(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1の実施形態)
以下、図面に基づき本発明の第1の実施形態を詳述する。
図1は第1の実施形態における太陽光発電システム100を示す構成図である。
【0018】
太陽光発電システム100は、太陽電池1、系統連系装置2、及び蓄電システム3により構成されている。
【0019】
太陽電池1は、日射量に応じて発電量が変化する。また、太陽電池1は、複数の単セルの太陽電池を有し、複数の単セルの太陽電池を直列接続及び/又は並列接続することにより構成されている。例えば、定格電圧が250V、300V、出力2.4Kw、出力4.8Kwなどである。
【0020】
系統連系装置2は、太陽電池1から出力された直流電力を入力し、入力した直流電力を交流電力に変換して、系統連系用リレー21を介して商用電力系統5へ出力する(連系運転)。また、商用電力系統5が停電時には、太陽電池1及び/又は蓄電システム3から出力された直流電力を入力し、入力した直流電力を交流電力に変換して、この交流電力を自立運転用リレー22を介して負荷6へ供給する(自立運転)。系統連系装置2は、商用電力系統5の停電を検出して連系運転と自立運転の切り替えを自動で行う機能を有する。尚、連系運転と自立運転の切り替えは、系統連系装置2が停電を検出して停止した後、手動で行えるように構成しても良い。
図2に第1の実施形態における系統連系装置2の構成図を示す。
【0021】
系統連系装置2は、昇圧回路23、インバータ回路24、フィルタ回路25、系統連系制御回路26、系統連系用リレー21、及び自立運転用リレー22を有している。
【0022】
昇圧回路23は、
図2に示すように、リアクトル、スイッチ素子、ダイオードを有する昇圧チョッパ回路により構成され、スイッチ素子のデューティ比を制御することにより、系統連系装置2に入力された直流電力を所望の電圧に昇圧する。
【0023】
インバータ回路24は、フルブリッジ接続した複数のスイッチ素子により構成される。このスイッチ素子をPWM制御することにより、昇圧回路23の出力する直流電力を交流電力に変換する。インバータ回路24は変換した交流電力をフィルタ回路25に出力する。
【0024】
フィルタ回路25は、2つのリアクトルとコンデンサにより構成され、インバータ回路24の出力する交流電力の高周波成分を除去する。高周波成分が除去された交流電力は、系統連系用リレー21を介して商用電力系統へ、或いは自立運転用リレー22を介して負荷6へ出力される。
【0025】
系統連系制御回路26は、昇圧回路23、インバータ回路24、系統連系用リレー21、自立運転用リレー22の動作を制御する。系統連系制御回路26は、起動時に商用電力系統5が停電しているか否かを判断する。系統連系制御回路26は、商用電力系統5が停電している場合は、系統連系用リレー21を開き、自立運転用リレー22を閉じ自立運転を行う。また、系統連系制御回路26は、商用電力系統5が給電している場合は、系統連系用リレー21を閉じ、自立運転用リレー22を開いて連系運転を行う。
【0026】
蓄電システム3は、商用電力系統5が停電している場合に、系統連系装置2に電力を供給し、商用電力系統5が給電している場合は、太陽電池1の出力電力を利用して充電する。
図3に第1の実施形態における蓄電システム3の構成図を示す。
図4に第1の実施形態における蓄電システム3の斜視図を示す。
【0027】
蓄電システム3は、蓄電池30、充放電回路31、蓄電システム制御回路32、及び停電検出回路33を備える。蓄電池30、充放電回路31、及び蓄電システム制御回路32は、筺体35a内に収容される。また停電検出回路33は、筺体35aとは別の筺体35bに収容され、信号線36により筺体35a内の蓄電システム制御回路32に接続される。
【0028】
蓄電池30は、例えば、鉛蓄電池が利用され、定格電圧が12[V]〜240[V]になるように単電池を直列及び/又は並列に接続して構成される。
【0029】
充放電回路31は、絶縁トランス31cを介して蓄電池30の充電、或いは放電を行うように構成されている。具体的には、ダイオードが逆並列接続された複数(4つ)のスイッチ素子(例えば、IGBTのような素子が利用できる)をフルブリッジ接続した2つのブリッジ回路31a、31bを、絶縁トランス31cを介して接続している。尚、充放電回路31は、充電も放電も行うことができるため、充電回路とも放電回路とも言うことができる。
【0030】
ブリッジ回路31aの交流側は絶縁トランス31cに接続され、直流側は、太陽電池1と系統連系装置2とを接続するライン7に接続される。このライン7と充放電回路31は、接続ライン38により接続される。ブリッジ回路31bの交流側は絶縁トランス31cに接続され、直流側は蓄電池30に接続される。蓄電池30を充電する際は、ブリッジ回路31aのスイッチ素子をPWM駆動し、ブリッジ回路31bのスイッチ素子を停止(遮断)してダイオード整流回路として動作させる。これにより、太陽電池1からの出力電圧が蓄電池30の定格出力より少し高い電圧に降圧され、蓄電池30を充電することができる。充電は、蓄電池30の電圧が所定の電圧値までは定電流充電を行い、蓄電池30の電圧が所定の電圧値よりも大きい場合は、定電圧充電を行う。
【0031】
蓄電池30を放電する際は、ブリッジ回路31bのスイッチ素子をPWM駆動し、ブリッジ回路31aのスイッチ素子を停止(遮断)してダイオード整流回路として動作させる。これにより、蓄電池30からの出力電圧が太陽電池1の動作電圧程度に昇圧され、系統連系装置2に供給される。
【0032】
停電検出回路33には、電磁リレーが利用される。この電磁リレーには、駆動電力を商用電力系統5から供給を受けるACリレーが用いられる。ACリレーは、商用電力系統5の電力を分配する分電盤の近くに設置(筐体35bを分電盤の近くに配置)される。ACリレーはこの分電盤からの配線により、商用電力系統5と接続され、交流電力が供給される。ACリレーは、商用電力系統5から電力が供給されている場合は、接片を開き、電力の供給が無くなると接片を閉じる。この接片は、信号線36を介して蓄電システム制御回路32に接続されており、蓄電システム制御回路32は、接片が閉じることで流れる電流を検出して停電を検出する。また、逆に、蓄電システム制御回路32は、電流が流れない場合に商用電力系統5が給電と検出する。
【0033】
蓄電システム制御回路32は、充放電回路31の動作を制御する。充放電回路31の動作は、(1)商用電力系統が停電しており、且つ太陽電池が十分に発電している場合、(2)商用電力系統が停電しており、且つ太陽電池が十分に発電していない場合、(3)商用電力系統が給電しており、且つ太陽電池が発電している場合、(4)商用電力系統が給電しており、且つ太陽電池が発電していない場合の4通りに分かれる。
【0034】
(1)の場合について述べる。(1)の場合は、商用電力系統5が停電中、太陽電池が十分に発電を行い、自立運転用の負荷6に電力を供給でき、蓄電池への充電に電力を利用することができる状態である。蓄電システム制御回路32は、停電検出回路33により商用電力系統5の停電を検出し、接続ライン38の電圧(太陽電池の出力電圧)が第1所定値以上(例えば、自立運転用の負荷6に電力を十分に供給できる値)である場合にこの状態と判断する。この場合、蓄電システム制御回路32は、太陽電池1から蓄電池30への充電を充放電回路31に指示する。
【0035】
(2)の場合について述べる。(2)の場合は、商用電力系統5が停電中、太陽電池は発電を行っているが、自立運転用の負荷6への電力供給が足りず、蓄電池の放電を利用して負荷電力の供給を行う状態である。蓄電システム制御回路32は、停電検出回路33により商用電力系統5の停電を検出し、接続ライン38の電圧(太陽電池の出力電圧)が第1所定値未満(例えば、自立運転用の負荷6に電力を十分に供給できる値)である場合にこの状態と判断する。この場合、蓄電システム制御回路32は、蓄電池30と充放電回路との間に流れる電流を監視し、この電流が所定の電流値になるように電流制御により放電を行う。
【0036】
(3)の場合について述べる。(3)の場合は、商用電力系統5が給電中、太陽電池1が蓄電池30を充電可能な状態である。蓄電システム制御回路32は、停電検出回路33により商用電力系統5の給電を検出し、接続ライン38の電圧(太陽電池の出力電圧)が第2所定値(例えば、蓄電池30の定格電圧)以上である場合にこの状態と判断する。この場合、蓄電システム制御回路32は、太陽電池1から蓄電池30への充電を充放電回路31に指示する。
【0037】
(4)の場合について述べる。(4)の場合は、商用電力系統5が給電中、太陽電池1が蓄電池30を充電ができない状態である。蓄電システム制御回路32は、停電検出回路33により商用電力系統5の給電を検出し、接続ライン38の電圧(太陽電池の出力電圧)が第2所定値(例えば、蓄電池30の定格電圧)未満である場合にこの状態と判断する。この場合、蓄電システム制御回路32は、充放電回路31のブリッジ回路を構成するスイッチ素子を全て遮断し、充放電回路31を停止する。
【0038】
また、第1所定値は第2所定値より高い値に設定すると良い。このようにすることで、停電時に給電時と比較して高い閾値の場合に充電を行うことになるため、停電時に負荷6優先の電力供給を行うことができる。
【0039】
また、蓄電システム制御回路32は、(1)〜(4)の場合に行う制御の他に、過充電保護や過放電保護などの保護制御も行うように構成されている。
【0040】
以上の第1の実施形態によれば、蓄電システム3は、商用電力系統5へ接続される停電検出回路33により停電を検出して、系統連系装置2へ蓄電池30から直流電力を供給するようになる。この様にすることで、蓄電システム3は、停電時に系統連系装置2から停電の信号を受け取ることなく、系統連系装置2に蓄電池30の出力する直流電力を供給する。そして、系統連系装置2は、この直流電力を受けて交流電力に変換し、負荷6へ電力を供給できるようになる(自立運転できるようになる)。この様に、既存の系統連系装置を利用しても蓄電池と太陽電池とを併用する太陽光発電システムを組み上げることができる。
【0041】
また、充放電回路31は、絶縁トランスを介して蓄電池30の充電、及び放電を行うようにしているため、充放電回路31のスイッチ素子を遮断する(停止する)ことで太陽電池1と系統連系装置2を接続するライン7と蓄電池30とが遮断されるため、商用電力系統5が電力を供給し、太陽電池1が発電していない場合に、蓄電池30から系統連系装置2への放電を防ぐことができる。
【0042】
また、充放電回路31は、商用電力系統5が停電している場合にのみ蓄電池30を放電する。これにより、商用電力系統5が給電している場合は充電しか行わないため、商用電力系統5が停電した場合に、ほぼ100%の充電容量にて蓄電池30を利用することができる。
【0043】
また、停電検出回路33を筺体35aと別体の筺体35bに収容し、信号線36にて筺体35a内の蓄電システム制御回路32と停電検出回路とを接続している。これにより、商用電力系統5の電力を分配する分電盤付近に停電検出回路33を配置でき、商用電力系統5と停電検出回路33を接続するラインを短くすることができる。このラインが短くなることで、このラインの断線を防ぎ、断線による蓄電池30の誤作動を防ぐことができる。
【0044】
また、ACリレーの接片が閉じた場合に停電を検出する構成になっているため、信号線36が断線したとしても停電と判断されず、蓄電池30が放電することがない。これにより、蓄電池30の予期せぬ放電(商用電力系統5が給電時の放電)を防ぐことができる。
【0045】
(第2の実施形態)
第1の実施形態において、充放電回路31に絶縁トランスを介して蓄電池30の充電、及び放電を行うものを採用したが、第2の実施形態では、充放電回路に非絶縁型の双方向チョッパを採用する。また、第2の実施形態では、系統連系装置2の自立運転用リレー22と商用電力系統5とに接続され、商用電力系統5の停電・給電に応じて、停電時に系統連系装置2の電力を、給電時に商用電力系統5の電力を負荷6へ出力する切替回路を蓄電システム3に設ける。その他の構成については、第1の実施形態と同様の構成を用いることができるため説明を省略する。
【0046】
図5は、第2の実施形態における太陽光発電システム100を示す構成図である。
図6は、第2の実施形態における蓄電システム3の変形例を示す構成図である。
図7は、第2の実施形態における蓄電システム3の斜視図である。
【0047】
図6に示すように、充放電回路31dは、ダイオードが逆並列接続された複数(2つ)のスイッチ素子131、132、リアクトル133、開閉器134、及びダイオード135を有している。スイッチ素子131を所定のデューティ比にて開閉することで、太陽電池1からの出力電圧が蓄電池30の定格出力より少し高い電圧に降圧され、蓄電池30を充電することができる。第1の実施形態と同様に、充電は、蓄電池30の電圧が所定の電圧値までは定電流充電を行い、蓄電池30の電圧が所定の電圧値よりも大きい場合は、定電圧充電を行う。
【0048】
蓄電池30を放電する場合は、スイッチ素子132を所定のデューティ比にて開閉する。これにより、蓄電池30の出力電圧が太陽電池1の動作電圧程度に昇圧され、系統連系装置2に供給される。
【0049】
開閉器134とダイオード135は並列に接続されており、ダイオード135は、充放電回路31から蓄電池30へ向かう電流を流すように接続されている。開閉器134とダイオード135の並列回路は、充放電回路31と蓄電池30との間に設けられる(或いは、充放電回路31とライン7との間に設けても良い)。非絶縁型の双方向チョッパを利用する場合、太陽電池1が発電していない場合は、充放電回路31のスイッチ素子を遮断していても、スイッチ素子131に逆並列に接続されているダイオードを通して系統連系装置2へ蓄電池30が放電されてしまう。
【0050】
開閉器134とダイオード135の並列回路はこれを防ぐためのものであり、商用電力系統5が給電している場合に開閉器134を開き、停電の際にはこの開閉器134を閉じて使用する。これにより、商用電力系統5が給電しており太陽電池1が発電していない場合に、開閉器134が開き、蓄電池30から系統連系装置2への放電を防ぐことができる。停電の場合は蓄電池30から系統連系装置2へ電力を供給するため、開閉器134は閉じられる。
【0051】
蓄電システム3は、
図5、
図6に示すように、切替回路34を備える。切替回路34は、2接点を切り替えるスイッチ回路が利用される。切替回路34は、停電検出回路33と一緒に
図7に示す筺体35bに収容される。切替回路34は、系統連系装置2の自立運転用リレー22と、商用電力系統5と、負荷6に接続され、自立運転用リレー22及び負荷6の接続と、商用電力系統5及び負荷6の接続とを切り替える。
【0052】
切替回路34が、自立運転用リレー22と負荷6との接続を行うと、系統連系装置2が自立運転する際の出力電力を負荷へ供給可能になる。また、切替回路34が、商用電力系統5と負荷6との接続を行うと、商用電力系統5の電力を負荷へ供給可能になる。
【0053】
自立運転用リレー22と切替回路34との接続には接続ライン39が用いられる。また、商用電力系統5と切替回路34との接続は、分電盤からの配線により行う。切替回路34の負荷との接続は、筺体35bに設けられるコンセント37を利用することで、家庭用負荷を容易に接続できるようになっている。
【0054】
蓄電システム制御回路32は、第1の実施形態で述べた制御に加えて、切替回路34の接続の切り替えを行う。蓄電システム制御回路32は、停電を検出した場合に、自立運転用リレー22と負荷6との接続を行い、停電を検出していない(商用電力系統5が給電している)場合には、商用電力系統5と負荷6との接続を行う。これにより、商用電力系統5の停電時には、系統連系装置が自立運転する電力を負荷6へ供給し、商用電力系統5の給電時には、商用電力系統5の供給する電力を負荷6へ供給する。
【0055】
また、この様な切替回路34を有する蓄電システム3を、連系運転と自立運転の自動切り替えが可能な系統連系装置と接続すると、停電したとしても負荷6へ電力を供給し続けることができるようになる(UPSのような利用ができる)。
【0056】
(第3の実施形態)
第1の実施形態、及び第2の実施形態では、通常の蓄電池の放電、及び充電の動作について説明したが、蓄電システム3は通常動作に加えて、蓄電システム、或いは蓄電池の保護動作を行うことができる。本実施形態では蓄電システム3の保護動作について述べる。
【0057】
図8は、第3の実施形態における太陽光発電システム100を示す構成図である。充放電回路31は、絶縁トランス31cの太陽電池側には太陽電池側回路31a、を有している。そして、太陽電池側回路31aは、周期的に導通/遮断を繰り返す(PWM駆動する)ことにより充電を行う第1スイッチ素子41を有している。また、充放電回路31は、太陽電池の蓄電池側には、蓄電池側回路31bを有している。そして、蓄電池側回路31bは、周期的に導通/遮断を繰り返す(PWM駆動する)ことにより放電を行う第2スイッチ素子42を有している。
【0058】
また、太陽電池側回路31aは、第1スイッチ素子41をバイパスする様に(例えば、第1スイッチ素子41と並列に)接続され、第1スイッチ素子41と逆方向の電流を流す第1ダイオード44を有している。また、蓄電池側回路31bは、第2スイッチ素子42をバイパスする様に(例えば、第2スイッチ素子42と並列に)接続され、第2スイッチ素子42と逆方向の電流を流す第2ダイオード45を有している。
【0059】
蓄電システム3はさらに、充放電回路31と蓄電池30との間に開閉器134と第3ダイオード135を並列に接続した並列回路130を備えている。これにより、蓄電システム3は、第1スイッチ素子41をPWM駆動することにより、第1スイッチ素子41、第2ダイオード45、及び第3ダイオード135を電流が流れて蓄電池30が充電する。また、蓄電システム3は、開閉器134を開放し、第2スイッチ素子41をPWM駆動することにより、開閉器134、第2スイッチ素子42、及び第1ダイオード44、を電流が流れて蓄電池30が放電する。即ち、充電時には開閉器を迂回して充電し、放電時には開閉器を通して放電する。
【0060】
また、蓄電システム3は、手動スイッチ40をライン7と充放電回路31とをつなぐ電力線に備えられ、蓄電システム3を利用する際には、手動スイッチ40を閉じて利用する。また、蓄電システム3は、地絡を検知するZCTなどの地絡検知センサCT1、CT4、電流センサCT2、CT3、電圧センサVS1、VS2を有している。地絡検知センサCT1は、ライン7と充放電回路31との間に配置され、この間の地絡を検出する。電流センサCT2は、第3ダイオード135のカソード側(蓄電池側)に配置され、蓄電池への充電電流を検出する。電流センサCT3は、開閉器134の蓄電池側に配置され、蓄電池からの放電電流を検出する。地絡検知センサCT4は、並列回路130と蓄電池30との間に配置され、この間の地絡を検出する。電圧センサVS1は充放電回路31の太陽電池1側に配置され、太陽電池1の電圧を検出する。電圧センサVS2は、充放電回路31の蓄電池30側に接続され、蓄電池30の電圧を検出する。
【0061】
これらのセンサCT1〜CT4、電圧センサVS1、VS2の出力は、蓄電システム制御回路32に入力され、蓄電システム3が保護動作を行う際に利用される。
【0062】
蓄電システム制御回路32は、第1スイッチ素子41を駆動するための充電駆動回路61、第2スイッチ素子42を駆動するための放電駆動回路62、開閉器134を駆動するための開閉器駆動回路を有している。
【0063】
充電駆動回路61は、後述するゲートブロック信号GB1と、充電制御信号S1とを入力し、第1スイッチ素子41を駆動する。充電制御信号S1は、通常動作において蓄電池30を充電するために第1スイッチ素子41を駆動するための信号であり、蓄電池30を定電流充電や定電圧充電を行う際に充電電流や充電電圧をフィードバックして作成されるPWM信号を利用する。また、ゲートブロック信号GB1として「Hi」が入力されている場合は、充電制御信号S1にどのような信号が入力されたとしても第1スイッチ素子41を遮断し(所謂、ゲートブロック)、第1スイッチ素子のON動作を禁止する(遮断状態に保つ)。
【0064】
放電駆動回路62は、放電制御信号S2を入力し、第2スイッチ素子42を駆動する。放電制御信号S2は、通常動作において蓄電池30を放電するために第2スイッチ素子42を駆動するための信号であり、蓄電池30を放電する際に放電電流や充電電圧をフィードバックして作成されるPWM信号を利用する。また、ゲートブロック信号GB2として「Hi」が入力されている場合は、放電制御信号S2の伝達が遮断され第2スイッチ素子42を遮断し(所謂、ゲートブロック)、第1スイッチ素子の常にOFFにする。
【0065】
また、蓄電システム制御回路32は、PV不足電圧検出部51、PV過電圧検出部52、太陽電池地絡検出部53を有している。また、蓄電システム制御回路32は、蓄電システム3の充放電の異常を検出する放電過電流検出部54を有している。また蓄電システム制御回路32は、蓄電池30の異常を検出する蓄電池過充電検出部56、蓄電池過放電検出部57、蓄電池地絡検出部58を有している。
【0066】
PV不足電圧検出部51は、電圧センサVS1により太陽電池1の電圧を検出し、検出した電圧に応じてPV不足電圧信号SA1を出力する。具体的には、太陽電池1の電圧が所定の電圧値よりも低い場合に、太陽電池1の電圧が低く蓄電池30の充電が不可能(異常)と判定し、PV不足電圧信号SA1として「Hi」を出力する。また、太陽電池1の電圧が所定の電圧値よりも高い場合に、太陽電池1の電圧が高く蓄電池30の充電が可能(正常)と判定し、PV不足電圧信号SA1として「Low」を出力する。ここで所定の電圧値は、充放電回路31により蓄電池30充電を行うことができないと判断できる電圧値が設定される。
【0067】
PV過電圧検出部51は、電圧センサVS1により太陽電池1の電圧を検出し、検出した電圧に応じてPV不足電圧信号SA1を出力する。具体的には、太陽電池1の電圧が所定の電圧値よりも高い場合に、太陽電池1の異常を検出し、PV過電圧信号SA2として「Hi」を出力する。また、太陽電池1の電圧が所定の電圧値よりも低い場合に、太陽電池1が正常と判定し、PV不足電圧信号SA1として「Low」を出力する。ここで、所定の電圧値は、太陽電池1が通常動作を行う電圧(例えば、定格電圧や規定されている最大電圧)よりも高い電圧値が設定される。
【0068】
太陽電池地絡検出部53は、地絡検知センサCT1により充放電回路31の太陽電池1側に流れる電流を検出し、検出した電流に応じて太陽電池地絡信号SA3を出力する。具体的には、地絡検知センサCT1により検出される電流が所定の電流値よりも高い場合に、太陽電池の地絡(異常)を検出し、太陽電池地絡信号SA3として「Hi」を出力する。また、地絡検知センサCT1により検出される電流が所定の電流値よりも低い場合に、太陽電池1に地絡なし(正常)と判定し、太陽電池地絡信号SA3として「Low」を出力する。ここで、所定の電流値は、充放電回路31により正常に充放電を行う際に流れることのない電流値が設定される。
【0069】
放電過電流検出部54は、電流センサCT3により蓄電池30が放電する電流を検出し、検出した電流に応じて放電過電流信号SA4を出力する。具体的には、電流センサCT3により検出される電流が所定の電流値よりも高い場合に、蓄電池30から過放電されている(異常)と検出し、放電過電流信号SA4として「Hi」を出力する。また、電流センサCT3により検出される電流が所定の電流値よりも低い場合に、正常と検出し、放電過電流信号SA4として「Low」を出力する。ここで、所定の電流値は、充放電回路31により、正常に放電を行う際に流れる電流(例えば、定格放電電流や最大放電電流)よりも高い電流値が設定される。
【0070】
充電過電流検出部55は、電流センサCT2により蓄電池30に充電する電流を検出し、検出した電流に応じて充電過電流信号SA5を出力する。具体的には、電流センサCT2により検出される電流が所定の電流値よりも高い場合に、蓄電池30に過充電されている(異常)と検出し、充電過電流信号SA5として「Hi」を出力する。また、電流センサCT2により検出される電流が所定の電流値よりも低い場合に、正常と検出し、充電過電流信号SA5として「Low」を出力する。ここで、所定の電流値は、充放電回路31により、正常に充電を行う際に流れる電流(例えば、定格充電電流や最大充電電流)よりも高い電流値が設定される。
【0071】
蓄電池過充電検出部56は、電圧センサVS2により蓄電池30の電圧を検出し、検出した電圧に応じて蓄電池過充電信号SA6を出力する。具体的には、電圧センサVS2により検出される電圧が所定の電圧値よりも高い場合に、蓄電池30が過充電であることを検出し、蓄電池過充電検出信号SA6として「Hi」を出力する。また、電圧センサVS2により検出される電圧が所定の電圧値よりも低い場合に、蓄電池30が正常であることを検出し、蓄電池過充電検出信号SA6として「Low」を出力する。ここで所定の電圧値について説明する。蓄電池30の電圧(開放電圧)は、充電容量に応じて(例えば、比例して)、高ければ高く、低ければ低くなる。蓄電池30が動作する充電容量を定めることにより、蓄電池の動作電圧が規定され、この動作電圧を超えると過充電と判断できる。したがって、所定の電圧値には、この動作電圧の上限を設定すると良い。
【0072】
蓄電池過放電検出部57は、電圧センサVS2により蓄電池30の電圧を検出し、検出した電圧に応じて蓄電池過放電信号SA7を出力する。具体的には、電圧センサVS2により検出される電圧が所定の電圧値よりも低い場合に、蓄電池30が過放電であることを検出し、蓄電池過放電検出信号SA7として「Hi」を出力する。また、電圧センサVS2により検出される電圧が所定の電圧値よりも高い場合に、蓄電池30が正常であることを検出し、蓄電池過放電検出信号SA7として「Low」を出力する。ここで所定の電圧値は、蓄電池30の動作電圧の下限を設定すると良い。
【0073】
蓄電池地絡検出部58は、地絡検知センサCT4により充放電回路31の蓄電池30側に流れる電流を検出し蓄電池地絡信号SA8を出力する。具体的には、地絡検知センサCT4により検出される電流が所定の電流値よりも高い場合に、蓄電池30の地絡(異常)を検出し、蓄電池地絡信号SA8として「Hi」を出力する。また、地絡検知センサCT4により検出される電流が所定の電流値よりも低い場合に、蓄電池30に地絡なし(正常)と判定し、蓄電池地絡信号SA8として「Low」を出力する。ここで、所定の電流値は、充放電回路31により正常に充放電を行う際に流れることのない電流値が設定される。
【0074】
出力された信号SA1〜SA8は、ゲートブロック信号生成回路64に入力され、入力された信号に応じて、ゲートブロック信号GB1、GB2を、夫々充電駆動回路61、放電駆動回路62に出力する。
図9は、ゲートブロック信号生成回路64の動作パターンを示す図である。
【0075】
図9に示すように、信号SA1、SA2、SA3、SA5、SA6、SA8の何れかの「Hi」信号がゲートブロック信号生成回路64に入力されると、ゲートブロック信号生成回路64は、「Hi」のゲートブロック信号GB1を生成して充電駆動回路61へ出力する。また、信号SA2、SA3、SA4、SA7、SA8の何れかの「Hi」信号がゲートブロック信号生成回路64に入力されると、ゲートブロック信号生成回路64は、「Hi」のゲートブロック信号GB2を生成して放電駆動回路62へ出力する。
【0076】
これにより、太陽電池1、蓄電池30、充放電回路31の異常を判断し、異常が検出された場合に第1スイッチ素子41、或いは第2スイッチ素子42をゲートブロックする。具体的には、太陽電池1が電圧不足の場合、太陽電池1が過電圧の場合、太陽電池1が地絡している場合、充電時に流れる電流が過電流である場合、蓄電池が過充電の場合、蓄電池が地絡している場合に第1スイッチ素子41のゲートブロックを行う。また、太陽電池1が過電圧の場合、太陽電池1が地絡している場合、放電時に流れる電流が過電流である場合、蓄電池30が過放電の場合、蓄電池30が地絡している場合に第2スイッチ素子42のゲートブロックを行う。
【0077】
蓄電システム3は、停電検出部59、放電操作部60、論理積回路AN1、否定回路NO1を有している。
【0078】
停電検出部59は、停電検出回路33が商用電力系統5の停電を検出すると、「Hi」信号を、停電検出回路33が商用電力系統5の給電を検出すると、「Low」信号を論理積回路AN1に出力する。
【0079】
放電操作部60では、ユーザーから放電の受付を行う。例えば、蓄電池30の放電を受け付けるためのボタンを用意しておき、そのボタンが押されることによりユーザーから放電の受付を行うなどすると良い。放電操作部60に放電の受付があれば、放電操作部60は、「Hi」信号を、放電操作部60に放電の受付がなければ「Low」信号を論理積回路AN1へ出力する。
【0080】
論理積回路AN1は、放電操作部60、及び停電検出部59から「Hi」信号を入力すると、「Hi」信号を出力し、どちらかの信号が1つでも「Low」であれば「Low」信号を出力する。論理積回路AN1から出力された信号は、開閉器駆動回路63と否定回路NO1に入力される。
【0081】
開閉器駆動回路63は、「Hi」信号が入力されると、開閉器134を閉じ、「Low」信号が入力されると開閉器134を開く。
【0082】
否定回路NO1では、入力された信号を反転して放電禁止信号SA9をゲートブロック信号生成回路64へ出力する。即ち、否定回路NO1に「Hi」信号が入力されると、放電禁止信号として「Low」信号を出力し、「Low」信号が入力されると、放電禁止信号として「Hi」信号を出力する。
【0083】
ゲートブロック信号生成回路64は、「Hi」の放電禁止信号が入力されると、「Hi」のゲートブロック信号GB2を生成し、放電駆動回路62へ出力する。
【0084】
これにより、放電操作部60に放電の受付のない場合、或いは、停電検出回路33により商用電力系統5の給電を検出した場合に、第2スイッチ素子42をゲートブロックすると共に、開閉器134を開いて充放電回路31による放電を2重に禁止している。逆に、放電操作部60に放電の受付があり、且つ、停電検出回路33により商用電力系統5の停電を検出した場合に、第2スイッチ素子42を、ゲートブロックを解除すると共に、開閉器134が閉じて充放電回路31による放電が可能になる。
【0085】
以上、第3の実施形態によれば、太陽電池1、蓄電池30、或いは充放電回路31に異常がある場合は、前記第1スイッチ素子、或いは前記第2スイッチ素子をゲートブロックするため、異常な状態により充放電回路31の充電動作、放電動作が禁止され、蓄電システム3、或いは蓄電池30の保護を行うことができる。
【0086】
また、蓄電池30の放電は、充放電回路31のゲートブロックと、開閉器134によりソフトとハードの面からブロックするため、誤って放電されることが無く、自立運転を行う際の、蓄電池30の充電容量を十分に確保することができる。
【0087】
また、充電時には開閉器を迂回して充電し、放電時には開閉器を通して放電する。このため、商用電力系統5が停電のときも、給電のときも行う充電動作について、開閉器134を動作させる必要がなく、ソフトによる動作のみで容易に実行することができる。
【0088】
第3の実施形態では、ゲートブロックにより第1スイッチ素子41、及び第2スイッチ素子42を遮断状態に保っていたが、制御信号S1、S2の出力を絞って(例えば、ゼロにして)遮断状態に保っても良い。
【0089】
第3の実施形態では、簡単のため充放電回路31を
図8のように表現したが、第1の実施形態における充放電回路31においては、第1スイッチ素子41は、ブリッジ回路31aのスイッチ素子が夫々第1スイッチ素子41に相当し、第2のスイッチ素子42は、ブリッジ回路31bのスイッチ素子が夫々第2スイッチ素子42に相当し、第1ダイオードは、ブリッジ回路31aのスイッチ素子に夫々逆並列に設けられるダイオードに相当し、第2ダイオードは、ブリッジ回路31bのスイッチ素子に夫々逆並列に設けられるダイオードに相当すると言える。
【0090】
また、第3の実施形態では、簡単のため並列回路130を
図8のように表現したが、例えば、
図4に示すように接続することができる。
【0091】
また、第3の実施形態では、絶縁トランス31cを用いる充放電回路31について述べたが、絶縁トランス31cを用いない、例えば、
図4のような充放電回路31dを利用することもできる。
図4の場合、第1スイッチ素子41は、スイッチ素子131に相当し、第2スイッチ素子は、スイッチ素子132に相当し、第1ダイオード44は、第1スイッチ素子に逆並列に設けられるダイオードに相当し、第2ダイオード45は、第2スイッチ素子に逆並列に設けられるダイオードに相当する。
【0092】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、以上の説明は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0093】
例えば、本実施形態では、商用電力系統5から電力が供給されると接片を開く電磁リレーを使用し、商用電力系統5が停電か給電かを判断していたが、電力の供給/遮断により接片を開閉する開閉回路であれば様々なものが利用できる。例えば、フォトカプラなどを利用しても良い。
【0094】
また、例えば、停電検出回路33に電磁リレーを用いて接片の開閉を行って停電の検出を行っていたが、フォトカプラ等の様な開閉回路を利用して、接片の開閉を行い商用電力系統5が電力を供給しているか否かを検出しても良い。
【0095】
また、例えば、本実施形態では、蓄電池30として鉛蓄電池を用いる例を示したが、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池等も利用することができる。
【0096】
また、例えば、本実施形態では、絶縁トランスを用いた充放電回路(絶縁型)31a〜31cと、双方向チョッパ31dとを充放電回路31として記載したが、様々な構成を用いることができる。例えば、充電回路と放電回路とを並列に配置しても良い。また、充電回路、及び放電回路は、絶縁型、非絶縁型の何れに設定してもかまわない。
【0097】
また、例えば、本実施形態では、充電を太陽電池1から行っていたが、商用電力系統5を用いて充電することも可能である。この場合、充電回路と放電回路とを分け放電回路をライン7と蓄電池30との間に配置し、充電回路を商用電力系統5と蓄電池30との間に配置する。この様にすることで、双方向の系統連系装置2(専用の系統連系装置)を用いることなく、蓄電池30を充電することができる。
【0098】
また、例えば、本実施形態では、コンセント37を筺体35bに設けたが、コンセント37を建物の壁等に取り付け、切替回路からコンセント37まで配線(例えば、壁の内側から配線するなど)して利用しても良い。