイルL
1)および逆リアクタンスキャパシタ(たとえば、第2および第3のキャパシタC
1AおよびC
1B)に特有であり得る損失を含むこともある。ワイヤレス充電システム1002Bの様々な部分が
図10Bに示されているが、当業者には、1つまたは複数の部分を削除、交換、または再構成してもよく、あるいは他の部分を含めてもよいことが諒解されよう。
【0099】
第2のキャパシタC
1Aとベースシステム誘導コイルL
1が直列に接続されているので、等価インダクタL
1+C
1Aは特性インピーダンスj(1-β)Xを有する。等価キャパシタC
1Bは、等価インダクタL
1+C
1Aと共振し、特性インピーダンス-j(1-β)Xを有する。したがって、等価キャパシタC
Bと等価インダクタL
Bは、LCLネットワークの第1のインダクタを形成し、等価キャパシタC
1BはLCLネットワークのキャパシタを形成し、等価インダクタL
1+C
1Aと有効負荷RはLCLネットワークの第2のインダクタを形成する。
【0100】
LCLネットワーク特性インピーダンスが変化するので、等価キャパシタC
Bと等価インダクタL
Bは、等価的に、インピーダンスス値がjβXである追加の無効分を有する。値jβXを有するこの追加の無効分は、インバータブリッジに追加のボルトアンペア無効電力(VAR)を供給させることができる。同調変動βおよびLCLネットワークの負荷共振Qに関する供給電力に対するこの追加のVARの比は式3によって与えられる。
【0102】
VA
2=P
2+VAR
2であるので、同じインバータ出力電圧V
iについては、インバータ出力電流I
iの増大(基本成分のみを考慮する)は式4に示されるように表されてもよい。
【0104】
いくつかの実施形態では、電源共振Qは1以上に維持される。たとえば、変動βが0.5であり、Qが1.5である場合、同じインバータ出力電圧V
iについては、I
iの値の増大は約20%になり得る。誤同調の量βに対するI
iの増大のグラフを
図11に示す。
【0105】
図11は、インバータ出力電流と誤同調の量との関係を示すチャート1100である。x軸は、
図8〜
図10Bに関して上記で説明した誤同調の量βを示す。y軸は、
図8〜
図10Bに関して上記で説明したインバータ出力電流I
iの変化を示す。チャート1100では、最大インバータ出力電圧V
iが安定しており、負荷Qが1.5であると仮定する。
【0106】
図8〜
図10を再び参照するとわかるように、いくつかの実施形態では、追加の無効負荷jβXがスイッチS1およびS2と直列に1つまたは複数のキャパシタを追加することによって補償されてもよい。たとえば、各スイッチS1およびS2が閉じられたときに、1つまたは複数のキャパシタはインピーダンスjXを有するLCLネットワークの第1の分岐を形成してLCLネットワークの同調を維持することができる。いくつかの実施形態では、追加のキャパシタがなくても、両方の動作状態において完全に同調したLCLネットワークを実現することができる。
【0107】
図12Aは、一実施形態による、別のベースワイヤレス充電システム1202の概略図である。様々な実施形態では、ベースワイヤレス充電システム1202Aは、それぞれ
図1〜
図3に関して上で説明するベースワイヤレス充電システム102a、102b、202、および302のうちのいずれかを含んでもよい。図示のように、ベースワイヤレス充電システム1202Aは、インバータブリッジHと、第1のキャパシタC
Bと、第1のインダクタL
Bと、絶縁変圧器TXと、第1のスイッチS1と、第2のスイッチS2と、第2のキャパシタC
1Aと、第3のキャパシタC
1Bと、第4のキャパシタC
TX1と、第5のキャパシタC
TX2と、ベースシステム誘導コイルL
1とを含む。有効負荷Rは、それぞれ
図1〜
図3に関して上記で説明した電動車両充電システム114、214、および/または314などの受信機側負荷を表す。有効負荷Rは、誘導コイル(たとえば、ベースシステム誘導コイルL
1)および逆リアクタンスキャパシタ(たとえば、第2および第3のキャパシタC
1AおよびC
1B)に特有であり得る損失を含むこともある。
【0108】
ワイヤレス充電システム1202Aの様々な部分が
図12Aに示されているが、当業者には、1つまたは複数の部分を削除、交換、または再構成してもよく、あるいは他の部分を含めてもよいことが諒解されよう。たとえば、単極単投(SPST)スイッチS1およびS2が単極双投(SPDT)スイッチと置き換えられてもよい。さらに、本明細書で説明する様々なキャパシタ、インダクタ、および/または抵抗器が、(たとえば、複数の構成要素を単一の構成要素として一体化したり、単一の構成要素を複数の構成要素に分割したりすることなどによって)等価回路と置き換えられてもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、第2のキャパシタC
1Aを並列構成から並列-直列構成へ切り換えるときおよび並列-直列構成から並列構成へ切り換えるときの追加の無効成分の極性に応じて、第4のキャパシタC
TX2が第2のインダクタL
TX1と置き換えられてもよい。一例として、第1のキャパシタC
Bと第1のインダクタL
Bの総インピーダンスがj(1-β)Xである実施形態では、第2のインダクタL
TX1は、LCLネットワークの同調を維持するためにインピーダンスjβXを有してもよい。その場合、並列-直列構成では、第5のキャパシタC
TX2(または第3のインダクタL
TX2、図示せず)が省略されてもよい。
【0109】
インバータブリッジHは、ワイヤレス電力伝送用の時変信号を生成する働きをする。様々な実施形態では、インバータブリッジHは、標準的な商用電源AC電力から適切な電圧レベルのDC電力へと電力を変換するように構成されたAC/DCコンバータ、および、DC電力をワイヤレス高電力伝達に適した動作周波数の電力に変換するように構成されたDC/低周波(LF)コンバータのような回路を含み得る。いくつかの実施形態において、インバータブリッジHは、それぞれ
図2および
図3に関して上記で説明したベース充電システム電力コンバータ236および/または336を含むことができる。
図12Aに示すインバータブリッジHは、インバータ出力電圧V
iおよびインバータ出力電流I
iを生成する。図示の実施形態では、インバータブリッジHは、少なくとも、キャパシタC
Bの第1の端子に電気的に結合された第1の端子と、絶縁変圧器TXの一次コイルの第2の端子に電気的に結合された第2の端子とを含む。
【0110】
第1のキャパシタC
Bおよび第1のインダクタL
Bは整合インピーダンスjXとして働く。第1のキャパシタC
Bと第1のインダクタL
Bはともに、jXが得られるように巻かれたLCLネットワークの第1の誘電素子を形成することができる。様々な実施形態では、キャパシタC
Bおよび第1のインダクタL
Bは、特性インピーダンスjXを有する別の無効ネットワークと置き換えられてもよい。図示の実施形態では、第1のキャパシタC
Bは、少なくとも、インバータブリッジHの第1の端子に電気的に結合された第1の端子と、第1のインダクタL
Bの第1の端子に電気的に結合された第2の端子とを含む。図示の実施形態では、第1のインダクタLL
Bは、少なくとも、第1のキャパシタC
Bの第2の端子に電気的に結合された第1の端子と、絶縁変圧器TXの一次コイルの第1の端子に電気的に結合された第2の端子とを含む。
【0111】
絶縁変圧器TXは、送信ベースシステム誘導コイルL
1を商用電源から電気的に絶縁する働きをする。いくつかの実施形態では、絶縁変圧器TXは、インバータ出力電流I
iをスイッチS1およびS2に伝搬させてもよい。いくつかの実施形態では、絶縁変圧器TXは省略されてもよい。図示の実施形態では、絶縁変圧器TXは巻数比が1:1である。他の実施形態では、絶縁変圧器TXは、たとえば、1:n1などの別の巻数比を有してもよい。
【0112】
図示の実施形態では、絶縁変圧器TXは一次コイルと二次コイルとを含む。一次コイルは、少なくとも、第1のインダクタL
Bの第2の端子に電気的に結合された第1の端子と、インバータブリッジHの第2の端子に電気的に結合された第2の端子とを含む。二次コイルは、少なくとも、第1のスイッチS1の第1の端子および第2のスイッチS2の第1の端子に電気的に結合された第1の端子と、第3のキャパシタC
1Bの第2の端子およびベースシステム誘導コイルL
1の第2の端子に電気的に結合された第2の端子とを含む。
【0113】
キャパシタC
1AおよびC
1Bは、所望の周波数で共振するベースシステム誘導コイルL
1を伴う共振回路を形成するために設けられ得る。いくつかの実施形態では、キャパシタC
1AおよびC
1Bは、
図2に関して上記で説明したキャパシタC
1を形成してもよい。第2のキャパシタC
1Aは特性インピーダンス-jβXを有し、この場合、βは本明細書において詳しく説明する同調変動である。第3のキャパシタC
1Bは特性インピーダンス-j(1-β)Xを有する。
【0114】
第2のキャパシタC
1Aは、少なくとも、第4のキャパシタC
TX1の第2の端子およびベースシステム誘導コイルL
1の第1の端子に電気的に結合された第1の端子と、第5のキャパシタC
TX2の第2の端子および第3のキャパシタC
1Bの第1の端子に電気的に結合された第2の端子とを含む。第2のキャパシタC
1Aは、たとえば、スイッチS1およびS2の動作によって1つまたは少なくとも2つの構成に動的に設定されてもよい。並列構成とも呼ばれる第1の構成では、第2のキャパシタC
1Aはベースシステム誘導コイルL
1と並列に構成され、かつ第3のキャパシタC
1Bと直列に構成される。並列-直列構成とも呼ばれる第2の構成では、第2のキャパシタC
1Aはベースシステム誘導コイルL
1と直列に構成され、かつ第3のキャパシタC
1Bと並列に構成される。
【0115】
第3のキャパシタC
1Bは、少なくとも、第5のキャパシタC
TX2の第2の端子および第2のキャパシタC
1Aの第2の端子に電気的に結合された第1の端子と、絶縁変圧器TXの二次コイルの第2の端子およびベースシステム誘導コイルL
1の第2の端子に電気的に結合された第2の端子とを含む。第3のキャパシタC
1Bはベースシステム誘導コイルL
1と並列に構成される。第2のキャパシタC
1Aが並列構成に設定されると、第2のキャパシタC
1Aは、第3のキャパシタC
1Bと直列に構成されかつベースシステム誘導コイルL
1と並列に構成される。第2のキャパシタC
1Aが並列-直列構成に設定されると、第2のキャパシタC
1Aは、第3のキャパシタC
1Bと並列に構成されかつベースシステム誘導コイルL
1と直列に構成される。第3のキャパシタC
1Bは電流I
Cを伝導させてもよい。
【0116】
第1のスイッチS1は、第1および第2の端子を選択的に結合する働きをする。第1のスイッチS1は、第2のスイッチS2とともに、第2のキャパシタC
1Aを並列構成または並列-直列構成のいずれかに設定してもよい。第1のスイッチS1は、たとえば、機械的リレーまたは半導体交流(AC)スイッチを含んでもよい。第1のスイッチS1は、少なくとも、絶縁変圧器TXの二次コイルの第1の端子および第2のスイッチS2の第1の端子に電気的に結合された第1の端子と、第4のキャパシタC
TX1の第1の端子に電気的に結合された第2の端子とを含む。第1のスイッチS1は、インバータ出力電流I
iを伝導させてもよい。
【0117】
第2のスイッチS2は、第1および第2の端子を選択的に結合する働きをする。第2のスイッチS2は、第1のスイッチS1とともに、第2のキャパシタC
1Aを並列構成または並列-直列構成のいずれかに設定してもよい。第2のスイッチS2は、たとえば、機械的リレーまたは半導体交流(AC)スイッチを含んでもよい。第2のスイッチS2は、絶縁変圧器TXの二次コイルの第1の端子および第1のスイッチS1の第1の端子に電気的に結合された第1の端子と、第5のキャパシタC
TX2の第1の端子に電気的に結合された第2の端子とを含む。第2のスイッチS2は、インバータ出力電流I
iを伝導させてもよい。
【0118】
ベースシステム誘導コイルL
1は、電動車両112を充電または給電するのに十分なレベルの電力をワイヤレスに送信する働きをする。たとえば、ベースシステム誘導コイルL
1によってワイヤレスに供給される電力レベルは、キロワット(kW)程度(たとえば、1kWから110kWまでの範囲の電力、またはそれよりも高い電力、またはそれよりも低い電力)であり得る。いくつかの実施形態では、ベースシステム誘導コイルL
1は、
図2に関して上記で説明したベースシステム誘導コイル204を含んでもよい。他の実施形態では、ベースシステム誘導コイルL
1は、ワイヤレス充電または電動車両充電に限定されない他の目的を果たすことができる。
【0119】
ベースシステム誘導コイルL
1は、有効負荷Rによって
図12Aに示す受信機側負荷を駆動してもよい。ベースシステム誘導コイルL
1は、共振電流I
1と呼ばれることもあるベースシステム出力電流I
1を伝導させてもよい。様々な実施形態では、ベースシステム出力電流I
1は、たとえば、インバータ出力電流I
iの約2倍から約6倍の間、インバータ出力電流I
iの約4倍、またはインバータ出力電流I
iの約5倍など、インバータ出力電流I
iの倍数であってもよい。様々な実施形態では、ベースシステム出力電流I
1は、約40Aなど約30Aから約50Aの間であってもよい。したがって、インバータ出力電流I
iは、約8A、約9A、または約10Aなど、約6Aから約12Aの間であってもよい。
【0120】
第4のキャパシタC
TX1は、第1のスイッチS1が閉じられたときに、第1のキャパシタC
Bおよび第1のインダクタL
BとともにLCLネットワークの第1の分岐を形成する働きをする。言い換えれば、第4のキャパシタC
TX1は、並列構成のときにベースワイヤレス充電システム1202Aを同調させてもよい。一実施形態では、第4のキャパシタC
TX1が省略されてもよい。第5のキャパシタC
TX2は、第2のスイッチS2が閉じられたときに、第1のキャパシタC
Bおよび第1のインダクタL
BとともにLCLネットワークの第1の分岐を形成する働きをする。言い換えれば、第5のキャパシタC
TX2は、並列-直列構成のときにベースワイヤレス充電システム1202Aを同調させてもよい。第4のキャパシタC
TX1と、第1のキャパシタC
Bおよび第1のインダクタL
Bの総インピーダンスはjXであってもよい。第5のキャパシタC
TX2と、第1のキャパシタC
Bおよび第1のインダクタL
Bの総インピーダンスはj(1-β)Xであってもよい。並列構成および並列-直列構成用の等価回路を以下の
図12Bおよび
図12Cに示す。
【0121】
図12Bは、一実施形態による、並列構成のベースワイヤレス充電システム用の等価回路1202Bの概略図である。一実施形態では、等価回路1202Bは、
図9Aに関して上記で説明したベースワイヤレス充電システム902A用の等価回路を含んでもよい。図示のように、等価回路1202Bは、インバータブリッジHと、等価キャパシタC
Bと、等価インダクタL
Bと、等価キャパシタC
TX1と、等価キャパシタC
1A+C
1Bと、等価インダクタL
1と、有効負荷Rとを含む。有効負荷Rは、たとえば、それぞれ
図1〜
図3に関して上記で説明した電動車両充電システム114、214、および/または314などの受信機側負荷を表す。有効負荷Rは、誘導コイル(たとえば、ベースシステム誘導コイルL
1)および逆リアクタンスキャパシタ(たとえば、第4および第5のキャパシタC
1AおよびC
1B)に特有であり得る損失を含むこともある。ワイヤレス充電システム1202Bの様々な部分が
図12Bに示されているが、当業者には、1つまたは複数の部分を削除、交換、または再構成してもよく、あるいは他の部分を含めてもよいことが諒解されよう。
【0122】
第2のキャパシタC
1Aと第3のキャパシタC
1Bが直列に接続されているので、等価キャパシタC
1A+C
1Bは特性インピーダンス-jXを有する。等価インダクタL
1は、等価キャパシタC
1B+C
1Bと共振し、特性インピーダンスjXを有する。等価キャパシタC
B、等価インダクタL
B、および等価キャパシタC
TX1は合成インピーダンスjXを有する。したがって、等価キャパシタC
Bと等価インダクタL
Bと等価キャパシタC
TX1は、LCLネットワークの第1のインダクタを形成し、等価キャパシタC
1A+C
1BはLCLネットワークのキャパシタを形成し、等価インダクタL
1と有効負荷RはLCLネットワークの第2のインダクタを形成する。
【0123】
図12Cは、一実施形態による、並列-直列構成のベースワイヤレス充電システム用の等価回路1202Cの概略図である。一実施形態では、等価回路1202Cは、
図10Aに関して上記で説明したベースワイヤレス充電システム1002A用の等価回路を含んでもよい。図示のように、等価回路1202Cは、インバータブリッジHと、等価キャパシタC
Bと、等価インダクタL
Bと、等価キャパシタC
TX2と、等価キャパシタC
1Bと、等価インダクタL
1+C
1Aと、有効負荷Rとを含む。有効負荷Rは、たとえば、それぞれ
図1〜
図3に関して上記で説明した電動車両充電システム114、214、および/または314などの受信機側負荷を表す。有効負荷Rは、誘導コイル(たとえば、ベースシステム誘導コイルL
1)および逆リアクタンスキャパシタ(たとえば、第4および第5のキャパシタC
1AおよびC
1B)に特有であり得る損失を含むこともある。ワイヤレス充電システム1202Cの様々な部分が
図12Cに示されているが、当業者には、1つまたは複数の部分を削除、交換、または再構成してもよく、あるいは他の部分を含めてもよいことが諒解されよう。
【0124】
第2のキャパシタC
1Aとベースシステム誘導コイルL
1が直列に接続されているので、等価インダクタL
1+C
1Aは特性インピーダンスj(1-β)Xを有する。等価キャパシタC
1Bは、等価インダクタL
1+C
1Aと共振し、特性インピーダンス-j(1-β)Xを有する。等価キャパシタC
Bと等価インダクタL
Bと等価キャパシタC
TX2は、整合合成インピーダンスj(1-β)Xを有する。したがって、等価キャパシタC
Bと等価インダクタL
Bと等価キャパシタC
TX2はLCLネットワークのキャパシタを形成し、等価インダクタL
1+C
1Aと有効負荷RはLCLネットワークの第2のインダクタを形成する。
【0125】
一実施形態では、ベースワイヤレス充電システムはまた、変圧器巻数比を調整し、同時にLCLネットワークの特性インピーダンスを変化させることができる。したがって、コントローラは、検出された磁気結合変動および負荷要件に基づいてI
1とV
iとの比を調整してもよい。多重2次タップ変圧器を有する1次電源の一実施形態を
図13〜
図15に示す。
【0126】
図13は、一実施形態による、マルチタップ変圧器を有する別のベースワイヤレス充電システム1302の概略図である。様々な実施形態では、ベースワイヤレス充電システム1302は、それぞれ
図1〜
図3に関して本明細書で説明するベースワイヤレス充電システム102a、102b、202、および302のうちのいずれかを含んでもよい。図示のように、ベースワイヤレス充電システム1302は、インバータブリッジHと、第1のキャパシタC
Bと、第1のインダクタL
Bと、マルチタップ変圧器TXと、第1のスイッチS1と、第2のスイッチS2と、第2のキャパシタC
1Aと、第3のキャパシタC
1Bと、第4のキャパシタC
TX1と、第5のキャパシタC
TX2と、ベースシステム誘導コイルL
1とを含む。有効負荷Rは、それぞれ
図1〜
図3に関して上記で説明した電動車両充電システム114、214、および/または314などの受信機側負荷を表す。有効負荷Rは、誘導コイル(たとえば、ベースシステム誘導コイルL
1)および逆リアクタンスキャパシタ(たとえば、第2および第3のキャパシタC
1AおよびC
1B)に特有であり得る損失を含むこともある。
【0127】
ワイヤレス充電システム1302の様々な部分が
図13に示されているが、当業者には、1つまたは複数の部分を削除、交換、または再構成してもよく、あるいは他の部分を含めてもよいことが諒解されよう。さらに、本明細書で説明する様々なキャパシタ、インダクタ、および/または抵抗器が、(たとえば、複数の構成要素を単一の構成要素として一体化したり、単一の構成要素を複数の構成要素に分割したりすることなどによって)等価回路と置き換えられてもよい。
【0128】
インバータブリッジHは、ワイヤレス電力伝送用の時変信号を生成する働きをする。様々な実施形態では、インバータブリッジHは、標準的な商用電源AC電力から適切な電圧レベルのDC電力へと電力を変換するように構成されるAC/DCコンバータ、および、DC電力をワイヤレス高電力伝達に適した動作周波数の電力に変換するように構成されたDC/低周波(LF)コンバータのような回路を含み得る。いくつかの実施形態において、インバータブリッジHは、それぞれ
図2および
図3に関して上記で説明したベース充電システム電力コンバータ236および/または336を含むことができる。
図13に示すインバータブリッジHは、インバータ出力電圧V
iおよびインバータ出力電流I
iを生成する。図示の実施形態では、インバータブリッジHは、少なくとも、キャパシタC
Bの第1の端子に電気的に結合された第1の端子と、マルチタップ変圧器TXの一次コイルの第2の端子に電気的に結合された第2の端子とを含む。
【0129】
第1のキャパシタC
Bおよび第1のインダクタL
Bは整合インピーダンスjXとして働く。第1のキャパシタC
Bと第1のインダクタL
Bはともに、jXが得られるように巻かれたLCLネットワークの第1の誘電素子を形成することができる。様々な実施形態では、キャパシタC
Bおよび第1のインダクタL
Bは、特性インピーダンスjXを有する別の無効ネットワークと置き換えられてもよい。図示の実施形態では、第1のキャパシタC
Bは、少なくとも、インバータブリッジHの第1の端子に電気的に結合された第1の端子と、第1のインダクタL
Bの第1の端子に電気的に結合された第2の端子とを含む。図示の実施形態では、第1のインダクタL
Bは、少なくとも、第1のキャパシタC
Bの第2の端子に電気的に結合された第1の端子と、マルチタップ変圧器TXの一次コイルの第1の端子に電気的に結合された第2の端子とを含む。
【0130】
マルチタップ変圧器TXは、送信ベースシステム誘導コイルL
1を商用電源から電気的に絶縁する働きをする。いくつかの実施形態では、マルチタップ変圧器TXは、インバータ出力電流I
iをスイッチS1およびS2に伝搬させてもよい。いくつかの実施形態では、マルチタップ変圧器TXは省略されてもよい。図示の実施形態では、マルチタップ変圧器TXは、タップ出力に基づく選択可能な巻数比を有する。選択可能な巻数比は、1:1、2:1などであってもよい。他の実施形態では、マルチタップ変圧器TXは、たとえば、1:n1などの別の巻数比を有してもよい。
【0131】
図示の実施形態では、マルチタップ変圧器TXは一次コイルと二次コイルとを含む。一次コイルは、少なくとも、第1のインダクタL
Bの第2の端子に電気的に結合された第1の端子と、インバータブリッジHの第2の端子に電気的に結合された第2の端子とを含む。二次コイルは、少なくとも、第4のキャパシタC
TX1の第1の端子に電気的に結合された第1の端子と、第5のキャパシタC
TX2の第1の端子に電気的に結合された第2の端子と、第3のキャパシタC
1Bの第2の端子およびベースシステム誘導コイルL
1の第2の端子に電気的に結合された第3の端子とを含む。二次コイルの第1の端子における出力電圧はV
TX1であり、二次コイルの第2の端子における出力電圧は、V
TX2であり、V
TX1よりもずっと低い電圧であってもよい
【0132】
キャパシタC
1AおよびC
1Bは、所望の周波数で共振するベースシステム誘導コイルL
1を伴う共振回路を形成するために設けられ得る。いくつかの実施形態では、キャパシタC
1AおよびC
1Bは、
図2に関して上記で説明したキャパシタC
1を形成してもよい。第2のキャパシタC
1Aは特性インピーダンス-jβXを有し、この場合、βは本明細書において詳しく説明する同調変動である。第3のキャパシタC
1Bは特性インピーダンス-j(1-β)Xを有する。
【0133】
第2のキャパシタC
1Aは、少なくとも、第2のスイッチS2の第2の端子およびベースシステム誘導コイルL
1の第1の端子に電気的に結合された第1の端子と、第1のスイッチS1の第2の端子および第3のキャパシタC
1Bの第1の端子に電気的に結合された第2の端子とを含む。第2のキャパシタC
1Aは、たとえば、スイッチS1およびS2の動作によって1つまたは少なくとも2つの構成に動的に設定されてもよい。並列構成とも呼ばれる第1の構成では、第2のキャパシタC
1Aはベースシステム誘導コイルL
1と並列に構成され、かつ第3のキャパシタC
1Bと直列に構成される。並列構成では、第2のキャパシタC
1Aは、第1のタップ電圧V
TX1よりも小さい絶対値を有し得る第2のタップ電圧V
TX2を受け取ってもよい。並列-直列構成とも呼ばれる第2の構成では、第2のキャパシタC
1Aはベースシステム誘導コイルL
1と直列に構成され、かつ第3のキャパシタC
1Bと並列に構成される。並列構成では、第2のキャパシタC
1Aは、第2のタップ電圧V
TX2よりも大きい絶対値を有し得る第1のタップ電圧V
TX1を受け取ってもよい。本明細書では、並列構成については
図14に示しかつ
図14に関して説明し、並列-直列構成については
図15に示しかつ
図15に関して説明する。
【0134】
第3のキャパシタC
1Bは、少なくとも、第1のスイッチS1の第2の端子および第2のキャパシタC
1Aの第2の端子に電気的に結合された第1の端子と、マルチタップ変圧器TXの二次コイルの第2の端子およびベースシステム誘導コイルL
1の第2の端子に電気的に結合された第2の端子とを含む。第3のキャパシタC
1Bはベースシステム誘導コイルL
1と並列に構成される。第2のキャパシタC
1Aが並列構成に設定されると、第2のキャパシタC
1Aは、第3のキャパシタC
1Bと直列に構成されかつベースシステム誘導コイルL
1と並列に構成される。第2のキャパシタC
1Aが並列-直列構成に設定されると、第2のキャパシタC
1Aは、第3のキャパシタC
1Bと並列に構成されかつベースシステム誘導コイルL
1と直列に構成される。第3のキャパシタC
1Bは電流I
Cを伝導させてもよい。
【0135】
第1のスイッチS1は、第1および第2の端子を選択的に結合する働きをする。第1のスイッチS1は、第2のスイッチS2とともに、第2のキャパシタC
1Aを並列構成または並列-直列構成のいずれかに設定してもよい。第1のスイッチS1は、たとえば、機械的リレーまたは半導体交流(AC)スイッチを含んでもよい。第1のスイッチS1は、少なくとも、(第4のキャパシタC
TX1の第2の端子を介して)マルチタップ変圧器TXの二次コイルの第1の端子に電気的に結合された第1の端子と、第2のキャパシタC
1Aの第2の端子および第3のキャパシタC
1Bの第1の端子に電気的に結合された第2の端子とを含む。第1のスイッチS1は、インバータ出力電流I
iを伝導させてもよい。
【0136】
第2のスイッチS2は、第1および第2の端子を選択的に結合する働きをする。第2のスイッチS1は、第1のスイッチS1とともに、第2のキャパシタC
1Aを並列構成または並列-直列構成のいずれかに設定してもよい。第2のスイッチS2は、たとえば、機械的リレーまたは半導体交流(AC)スイッチを含んでもよい。第2のスイッチS2は、少なくとも、(第5のキャパシタC
TX2の第2の端子を介して)マルチタップ変圧器TXの二次コイルの第2の端子に電気的に結合された第1の端子と、第2のキャパシタC
1Aの第1の端子およびベースシステム誘導コイルL
1の第1の端子に電気的に結合された第2の端子とを含む。第2のスイッチS2は、インバータ出力電流I
iを伝導させてもよい。
【0137】
ベースシステム誘導コイルL
1は、電動車両112を充電または給電するのに十分なレベルの電力をワイヤレスに送信する働きをする。たとえば、ベースシステム誘導コイルL
1によってワイヤレスに供給される電力レベルは、キロワット(kW)程度(たとえば、1kWから110kWまでの範囲の電力、またはそれよりも高い電力、またはそれよりも低い電力)であり得る。いくつかの実施形態では、ベースシステム誘導コイルL
1は、
図2に関して上記で説明したベースシステム誘導コイル204を含んでもよい。他の実施形態では、ベースシステム誘導コイルL
1は、ワイヤレス充電または電動車両充電に限定されない他の目的を果たすことができる。
【0138】
ベースシステム誘導コイルL
1は、有効負荷Rによって
図13に示す受信機側負荷を駆動してもよい。ベースシステム誘導コイルL
1は、共振電流I
1と呼ばれることもあるベースシステム出力電流I
1を伝導させてもよい。様々な実施形態では、ベースシステム出力電流I
1は、たとえば、インバータ出力電流I
iの約2倍から約6倍の間、インバータ出力電流I
iの約4倍、またはインバータ出力電流I
iの約5倍など、インバータ出力電流I
iの倍数であってもよい。様々な実施形態では、ベースシステム出力電流I
1は、約40Aなど約30Aから約50Aの間であってもよい。したがって、インバータ出力電流I
iは、約8A、約9A、または約10Aなど、約6Aから約12Aの間であってもよい。
【0139】
第4のキャパシタC
TX1は、第1のスイッチS1が閉じられたときに、第1のキャパシタC
Bおよび第1のインダクタL
BとともにLCLネットワークの第1の分岐を形成する働きをする。言い換えれば、第4のキャパシタC
TX1は、並列-直列構成のときにベースワイヤレス充電システム1202を同調させてもよい。第5のキャパシタC
TX2は、第2のスイッチS2が閉じられたときに、第1のキャパシタC
Bおよび第1のインダクタL
BとともにLCLネットワークの第1の分岐を形成する働きをする。言い換えれば、第5のキャパシタC
TX2は、並列構成のときにベースワイヤレス充電システム1202を同調させてもよい。一実施形態では、第5のキャパシタC
TX2が省略されてもよい。
【0140】
第2のスイッチS2が閉じられると、マルチタップ変圧器TXは、低巻数比状態で動作することができ、LCLネットワークは、
図14に示しかつ
図14に関して以下で説明するように比較的高いインピーダンス状態jXで動作することができる。電圧V
TX1が低くなり、インピーダンスが高くなると、ベースシステム誘導コイルL
1における電流I
1が低くなる。第1のスイッチS1が閉じられると、マルチタップ変圧器TXは、高巻数比状態で動作することができ、LCLネットワークは、
図15に示しかつ
図15に関して以下で説明するように比較的低いインピーダンス状態j(1-β)Xで動作してもよい。したがって、電圧V
TX2が高くなり、インピーダンスが低くなると、ベースシステム誘導コイルL
1における電流I
1が高くなる。
【0141】
図14は、一実施形態による、並列構成のマルチタップ変圧器を有するベースワイヤレス充電システム1402の概略図である。様々な実施形態では、ベースワイヤレス充電システム1402は、それぞれ
図1〜
図3および
図8に関して上記で説明したベースワイヤレス充電システム102a、102b、202、302、および1302のうちのいずれかを含んでもよい。図示のように、ベースワイヤレス充電システム1402は、インバータブリッジHと、第1のキャパシタC
Bと、第1のインダクタL
Bと、マルチタップ変圧器TXと、第1のスイッチS1と、第2のスイッチS2と、第2のキャパシタC
1Aと、第3のキャパシタC
1Bと、第4のキャパシタC
TX1と、第5のキャパシタC
TX2と、ベースシステム誘導コイルL
1とを含む。有効負荷Rは、それぞれ
図1〜
図3に関して上記で説明した電動車両充電システム114、214、および/または314などの受信機側負荷を表す。有効負荷Rは、誘導コイル(たとえば、ベースシステム誘導コイルL
1)および逆リアクタンスキャパシタ(たとえば、第2および第3のキャパシタC
1AおよびC
1B)に特有であり得る損失を含むこともある。
【0142】
ワイヤレス充電システム1402の様々な部分が
図14に示されているが、当業者には、1つまたは複数の部分を削除、交換、または再構成してもよく、あるいは他の部分を含めてもよいことが諒解されよう。さらに、本明細書で説明する様々なキャパシタ、インダクタ、および/または抵抗器が、(たとえば、複数の構成要素を単一の構成要素として一体化したり、単一の構成要素を複数の構成要素に分割したりすることなどによって)等価回路と置き換えられてもよい。
【0143】
図14の図示の実施形態では、第1のスイッチS1が開かれ、第2のスイッチS2が閉じられる。したがって、第2のキャパシタC
1Aは並列構成に設定され、マルチタップ変圧器TXは低巻数比構成に設定される。言い換えると、第1のスイッチS1を開き、第2のスイッチS2を短絡させることによって、インピーダンス-jβXを有する第2のキャパシタC
1Aが、インピーダンス-j(1-β)Xを有する第3のキャパシタC
1Bと直列に構成される。さらに、第2のキャパシタC
1Aおよび第3のキャパシタ
1Bは、インピーダンスjXを有するベースシステム誘導コイルL
1と並列に構成され、並列共振ネットワークを形成する。この構成では、LCLネットワークの特性インピーダンスはXである。この並列補償構成の等価回路を以下の
図12Bに示す。
【0144】
図15は、一実施形態による、並列-直列構成のマルチタップ変圧器を有するベースワイヤレス充電システム1502の概略図である。様々な実施形態では、ベースワイヤレス充電システム1502は、それぞれ
図1〜
図3および
図8に関して上記で説明したベースワイヤレス充電システム102a、102b、202、302、および1302のうちのいずれかを含んでもよい。図示のように、ベースワイヤレス充電システム1502は、インバータブリッジHと、第1のキャパシタC
Bと、第1のインダクタL
Bと、マルチタップ変圧器TXと、第1のスイッチS1と、第2のスイッチS2と、第2のキャパシタC
1Aと、第3のキャパシタC
1Bと、第4のキャパシタC
TX1と、第5のキャパシタC
TX2と、ベースシステム誘導コイルL
1とを含む。有効負荷Rは、それぞれ
図1〜
図3に関して上記で説明した電動車両充電システム114、214、および/または314などの受信機側負荷を表す。有効負荷Rは、誘導コイル(たとえば、ベースシステム誘導コイルL
1)および逆リアクタンスキャパシタ(たとえば、第2および第3のキャパシタC
1AおよびC
1B)に特有であり得る損失を含むこともある。
【0145】
ワイヤレス充電システム1502の様々な部分が
図15に示されているが、当業者には、1つまたは複数の部分を削除、交換、または再構成してもよく、あるいは他の部分を含めてもよいことが諒解されよう。さらに、本明細書で説明する様々なキャパシタ、インダクタ、および/または抵抗器が、(たとえば、複数の構成要素を単一の構成要素として一体化したり、単一の構成要素を複数の構成要素に分割したりすることなどによって)等価回路と置き換えられてもよい。
【0146】
図15の図示の実施形態では、第1のスイッチS1が閉じられ、第2のスイッチS2が開かれる。したがって、第2のキャパシタC
1Aは並列-直列構成に設定され、マルチタップ変圧器TXは高巻数比構成に設定される。言い換えれば、第1のスイッチS1を短絡させ、第2のスイッチS2を開くことによって、インピーダンス-jβXを有する第2のキャパシタC
1Aは、インピーダンスjXを有するベースシステム誘導コイルL
1と直列に構成される。さらに、第2のキャパシタC
1Aとベースシステム誘導コイルL
1は、インピーダンス-j(1-β)Xを有する第3のキャパシタC
1Bと並列に構成され、並列共振ネットワークを形成する。この構成では、LCLネットワークの特性インピーダンスは(1-β)Xである。言い換えれば、ベースシステム出力電流I
1は、TX巻数比の変更に起因する任意の増大に加えて1/(1-β)倍に増大する。この並列補償構成の等価回路を上記の
図12Cに示す。
【0147】
図16は、ワイヤレス電力送信の例示的な方法のフローチャート1600である。本明細書では、チャート1600の方法について、
図1〜
図3に関して上記で説明したワイヤレス電力伝達システム100、200、および300、
図1〜
図3および
図8〜
図15に関して上記で説明したベースワイヤレス充電システム102、202、302、802、902A、902B、1002A、1002B、1202A、1202B、1202C、1302、1402、および1502を参照して説明するが、フローチャート1600の方法は、本明細書で説明する別のデバイス、または任意の他の適切なデバイスによって実施され得ることが当業者には諒解されよう。一実施形態では、フローチャート1600内のステップは、たとえば、コントローラ432(
図3)などのプロセッサまたはコントローラによって実行され得る。本明細書では、フローチャート1600の方法について、特定の順序を参照して説明するが、様々な実施形態では、本明細書のブロックが異なる順序で実施されるか、または省略される場合があり、さらなるブロックが追加される場合がある。
【0148】
まず、ブロック1610において、ベースワイヤレス充電システム102は、送信アンテナにおいてワイヤレス送信電力用の場を第1の構成と第2の構成の両方で生成する。たとえば、ベースワイヤレス充電システム802のインバータブリッジHは、
図8に関して上記で説明したようにベースシステム誘導コイルL
1に電力を供給して場を生成してもよい。
【0149】
次いで、ブロック1620において、ベースワイヤレス充電システム102は第1のキャパシタを第1の構成と第2の構成の一方で選択的に接続する。第1のキャパシタは、第1の構成では送信アンテナと直列に接続され、第2の構成では送信アンテナと並列に接続される。たとえば、ベース充電システムコントローラ342は、それぞれ
図10Aおよび
図10Bに関して上記で説明したようにキャパシタC
1Aを並列構成または並列-直列構成で接続するように第1および第2のスイッチS1およびS2を選択的に開閉してもよい。
【0150】
一実施形態では、ベースワイヤレス充電システム102は、第1のキャパシタを第1の構成では第2のキャパシタと並列に接続し、第2の構成では第2のキャパシタと直列に接続することをさらに含んでもよい。第2のキャパシタは送信アンテナと並列に接続されてもよい。たとえば、ベース充電システムコントローラ342がキャパシタC
1Aを並列構成で接続するとき、キャパシタC
1Aは、
図10Aに関して上記で説明したようにキャパシタC
1Bと直列に接続されてもよい。ベース充電システムコントローラ342がキャパシタC
1Aを並列-直列構成で接続するとき、キャパシタC
1Aは、
図10Aに関して上記で説明したようにキャパシタC
1Bと並列に接続されてもよい。
【0151】
一実施形態では、ワイヤレス電力送信機は、少なくとも1つのスイッチと直列に接続された第3のキャパシタを含んでもよい。たとえば、ベースワイヤレス充電システム1202A〜1202Cは、
図12A〜
図12Cに関して上記で説明したように、キャパシタC
TX1およびC
TX2の一方または両方を含んでもよい。一実施形態では、第3のキャパシタは、第1の構成に存在する追加の無効負荷を補償するように構成されてもよい。たとえば、C
TX1および/またはC
TX2を含む第3のキャパシタは、キャパシタC
1Aが並列-直列構成であるときに追加の無効成分jβXを補償してもよい。一実施形態では、第3のキャパシタは特性インピーダンスjβXを有してもよい。
【0152】
一実施形態では、ベースワイヤレス充電システム102は、共振経路の一部ではない少なくとも1つのスイッチを介して第1のキャパシタを接続する。たとえば、ベース充電システムコントローラ342は、
図8に関して上記で説明したようにベースワイヤレス充電システム802の第1および第2のスイッチS1およびS2を動作させてもよい。スイッチS1およびS2は、キャパシタC
1AおよびC
1Bならびにベースシステム誘導コイルL
1を含む共振経路の一部ではない。
【0153】
一実施形態では、ベースワイヤレス充電システム102は、送信アンテナと受信機との間の結合に基づいて第1のキャパシタを第1の構成と第2の構成の一方で選択的に接続することをさらに含んでもよい。たとえば、ベース充電システムコントローラ342は、インバータ出力電圧V
iを維持するように並列構成と並列-直列構成の一方を選択してもよい。一実施形態では、ベースワイヤレス充電システム102は、送信アンテナと受信機との間の結合を測定し、結合をしきい値と比較することをさらに含んでもよい。
【0154】
一実施形態では、ベースワイヤレス充電システム102は、マルチタップ変圧器を第1の構成では第1の巻数比で動作し、第2の構成では第2の巻数比で動作するように構成してもよい。第1の巻数比は第2の巻数比より高くてもよい。たとえば、ベース充電システムコントローラ342は、
図13に関して上記で説明したように、マルチタップ変圧器TXを選択的にタップするように、ベースワイヤレス充電システム1302の第1および第2のスイッチS1およびS2を動作させてもよい。
【0155】
図17は、本発明の一実施形態による、ワイヤレス充電電力を送るための装置1700の機能ブロック図である。ワイヤレス通信のための装置は、
図17に示す簡略化された装置1700よりも多くの構成要素を有し得ることが、当業者には諒解されよう。ワイヤレス充電電力を送るための図示の装置1700は、特許請求の範囲内の実装形態のいくつかの顕著な特徴を説明するのに有用な構成要素のみを含む。ワイヤレス充電電力を送るための装置1700は、第1のキャパシタ1705と、第1の構成と第2の構成の両方でワイヤレス送信電力用の場を生成するための手段1710と、第1のキャパシタを第1の構成と第2の構成の一方で選択的に接続するための手段1720とを含み、第1のキャパシタは、第1の構成では生成のための手段と直列に接続され、第2の構成では生成のための手段と並列に接続される。
【0156】
ある実施形態では、第1のキャパシタ1705は、
図8〜
図15に関して上記で説明したキャパシタC
1Aを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1のキャパシタ1705はこの代わりに、電荷を蓄積するための手段、特性インピーダンスを調整するための手段、リアクタンスのための手段などであってもよい。
【0157】
一実施形態では、第1の構成と第2の構成の両方でワイヤレス送信電力用の場を生成するための手段1710は、ブロック1610(
図16)に関して上記で説明した機能のうちの1つまたは複数を実施するように構成され得る。様々な実施形態では、第1の構成と第2の構成の両方でワイヤレス送信電力用の場を生成するための手段1710は、ベース充電システムコントローラ342、コイル104A(
図1)、104B(
図1)、204(
図2)、304(
図3)、およびL
1(
図8〜
図15)、インバータH(
図8〜
図15)、ベースシステム送信回路206(
図2)、ならびにベース充電システム電力コントローラ236(
図2)のうちの1つまたは複数によって実現されてもよい。
【0158】
一実施形態では、第1のキャパシタを第1の構成と第2の構成の一方で選択的に接続するための手段1720は、ブロック1620(
図16)に関して上記で説明した機能のうちの1つまたは複数を実施するように構成され得る。様々な実施形態では、第1のキャパシタを第1の構成と第2の構成の一方で選択的に接続するための手段1720は、ベース充電システムコントローラ342、コイル104A(
図1)、ならびに第1および第2のスイッチS1およびS2(
図8〜
図15)のうちの1つまたは複数によって実現されてもよい。
【0159】
上で説明された方法の様々な動作は、種々のハードウェアおよび/またはソフトウェアコンポーネント、回路および/またはモジュールなどの、動作を実行することができる任意の適切な手段によって実行され得る。一般に、図に示される任意の動作は、動作を実行することが可能な対応する機能的手段によって実行され得る。
【0160】
多種多様な技術および技法のうちのいずれかを使用して情報および信号を表すことができる。たとえば、上記の説明全体にわたって言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁場もしくは磁性粒子、光場もしくは光学粒子、またはそれらの任意の組合せによって表され得る。
【0161】
本明細書で開示された実施形態に関して説明された様々な例示的な論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、またはその両方の組合せとして実装することができる。ハードウェアおよびソフトウェアのこの互換性を明確に説明するために、様々な例示的な構成要素、ブロック、モジュール、回路、およびステップが、それらの機能の観点から一般的に上記で説明されている。そのような機能がハードウェアまたはソフトウェアのどちらとして実施されるのかは、システム全体に課される特定の用途および設計制約に依存する。上述の機能は特定の適用例ごとに様々な方法で実現できるが、そのような実現に関する決定は、本発明の実施形態の範囲からの逸脱を生じるものと解釈されるべきではない。
【0162】
本明細書で開示する実施形態に関して説明する様々な例示的なブロック、モジュール、および回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)もしくは他のプログラマブル論理デバイス、個別ゲートもしくはトランジスタ論理、個別ハードウェア構成要素、または、本明細書に説明された機能を実行するように設計されたそれらの任意の組合せで、実装または実行され得る。汎用プロセッサはマイクロプロセッサとすることができるが、代替として、プロセッサは任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態機械とすることができる。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組合せ、たとえば、DSPおよびマイクロプロセッサの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携する1つもしくは複数のマイクロプロセッサ、または任意の他のそのような構成として実装され得る。
【0163】
本明細書で開示する実施形態に関して説明する方法またはアルゴリズムおよび機能のステップは、直接ハードウェアで具現化されても、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールで具現化されても、またはその2つの組合せで具現化されてもよい。ソフトウェアで実現される場合、それらの機能は、1つもしくは複数の命令もしくはコードとして有形の非一時的コンピュータ可読媒体上に記憶され、または有形の非一時的コンピュータ可読媒体を介して送信され得る。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読取り専用メモリ(ROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD ROM、または、当技術分野で既知である任意の他の形態の記憶媒体中に存在し得る。記憶媒体は、プロセッサが記憶媒体から情報を読み取り、かつ記憶媒体に情報を書き込むことができるように、プロセッサに結合される。代替として、記憶媒体はプロセッサと一体であり得る。ディスク(diskおよびdisc)は、本明細書において使用されるときに、コンパクトディスク(disc)(「CD」)、レーザディスク(disc)、光ディスク(disc)、デジタル多用途ディスク(disc)(「DVD」)、フロッピー(登録商標)ディスク(disk)およびブルーレイディスク(disc)を含み、diskは通常、データを磁気的に再生し、一方、discは、レーザを用いてデータを光学的に再生する。上記のものの組合せもまた、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。プロセッサおよび記憶媒体は、ASIC内に存在し得る。ASICは、ユーザ端末内に存在してもよい。代替において、プロセッサおよび記憶媒体は、ユーザ端末内に別個の構成要素として存在することができる。
【0164】
本明細書では、本開示の概要を示すために、本発明のいくつかの態様、利点、および新規の特徴について説明した。本発明の任意の特定の実施形態に従って、そのような利点の必ずしもすべてが達成されない場合があることを理解されたい。したがって、本発明は、本明細書に教示された1つの利点または利点のグループを、本明細書に教示または示唆され得る他の利点を必ずしも達成することなく、達成または最適化するように具現化または実行することができる。
【0165】
上述の実施形態の様々な修正が容易に明らかになり、本明細書に定義された一般原理は、本発明の趣旨または範囲を逸脱することなく、他の実施形態に適用され得る。したがって、本発明は、本明細書に示される実施形態に限定されることを意図しておらず、本明細書に開示する原理および新規の特徴と一致する最も広い範囲を与えられるものとする。
一態様は、ワイヤレス電力送信機を提供する。ワイヤレス電力送信機は、ワイヤレス送信電力用の場を第1の構成と第2の構成の両方で生成するように構成された送信アンテナを含む。ワイヤレス電力送信機は、第1のキャパシタをさらに含む。ワイヤレス電力送信機は、第1のキャパシタを第1の構成と第2の構成の一方で選択的に接続するように構成された少なくとも1つのスイッチをさらに含む。第1のキャパシタは、第1の構成では送信アンテナと直列に接続され、第2の構成では送信アンテナと並列に接続されてもよい。