(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の包装箱では、包装箱の長手方向と直交する方向の側板が一枚のみであり、強度的に弱いという問題点があった。また、特許文献1の包装箱を半組み立て状態(半製品の状態)とする際は、包装箱のブランク板の納入先において、主板(底板)に対し4枚の側板を折り曲げて略垂直に起立させ、さらに対向する一対の側板を把持して広げることにより傾斜(テーパー)を形成する二段階の作業を行う必要があった。また、多段階の傾斜を形成できる包装箱の場合、同じ角度の傾斜を形成できずに、却って半製品の状態での積み重ね性を損なうおそれもあった。
【0008】
また、包装箱として、内側と外側とに並列する2枚の側板と各側板の上端部を連結する天板とで構成された額縁状の側壁部を有するものが知られているが、このような包装箱は組み立て手順が複雑であり、特許文献1の方法をそのまま適用することは困難であった。
【0009】
本発明は上記問題点に鑑み、額縁状の側壁部を有する包装箱を予め所定の半製品に組み立てておくことにより、半製品を多数積み重ねることができ、且つ、包装作業時における完成品の組み立ても容易な包装箱を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、矩形状の主板と、該主板の対向する二辺に第1折曲線を介して連設される第1外側板と、前記主板の残りの二辺に第2折曲線を介して連設される第2外側板と、前記各第1外側板の前記主板と反対側に第3折曲線を介して連設される第1側板用天板と、該各第1側板用天板の前記第1外側板と反対側に第4折曲線を介して連設される第1内側板と、前記各第2外側板の前記主板と反対側に第5折曲線を介して連設される第2側板用天板と、該各第2側板用天板の前記第2外側板と反対側に第6折曲線を介して連設される第2内側板と、前記各第1外側板の側端縁に第7折曲線を介して連設され、且つ、前記各第1外側板の側端縁に直交する前記各第2外側板の側端縁に第8折曲線を介して連設される4枚の折込板と、前記各第1内側板の前記折込板と隣接する側端縁に第9折曲線を介して連設される4枚のフラップと、前記各第1内側板の前記第1側板用天板と反対側に第10折曲線を介して連設される第1側板用重合片と、前記主板の角部を通り、前記第7折曲線から略45°離れた方向に前記折込板の外縁部に向かって延びる直線上に形成される1本の主折込線と、前記主板の角部を通り、前記第7折曲線から前記主折込線よりも離れた方向に前記折込板の外縁部に向かって延びる直線上に形成される少なくとも1本の副折込線と、を有する包装箱のブランク板に、前記第1内側板及び前記第1側板用天板を前記第3折曲線で前記主板側に折り曲げて隣接する前記第1外側板に折り重ね、前記フラップを前記折込板の一部に折り重ねるとともに、折り重ねた状態で前記第1側板用重合片を前記主板に固定して第1側板を形成し、前記第1折曲線及び前記第8折曲線を外側の折曲線とし、前記第10折り曲げ線を内側の折曲線として前記第1側板を前記主板に折り重ね、前記フラップ及び前記折込板を前記第2外側板に折り重ねるとともに、前記折込板の前記フラップが重なり合わない非重合領域のうち、前記第8折曲線といずれかの前記副折込線との間の部分を固定領域として前記第2外側板に固定した包装箱の特殊ブランク板である。
【0011】
また本発明は、上記構成の包装箱の特殊ブランク板において、前記主折込線は、前記主板の角部から前記折込板の外縁部までの一部分に形成されており、前記副折込線の少なくとも1本は、前記主板の角部から前記折込板の外縁部まで連続して形成されていることを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記構成の包装箱の特殊ブランク板において、前記主折込線は、前記主板の角部から所定距離だけ離れた位置を始端として前記折込板の外縁部まで連続して形成されていることを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記構成の包装箱の特殊ブランク板において、前記主折込線は、複数のスリットと折罫線とが交互に連続するミシン目から成り、前記副折込線の少なくとも1本は、前記主板の角部を始端とする一本のスリットと、該スリットの終端から前記折込板の外縁部まで連続する一本のミシン目とから成ることを特徴としている。
【0014】
また本発明は、上記構成の包装箱の特殊ブランク板において、前記主折込線の始端と前記副折込線の少なくとも1本とを連結するバイパススリットを設けたことを特徴としている。
【0015】
また本発明は、上記構成の包装箱の特殊ブランク板において、前記各第2内側板の側端縁から外向きに突出する差込片が連設され、包装箱を組み立てた状態で前記差込片と対向する前記第1内側板の側端縁には前記フラップが存在しない部分が形成されており、前記各第2内側板の側端縁の前記差込片が存在しない部分から前記各フラップを前記第2外側板と前記第2内側板との隙間に差し込むとともに、前記第1内側板の側端縁の前記フラップが存在しない部分から前記各差込片を前記各第1外側板と前記第1内側板との隙間に差し込むことで前記第1側板及び第2側板が起立状態で固定されることを特徴としている。
【0016】
また本発明は、上記構成の包装箱の特殊ブランク板において、前記各第2内側板の前記第2側板用天板と反対側に第11折曲線を介して連設される第2側板用重合片を有し、包装箱を組み立てた状態で、前記第1側板用重合片の端縁と前記第2側板用重合片の端縁とが突き合わせ状態で配置されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1の構成によれば、第2外側板と折込板との固定領域が存在するため、特殊ブランク板の第1側板を引き起こす方向に力を加えるだけで、第2外側板が引き起こされて箱形状の半製品が組み立てられる。このとき、折込板は主折込線よりも固定領域に近接した副折込線で折り込まれるため、第1側面は主板に対して外側に所定のテーパーを形成するように広がった状態で起立する。従って、包装箱の半製品を多数積み重ねることができるので、作業効率が良くなる。また、半製品の配置スペースや保管スペースも小さくなる。そして、商品を包装する際は、第1側板を内向きに所定量だけ押し込むことにより、折込板が主折込線で折り込まれ、第1側板が垂直に起立した包装箱を簡単に形成することができる。
【0018】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の包装箱の特殊ブランク板において、主折込線は、主板の角部から折込板の外縁部までの一部分に形成されており、副折込線の少なくとも1本は、主板の角部から折込板の外縁部まで連続して形成されているため、副折込線は主折込線に比べて折り目が付きやすくなる。従って、第1側板を引き起こす方向に力を加えたとき折込板が確実に副折込線で折り込まれるため、第1側面が主板に対して所定のテーパーを有する包装箱の半製品を安定して組み立てることができる。
【0019】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第2の構成の包装箱の特殊ブランク板において、主折込線は、主板の角部から所定距離だけ離れた位置を始端として折込板の外縁部まで連続して形成されているため、第1側板を引き起こす際に折曲力が強く作用する主板の角部近傍において主折込線に折り目が付きにくくなり、折込板がより確実に副折込線で折り込まれる。
【0020】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第3の構成の包装箱の特殊ブランク板において、主折込線は、複数のスリットと折罫線とが交互に連続するミシン目から成り、副折込線の少なくとも1本は、主板の角部を始端とする一本のスリットと、該スリットの終端から折込板の外縁部まで連続する一本のミシン目とから成るため、副折込線は主折込線に比べて一層折り目が付きやすい構成となる。
【0021】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第3又は第4の構成の包装箱の特殊ブランク板において、主折込線の始端と副折込線の少なくとも1本とを連結するバイパススリットを設けることにより、折込板が副折込線で折り込まれている半製品の状態から、折込板が主折込線で折り込まれている完成品の状態への切替性を向上させることができる。
【0022】
また、本発明の第6の構成によれば、上記第1乃至第5のいずれかの構成の包装箱の特殊ブランク板において、各第2内側板の側端縁から外向き突出する差込片が連設され、包装箱を組み立てた状態で差込片と対向する第1内側板の側端縁にはフラップが存在しない部分が形成されており、各第2内側板の側端縁の差込片が存在しない部分から各フラップを第2外側板と第2内側板との隙間に差し込むとともに、第1内側板の側端縁のフラップが存在しない部分から各差込片を各第1外側板と第1内側板との隙間に差し込むだけで、第1側板と第2側板との起立状態を簡単に保持することができる。
【0023】
また、本発明の第7の構成によれば、上記第1乃至第6のいずれかの構成の包装箱の特殊ブランク板において、各第2内側板の第2側板用天板と反対側に第11折曲線を介して第2側板用重合片が連設され、包装箱を組み立てた状態で、第1側板用重合片の端縁と第2側板用重合片の端縁とが突き合わせ状態で配置されることにより、包装箱を組み立てたとき第1側板用重合片と第2側板用重合片とが重なり合わず、組み立て性及びデザイン性に優れた包装箱となる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書中における「特殊ブランク板」とは、折畳み、組立てが自在な身箱或いは蓋箱等の包装箱のブランク板を構成する側板や折込板、フラップ等を適宜折り重ねるとともに、折り重ねた状態で対向する面同士の一部を適宜接着した一種の半製品を意味する。特殊ブランク板の状態では全体が比較的平坦で、特殊ブランク板から側板を起立させて組み立てられる包装箱の半製品は、側板に外向きに広がるテーパーが付いているため積み重ね性(スタック性)に優れている。また、側板にテーパーが付いた半製品から側板が垂直に起立した包装箱の完成品が容易に組立てられる。
【0026】
図1は、本発明の第1実施形態に係る包装箱100の展開図であり、包装箱100の折り曲げ前の状態(ブランク板)を内面(印刷のされていない面)側から平面視した俯瞰図である。
図1に示すように、包装箱100は一枚の厚紙から打ち抜き加工されており、矩形状の主板1と、第1外側板2a、2bと、第2外側板3a、3bと、第1内側板4a、4bと、第2内側板5a、5bと、第1側板用天板6a、6bと、第2側板用天板7a、7bと、折込板8a〜8dと、フラップ9a〜9dと、第1側板用重合片10a、10bと、第2側板用重合片11a、11bから構成されている。
【0027】
第1外側板2a、2bは、主板1の対向する二辺(ここでは長手方向の二辺)に第1折曲線L1を介して連設されている。第2外側板3a、3bは、主板1の残りの二辺(ここでは長手方向に直交する方向の二辺)に第2折曲線L2を介して連設されている。また、第1内側板4a、4bは、それぞれ第1外側板2a、2bに第3折曲線L3、第1側板用天板6a、6b、第4折曲線L4を介して連設されており、第2内側板5a、5bは、それぞれ第2外側板3a、3bに第5折曲線L5、第2側板用天板7a、7b、第6折曲線L6を介して連設されている。
【0028】
第1外側板2aと第1側板用天板6aと第1内側板4a、及び、第1外側板2bと第1側板用天板6bと第1内側板4bは、包装箱100の組み立て時に断面コ字状に折り曲げられ、主板1の長手方向に沿って立設される一対の額縁状の第1側板21a、21bを構成する。同様に、第2外側板3aと第2側板用天板7aと第2内側板5a、及び、第2外側板3bと第2側板用天板7bと第2内側板5bは、第1側板21に隣接する一対の額縁状の第2側板22a、22bを構成する。
【0029】
折込板8a〜8dは、第1外側板2a、2bと第2外側板3a、3bの直交する側端縁の間に第7折曲線L7、第8折曲線L8を介して連設されており、主板1の4つの頂点を中心とする略扇形をなしている。また、各折込板8a〜6dには主折込線13と副折込線15とが形成されている。折込板8a〜8dの詳細な構成については後述する。
【0030】
フラップ9a〜9dは、第1内側板4a、4bの長手方向と直交する方向の側端縁に第9折曲線L9を介して連設されている。フラップ9a〜9bは、第1内側板4a、4bの側端縁の、第1側板用天板4a、4b側から約2/3の範囲に形成されている。
【0031】
第1内側板4a、4bの長手方向の側端縁には第10折曲線L10を介して第1側板用重合片10a、10bが連設されており、第2内側板5a、5bの長手方向の側端縁には第11折曲線L11を介して第2側板用重合片11a、11bが連設されている。
【0032】
第2内側板5a、5bの長手方向に直交する方向の側端縁には、それぞれ差込片12a、12bが折曲線を介さずに連設されている。差込片12a、12bは、第2内側板5a、5bの側端縁の、第2側板用重合片11a、11b側から約1/3の範囲に形成されている。
【0033】
第1〜第8折曲線L1〜L8は、折罫線で形成されている。また、第9折曲線L9〜第11折曲線L11は、複数のスリット(貫通切目)と折罫線とが交互に連続するミシン目で構成されている。なお、第9折曲線L9〜第11折曲線L11の両端部近傍にはスリットが形成されておらず、折罫線となっている。
【0034】
図2は、
図1における折込板8a付近の部分拡大図である。主折込線13は、複数のスリット(貫通切目)と折罫線とが交互に連続するミシン目で構成されている。この主折込線13は、主板1の角部P1から折込板8aの円弧状の外縁部に向かって延びる、第7折曲線L7から約45°離れた(中心角90°の略扇形状の折込板8aを略二等分する)仮想直線X1上に部分的に設けられている。
【0035】
ここで、「部分的に」とは、主板1の角部P1から折込板8aの外縁部に亘って主折込線13が連続して設けられているのではないという意味であり、本実施形態では、角部P1から折込板8aの外縁部までの長さをYと仮定した場合、角部P1(距離0)から距離3Y/5までの部分には主折込線13(ミシン目)を設けず、距離3Y/5から外縁部(距離Y)までの部分(距離2Y/5)に主折込線13(ミシン目)を設けている。
【0036】
副折込線15は、スリット(貫通切目)15aとミシン目15bの組合せで構成されている。この副折込線15は、主板1の角部P1から折込板8aの円弧状の外縁部に向かって延びる、第7折曲線L7から約60°離れた仮想直線X2上に全体的に設けられている。
【0037】
ここで、「全体的に」とは、主板1の角部P1から折込板8aの外縁部に亘って副折込線15(スリット15aとミシン目15b)が連続して設けられているという意味であり、本実施形態では、角部P1(距離0)から距離3Y/5までの部分には一本のスリット15aを設け、距離3Y/5から外縁部(距離Y)までの部分(距離2Y/5)には一本のミシン目15bを設けている。
【0038】
主折込線13及び副折込線15は、共に折込板8aの折曲手段としての機能を有するが、副折込線15は折込板8aの外縁部から角部P1まで連続して形成されているのに対し、主折込線13は角部P1の近傍には形成されていない。そのため、折込板8aに折曲力を付与した場合(折り曲げた場合)、副折込線15は主折込線13に比べて折り目が付きやすい傾向にある。
【0039】
また、後述するように、第3折曲線L3を介して第1内側板4a及び第1側板用天板6aを第1外側板2aに折り重ねると、
図2に破線で示したように第1内側板4aに連設されたフラップ9aも折込板8aに折り重なる。このとき、フラップ9aは主折込線13にオーバーラップするように折込板8aに折り重なる。そして、折込板8aの副折込線15と第8折曲線L8との間には、フラップ9aが重ならない非重合領域61(折込板8aの主折込線13と第8折曲線L8とで挟まれた略45°の扇形状の部分、
図2にドット領域で表示)が形成される。
【0040】
以上、折込板8aにおける主折込線13と副折込線15の構成及び機能について説明したが、上記の関係は、折込板8b〜8d(
図1参照)における主折込線13と副折込線15においても同様である。
【0041】
包装箱100を組み立てた状態で、折込板8a〜8dが主折込線13で折り込まれている場合には、主板1に対して第1側板21a、21b(第1外側板2aと第1内側板4aと第1側板用天板6a、及び第1外側板2bと第1内側板4bと第1側板用天板6bを断面コ字状に折り曲げて成る複合板)が90°で立設する(テーパー無し状態)。一方、折込板8a〜8dが副折込線15で折り込まれている場合には、主板1に対して第1側板21a、21bが120°[(90°+(15°×2)]で立設し、垂直方向から30°外側に広がったテーパーを形成する(テーパー付き状態)。
【0042】
なお、副折込線15のスリット15aの終端(始端は角部P1とする)と、主折込線13の始端(終端を折込板8aの外縁部とする)は、共に角部P1から距離3Y/5の位置にあるが、この2点を繋ぐ仮想線上に一本の貫通切目からなるバイパススリット17を形成している。このバイパススリット17は、包装箱100を組み立てた状態で、折込板8aが副折込線15で折り込まれている半製品の状態(テーパー付き状態)から、折込板8aが主折込線13で折り込まれている完成品の状態(テーパー無し状態)への切替性を向上させる点で有効である。
【0043】
以上の構成を備えた
図1の包装箱100のブランク板に対し、2段階の折り重ね及び接着による固定を、第1側板21a、21b側でそれぞれ行うことにより本実施形態の包装箱100の特殊ブランク板が製造される。次に、本実施形態の包装箱100の組み立て手順について具体的に説明する。
(第1の工程における折り重ね及び固定手順)
【0044】
先ず、
図1の状態から、第1内側板4aと、第1側板用天板6aと、第1側板用重合片8aと、フラップ9a、9bとを、第3折曲線L3を介して内側に折り曲げる。これにより、第1外側板2aに対して第1内側板4a、第1側板用天板6aを折り重ね、主板1の右側端縁(第1折曲線L1)に沿った内側の隣接領域に対して第1側板用重合片10aを折り重ねる。このとき、折込板8a、8bの第7折曲線L7(
図1参照)と副折込線15とで挟まれた領域に対してフラップ9a、9bが重なり合う。
【0045】
次いで、第1側板用重合片10aを主板1に接着することにより、第1外側板2aと、第1側板用天板6a及び第1内側板4aとの折り重ね状態が固定されて第1側面21aが形成され、第1の工程が完了する。このとき、第1側板用重合片10aは、主板1の右側端縁(第1折曲線L1)から第1側板用天板6aの幅方向寸法だけ内側(
図1の左側)にずれた領域(
図1にハッチングで表示)に接着される。
【0046】
上記と同様の手順で、第1外側板2b側においても第1の工程を行い、第1側板21bを形成する。第1側板用重合片8a、8bと主板1との接着は、ホットメルト接着剤等を用いて接着しても良いし、両面粘着テープを用いて接着しても良い。第1の工程における折り重ね及び固定を行った状態を
図3に示す。
(第2の工程における折り重ね及び固定手順)
【0047】
次に、
図3の状態から、第1段階の折り重ね及び固定がなされた第1側板21aと、折込板8a、8bと、フラップ9a、9bとを、略一直線状に並んだ第1折曲線L1及び第8折曲線L8を介して内側に折り曲げる。これにより、主板1に折り重ねられた状態の第1側板用重合片10aと第1側板用重合片10aに沿った内側の隣接領域に対して、第1側板21aを折り重ねる。
【0048】
このとき、第1内側板4aと第1側板用重合片10aとの境界に形成された第10折曲線L10(
図3参照)が内側の折り曲げ箇所となる。第1折曲線L1と第10折曲線L10とは第1側板用天板6aの幅方向寸法だけ離れているため、第1側板21aの折り曲げ動作に伴い、第1の工程で折り曲げられていた第3折曲線L3が平坦に広げられ、折り曲げられていなかった第4折曲線L4が折り曲げられる。
【0049】
また、第2外側板3aに対して、折り重ねられた状態の折込板8aとフラップ9aとを折り重ね、第2外側板3bに対して、折り重ねられた状態の折込板8bとフラップ9bとを折り重ねる。上述のように、第3折曲線L3が平坦に広げられ、第4折曲線L4が折り曲げられることにより、第1の工程において折込板8a、8bに重なっていたフラップ9a、9bの一部(
図1において、フラップ9aの左下方から右上方に延びる外縁に沿った領域、及び、フラップ9bの左上方から右下方に延びる外縁に沿った領域)が折込板8a、8bの外側にはみ出した状態で折り重ねられる。
【0050】
その結果、折込板8a、8bのフラップ9a、9bと重なっていない非重合領域61(
図2参照)は第2外側板3a、3bに対して直接折り重ねられた状態となる。そして、折込板8a、8bの非重合領域61のうち、副折込線15と第8折曲線L8とで挟まれた領域を第2外側板3a、3bに接着することにより、第1側板21a側の折り重ね状態が固定されて第2の工程が完了する。
【0051】
上記と同様の手順で、第1側板21b側においても第2の工程を行う。第2外側板3a、3bと折込板8a〜8dの非重合領域61の接着は、ホットメルト接着剤等を用いて接着しても良いし、両面粘着テープを用いて接着しても良い。第2の工程を行うことにより作製された包装箱100の特殊ブランク板を
図4に示す。
【0052】
以上の2段階の加工を経た、一部が折り重ねられた状態で固定された包装箱100の特殊ブランク板によれば、折り畳まれた第1側板21aを引き起こす方向に力を加えると、第1外側板2aと第1内側板4aとが、第1側板用天板6aの幅方向寸法だけ間隔を隔てて略平行に立ち上がる。そして、第1外側板2a、第1側板用天板6a、第1内側板4aが断面コ字状に折り曲げられた額縁状の第1側板21aが形成される。
【0053】
このとき、第2外側板3a、3bに対して折込板8a〜8dの非重合領域61を接着してなる固着箇所R1〜R4(
図4のハッチング部分)が存在することにより、主板1に対し、第1側板21aを引き起こす方向に力を加えると、固着箇所R1が、第2外側板3aを
図4の右側端縁側から引き起こす方向に力を伝達し、固着箇所R2が、第2外側板3bを右側端縁の側から引き起こす方向に力を伝達する。
【0054】
同様に、折り畳まれた第1側板21bを引き起こす方向に力を加えると、第1外側板2bと第1内側板4bとが、第1側板用天板6bの幅方向寸法だけ間隔を隔てて略平行に立ち上がる。そして、第1外側板2b、第1側板用天板6b、第1内側板4bが断面コ字状に折り曲げられた額縁状の第1側板21bが形成される。このとき、固着箇所R3が、第2外側板3aを
図4の左側端縁の側から引き起こす方向に力を伝達し、固着箇所R4が、第2外側板3bを左側端縁の側から引き起こす方向に力を伝達する。
【0055】
従って、主板1に対し、第1側板21a、21bを引き起こすと、略同時に、第2外側板3a、3bが引き起こされることになる。
【0056】
また、固着箇所R1〜R4の存在により、第2外側板3a、3bが引き起こされる際に、折込板8a〜8dも主板1側に折り込まれることになる。ここで、
図2に示したように折込板8aの非重合領域61(固着箇所R1)に対して副折込線15は主折込線13よりも近接しているので、折込板8aは折曲力が強く作用する副折込線15に沿って折り込まれることになる、なお、前述したように、副折込線15は角部P1から折込板8aの外縁部に亘って連続して形成されており、主折込線13よりも折れ曲がり易い構造を備えることで副折込線15に沿った折り込みが更に確実となる。
【0057】
同様に、折込板8b〜8dも副折込線15に沿って折り込まれる。その結果、第1側板21a、21bを引き起こした状態で、第1側板21a、21bは主板1に対して垂直に起立するのではなく、垂直方向から片側15°ずつ、計30°外側に広がったテーパーを形成するように、略自動的に起立する。
【0058】
次に、第2外側板3a、第2内側板5a、第2側板用天板7aから成る第2側板22aの形成方法について説明する。先ず、第2内側板5aと、これに連設される第2側板用重合片11aとを第6折曲線L6に沿って主板1側に折り込むことにより、第2側板用重合片11aを主板1の端縁(第2折曲線L2)に沿った内側の隣接領域に対して折り重ねる。次いで、第2外側板3aと第2側板用天板7aの間の第5折曲線L5を折り曲げる。これにより、第2外側板3a、第2側板用天板7a、第2内側板5aが断面コ字状に折り曲げられた額縁状の第2側板22aが形成される。
【0059】
第2側板22aと同様の手順により、第2外側板3b、第2内側板5b、第2側板用天板7bが断面コ字状に折り曲げられた額縁状の第2側板22bが形成され、包装箱100の半製品が組み立てられる。このとき、第2側板22a、22bは、第1側板21a、21bと同様に、垂直方向から片側15°ずつ、計30°外側に広がったテーパーを形成するように起立する。組み立てられた包装箱100の半製品を
図5に示す。
【0060】
2段階の折り重ねと接着による固定を行った、
図4に示すような本発明の包装箱100の特殊ブランク板を納めた商店や工場等においては、第1側板21a、21bを引き起こすとともに、第2外側板3a、3b、第2内側板5a、5b、第2側板用天板7a、7bを主板1側に折り込むだけで、
図5に示すような、第1側板21a、21b及び第2側板22a、22bがそれぞれ15°ずつ、計30°外側に広がったテーパーが形成された包装箱100の半製品が組み立てられる。この包装箱100の半製品は額縁状の側板21a、21b、22a、22bの全てが外側に広がった状態であるため、多数スタック(積み重ね)することができるので、半製品の配置スペースが小さくなり、スタックされた半製品を上から順に使用することで包装作業の効率が良くなる。また、半製品の状態で保管する場合の保管スペースも小さくなる。
【0061】
そして、包装箱100内に商品を収納する際は、
図5に示す半製品の第1側板21a、21bを内向きに所定量だけ押し込むとともに、第1側板21a、21b及び第2側板22a、22bを起立状態で固定することにより、
図6に示すような、第1側板21a、21bが垂直に起立した包装箱100の完成品(身箱或いは蓋箱)を簡単に組み立てることができる。
【0062】
第1側板21a、21bと第2側板22aとの固定は、第2内側板5aの右側端縁から突出する差込片12aを、第1内側板4aの側端縁のフラップ9aが存在しない部分(
図1ではフラップ9aの右側の1/3程度の部分)から第1内側板4aと第1外側板2aとの隙間に差し込む。その結果、第1側板21aのフラップ9aは、第2内側板5aの側端縁の差込片12aが存在しない部分(
図1では差込片12aの下側の2/3程度の部分)から第2内側板5aと第2外側板3aとの隙間に差し込まれる。
【0063】
同様に、第2内側板5aの左側端縁から突出する差込片12bを、第1内側板4bの側端縁のフラップ9cが存在しない部分(
図1ではフラップ9cの左側の1/3程度の部分)から第1内側板4bと第1外側板2bとの隙間に差し込む。その結果、第1側板21bのフラップ9cは、第2内側板5bの側端縁の差込片12bが存在しない部分(
図1では差込片12bの下側の2/3程度の部分)から第2内側板5aと第2外側板3aとの隙間に差し込まれる。
【0064】
第2側板22bについても上記と同様の手順で第1側板21a、21bに固定することにより、第1側板21a、21b、第2側板22a、22bが垂直に起立した状態で固定される。
【0065】
また、第1側板用重合片10a、10b及び第2側板用重合片11a、11bの形状は、
図6のように包装箱100を組み立てた状態で、第1側板用重合片10a、10bの端縁と第2側板用重合片11a、11bの端縁とが突き合わせ状態で配置されるようになっている。これにより、包装箱100の組み立て時に第2側板用重合片11a、11bの端縁を第1側板用重合片10a、10bの端縁の下に差し込む等の作業が不要となり、組み立て作業性が向上する。また、第1側板用重合片10a、10bと第2側板用重合片11a、11bが重なり合わないため、包装箱100の見栄えも向上する。
【0066】
図7は、本発明の第2実施形態に係る包装箱100のブランク板の、折込板8a付近の部分拡大図である。本実施形態では、主折込線13と副折込線15との間に、ミシン目(ハッチング部分)と折罫線とが交互に連続する第2副折込線19が形成されている。ブランク板の他の部分の構成、及び包装箱100の組み立て手順は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0067】
本実施形態の構成によれば、第2の工程において折込板8a〜8dの非重合領域61(
図7のドット領域)のうち、第2副折込線19と第8折曲線L8とで挟まれた部分を第2外側板3a、3bに接着して固着箇所R1〜R4とすることにより、
図4に示した特殊ブランク板の状態から第1側板21a、21bを引き起こすと、折込板8a〜6dは非重合領域61(固着箇所R1〜R4)に近接する第2副折込線19で折り込まれる。その結果、第1側板21a、21bは主板1に対して第1実施形態のテーパー(30°)よりも小さい角度のテーパーを形成するように広がった状態で起立する。
【0068】
また、第1実施形態と同様に、折込板8a〜8dの非重合領域61のうち、副折込線15と第8折曲線L8とで挟まれた部分を第2外側板3a、3bに接着すれば、特殊ブランク板の状態から第1側板21a、21bを引き起こすと、折込板8a〜8dは副折込線15で折り込まれる。その結果、第1側板21a、21bは主板1に対して30°のテーパーを形成するように広がった状態で起立する。
【0069】
即ち、本実施形態の構成によれば、固着箇所R1〜R4の範囲を変更することで副折込線15、第2副折込線19のいずれかを選択することができ、組み立てられた包装箱100の半製品における第1側板21a、21bのテーパー角を2段階に切り換えることができる。
【0070】
なお、
図7では主折込線13と副折込線15との間に1本の第2副折込線19を設けた例について説明したが、第2副折込線19を2本以上設けても良い。その場合、第1側板21a、21bのテーパー角を3段階以上に切り換え可能となる。
【0071】
その他本発明は、上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記各実施形態では、主折込線13の始端を主板1の角部P1から所定距離(折込板8a〜8dの外縁部までの3/5)だけ離れた位置としたが、副折込線15が主折込線13に比べて折り目が付きやすい構成であれば、主折込線13を形成する位置は任意に設定することができ、例えば主折込線13を主板の角部P1から折込板8a〜8dの外縁部まで連続して形成することもできる。
【0072】
また、上記各実施形態では、主折込線13をミシン目で構成し、副折込線15をスリット15aとミシン目15bとの組み合わせで構成したが、副折込線15が主折込線13に比べて折り目が付きやすい構成であれば、例えば主折込線13を折罫線で構成し、副折込線15をスリットと折罫線の組み合わせで構成することもできる。