(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいてこの発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
【0016】
図1は、本実施の形態の薬剤充填装置1の概略構成を示す側面図である。
図2は、
図1に示す保持体20の拡大図である。
図3は、搬送装置30に対する各々の検出部の配置を示す模式図である。
図4は、保持体20および容器26に対する各々の検出部の配置を示す模式図である。まず、
図1〜4を参照して、薬剤充填装置1の構成の概略について説明する。
【0017】
薬剤充填装置1は、錠剤やカプセルなどの固形状の薬剤または投与単位毎に個別包装された薬剤を容器26に充填する作業を自動化するための装置である。薬剤充填装置1は、容器26に対し対象の薬剤を供給する供給装置10と、容器26を保持している保持体20を搬送する搬送装置30とを備える。容器26は、配送時の便宜を考慮して、厚みの比較的小さい矩形箱状の形状を有する。容器26が対象の薬剤を充填可能であれば、容器26の形状は箱状に限られるものではない。たとえば、容器26は略円柱状のバイアル瓶であってもよく、または他の任意の形状を有する容器26が用いられてもよい。
【0018】
供給装置10は、各種の薬剤が種類毎に収容された薬剤カセッタを有する。薬剤カセッタは、供給装置10に着脱自在に設けられている。供給装置10は、たとえば128個もしくは256個などの複数の薬剤カセッタを同時に保持できるものであってもよく、この場合、複数の薬剤をその種類毎に容易に供給装置10から払い出すことができるので、複数の薬剤を含む処方箋に従って短時間に薬剤の払い出しを完了できる。または供給装置10は、一個の薬剤カセッタを保持可能とされ、装置を使用するユーザが必要な薬剤カセッタをその都度入れ替える仕様であってもよく、この場合、供給装置10を小型化できるので供給装置10のコスト低減および省スペース化を達成できる。
【0019】
供給装置10には、薬剤を排出する排出口が下部に形成され、当該排出口に対向する位置にホッパ12が配置されている。薬剤カセッタから払い出された薬剤は、排出口から排出され、供給装置10の下方に設けられたホッパ12を経由してさらに落下し、容器26に供給される。
【0020】
搬送装置30が保持体20を搬送することにより、容器26は供給装置10の下方を移動する。各々の容器26の上側には、容器26の内部と外部とを連通する上部開口が形成されている。容器26の上部開口がホッパ12に対向する適切な位置に容器26が配置された状態で、供給装置10から薬剤が落下し、ホッパ12を経由して、薬剤が容器26に充填される。供給装置10から落下する薬剤は、上部開口を経由して容器26の内部に入り、容器26で受けられる。供給装置10から容器26に薬剤が供給され、容器26の内部に適切な数量の薬剤が充填される。
【0021】
保持体20は、容器26を保持可能な保持部22を複数有する。一つの保持部22が一つの容器26を保持し、複数の保持部22を有する保持体20は全体として複数の容器26を保持する。複数の容器26は、搬送装置30により搬送される保持体20の移動方向に並べられて、保持体20に保持される。複数の保持部22は、保持体20の移動方向に並んで形成されている。
【0022】
図2に示す保持体20は、保持体20の内部空間が仕切壁23によって三つの区画に仕切られており、三つの区画の各々が容器26を収容可能に設けられる。これにより、保持体20には、三つの保持部22a,22b,22cが設けられる。保持部22a,22b,22cの、保持体20の天井部21側には、開口が形成されている。容器26は、当該開口を経て保持体20の内部から保持体20の上方の外部にまで延在している。容器26の上端部は、保持体20の外側に配置されている。
【0023】
保持体20の側部の外壁面には、搬送装置30による保持体20の搬送方向DR1に沿って延びる、帯状部が設けられている。帯状部は、相対的に色の薄い淡色部と、相対的に色の濃い濃色部とを、搬送方向DR1に交互に有する。濃色部は、保持部22に対し搬送方向DR1の下流側に設けられる。濃色部の、搬送方向DR1の上流側の端部は、搬送方向DR1における保持部22の中心線に対し、搬送方向DR1の下流側に設けられる。濃色部の、搬送方向DR1の上流側の端部は、後述する保持体位置検出部42によって検出される被検出部24としての機能を有する。
【0024】
被検出部24は、保持体20の搬送方向DR1に所定の間隔を空けて連続して複数設けられている。搬送方向DR1における隣接する被検出部24の間隔は、典型的には、搬送方向DR1における保持部22の寸法と略同一である。なお、帯状部の色の濃淡により被検出部24が形成される構成に限られず、搬送方向DR1における保持体20の位置を検出できるのであれば被検出部24はどのような構成であってもよい。
【0025】
搬送装置30は、保持体20の保持部22に保持された容器26を、供給装置10から容器26に対し薬剤が供給され得る位置に移動させる。保持体20が複数の容器26を保持する場合、搬送装置30は、供給装置10から薬剤が供給され得る位置に複数の容器26を順次移動させ、当該位置で容器26へ薬剤を供給するために保持体20を一旦停止させる。
【0026】
図1,3に示す搬送装置30は、ベルト32と一対のプーリ34,36とを有する公知のベルトコンベアである。保持体20は、ベルト32の上側に載置される。プーリ34,36の回転運動に伴うベルト32の移動によって、保持体20は搬送方向DR1に搬送される。本実施の形態の搬送装置30は、ベルト32の両端に設けられた一対のプーリ34,36の一方から他方へ向かう方向、たとえばプーリ34からプーリ36へ向かう方向を搬送方向DR1として、保持体20を搬送する。
【0027】
搬送装置30は、両方向に保持体20を搬送可能であってもよい。つまり搬送装置30は、上記搬送方向DR1に加えて、搬送方向DR1と逆方向の、一対のプーリ34,36の他方から一方へ向かう方向、たとえばプーリ36からプーリ34へ向かう方向にも、保持体20を搬送可能であってもよい。搬送装置30が保持体20を搬送する方向を切替可能に構成されることにより、薬剤充填装置1を使用するユーザは、いずれかの方向を搬送方向DR1として選択できる。これにより、薬剤充填装置1が実際に設置される状況に合わせて、より適切な方向に保持体20を搬送させて、容器26に薬剤を充填することができる。
【0028】
搬送装置30は、ベルトコンベアに限られるものではなく、保持体20を搬送方向DR1に搬送可能であれば、どのような構成を有してもよい。たとえば搬送装置30は、搬送方向DR1に位置を微調整可能なロボットアームを有し、当該ロボットアームが保持体20を保持するとともに搬送方向DR1に移動させる構成であってもよい。
【0029】
薬剤充填装置1は、
図3に示すように、三組の保持体検出部、すなわち、上流側保持体検出部54、中央保持体検出部52および下流側保持体検出部56を備える。上流側保持体検出部54、中央保持体検出部52および下流側保持体検出部56は、搬送方向DR1において、この順に並べられている。上流側保持体検出部54は、中央保持体検出部52に対し、搬送方向DR1の上流側に設けられている。下流側保持体検出部56は、中央保持体検出部52に対し、搬送方向DR1の下流側に設けられている。
【0030】
保持体20に保持されたいずれかの容器26がホッパ12に対向し、供給装置10からいずれかの容器26に薬剤を供給可能な位置にあるとき、中央保持体検出部52が保持体20を検出する。上流側保持体検出部54は、搬送装置30が保持体20の搬送を開始する搬送開始位置にある保持体20を検出する。下流側保持体検出部56は、搬送装置30が保持体20を停止させ保持体20の搬送を終了する搬送終了位置にある保持体20を検出する。
【0031】
中央保持体検出部52は、発光部52aと受光部52bとを有する透過型光センサである。上流側保持体検出部54は、発光部54aと受光部54bとを有する透過型光センサである。下流側保持体検出部56は、発光部56aと受光部56bとを有する透過型光センサである。発光部52a,54a,56aの各々が発生した光は、それぞれ受光部52b,54b,56bによって受けられる。発光部52aおよび受光部52bは、
図4に示すように、鉛直方向(
図4中の上下方向)において保持体20の側面部の底側に対向する位置に配置される。他の発光部54a,56aおよび受光部54b,56bもまた、鉛直方向において、
図4中に示す発光部52aおよび受光部52bの位置と同一の位置に配置される。
【0032】
発光部52a,54a,56aで発生した光を、対応する受光部52b,54b,56bが受光するということは、各保持体検出部の設けられた位置に保持体20が存在しないことを意味する。いずれかの発光部52a,54a,56aで発生した光を、対応する受光部52b,54b,56bが受光しないということは、光が保持体20によって遮られていることを意味する。つまり、光を受光しない受光部を有する保持体検出部の設けられた位置に、保持体20が存在している。上流側保持体検出部54、中央保持体検出部52および下流側保持体検出部56のいずれかによって保持体20が検出されることにより、搬送方向DR1における保持体20の現在位置が検出される。
【0033】
薬剤充填装置1は、
図3および
図4に示すように、保持体20に設けられた被検出部24を検出する、検出部としての保持体位置検出部42を備える。保持体位置検出部42は、保持体20の上述した帯状部に光を照射し、帯状部で反射する光を検出する、反射型光センサである。帯状部が淡色部と濃色部とを有し、淡色部からの光の反射と濃色部からの光の反射とが異なるので、保持体位置検出部42は現時点で淡色部と濃色部とのいずれに光を照射しているかを検出できる。濃色部から淡色部への境界を形成する濃色部の端部が被検出部24として機能し、保持体位置検出部42は、濃色部での反射光から淡色部での反射光への変化を検出することにより、被検出部24を検出する。
【0034】
保持体位置検出部42により被検出部24が検出されるとき、保持体20は、搬送方向DR1において、その検出された被検出部24に対応する保持部22に保持されるべき容器26に対し供給装置10から薬剤を供給可能である位置の、直上流側に存在する。
【0035】
薬剤充填装置1はまた、保持体20の保持部22に容器26が保持されていることを検出する容器検出部62を備える。容器検出部62は、保持体20の保持部22により保持された容器26に光を
照射し、容器26の外壁面で反射する光を検出する、反射型光センサである。保持部22に容器26が保持されていなければ、容器検出部62は反射光を検出しない。一方、保持部22に容器26が保持されていれば、容器26に照射された光が反射するので、容器検出部62はその反射光を検出することにより、容器26の有無を検出する。容器検出部62は、鉛直方向において、保持体20から上方に突出した容器26の上端部近辺に光を照射できる位置に配置されている。これにより容器検出部62は、保持体20で反射した反射光を検出することによる容器26の誤検出を回避できる。
【0036】
図3に示す上流側保持体検出部54、中央保持体検出部52および下流側保持体検出部56、保持体位置検出部42ならびに容器検出部62は、光センサに限られるものではなく、任意のセンサが適宜選択されてもよい。たとえば、各検出部を磁界の変化を検出可能な磁気センサとし、保持体20および容器26に磁石を取り付け、保持体20および容器26が磁気センサに近接したときの磁界の変化を検出することにより、保持体20および容器26を検出してもよい。
【0037】
図5は、薬剤充填装置1の制御に係る概略構成を示すブロック図である。薬剤充填装置1は、供給装置10と搬送装置30との動作を制御する制御装置80を備える。保持体位置検出部42による被検出部24の検出結果、すなわち、保持体位置検出部42が被検出部24を検出したまたは検出しないことを示す信号は、制御装置80に入力される。上流側保持体検出部54、中央保持体検出部52および下流側保持体検出部56による保持体20の検出結果、すなわち、保持体20が搬送方向DR1においてどの位置にあるかを示す信号は、制御装置80に入力される。容器検出部62による容器26の検出結果、すなわち、保持体20の保持部22に容器26が保持されているまたは保持されていないことを示す信号は、制御装置80に入力される。
【0038】
薬剤充填装置1を操作するユーザは、入力キーまたはタッチパネルなどの入力部82から、搬送装置30による保持体20の搬送方向、容器26に充填される薬剤の数量などの各設定値を、制御装置80に入力する。供給装置10は、薬剤検出部14を有する。薬剤検出部14は、供給装置10から実際に容器26へ供給される薬剤を検出する。薬剤検出部14は、たとえば供給装置10から薬剤が排出される排出口に設けられ、排出口を通過して落下する薬剤を検出する。薬剤検出部14により検出された、供給装置10から容器26へ供給される薬剤の情報は、制御装置80に入力される。
【0039】
供給装置10は、薬剤を供給装置10から排出する動作をするための動力源である供給モータ18を有する。搬送装置30は、プーリ34,36のいずれかまたは両方を回転させベルト32を移動させるための動力源である搬送モータ38を有する。制御装置80は、供給モータ18に対し供給モータ18の回転数を制御するための制御信号を伝達し、搬送モータ38に対し搬送モータ38の回転数を制御するための制御信号を伝達する。
【0040】
薬剤充填装置1を動作させるための制御プログラムは、メモリ84に記録される。入力部82から制御装置80に入力された設定値、および、各検出部から制御装置80に入力された検出結果もまた、メモリ84に記録される。制御装置80は、必要に応じ適宜メモリ84からデータの読み取りを行ない、またはメモリ84へのデータの書き込みを行なう。制御装置80は、制御プログラムおよび各検出部の各検出結果に基づいて、供給装置10の動作を制御し、また搬送装置30の動作を制御する。
【0041】
以上の構成を備える薬剤充填装置1の動作について、以下に説明する。
図6は、供給装置10から容器26へ薬剤を供給する動作を示すフローチャートである。
図6に示すように、まずステップ(S10)において、搬送開始位置で保持体20を検出したか否かが判断される。搬送開始位置には上述した上流側保持体検出部54が設けられており、上流側保持体検出部54の発光部54aで発生した光を受光部54bが受光する間は、搬送開始位置に保持体20は存在しないと判断される。搬送開始位置で保持体20が検出されるまで、ステップ(S10)の判断が繰り返される。
【0042】
上流側保持体検出部54の発光部54aで発生した光を受光部54bが受光しなくなったとき、保持体20により光が遮られ、搬送開始位置に保持体20が置かれたと判断される。搬送開始位置で保持体20が検出されると、ステップ(S20)に進み、制御装置80から搬送モータ38に対し搬送モータ38を駆動する制御信号が送られ、搬送装置30による保持体20の搬送が開始される。次にステップ(S30)において、被検出部24を検出したか否かが判断される。
【0043】
保持体位置検出部42が被検出部24を検出すると、保持体20はその後所定の距離分移動し、その位置で搬送装置30が停止し、保持体20は搬送を停止される(ステップ(S40))。または、保持体位置検出部42が被検出部24を検出してから所定の時間保持体20の移動を継続するように制御されてもよい。制御装置80は、保持体位置検出部42により被検出部24が検出されると、その検出結果に基づいて、搬送装置30による保持体20の搬送を一旦停止する。
【0044】
このとき保持体20は、複数の保持部22のうち搬送方向DR1において最も下流側の保持部22(すなわち、搬送開始位置から最も離れ搬送終了位置に最も近い保持部22であって、
図2に示す三つの保持部22のうち保持部22a)に容器26が保持されていると仮定した場合に、保持部22aに保持された容器26に対し供給装置10から薬剤を供給可能な位置において、停止する。本明細書中では、複数の保持部22のいずれかに保持される容器26に対し供給装置10から薬剤を供給可能であるような保持体20の配置を、供給位置Lと称する。保持体20が供給位置Lで停止しているとき、複数の保持部22のうちのいずれか一つの保持部22によって保持されるべき容器26が、供給装置10から薬剤を供給され得る位置に存在する。
【0045】
保持体20が供給位置Lで停止しているとき、対応する保持部22に容器26が保持されていれば、当該容器26はホッパ12の真下側に配置され、ホッパ12を経由して供給装置10から落下する薬剤を当該容器26が受け、当該容器26に薬剤を供給可能とされている。なお、保持体20が供給位置Lで停止している場合でも、対応する保持部22に容器26が保持されていなければ、供給装置10から落下する薬剤を容器26が受けることができないので、供給装置10から容器26への薬剤の供給は行なわれないことに留意されたい。
【0046】
図7は、保持体20が第1の供給位置L1の直上流側に位置する状態を示す部分断面図である。
図2を参照して説明した本実施の形態の保持体20は、三つの保持部22を有し、それぞれの保持部22に合計三つの容器26を保持可能である。そのため、三つの容器26のそれぞれに対応する供給位置Lがあることになる。保持部22aに保持されるべき容器26に薬剤を供給可能な供給位置Lを第1の供給位置L1とする。保持部22bに保持されるべき容器26に薬剤を供給可能な供給位置Lを第2の供給位置L2とする。保持部22cに保持されるべき容器26に薬剤を供給可能な供給位置Lを第3の供給位置L3とする。
【0047】
図7に示す保持体20は、第1の供給位置L1に対し、搬送方向DR1の直上流側にある。保持体20は、搬送方向DR1において第1の供給位置L1に対して上流側に少し離れた位置にある。
図7に示す供給位置Lの直上流側に位置する保持体20に、保持体20の位置を検出するための検出光74が保持体位置検出部42から照射されると、検出光74は被検出部24に照射される。
【0048】
保持体位置検出部42は、被検出部24に照射された検出光74が反射された反射光を受光することにより、保持体20が
図7に示す第1の供給位置L1の直前に位置していることを検出する。保持体位置検出部42は、被検出部24を検出することにより保持体20の位置を検出し、その検出結果を制御装置80に入力する。制御装置80は、保持体位置検出部42の検出結果を受けて、搬送装置30を制御し、搬送速度を低下させ、保持体20を第1の供給位置L1で停止させる。
【0049】
保持体位置検出部42により被検出部24が検出される保持体20の位置と、供給位置Lと、の搬送方向DR1における距離は、保持体位置検出部42の検出結果を受けて搬送装置30が保持体20を確実に供給位置Lに停止させることができるために十分な距離である。つまり、保持体位置検出部42が被検出部24を検出してから保持体20が供給位置Lに到達するまでに、保持体20を十分に減速させて確実に保持体20を供給位置Lに停止させることができる程度の距離が確保される必要がある。
【0050】
次にステップ(S50)において、容器26を検出したか否かが判断される。ステップ(S40)の搬送停止により、保持体20は第1の供給位置L1に停止している。このとき、対応する保持部22aに容器26が保持されているかどうかを、容器検出部62の検出結果に基づいて判断する。容器検出部62が容器26を検出すると、ホッパ12に対向する位置に容器26が存在しているので、続いてステップ(S60)に進み、供給装置10から保持部22aに保持された容器26への薬剤の供給が行なわれる。ステップ(S60)では、
図5に示す制御装置80から供給モータ18に対し制御信号が送られ、供給モータ18が駆動し、供給装置10から所定の種類および数量の薬剤が排出される。所定の数量の薬剤が供給装置10から排出されたことを薬剤検出部14(
図5参照)が検出すると、供給モータ18が停止し、薬剤の供給が停止する。
【0051】
その後ステップ(S70)に進み、搬送装置30による保持体20の搬送が再開される。なお、ステップ(S50)の判断において、容器検出部62が容器26を検出しなければ、保持部22aに容器26が保持されていないためステップ(S60)の薬剤の供給は行なわれず、そのままステップ(S70)に進み、保持体20の搬送が再開される。
【0052】
図8は、保持体20が第1の供給位置L1に位置する状態を示す部分断面図である。保持体20が第1の供給位置L1にあるとき、保持部22aに保持されるべき容器26が保持部22から上方に突出する位置に、容器検出部62の検出光76が照射される。この場合、保持部22aには容器26が保持されていないので、容器検出部62の検出光76が容器26の外表面で反射されず、容器検出部62が反射光を検出することもない。これにより、容器検出部62は、保持部22aに容器26が保持されていないことを検出し、その検出結果を制御装置80に入力する。
【0053】
制御装置80は、容器検出部62の検出結果を受けて、第1の供給位置L1では薬剤の供給を実施しないように供給装置10を制御する。その結果、保持体20が第1の供給位置L1にあるとき、供給装置10から薬剤が排出されることはない。したがって、
図6のフローチャートにおいて、ステップ(S50)ではNOの判断が行なわれ、ステップ(S60)がスキップされてステップ(S50)から直接ステップ(S70)に進み、保持体20の搬送が再開される。
【0054】
保持体20の搬送再開後、次にステップ(S80)において、搬送終了位置で保持体20を検出したか否かが判断される。搬送終了位置には上述した下流側保持体検出部56が設けられており、下流側保持体検出部56の発光部56aで発生した光を受光部56bが受光する間は、搬送終了位置に保持体20は存在しないと判断される。搬送終了位置に保持体20が到達していなければ、ステップ(S30)に戻り、被検出部24を検出したか否かの判断が再度行なわれる。次なる二番目の被検出部24を保持体位置検出部42が検出すると、ステップ(S40)において保持体20は搬送を停止される。
【0055】
このとき保持体20は、供給位置Lのうち、第2の供給位置L2において停止する。つまり保持体20は、複数の保持部22のうち搬送方向DR1において下流側から二番目の保持部22(すなわち、
図2に示す三つの保持部22のうち保持部22b)に容器26が保持されていると仮定した場合に、保持部22bに保持された容器26に対し供給装置10から薬剤を供給可能な位置において、停止する。
【0056】
図9は、保持体20が第2の供給位置L2の直上流側に位置する状態を示す部分断面図である。
図9に示す保持体20は、第2の供給位置L2に対し、搬送方向DR1の直上流側にある。保持体20は、搬送方向DR1において第2の供給位置L2に対して上流側に少し離れた位置にある。
図9に示す位置にある保持体20に、保持体20の位置を検出するための検出光74が保持体位置検出部42から照射されると、検出光74は二番目の被検出部24に照射される。
【0057】
保持体位置検出部42は、二番目の被検出部24に照射された検出光74が反射された反射光を受光することにより、保持体20が
図9に示す第2の供給位置L2の直前に位置していることを検出する。これにより、保持体位置検出部42は、保持体20の位置を検出し、その検出結果を制御装置80に入力する。制御装置80は、保持体位置検出部42の検出結果を受けて、搬送装置30を制御し、搬送速度を低下させ、保持体20を第2の供給位置L2で停止させる。
【0058】
続いてステップ(S50)の容器26の検出が行なわれ、保持部22bに容器26が保持されていれば、ステップ(S60)の保持部22bに保持された容器26への薬剤の供給が行なわれる。薬剤の供給が完了すると、保持体20の搬送が再開される(ステップ(S70))。
【0059】
図10は、保持体20が第2の供給位置L2に位置する状態を示す部分断面図である。保持体20が第2の供給位置L2にあるとき、保持部22bに保持されるべき容器26が保持部22から上方に突出する位置に、容器検出部62の検出光76が照射される。この場合、保持部22bには容器26が保持されていないので、容器検出部62の検出光76が容器26の外表面で反射されず、容器検出部62が反射光を検出することもない。これにより、容器検出部62は、保持部22bに容器26が保持されていないことを検出し、その検出結果を制御装置80に入力する。
【0060】
制御装置80は、容器検出部62の検出結果を受けて、第2の供給位置L2では薬剤の供給を実施しないように供給装置10を制御する。その結果、保持体20が第2の供給位置L2にあるとき、供給装置10から薬剤が排出されることはない。したがって、
図6のフローチャートにおいて、ステップ(S50)ではNOの判断が行なわれ、ステップ(S60)がスキップされてステップ(S50)から直接ステップ(S70)に進み、保持体20の搬送が再開される。
【0061】
続いてステップ(S80)の、搬送終了位置で保持体20を検出したかの判断が再度行なわれる。このとき保持体20は未だ搬送終了位置に到達していないので、ステップ(S30)に戻り、上述した各工程に従って、三番目の保持部22(
図2に示す保持部22c)に容器26が保持されていれば、保持部22cに保持された容器26への薬剤の供給が行なわれる。
【0062】
図11は、保持体20が第3の供給位置L3の直上流側に位置する状態を示す部分断面図である。
図11に示す保持体20は、第3の供給位置L3に対し、搬送方向DR1の直上流側にある。保持体20は、搬送方向DR1において第3の供給位置L3に対して上流側に少し離れた位置にある。
図11に示す位置にある保持体20に、保持体20の位置を検出するための検出光74が保持体位置検出部42から照射されると、検出光74は三番目の被検出部24に照射される。
【0063】
保持体位置検出部42は、三番目の被検出部24に照射された検出光74が反射された反射光を受光することにより、保持体20が
図11に示す第3の供給位置L3の直前に位置していることを検出する。これにより、保持体位置検出部42は、保持体20の位置を検出し、その検出結果を制御装置80に入力する。制御装置80は、保持体位置検出部42の検出結果を受けて、搬送装置30を制御し、搬送速度を低下させ、保持体20を第3の供給位置L3で停止させる。
【0064】
図12は、保持体20が第3の供給位置L3に位置する状態を示す部分断面図である。保持体20が第3の供給位置L3にあるとき、保持部22cに保持された容器26が保持部22から上方に突出する位置に、容器検出部62の検出光76が照射される。この場合、保持部22cに容器26が保持されているため、容器検出部62の検出光76が容器26の外表面で反射され、容器検出部62が反射光を検出する。これにより、容器検出部62は、保持部22cに容器26が保持されていることを検出し、その検出結果を制御装置80に入力する。したがって、
図6のフローチャートにおいて、ステップ(S50)ではYESの判断が行なわれ、ステップ(S50)からステップ(S60)に進み、容器26への薬剤の供給が実施される。
【0065】
制御装置80は、容器検出部62の検出結果を受けて、第3の供給位置L3では薬剤の供給を実施するように供給装置10を制御する。その結果、保持体20が第3の供給位置L3にあるとき、制御装置80から供給モータ18に対し供給モータ18を駆動する制御信号が送られ、供給装置10から薬剤Mが排出される。薬剤Mは、供給装置10に形成された排出口16を経由して供給装置10から排出され、供給装置10から落下した薬剤Mはホッパ12で受けられる。薬剤Mは、ホッパ12を通過してさらに落下し、容器26に形成された上部開口28を経由して、保持部22cに保持された容器26内に供給される。このようにして、所定の種類および数量の薬剤Mが保持部22cに保持された容器26に充填される。容器26への薬剤の供給が完了すると、ステップ(S70)に進み、保持体20の搬送が再開される。
【0066】
その後の搬送再開直後の三度目のステップ(S80)での判断では、搬送終了位置に保持体20が到達しておらず、そのため再びステップ(S30)に戻り、被検出部24を検出したかの判断が行なわれる。このとき、保持体20が三つの保持部22を有し、三つの保持部22に対応する三つの供給位置Lでの保持体20の搬送停止は既に完了したため、この後被検出部24が検出されることはない。そのため、ステップ(S30)から直接ステップ(S80)に進み、再びステップ(S80)での判断が行なわれる。
【0067】
搬送終了位置には上述した下流側保持体検出部56が設けられており、下流側保持体検出部56の発光部56aで発生した光を受光部56bが受光する間は、搬送終了位置に保持体20は存在しないと判断される。保持体20が搬送終了位置に到達し、搬送終了位置で保持体20が検出されるまで、保持体20の搬送が続行される。保持体20が搬送終了位置に到達し、下流側保持体検出部56が保持体20を検出すると、ステップ(S90)に進み、保持体20の搬送が終了する。このようにして、供給装置10から容器26へ薬剤を供給する薬剤充填装置1の動作が完了する。
【0068】
以上説明した本実施の形態の薬剤充填装置1によれば、保持体20は複数の保持部22を有し、各々の保持部22に容器26を保持可能に設けられており、搬送装置30は、複数の容器26を保持可能な保持部22を搬送する。このようにすれば、保持体20によって保持された一つまたは複数の容器26の各々に適切な種類の薬剤を適切な数量だけ充填することにより、薬剤の種類および/または数量において最適なまとまりを一単位として管理することができる。
【0069】
たとえば、一つの保持体20に保持された複数の容器26にそれぞれ別種類の薬剤を充填して、一人の患者に投与される複数種類の薬剤を一つの保持体20にまとめることができる。このようにすれば、患者に薬剤を手渡す前の処方箋と薬剤との照合が容易になる。またたとえば、薬局または病院に現時点で不足している薬剤を補充する場合に、薬局または病院毎に一つまたは複数の保持体20を割り当てて、不足薬剤の種類および数量の照合を容易に行なうことができる。病院を一単位とするほか、病棟毎または病室毎に保持体20を割り当てて薬剤の供給を適切に管理してもよいことは勿論である。
【0070】
保持体20は搬送装置30によって搬送され、供給位置Lにおいて保持体20は停止する。制御装置80は、保持体位置検出部42が被検出部24を検出する検出結果に従って、保持体20を供給位置Lで停止させるように、搬送装置30を制御する。したがって、供給装置10から容器26に薬剤を供給可能な位置において確実に保持体20を停止させ、複数の容器26に自動で順次薬剤を供給することができる。薬剤を充填可能な容器26を保持した保持体20が搬送装置30によって搬送され、供給装置10から自動で容器26に薬剤を供給することができるので、薬剤を容器26に充填する際の作業者の手間を大幅に削減することができる。
【0071】
保持体20には、複数の保持部22に対応する複数の被検出部24が設けられ、被検出部24は保持部22に対し搬送方向DR1の下流側に設けられる。保持体位置検出部42が被検出部24を検出することで、保持体20が供給位置Lの直上流側にあることが確実に検出される。供給位置Lの直上流側にある保持体20の被検出部24が検出された後、所定の距離分進んだ位置で保持体20を停止させることにより、保持体20の停止位置が供給位置Lに設定される。したがって、保持体20が供給位置Lの直上流側の所定の位置に到達するたびに、保持体20を複数の供給位置Lの各々に確実に一旦停止させて、供給装置10から容器26に薬剤を供給することができる。
【0072】
容器検出部62は、保持部22に容器26が保持されていることを検出する。保持体20が供給位置Lに停止しているときの容器検出部62の検出結果に基づき、対象の保持部22に容器26が保持されていることが検出されると、当該容器26に薬剤が供給される。容器検出部62が容器26を検出しないときは、供給装置10から薬剤を供給しない。これにより、供給装置10から供給される薬剤を受けることのできる容器26が存在しないときに薬剤が供給装置10から排出されることを、確実に防止することができる。
【0073】
図13は、保持体20の位置と搬送速度との関係を示すグラフである。
図13に示すグラフの横軸は、搬送装置30により搬送される保持体20の搬送方向DR1における位置を示し、縦軸は、保持体20を搬送する搬送装置30の搬送速度を示す。上述した通り、薬剤充填装置1には、供給位置Lよりも搬送方向DR1の上流側の搬送開始位置において、保持体20を検出する上流側保持体検出部54が設けられる。制御装置80は、上流側保持体検出部54が保持体20を検出すると、搬送装置30による保持体20の搬送を開始する。
【0074】
搬送開始後、制御装置80は、搬送装置30による保持体20の搬送速度を第一搬送速度V1とする。上流側保持体検出部54が保持体を検出している間、搬送装置30の搬送速度は第一搬送速度V1に保たれる。上流側保持体検出部54が保持体20を検出しなくなると、制御装置80は、搬送装置30の搬送速度を第一搬送速度V1よりも低速の第二搬送速度V2へ下げる。
【0075】
このようにすれば、保持体20の搬送開始後供給位置Lに到達するまでの所定の距離において、相対的に搬送速度の高い第一搬送速度V1で保持体20が搬送される。そのため、搬送開始位置から供給位置Lまでの保持体20の搬送に要する時間を短縮できる。供給位置Lに保持体20が接近すると、搬送速度を第二搬送速度V2にまで小さくして保持体20を搬送するよう制御される。薬剤充填装置1には、保持体20が供給位置Lにあるとき保持体20を検出可能な中央保持体検出部52が設けられ、制御装置80は、中央保持体検出部52が保持体20を検出している間、保持体20を搬送するときの搬送速度の設定値を第二搬送速度V2に保つ。これにより、被検出部24が検出されたときに保持体20を確実に供給位置Lで停止させることがより容易に可能となる。
【0076】
図13に示すように、被検出部24が検出されると、保持体20の搬送が停止する。本実施の形態の保持体20は三つの保持部22を有し、保持部22に対応して三つの被検出部24を有する。そのため保持体20は、第1の供給位置L1、第2の供給位置L2、および第3の供給位置L3の三箇所において一旦停止する。保持体20を供給位置Lで停止するための減速前の搬送速度の設定値は第二搬送速度V2であり、供給位置Lから搬送を再開した後の加速後の搬送速度の設定値は同じく第二搬送速度V2である。
【0077】
制御装置80は、中央保持体検出部52が保持体20を検出しなくなると、搬送装置30の搬送速度を第二搬送速度V2よりも大きい第三搬送速度V3とする。供給位置Lでの容器26への薬剤の供給が完了した後の、供給位置Lから搬送終了位置まで移動する間、相対的に搬送速度の高い第三搬送速度V3で保持体20が搬送される。これにより、供給位置Lから搬送終了位置までの保持体20の搬送に要する時間を短縮できる。なお、第三搬送速度V3は、
図13に示すように第一搬送速度V1と異なる速度であってもよく、または第一搬送速度V1と同一の速度であってもよい。
【0078】
薬剤充填装置1には、供給位置Lよりも搬送方向DR1の下流側の搬送終了位置において、保持体20を検出する下流側保持体検出部56が設けられる。制御装置80は、下流側保持体検出部56が保持体20を検出すると、搬送装置30による保持体20の搬送を終了し、保持体20を停止する。制御装置80はさらに、下流側保持体検出部56が保持体20を検出している間は、搬送装置30による保持体20の搬送を禁止する。保持体20が搬送終了位置にあるときに搬送装置30が不用意に保持体20の搬送を開始すると、保持体20が搬送装置30から落下する可能性がある。保持体20が搬送終了位置にあるときの搬送再開を禁止することにより、保持体20の搬送装置30からの落下を確実に防止することができる。
【0079】
なお、これまでの説明においては、保持体20に三つの保持部22が設けられ、保持体20は最大で三個の容器26を同時に保持可能であったが、この構成に限られるものではない。保持体20は、より多数の保持部22を有し、保持部22の数量増加に従ってより多数の容器26を同時に保持できてもよい。異なる数量の保持部22を有する複数種類の保持体20を準備し、薬剤充填装置1を操作するユーザが保持体20を適宜選択可能としてもよい。
【0080】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。