(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6043960
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/30 20060101AFI20161206BHJP
A47L 9/02 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
A47L9/30
A47L9/02 Z
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-93454(P2013-93454)
(22)【出願日】2013年4月26日
(65)【公開番号】特開2014-213029(P2014-213029A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2015年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100170494
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩夫
(72)【発明者】
【氏名】藤原 保史
(72)【発明者】
【氏名】羽田野 剛
(72)【発明者】
【氏名】藤田 孝一
(72)【発明者】
【氏名】金 ミンス
【審査官】
山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−339585(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0217431(US,A1)
【文献】
特開平07−255650(JP,A)
【文献】
特開2008−161472(JP,A)
【文献】
特開2012−009712(JP,A)
【文献】
特開平06−311951(JP,A)
【文献】
特開2003−290095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/30
A47L 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵埃を吸引する開口部を有する吸込具本体と、前記吸込具本体に着脱自在な分離吸込具とを備え、前記分離吸込具には、前記分離吸込具を前記吸込具本体に装着した状態で前記吸込具本体に覆われる位置に、前記分離吸込具の前方に向かって光を照射する照明手段を配設したことを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
分離吸込具の吸込具本体との接続部端面に凹部を設け、前記凹部に臨ませて照明手段を配設した請求項1記載の電気掃除機。
【請求項3】
吸込具本体に、分離吸込具の凹部に嵌まり込み、照明手段の外面を覆う凸部を形成した請求項2記載の電気掃除機。
【請求項4】
分離吸込具の吸気口に臨ませて発光源とレンズからなる照明手段を設け、前記レンズの前記吸気口に臨む面を、前記吸気口の周縁と略同一面もしくは吸気口側に突出するように配設した請求項1記載の電気掃除機。
【請求項5】
レンズとレンズ周縁との間からの塵埃の侵入を防止する塵埃侵入防止手段を設けた請求項4記載の電気掃除機。
【請求項6】
照明手段の発光源を実装するプリント基板を、略密閉されたプリント基板収納部に配設した請求項1記載の電気掃除機。
【請求項7】
分離吸込具の照明手段下方位置に緩衝材を配設した請求項1〜6記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸込具本体から着脱自在な分離吸込具を有した吸込具において、分離吸込具に照明手段を設けた電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、家具の隙間やベッドの下等の暗い場所を掃除する際に、床用吸込具の前方に光を照射する照明手段を延長管と床用吸込具との間に接続した電気掃除機が提案された(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−161472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、延長管の先端に照明手段を有する補助清掃体を接続しているため、照明手段は、延長管の延長方向しか照明することができず、家具の隙間やベッドの下等を掃除する際に、延長管を回転させた状態では、床用吸込具の操作方向を照明することができない問題を有していた。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、家具の隙間等の暗い場所を使い勝手良く掃除することができる電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、塵埃を吸引する開口部を有する吸込具本体と、前記吸込具本体に着脱自在な分離吸込具とを備え、前記分離吸込具には、前記分離吸込具を前記吸込具本体に装着した状態で前記吸込具本体に覆われる位置に、前記分離吸込具の前方に向かって光を照射する照明手段を配設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電気掃除機は、家具の隙間等の暗い場所に光を照射しながら掃除を行うことができ、使い勝手を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1の実施の形態における電気掃除機の外観斜視図
【
図2】同電気掃除機の床用吸込具の分離吸込具を分離した状態の外観斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1の発明は、塵埃を吸引する開口部を有する吸込具本体と、前記吸込具本体に着脱自在な分離吸込具とを備え、前記分離吸込具には、前記分離吸込具を前記吸込具本体に装着した状態で前記吸込具本体に覆われる位置に、前記分離吸込具の前方に向かって光を照射する照明手段を配設したことにより、分離吸込具によって隙間等の暗い場所に光を照射しながら掃除を行うことができる。分離吸込具の前方に向かって光を照射するので、延長管
の角度に係りなく、掃除方向を照明することができる。分離吸込具を吸込具本体に装着した状態で、照明手段が吸込具本体によって覆われるので、吸込具本体による掃除中に照明手段が障害物に当接することがなく、照明手段の損傷を抑制することができる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、分離吸込具の吸込具本体との接続部端面に凹部を設け、前記凹部に臨ませて照明手段を配設したことにより、分離吸込具による掃除中に照明手段の外面が傷付くのを防止することができると共に、照明手段への衝撃を低減することができ、照明手段の信頼性を向上することができる。
【0011】
第3の発明は、第2の発明において、分離吸込具の凹部に嵌まり込み、照明手段の外面を覆う凸部を吸込具本体に形成したことにより、凸部により照明手段の外面が傷付くのを防止することができる。
【0012】
第4の発明は、第1の発明において、分離吸込具の吸気口に臨ませて発光源とレンズからなる照明手段を設け、前記レンズの前記吸気口に臨む面を、前記吸気口周縁と略同一面もしくは前記吸気口側に突出するように配設したことにより、レンズの外面とレンズの周縁に細塵が溜まるのを防止できると共に、レンズ外面が汚れた場合には、容易に掃除することができる。また、掃除の際の吸引気流により、レンズ外面を掃除することができる。
【0013】
第5の発明は、第4の発明において、レンズとレンズ周縁との間からの塵埃の侵入を防止する塵埃侵入防止手段を設けたことにより、光源側への塵埃の侵入を防止することができ、照明手段の輝度が低下するのを抑制することができる。
【0014】
第6の手段は、第1の発明において、照明手段の発光源を実装するプリント基板を、略密閉されたプリント基板収納部に配設したことにより、照明手段への塵埃侵入を防止することができると共に、静電気による誤動作を低減することができる。
【0015】
第7の手段は、第1〜第6の発明において、分離吸込具の照明手段下方位置に緩衝材を配設したことにより、分離吸込具によって掃除を行う際の照明手段への衝撃を低減することができ、照明手段の信頼性を向上することができる。
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施例の形態における電気掃除機1の外観斜視図、
図2は、本発明の第1の実施例の形態における床用吸込具3の分離吸込具9を分離した状態を示す外観斜視図である。
【0018】
図1において、床移動型の電気掃除機1は、掃除機本体2と、掃除機本体2にホース継ぎ手7が接続されるホース6と、ホース6の手元ハンドル5に接続される延長管4と、延長管4に接続される床用吸込具3とから構成されている。
【0019】
床用吸込具3は、吸込具本体10と、吸込具本体10の略中央後方部に着脱自在に装着される分離吸込具9から構成され、分離吸込具9には接続管8が上下及び左右方向に回動自在に支持されており、接続管8が延長管4に着脱自在に接続される。分離吸込具9は、分離吸込具着脱手段11を足などで踏み込むことにより吸込具本体10から離脱でき、分離吸込具9を吸込具本体10の装着部に合わせた状態で押し込むことにより装着可能となっている。吸込具本体10の分離吸込具9装着部には、分離吸込具9を装着した状態で、下面吸気口13に嵌まり込む凸部19が形成されている。
【0020】
図3は、本発明の第1の実施例の形態における分離吸込具9の外観斜視図、
図4は、本発明の第1の実施例の形態における床用吸込具3の断面図である。
【0021】
図2〜4において、分離吸込具9には、前方開口の先端吸気口12と下方開口の下面吸気口13が設けられ、先端吸気口12と下面吸気口13が連続して前方から下方にわたって開口している。分離吸込具9は吸込具本体10に装着した状態では、下面吸気口13が凸部19により閉塞された状態となっている。
【0022】
吸込具本体10には、下面前方に左右方向に開口された開口部14が設けられ、吸込具本体10内には、開口部14に連通して吸気室16が形成されている。吸気室16には、開口部14に臨ませて回転ブラシ15が配設され、回転ブラシ15は駆動源であるモーター(図示せず)により回転駆動される。吸気室16の略中央部には、吸気口17が設けられており、吸気口17は、吸込具本体10に装着された状態の分離吸込具9の先端吸気口12に連通している。
【0023】
分離吸込具9には、下面吸気口13に臨ませて、分離吸込具9の前方に向かって光を照射する照明手段が配設されている。
【0024】
図5及び
図6に示すように、吸気通路を形成する内管23と下カバー24との間にプリント基板21が挟持されている。プリント基板21は、内管23と下カバー24に形成した遮壁25にて構成されるプリント基板収納部に略密閉的に隔離されている。下カバー24の外郭底面には、起毛布27が配設されている。
【0025】
プリント基板21には照明手段が配設されている。プリント基板21上にLED22が実装され、LED22の先端には、レンズ18が被せられており、レンズ18は下面吸気口13に臨ませて下面吸気口13周縁20と略同一面もしくは下面吸気口13周縁20より下面吸気口13側へ少許突出するように形成されている。LED22には、LED22外周を覆うようにウレタンフォームで形成された塵埃侵入防止体26が圧入されており、塵埃侵入防止体26の前端をレンズ18の端面とレンズ18周縁の分離吸込具9に密接させ、レンズ18とレンズ18周縁との間から塵埃が侵入するのを防止している。
【0026】
以上のように構成された電気掃除機について、以下その動作、作用を説明する。
【0027】
掃除機本体2に、ホース6及び延長管4を介して床用吸込具3を接続し、掃除機本体2の電動送風機及び床用吸込具3のモーターを駆動して、被掃除面の塵埃を掻き上げながら吸引し、掃除を行う。
【0028】
家具間の隙間等の狭い場所を掃除する際には、分離吸込具着脱手段11を足などで踏みながら延長管4を持ち上げることにより、分離吸込具9を吸込具本体10から分離して掃除を行う。家具間の隙間等の狭く暗い場所を掃除する際には、分離吸込具9を吸込具本体10から分離した状態で、照明手段のLED22を点灯させ、被掃除面を照らしながら掃除を行う。
【0029】
分離吸込具9の前方位置を照らす照明手段を配設することにより、延長管4の角度に係りなく、被掃除面の掃除する方向を常時安定的に照明することができる。
【0030】
分離吸込具9の下面吸気口13に臨ませて照明手段を配設しているので、照明手段のレンズ18に被掃除面等が接触することがなく、掃除中にレンズ18の外面が傷付くのを防止すると共に、照明手段への衝撃低減ができ、照明手段の信頼性を向上できる。
【0031】
吸込具本体10に分離吸込具9を装着した状態では、吸込具本体10の分離吸込具9装着部に形成した凸部19が下面吸気口13に嵌まり込む。この状態では、凸部19の上面が分離吸込具9内の吸気通路の下面と略同等の高さとなると共に、分離吸込具9の下面吸気口13周縁20が凸部19に近接して対向する。
【0032】
吸込具本体10に分離吸込具9を装着した状態では、照明手段のレンズ18が凸部19により覆われるので、吸込具本体10によって掃除をする際に、吸引したゴミ等によりレンズ18の外面が傷つくのを防止することができる。また、凸部19の上面が分離吸込具9内の吸気通路の下面と略同等の高さとなると共に、分離吸込具9の下面吸気口13周縁20が凸部19に近接して対向するので、吸気通路内部の段差及び分離吸込具9の吸気通路と凸部19との間の隙間を少なくすることができ、吸込気流をスムーズに通過させて乱流の発生を抑制することができ、騒音の低減と集塵性を向上できる。
【0033】
レンズ18の外面を下面吸気口13周縁20と略同一面もしくは下面吸気口13周縁20より下面吸気口13側へ少許突出するように形成することにより、レンズ18の外面及びレンズ18の外面と下面吸気口13周縁20との間に細塵が溜まるのを防止できると共に、表面に細塵が付着した場合には、使用者が容易に掃除することができる。また、分離吸込具9により掃除中を行う際の吸込気流により、レンズ18の外面を付着する塵埃等を掃除することができる。
【0034】
また、プリント基板21を遮壁25にて略密閉されたプリント基板収納部に配設することにより、照明手段内部への塵埃侵入を防止することができる共に、静電気による誤動作を低減できる。
【0035】
LED22の外周を覆うように塵埃侵入防止体26の一端側を圧入し、塵埃侵入防止体26の他端側をレンズ18とレンズ18周縁の分離吸込具9に密接させているので、レンズ18とレンズ18周縁との間からLED22側に塵埃が侵入するのを防止することができ、照明手段の輝度が低下するのを防止することができる。
【0036】
照明手段の下方に位置する下カバー24の外郭底面に、緩衝材として起毛布27を配設しているので、分離吸込具9により掃除を行う際の照明手段への衝撃を低減することができ、照明手段の信頼性を向上できる。
【0037】
分離吸込具9を吸込具本体10から容易に分離することができ、分離した状態で分離吸込具9によって照明手段により狭く暗い場所を照らしながら掃除することができ、使用勝手よく掃除することができる。
【0038】
本実施の形態では、照明手段を下面吸気口13に臨ませて形成したが、分離吸込具9の前方に向かって光を照射でき、分離吸込具9を吸込具本体10に装着した状態で照明手段が吸込具本体10により覆われる位置であれば他の位置でもよく、例えば、分離吸込具9の先端位置に設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上のように、本発明にかかる電気掃除機は、隙間等の暗い場所を照らしながら使い勝手よく掃除することができるので、家庭用だけでなく業務用の電気掃除機等の用途にも適用出来る。
【符号の説明】
【0040】
9 分離吸込具
10 吸込具本体
18 レンズ
22 LED