(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2レバーの表面に、前記シャフトの中心を中心とする直径が直径D1と異なる直径D2であって、前記複数のレバーのうち前記第2レバーの表面に重なる第3レバーの裏面に向けて突出する円形環状の第2環状突条部を形成したことを請求項1記載の特徴とする複数レバーの枢支構造。
前記ベース部材を板金により形成し、前記ベース部材の表面に、前記シャフトの中心を中心とする直径が直径D1と異なる直径Dであって、前記第1レバーの裏面に向けて突出する円形環状の環状突条部を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の複数レバーの枢支構造。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、
図6〜9、11〜15において左方を「前方」とし、同じく右方を「後方」とし、同じく図面手前側を「車内側」とし、同じく図面奥側を「車外側」とする。
【0013】
図1において、1は、車体の側面に前後方向へ開閉可能に支持されるスライドドア(以下、「ドア」と記す)、2は、ドア1内の前部に取り付けられる全閉用のフロントドアラッチ装置、3は、ドア1内の後部に取り付けられる全閉用のリヤドアラッチ装置、4は、ドア1に取り付けられる全開用ドアラッチ装置、PSDは、ドア1を電動で開閉移動させるための電動開閉装置である。
【0014】
ドア1の車外側には、ドア開閉操作用のアウトサイドハンドルOH、また同じく車内側には、ドア開閉操作用のインサイドハンドル装置IHが設けられる。ドア1内には、アウトサイドハンドルOH及びインサイドハンドル装置IHの各操作を中継制御する操作中継装置5が設けられる。
【0015】
全閉用の各ドアラッチ装置2、3は、ドア1の全閉時に車体側の前、後ストライカ(図示略)にそれぞれ噛合することによりドア1を閉鎖状態に保持する。全開用ドアラッチ装置4は、ドア1の全開時に車体側のストライカ(図示略)と噛合することによりドア1を全開位置に保持する。
【0016】
インサイドハンドル装置IHは、主に
図2、5に示すように、ドア1のインナパネルに固定されるベースIH1と、ベースIH1に上下方向の支軸IH2により枢支されるインサイドハンドルIH3及びアンロック・ロック操作可能なノブハンドルIH4を備える。
【0017】
インサイドハンドルIH3は、常時はニュートラル位置に保持され、ドア1を開ける際には、ニュートラル位置からドア開操作(後倒し操作)(
図2、3において矢印R方向)が可能で、かつドア1を閉じる際には、ニュートラル位置からドア閉操作(前倒し操作)(
図2、3において矢印F方向)が可能である。
【0018】
図5に示すように、インサイドハンドルIH3には、車外側向けて延出する上下の連結アーム部IH31、IH32が形成され、さらに、下の連結アーム部IH32の下方には、車外側、すなわち操作中継装置5へ向けて突出し平面視コ字状の連結部IH33が形成される。上の連結アーム部IH31には、インサイドハンドルIH3のドア閉操作を操作中継装置5に伝達可能な操作力伝達部材22の前端部が連結され、下の連結アーム部IH32には、インサイドハンドルIH3のドア開操作を操作中継装置5に伝達可能な操作力伝達部材25が連結される。連結部IH33は、インサイドハンドル装置IH及び操作中継装置5をそれぞれドア1に取り付けた状態において操作中継装置5の後述の被検出レバー36に前後から挟み込むようにして連結される。ノブハンドルIH4には、ノブハンドルIH4のアンロック・ロック操作を操作中継装置5に伝達可能な操作力伝達部材44が連結される。
【0019】
主に
図2、3、6〜8に示すように、操作中継装置5は、ドア1内に固定されるベース部材をなすベースプレート6を備え、ベースプレート6には、アウトサイドハンドルOH及びドア1内に設けられる電動式のリリースアクチュエータACTに連結されるアウトサイドレバー7と、インサイドハンドルIH3に連結されるインサイドレバー8と、インサイドハンドルIH3及び全開用ドアラッチ装置4にそれぞれ連結されるクランクレバー9と、全閉用の各ドアラッチ装置3、4に連結されるリリースレバー10と、ロック・アンロック作動可能なロックレバー11及びチャイルドプルーフレバー12と、コネクトレバー13と、ロック・アンロック操作用の電動式のアクチュエータ14とが設けられる。
【0020】
アウトサイドレバー7は、車内外方向を向くシャフト15によりベースプレート6の車内側を向く面のほぼ中央部に回動可能に枢支されると共に、アウトサイドハンドルOH及びリリースアクチュエータACTが作動していない待機状態においては下端部がベースプレート6に設けられたストッパ部61に後方から当接したニュートラル位置(
図6、7に示す位置)に保持される。
【0021】
アウトサイドレバー7の下部には、前後方向を向く長孔の連結孔71が設けられる。連結孔71には、運転席に設けられる操作スイッチ(図示略)または携帯用のリモートコントロールスイッチの操作に基づいて作動可能なリリースアクチュエータACTの動力をアウトサイドレバー7に伝達可能な操作力伝達部材16の端部が前後方向へ摺動可能に連結される。これにより、リリースアクチュエータACTが作動すると、操作力伝達部材16が
図6に示す矢印方向へ作動し、アウトサイドレバー7は、ニュートラル位置からリリース方向(
図6において反時計方向)へ所定角度揺動する。
【0022】
さらに、アウトサイドレバー7の下部にあって、連結孔71の下方には、前後方向を向く長孔の連結孔72が設けられる。連結孔72には、一端部がアウトサイドハンドルOHに連結される操作力伝達部材17の他端部が摺動可能に連結される。これにより、アウトサイドハンドルOHがドア開操作されると、操作力伝達部材17が
図6に示す矢印方向へ作動することにより、アウトサイドレバー7は、アウトサイドハンドルOHの人為的な操作に基づいて、リリースアクチュエータACTが作動した場合と同様にニュートラル位置からリリース方向へ所定角度揺動する。
【0023】
さらに、アウトサイドレバー7の上部には、アウトサイドレバー7のリリース方向へ揺動するリリース作動をクランクレバー9に伝達可能な押部73が設けられる。さらに、アウトサイドレバー7の後部には、アウトサイドレバー7のリリース作動をコネクトレバー13に伝達可能な押部74が折曲形成される。
【0024】
さらに、アウトサイドレバー7の最下部には、アクチュエータ14における後述のハウジング141内に配置され、アウトサイドレバー7のリリース作動を検出可能な第1検出スイッチ29のセンサー部291に接触可能な被検出部75が設けられる。
【0025】
クランクレバー9は、シャフト15の上方に位置する車内外方向を向く支軸18によりベースプレート6の車内側を向く面に枢支されると共に、一端がクランクレバー9、他端がベースプレート6にそれぞれ掛止されたスプリング21によりニュートラル方向(
図6において反時計方向)へ付勢され、ニュートラル状態(クランクレバー9が作動していない状態)においてはベースプレート6に設けられたストッパ部62に上方から当接したニュートラル位置(
図6、7に示す位置)に保持される。
【0026】
クランクレバー9の上部には、前後方向を向く長孔の連結孔91、また同じく下部には、連結孔92がそれぞれ設けられる。連結孔91には、インサイドハンドルIH3のドア閉操作をクランクレバー9に伝達可能な操作力伝達部材22の後端部が摺動可能に連結される。連結孔92には、後端部が全開用ドアラッチ装置4の解除レバー(図示略)に連結される操作力伝達部材23の前端部が連結される。これにより、全開用ドアラッチ装置4がストライカに噛合してドア1が全開位置に保持されている場合、インサイドハンドルIH3がドア閉方向へ操作されると、操作力伝達部材22が
図6に示す矢印方向(後方)へ移動することにより、クランクレバー9は、スプリング21の付勢力に抗してニュートラル位置からリリース方向(
図6において時計方向)へ所定角度揺動する。クランクレバー9がリリース方向へ揺動するリリース作動は、操作力伝達部材23を介して全開用ドアラッチ装置4に伝達され、全開用ドアラッチ装置4は、ラッチ解除作動してストライカとの噛合を解除してドア1の全開位置から閉方向への移動を可能にする。
【0027】
さらに、クランクレバー9の下部には、アウトサイドレバー7の押部73が後方から当接可能な被押部93が設けられる。アウトサイドレバー7がリリース作動すると、アウトサイドレバーの押部73が被押部93に後方から当接することにより、クランクレバー9は、インサイドハンドルIH3がドア閉操作された場合と同様にニュートラル位置からリリース方向へ所定角度揺動して、全開用ドアラッチ装置4をラッチ解除作動させる。
【0028】
インサイドレバー8は、シャフト15、すなわちアウトサイドレバー7と同軸によりアウトサイドレバー7に対して車外側に重なった状態でベースプレート6の車内側を向く面に枢支されると共に、一端がインサイドレバー8、他端がベースプレート6にそれぞれ掛止されたスプリング24により
図6において時計方向へ付勢され、ニュートラル状態(インサイドレバー8が作動していない状態)においてはベースプレート6に設けられたストッパ部63に下方から当接したニュートラル位置(
図6、7に示す位置)に保持される。
【0029】
インサイドレバー8の上部には、前後方向を向く長孔の連結孔82が設けられる。連結孔82には、インサイドハンドルIH3のドア開操作を伝達可能な操作力伝達部材25の端部が摺動自在に連結される。これにより、インサイドハンドルIH3がドア開方向へ操作されると、操作力伝達部材25が
図6に示す矢印方向(前方)へ移動することにより、インサイドレバー8は、ニュートラル位置からスプリング24の付勢力に抗してリリース方向(
図6、7において反時計方向)へ所定角度揺動する。
【0030】
さらに、インサイドレバー8の上部には、上下方向を向く制御孔81が設けられる。制御孔81には、チャイルドプルーフレバー12の後述のアンロック位置、ロック位置への作動に基づいて上下移動可能な制御ピン28が摺動可能に係合する。
【0031】
チャイルドプルーフレバー12は、シャフト15の前方斜め上方に位置する車内外方向を向く支軸20によりベースプレート6の車内側を向く面に枢支され、人為的な操作に基づいて、
図6、7に示すアンロック位置と、アンロック位置から反時計方向へ所定角度揺動したロック位置(
図14、15参照)に移動可能であって、各位置に所定の保持力で弾性保持される。
【0032】
チャイルドプルーフレバー12の前部には、ドア1が開いた状態にあるときのみ人為的に操作可能な操作部121が設けられ、同じく下部には、アクチュエータ14のハウジング141内に配置され、チャイルドプルーフレバー12の作動を検出可能な第2検出スイッチ30のセンサー部301(
図7参照)に接触可能な被検出部122が設けられ、また同じく後部には、制御ピン28が前後方向へ摺動可能に係合する長孔123が設けられる。
【0033】
制御ピン28は、チャイルドプルーフレバー12のアンロック・ロック作動に基づいてインサイドレバー8の制御孔81内で上下移動であると共に、インサイドレバー8のリリース作動に基づいて前方へ移動可能であって、チャイルドプルーフレバー12がアンロック位置にあるときには、インサイドレバー8の制御孔81の下部に位置してインサイドレバー8のリリース作動をコネクトレバー13に伝達可能なアンロック位置にあり、また同じくロック位置にあるときには、制御孔81の上部に位置してインサイドレバー8のリリース作動をコネクトレバー13に伝達不能なロック位置(
図14、15参照)にある。
【0034】
コネクトレバー13は、シャフト15、すなわちアウトサイドレバー7及びインサイドレバー8と同軸によりインサイドレバー8に対して車外側に重なった状態でベースプレート6の車内側を向く面に枢支されると共に、一端がコネクトレバー13、他端がベースプレート6にそれぞれ掛止されたスプリング31の付勢力により
図6、7において時計方向へ付勢され、ニュートラル状態(コネクトレバー13が作動していない状態)においては
図6、7に示すニュートラル位置に保持される。
【0035】
コネクトレバー13の上部には、チャイルドプルーフレバー12がアンロック位置にあるとき制御ピン28が後方から当接可能で、同じくロック位置にあるとき制御ピン28が後方から当接不能な被当接部131が設けられる。これにより、チャイルドプルーフレバー12及び制御ピン28がアンロック位置にときには、インサイドレバー8のリリース作動が、制御ピン28及び被当接部131を介してコネクトレバー13に伝達されることにより、コネクトレバー13は、スプリング31の付勢力に抗してニュートラル位置からリリース方向へ所定角度揺動する。チャイルドプルーフレバー12及び制御ピン28がロック位置にあるときには、制御ピン28が被当接部131に対して当接不能であるため、インサイドレバー8のリリース作動は、コネクトレバー13に伝達されない。
【0036】
さらに、コネクトレバー13の後部には、アウトサイドレバー7の押部73が下方から当接可能な被押部132が設けられる。これにより、アウトサイドレバー7がリリース作動すると、アウトサイドレバー7の押部74がコネクトレバー13の被押部132に下方から当接することにより、コネクトレバー13は、チャイルドプルーフレバー12の位置に無関係に、スプリング31の付勢力に抗してリリース方向へリリース作動する。
【0037】
さらに、コネクトレバー13の下部には、ロックレバー11に連動する制御ピン33が上下方向へ摺動可能に係合する上下方向の長孔133が設けられる。
【0038】
ロックレバー11は、シャフト15の前方斜め下方に位置する車内外方向を向く支軸19によりベースプレート6の車内側を向く面に枢支されると共に、一端がロックレバー11、他端がベースプレート6にそれぞれ掛止されたターンオーバースプリング32の付勢力により、
図6、7に示すアンロック位置及びアンロック位置から時計方向へ所定角度回動したロック位置(例えば、
図13参照)に弾性保持される。
【0039】
ロックレバー11の下部は、ノブハンドルIH4の操作を伝達可能な操作力伝達部材44が連結される。これにより、ロックレバー11は、ノブハンドルIH4のアンロック操作に基づいてアンロック位置に移動し、また、同じくロック操作に基づいてロック位置に移動する。
【0040】
さらに、ロックレバー11の最下部は、アクチュエータ14における後述の出力レバー34に連結される。これにより、出力レバー34の作動によっても、アンロック位置及びロック位置に移動する。
【0041】
さらに、ロックレバー11の後部には、制御ピン33が前後方向へ摺動可能に係合する前後方向を向く長孔111が設けられる。
【0042】
リリースレバー10は、シャフト15、すなわちアウトサイドレバー7、インサイドレバー8及びコネクトレバー13と同軸によりコネクトレバー13に対して車外側に重なった状態でベースプレート6の車内側を向く面に枢支されると共に、ニュートラル状態(リリースレバー10が作動していない状態)においては
図6、7に示すニュートラル位置に保持される。
【0043】
リリースレバー10の上部に形成された連結孔101及び102には、一端部が全閉用のフロントドアラッチ装置2の解除レバー(図示略)に連結された操作力伝達部材26の他端部、及び一端部が全閉用のリヤドアラッチ装置3の解除レバー(図示略)に連結された操作力伝達部材27の他端部がそれぞれ連結される。これにより、リリースレバー10がリリース方向(
図6、7において反時計方向)へリリース作動すると、当該リリース作動は、操作力伝達部材26、27を介して全閉用の各ドアラッチ装置2、3の解除レバーにそれぞれ伝達され、各ドアラッチ装置2、3は、それぞれラッチ解除作動して、全閉位置に保持されているドア1の開作動を可能にする。
【0044】
さらに、リリースレバー10の下部には、制御ピン33が摺動可能に係合する正面視ほぼL字状の制御孔103が設けられる。
【0045】
制御ピン33は、コネクトレバー13の長孔133、リリースレバー10の制御孔103及びロックレバー11の長孔111にそれぞれ摺動可能に係合することによって、ロックレバー11がアンロック位置にあるときには、制御孔103の上部103aに位置するアンロック位置に位置し、また、ロックレバー11がロック位置にあるときには、制御孔103の下部103bに位置するロック位置に位置する。
【0046】
ロックレバー11及び制御ピン33がアンロック位置にある場合には、コネクトレバー13のリリース作動は、制御ピン33を介してリリースレバー10に伝達され、リリースレバー10のリリース作動に基づいて全閉用の各ドアラッチ装置2、3をラッチ解除作動させることができる。また、ロックレバー11及び制御ピン33がロック位置にある場合には、コネクトレバー13がリリース作動しても、制御ピン33が制御孔103の下部103bを相対的に後方へ空振り移動するだけで、コネクトレバー13のリリース作動は、リリースレバー10には伝達されない。よって、全閉用の各ドアラッチ2、3をラッチ解除作動させることはできない。
【0047】
なお、以下の説明において使用する操作中継装置5の「アンロック状態」は、ロックレバー11及び制御ピン33がアンロック位置にある状態を指し、同じく「ロック状態」は、ロックレバー11及び制御ピン33がロック位置にある状態を指す。また、アクチュエータ14は、操作中継装置5の状態変化に連動して、アンロック状態及びロック状態に切り替わる。
【0048】
次に、
図4、10に基づいて、リリースレバー10、コネクトレバー13、インサイドレバー8及びアウトサイドレバー7を、ベースプレート6の表面(車内側を向く面)に同軸(シャフト15)によりそれぞれ回動可能に枢支するための枢支構造について説明する。
【0049】
ベースプレート6の表面には、当該表面側からリリースレバー10、コネクトレバー13、インサイドレバー8、アウトサイドレバー7の順序でシャフト15の軸方向へ重ね合った状態で、それぞれが独立して回動可能に枢支される。
【0050】
ベースプレート6の表面には、シャフト15の中心を中心とする直径Dの円形環状の環状突条部64がリリースレバー10の裏面側へ向けて突出するようにエンボス加工される。これにより、板金により形成されるベースプレート6の母材の板厚のバラツキの影響を受けることなく、ベースプレート6の裏面と環状突条部64の頂面間の板厚方向の寸法t0を予め定めた設定通りの寸法にすることが可能となる。
【0051】
リリースレバー10の表面には、シャフト15の中心を中心とする直径が直径Dより大径の直径D1であって、コネクトレバー13の裏面に向けて突出する円形環状の環状突条部104がエンボス加工により形成される。また、エンボス加工する際、リリースレバー10の裏面には、環状突条部104に対応する円形環状の環状凹部105が同時に形成される。
【0052】
上述により、板金により形成されるリリースレバー10の母材の板厚のバラツキの影響を受けることなく、リリースレバー10の裏面と環状突条部104の頂面との間、すなわち板厚方向の寸法t1を予め定めた設定通りの寸法とすることが可能となる。また、ベースプレート6の環状突条部64の直径Dとリリースレバー10の環状突条部104の直径D1とが互いに異なることによって、ベースプレート6の環状突条部63が、リリースレバー10の環状凹部105に嵌ることがないので、リリースレバー10の円滑な回動が可能になる。
【0053】
コネクトレバー13の表面には、シャフト15の中心を中心とする直径が直径D1より小径の直径D2であって、インサイドレバー8の裏面に向けて突出する円形環状の環状突条部134がエンボス加工により形成される。また、エンボス加工する際、コネクトレバー13の裏面には、環状突条部134に対応する環状の環状凹部135が同時に形成される。
【0054】
上述により、板金により形成されるコネクトレバー13の母材の板厚のバラツキの影響を受けることなく、コネクトレバー13の裏面と環状突条部134の頂面との間、すなわちコネクトレバー13の板厚方向の寸法t2を予め定めた設定通りの寸法とすることが可能となる。また、リリースレバー10の環状突条部104の直径D1とコネクトレバー13の環状突条部134の直径D2とが互いに異なることによって、リリースレバー10の環状突条部104が、コネクトレバー13の環状凹部135に嵌ることがないので、互いに重なり合うリリースレバー10及びコネクトレバー13の円滑な回動が可能になる。
【0055】
インサイドレバー8の表面にも、シャフト15の中心を中心とする直径が直径D2より小径の直径D3であって、アウトサイドレバー7の裏面に向けて突出する円形環状の環状突条部83がエンボス加工により形成される。また、エンボス加工する際、インサイドレバー8の裏面にも、環状突条部83に対応する環状の環状凹部84が同時に形成される。
【0056】
上述により、板金により形成されるインサイドレバー8の母材の板厚のバラツキの影響を受けることなく、インサイドレバー8の裏面と環状突条部83の頂面との間、すなわちインサイドレバー8の板厚方向の寸法t3を予め定めた設定通りの寸法とすることが可能となる。また、コネクトレバー13の環状突条部134のD2とインサイドレバー8の環状突条部83の直径D3とが互いに異なることによって、コネクトレバー13の環状突条部134が、インサイドレバー8の環状凹部84に嵌ることなく、互いに重なり合うコネクトレバー13及びインサイドレバー8の円滑な回動を可能にする。
【0057】
上述のように、ベースプレート6、リリースレバー10、コネクトレバー13及びインサイドレバー8のそれぞれの表面にエンボス加工により環状突条部64、104、134及び83を形成したことによって、ベースプレート6に複数の各レバー10、13、8、7を同軸のシャフト15で枢支した構造にあっても、各レバー10、13、8、7の板厚方向、すなわち各レバー10、13、8、7の重なり方向の寸法を各母材の板厚のバラツキの影響を除去することが可能となる。これにより、互いに重なり合う各レバー10、13、8、7同士の間に軸方向に大きな隙間が発生して、各レバー10、13、8、7が軸方向へがたついたり、また、逆に各レバー10、13、8、7同士の間に隙間が全く無くなったりして、各レバー10、13、8、7の回動が重くなるような不具合を解消して、各レバー10、13、8、7の円滑な回動を可能にする。さらには、各レバー10、13、8、7の互いに対向する面同士が面接触しないので、より円滑な回動を可能にする。さらには、各レバー10、13、8、7の重なり方向(板厚方向)の寸法を予め定めた設定通りにすることが可能になることから、シャフト15に形成される段付きを数を枢支する各レバー10、13、8、7の数よりも少なくすること可能となり、シャフト15の製造コストを低減することが可能となり、コスト低減を図ることができる。
【0058】
次に、アクチュエータ14について説明する。
アクチュエータ14は、主に
図6〜9に示すように、正面視ほぼ矩形のベースプレート6の外形の前下部の角部に沿うように固定される正面視ほぼL字状のハウジング141を備え、ハウジング141における車外側を向く外面には、車内外方向を向く支軸35により枢支される出力レバー34(
図8参照)が枢支され、また、同じく車内側を向く外面には、車内外方向を向く支軸45回りに前後方向へ揺動可能な被検出レバー36が枢支される。なお、
図7は、ハウジング141内の構造を明示するため、ハウジング141のカバー1410及びハウジング141内に固定されるプレート142を省略した状態を示す。
【0059】
ハウジング141内には、モータ37と、モータ37の下方にあって、車内外方向を向く支軸38により枢支されるウォームホイール39と、支軸35により枢支され、出力レバー34と一体的に回動可能なアクティブレバー40と、アウトサイドレバー7の位置を直接検出するための第1検出スイッチ29と、チャイルドプルーフレバー12の位置を直接検出するための第2検出スイッチ30と、アクティブレバー40の位置を直接検出するためのアクティブレバー検出スイッチ41と、被検出レバー36と一体的に回動する内部被検出レバー42と、被検出レバー36及び内部被検出レバー42を介してインサイドハンドルIH3の操作を直接検出するためのインサイドハンドル検出スイッチ43とが設けられる。
【0060】
さらに、ハウジング141内には、ハウジング141内を車内側から覆うように固定されるプレート142が設けられる。主に、
図9に示すように、プレート142の車内側を向く表面には、モータ37、第1、2被検出スイッチ29、30、各検出スイッチ41、43にそれぞれ電気的に接続される通電性の多数のターミナルプレート143が集約されて固定される。これにより、モータ37、第1、2被検出スイッチ29、30、各検出スイッチ41、43は、各ターミナルプレート143、及びプレート142の下部に設けられるコネクタ部1411に接続される電線(図示略)を介して制御回路装置に電気的に接続される。
【0061】
ウォームホイール39は、モータ37の回転軸に止着されたウォーム371に噛合し、モータ37の回転により正逆回転可能であって、両回転面には軸方向へ突出する係合部391が設けられる。なお、ウォームホイール39の車外側の回転面に設けられる係合部391については、図面の関係上、図示は省略する。
【0062】
アクティブレバー40は、モータ37の正転によるウォームホイール39のアンロック方向(
図7において反時計方向)への回転に基づいて、ウォームホイール39の車内側の回転面に設けられた係合部391に当接することで
図7に示すアンロック位置に揺動し、また、モータ37の逆転によるウォームホイール39のロック方向(
図7において時計方向)への回転に基づいて、ウォームホイール39の車外側の回転面に設けられた係合部391に当接することでアンロック位置から反時計方向へ所定角度揺動したロック位置(
図13参照)に回動する。
【0063】
出力レバー34は、アクティブレバー40と一体的に回動可能であると共に、上端部がロックレバー11の下部に連結される。これにより、出力レバー34が、モータ37の回転によりアクティブレバー40と共にアンロック位置及びロック位置に移動することにより、ロックレバー11もアンロック位置及びロック位置に移動する。
【0064】
被検出レバー36は、操作中継装置5及びインサイドハンドル装置IHをドア1に組み付けた状態において、ハウジング141におけるインサイドハンドルIH3に対向する車内側を向く側面に支軸45により枢支されると共に、インサイドハンドルIH3の連結部LH33間にインサイドハンドルIH3の回動方向に係合することによって、インサイドハンドルIH3に直接連結され、インサイドハンドルIH3のドア開操作に基づいて前方へ揺動し、また、同じくドア閉操作に基づいて後方へ揺動する。
【0065】
内部被検出レバー42は、ハウジング141内で被検出レバー36と一体的に前方または後方へ回動する。すなわち内部被検出レバー42は、被検出レバー36と共にインサイドハンドルIH3に直接連結されるものであって、インサイドハンドルIH3にケーブル、ロッド等の操作力伝達部材を介して間接的に連結されるものではないため、インサイドハンドルIH3の操作に確実に同期移動する。よって、インサイドハンドル検出スイッチ43は、内部被検出レバー42を介して被検出レバー36の作動を検出することで、インサイドハンドルIH3の操作を確実に検出することが可能となる。
【0066】
インサイドハンドル検出スイッチ43は、ハウジング141の縦部屋141f内に取り付けられ、被検出レバー36及び内部被検出レバー42の揺動方向を検出することで、インサイドハンドルIH3の操作方向を検出し、その検出信号を制御回路装置に送信する。制御回路装置は、インサイドハンドル検出スイッチ43からの検出信号に基づき、開操作信号を入力したときには電動開閉装置PSDを開駆動制御(ドア1を開方向へ移動させるための制御)し、閉操作信号を入力したときには電動開閉装置PSD(ドア1を閉方向へ移動させるための制御)を閉駆動制御を実行する。
【0067】
アウトサイドレバー7を検出するための第1検出スイッチ29は、センサー部291のみがハウジング141の上面、すなわちアウトサイドレバー7の被検出部75に対向する面に設けた小孔141aから露出するように、ハウジング141における後方に延出する横部屋141c内に固定される。ハウジング141の小孔141aは、ハウジング141内への雨水浸入を阻止し得るように、第1検出スイッチ29のスイッチ本体292により密閉される。また、ハウジング141における第1検出スイッチ29のセンサー部291の両側には、アウトサイドレバー7の被検出部75をその移動方向へ案内するためのガイド部141d、141dが突設される。
【0068】
アウトサイドレバー7がリリース作動し、アウトサイドレバー7の被検出部75が第1検出スイッチ29のセンサー部291に当接することによって、第1検出スイッチ29は、アウトサイドレバー7がリリース作動したことを検出し、当該検出信号を制御回路装置に送信する。制御回路装置は、第1検出スイッチ29の検出信号に基づいて、電動開閉装置PSDをドア1が全閉位置にあれば開駆動制御し、また、ドア1が全開位置にあれば閉駆動制御する。また、アウトサイドレバー7の被検出部75は、ガイド部141d、141dにより移動方向へガイドされるため、センサー部291に対して確実に当接する。これにより、第1検出スイッチ29は、アウトサイドレバー7の作動を確実に検出することが可能となる。
【0069】
チャイルドプルーフレバー12を検出するための第2検出スイッチ30は、センサー部301のみがハウジング141の最上面、すなわちチャイルドプルーフレバー12の被検出部122に対向する面に設けた小孔141bから露出するように、ハウジング141における上方へ延出する縦部屋141f内に固定される。ハウジング141の小孔141bは、ハウジング141内への雨水浸入を阻止し得るように、第2検出スイッチ30のスイッチ本体302により密閉される。また、ハウジング141における第2検出スイッチ30のセンサー部301の側方には、チャイルドプルーフレバー12の被検出部122をその移動方向へ案内するためのガイド部141eが設けられる。
【0070】
チャイルドプルーフレバー12がロック位置に移動し、チャイルドプルーフレバー12の被検出部122が第2検出スイッチ30のセンサー部301に当接すると、第2検出スイッチ30は、チャイルドプルーフレバー12がロック位置に移動したこと、すなわちチャイルドプルーフロック状態であることを検出し、当該検出信号を制御回路装置に送信する。また、チャイルドプルーフレバー12の被検出部122は、ガイド部141eにより移動方向へガイドされるため、被検出部122のセンサー部301への当接が確実になり、チャイルドプルーフレバー12の作動を確実に検出することが可能となる。
【0071】
上述のように、アクチュエータ14のハウジング141内に、モータ37と共に、各検出スイッチ29、30、41、43及び各検出スイッチ29、30、41、43に電気的に接続されるターミナルプレート143を設けたことによって、操作中継装置5のベースプレート6上に、各レバー11、12、13を検出するための各検出スイッチ41、30、29及びインサイドハンドルIH3の操作を検出するためのインサイドハンドル検出スイッチ43、並びに各検出スイッチ29、30、41、43に電気的に接続される電線を一切設ける必要はない。よって、各スイッチ29、30、41、43の防水性の向上を図ることが可能になると共に、ハウジング141外において各スイッチ29、30、41、43に電気的に接続される電線も不要となることからコストの低減を図ることが可能になる。さらには、モータ37の配線と各スイッチ29、30、41、43の配線とを纏めて行うことができるため、よりコストの低減を図ることができる。さらには、アクチュエータ14のハウジング141を、正面視ほぼ矩形のベースプレート6の外形の前下部の角部に沿うように固定される正面視ほぼL字状とすると共に、ベースプレート6には各検出スイッチ29、30、41、43が一切配置されないため、ベースプレート6に配置される各種レバーのレイアウトの自由度を向上させることができる。
【0072】
次に、本実施形態の作用を
図11〜15を参照しつつ説明する。
(ドア1が全閉位置に保持され、操作中継装置5がアンロック状態、チャイルドプルーフレバー12がアンロック位置にある場合に、アウトサイドハンドルOHがドア開操作されたとき)
【0073】
ドア1が全閉位置に保持されて場合には、全閉用の各ドアラッチ装置2、3は、各ストライカに係合し、操作中継装置5がアンロック状態にある場合には、
図11に示すように、ロックレバー11、制御ピン33、出力レバー34及びアクティブレバー40は、それぞれアンロック位置にある。
【0074】
図11に示すアンロック状態において、アウトサイドハンドルOHが操作されると、アウトサイドハンドルOHの操作は、操作力伝達部材17を介してアウトサイドレバー7に伝達される。アウトサイドレバー7は、ニュートラル位置からリリース方向(
図11において反時計方向)へ回動する。これにより、アウトサイドレバー7の押部74がコネクトレバー13の被押部132に下方から当接し、コネクトレバー13をスプリング31の付勢力に抗してリリース方向(
図11において反時計方向)へ回動させる。このとき、制御ピン33がコネクトレバー13の回動をリリースレバー10に伝達可能なアンロック位置に位置しているので、コネクトレバー13のリリース作動は、制御ピン33を介してリリースレバー10に伝達され、リリースレバー10もリリース方向へ回動する。
【0075】
図12に示すように、アウトサイドレバー7がリリース作動すると、アウトサイドレバー7の被検出部75は、アクチュエータ14のハウジング141の上面に沿って後方へ移動して第1検出スイッチ29のセンサー部291に当接する。これにより、第1検出スイッチ29は、アウトサイドレバー7がリリース作動したことを検出し、その検出信号を制御回路装置に送信する。
【0076】
リリースレバー10のリリース作動は、操作力伝達部材26、27を介して全閉用の各ドアラッチ装置2、3に伝達して全閉用の各ドアラッチ装置2、3をラッチ解除作動させる。そして、ラッチ解除作動が完了した直後、制御回路装置は、第1検出スイッチ29の検出信号に基づいて、ドア開閉装置PSDを開駆動制御する。これにより、ドア1は、ドア開閉装置PSDの動力をもって開方向へ移動する。
【0077】
なお、
図11に示すアンロック状態において、ドア開閉用の操作スイッチを開操作した場合には、リリースアクチュエータACTが作動することで、アウトサイドハンドルOHが操作されたときと同様な作動をもって、アウトサイドレバー7をリリース作動させて、全閉用の各ドアラッチ装置2、3をラッチ解除作動させてドア1を開けることが可能である。
【0078】
(ドア1が全閉位置に保持され、操作中継装置5がアンロック状態、チャイルドプルーフレバー12がアンロック位置にある場合に、インサイドハンドルIH3がドア開操作されたとき)
図11に示す状態において、インサイドハンドルIH3がドア開操作されると、インサイドハンドルIH3のドア開操作は、操作力伝達部材25を介してインサイドレバー8に伝達される。インサイドレバー8は、ニュートラル位置からスプリング24の付勢力に抗してリリース方向(
図11において反時計方向)へ回動し、インサイドレバー8のリリース作動は、制御ピン33を介してコネクトレバー13に伝達される。これにより、アウトサイドレバー7がリリース作動したときと同様に、コネクトレバー13のリリース作動は、リリースレバー10に伝達されることによって、各ドアラッチ装置2、3をラッチ解除作動させてドア1の開方向へ移動を可能にする。
【0079】
(ドア1が全閉位置に保持され、操作中継装置5がアンロック状態、チャイルドプルーフレバー12がアンロック位置にある場合に、アクチュエータ14がロック操作されたとき)
図11に示す状態において、アクチュエータ14のモータ37がロック方向へ回転すると、その回転は、ウォーム371、ウォームホイール39を介して、アクティブレバー40及び出力レバー34で伝達され、アクティブレバー40及び出力レバー34のアンロック位置からロック位置への作動は、ロックレバー11に伝達される。これにより、
図13に示すように、ロックレバー11は、ターンオーバースプリング32の付勢力に抗して、アンロック位置からロック位置に移動し、制御ピン33もロック位置に移動することで、操作中継装置5はアンロック状態からロック状態に切り替わる。
【0080】
(ドア1が全閉位置に保持され、操作中継装置5がアンロック状態、チャイルドプルーフレバー12がアンロック位置にある場合に、ノブハンドルIH4がロック操作されたとき)
図11に示す状態において、ノブハンドルIH4がロック操作されると、当該操作は、操作力伝達部材44を介してロックレバー11に伝達され、ロックレバー11は、ターンオーバースプリング32の付勢力に抗して、アンロック位置からロック位置に移動する。これにより、
図13に示すように、ロックレバー11のロック位置への移動に連動して、出力レバー34、アクティブレバー40及び制御ピン33もロック位置に移動することで、操作中継装置5はアンロック状態からロック状態に切り替わる。
【0081】
(ドア1が全閉位置に保持され、操作中継装置5がロック状態、チャイルドプルーフレバー12がアンロック位置にある場合に、アウトサイドハンドルOHが操作されたとき)
操作中継装置5がロック状態にある場合には、
図13に示すように、ロックレバー11、制御ピン33、出力レバー34及びアクティブレバー40は、それぞれロック位置にある。
【0082】
図13に示す状態でアウトサイドハンドルOHが操作されると、アウトサイドハンドルOHの操作は、操作力伝達部材17を介してアウトサイドレバー7に伝達される。アウトサイドレバー7は、ニュートラル位置からリリース方向(
図13において反時計方向)へ回動し、押部74がコネクトレバー13の被押部132に下方から当接することにより、コネクトレバー13をスプリング31の付勢力に抗してリリース方向(
図13において反時計方向)へ回動させる。しかし、このとき、制御ピン33は、コネクトレバー13の回動をリリースレバー10へ伝達不能なロック位置に位置しているため、コネクトレバー13のリリース作動は、リリースレバー10に伝達されない。よって、全閉用の各ドアラッチ装置2、3をラッチ解除作動させることができず、ドア1を開けることはできない。
【0083】
(ドア1が全閉位置に保持され、操作中継装置5がロック状態、チャイルドプルーフレバー12がアンロック位置にある場合に、インサイドハンドルIH3がドア開操作されたとき)
【0084】
図13に示す状態において、インサイドハンドルIH3がドア開操作されると、インサイドハンドルIH3のドア開操作は、操作力伝達部材25を介してインサイドレバー8に伝達される。インサイドレバー8は、ニュートラル位置からスプリング24の付勢力に抗してリリース方向(
図13において反時計方向)へ回動する。この場合、制御ピン28がインサイドレバー8のリリース作動をコネクトレバー13に伝達可能なアンロック位置にあるため、インサイドレバー8のリリース作動は、コネクトレバー13に伝達される。しかし、このとき、制御ピン33は、ロック位置に位置しているため、アウトサイドレバー7がリリース作動したときと同様に、コネクトレバー13のリリース作動は、リリースレバー10に伝達されないため、全閉用の各ドアラッチ装置2、3をラッチ解除作動させることができず、ドア1を開けることはできない。
【0085】
(ドア1が全閉位置に保持され、操作中継装置5がロック状態、チャイルドプルーフレバー12がアンロック位置にある場合、アクチュエータACTがアンロックされたとき)
図13に示す状態において、アクチュエータ14のモータ37がアンロック方向へ回転すると、その回転は、ウォーム371、ウォームホイール39、アクティブレバー40及び出力レバー34を介してロックレバー11に伝達される。これにより、
図11に示すように、ロックレバー11がターンオーバースプリング32の付勢力に抗して、ロック位置からアンロック位置に移動すると共に、制御ピン33もアンロック位置に移動することにより、操作中継装置5はロック状態からアンロック状態に切り替わる。また、アクティブレバー検出スイッチ41は、アクティブレバー40がアンロック位置に移動した、すなわちロックレバー11がアンロック位置に移動したことを検出してアンロック検出信号を制御回路装置に送信する。
【0086】
(ドア1が全閉位置に保持され、操作中継装置5がロック状態、チャイルドプルーフレバー12がアンロック位置にある場合に、ノブハンドルIH4がアンロックされたとき)
図13に示す状態において、ノブハンドルIH4がアンロック操作されると、当該操作は、操作力伝達部材44を介してロックレバー11に伝達され、ロックレバー11は、ターンオーバースプリング32の付勢力に抗して、ロック位置からアンロック位置に移動する。これにより、ロックレバー11のアンロック位置への移動に連動して、制御ピン33、出力レバー34及びアクティブレバー40もアンロック位置に移動し、操作中継装置5はロック状態からアンロック状態に切り替わる。
【0087】
(ドア1が全閉位置に保持され、操作中継装置5がアンロック状態、チャイルドプルーフレバー12がロック位置にある場合に、アウトサイドハンドルOHが操作されたとき)
図14に示す状態で、アウトサイドハンドルOHが操作されると、アウトサイドハンドルOHの操作は、操作力伝達部材17を介してアウトサイドレバー7に伝達され、アウトサイドレバー7は、ニュートラル位置からリリース方向(
図14において反時計方向)へ揺動する。これにより、前述のチャイルドプルーフレバー12がアンロック位置にあるときと同様に、アウトサイドレバー7の押部74がコネクトレバー13の被押部132に下方から当接することにより、コネクトレバー13は、スプリング31の付勢力に抗してリリース方向(
図14において反時計方向)へ回動する。そして、コネクトレバー13のリリース作動は、制御ピン33を介してリリースレバー10に伝達され、リリースレバー10はリリース方向へ回動する。これにより、リリースレバー10のリリース作動は、操作力伝達部材26、27を介して全閉用の各ドアラッチ装置2、3に伝達され、全閉用の各ドアラッチ装置2、3をラッチ解除作動させてドア1の開方向へ移動を可能にする。
【0088】
(ドア1が全閉位置に保持され、操作中継装置5がアンロック状態、チャイルドプルーフレバー12がロック位置にある場合に、インサイドハンドルIH3がドア開操作されたとき)
図14に示すように、チャイルドプルーフレバー12がロック位置にある場合には、制御ピン28は、インサイドレバー8のリリース作動をコネクトレバー13に伝達不能なロック位置にある。したがって、この状態で、インサイドハンドルIH3がドア開操作され、当該操作をもってインサイドレバー8がリリース作動しても、当該リリース作動は、コネクトレバー13に伝達されない。よって、インサイドハンドルIH3のドア開操作は、全閉用の各ドアラッチ装置2、3に伝達されないため、ドア1を開けることはできない。
【0089】
(ドア1が全閉位置に保持され、操作中継装置5がロック状態、チャイルドプルーフレバー12がロック位置にある場合に、アウトサイドハンドルOHが操作されたとき)
図15に示す状態においてアウトサイドハンドルOHが操作されると、アウトサイドハンドルOHの操作は、操作力伝達部材17を介してアウトサイドレバー7に伝達され、アウトサイドレバー7は、ニュートラル位置からリリース方向(
図15において反時計方向)へ揺動する。しかし、この場合においては、制御ピン33がコネクトレバー13のリリース作動をリリースレバー10に伝達不能なロック位置に位置しているため、アウトサイドレバー7のリリース作動は、リリースレバー10に伝達されない。よって、全閉用の各ドアラッチ装置2、3をラッチ解除作動させることができず、ドア1を開けることはできない。
【0090】
(ドア1が全閉位置に保持され、操作中継装置5がロック状態、チャイルドプルーフレバー12がロック位置にある場合に、インサイドハンドルIH3がドア開操作されたとき)
図15に示す状態においてインサイドハンドルIH3がドア開操作されると、インサイドレバー8はリリース作動するが、制御ピン28がロック位置にあるため、インサイドレバー8のリリース作動は、コネクトレバー13及びリリースレバー10に伝達されない。よって、インサイドハンドルIH3のドア開操作は、全閉用の各ドアラッチ装置2、3に伝達されないため、ドア1を開けることはできない。
【0091】
(ドア1が全開位置に保持され、操作中継装置5がアンロック状態、チャイルドプルーフレバー12がアンロック位置にある場合に、アウトサイドハンドルOHが操作されたとき)
ドア1が全開位置に保持されている場合には、全開用ドアラッチ装置4はストライカに係合している。
【0092】
図11に示すアンロック状態においてアウトサイドハンドルOHが操作されると、ドア1が閉じているときと同様に、アウトサイドハンドルOHの操作は、操作力伝達部材17を介してアウトサイドレバー7に伝達され、
図12に示すように、アウトサイドレバー7がニュートラル位置からリリース方向へ揺動することにより、コネクトレバー13及びリリースレバー10もリリース作動する。また、これに同時に、アウトサイドレバー7の押部73がクランクレバー9の被押部93に後方から当接し、クランクレバー9をスプリング21の付勢力に抗してニュートラル位置からリリース方向へ作動させる。クランクレバー9の当該作動により、操作力伝達部材23を介して全開用ドアラッチ装置4をラッチ解除作動させて、ドア1の閉じ方向への移動が可能となる。
【0093】
(ドア1が全開位置に保持され、操作中継装置5がアンロック状態、チャイルドプルーフレバー12がアンロック位置にある場合に、インサイドハンドルIH3がドア閉操作されたとき)
図11に示す状態でインサイドハンドルIH3がドア閉操作されると、インサイドハンドルIH3のドア閉方向への操作は、操作力伝達部材22を介してクランクレバー9に伝達される。クランクレバー9は、リリース方向へ作動することによって、操作力伝達部材23を介して全開用ドアラッチ装置4をラッチ解除作動させて、ドア1の閉方向への移動を可能にする。
【0094】
(ドア1が全開位置に保持され、操作中継装置5がロック状態、チャイルドプルーフレバー12がアンロック位置にある場合に、アウトサイドハンドルOHが操作されたとき)
図13に示すロック状態においてアウトサイドハンドルOHが操作されると、ドア1が閉じている場合と同様に、アウトサイドハンドルOHの操作は、操作力伝達部材17を介してアウトサイドレバー7に伝達されることにより、アウトサイドレバー7はリリース作動する。当該リリース作動は、リリースレバー10に伝達されないが、アウトサイドレバー7の押部73がクランクレバー9の被押部93に後方から当接することで、ロック状態にあっても、クランクレバー9は、リリース方向へ作動し、全開用ドアラッチ装置4をラッチ解除作動させて、ドア1を閉じることが可能となる。
【0095】
(ドア1が全開位置に保持され、操作中継装置5がロック状態、チャイルドプルーフレバー12がアンロック位置にある場合に、インサイドハンドルIH3がドア閉方向へ操作されたとき)
図13に示す状態でインサイドハンドルIH3がドア閉操作されると、インサイドハンドルIH3のドア閉操作は、操作力伝達部材22を介してクランクレバー9に伝達され、クランクレバー9は、リリース作動する。これにより、クランクレバー9のリリース作動は、操作力伝達部材23を介して全開用ドアラッチ装置4に伝達され、ドア1を閉じることが可能となる。
【0096】
(ドア1が全開位置に保持され、操作中継装置5がアンロック状態、チャイルドプルーフレバー12がアンロック位置にある場合に、チャイルドプルーフレバー12がロック操作されたとき)
図11に示す状態において、ドア1の前端面から露出しているチャイルドプルーフレバー12の操作部121を人為的操作で押し下げることで、チャイルドプルーフレバー12は、アンロック位置からロック方向(
図11において反時計方向)へ回動し、
図14に示すロック位置に移動する。また、制御ピン28もチャイルドプルーフレバー12に連動してロック位置に移動する。
【0097】
チャイルドプルーフレバー12及び制御ピン28がロック位置に移動すると、チャイルドプルーフレバー12の被検出部122がアクチュエータ14におけるハウジング141の上面を沿うように後方へ移動することで、被検出部121が第2検出スイッチ30のセンサー部301に当接する。これにより、第2検出スイッチ30は、チャイルドプルーフレバー12がロック位置に移動したことを検出し、ロック検出信号を制御回路装置に送信する。
【0098】
(ドア1が全開位置に保持され、操作中継装置5がアンロック状態、チャイルドプルーフレバー12がロック位置にある場合、アウトサイドハンドルOHが操作されたとき)
図14に示す状態において、アウトサイドハンドルOHが操作されると、アウトサイドハンドルOHの操作は、操作力伝達部材17を介してアウトサイドレバー7に伝達される。アウトサイドレバー7のリリース作動は、押部73及び被押部93を介してクランクレバー9に伝達され、さらに、クランクレバー9のリリース作動は、操作力伝達部材23を介して全開用ドアラッチ装置4に伝達される。これにより、チャイルドプルーフレバー12がロック位置にあっても、全開用ドアラッチ装置4をラッチ解除作動させて、ドア1を閉じることが可能となる。
【0099】
(ドア1が全開位置に保持され、操作中継装置5がアンロック状態、チャイルドプルーフレバー12がロック位置にある場合に、インサイドハンドルIH3がドア閉操作されたとき)
図14に示す状態において、インサイドハンドルIH3がドア閉操作されると、当該操作は、操作力伝達部材22を介してクランクレバー9に伝達され、クランクレバー9はリリース作動する。これにより、クランクレバー9のリリース作動は、操作力伝達部材23を介して全開用ドアラッチ装置4に伝達される。これにより、チャイルドプルーフレバー12がロック位置にあっても、全開用ドアラッチ装置4をラッチ解除作動させて、ドア1を閉じることが可能となる。
【0100】
(ドア1が全開位置に保持され、操作中継装置5がロック状態、チャイルドプルーフレバー12がロック位置にある場合に、アウトサイドハンドルOHが操作されたとき)
図15に示す状態において、アウトサイドハンドルOHが操作されると、アウトサイドハンドルOHの操作は、操作力伝達部材17を介してアウトサイドレバー7に伝達される。アウトサイドレバー7のリリース作動は、押部73及び被押部93を介してクランクレバー9に伝達され、さらに、クランクレバー9のリリース作動は操作力伝達部材23を介して全開用ドアラッチ装置4に伝達される。これにより、ロック状態で、かつチャイルドプルーフレバー12がロック位置にあっても、全開用ドアラッチ装置4をラッチ解除作動させて、ドア1を閉じることが可能となる。
【0101】
(ドア1が全開位置に保持され、操作中継装置5がロック状態、チャイルドプルーフレバー12がロック位置にある場合に、インサイドハンドルIH3がドア閉操作されたとき)
図15に示す状態において、インサイドハンドルIH3がドア閉操作されると、当該操作は、操作力伝達部材22を介してクランクレバー9に伝達され、クランクレバー9はリリース作動する。これにより、クランクレバー9のリリース作動は、操作力伝達部材23を介して全開用ドアラッチ装置4に伝達される。これにより、ロック状態で、かつチャイルドプルーフレバー12がロック位置にあっても、全開用ドアラッチ装置4をラッチ解除作動させて、ドア1を閉じることが可能となる。
【0102】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、本実施形態に対して、次のような種々の変形や変更を施すことが可能である。
(a)第1検出スイッチ29及び第2検出スイッチ30の両方またはいずれか一方のセンサー部をハウジング141の側面から露出させる。この場合は、アウトサイドレバー17及び/またはチャイルドプルーフレバー12の各被検出部75、122を、ハウジング141の側面に沿って移動するようにする。