(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の電力供給対象及び当該電力供給対象を制御する制御部を備えた処理装置本体に取り付けられ、当該処理装置本体の周辺を移動する移動体を検出可能であり、当該検出可能な範囲として、前記移動体の接地部を検出するための下向きの検出範囲である下側領域と、前記移動体の頂部を検出するための上向きの検出範囲である上側領域とに区画された移動体検出手段と、
前記制御部の一部に属し常に電力が供給されることで前記移動体検出手段による移動体の接近を監視すると共に、当該移動体検出手段で移動体を検出した時点で、前記制御部の他の一部を含む前記処理装置本体に設けられた電力供給対象に電力供給を指示する電力供給制御手段と、
を有し、
前記移動体検出手段が、
前記下側領域により、操作者の足下の動きを検出することで、前記処理装置本体に接近している操作者を検出可能とし、
前記上側領域により、操作者の頭部の動きを検出することで、前記処理装置本体に対峙している操作者を検出可能とした電力供給制御装置。
前記移動体検出手段が、前記下向きの検出範囲で前記処理装置本体に対して相対的に遠い位置で当該処理装置本体に接近してくる移動体を検出し、前記上向きの検出範囲で前記処理装置本体に対して相対的に近い位置で対峙し操作部の操作を行なっている移動体を検出することで、移動体の最大寸法に関わらず、初期検出を下向きの検出範囲で同時期に検出し得るようにした請求項1記載の電力供給制御装置。
前記請求項1〜請求項4の何れか1項記載の電力供給制御装置を備え、前記処理装置本体が、原稿画像から画像を読み取る画像読取処理部、画像情報に基づいて記録用紙に画像を形成する画像形成処理部、予め相互に定められた通信手順の下で画像を送受信するファクシミリ通信処理部、の少なくとも1つの処理部を含み、
前記制御部により、前記処理部が個別に電力供給状態並びに電力遮断状態に遷移するように制御され、処理部別に節電する部分節電手段を有する画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1には、本実施の形態に係る画像処理装置10が示されている。
【0018】
画像処理装置10は、記録用紙に画像を形成する画像形成部12と、原稿画像を読み取る画像読取部14と、ファクシミリ通信制御回路16を備えている。画像処理装置10は、メインコントローラ18を備えており、画像形成部12、画像読取部14、ファクシミリ通信制御回路16を制御して、例えば、画像読取部14で読み取った原稿画像の画像データを一次的に記憶したり、読み取った画像データを画像形成部12又はファクシミリ通信制御回路16へ送出したりする。
【0019】
メインコントローラ18にはインターネット等のネットワーク通信回線網20が接続され、ファクシミリ通信制御回路16には電話回線網22が接続されている。メインコントローラ18は、例えば、ネットワーク通信回線網20を介してホストコンピュータと接続され、画像データを受信したり、ファクシミリ通信制御回路16を介して電話回線網22を用いてファクシミリ受信及びファクシミリ送信を実行する役目を有している。
【0020】
画像読取部14は、原稿を位置決めする原稿台と、原稿台に置かれた原稿の画像を走査して光を照射する走査駆動系と、走査駆動系の走査により反射又は透過する光を受光して電気信号に変換するCCD等の光電変換素子と、が設けられている。
【0021】
画像形成部12は、感光体を備え、感光体の周囲には、感光体を一様に帯電する帯電装置と、画像データに基づいて光ビームを走査する走査露光部と、前記走査露光部によって走査露光されることで形成された静電潜像を現像する画像現像部と、現像化された感光体上の画像を記録用紙へ転写する転写部と、転写後の感光体の表面をクリーニングするクリーニング部と、が設けられている。また、記録用紙の搬送経路上には、転写後の記録用紙上の画像を定着する定着部を備えている。
【0022】
画像処理装置10には、入力電源線24の先端にコンセント26が取り付けられており、壁面Wまで配線された商用電源31の配線プレート32に、当該コンセント26を差し込むことで、画像処理装置10は、商用電源31から、電力の供給を受けるようになっている。
【0023】
(画像処理装置の制御系ハード構成)
図2は、画像処理装置10の制御系のハード構成の概略図である。
【0024】
ネットワーク回線網20は、前記画像処理装置10のメインコントローラ18に接続されている。なお、ネットワーク回路網20には、画像データを送信元等になり得るPC(端末装置)29が接続されている。
【0025】
メインコントローラ18には、それぞれ、データバスやコントロールバス等のバス33A〜33Dを介して、ファクシミリ通信制御回路16、画像読取部14、画像形成部12、UIタッチパネル40が接続されている。すなわち、このメインコントローラ18が主体となって、画像処理装置10の各処理部が制御されるようになっている。なお、UIタッチパネル40には、UIタッチパネル用バックライト部40BLが取り付けられている。
【0026】
また、画像処理装置10は、電源装置42を備えており、メインコントローラ18とは信号ハーネス43で接続されている。
【0027】
電源装置42は、商用電源31から入力電源線24を介して電力の供給を受けている。
【0028】
電源装置42では、メインコントローラ18、ファクシミリ通信制御回路16、画像読取部14、画像形成部12、UIタッチパネル40のそれぞれに対して独立して電力を供給する電力供給線35A〜35Dが設けられている。このため、メインコントローラ18では、各処理部(デバイス)に対して個別に電力供給(電力供給モード)、或いは電力供給遮断(スリープモード)し、所謂部分節電制御を可能としている。
【0029】
また、メインコントローラ18は、その一部に常に電力が供給される節電監視制御部(例えば、ICチップ等)があり、当該節電監視制御部には、第1の人感センサ28が接続されており、画像処理装置10の周囲の人の有無を監視している。
【0030】
(人感センサの機能)
ところで、スリープモード時に使用者が画像処理装置10の前に立ち、その後に例えば、節電制御ボタンを操作して、電力供給を再開した場合、画像処理装置10が立ち上がるまでに時間を要する場合があった。
【0031】
そこで、第1の人感センサ28を設置すると共に、スリープモードでは、使用者が節電解除ボタンを押す前に第1の人感センサ28で検知して早期に電力供給を再開して、使用者が早く使えるようにした。なお、節電制御ボタンと第1の人感センサ28とを併用しているが、第1の人感センサ28のみで全ての監視を行うことも可能である。
【0032】
なお、第1の人感センサ28は、「人感」としているが、これは、本実施の形態に則した固有名詞であり、少なくとも人が感知(検出)できればよく、言い換えれば、人以外の移動体の感知(検出)も含むものである。従って、以下において、第1の人感センサ28の検出対象を「人」に言及する場合があるが、将来的には、人に代わって実行するロボット等も感知対象範囲である。なお、逆に、人と特定して感知できる特殊センサが存在する場合は、当該特殊センサを適用可能である。以下では、移動体、人、使用者等は、第1の人感センサ28が検出する対象として同義として扱い、必要に応じて区別することとする。
【0033】
「第1の人感センサ28」
本実施の形態に係る第1の人感センサ28の仕様は、画像処理装置10の周囲(例えば、0m〜5mの範囲)において、移動体の動きを検出するものである。この場合、焦電素子の焦電効果を用いた赤外線センサ等が代表的である(焦電型センサ)。本実施の形態では、第1の人感センサ28として焦電型センサを適用している。例えば、検出範囲の温度変化量が、予めしきい値を超えた場合に、出力信号である二値信号が反転する。
【0034】
この第1の人感センサ28に適用された焦電素子の焦電効果を用いたセンサの最大の特徴は、検出領域が広いことである。また、移動体の動きを感知するため、検出領域内であって、人が静止していると、温度変化がないので人の存在を検出しない。例えば、人の移動時にハイレベル信号が出力されている場合、検出範囲内の人が静止すると、当該信号がローレベル信号になるものである。
【0035】
なお、本実施の形態における「静止」とは、スチルカメラ等で撮影した静止画のように完全静止も当然含まれるが、例えば、人が画像処理装置10の前に操作を目的として立ち止まることを含むものとする。従って、予め定めた範囲の微動(呼吸に伴う動き等)や、手足、首等を動かすといった場合を静止の範疇とする。
【0036】
但し、人が画像処理装置10の前で、例えば画像形成や画像読取等の処理を待つ間、その場でストレッチ運動等を行うと、第1の人感センサ28では、人の存在を検出する場合もある。また、逆に、人が室内よりも低温度の室外から入ってきた場合、低温度の被服に遮られて、人の温度を検出できない場合もある。この点については、後述する。
【0037】
従って、当該「静止」を定義して第1の人感センサ28による動き検出のためのしきい値を設定するのではなく、しきい値は比較的おおまか、かつ標準的に設定し、環境(温度、湿度等)に基づく、当該第1の人感センサ28の検出状態に依存するようにしてもよい。すなわち、装置設置場所において、実験的に又は統計的に、第1の人感センサ28が二値信号の内の1つ(例えば、ハイレベル信号)を出力しているときは人が動いていることを示し、第1の人感センサ28の検出領域内に人が存在し、かつ二値信号の内の他の1つ(例えば、ローレベル信号)が出力された場合を静止とするようなしきい値を設定すればよい。
【0038】
なお、第1の人感センサ28として、以下に示す機能をそれぞれ達成することが可能であれば、第1の人感センサ28として焦電型センサに限定されるものではない。
【0039】
本実施の形態では、第1の人感センサ28が管轄する検出領域内に移動体(使用者)が進入した時点でスリープモードからスタンバイモードへの立ち上げを指示する。
【0040】
一方、第1の人感センサ28の電力供給の遮断に関しては、当該第1の人感センサ28の移動体検出状況に加え、タイマ機能が併用されるようになっている。
【0041】
(第1の人感センサ28及びその周辺の構成)
図3に示される如く、画像処理装置10は、画像読取装置14と、画像形成装置12等が筐体300に覆われており、第1の人感センサ28は、当該筐体300における、縦長矩形状のピラー部302に取り付けられている。ピラー部302は、前記画像読取装置14を覆う上筐体300Aと画像形成装置12を覆う下筐体300Bとを連結する部分であり、その内部は記録用紙搬送系等が組み付けられている。
【0042】
ピラー部302の前面は、前記ピラー部302を意匠的な要素を持って被覆する縦長の矩形状のカバー部材304が取り付けられている。
図4に示される如く、カバー部材304の裏面側には、前記第1の人感センサ28が取り付けられたセンサ組み付け用の構造体308(
図6参照)を具備する。
【0043】
図5に示される如く、カバー部材304の下面と、前記下筐体300Bの上面との間には、隙間部312が設けられている。また、カバー部材304の
図5の下端部は所謂面取り加工(面取り部304A)形状とされ、前記隙間部312の開口面積が、奥側の隙間寸法よりも大きくなっている。
【0044】
前記面取り部304Aには矩形状の貫通孔304Bが設けられている。貫通孔304Bは、面取り部304Aに形成されているため、前面に形成されているよりも、装置前方からは見えにくく、カバー部材304の意匠的な要素を損なわない構造となっている。
【0045】
また、前記構造体308には第1の人感センサ28が取り付けられており、当該第1の人感センサ28の検出部28Aの検出面(詳細後述)の中心光軸(法線L)は水平とされ、この法線Lよりも下方に貫通孔304Bが設けられている。このため、貫通孔304Bは、前記第1の人感センサ28により移動体を検出するための下向きの監視窓としての役目を有する。
【0046】
また、カバー部材304における、前記法線Lよりも上方には、貫通孔304Cが設けられている。この貫通孔304Cは、前記第1の人感センサ28により移動体を検出するための上向きの監視窓としての役目を有する。以下、貫通孔304B、貫通孔304Cを総称して監視窓304という場合がある。
【0047】
第1の人感センサ28は、検出部28Aと回路基板部28Bとを備えており、回路基板部28Bがカバー部材304と平行に配置された構造体308に取り付けられている。このため、検出部28Aの検出面の中心光軸(法線L)は水平となり、カバー部材304の前面(裏面側)に対向しているが、この部分は遮蔽されている。
【0048】
図6(A)は、本実施の形態に適用される第1の人感センサ28(焦電センサ)の検出部28Aの検出面正面図であり、検出部28Aは複数の検出素子の集合体(本実施の形態では、16個の検出素子314A,314B,314C,314D,314E,314F,314G,314H,314I,314J,314K,314L,314M,314N,314O,314Pの集合体)である。以下、総称する場合、検出素子314という。
【0049】
検出素子314は、それぞれ赤外線を検出可能であり、回路基板部28B(
図5参照)によって、それぞれの検出素子314に入力される赤外線の変化量である電気信号が合成され、単一のセンサの電気信号として出力されるようになっている。
【0050】
検出部28Aは、弾丸型(先端部が半球形状の筒体型)のレンズカバー316(
図5参照)によって被覆されている。レンズカバー316の先端部の半球形状面は、検出素子314の数(ここでは、16個)に応じて区画されたレンズ部318A〜318P(
図6(B)参照、以下、総称する場合「レンズ部318)が形成されている。このため、レンズ部318によって集光されたそれぞれの領域内が、それぞれ対応する検出素子314の検出領域となる。検出領域は、少なくとも互いに主たる領域(仕様上の検出領域)が同一の領域となっている。検出素子314が有効に利用されればされるほど、出力される電気信号の強度(精度)が高くなる。
【0051】
ところで、
図5及び
図6(B)、(C)に示される如く、第1の人感センサ28の正面は、カバー部材304の前面の裏面側304Dによって遮蔽されているため、検出素子314の一部(
図6(B)では、上部及び下部のそれぞれ1/3程度の検出素子が監視窓304Bから赤外線を検出することが可能な有効検出素子となる。具体的には、上部の1/3は検出素子314A、314B、314C、314Dであり、下部の1/3は検出素子314J、314N、314O、314Pである。
【0052】
言い換えれば、それ以外の検出素子314E、314F、314G、314H、314I、314K、314L、314Mは赤外線が検出不可能な無効検出素子となる。
【0053】
なお、当然全て(16個)の検出素子314A〜314Pの合成信号強度(例えば、電圧値)を用いることが検出精度からすれば好ましいが、1個の検出素子の信号強度であっても、2個以上の検出素子の信号強度よりも検出精度は落ちるが、移動体を検出するのに十分な信号強度にを確保することは実証済みである。
【0054】
図7、
図8に示される如く、第1の人感センサ28の検出領域(検出範囲)は、画像処理装置10の設置された床面56と、天井面58とに向けられた、2つの互いに分離された下側領域56Aと、上側領域58Aとに設定されることになる。
【0055】
ここで、下側領域56Aは、その検出範囲の到達位置が床面56であり、画像処理装置10に接近してくる移動体(使用者60)の接地部(足下)を対象としている。
【0056】
第1の人感センサ28は、検出範囲内の温度変化を検出するため、移動体(使用者60)を検出するには、当該移動体(使用者60)が動いている必要がある。ところが、足下の場合(例えば、
図9、
図10のように、使用者60が画像処理装置10の前に対峙し、UIタッチパネル40等を操作している場合)では、第1の人感センサ28が温度変化を検出できない場合がある。
【0057】
そこで、本実施の形態では、第1の人感センサ28の検出範囲として、下側領域56Aに加え、上側領域58Aを設定した。この上側領域58Aの最終到達点は、天井面58であるが、当該天井面58に至るまでの空間領域に、移動体(使用者60)の中で最も動きがあると予測される頂部(頭部)が進入することを想定したものである(
図9、
図10参照)。
【0058】
なお、
図7,
図8に示される如く、下側領域56Aによって使用者60の足下を検出するときの画像処理装置10からの最長距離Aは、上側側領域58Aによって使用者60の頭部を検出するときの画像処理装置10からの最長距離B1(
図7参照)、並びにB2(
図8参照)よりも長くし、使用者60の最大高さ寸法の違いによる検出時期の差(例えば、
図7の距離C1と
図8の距離C2の差等であり、距離C1<距離C2)を解消するようにしている。
【0059】
以下、本実施の形態の作用を説明する。
【0060】
(画像処理装置10(デバイス)の電力供給制御のモード遷移の一例)
画像処理装置10は、処理がなされていないと動作状態は、スリープモードとなる。
【0061】
ここで、立ち上げ契機(第2の人感センサ30による使用者検出等の立ち上げトリガの検出、或いは節電制御ボタン等の操作)があると、動作状態はウォームアップモードへ遷移する。
【0062】
なお、この立ち上げトリガ契機後は、メインコントローラ18及びUIタッチパネル40BLの起動によって、本来のスリープモード時の電力供給よりも電力供給量が増加するモードを設けてもよい。このモードは、依然としてスリープモードと定義してもよいし、他のモードとして定義してもよい。
【0063】
また、立ち上げトリガ契機後、例えば、節電制御ボタンの操作によって復帰すると、ジョブを選択するモードまで復帰し、選択されたジョブによってどのデバイスが起動するかが決まり、画像形成部12が起動しない場合はウォームアップしない場合もある。
【0064】
前記立ち上げのトリガとしては、第1の人感センサ28による使用者検出、使用者の節電制御ボタンの操作による節電解除操作の他、例えば、ICカードリーダの操作認証であってもよい。
【0065】
前記ウォームアップモードは画像処理装置10(主として、画像形成部240の定着部の温度)を迅速に処理可能状態にもっていくための暖気運転であり、各モードの内最大の電力消費量となるが、例えば、定着部におけるヒータとしてIHヒータを利用することによって、ハロゲンランプを用いたヒータよりもウォームアップモード時間は、比較的短い時間とされている。なお、IHヒータとハロゲンランプの併用も可能である。なお、暖気運転は、最も電力を消費するモードである(例えば、1200W)。
【0066】
ウォームアップモードによる暖機運転が終了すると、画像処理装置10はスタンバイモードに遷移する。
【0067】
スタンバイモードは、文字通り「事に備えて準備が完了している」モードであり、画像処理装置10においては、画像処理の動作が即実行できる状態となっている。
【0068】
このため、キー入力としてジョブ実行操作があると、画像処理装置10の動作状態は、ランニングモードに遷移し、指示されたジョブに基づく画像処理が実行されるようになっている。
【0069】
画像処理が終了すると(連続した複数のジョブが待機している場合は、その連続したジョブの全てが終了したとき)、待機トリガによって画像処理装置10の動作状態はスタンバイモードへ遷移する。なお、画像処理後、タイマ機能による計時を開始し、予め定めた時間経過した後に待機トリガを出力し、スタンバイモードへ遷移するようにしてもよい。
【0070】
このスタンバイモード中にジョブ実行指示があれば、再度ランニングモードへ遷移し、立ち下げのトリガ検出、或いは予め定めた時間が経過したとき、スリープモードへ遷移するようになっている。なお、立ち下げのためのトリガは、例えば、第1の人感センサ28による検出結果に基づく信号やタイマ機能、並びにこれらの併用が可能である。
【0071】
また、画像処理装置10における実際の動作におけるモード状態の遷移が、全て単一のタイミングチャートのとおり時系列で進行するものではない。例えば、ウォームアップモード後のスタンバイモードで処理が中止され、スリープモードへ移行する場合もある。
【0072】
このように、本実施の形態の画像処理装置10は、モードの間を相互に遷移しており、各モード毎に消費される電力が異なっている。
【0073】
また、本実施の形態では、各デバイス毎に電力供給制御が行われることで、例えば、スリープモードから画像読取処理が指示された場合には、画像形成部12を起動することなく、画像読取部14を通電するといった、所謂部分節電が可能である。
【0074】
(スリープモード中における第1の人感センサ28での監視)
ここで、本実施の形態では、スリープモード中は、基本的には、第1の人感センサ28のみが電力供給を受けて、移動体の接近状態を監視している。
【0075】
この第1の人感センサ28によって移動体(使用者60)を検出すると(
図7,
図8に示すように検出範囲に立ち入った状態)、画像処理装置10を使用する使用者であることを認識し、画像処理装置10の一部(例えば、メインコントローラ18とUIタッチパネル40等)又は全部に電力を供給する。
【0076】
ここで、本実施の形態では、
図7、
図8に示される如く、第1の人感センサ28の検出領域を、下側領域56Aと上側領域58Aとに区画した。
【0077】
通常、近づいてくる移動体(人)を検知するには、その足元を確実に検出可能な床面56側、すなわち下側領域56Aを検出範囲とすればよい。しかしながら、第1の人感センサ28は、検出範囲内の温度変化を検出するため、移動体が立ち止まると温度変化がなくなり、第1の人感センサ28が温度変化を検出できない場合がある。
【0078】
そこで、本実施の形態では、第1の人感センサ28の検出範囲として、下側領域56Aに加え、上側領域58Aを設定し、移動体(使用者であれば人)の足下に加え、頭部を検出対象とした。
【0079】
このように、本実施の形態では、第1の人感センサ28の検出範囲として、床面56に向けられた下側領域56Aでの検出範囲と、天井面58に向けられた上側領域58Aでの検出範囲とに区画し、例えば、移動体(使用者60)が画像処理装置10のUIタッチパネル40に対峙して操作するとき、足下が静止状態となっても(
図7、
図8参照)、頭部は完全に静止することは、足下よりも少なくため(
図9、
図10参照)、当該UIタッチパネル40等の操作をしている使用者60が認識可能となる。
【0080】
なお、本実施の形態では、第1の人感センサ28の検出範囲を、下側領域56Aと上側領域58Aとに分割し、それぞれの検出距離を異ならせている。すなわち、下側領域56Aによって使用者60の足下を検出するときの画像処理装置10からの最長距離Aは、上側領域58Aによって使用者60の頭部を検出するときの画像処理装置10からの最長距離B1、B2よりも長い。すなわち、足下の方が頭部よりも検出位置が遠い。
【0081】
これにより、使用者60の最大寸法の違いによる検出時期の差(例えば、
図7の距離C1と
図8の距離C2の差等であり、距離C1<距離C2)が解消される。
【0082】
(変形例)
本実施の形態では、第1の人感センサ28の検出素子314において、上側領域58Aは、検出素子314A、314B、314C、314Dで検出し、下側領域56Aは、検出素子314J、314N、314O、314Pで検出している。
【0083】
この場合、検出素子314A、314B、314C、314Dの個体差による信号強度と、検出素子314J、314N、314O、314Pの固体差による信号強度が異なり、検出基準(検出しきい値)が上側領域58Aと下側領域56Aとで異なる場合がある。
【0084】
そこで、変形例では、
図11に示される如く、下筐体300Bにおけるピラー部302に対向する上面に、反射ミラー320(光学部材)を配置して、上側領域58Aと下側領域56Aを検出する検出素子を共通とした(
図11では、検出素子314A、314B、314C、314D)。
【0085】
すなわち、下側領域56Aは、光軸が直接前記貫通孔304Bを通過する。一方、上側領域58Aは、光軸が反射ミラー320により反射して偏向する。
【0086】
なお、「偏向」とは、光軸を前記反射ミラー320で反射することに加え、レンズ、プリズム等によって屈折させることも含むが、光軸を軸回りに回転させる「偏光」とは異なる。
【0087】
この変形例によれば、ピラー部302の開口として、面取り部304Aに設けた貫通孔304Bのみであるので(貫通孔304Cが不要であるので)、ピラー部302の正面視における意匠的な要素に影響を及ぼす加工が不要となる。