(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記変形可能部材の前記他方の面には、前記挿通孔と連通した部分であって前記変形可能部材の前記他方の面から遠ざかった位置で断面肉厚が小さくなるように設定された突出部が設けられており、
これに対応して、前記押部材の前記所定の面には、前記押部材の前記貫通孔と連通した部分であって前記押部材の前記所定の面から遠ざかった位置で径が小さくなるように設定された、前記変形可能部材の前記他方の面に設けられた突出部が挿入される窪部が設けられている、
請求項1又は2に記載の防水コネクタ。
前記押部材の前記窪部によって形成された円環状傾斜面は、前記変形可能部材の前記他方の面と前記押部材の前記所定の面との接触面に近い側に形成された円環状傾斜面と、これと連続した状態で前記接触面から遠い側に形成された円環状傾斜面との少なくとも2つから成り、前記遠い側に形成された円環状傾斜面の傾斜角は、前記近い側に形成された円環状傾斜面の傾斜角より大きい請求項3に記載の防水コネクタ。
前記変形可能部材の前記他方の面に設けられた突出部の傾斜角は、前記近い側に形成された円環状傾斜面の傾斜角と略同じ大きさであり、且つ、前記遠い側に形成された円環状傾斜面の傾斜角より小さい、請求項4に記載の防水コネクタ。
前記押部材は、前記貫通孔を形成する円弧の一部を前記押部材の外縁に向かって開放した第一部品と、開放した前記第一部品の一部を補完する円弧部材を有する第二部品と、の組み合わせによって形成されている請求項1乃至5のいずれかに記載の防水コネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来のコネクタ構造では、円筒状の端子挿入部132を圧縮させるために比較的大きな力が必要となり、また、例えば、端子挿入部ホルダ140に対してコネクタハウジング130を真っ直ぐに接近させることができなかった場合にはケーブルが曲がって環状凹部132bによる縮径が不完全となり、この結果、所望の防水効果が得られなくなるといった可能性もある。
【0007】
本発明はこのような従来技術における問題点を解決するためになされたものであり、簡単な作業によって、確実に防水を行うことができる防水コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ケーブルの一端に取り付けられる、相手コネクタと嵌合可能な防水コネクタであって、ハウジングと、前記ハウジングの内部に設置して使用される、前記ケーブルを整列させる整列孔を有した整列部材と、自身の一方の面を前記整列部材の所定の面と面接触させた状態で前記ハウジングの内部に設置して使用される変形可能部材であって、前記整列部材の整列孔と連通して前記ケーブルを挿通させる挿通孔を有した前記変形可能部材と、自身の所定の面を前記変形可能部材の前記一方の面とは反対側の他方の面と面接触させた状態で前記ハウジングの内部に設置して使用される押部材であって、前記変形可能部材の各挿通孔と連通して前記ケーブルを貫通させる貫通孔を有した前記押部材と、前記押部材を前記変形可能部材の側に押し付けた状態で前記整列部材に対して固定する固定部材と、を備え、前記変形可能部材の前記一方の面には、前記挿通孔と連通した部分であって前記変形可能部材の前記一方の面から遠ざかった位置で断面肉厚が小さくなるように設定された
円錐台形状の突出部が設けられており、これに対応して、前記整列部材の前記所定の面には、前記整列部材の前記整列孔と連通した部分であって前記整列部材の前記所定の面から遠ざかった位置で径が小さくなるように設定された、前記変形可能部材の前記一方の面に設けられた突出部が挿入される
円錐台形状の窪部が設けられており、
前記変形可能部材の前記一方の面に設けられた突出部の、前記断面肉厚が小さくなるように設定された一端付近を縮径させて、前記ケーブルと前記突出部との間の隙間を小さくして防水を行うことができることを特徴とする。
この構成によれば、簡単な作業によって、前記一方の面において前記突出部の先端付近を縮径させケーブルと突出部との間の隙間を小さくして確実に防水を行うことができる。
【0009】
上記防水コネクタにおいて、
前記変形可能部材の前記一方の面に設けられた突出部の傾斜角は、該突出部が挿入される窪部の傾斜角より小さくてもよい。また、上記防水コネクタにおいて、前記変形可能部材の前記他方の面には、前記挿通孔と連通した部分であって前記変形可能部材の前記他方の面から遠ざか
った位置で断面肉厚が小さくなるように設定され
た突出部が設けられており、これに対応して、前記押部材の前記所定の面には、前記押部材の前記貫通孔と連通した部分であって前記押部材の前記所定の面から遠ざか
った位置で径が小さくなるように設定された
、前記変形可能部材の前記他方の面に設けられた突出部が挿入される窪部が設けられて
いてもよい。
この構成によれば、押部材によって変形可能部材を容易に移動させることができる。
尚、この場合、前記押部材の前記窪部によって形成された円環状傾斜面は、前記変形可能部材の前記他方の面と前記押部材の前記所定の面との接触面に近い側に形成された円環状傾斜面と、これと連続した状態で前記接触面から遠い側に形成された円環状傾斜面との少なくとも2つから成り、
前記遠い側に形成された円環状傾斜面の傾斜角は、前記近い側に形成された円環状傾斜面の傾斜角より大きくてもよい。
また、前記変形可能部材の前記他方の面に設けられた突出部の傾斜角は、前記近い側に形成された円環状傾斜面の傾斜角と略同じ大きさであり、且つ、前記遠い側に形成された円環状傾斜面の傾斜角より小さくてもよい。
【0010】
また、上記防水コネクタにおいて、前記押部材は、前記貫通孔を形成する円弧の一部を前記押部材の外縁に向かって開放した第一部品と、開放した前記第一部品)の一部を補完する円弧部材を有する第二部品と、の組み合わせによって形成されていてもよい。
これにより、ケーブルに端子を取り付けたまま、それを防水コネクタから取り外すことができ、メンテナンスを容易にすることができる。
【0011】
上記防水コネクタにおいて、前記変形可能部材は表裏同一形状を有するものであってもよい。
このように表裏同一形状とすることにより、変形可能部材の取付作業時に、変形可能部材の表裏を確認する作業を不要とすることができる。
更に、上記防水コネクタにおいて、前記押部材の外縁に、前記ハウジングに対する前記押部材の向きを決定する部材を設け、これに対応して、前記押部材の外縁と接する前記ハウジングの内縁に、前記押部材の方向指示部材と対応する対応部材を設けてもよい。
これにより、ハウジングの内部に押部材を設置する際に、ハウジングに対する押部材の向きを決定することができるとともに、ハウジングの内部に押部材を設置された後、例えば、その後に固定部材によって押部材に回転する力が加わった場合でも、ハウジングに対する押部材の向きを維持することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡単な作業によって、確実に防水を行うことができる防水コネクタが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態による防水コネクタについて説明する。
【0015】
図1に、本発明の一実施形態による防水コネクタ1の背面斜視図を、
図2に、その分解斜視図を、
図3に、
図1の防水コネクタ1の分割斜視図における中心線断面図をそれぞれ示す。なお、
図3ではスリーブ27を省略している。
【0016】
本コネクタ1は、複数のケーブル10の一端にそれら複数のケーブル10を結線した状態で取り付けられる。各ケーブル10は、コネクタ1の先端側内部であって防水コネクタ1の嵌合口12付近に端子11を取り付けた状態で設けられる。これらの各ケーブル10は、本コネクタ1と相手コネクタ(図示されていない)との嵌合時に、端子11を介して相手コネクタの端子と接続される。尚、本実施形態では本コネクタ1と相手コネクタとの接続をバイヨネット接続によるものとしたが、接続方法は特に限定されない。
【0017】
コネクタ1には、主に、金属製のハウジング20と、このハウジング20の後端を支持する金属製の締付金具80と、更に、これらハウジング20と締付金具80によって形成される収容空間の内部に設置して使用される、絶縁ケース30、ガスケット40、及びクランプワッシャ60が含まれる。尚、絶縁ケース30以外の、ガスケット40及びクランプワッシャ60は、メンテナンス等のため、ハウジング20から取り外し可能な状態で設けられてもよい。
【0018】
ハウジング20は、全体として略円筒形状を有し、その内部に収容区間を形成する。前側部分には、ハウジング20に対して回動自在に設けたバイヨネット接続のためのスリーブ27を有する。
【0019】
絶縁ケース30は、ハウジング20の先端内部に固定して設けられ、ハウジング20とともにコネクタ1の嵌合口12を形成する。絶縁ケース30は、ハウジング20に対応して略円筒形状を有し、比較的硬い樹脂でできている。嵌合口12とは反対側の、絶縁ケース30の所定の面31には、絶縁ケース30の内部に向うにつれ径が小さくなる円錐台形状の窪部33が設けられている。コネクタ1を組み立てる際、この円錐台形状の窪部33には、ガスケット40の一方の面41aに設けられた突出部43aが挿入される。
絶縁ケース30には、各ケーブル10を個々に整列させるため、各ケーブル10に各々が対応する複数の整列孔34が設けられている。円錐台形状の窪部33は、これらの各整列孔34と連通した状態で設ける。これら整列孔34や窪部33を利用して、各ケーブル10、或いは、各ケーブル10の先端に取り付けられた端子11を整列させ、また、所定の位置に保持することができる。このように、絶縁ケース30は、少なくとも各ケーブル10を整列させる整列部材として機能する。
【0020】
図4に、ガスケット40の個品図を斜視図で示す。ガスケット40は、ハウジング20の後方からの水の浸入を防ぐため、絶縁ケース30の後方(ケーブル10の導出側)に設置される。絶縁ケース30、或いは、クランプワッシャ60との密着性を高めるため、例えばゴム等の比較的柔らかい物質で形成される。故に、ガスケット40は力を加えることによって容易に変形可能である。
ガスケット40は、全体として略扁平形状であって、ここでは特に表裏同一形状とされている。表裏同一形状とすることにより、コネクタ1の組み立て時に、ガスケット40の向きの確認作業を省くことができる。但し、必ずしも表裏同一形状とする必要はない。
ガスケット40の一方の面41aと他方の面41bには、それぞれ、これらの各面41a、41bから突き出た円錐台筒形状の突出部43a、43bが設けられている。コネクタ1を組み立てる際、これらの突出部43a、43bのうちの一方43aは、絶縁ケース30に設けた円錐台形状の窪部33に挿入され、他方43bは、クランプワッシャ60に設けた円錐台形状の窪部63に挿入される。
ガスケット40には、各ケーブルに対応する複数の挿通孔44が設けられている。円錐台筒形状の突出部43a、43bは、これら各挿通孔44と連通した状態で設ける。挿通孔44及び突出部43a、43bは、ガスケット40が絶縁ケース30の後方に設置された際、絶縁ケース30の各整列孔34と連通し得る。尚、本実施形態では3つの整列孔34を設けることとしているが、整列孔34の数は特に限定されない。この数は、設置すべきケーブルの数によって決定される。また、それらの配置位置も特に限定されるものではない。
【0021】
図5乃至
図6に、クランプワッシャ60の個品図を斜視図で示す。クランプワッシャ60は、ガスケット40の後方(ケーブル10の導出側)に設置される部品であって、コネクタ1の組み立ての際に、ガスケット40を絶縁ケース30側に向って押してハウジング20の内部へと移動させる押部材としても利用できる。勿論、クランプワッシャ60を利用せずに、ガスケット40そのものを移動させることもできるが、上述したようにガスケット40は比較的柔らかい物質で形成されているため、それ自体を動かすよりも、クランプワッシャ60を利用して移動させる方が作業が容易である。クランプワッシャ60は、ガスケット40よりも硬い、例えば、樹脂で形成されている。
【0022】
クランプワッシャ60の一方の面62には、クランプワッシャ60の内部に向うにつれ径が小さくなる円錐台形状の窪部63が設けられている。コネクタ1を組み立てる際、この円錐台形状の窪部63には、ガスケット40の他方の面41bに設けられた突出部43bが挿入される。
クランプワッシャ60には、絶縁ケース30やガスケット40と同様に、各ケーブル10に対応する複数の貫通孔64が設けられている。円錐台形状の窪部63は、これらの各貫通孔64と連通した状態で設ける。これらの各貫通孔64及び窪部63は、クランプワッシャ60がガスケット40の後方に設置されたときに、絶縁ケース30の各整列孔34やガスケット40の各挿通孔44と連通し得る。
【0023】
クランプワッシャ60の外縁69に、位置合わせ用の突起66を設けてもよい。クランプワッシャ60をハウジング20の内縁28に沿って挿入する際、これらの突起66を、ハウジング20の内縁28の入り口付近に設けた位置合わせ用の切欠26に対応させて、ハウジング20に対するクランプワッシャ60の向きを指示することができる。さらに、これらの突起66と切欠26を利用して、ハウジング20にクランプワッシャ60が設置された後も、ハウジング20に対するクランプワッシャ60の向きを維持することができる。この結果、例えば、締付金具80をハウジング20に螺子込む際に、クランプワッシャ60が締付金具80とともに回転することを防止できる。尚、これら突起66や切欠26は、上述の機能を果たすことができれば足り、例えば、クランプワッシャ60の外縁69に、窪み(図示されていない)を、これに対応して、ハウジング20の内縁28に、突起を設ける等してもよい。
【0024】
クランプワッシャ60は1つの部品として設けることもできるが、本実施形態に示すように、二分割構造とすることもできる。尚、この点に関連して、
図3の中心線断面図と、
図2の分割斜視図における中心線断面図は、クランプワッシャ60の部品に関して正確には対応していない。即ち、
図2は、クランプワッシャ60を二分割した状態で示しているのに対して、
図3は、それらを組み合わせた後の状態を示している点で、両者は異なる態様を示したものとなっている。この二分割構造は、例えば、防水コネクタ1のメンテナンスのためには有用である。メンテナンス時に、コネクタ1からケーブル10を取り外す必要が生じることがある。一般に、クランプワッシャ60の貫通孔64は、ケーブル10そのものを引き抜くのには十分な径を有するが、ケーブル10の先端に取り付けた、ケーブル10よりも大きな径を有する端子11まで引き抜くのには十分な大きさを有していない。このため、ケーブル10の先端に端子11が取り付けられている場合には、端子11が貫通孔64に引っ掛かり、ケーブル10を引き抜くことができないといった事態が生じてしまう。端子11を取り外すことなくケーブル10をクランプワッシャ60から外すことができれば、作業を簡易にすることができるとともに、その後に再び端子11を取り付ける必要もなくなる。
【0025】
図5乃至7を参照して、クランプワッシャの二分割構造を説明する。
図5の(a)及び(b)は、二分割可能な2つの部品、即ち、第一クランプワッシャ部品61と第二クランプワッシャ部品71とを組み合わせた状態を示す前面斜視図及び後面斜視図、
図6の(a)及び(b)は、二分割されたクランプワッシャ部品の一方、即ち、第一クランプワッシャ部品61を示す前面斜視図及び後面斜視図、
図7の(a)及び(b)は、二分割されたクランプワッシャ部品の他方、即ち、第二クランプワッシャ部品71を示す前面斜視図及び後面斜視図である。
【0026】
これらの図に示すように、第一クランプワッシャ部品61には、貫通孔64を形成する円弧の一部をクランプワッシャ60の外縁69に向かって開放することによってU字状開放部75が形成されている。また、これに対応して、第二クランプワッシャ部品71には、開放した外縁69を補完する円弧部材が形成されている。この円弧部材には、主として、本体を構成する環状部材78の貫通穴77と連続状態で設けられた円弧部分74と、更に、環状部材78から立設した弧状柱部76が含まれる。
【0027】
ここで、第一クランプワッシャ部品61に設けたU字状開放部75の最大幅「k」は、ケーブル10を引き抜くには十分な大きさを有するが、端子を通過或いは引き抜くのには十分な大きさとはなっていない点に注目していただきたい。このような大きさに設定されているにもかかわらず、分割された第一クランプワッシャ部品61のU字状開放部75を利用して、ケーブル10を外延(
図6の「A」方向)に向って動かすことにより、ケーブル10の先端に取り付けた端子11を貫通孔64やU字状開放部75に通すことなく、言い換えれば、ケーブル10の先端から端子11を取り除くことなく、端子11付きのケーブル10をクランプワッシャ60から取り外すことができる。
【0028】
第一クランプワッシャ部品61と第二クランプワッシャ部品71が組み合わされた際、第一クランプワッシャ部品61の背面側に設けられた略円状段部73と、第二クランプワッシャ部品71の背面側に設けた略環状段部79とが組み合わされて、比較的大きな円状段部72が形成される。この円状段部72は、締付金具80の所定部分(貫通穴81)と組み合わされて、締付金具80との結合を確実にするために利用できる。
【0029】
再び
図1乃至
図3を参照すれば、締付金具80は、ハウジング20に挿入されたガスケット40やクランプワッシャ60を絶縁ケース30に固定するため、或いは、クランプワッシャ60をガスケット40に固定するため、固定部材として機能する。締付金具80の先端内周面82には螺子が切られており、ハウジング20の後端外周面22に切られた螺子(図示されていない)と対応させて両者を固定できる。締付金具80をハウジング20に螺子込むに従って、締付金具80をハウジング20の先端側に移動させ、これにより、クランプワッシャ60をガスケット40に押し付け、これによって、ガスケット40を絶縁ケース30に押し付けて、ケーブル10の軸方向に沿って力を加えた状態でそれらを固定することができる。締付金具80の後端中央には、ケーブル10を貫通させる貫通穴81が設けられ更に、この貫通穴81の周囲には、フランジ83が形成されている。締付金具80をハウジング20に固定する際、貫通穴81に、クランプワッシャ60の円状段部72を位置付けるとともに、貫通穴81の周囲に形成されたフランジ83を、クランプワッシャ60の他方の面65に形成された、円状段部72の低位部分に突き当てるようにして、締付金具80の所定位置にクランプワッシャ60を配置することができる。
【0030】
次いで、
図3とともに
図8乃至
図11の断面図を参照して、本コネクタ1の組立工程について説明する。
図8乃至
図11は、コネクタ1の組立工程を時系列的に示した断面図であり、
図3同様にスリーブ27を省略している。
【0031】
先ず、各部品を
図3に示す状態に配置した後、
図8に示すように、クランプワッシャ60をケーブル10に沿ってガスケット40の側に移動させ、クランプワッシャ60をガスケット40と突き合わせる。このとき、クランプワッシャ60の一方の面62は、ガスケット40の他方の面41bと面接触し、更に、ガスケット40の円錐台筒形状の突出部43bは、クランプワッシャ60に設けた円錐台形状の窪部63に挿入される。
次いで、
図9に示すように、クランプワッシャ60とガスケット40を組み合わせた状態で、例えば、クランプワッシャ60を手で掴んで(つまり、ガスケット40は手で掴むことなく)、クランプワッシャ60を利用して、ガスケット40をクランプワッシャ60とともにケーブル10に沿って絶縁ケース30側に移動させ、クランプワッシャ60の一方の面62の全体でガスケット40をハウジング20の内部に押込んで、ガスケット40を絶縁ケース30に突き合わせる。このとき、ガスケット40における、他方の面41bとは反対側の一方の面41aが、絶縁ケース30の所定の面31と面接触し、更に、ガスケット40の円錐台筒形状の突出部43aは、絶縁ケース30に設けた円錐台形状の窪部33に挿入される。
【0032】
更に、
図10に示すように、締付金具80をハウジング20の側に移動させ、締付金具80のフランジ83とクランプワッシャ60の他方の面65を面同士で突き当てた状態とした後、
図11に示すように、締付金具80をハウジング20に螺子込むことにより、ガスケット40の反発力に抗してガスケット40やクランプワッシャ60をガスケット40側に移動させ、それらを絶縁ケース30に強く押し付けた状態で固定することができる。
【0033】
次いで、
図3や
図8乃至
図11とともに
図12、
図13を参照して、ガスケット40の突出部43a、43bと、絶縁ケース30やクランプワッシャ60の窪部33、63とを設けたことによる作用を説明する。ここで
図12、
図13は、共に、突出部43a、43bと窪部33、63との関係を簡略化して示した部分拡大図であり、
図12は、特に、
図3に対応する図であって、突出部43a、43bが窪部33、63に挿入される前の状態を、
図13は、特に、
図11に対応する図であって、突出部43a、43bが窪部33、63に完全に挿入され、ガスケット40やクランプワッシャ60が締付金具80によって完全に固定された状態を、それぞれ示す。尚、本実施形態では、一例として、絶縁ケース30に対する締付金具80の固定方向(
図12や
図13に示す矢印「B」方向)に沿う、突出部43a、43bの突出距離「a」、「a’」と、同方向「B」に沿う窪部33の窪み距離「b」、更に、同方向「B」に沿う窪部63における一の円環状傾斜面67の窪み距離「c」は、全て同じ大きさに設定されているものとし、更に、窪部63には、円環状傾斜面67に加え、窪み距離「a」よりも短い窪み距離「d」を与える円環状傾斜面67’が形成されているものとする。但し、これらの及び以下に記載する寸法や角度等は、いずれも一例であって、これらの寸法等に本発明を限定しようとしたものではない。
【0034】
先ず、突出部43aと窪部33による作用を説明する。
図12に示すように、突出部43aは固定方向「B」に直交する方向に沿って断面肉厚「e」を有し、この断面肉厚「e」の大きさは、ガスケット40の一方の面41aと絶縁ケース30の所定の面31との接触面から遠ざかるにつれ小さくなるように設定されている。ここで、突出部43aは傾斜角「α」を有するものとする。
これに対応して、窪部33は固定方向「B」に直交する方向に沿って径「f」を有し、この径「f」の大きさは、ガスケット40の一方の面41aと絶縁ケース30の所定の面31との接触面から遠ざかるにつれ小さくなるように設定されている。ここで、窪部33によって形成される円環状傾斜面37は、所定の傾斜角「γ」を有するものとする。
本実施形態では、突出部43aの傾斜角「α」が、窪部33の傾斜角「γ」よりも小さく設定されている点に注意していただきたい。この結果、
図13に示すように、ガスケット40の一方の面41aと絶縁ケース30の所定の面31とが面接触され窪部33に突出部43aが挿入される際、突出部43aは、窪部33の円環状傾斜面37に、突出部43aの先端付近46から徐々に衝突し、窪部33への挿入につれ、突出部43aの先端付近46は、窪部33の円環状傾斜面37によって全周方向から縮径されることになる。このような方法で、突出部43aに挿通されたケーブル10は、比較的小さな力で縮径される突出部43aによって全周方向から締め付けられ、この結果、防水をより完全なものとすることができる。
【0035】
次いで、突出部43bと窪部63による作用を説明する。
図12に示すように、突出部43bは固定方向「B」に直交する方向に沿って断面肉厚「g」を有し、この断面肉厚「g」の大きさは、ガスケット40の他方の面41bとクランプワッシャ60の一方の面62との接触面から遠ざかるにつれ小さくなるように設定されている。ここでは一例として、突出部43bは傾斜角「β」を有するものとする。上に説明したように、本実施形態では、ガスケット40は表裏面同一形状を有するため、突出部43bの断面肉厚「g」は、突出部43aの断面肉厚「e」と同じであり、また、その傾斜角「β」は、突出部43aの傾斜角「α」と同じである。
この突出部43bに対応して、窪部63の径「h」及び「h’」の大きさは、ガスケット40の他方の面41bとクランプワッシャ60の一方の面62との接触面から遠ざかるにつれ小さくなるように設定されており、更にここでは、これらの径の大きさが窪部63の途中で急激に小さくなるように設定されている。この結果、窪部63には、接触面に近い側に形成された円環状傾斜面67と、これと連続した状態で、同接触面から遠い側に形成された円環状傾斜面67’の2種類が形成されていることになる。一例として、ここでは、円環状傾斜面67は傾斜角「θ」を、また、円環状傾斜面67’は傾斜角「θ’」を有するものとする。また、ここでは、円環状傾斜面67の傾斜角「θ」は、突出部43bの傾斜角「β」と略同じ大きさに、また、円環状傾斜面67’の傾斜角「θ’」は、突出部43bの傾斜角「β」よりも大きく設定されているものとする。このような大小関係を設けたことにより、
図8に示すように、ガスケット40の他方の面41bとクランプワッシャ60の一方の面62が面接触され、ガスケット40の突出部43bがクランプワッシャ60の窪部63に挿入される際に、ガスケット40の突出部43bは、円環状傾斜面67と接触するとともに、該突出部43bの先端付近45において円環状傾斜面67’とのみ実質的に衝突した状態となる。
ガスケット40の突出部43bをその先端付近45において窪部63と衝突させた状態で、
図9に示すように、クランプワッシャ60を絶縁ケース30に向って固定方向「B」に沿って移動させることにより、ガスケット40は、クランプワッシャ60とともに、突出部43bの先端付近45と円環状傾斜面67’との衝突を通じてガスケット40の他方の面41bとクランプワッシャ60の所定の面62との衝突面側に移動する。この場合、突出部43bが、突出部43aのように縮径されることはなく、従って、突出部43bによって、ガスケット40やクランプワッシャ60の移動が妨げられることはない。なぜなら、突出部43bの突出距離「a’」と、窪部63の窪み距離「c」は、同じ大きさに設定されており、また、突出部43bは、その先端付近45において円環状傾斜面67’とのみ実質的に衝突するようになっているため、ガスケット40の突出部43bが、クランプワッシャ60の円環状傾斜面67、67’によって縮径されることはないからである。この結果、ガスケット40は、クランプワッシャ60とともに、固定方向「B」に沿って比較的スムーズに移動し得ることになる。
その後、
図10に示すように、締付金具80をハウジング20の側に移動させ、締付金具80のフランジ83とクランプワッシャ60の他方の面65とを互いに突き当てた状態とする。この状態で締付金具80をハウジング20に螺子込むことにより、
図11や
図13に示すように、ガスケット40は、クランプワッシャ60とともに絶縁ケース30の側に移動し、また、突出部43bは、突出部43aと同様に、その先端付近45において円環状傾斜面67’によって縮径される。更にこのとき、ガスケット40のうち、その一方の面41aと他方の面41bの間に挟まれた一部42が、締付金具80やクランプワッシャ60によって絶縁ケース30に押し付けられることにより狭幅とされ、つまり、
図12に示したガスケット部42の幅「j」がこの幅「j」よりも小さい
図13に示すような幅「j’」とされ、行き場を失ったガスケット部42は、部分的に、唯一の隙間であるケーブル10とガスケット40の挿通孔44との間の隙間に押しやられる。これにより、ガスケット部42の一部によって、ケーブル10と挿通孔44との間の隙間が埋められることになり、防水はより完全なものとされる。すなわち、締付金具80をハウジング20に固定した
図11、
図13に示す状態では、ガスケット40とケーブル10との間、ガスケット40とクランプワッシャ60との間、および、ガスケット40と絶縁ケース30との間の隙間がガスケット40によって埋められる(言い換えれば、ガスケット40が、ケーブル10、クランプワッシャ60および絶縁ケース30と隙間なく密着する)こととなり、防水をより完全なものとできる。
【0036】
尚、本実施形態では、突出部43a、43bの突出距離「a」、窪部33の窪み距離「b」、及び、窪部63の窪み距離「c」を、全て同じ大きさであると仮定したが、当業者には容易に明らかなように、これらは必ずしも同じ大きさである必要はない。本発明の上述のような防水効果が得られるのであれば、それらの寸法は自由に変更することができる。また、これらの突出距離や窪み距離との関係で、傾斜角を変更してもよいことは勿論である。更に、本実施形態では、円環状傾斜面(傾斜角)を2種類、即ち、円環状傾斜面67と67’を設ける態様のみを示したが、これに限らず3種類以上の傾斜面を設ける態様としてもよいことは勿論である。このように、本発明は、上記の実施形態に必ずしも限定されるものではない。