(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043947
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】流量計測装置
(51)【国際特許分類】
G01F 3/22 20060101AFI20161206BHJP
【FI】
G01F3/22 Z
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-93624(P2012-93624)
(22)【出願日】2012年4月17日
(65)【公開番号】特開2013-221852(P2013-221852A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2015年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100170494
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩夫
(72)【発明者】
【氏名】横畑 光男
(72)【発明者】
【氏名】名和 基之
【審査官】
山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−200798(JP,A)
【文献】
特開2003−149027(JP,A)
【文献】
特開2011−095200(JP,A)
【文献】
特開2006−200801(JP,A)
【文献】
特開2006−200802(JP,A)
【文献】
特開2010−139282(JP,A)
【文献】
特開2010−014529(JP,A)
【文献】
特開2011−064521(JP,A)
【文献】
特開2009−244208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 3/22
G01F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の器具が接続された流量計測装置において、
流量計測部と、
時間計測部と、を有し、
前記時間計測部の計時に対応して前記流量計測部で得られた、時間的に連続する第1の所定流量値と第2の所定流量値とが検出され、前記第2の所定流量値の検出が、前記第1の所定流量値の検出開始時点より所定時間以内で検出された場合に、前記複数の器具から特定器具を判別する流量計測装置。
【請求項2】
前記第1の所定流量値が前記特定器具の種火流量であり、前記第2の所定流量値が前記特定器具の主バーナーの点火流量であることを特徴とする請求項1に記載の流量計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス流量から使用ガス器具を判別する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ガス機器固有の流量値より器具を特定する技術は世の中で知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−200802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来ものでは、異なるガス器具で、同じ流量値のものが存在する場合には、識別することが困難であった。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、特定のガス器具における固有の流量変化特性に基づき、該当器具を確実に特定するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の流量計測装置は連続する安定流量値を取得して器具を特定するものである。
【0007】
これによって、確実に特定のガス器具判別を行えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の流量計測装置は、連続する安定流量値を取得して器具を特定することにより、該当器具の確実な判別を行うことができる。とりわけ、種火着火のような器具の判別を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】本発明の実施の形態1におけるフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の発明は、複数の器具が接続された流量計測装置において、流量計測部と、時間計測部と、を有し、前記時間計測部の計時に対応して前記流量計測部で得られた、時間的に連続する第1の所定流量値と第2の所定流量値との検出により、前記複数の器具から特定器具を判別することにより、種火着火の器具を確実に判別することができる。
【0011】
第2の発明は、前記第2の所定流量値の検出が、前記第1の所定流量値の検出開始時点より所定時間以内で検出された場合に、前記複数の器具から特定器具を判別することにより、種火着火の器具をさらに確実に判別することができる。
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0013】
(実施の形態1)
実施の形態1について、
図1〜
図3を用いて説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態1における構成図を示すものである。図に示すように、流量計測装置1は、流量計測部2、時間計測部3を有している。また、流量計測部2、及び時間計測部3からの計測情報を記憶する計測情報記憶部4を有している。また、登録情報記憶部5と、計測情報記憶部4からの情報により器具判別を行う器具判別部6を有している。
【0015】
流量計測装置1はその下流側に器具A7、器具B8,器具C9が接続されている。
【0016】
図2は、本発明の実施の形態1におけるフローチャートを示すものである。
【0017】
処理S1は流量計測処理、処理S2は計測された流量が第1の所定流量かどうかの判断処理、処理S3は第1の所定流量が計測された時の時間t1の記憶処理、処理S4は流量計測処理、処理S5は処理S4で計測された流量が所定以上の変化流量かどうかの判断処理、処理S6は計測された流量が第2の所定流量かどうかの判断処理、処理S7は第2の所定流量が計測された時の時間t2の記憶処理、処理S8は器具特定処理である。
【0018】
以上のように構成された流量計測装置1について、以下、その動作、作用を説明する。
【0019】
まず、
図1において、計測系全体の説明を行う。
【0020】
ガス等の被計測流体は、矢印Aの方向から流量計測装置1の流量計測部2に流入する。その後、器具A7、器具B8、器具C9等に流れ込む。流量計測部2では、時間計測部3から発せられる時間タイミングで流量計測が行われる。また、そのときの経過時間も流量計測部2に蓄えられる。
【0021】
計測情報記憶部4では、流量計測部2からの流量情報と時間情報が記憶される。この情報は予め登録情報記憶部5に記憶されている情報に照らし合わせ、器具判別部6にて、器具の特定が行われる。
【0022】
従来、一般的に知られている器具の判別方法としては、器具固有の一定流量(例えば、ストーブでの強、中、弱)の値を用いて器具の特定が行われる。
【0023】
ところが、器具によっては、種火を着火してから主バーナに着火するタイプの機器がある(例えば、欧州で使われている暖炉等)。
【0024】
図3はこのような器具の流量特性を示したものである。
【0025】
この図の場合、まず、時間t1で種火が着火され、第1の所定流量Q1(種火流量)が流れる。その後、時間t2で主バーナに着火が行われ、第1の所定流量Q1に比べ大きな第2の所定流量Q2が流れる。つまり、第1の所定流量Q1に引続き連続して第2の所定流量Q2が流れるという、固有の流量パターンが生じることになる。これは、この種の器具特有のものであり、この特性を利用することに器具特定が可能となる。
【0026】
ここで、
図1に示す器具A7がこの種のタイプの器具であり、器具B8、器具C9が一般的に固有流量をひとつしか持たないタイプの器具であるとして、
図2のフローチャートを用いて、器具A7の特定過程を説明する。
【0027】
まず、判別動作が開始されると、流量計測部2での計測(処理S1)が行われる。次に、取得された流量が第1の所定流量Q1かどうかを判断(処理S2)し、第1の所定流量Q1でない場合は、再び流量計測部2での計測(処理S1)が実行される。
【0028】
そして、取得された流量が第1の所定流量Q1に該当する場合は、そのときの時間t1が記憶される(処理S3)。ここでの記憶は、新たに処理S2での判定がYesの側になる都度、更新されるものとする。
【0029】
次に、再び流量計測部2での計測(処理S4)が実行され、流量変化の有無を判断(処理S5)し、所定以上の流量変化がなければ処理S4による流量計測を繰り返して、次の流量変化があるまで流量計測が引続き行われる。
【0030】
そして、流量変化があった場合に、取得された流量が第2の所定流量Q2かどうかを判断(処理S6)し、第2の所定流量Q2でない場合は、再び流量計測部2での計測(処理S1)が実行される。
【0031】
また、取得された流量が第2の所定流量Q2に該当する場合は、そのときの時間t2が記憶(処理6)される。ここでの時間t2の記憶も、新たに処理S6での判定がYesの側になる都度、更新されるものとする。
【0032】
このようにして、第1の所定流量Q1が取得され、連続して第2の所定流量Q2が取得された場合は、器具A7の運転が行われていることを特定(処理S7)する。
【0033】
しかしながら、たまたまガス漏れの流量がQ1であり、器具B8の流量が(Q2―Q1)であった場合は、間違った検出をすることになる。
【0034】
そのような場合を想定すると、記憶された時間t1とt2より、第1の所定流量Q1の時間(t2−t1)を算出して、この値が所定時間以内がどうかを判定に加えることにより、判定精度を上げることができる。
【0035】
すなわち、通常この種の器具を使用する場合は、種火に着火してからすぐに主バーナに点火するのが一般的なため、種火着火から主バーナ点火までの想定される最大時間を所定時間とすることにより、この種の器具以外の状況との区別を図ることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上のように、本発明にかかる流量計測装置は、連続する安定流量値を取得して器具を確実に特定することができるため、本特性を有する器具の判別技術として、幅広い応用が可能となるものである。
【符号の説明】
【0037】
1 流量計測装置
2 流量計測部
3 時間計測部
7 器具A
8 器具B
9 器具C