(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、所定距離にマーカを投射し、当該所定距離の位置をユーザに視認させることのできる装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では以下の構成を採る。
【0007】
第1の発明は、面上に光によるマーカを投射する装置であって、
前記光によるマーカを投射するための光源と、
装置本体から前記マーカを投射する面上の所定位置までの当該面上における距離を記憶する記憶手段と、
前記面から装置本体までの高さを距離計の出力に基づいて求める手段と、
前記装置本体からマーカを投射する面上の所定位置までの面上における距離と前記面から装置本体までの高さとに基づいて、前記マーカを前記面上の所定位置に投射するための前記光源の光軸の角度を算出する演算手段と、
前記算出された光軸の角度に基づいて前記光源の光軸の角度を駆動制御し前記面上の所定位置に前記マーカを投射させる手段と、
を備えた距離マーカ投射装置。
【0008】
第2の発明は、面上に光による複数のマーカを直線状に等間隔に投射する装置であって、
前記光による複数のマーカを直線状に投射するための複数の光源と、
装置本体の面上の位置から等間隔に投射される各マーカ間の間隔を記憶する記憶手段と、
前記面から装置本体までの高さを距離計の出力に基づいて求める手段と、
前記装置本体の面上の位置から等間隔に投射される各マーカ間の間隔と前記面から装置本体までの高さとに基づいて、前記各マーカを前記面上の所定位置に投射するための前記各光源の光軸の角度を算出する演算手段と、
前記算出された各光軸の角度に基づいて前記各光源の光軸の角度を駆動制御し前記面上の所定位置に前記各マーカを直線状に等間隔に投射させる手段と、
を備えた距離マーカ投射装置。
【0009】
第3の発明は、面上に光によるマーカを投射する装置であって、
前記光によるマーカを投射するための光源と、
基準面から前記マーカを投射する壁面上の所定位置までの高さを記憶する記憶手段と、
装置本体から前記壁面までの距離を距離計の出力に基づいて求める手段と、
前記基準面から装置本体までの高さを距離計の出力に基づいて求める手段と、
前記基準面からマーカを投射する壁面上の所定位置までの高さと、前記装置本体から壁面までの距離と、前記基準面から装置本体までの高さとに基づいて、前記マーカを前記壁面上の所定位置に投射するための前記光源の光軸の角度を算出する演算手段と、
前記算出された光軸の角度に基づいて前記光源の光軸の角度を駆動制御し前記壁面上の所定位置に前記マーカを投射させる手段と、
を備えた距離マーカ投射装置。
【0010】
第4の発明は、壁面に光による複数のマーカを高さ方向に直線状に等間隔に投射する装置であって、
前記光による複数のマーカを壁面の高さ方向に直線状に投射するための複数の光源と、
基準面から等間隔に投射される各マーカ間の間隔を記憶する記憶手段と、
装置本体から前記壁面までの距離を距離計の出力に基づいて求める手段と、
前記基準面から装置本体までの高さを距離計の出力に基づいて求める手段と、
前記基準面から等間隔に投射される各マーカの間隔と、前記装置本体から壁面までの距離と、前記基準面から装置本体までの高さとに基づいて、前記各マーカを前記壁面上の所定位置に投射するための前記各光源の光軸の角度を算出する演算手段と、
前記算出された各光軸の角度に基づいて前記各光源の光軸の角度を駆動制御し前記壁面上の所定位置に前記各マーカを高さ方向に直線状に等間隔に投射させる手段と、
を備えた距離マーカ投射装置。
【0011】
上記の各発明において、距離計は、測定波としてレーザ等の光波を用いるものでもよいし、測定波として超音波等の音波を用いるものでもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、所定距離(高さを含む)にマーカを投射することによって、当該所定距離の位置をユーザに視認させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態を
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は、距離マーカ投射機能を備えた、距離測定装置の構成を示している。
【0015】
目標距離計測手段1は、レーザ距離計を備え、装置本体Oから目標点M1までの距離D1を算出する。表示手段2は、液晶ディスプレイ等の表示装置を備え、目標距離計測手段1が算出した目標点M1までの距離D1を表示装置に表示する。ユーザは、この表示装置の表示によって、目標点M1までの距離D1を知ることができる。
【0016】
本体傾斜計測手段3は、装置本体の基準姿勢からの傾斜角度θ1を算出する。ここにいう傾斜角度とは、目標距離計測手段1に装備されたレーザ距離計が放射する測定波の光軸に直交する水平軸を中心とした装置本体の回転角度である。本実施形態では、上記測定波の光軸が水平であるときの装置本体の姿勢を基準姿勢とする。本体傾斜計測手段3は、例えば、既知の傾斜センサを備えることにより実現される。
【0017】
本体高さ計測手段4は、ユーザが立っている地面等の基準面Gから装置本体Oまでの垂直高さHを算出する。本実施形態では、本体高さ計測手段4として第2のレーザ距離計を備える。本体高さ計測手段4は、この第2のレーザ距離計が測定した装置本体Oから基準面G上の地点M2までの距離と、本体傾斜計測手段3が出力する装置本体の傾斜角度θ1とに基づいて、基準面Gから装置本体Oまでの垂直高さHを算出する。本実施形態において、基準面Gは水平であるとし、本体高さ計測手段4に装備されたレーザ距離計は、装置本体の基準姿勢において、基準面Gに垂直な方向(鉛直方向)に測定波を放射するものとする。本実施形態において、目標距離計測手段1に装備されたレーザ距離計の測定波の光軸と、本体高さ計測手段4に装備されたレーザ距離計の測定波の光軸とは、装置本体の姿勢にかかわらず、常に直交するように構成されている。
【0018】
ポイント投射手段5は、レーザポインタを備え、ユーザが立っている基準面G上に、ポイント(マーカ)を投射する。レーザポインタの光軸は、目標距離計測手段1の測定波の光軸、および本体高さ計測手段4の測定波の光軸と同一の平面内(
図2の紙面)に含まれるものとし、当該平面は基準面Gに直交するものとする。
【0019】
光軸回動手段6は、ポイント投射手段5に装備されたレーザポインタの光軸を上記の平面内で回動させる機構を備えている。レーザポインタの光軸を回動させることにより、基準面Gに表示されるポイントP1の位置決めがなされ、更に、装置本体の傾斜角度θ1の変化にかかわらず、基準面G上のポイントP1を定位置に維持する。例えば、ステッピングモータを用いることにより、レーザポインタの光軸の角度を制御し、基準面GにおけるポイントP1の表示位置を制御することができる。
【0020】
本実施形態において、ポイント設定手段7は、基準面Gにおける装置本体の位置P0からポイント位置P1までの水平距離L1の入力をユーザから受け付ける。ポイント設定手段7は、ユーザが操作可能な入力装置を備え、入力装置を介してユーザから入力された距離L1を記憶装置に記憶する。
【0021】
ポイント投射角演算手段8は、基準面Gにおける装置本体の位置P0からレーザポインタによるポイントP1までの距離が、ポイント設定手段7から入力された水平距離L1と常に等しくなるように、光軸回動手段6を駆動制御してレーザポインタの光軸角度を制御する。
【0022】
次に、
図2を参照し、本実施形態の動作を説明する。
【0023】
図2の紙面において、装置本体の姿勢が、基準姿勢からθ1だけ時計回りに傾いているものとする。ここで、θ1は反時計回りを正とする。このとき、本体傾斜計測手段3は、装置本体の傾斜角度θ1を継続的に算出し、この値を本体高さ計測手段4と、ポイント投射角演算手段8とに継続的に入力する。
【0024】
また、目標距離計測手段1は、本体位置Oから目標点M1までの距離D1を算出し、表示手段2に入力する。表示手段2は、入力された距離D1を表示する。ユーザは、表示手段2の表示により目標点M1までの距離D1を知ることができる。
【0025】
また、本体高さ計測手段4は、本体位置Oからレーザ距離計の測定波が向かう基準面G上の点M2までの距離D2を継続的に算出し、本体傾斜計測手段3から入力されている本体傾斜角度θ1を用いて、基準面Gから装置本体までの垂直高さHを継続的に算出する。
【0027】
本体高さ計測手段4は、算出した本体高さHをポイント投射角演算手段8に継続的に入力する。
【0028】
ポイント設定手段7は、ユーザから入力された距離L1、即ち、装置本体の位置Oからポイントマーカを投射すべき位置P1までの水平距離L1を記憶し、この値をポイント投射角演算手段8に継続的に入力する。
【0029】
ポイント投射角演算手段8は、入力されている本体傾斜角度θ1、本体高さH、および装置本体からマーカ位置P1までの水平距離L1に基づいて、ポイント投射手段5が投射するレーザの光軸を基準から何度の方向に向ければ、投射点がP1に一致するか、当該レーザポインタの光軸角度θrを継続的に算出する。レーザポインタの光軸が本体高さ計測手段4の測定波の光軸(つまりO−M2)に一致するとき、レーザポインタの光軸角度を0°とすると、θrは、次式により算出される。
【0030】
θr=θ2−θ1 (
図2の状態において、θ1は負数)
θ2=arctan(L1/H)
【0031】
ポイント投射角演算手段8は、算出した光軸角度θrを光軸回動手段6に継続的に入力する。光軸回動手段6は、レーザポインタの光軸角度がθrとなるように、光軸回動機構を継続的に制御する。
【0032】
これにより、レーザポインタから投射されたレーザ光は、基準面G上の点P1にポイント(マーカ)を表示する。ユーザは、ポイントの表示されている地点P1が、装置本体から水平距離にしてL1の距離にあることを視認することができる。
【0033】
ここで、装置本体の傾斜角度θ1が変化しても、レーザポインタによってポイントされる点P1の位置は変化せず、一定に保たれる。上式の通り、本体の傾斜角度θ1の変化を打ち消すように、レーザポインタの光軸角度θrを修正しているからである。例えば、本体の傾斜角度θ1が時計回りに10°変化すれば、レーザポインタの光軸角度θrは反時計回りに10°変化するので、レーザポインタによってポイントされる点P1の位置は一定に保たれる。
【0034】
以上説明した本実施形態によれば、レーザ距離計によって目標点までの距離D1をユーザに示せるだけでなく、ユーザが設定した所定距離L1の地点にマーカを投射して、当該所定距離の位置をユーザに視認させることができる。
【0035】
ここで、
図2では、目標点M1が水平より下に位置するものとして図示したが、目標点M1が水平より上方に位置する場合、つまり本体の傾斜角度θ1が正の値を持つ場合でも、同様の作用効果を得ることができる。また、本実施形態では、本体高さ計測手段4が第2のレーザ距離計を備え、この第2のレーザ距離計による測定結果に基づいて本体の垂直高さHを求めた。しかし、
図2に示すように、目標点M1が基準面G上に位置している場合は、装置本体から目標点M1までの距離D1と、本体の傾斜角度θ1とに基づいて、本体の垂直高さHを求めることが可能である。よって、この場合は、ポイント投射角演算手段8が本体の垂直高さHを求めるようにし、本体高さ計測手段4を不要とすることができる。
【0036】
この場合、H=|D1・sinθ1|となる。
【0037】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を
図1及び
図3に基づいて説明する。
【0038】
本実施形態では、レーザポインタにより表示するポイント(マーカ)を複数とし、当該複数のポイントを基準面G上に直線に沿って等間隔に表示する。これにより、基準面G上にメジャーを表示するものである。
【0039】
本実施形態において、ポイント設定手段7は、基準面G上に表示する複数のポイント間の距離(間隔)Tの入力をユーザから受け付ける。ポイント設定手段7は、ユーザが操作可能な入力装置を備え、入力装置を介してユーザから入力されたポイント間の距離Tを記憶装置に記憶する。そして、この値Tをポイント投射角演算手段8に継続的に入力する。
【0040】
ポイント投射手段5は、基準面G上に複数のポイントを投射するたに、複数のレーザポインタを備えている。光軸回動手段6は、ポイント投射手段5に装備された複数のレーザポインタの各光軸を独立して回動させる機構を備えている。例えば、各レーザポインタの光軸を回動するための独立したステッピングモータを複数備えている。
【0041】
その他の構成は、前述の第1実施形態と同一である。次に、
図3を参照して本実施形態の動作を説明する。
【0042】
本実施形態において、ポイント投射角演算手段8は、本体傾斜計測手段3から入力されている本体傾斜角度θ1、本体高さ計測手段4から入力されている本体高さH、およびポイント設定手段7から入力されている複数のポイント間の距離Tに基づいて、ポイント投射手段5が投射する複数のレーザの各光軸を基準から何度の方向に向ければ、各投射点がP1,P2に一致するか、各レーザポインタの光軸角度θr1,θr2を継続的に算出する。レーザポインタの光軸が本体高さ計測手段4の測定波の光軸(つまりO−M2)に一致するとき、レーザポインタの光軸角度を0°とすると、θr1,θr2は、次式により算出される。
【0043】
θr1=θ2−θ1 (
図3の状態において、θ1は負数)
θr2=θ3−θ1
θ2=arctan(T/H)
θ3=arctan(2T/H)
【0044】
本実施形態では、基準面Gにメジャーを表示するレーザポインタの数を2つとしたが、3つ以上の場合、各レーザポインタの光軸の角度は以下の式で求められる。
【0045】
θrx=arctan(x・T/H)−θ1
(x=1,2,3,・・・,レーザポインタの光軸の総数)
【0046】
ポイント投射角演算手段8は、算出した光軸角度θrxを光軸回動手段6に継続的に入力する。光軸回動手段6は、各レーザポインタの光軸角度がθrxとなるように、光軸回動機構5を継続的に制御する。
【0047】
本実施形態では、これにより、レーザポインタから投射されたレーザ光は、基準面G上の点P1および点P2にポイント(マーカ)を表示する。ユーザは、ポイントの表示されている地点P1が、装置本体から水平距離にしてTの距離にあり、地点P2が、装置本体から水平距離にして2Tの距離にあることを視認することができる。基準面に投射された各ポイントP1,P2の位置が、本体の傾斜角度θ1の影響を受けないことは、前述した第1実施形態と同様である。
【0048】
図2の例では、地点P1,P2の2点だけにポイントを投射しているが、ポイント投射手段5に多数のレーザポインタを装備することにより、基準面G上に多数のポイントを等間隔に表示することができ、この場合、間隔Tの値を小さくしメジャーの目盛の刻みを細かくすることが可能である。
【0049】
このようにすると、第1実施形態と同一の効果を奏するほか、装置本体から目標点M1に至るまでの途中の、任意の地点までの距離を把握しやすくなる。
【0050】
<第3実施形態>
以下、本発明の第3実施形態を
図1及び
図4を参照して説明する。前述の第1実施形態および第2実施形態では、レーザポインタによるポイントマーカを、水平な面に投射したが、本実施形態では、基準面からの高さを示すポイントマーカを基準面に対し垂直な面に投射できるように構成する。その構成については、再び
図1を参照して説明する。
【0051】
目標距離計測手段1は、レーザ距離計を備え、装置本体Oから目標点M1までの距離D1を算出する。本実施形態において、目標点M1は、
図4に示すように、基準面Gに対し垂直な壁面Wの上方に位置しているものとする。表示手段2は、液晶ディスプレイ等の表示装置を備え、目標距離計測手段1が算出した目標点M1までの距離D1を表示装置に表示する。ユーザは、この表示装置の表示によって、目標点M1までの距離D1を知ることができる。
【0052】
本体傾斜計測手段3は、装置本体の基準姿勢からの傾斜角度θ1を算出する。ここにいう傾斜角度とは、目標距離計測手段1に装備されたレーザ距離計が放射する測定波の光軸に直交する水平軸を中心とした本体の回転角度である。本実施形態では、上記測定波の光軸が水平であるときの装置本体の姿勢を基準姿勢とする。本体傾斜計測手段3は、例えば、既知の傾斜センサを備えることにより実現される。
【0053】
本体高さ計測手段4は、ユーザが立っている地面等の基準面Gから装置本体Oまでの垂直高さH0を算出する。本実施形態では、本体高さ計測手段4として第2のレーザ距離計を備える。本体高さ計測手段4は、この第2のレーザ距離計が測定した装置本体Oから基準面G上の地点M2までの距離D2と、本体傾斜計測手段3が出力する装置本体の傾斜角度θ1とに基づいて、基準面Gから装置本体Oまでの垂直高さH0を算出する。本実施形態において、基準面Gは水平であるとし、本体高さ計測手段4に装備されたレーザ距離計は、装置本体の基準姿勢において、基準面Gに垂直な方向(鉛直方向)に測定波を放射するものとする。本実施形態において、目標距離計測手段1に装備されたレーザ距離計の測定波の光軸と、本体高さ計測手段4に装備されたレーザ距離計の測定波の光軸とは、装置本体の姿勢にかかわらず、常に直交するように構成されている。
【0054】
ポイント投射手段5は、レーザポインタを備え、基準面Gに垂直な壁面Wに、ポイント(マーカ)を投射する。レーザポインタの光軸は、目標距離計測手段1の測定波の光軸、および本体高さ計測手段4の測定波の光軸と同一の平面内(
図4の紙面)に含まれるものとし、当該平面は基準面G及びこれに垂直な壁面Wに直交するものとする。
【0055】
光軸回動手段6は、ポイント投射手段5に装備されたレーザポインタの光軸を上記の平面内で回動させる機構を備えている。レーザポインタの光軸を回動させることにより、壁面Wに表示されるポイントP1の位置決めがなされ、更に、装置本体の傾斜角度θ1の変化にかかわらず、壁面W上のポイントP1を定位置に維持する。例えば、ステッピングモータを用いることにより、レーザポインタの光軸の角度を制御し、壁面WにおけるポイントP1の表示位置を制御することができる。
【0056】
ポイント設定手段7は、本実施形態において、基準面Gから壁面W上のポイント位置P1までの垂直高さH1の入力をユーザから受け付ける。ポイント設定手段7は、ユーザが操作可能な入力装置を備え、入力装置を介してユーザから入力された高さH1を記憶装置に記憶する。
【0057】
ポイント投射角演算手段8は、基準面GからレーザポインタによるポイントP1までの高さが、ポイント設定手段7から入力された垂直高さH1と常に等しくなるように、光軸回動手段6を制御してレーザポインタの光軸角度を制御する。
【0058】
次に、
図4を参照し、本実施形態の動作を説明する。
【0059】
図4の紙面において、装置本体の姿勢が、基準姿勢からθ1だけ反時計回りに傾いているものとする。ここで、θ1は反時計回りを正とする。このとき、本体傾斜計測手段3は、本体傾斜角度θ1を継続的に算出し、この値を本体高さ計測手段4と、ポイント投射角演算手段8とに継続的に入力する。
【0060】
また、目標距離計測手段1は、本体位置Oから目標点M1までの距離D1を算出し、表示手段2に入力する。表示手段2は、入力された距離D1を表示する。ユーザは、表示手段2の表示により目標点M1までの距離D1を知ることができる。また、目標距離計測手段1は、距離D1を継続的に算出し、この値D1をポイント投射角演算手段8に継続的に入力する。
【0061】
また、本体高さ計測手段4は、本体位置Oからレーザ距離計の測定波が向かう基準面G上の点M2までの距離D2を継続的に算出し、本体傾斜計測手段3から入力されている本体傾斜角度θ1を用いて、基準面Gから装置本体Oまでの垂直高さH0を継続的に算出する。
【0063】
本体高さ計測手段4は、算出した本体高さH0をポイント投射角演算手段8に継続的に入力する。
【0064】
ポイント設定手段7は、ユーザから入力された高さH1、即ち、基準面Gからポイントマーカを投射すべき位置P1までの垂直高さH1を記憶し、この値をポイント投射角演算手段8に継続的に入力する。
【0065】
ポイント投射角演算手段8は、入力されている本体傾斜角度θ1、目標点M1までの距離D1、本体高さH0、および装置本体からマーカ位置P1までの垂直高さH1に基づいて、ポイント投射手段5が投射するレーザの光軸を基準から何度の方向に向ければ、投射点がP1に一致するか、当該レーザポインタの光軸角度θrを継続的に算出する。レーザポインタの光軸が目標距離計測手段1の測定波の光軸(つまりO−M1)に一致するとき、レーザポインタの光軸角度を0°とすると、θrは、次式により算出される。
【0066】
θr=θ2−θ1 (
図4において、θrは負数)
θ2=arctan{(H1−H0)/(D1・cosθ1)}
【0067】
ポイント投射角演算手段8は、算出した光軸角度θrを光軸回動手段6に継続的に入力する。光軸回動手段6は、レーザポインタの光軸角度がθrとなるように、光軸回動機構を継続的に制御する。
【0068】
これにより、レーザポインタから投射されたレーザ光は、壁面Wの点P1にポイント(マーカ)を表示する。ユーザは、ポイントの表示されている点P1が、基準面Gから垂直高さH1の位置にあることを視認することができる。
【0069】
ここで、装置本体の傾斜角度θ1が変化しても、レーザポインタによってポイントされる点P1の位置は変化せず、一定に保たれる。上式の通り、本体の傾斜角度θ1の変化を打ち消すように、レーザポインタの光軸角度θrを修正しているからである。例えば、本体の傾斜角度θ1が反時計回りに10°変化すれば、レーザポインタの光軸角度θrは時計回りに10°変化するので、レーザポインタによってポイントされる点P1の位置は一定に保たれる。
【0070】
以上説明した本実施形態によれば、レーザ距離計によって目標点M1までの距離D1をユーザに示すだけでなく、ユーザが設定した所定高さH1の位置にマーカを投射して、当該所定高さの位置をユーザに視認させることができる。
【0071】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態を
図1及び
図5に基づいて説明する。
【0072】
本実施形態では、レーザポインタにより表示するポイント(マーカ)を複数とし、当該複数のポイントを壁面の高さ方向に等間隔に表示する。これにより、壁面にメジャーを表示するものである。
【0073】
本実施形態において、ポイント設定手段7は、壁面に表示する複数のポイント間の間隔Tの入力をユーザから受け付ける。ポイント設定手段7は、ユーザが操作可能な入力装置を備え、入力装置を介してユーザから入力されたポイント間の間隔Tを記憶装置に記憶する。そして、この値Tをポイント投射角演算手段8に継続的に入力する。
【0074】
ポイント投射手段5は、壁面Wに複数のポイントP1,P2を投射するたに、複数のレーザポインタを備えている。光軸回動手段6は、ポイント投射手段5に装備された複数のレーザポインタの各光軸を独立して回動させる機構を備えている。例えば、各レーザポインタの光軸を回動するための独立したステッピングモータを複数備えている。
【0075】
その他の構成は、前述の第3実施形態と同一である。次に、
図5を参照し本実施形態の動作を説明する。
【0076】
本実施形態において、ポイント投射角演算手段8は、本体傾斜計測手段3から入力されている本体傾斜角度θ1、目標点M1までの距離D1、本体高さ計測手段4から入力されている本体高さH0、およびポイント設定手段7から入力されている複数のポイント間の間隔Tに基づいて、ポイント投射手段5が投射する複数のレーザの各光軸を基準から何度の方向に向ければ、各投射点がP1,P2に一致するか、各レーザポインタの光軸角度θr1,θr2を継続的に算出する。レーザポインタの光軸が目標距離計測手段1の測定波の光軸(つまりO−M1)に一致するとき、レーザポインタの光軸角度を0°とすると、θr1,θr2は、次式により算出される。
【0077】
θr1=θ2−θ1 (
図5において、θr1,θr2は負数)
θr2=θ3−θ1
θ2=arctan{(T−H0)/(D1・cosθ1)}
θ3=arctan{(2T−H0)/(D1・cosθ1)}
【0078】
本実施形態では、壁面にメジャーを表示するレーザポインタの数を2つとしたが、3つ以上の場合、各レーザポインタの光軸の角度は以下の式で求められる。
【0079】
θrx=arctan{(x・T−H0)/(D1・cosθ1)}−θ1
(x=1,2,3,・・・,レーザポインタの光軸の総数)
【0080】
ポイント投射角演算手段8は、算出した光軸角度θrxを光軸回動手段6に継続的に入力する。光軸回動手段6は、各レーザポインタの光軸角度がθrxとなるように、光軸回動機構5を継続的に制御する。
【0081】
本実施形態では、これにより、レーザポインタから投射されたレーザ光は、壁面Wの点P1および点P2にポイント(マーカ)を表示する。ユーザは、ポイントの表示されている点P1が、基準面Gから垂直高さTの位置にあり、点P2が、基準面Gから垂直高さ2Tの位置にあることを視認することができる。壁面Wに投射された各ポイントP1,P2の位置が、本体の傾斜角度θ1の影響を受けないことは、前述した第3実施形態と同様である。
【0082】
図5の例では、点P1,P2の2点だけにポイントを投射しているが、ポイント投射手段5に多数のレーザポインタを装備することにより、壁面Wに多数のポイントを等間隔に表示することができ、この場合、間隔Tの値を小さくしメジャーの目盛の刻みを細かくすることが可能である。
【0083】
このようにすると、第3実施形態と同一の効果を奏するほか、基準面Gから目標点M1に至るまでの途中の、任意の点までの高さを把握しやすくなる。
【0084】
本発明は、以上に説明した各実施形態に限られるものではない。本発明の作用効果を得るための幾何的な角度の取り方や演算方法は種々の変更が可能である。また、一つの装置に複数の実施形態の機能を搭載してもよい。例えば、第1又は第2実施形態のように距離方向にマーカを投射する機能と、第3又は第4実施形態のように高さ方向にマーカを投射する機能との両方を一つの装置に搭載してもよい。この場合、距離方向にマーカを投射すべきか、高さ方向にマーカを投射すべきかの切り替えは種々のスイッチにより行うことが考えられる。例えば、手動のスイッチを備え、ユーザによるスイッチ操作に基づいて距離方向へのマーカ投射と高さ方向へのマーカ投射とを切り替えてもよい。又は、内蔵の傾斜センサの出力に基づき、目標点M1が所定位置よりも下方にある場合は距離方向へマーカを投射し、目標点M1が所定位置よりも上方にある場合は高さ方向へマーカを投射することが考えられる。また、装置本体の姿勢を検出する方法としては、装置本体に内蔵したセンサを用いる方法に限らず、外部のデバイスの出力に基づいて検出する方法や、その他既存の技術を採用することが可能である。