特許第6044122号(P6044122)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6044122
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/12 20060101AFI20161206BHJP
   B60C 11/03 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   B60C11/12 A
   B60C11/03 C
   B60C11/12 B
   B60C11/03 300A
   B60C11/12 C
   B60C11/12 E
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-128352(P2012-128352)
(22)【出願日】2012年6月5日
(65)【公開番号】特開2013-252751(P2013-252751A)
(43)【公開日】2013年12月19日
【審査請求日】2015年6月2日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】平間 充
【審査官】 高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−314758(JP,A)
【文献】 特開平11−151915(JP,A)
【文献】 特開2011−255878(JP,A)
【文献】 特開2001−213123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 11/03
11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部にタイヤ周方向に延びる複数本の周方向溝を設け、これら周方向溝により複数列の陸部を区画し、各陸部にタイヤ幅方向に延びる複数本のサイプを設けた構造を有すると共に、回転方向が指定された空気入りタイヤにおいて、各サイプ内で対面する一対の壁面の一方に凸部を形成し、該一対の壁面の他方に前記凸部と噛み合う凹部を形成し、前記凸部及び前記凹部の形状を半球形状にすると共に、タイヤ赤道上に位置する陸部に含まれる全てのサイプで前記凸部の70%以上を前記回転方向に向かって突き出すように配置する一方で、タイヤ幅方向最外側に位置する陸部に含まれる全てのサイプで前記凸部の70%以上を前記回転方向とは反対方向に向かって突き出すように配置したことを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記サイプの最大深さを前記周方向溝の深さの50%以上とし、前記凸部をその最大高さ位置が前記サイプの最大深さの50%未満となる踏面側領域に含まれるように配置したことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記凸部の最大高さを0.5mm〜2.5mmとしたことを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記凸部の最大高さを前記サイプの溝幅よりも大きくしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレッド部に多数のサイプを設けた空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、氷上性能をより効果的に改善することを可能にした空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
スタッドレスタイヤに代表される冬用の空気入りタイヤにおいては、トレッド部にタイヤ周方向に延びる複数本の周方向溝とタイヤ幅方向に延びる複数本の横溝とが形成され、これら周方向溝及び横溝により複数のブロックが区画され、各ブロックにタイヤ幅方向に延びる複数本のサイプが形成されている。このようにトレッド部に多数のサイプを配することにより、氷表面の水膜を除去し、氷上性能を向上する手法が知られている。一般に、氷上性能を更に向上するためにサイプ本数を増やしてサイプ密度を高めると、ブロック剛性が低下してドライ路面での操縦安定性が低下する傾向がある。
【0003】
これに対して、各サイプ内で対面する一対の壁面の一方に凸部を形成し、該一対の壁面の他方に凸部と噛み合う凹部を形成し、これら凸部と凹部との噛み合いによりブロックの倒れ込みを規制することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、上述のように各サイプ内で対面する一対の壁面に凸部と凹部を設けるようにしても、ブロックの倒れ込みを必ずしも十分に抑えることができず、ブロックの倒れ込みに起因する接地面積の大幅な減少により氷上での制動性能や駆動性能を十分に確保することができないのが現状である。そのため、ブロックの倒れ込みを効果的に防止して氷上性能を更に改善することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−58118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、氷上性能をより効果的に改善することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、トレッド部にタイヤ周方向に延びる複数本の周方向溝を設け、これら周方向溝により複数列の陸部を区画し、各陸部にタイヤ幅方向に延びる複数本のサイプを設けた構造を有すると共に、回転方向が指定された空気入りタイヤにおいて、各サイプ内で対面する一対の壁面の一方に凸部を形成し、該一対の壁面の他方に前記凸部と噛み合う凹部を形成し、前記凸部及び前記凹部の形状を半球形状にすると共に、タイヤ赤道上に位置する陸部に含まれる全てのサイプで前記凸部の70%以上を前記回転方向に向かって突き出すように配置する一方で、タイヤ幅方向最外側に位置する陸部に含まれる全てのサイプで前記凸部の70%以上を前記回転方向とは反対方向に向かって突き出すように配置したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明者は、各陸部にタイヤ幅方向に延びる複数本のサイプを設けた空気入りタイヤにおいて、サイプ内の一対の壁面に互いに噛み合う凸部及び凹部を設けた構造について鋭意研究を重ねた結果、駆動性能への寄与が大きいセンター領域のサイプでは凸部を回転方向に向かって突き出すように配置した場合、駆動時に路面から加えられる外力に対してブロック等の陸部が倒れ込みを生じ難くなることを知見する一方で、制動性能への寄与が大きいショルダー領域のサイプでは凸部を回転方向とは反対方向に向かって突き出すように配置した場合、制動時に路面から加えられる外力に対してブロック等の陸部が倒れ込みを生じ難くなることを知見し、本発明に至ったのである。
【0011】
即ち、本発明では、回転方向が指定された空気入りタイヤにおいて、各サイプ内で対面する一対の壁面の一方に凸部を形成し、該一対の壁面の他方に凸部と噛み合う凹部を形成すると共に、タイヤ赤道上に位置する陸部に含まれるサイプでは凸部を回転方向に向かって突き出すように配置することにより、駆動時における陸部の倒れ込みを効果的に抑えて接地面積を十分に確保し、その結果として、氷上性能をより効果的に改善することができる。
【0012】
また、本発明では、回転方向が指定された空気入りタイヤにおいて、各サイプ内で対面する一対の壁面の一方に凸部を形成し、該一対の壁面の他方に凸部と噛み合う凹部を形成すると共に、タイヤ幅方向最外側に位置する陸部に含まれるサイプでは凸部を回転方向とは反対方向に向かって突き出すように配置することにより、制動時における陸部の倒れ込みを効果的に抑えて接地面積を十分に確保し、その結果として、氷上性能をより効果的に改善することができる。
【0013】
本発明において、サイプの最大深さを周方向溝の深さの50%以上とし、凸部をその最大高さ位置がサイプの最大深さの50%未満となる踏面側領域に含まれるように配置することが好ましい。これにより、氷上性能の改善効果を高めることができる。
【0014】
凸部の最大高さは0.5mm〜2.5mmとすることが好ましい。これにより、離型性を損なうことなく氷上性能を改善することができる。特に、凸部の最大高さをサイプの溝幅よりも大きくすることが好ましい。これにより、凸部と凹部との噛み合いを促進し、氷上性能の改善効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す子午線断面図である。
図2】本発明の空気入りタイヤのトレッドパターンの一例を示す展開図である。
図3図2のトレッドパターンにおけるブロックを示す側面図である。
図4図3のIV−IV矢視断面図である。
図5図3のブロックの要部断面図である。
図6】従来の空気入りタイヤにおけるブロックの挙動を示し、(a)はブロックにタイヤ周方向の外力Fが掛かった状態を示す側面図であり、(b)はその際の接地領域を示す平面図である。
図7】本発明の空気入りタイヤにおけるブロックの挙動を示し、(a)はブロックにタイヤ周方向の外力Fが掛かった状態を示す側面図であり、(b)はその際の接地領域を示す平面図である。
図8】本発明の空気入りタイヤにおける凹部及び凸部を備えたサイプの変形例を示すブロック断面図である。
図9】本発明の空気入りタイヤにおける凹部及び凸部を備えたサイプの変形例を示すブロック断面図である。
図10】本発明の空気入りタイヤにおける凹部及び凸部を備えたサイプの変形例を示すブロック断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1及び図2は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示すものである。本実施形態の空気入りタイヤは回転方向Rが指定され、その回転方向Rが好ましくはタイヤ外表面に表示されたものである。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、該トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3とを備えている。
【0018】
一対のビード部3,3間にはカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側に巻き上げられている。カーカス層4の補強コードとしては、一般には有機繊維コードが使用されるが、スチールコードを使用しても良い。ビードコア5の外周上には断面三角形状のゴム組成物からなるビードフィラー6が配置されている。
【0019】
一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層のベルト層7が埋設されている。これらベルト層7はタイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。ベルト層7において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°〜40°の範囲に設定されている。ベルト層7の補強コードとしては、スチールコードが好ましく使用される。ベルト層7の外周側には、高速耐久性の向上を目的として、補強コードをタイヤ周方向に対して5°以下の角度で配列してなる少なくとも1層のベルトカバー層8を配置されている。ベルトカバー層8は少なくとも1本の補強コードを引き揃えてゴム被覆してなるストリップ材をタイヤ周方向に連続的に巻回したジョイントレス構造とすることが望ましい。また、ベルトカバー層8はベルト層7の幅方向の全域を覆うように配置しても良く、或いは、ベルト層7の幅方向外側のエッジ部のみを覆うように配置しても良い。ベルトカバー層8の補強コードとしては、ナイロンやアラミド等の有機繊維コードが好ましく使用される。
【0020】
なお、上述したタイヤ内部構造は空気入りタイヤにおける代表的な例を示すものであるが、これに限定されるものではない。
【0021】
図2に示すように、トレッド部1にはタイヤ周方向に延びる複数本の周方向溝11及びタイヤ幅方向に延びる複数本の横溝12がタイヤ周方向に間隔をおいて形成されている。これら周方向溝11及び横溝12によりトレッド部1には複数のブロック13からなる複数列の陸部14が区画されている。陸部14は、タイヤ赤道E上に位置する1列のセンター陸部14Aと、該センター陸部14Aの両外側に位置する一対の中間陸部14B,14Bと、タイヤ幅方向最外側に位置する一対のショルダー陸部14C,14Cとを含んでいる。ブロック13の各々にはタイヤ幅方向に延びる複数本のサイプ20が形成されている。ここでは陸部14がブロック13である場合について説明するが、陸部14はタイヤ周方向に連続的に延在するリブであっても良い。
【0022】
図3は上記トレッドパターンにおけるブロックを示すものであり、図4及び図5はそのブロックに形成されたサイプを示すものである。
【0023】
図3図5に示すように、上記空気入りタイヤにおいて、各サイプ20内で対面する一対の壁面21,22の一方には凸部23が形成され、該一対の壁面21,22の他方には凸部23と噛み合う凹部24が形成されている。凸部23及び凹部24の形状は半球形状にする
【0024】
ここで、図2に示すように、タイヤ赤道E上に位置するセンター陸部14Aに含まれるサイプ20では、凸部23が回転方向Rに向かって突き出すように配置されている。一方、タイヤ幅方向最外側に位置するショルダー陸部14Cに含まれるサイプ20では、凸部23が回転方向Rとは反対方向に向かって突き出すように配置されている。更に、センター陸部14Aとショルダー陸部14Cとの間に位置する中間陸部14Bに含まれるサイプ20では、センター寄りの凸部23が回転方向Rに向かって突き出すように配置され、ショルダー寄りの凸部23が回転方向Rとは反対方向に向かって突き出すように配置されている。
【0025】
このように構成される空気入りタイヤでは、各サイプ20内で対面する一対の壁面21,22の一方に凸部23を形成し、該一対の壁面21,22の他方に凸部23と噛み合う凹部24を形成するにあたって、タイヤ赤道E上に位置するセンター陸部14Aに含まれるサイプ20では凸部23を回転方向Rに向かって突き出すように配置しているので、駆動時におけるセンター陸部14A(即ち、センター陸部14Aを構成するブロック13)の倒れ込みを効果的に抑えて接地面積を十分に確保し、その結果として、氷上性能をより効果的に改善することができる。
【0026】
また、タイヤ幅方向最外側に位置するショルダー陸部14Cに含まれるサイプ20では凸部23を回転方向Rとは反対方向に向かって突き出すように配置しているので、制動時におけるショルダー陸部14C(即ち、ショルダー陸部14Cを構成するブロック13)の倒れ込みを効果的に抑えて接地面積を十分に確保し、その結果として、氷上性能をより効果的に改善することができる。
【0027】
上記空気入りタイヤにおいて、センター陸部14Aにおける凸部23の配向とショルダー陸部14Cにおける凸部23の配向は個別に採用することが可能であるが、これら配向を同時に採用することで優れた氷上性能を発揮することが可能になる。また、センター陸部14A及びショルダー陸部14Cを除く他の陸部については、凸部23の配向を適宜選択することができる。
【0028】
特に、トレッド展開幅TWに対して、タイヤ赤道Eを中心として0.35×TWの幅を有するセンター領域Tcと、該センター領域Tcの外側に位置するショルダー領域Tsとを規定したとき、センター領域Tcに含まれるサイプ20では凸部23を回転方向Rに向かって突き出すように配置し、ショルダー領域Tsに含まれるサイプ20では凸部23を回転方向Rとは反対方向に向かって突き出すように配置することが好ましい。これにより、凸部23及び凹部24を備えたサイプ20を最も効率良く機能させることができる。
【0029】
なお、タイヤ赤道E上に位置するセンター陸部14A(又はセンター領域Tc)に含まれるサイプ20では全ての凸部23を回転方向Rに向かって突き出すように配置することが好ましいが、全ての凸部23の70%以上に対して上記配向を適用することにより所望の効果を得ることができる。同様に、タイヤ幅方向最外側に位置するショルダー陸部14C(又はショルダー領域Ts)に含まれるサイプ20では全ての凸部23を回転方向Rとは反対方向に向かって突き出すように配置することが好ましいが、全ての凸部23の70%以上に対して上記配向を適用することにより所望の効果を得ることができる。
【0030】
図6は従来の空気入りタイヤにおけるブロックの挙動を示し、図7は本発明の空気入りタイヤにおけるブロックの挙動を示すものである。図6(a)に示すように、サイプ20の壁面に凸部23及び凹部24が形成されていない場合、制動時又は駆動時においてブロック13にタイヤ周方向の外力Fが掛かったとき、図6(b)に示すように、ブロック13が倒れ込んで接地領域X(斜線部)の面積が大幅に減少する。これに対して、図7(a)に示すように、サイプ20の壁面に凸部23及び凹部24を設け、凸部23の突き出し方向を上記の如く規定した配置した場合、制動時又は駆動時においてブロック13にタイヤ周方向の外力Fが掛かったとき、図7(b)に示すように、ブロック13の倒れ込みを抑えて接地領域X(斜線部)の面積を十分に確保することができる。
【0031】
上記空気入りタイヤにおいて、サイプ20の最大深さdは周方向溝11の深さDの50%以上、より好ましくは、50%〜100%の範囲に設定されている。これに対して、少なくとも一部の凸部23はその最大高さ位置がサイプ20の最大深さdの50%未満となる踏面側領域Aに含まれるように配置されている。このように凸部23を踏面側領域Aに配置することにより、陸部14A〜14C(ブロック13)の倒れ込みを効果的に抑えて氷上性能の改善効果を高めることができる。また、少なくとも一部の凸部23はその最大高さ位置がサイプ20の最大深さdの50%以上となる底側領域Bに含まれるように配置されている。凸部23は踏面側領域Aのみならず底側領域Bにも配置することが可能である。
【0032】
上記空気入りタイヤにおいて、凸部23の最大高さhは0.5mm〜2.5mmの範囲、より好ましくは、0.5mm〜1.5mmの範囲に設定されている。これにより、離型性を損なうことなく氷上性能を改善することができる。凸部23の最大高さhが0.5mm未満であると氷上性能の改善効果が低下し、逆に2.5mmを超えると離型性が阻害される。特に、凸部23の最大高さhはサイプ20の溝幅gよりも大きくするのが良い。これにより、凸部23と凹部24との噛み合いを促進し、氷上性能の改善効果を高めることができる。なお、サイプ20の溝幅gはエッジ効果を有効に働かせるために0.3mm〜1.5mmとするのが良い。
【0033】
図8図10は本発明の空気入りタイヤにおける凹部及び凸部を備えたサイプの変形例を示すものである。なお、図8図10において、図1図5と同一物には同一符号を付してその部分の詳細な説明は省略する。
【0034】
図8において、サイプ20の底側領域Bでは凸部23のサイプ深さ方向の位置が一定になっているが、サイプ20の踏面側領域Aでは凸部23のサイプ深さ方向の位置がサイプ長さ方向に沿って変化している。図9において、サイプ20の踏面側領域A及び底側領域Bで凸部23のサイプ深さ方向の位置が一定になっている。図10においては、サイプ20の踏面側領域Aにおける凸部23の個数がサイプ20の底側領域Bにおける凸部23の個数よりも多くなっている。
【実施例】
【0035】
タイヤサイズ195/65R15で、トレッド部にタイヤ周方向に延びる複数本の周方向溝とタイヤ幅方向に延びる複数本の横溝とを設け、これら周方向溝及び横溝により複数のブロックを区画すると共に、各ブロックにタイヤ幅方向に延びる複数本のサイプを設けた構造を有すると共に、回転方向が指定された空気入りタイヤにおいて、各サイプ内で対面する一対の壁面の一方に複数の凸部を形成し、該一対の壁面の他方に凸部と噛み合う複数の凹部を形成し、センター陸部を含むセンター領域における凸部の向き及びショルダー陸部を含むショルダー領域における凸部の向きを表1のように設定した参考例1,2、実施例1及び比較例1のタイヤを製作した。
【0036】
凸部の向きについては、凸部が空気入りタイヤの回転方向に向かって突き出すように配置される場合を「回転方向」にて示し、凸部が空気入りタイヤの回転方向とは反対方向に向かって突き出すように配置される場合を「反対方向」にて示した。
【0037】
比較のため、サイプの壁面に凸部及び凹部を設けていない従来例のタイヤを用意した。従来例、参考例1,2、実施例1及び比較例1において、周方向溝の深さを8.9mmとする一方で、サイプの最大深さは7mmとした。また、サイプの溝幅を0.4mmとする一方で、凸部の最大高さは1mmとした。更に、凸部はその最大高さ位置がサイプの最大深さの50%未満となる踏面側領域に含まれるように配置した。
【0038】
これら試験タイヤについて、下記の評価方法により、氷上トラクション性能及び氷上制動性能を評価し、その結果を表1に併せて示した。
【0039】
氷上トラクション性能:
各試験タイヤをリムサイズ15×6JJのホイールに組み付けて試験車両に装着し、空気圧210kPaの条件にて、氷上において他の車両を牽引し、試験車両が5km/hから急加速した際の牽引力を測定し、スリップ率が30%〜70%であるときの牽引力の積分値を求めた。評価結果は、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど氷上トラクション性能が優れていることを意味する。
【0040】
氷上制動性能:
各試験タイヤをリムサイズ15×6JJのホイールに組み付けて試験車両に装着し、空気圧210kPaの条件にて、氷上において速度40km/hの走行状態からブレーキを掛けて完全に停止するまでの制動距離を測定した。評価結果は、測定値の逆数を用い、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど氷上制動性能が優れていることを意味する。
【0041】
【表1】
【0042】
表1から判るように、参考例1,2、実施例1のタイヤは、従来例との対比において、氷上トラクション性能及び氷上制動性能が改善されていた。特に、参考例1のタイヤでは氷上トラクション性能の改善効果が顕著であり、参考例2のタイヤでは氷上制動性能の改善効果が顕著であり、実施例1のタイヤでは氷上トラクション性能及び氷上制動性能の改善効果が顕著であった。一方、比較例1のタイヤは、氷上トラクション性能及び氷上制動性能の改善効果が認められるものの、参考例1,2、実施例1に比べて劣るものであった。
【符号の説明】
【0043】
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 ベルトカバー層
11 周方向溝
12 横溝
13 ブロック
14,14A,14B,14C 陸部
20 サイプ
21,22 壁面
23 凸部
24 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10