特許第6044103号(P6044103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6044103レーダ装置、その検出方法及び検出プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6044103
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】レーダ装置、その検出方法及び検出プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/292 20060101AFI20161206BHJP
   G01S 7/40 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   G01S7/292 200
   G01S7/40
【請求項の数】17
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-97723(P2012-97723)
(22)【出願日】2012年4月23日
(65)【公開番号】特開2013-224881(P2013-224881A)
(43)【公開日】2013年10月31日
【審査請求日】2015年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】中前 順一
【審査官】 三田村 陽平
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−506011(JP,A)
【文献】 特開2005−241259(JP,A)
【文献】 特開2006−267035(JP,A)
【文献】 特開2000−81479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00− 7/42,
G01S 13/00−13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号の送受を行うアンテナ手段と、
目標物に対して信号を、前記アンテナ手段を介して送信する送信手段と、
前記送信手段により送信された信号が前記目標物で反射された信号を、前記アンテナ手段を介して受信する受信手段と、
前記送信手段から送信される信号の一部が前記受信手段に対して漏れる漏れ信号を記憶する記憶手段と、
前記受信手段で受信された信号から、前記記憶手段に記憶された漏れ信号を減算する演算手段と、
前記演算手段の演算結果に基づいて、前記目標物を検出する検出手段と、
前記送信手段から出力される信号を前記アンテナ手段に対して出力する場合と、前記アンテナ手段で受信された信号を前記受信手段に出力する場合と、に切替えを行う切替手段と、
を備え
前記漏れ信号は、前記送信手段から送信される信号の一部が前記切替手段を介して前記受信手段に対して漏れる信号であり、
前記演算手段は、
前記送信手段から送信される信号の一部が前記受信手段に対して漏れる漏れ信号を前記記憶手段に記憶させるモードと、
前記受信手段で受信された信号から、前記記憶手段に記憶された漏れ信号を減算するモードと、に切替え、
前記演算手段は、
前記検出手段により前記アンテナ手段の前方の所定の電波吸収体が検出されると、前記送信手段から送信される信号の一部が前記受信手段に対して漏れる漏れ信号を前記記憶手段に記憶させるモードに切替り、
前記記憶手段に前記漏れ信号が記憶されたと判断すると、前記受信手段で受信された信号から、前記記憶手段に記憶された漏れ信号を減算するモードに切替る
ことを特徴とするレーダ装置。
【請求項2】
請求項記載のレーダ装置であって、
温度を検出する温度検出手段を更に備え、
前記演算手段は、前記温度検出手段により検出された温度に応じて、前記減算処理に対して温度補正を行う、ことを特徴とするレーダ装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のレーダ装置であって、
前記受信手段により受信された信号を位相検波する位相検波手段と、
前記位相検波手段により位相検波された信号をデジタル化する変換手段と、
前記演算手段により、前記変換手段においてデジタル化された信号に基づいて前記減算処理された信号を復調する復調手段と、を更に備え、
前記検出手段は、前記復調手段により復調された信号に基づいて、前記目標物を検出する、ことを特徴とするレーダ装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちいずれか1項記載のレーダ装置であって、
前記受信手段により受信された信号をデジタル化する変換手段と、
前記演算手段により、前記変換手段においてデジタル化された信号に基づいて前記減算処理された信号を位相検波する位相検波手段と、
前記位相検波手段により位相検波された信号を復調する復調手段と、を更に備え、
前記検出手段は、前記復調手段により復調された信号に基づいて、前記目標物を検出する、ことを特徴とするレーダ装置。
【請求項5】
請求項記載のレーダ装置であって、
基準信号を生成する基準発振手段と、
変調信号を生成する変調手段と、
前記変調手段により生成された変調信号を周波数変換し、局部発振信号を生成する局部発振手段と、を更に備え、
前記送信手段は、前記局部発振手段により生成された局部発振信号に基づいて、前記基準発振手段により生成された基準信号を周波数変換し、前記送信する信号を生成し、
前記受信手段は、前記局部発振手段により生成された局部発振信号に基づいて、前記受信した信号の周波数変換を行う、
ことを特徴とするレーダ装置。
【請求項6】
請求項記載のレーダ装置であって、
基準信号を生成する基準発振手段と、
前記基準発振手段により生成された基準信号に基づいて変調信号を生成する変調手段と、
局部発振信号を生成する局部発振手段と、を更に備え、
前記送信手段は、前記変調手段により生成された変調信号を、前記局部発振手段により生成された局部発振信号で周波数変換し、前記送信する信号を生成し、
前記受信手段は、前記局部発振手段により生成された局部発振信号に基づいて、前記受信した信号の周波数変換を行う、
ことを特徴とするレーダ装置。
【請求項7】
請求項記載のレーダ装置であって、
前記位相検波手段は、前記受信手段により受信された信号をI(Inphase)チャンネル成分とQ(Quadrature)チャンネル成分に位相検波しており、
前記変換手段は、前記位相検波手段により位相検波されたIチャンネル位相検波信号をデジタル化するIチャンネル変換部と、前記位相検波手段により位相検波されたQチャンネル位相検波信号をデジタル化するQチャンネル変換部と、を有しており、
前記演算手段は、前記Iチャンネル変換部によりデジタル化されたIチャンネル位相検波信号に基づいて前記減算処理を行うIチャンネル演算部と、前記Qチャンネル変換部によりデジタル化されたQチャンネル位相検波信号に基づいて前記減算処理を行うQチャンネル演算部と、を有しており、
前記記憶手段は、前記Iチャンネル変換部によりデジタル化された前記漏れ信号を記憶するIチャンネル記憶部と、前記Qチャンネル変換部によりデジタル化された前記漏れ信号を記憶するQチャンネル記憶部と、を有している、
ことを特徴とするレーダ装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちいずれか1項記載のレーダ装置であって、
前記検出手段により検出された前記目標物の情報を表示する表示手段を更に備える、ことを特徴とするレーダ装置。
【請求項9】
目標物に対して信号を、アンテナ手段を介して送信するステップと、
前記送信された信号が前記目標物で反射された信号を、前記アンテナ手段を介して受信するステップと、
前記送信される信号の一部が漏れた漏れ信号を記憶するステップと、
前記受信された信号から、前記記憶された漏れ信号を減算するステップと、
前記演算結果に基づいて、前記目標物を検出するステップと、
前記送信する信号を前記アンテナ手段に対して出力する場合と、前記アンテナ手段で受信された信号を出力する場合と、に切替えを行うステップと、
を含み、
前記漏れ信号は、前記送信される信号の一部が前記切替え介して漏れる信号であり、
前記送信される信号の一部が漏れる漏れ信号を前記記憶させるモードと、前記受信された信号から、前記記憶された漏れ信号を減算するモードと、に切替り、
前記アンテナ手段の前方に所定の電波吸収体が検出されると、前記送信される信号の一部が漏れる漏れ信号を前記記憶させるモードに切替り、
前記漏れ信号が記憶されたと判断すると、前記受信された信号から、前記記憶された漏れ信号を減算するモードに切替る、
ことを特徴とするレーダ装置の検出方法。
【請求項10】
請求項記載のレーダ装置の検出方法であって、
温度検出手段により検出された温度に応じて、前記減算処理に対して温度補正を行う、ことを特徴とするレーダ装置の検出方法。
【請求項11】
請求項9又は10記載のレーダ装置の検出方法であって、
前記受信された信号を位相検波するステップと、
前記位相検波された信号をデジタル化するステップと、
前記デジタル化された信号に基づいて前記減算処理された信号を、復調するステップと、を更に含み、
前記復調された信号に基づいて前記目標物を検出する、ことを特徴とするレーダ装置の検出方法。
【請求項12】
請求項9乃至11のうちいずれか1項記載のレーダ装置の検出方法であって、
前記受信された信号をデジタル化するステップと、
前記デジタル化された信号に基づいて前記減算処理された信号を、位相検波するステップと、
前記位相検波された信号を復調するステップと、を更に含み、
前記復調された信号に基づいて、前記目標物を検出する、ことを特徴とするレーダ装置の検出方法。
【請求項13】
請求項11記載のレーダ装置の検出方法であって、
基準信号を生成するステップと、
変調信号を生成するステップと、
前記生成された変調信号を周波数変換し、局部発振信号を生成するステップと、を更に含み、
前記生成された局部発振信号に基づいて、前記生成された基準信号を周波数変換し、前記送信する信号を生成し、
前記生成された局部発振信号に基づいて、前記受信した信号の周波数変換を行う、
ことを特徴とするレーダ装置の検出方法。
【請求項14】
請求項12記載のレーダ装置の検出方法であって、
基準信号を生成するステップと、
前記生成された基準信号に基づいて変調信号を生成するステップと、
局部発振信号を生成するステップと、を更に含み、
前記生成された変調信号を、前記生成された局部発振信号で周波数変換し、前記送信する信号を生成し、
前記生成された局部発振信号に基づいて、前記受信した信号の周波数変換を行う、
ことを特徴とするレーダ装置の検出方法。
【請求項15】
請求項11記載のレーダ装置の検出方法であって、
前記受信された信号をI(Inphase)チャンネル成分とQ(Quadrature)チャンネル成分に前記位相検波しており、
前記位相検波されたIチャンネル位相検波信号をデジタル化し、前記位相検波されたQチャンネル位相検波信号をデジタル化しており、
前記デジタル化されたIチャンネル位相検波信号に基づいて前記減算処理を行い、前記デジタル化されたQチャンネル位相検波信号に基づいて前記減算処理を行っており、
前記デジタル化されたIチャンネルの前記漏れ信号を記憶し、前記デジタル化されたQチャンネルの前記漏れ信号を記憶している、
ことを特徴とするレーダ装置の検出方法。
【請求項16】
請求項9乃至15のうちいずれか1項記載のレーダ装置の検出方法であって、
前記検出された前記目標物の情報を表示するステップを更に含む、ことを特徴とするレーダ装置の検出方法。
【請求項17】
信号の送受を行うアンテナ手段と、
目標物に対して信号を、前記アンテナ手段を介して送信する送信手段と、
前記送信手段により送信された信号が前記目標物で反射された信号を、前記アンテナ手段を介して受信する受信手段と、
前記送信手段から送信される信号の一部が前記受信手段に対して漏れる漏れ信号を記憶する記憶手段と、を備えるレーダ装置の検出プログラムであって、
前記受信手段で受信された信号から、前記記憶手段に記憶された漏れ信号を減算する処理と、
前記演算結果に基づいて、前記目標物を検出する処理と、
前記送信する信号を前記アンテナ手段に対して出力する場合と、前記アンテナ手段で受信された信号を出力する場合と、に切替えを行う処理と、
をコンピュータに実行させ、
前記漏れ信号は、前記送信される信号の一部が前記切替え介して漏れる信号であり、
前記送信される信号の一部が漏れる漏れ信号を前記記憶させるモードと、前記受信された信号から、前記記憶された漏れ信号を減算するモードと、に切替り、
前記アンテナ手段の前方に所定の電波吸収体が検出されると、前記送信される信号の一部が漏れる漏れ信号を前記記憶させるモードに切替り、
前記漏れ信号が記憶されたと判断すると、前記受信された信号から、前記記憶された漏れ信号を減算するモードに切替る、
ことを特徴とするレーダ装置の検出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易な構成で低コスト化を図りつつ、目標物を高精度に検出できるレーダ装置、その検出方法及び検出プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、レーダ装置の目標物検出能力は、送信平均電力に比例している。その送信平均電力を増大する手段としては、例えば、送信尖頭電力を増大すること、送信パルス幅を長くすること、等が知られている。送信尖頭電力を増大させた場合、耐電力の大きい高価な部品が必要になりコスト増に繋がり、送信機が絶縁破壊を起こす問題も生じ得る。また、送信パルス幅を長くした場合、送信パルス幅の期間は目標物を検出できないブラインドレンジの問題が生じる。
【0003】
例えば、送信器から出力された送信信号(図3(a))は、送受切替器を介して空中線から空中に放射される。一方で、送信器からの送信信号の一部は、漏れ込み信号Aとして送受切替器を介して受信器に漏れ込む(図3(b))。空中線から空中に放射された送信信号は目標物で反射され、空中線はその反射信号を受信する。空中線は、受信した受信信号Bを送受切換器を介して受信器に出力する(図3(c))。ここで、レーダ装置と目標物との距離が近い場合、上記送受切替器からの送信信号の漏れ込み信号Aと空中線からの受信信号Bとは時間的に重なることとなる(図3(d))。このような重なった信号(A+B)は、直交位相検波器で位相検波信号Cとして位相検波される(図3(e))。しかしながら、送信信号の漏れ込み信号Aの方が受信信号Bよりはるかに大きいため、このままでは目標物を検知できない。
【0004】
ここで、空中線を送受信で別々に備えるバイスタティックのレーダ装置を用いた場合、送信用空中線と受信用空中線の間隔を十分広く取ることで、上記ブラインドレンジを解消することは可能となる(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、同一の空中線が送受信で2個必要になり、装置の大型化やコスト増加が問題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08−043521号公報
【特許文献2】特開2009−175091号公報
【特許文献3】特開2002−365362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これに対し、空中線を送受信で共用するモノスタティックのレーダ装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。この場合、上述の如く、送信パルス幅の期間において目標物を検出できないブラインドレンジが存在するため、例えば、ブラインドレンジを短くするためには送信パルス幅を短くする必要が生じる。また、レーダ装置の目標物検出能力は送信平均電力に比例するため、送信パルス幅を短くした分、送信尖頭電力を増大しなければ目標物検出能力を維持できない。しかしながら、送信尖頭電力を増大すれば耐電力の大きい高価な部品が必要となり、コスト増加に繋がる虞がある。
【0007】
なお、受信した波形の立ち上がり部分を抽出し、その抽出結果をもとに検出を行うことで、漏れこみ波形と反射波形が重なり合うような近距離に目標物が存在しても検出可能なレーダ装置が知られているが(例えば、特許文献3参照)、本願とは構成が大きく相違し処理も複雑であり、タイミングによっては適切に目標物を検出できない虞がある。
【0008】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、簡易な構成で低コスト化を図りつつ、目標物を高精度に検出できるレーダ装置、その検出方法、及び検出プログラムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、信号の送受を行うアンテナ手段と、目標物に対して信号を、前記アンテナ手段を介して送信する送信手段と、前記送信手段により送信された信号が前記目標物で反射された信号を、前記アンテナ手段を介して受信する受信手段と、前記送信手段から送信される信号の一部が前記受信手段に対して漏れる漏れ信号を記憶する記憶手段と、前記受信手段で受信された信号から、前記記憶手段に記憶された漏れ信号を減算する演算手段と、前記演算手段の演算結果に基づいて、前記目標物を検出する検出手段と、を備える、ことを特徴とするレーダ装置である。
他方、上記目的を達成するための本発明の一態様は、目標物に対して信号を、アンテナ手段を介して送信するステップと、前記送信された信号が前記目標物で反射された信号を、前記アンテナ手段を介して受信するステップと、前記送信される信号の一部が漏れた漏れ信号を記憶するステップと、前記受信された信号から、前記記憶された漏れ信号を減算するステップと、前記演算結果に基づいて、前記目標物を検出するステップと、を含む、ことを特徴とするレーダ装置の検出方法であってもよい。
また、上記目的を達成するための本発明の一態様は、信号の送受を行うアンテナ手段と、目標物に対して信号を、前記アンテナ手段を介して送信する送信手段と、前記送信手段により送信された信号が前記目標物で反射された信号を、前記アンテナ手段を介して受信する受信手段と、前記送信手段から送信される信号の一部が前記受信手段に対して漏れる漏れ信号を記憶する記憶手段と、を備えるレーダ装置の検出プログラムであって、前記受信手段で受信された信号から、前記記憶手段に記憶された漏れ信号を減算する処理と、前記演算結果に基づいて、前記目標物を検出する処理と、をコンピュータに実行させる、ことを特徴とするレーダ装置の検出プログラムであってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡易な構成で低コスト化を図りつつ、目標物を高精度に検出できるレーダ装置、その検出方法、及び検出プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態に係るレーダ装置の機能ブロック図である。
図2】本発明の実施の形態1に係るレーダ装置の概略的なシステム構成を示すブロック図である。
図3】(a)本発明の実施の形態1に係るレーダ装置による目標物の検出方法を説明するための図である。(b)本発明の実施の形態1に係るレーダ装置による目標物の検出方法を説明するための図である。(c)本発明の実施の形態1に係るレーダ装置による目標物の検出方法を説明するための図である。(d)本発明の実施の形態1に係るレーダ装置による目標物の検出方法を説明するための図である。(e)本発明の実施の形態1に係るレーダ装置による目標物の検出方法を説明するための図である。(f)本発明の実施の形態1に係るレーダ装置による目標物の検出方法を説明するための図である。(g)本発明の実施の形態1に係るレーダ装置による目標物の検出方法を説明するための図である。
図4】本発明の実施の形態1に係るレーダ装置の処理フローを示すフローチャートである。
図5】本発明の実施の形態2に係るレーダ装置の概略的なシステム構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係るレーダ装置の機能ブロック図である。本実施の形態に係るレーダ装置において、アンテナ手段21は、信号の送受を行う。送信手段22は、目標物に対して信号を、アンテナ手段21を介して送信する。受信手段23は、送信手段22により送信された信号が目標物で反射された信号を、アンテナ手段21を介して受信する。記憶手段24は、送信手段22から送信される信号の一部が受信手段23に対して漏れる漏れ信号を記憶する。演算手段25は、受信手段23で受信された信号から、記憶手段24に記憶された漏れ信号を減算する。検出手段26は、演算手段25の演算結果に基づいて、目標物を検出する。
【0013】
これにより、漏れ込み信号による影響を受けることなく、目標物からの受信信号だけを抽出でき、ブラインドレンジを解消できる。したがって、特別な機器等を用いて送信尖頭電力を増大することなく送信パルス幅を長く取ることができる。すなわち、簡易な構成で低コスト化を図りつつ、目標物を高精度に検出できる。
【0014】
実施の形態1.
図2は、本発明の実施の形態1に係るレーダ装置の概略的なシステム構成を示すブロック図である。本実施の形態に係るレーダ装置100は、簡易な構成で低コスト化を図りつつ、目標物を高精度に検出できるものである。レーダ装置100は、空中線1と、送受切替器2と、送信器3と、基準発振器4と、局部発振器5と、変調器6と、受信器7と、直交位相検波器8と、IチャンネルAD変換器9と、QチャンネルAD変換器10と、Iチャンネル演算器11と、Qチャンネル演算器12と、Iチャンネル記憶器13と、Qチャンネル記憶器14と、復調器15と、信号処理器16と、表示器17と、を備えている。
【0015】
空中線1は、アンテナ手段21の一具体例であり、送受切替器2が接続されている。空中線1は、送受切替器2からの送信信号を空中に放射し、あるいは、目標物からの反射信号を受信信号として受信する。上記のように空中線1を送受共用とすることで、当該レーダ装置100の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0016】
送受切替器2は、切替手段の一具体例であり、送信器3及び受信器7が接続されている。送受切替器2は、送信中、送信器3から出力される送信信号を空中線1に出力し、送信終了後、空中線1からの受信信号を受信器7に対し出力するように、切り替え制御を行う。
【0017】
送信器3は、送信手段22の一具体例であり、基準発振器4及び局部発振器5が夫々接続されている。送信器3は、局部発振器5から出力される局部発振信号に基づいて、基準発振器4から出力される基準信号を周波数変換し、送信信号を生成する。
【0018】
基準発振器4は、基準発振手段の一具体例であり、送信器3及び直交位相検波器8が接続されている。基準発振器4は、所定周波数で基準信号を生成し、生成した基準信号を送信器3及び直交位相検波器8に対して出力する。
【0019】
局部発振器5は、局部発振手段の一具体例であり、送信器3、変調器6及び受信器7が夫々接続されている。局部発振器5には、変調器6から出力される出力信号を周波数変換し、局部発振信号を生成する。
【0020】
変調器6は、変調手段の一具体例であり、局部発振器5及び復調器15が夫々接続されている。変調器6は、送信パルス毎に周波数ホッピングされた変調信号、または、無変調信号を生成し、生成した変調信号又は無変調信号を局部発振器5及び復調器15に対して出力する。
【0021】
受信器7は、受信手段23の一具体例であり、送受切替器2、局部発振器5、及び直交位相検波器8が夫々接続されている。受信器7は、目標物からの反射信号を空中線1、送受切替器2を介して受信し、その受信信号に対して、信号増幅を行い、あるいは、局部発振部5からの局部発振信号に基づいて周波数変換等を行う。
【0022】
直交位相検波器8は、位相検波手段の一具体例であり、基準発振器4、受信器7、I及びQチャンネルAD変換器9、10が夫々接続されている。直交位相検波器8は、受信器7からの受信信号をI(Inphase)チャンネル成分とQ(Quadrature)チャンネル成分とに位相検波する。直交位相検波器8は、位相検波したIチャンネル位相検波信号を、IチャンネルAD変換器9に対して出力する。同様に、直交位相検波器8は、位相検波したQチャンネル位相検波信号を、QチャンネルAD変換器10に対して出力する。
【0023】
IチャンネルAD変換器9は、Iチャンネル変換部の一具体例であり、直交位相検波器8及びIチャンネル演算器11が夫々接続されている。IチャンネルAD変換器9は、直交位相検波器8からのIチャンネル位相検波信号をデジタル化する。IチャンネルAD変換器9は、デジタル化したIチャンネル位相検波信号を、Iチャンネル演算器11に対して出力する。
【0024】
QチャンネルAD変換器10は、Qチャンネル変換部の一具体例であり、直交位相検波器8及びQチャンネル演算器12が夫々接続されている。QチャンネルAD変換器10は、直交位相検波器8からのQチャンネル位相検波信号をデジタル化する。QチャンネルAD変換器10は、デジタル化したQチャンネル位相検波信号を、Qチャンネル演算器12に対して出力する。
【0025】
I及びQチャンネル演算器11、12は、信号処理器16からの指令信号に応じて、送信器3から送信される信号の一部が送受切替器2を介して受信器7に対して漏れる漏れ信号をI及びQチャンネル記憶器13、14に夫々記憶させるモードと、後述の受信器7で受信された受信信号のI及びQチャンネル位相検波信号から、I及びQチャンネル記憶器13、14に記憶された漏れ信号を減算するモードと、に切替る。
【0026】
Iチャンネル演算器11は、Iチャンネル演算部の一具体例であり、IチャンネルAD変換器9、Iチャンネル記憶器13、復調器15、及び信号処理器16が夫々接続されている。Iチャンネル演算器11は、信号処理器16からの指令信号に応じて、IチャンネルAD変換器9からのデジタル化されたIチャンネル位相検波信号に対して演算処理を行う。
【0027】
Iチャンネル演算器11は、例えば、信号処理器16から演算指令信号を受信すると、IチャンネルAD変換器9からのデジタル化されたIチャンネル位相検波信号からIチャンネル記憶器13に記憶された記憶値(位相検波信号)を減算する減算処理を行う。一方、Iチャンネル演算器11は、例えば、信号処理器16から記憶指令信号を受信すると、IチャンネルAD変換器9からのデジタル化されたIチャンネル位相検波信号をIチャンネル記憶器13に記憶させる。
【0028】
Qチャンネル演算器12は、Qチャンネル演算部の一具体例であり、QチャンネルAD変換器10、Qチャンネル記憶器14、復調器15、及び信号処理器16が夫々接続されている。Qチャンネル演算器12は、信号処理器16からの指令信号に応じて、QチャンネルAD変換器10からのデジタル化されたQチャンネル位相検波信号に対して演算処理を行う。
【0029】
Qチャンネル演算器12は、例えば、信号処理部16から演算指令信号を受信すると、QチャンネルAD変換器10からのデジタル化されたQチャンネル位相検波信号からQチャンネル記憶器14に記憶された記憶値(位相検波信号)を減算する減算処理を行う。一方、Qチャンネル演算器12は、例えば、信号処理器16から記憶指令信号を受信すると、QチャンネルAD変換器10からのデジタル化されたQチャンネル位相検波信号をQチャンネル記憶器14に記憶させる。
【0030】
Iチャンネル記憶器13は、Iチャンネル記憶部の一具体例であり、Iチャンネル演算器11が接続されている。Qチャンネル記憶器14は、Qチャンネル記憶部の一具体例であり、Qチャンネル演算器12が接続されている。I及びQチャンネル記憶器13、14は、例えば、RAMやROMなどにより構成されている。
【0031】
復調器15は、復調手段の一具体例であり、変調器6、Iチャンネル演算器11、Qチャンネル演算器12、及び信号処理器16が夫々接続されている。復調器15は、変調器6からの変調信号に基づいて、デジタル化されたIチャンネル演算器11からのIチャンネル位相検波信号、および、Qチャンネル演算器12からのQチャンネル位相検波信号から受信信号を復調する。復調器15は、復調した受信信号を信号処理器16に対して出力する。
【0032】
信号処理器16は、検出手段26の一具体例であり、I及びQチャンネル演算器11、12、復調器15、及び表示器17が夫々接続されている。信号処理器16は、復調器15からの復調した受信信号に基づいて目標物を検出し、検出した目標物を表示器17に対して出力する。
【0033】
なお、信号処理器16は、上記I及びQチャンネル演算器12、13の処理モードを切替えるトリガーとなる演算指令信号及び記憶指令信号の出力切替えを、ユーザの指示操作(スイッチ操作、タッチパネル操作、キー操作など)に応じて行っているが、自動的に出力切替えを行うように構成されていても良い。
【0034】
例えば、信号処理器16は、空中線1の前方に電波を反射しない所定の電波吸収体を検出すると、記憶指令信号をI及びQチャンネル演算器11、12に出力する。その後、信号処理器16は、I及びQチャンネル記憶器13、14にデジタル化されたI及びQチャンネル位相検波信号が記憶されたと判断すると、演算指令信号をI及びQチャンネル演算器11、12に出力する。これにより、上記I及びQチャンネル演算器12、13の処理モードの切替えを自動的に行うことができ、レーダ装置100の利便性がより向上する。なお、上記信号処理器16による目標物の検出方法は、周知な検出方法を用いることができるため、その説明は省略する。
【0035】
表示器17は、表示手段の一具体例であり、信号処理器16が接続されている。表示器17は、信号処理器16から出力された目標物の情報(位置情報、距離情報、方向情報など)を、例えば、液晶ディスプレイ装置、有機又は無機ELディスプレイ装置などを用いて表示させる。
【0036】
なお、レーダ装置100は、例えば、制御処理、演算処理等を行うCPU(Central Processing Unit)、CPUによって実行される制御プログラム、演算プログラム等が記憶されたROM(Read Only Memory)、処理データ等を一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等からなるマイクロコンピュータを中心にしてハードウェア構成されている。CPU、ROM、及びRAMは、データバスなどを介して相互に接続されている。
【0037】
次に、本実施の形態に係るレーダ装置による目標物の検出方法について詳細に説明する。図3は、本実施の形態に係るレーダ装置による目標物の検出方法を説明するための図である。
【0038】
まず、送信器3から出力された送信信号(図3(a))は、送受切替器2を介して空中線1から空中に放射される。一方で、送信器3からの送信信号の一部は、漏れ込み信号Aとして、送受切替器2を介して受信器7に漏れ込む(図3(b))。
【0039】
空中線1から空中に放射された送信信号は目標物で反射され、空中線1はその反射信号を受信する。空中線1は、受信した受信信号Bを、送受切換器2を介して受信器7に出力する(図3(c))。
【0040】
ここで、レーダ装置100と目標物との距離が近い場合、上記送受切替器2からの送信信号の漏れ込み信号Aと空中線1からの受信信号Bとは時間的に重なった信号(A+B)となる(図3(d))。
【0041】
このような重なった信号(A+B)は、直交位相検波器8で位相検波信号Cとして位相検波される(図3(e))。しかしながら、送信信号の漏れ込み信号Aの方が受信信号Bよりはるかに大きいため、このままでは目標物を正確に検知できない。
【0042】
そこで、本実施の形態に係るレーダ装置100において、Iチャンネル演算器11およびQチャンネル演算器12は、信号処理器16からの記憶指令信号に応じて、Iチャンネル記憶器13およびQチャンネル記憶器14に、送信信号の漏れ込み信号AであるIチャンネル及びQチャンネル位相検波信号(図3(f))を予め記憶させる。その後、Iチャンネル演算器11およびQチャンネル演算器12は、信号処理器16からの演算指令信号に応じて、上記の送信信号の漏れ込み信号Aと受信信号Bとが重なった位相検波信号Cから、Iチャンネル記憶器13およびQチャンネル記憶器14に記憶された送信信号の漏れ込み信号Aを減算する(図3(g))。
【0043】
これにより、漏れ込み信号Aによる影響を受けることなく、目標物からの受信信号Bの位相検波信号だけを抽出でき、ブラインドレンジを解消できる。したがって、特別な機器等を用いて送信尖頭電力を増大することなく送信パルス幅を長く取ることができる。すなわち、簡易な構成で低コスト化を図りつつ、目標物を高精度に検出できる。
【0044】
なお、例えば、車両や船舶等に本実施の形態に係るレーダ装置100を搭載してもよい。従来、車体や船体からの反射信号が目標物の受信信号に重なって目標物検知の妨げになる問題が生じていた。このような状況下でも、本実施の形態に係るレーダ装置100において、I及びQチャンネル記憶器13、14に車体や船体からの反射信号の位相検波信号を予め記憶させる。そして、I及びQチャンネル演算器11、12は目標物の受信信号からI及びQチャンネル記憶器13、14に予め記憶された反射信号の位相検波信号を減算処理する。これにより、車体や船体からの反射信号の影響を抑制し、目標物を高精度に検知することができる。
【0045】
次に、本実施の形態1に係るレーダ装置の処理フローについて詳細に説明する。図4は、本実施の形態1に係るレーダ装置の処理フローを示すフローチャートである。
【0046】
送信器3は、局部発振器5から出力される局部発振信号に基づいて、基準発振器4から出力される基準信号を周波数変換し、送信信号を生成し、送受切替器2に出力する(ステップS101)。
【0047】
次に、Iチャンネル演算器11は、信号処理器16から記憶指令信号に応じて、送信信号の漏れ信号であり、IチャンネルAD変換器9からのデジタル化されたIチャンネル位相検波信号をIチャンネル記憶器13に記憶させる(ステップS102)。
【0048】
同時に、Qチャンネル演算器12は、信号処理器16から記憶指令信号に応じて、送信信号の漏れ信号であり、QチャンネルAD変換器10からのデジタル化されたQチャンネル位相検波信号をQチャンネル記憶器14に記憶させる(ステップS103)。
【0049】
その後、Iチャンネル演算器11は、信号処理器16から演算指令信号を受信すると、IチャンネルAD変換器9からのデジタル化されたIチャンネル位相検波信号からIチャンネル記憶器13に記憶された記憶値を減算する減算処理を行う(ステップS104)。
【0050】
同時に、Qチャンネル演算器12は、信号処理部16から演算指令信号を受信すると、QチャンネルAD変換器10からのデジタル化されたQチャンネル位相検波信号からQチャンネル記憶器14に記憶された記憶値を減算する減算処理を行う(ステップS105)。
【0051】
復調器15は、変調器6からの変調信号に基づいて、デジタル化されたIチャンネル演算器11からのIチャンネル位相検波信号、および、Qチャンネル演算器12からのQチャンネル位相検波信号から受信信号を復調する(ステップS106)。
【0052】
信号処理器16は、復調器15からの復調した受信信号に基づいて目標物を検出する(ステップS107)。
【0053】
表示器17は、信号処理器16から出力された目標物の情報を表示させる(ステップS108)。なお、本実施の形態1において、送信器3から送受切替器2を介して受信器7に対して漏れる漏れ信号について説明したが、これに限らない。例えば、送信器3と受信器7との接続線から漏れる漏れ信号に対しても適用でき、送信器3と受信器7との間で漏れる任意の信号に適用可能である。
【0054】
以上、本実施の形態1に係るレーダ装置において、Iチャンネル演算器11およびQチャンネル演算器12は、信号処理器16からの記憶指令信号に応じて、Iチャンネル記憶器13およびQチャンネル記憶器14に、送信信号の漏れ込み信号であるIチャンネル及びQチャンネル位相検波信号を予め記憶させる。その後、Iチャンネル演算器11およびQチャンネル演算器12は、信号処理器16からの演算指令信号に応じて、上記の送信信号の漏れ込み信号と受信信号とが重なった位相検波信号から、Iチャンネル記憶器13およびQチャンネル記憶器14に記憶された送信信号の漏れ込み信号を減算する。
【0055】
これにより、漏れ込み信号による影響を受けることなく、目標物からの受信信号の位相検波信号だけを抽出でき、ブラインドレンジを解消できる。したがって、特別な機器等を用いて送信尖頭電力を増大することなく送信パルス幅を長く取ることができる。すなわち、簡易な構成で低コスト化を図りつつ、目標物を高精度に検出できる。
【0056】
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2に係るレーダ装置の概略的なシステム構成を示すブロック図である。本実施の形態2に係るレーダ装置200において、送信器3が変調器6からの変調信号に基づいて送信信号を変調させる点と、位相検波処理の前かつAD変換処理の後に上記減算処理を行う点とが、上記実施の形態1に係るレーダ装置100と相違する。これにより、デジタル化した信号を位相検波できるため、部品点数の削減、温度変化による直交位相検波器20の調整が不要となる。
【0057】
なお、本実施の形態2に係るレーダ装置200において、他の構成は上記実施の形態1に係るレーダ装置100と略同一であることから、同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0058】
変調器6は、基準発振器4から出力された基準信号に基づいて、送信パルス内で時間とともに周波数が変化しチャープ変調された変調信号、バーカ符号等に従がって位相が変化し位相変調された変調信号、又は、無変調信号を生成する。変調器6は、生成した変調信号又は無変調信号を送信器3及び復調器15に対して出力する。なお、上記変調器6による変調方法は一例であり、これに限らず、任意の方法が適用可能である。
【0059】
送信器3は、変調器6から出力された変調信号を、局部発振器5から出力された局部発振信号で周波数変換し、送信信号を生成する。送信器3は、生成した送信信号を送受切替器2に対して出力する。送信器3から出力された送信信号は、送受切替器2を経て空中線1より空中に放射される。
【0060】
送受切替器2は、送信中、送信器3から出力される送信信号を空中線1に出力し、送信終了後、空中線1からの受信信号を受信器7に対し出力するように、切り替え制御を行う。目標物で反射された反射信号は、空中線1で捉えられ、送受切替器2を介して受信器7で受信される。
【0061】
受信器7は、受信した受信信号をAD変換器17に出力する。AD変換器17は、受信器7から出力された受信信号をデジタル化し、演算器18に出力する。演算器18は、デジタル化された受信信号から、記憶器19に記憶された記憶値を減算し、直交位相検波器20に出力する。直交位相検波器20は、減算処理された受信信号をIチャンネル成分とQチャンネル成分とに位相検波し、復調器15にその位相検波信号を出力する。復調器15は、変調器6から出力された変調信号を用いて、直交位相検波器20から出力された位相検波信号から受信信号を復調し、信号処理器16に出力する。信号処理器16は、復調器15から出力された受信信号に基づいて目標物を検出し、表示器17に出力する。表示器17は、信号処理器から出力された目標物の情報を表示する。
【0062】
なお、上記実施の形態2に係るレーダ装置においては、直交位相検波器20が演算器18と復調器15との間に設けられているが、これに限らず、例えば、AD変換器17と演算器18との間に設けられても良い。
【0063】
以上、本実施の形態2に係るレーダ装置200によれば、漏れ込み信号による影響を受けることなく、目標物からの受信信号の位相検波信号だけを抽出でき、ブラインドレンジを解消できる。したがって、特別な機器等を用いて送信尖頭電力を増大することなく送信パルス幅を長く取ることができる。すなわち、簡易な構成で低コスト化を図りつつ、目標物を高精度に検出できる。
【0064】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0065】
例えば、上記実施の形態1において、I及びQチャンネル演算器11、12は、上記減算処理に対して温度補正を行っても良い。高周波の送信信号などは、特に温度による影響を受け易く、その温度変化によって、漏れる送信信号レベルやタイミングが変化する。
【0066】
そこで、I及びQチャンネル演算器11、12は、温度変化に従って変化する送信信号レベル、遅延時間(位相タイミング)の変化に応じた温度補正値を予め算出し、I及びQチャンネル記憶器13、14に記憶させる。そして、I及びQチャンネル演算器11、12は、上記減算処理時に、温度センサ(温度検出手段の一具体例)により検出される温度に応じて、I及びQチャンネル記憶器13、14から温度補正を読み出し、その温度補正値を加味して上記減算処理を行う。
【0067】
これにより、温度変化も考慮して、目標物をより高精度に検出できる。なお、上記実施の形態2に係るレーダ装置200についても同様に上記温度補正を行うことができる。また、I及びQチャンネル演算器11、12は、上記減算処理に対して温度補正を行っているが、これに限らず、他の環境情報を用いて、上記減算処理を行っても良い。
【0068】
また、本発明は、図4に示す処理を、CPUにコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0069】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。
【0070】
また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0071】
上記実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0072】
(付記1)
信号の送受を行うアンテナ手段と、
目標物に対して信号を、前記アンテナ手段を介して送信する送信手段と、
前記送信手段により送信された信号が前記目標物で反射された信号を、前記アンテナ手段を介して受信する受信手段と、
前記送信手段から送信される信号の一部が前記受信手段に対して漏れる漏れ信号を記憶する記憶手段と、
前記受信手段で受信された信号から、前記記憶手段に記憶された漏れ信号を減算する演算手段と、
前記演算手段の演算結果に基づいて、前記目標物を検出する検出手段と、
を備える、ことを特徴とするレーダ装置。
(付記2)
(付記1)記載のレーダ装置であって、
前記送信手段から出力される信号を前記アンテナ手段に対して出力する場合と、前記アンテナ手段で受信された信号を前記受信手段に出力する場合と、に切替えを行う切替手段を更に備え、
前記漏れ信号は、前記送信手段から送信される信号の一部が前記切替手段を介して前記受信手段に対して漏れる信号である、ことを特徴とするレーダ装置。
(付記3)
(付記1)又は(付記2)記載のレーダ装置であって、
前記演算手段は、
前記送信手段から送信される信号の一部が前記受信手段に対して漏れる漏れ信号を前記記憶手段に記憶させるモードと、
前記受信手段で受信された信号から、前記記憶手段に記憶された漏れ信号を減算するモードと、に切替る、ことを特徴とするレーダ装置。
(付記4)
(付記1)乃至(付記3)のうちいずれか記載のレーダ装置であって、
温度を検出する温度検出手段を更に備え、
前記演算手段は、前記温度検出手段により検出された温度に応じて、前記減算処理に対して温度補正を行う、ことを特徴とするレーダ装置。
(付記5)
(付記3)又は(付記4)記載のレーダ装置であって、
前記演算手段は、
前記検出手段により前記アンテナ手段の前方の所定の電波吸収体が検出されると、前記送信手段から送信される信号の一部が前記受信手段に対して漏れる漏れ信号を前記記憶手段に記憶させるモードに切替り、
前記記憶手段に前記漏れ信号が記憶されたと判断すると、前記受信手段で受信された信号から、前記記憶手段に記憶された漏れ信号を減算するモードに切替る、ことを特徴とするレーダ装置。
(付記6)
(付記1)乃至(付記5)のうちいずれか記載のレーダ装置であって、
前記受信手段により受信された信号を位相検波する位相検波手段と、
前記位相検波手段により位相検波された信号をデジタル化する変換手段と、
前記演算手段により、前記変換手段においてデジタル化された信号に基づいて前記減算処理された信号を復調する復調手段と、を更に備え、
前記検出手段は、前記復調手段により復調された信号に基づいて、前記目標物を検出する、ことを特徴とするレーダ装置。
(付記7)
(付記1)乃至(付記5)のうちいずれか記載のレーダ装置であって、
前記受信手段により受信された信号をデジタル化する変換手段と、
前記演算手段により、前記変換手段においてデジタル化された信号に基づいて前記減算処理された信号を位相検波する位相検波手段と、
前記位相検波手段により位相検波された信号を復調する復調手段と、を更に備え、
前記検出手段は、前記復調手段により復調された信号に基づいて、前記目標物を検出する、ことを特徴とするレーダ装置。
(付記8)
(付記6)記載のレーダ装置であって、
基準信号を生成する基準発振手段と、
変調信号を生成する変調手段と、
前記変調手段により生成された変調信号を周波数変換し、局部発振信号を生成する局部発振手段と、を更に備え、
前記送信手段は、前記局部発振手段により生成された局部発振信号に基づいて、前記基準発振手段により生成された基準信号を周波数変換し、前記送信する信号を生成し、
前記受信手段は、前記局部発振手段により生成された局部発振信号に基づいて、前記受信した信号の周波数変換を行う、
ことを特徴とするレーダ装置。
(付記9)
(付記7)記載のレーダ装置であって、
基準信号を生成する基準発振手段と、
前記基準発振手段により生成された基準信号に基づいて変調信号を生成する変調手段と、
局部発振信号を生成する局部発振手段と、を更に備え、
前記送信手段は、前記変調手段により生成された変調信号を、前記局部発振手段により生成された局部発振信号で周波数変換し、前記送信する信号を生成し、
前記受信手段は、前記局部発振手段により生成された局部発振信号に基づいて、前記受信した信号の周波数変換を行う、
ことを特徴とするレーダ装置。
(付記10)
(付記6)記載のレーダ装置であって、
前記位相検波手段は、前記受信手段により受信された信号をI(Inphase)チャンネル成分とQ(Quadrature)チャンネル成分に位相検波しており、
前記変換手段は、前記位相検波手段により位相検波されたIチャンネル位相検波信号をデジタル化するIチャンネル変換部と、前記位相検波手段により位相検波されたQチャンネル位相検波信号をデジタル化するQチャンネル変換部と、を有しており、
前記演算手段は、前記Iチャンネル変換部によりデジタル化されたIチャンネル位相検波信号に基づいて前記減算処理を行うIチャンネル演算部と、前記Qチャンネル変換部によりデジタル化されたQチャンネル位相検波信号に基づいて前記減算処理を行うQチャンネル演算部と、を有しており、
前記記憶手段は、前記Iチャンネル変換部によりデジタル化された前記漏れ信号を記憶するIチャンネル記憶部と、前記Qチャンネル変換部によりデジタル化された前記漏れ信号を記憶するQチャンネル記憶部と、を有している、
ことを特徴とするレーダ装置。
(付記11)
(付記1)乃至(付記10)のうちいずれか記載のレーダ装置であって、
前記検出手段により検出された前記目標物の情報を表示する表示手段を更に備える、ことを特徴とするレーダ装置。
(付記12)
目標物に対して信号を、アンテナ手段を介して送信するステップと、
前記送信された信号が前記目標物で反射された信号を、前記アンテナ手段を介して受信するステップと、
前記送信される信号の一部が漏れた漏れ信号を記憶するステップと、
前記受信された信号から、前記記憶された漏れ信号を減算するステップと、
前記演算結果に基づいて、前記目標物を検出するステップと、
を含む、ことを特徴とするレーダ装置の検出方法。
(付記13)
(付記12)記載のレーダ装置の検出方法であって、
前記送信する信号を前記アンテナ手段に対して出力する場合と、前記アンテナ手段で受信された信号を出力する場合と、に切替えを行うステップを更に含み、
前記漏れ信号は、前記送信される信号の一部が前記切替え介して漏れる信号である、ことを特徴とするレーダ装置の検出方法。
(付記14)
(付記12)又は(付記13)記載のレーダ装置の検出方法であって、
前記送信される信号の一部が漏れる漏れ信号を前記記憶させるモードと、前記受信された信号から、前記記憶された漏れ信号を減算するモードと、に切替る、ことを特徴とするレーダ装置の検出方法。
(付記15)
(付記12)乃至(付記14)のうちいずれか記載のレーダ装置の検出方法であって、
温度検出手段により検出された温度に応じて、前記減算処理に対して温度補正を行う、ことを特徴とするレーダ装置の検出方法。
(付記16)
(付記14)又は(付記15)記載のレーダ装置の検出方法であって、
前記アンテナ手段の前方に所定の電波吸収体が検出されると、前記送信される信号の一部が漏れる漏れ信号を前記記憶させるモードに切替り、
前記漏れ信号が記憶されたと判断すると、前記受信された信号から、前記記憶された漏れ信号を減算するモードに切替る、ことを特徴とするレーダ装置の検出方法。
(付記17)
(付記12)乃至(付記16)のうちいずれか記載のレーダ装置の検出方法であって、
前記受信された信号を位相検波するステップと、
前記位相検波された信号をデジタル化するステップと、
前記デジタル化された信号に基づいて前記減算処理された信号を、復調するステップと、を更に含み、
前記復調された信号に基づいて前記目標物を検出する、ことを特徴とするレーダ装置の検出方法。
(付記18)
(付記12)乃至(付記16)のうちいずれか記載のレーダ装置の検出方法であって、
前記受信された信号をデジタル化するステップと、
前記デジタル化された信号に基づいて前記減算処理された信号を、位相検波するステップと、
前記位相検波された信号を復調するステップと、を更に含み、
前記復調された信号に基づいて、前記目標物を検出する、ことを特徴とするレーダ装置の検出方法。
(付記19)
(付記17)記載のレーダ装置の検出方法であって、
基準信号を生成するステップと、
変調信号を生成するステップと、
前記生成された変調信号を周波数変換し、局部発振信号を生成するステップと、を更に含み、
前記生成された局部発振信号に基づいて、前記生成された基準信号を周波数変換し、前記送信する信号を生成し、
前記生成された局部発振信号に基づいて、前記受信した信号の周波数変換を行う、
ことを特徴とするレーダ装置の検出方法。
(付記20)
(付記18)記載のレーダ装置の検出方法であって、
基準信号を生成するステップと、
前記生成された基準信号に基づいて変調信号を生成するステップと、
局部発振信号を生成するステップと、を更に含み、
前記生成された変調信号を、前記生成された局部発振信号で周波数変換し、前記送信する信号を生成し、
前記生成された局部発振信号に基づいて、前記受信した信号の周波数変換を行う、
ことを特徴とするレーダ装置の検出方法。
(付記21)
(付記17)記載のレーダ装置の検出方法であって、
前記受信された信号をI(Inphase)チャンネル成分とQ(Quadrature)チャンネル成分に前記位相検波しており、
前記位相検波されたIチャンネル位相検波信号をデジタル化し、前記位相検波されたQチャンネル位相検波信号をデジタル化しており、
前記デジタル化されたIチャンネル位相検波信号に基づいて前記減算処理を行い、前記デジタル化されたQチャンネル位相検波信号に基づいて前記減算処理を行っており、
前記デジタル化されたIチャンネルの前記漏れ信号を記憶し、前記デジタル化されたQチャンネルの前記漏れ信号を記憶している、
ことを特徴とするレーダ装置の検出方法。
(付記22)
(付記12)乃至(付記21)のうちいずれか記載のレーダ装置の検出方法であって、
前記検出された前記目標物の情報を表示するステップを更に含む、ことを特徴とするレーダ装置の検出方法。
(付記23)
信号の送受を行うアンテナ手段と、
目標物に対して信号を、前記アンテナ手段を介して送信する送信手段と、
前記送信手段により送信された信号が前記目標物で反射された信号を、前記アンテナ手段を介して受信する受信手段と、
前記送信手段から送信される信号の一部が前記受信手段に対して漏れる漏れ信号を記憶する記憶手段と、を備えるレーダ装置の検出プログラムであって、
前記受信手段で受信された信号から、前記記憶手段に記憶された漏れ信号を減算する処理と、
前記演算結果に基づいて、前記目標物を検出する処理と、
をコンピュータに実行させる、ことを特徴とするレーダ装置の検出プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、例えば、電波を空中に放射し、目標物からの反射信号を受信することにより目標物の方位、測距、速度等の情報を得るレーダ装置であって、近距離から遠距離までに存在する目標物を検出するレーダ装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 空中線
2 送受切替器
3 送信器
4 基準発振器
5 局部発振器
6 変調器
7 受信器
8 直交位相検波器
9 IチャンネルAD変換器
10 QチャンネルAD変換器
11 Iチャンネル演算器
12 Qチャンネル演算器
13 Iチャンネル記憶器
14 Qチャンネル記憶器
15 復調器
16 信号処理器
17 表示器
21 アンテナ手段
22 送信手段
23 受信手段
24 記憶手段
25 演算手段
26 検出手段
100、200 レーダ装置
図1
図2
図3
図4
図5