(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6044132
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】植物栽培施設へのエネルギー供給方法及びエネルギー供給システム
(51)【国際特許分類】
A01G 9/24 20060101AFI20161206BHJP
B09B 3/00 20060101ALI20161206BHJP
C02F 11/04 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
A01G9/24 QZAB
B09B3/00 D
B09B3/00 C
C02F11/04 A
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-145751(P2012-145751)
(22)【出願日】2012年6月28日
(65)【公開番号】特開2014-7980(P2014-7980A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2015年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】下山 真人
(72)【発明者】
【氏名】久保 啓治
【審査官】
木村 隆一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−023887(JP,A)
【文献】
特開2011−163566(JP,A)
【文献】
特開2011−121042(JP,A)
【文献】
特開2005−074275(JP,A)
【文献】
特開昭54−111408(JP,A)
【文献】
特開昭52−075552(JP,A)
【文献】
特開2009−183156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/14−9/26
B09B 3/00
C02F 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に埋設されたメタン発酵槽からのバイオガスを燃焼させて電力を生成するガス燃焼発電機と、
前記ガス燃焼発電機によって発電された電力を、植物栽培施設の室内空調を行うヒートポンプに供給する給電路と、
少なくとも一部が地中に埋設されて、前記ガス燃焼発電機と前記メタン発酵槽の周囲に設けた保温手段との間で、前記ガス燃焼発電機の排熱によって加温された媒体を循環させる第1循環路と、
前記ヒートポンプから前記ヒートポンプに戻る地中に埋設された第2循環路と、
前記植物栽培施設の内部と前記メタン発酵槽の近傍位置との間において地中に埋設された第3循環路とを備えたエネルギー供給システムを用いたエネルギー供給方法であって、
前記第1循環路によって、前記メタン発酵槽を加温し、
前記ヒートポンプが、前記植物栽培施設の室内温度を検出する温度センサの検出結果に応じて吸熱と放熱との空調動作を切り換えて前記植物栽培施設の室内空調を行い、
前記第2循環路によって、地熱との間で、前記ヒートポンプの空調作動側とは反対側の吸熱及び放熱の熱交換を行い、
前記第3循環路によって、前記植物栽培施設の室内の空気を循環させることを特徴とする植物栽培施設へのエネルギー供給方法。
【請求項2】
前記メタン発酵槽で生じた消化液を前記植物栽培施設に供給することを特徴とする請求項1に記載の植物栽培施設へのエネルギー供給方法。
【請求項3】
前記植物栽培施設で発生した残渣を前記メタン発酵槽に供給することを特徴とする請求項1又は2に記載の植物栽培施設へのエネルギー供給方法。
【請求項4】
地中に埋設されたメタン発酵槽からのバイオガスを燃焼させて電力を生成するガス燃焼発電機と、
少なくとも一部が地中に埋設されて、前記ガス燃焼発電機と前記メタン発酵槽の周囲に設けた保温手段との間で、前記ガス燃焼発電機の排熱によって加温された媒体を循環させて、前記メタン発酵槽を加温するための第1循環路と、
前記植物栽培施設の室内温度を検出する温度センサの検出結果に応じて吸熱と放熱との空調動作を切り換えて前記植物栽培施設の室内空調を行うヒートポンプと、
前記ガス燃焼発電機によって発電された電力を、植物栽培施設の室内空調を行う前記ヒートポンプに供給する給電路と、
前記ヒートポンプから前記ヒートポンプに戻る地中に埋設され、地熱との間で、前記ヒートポンプの空調作動側とは反対側の吸熱及び放熱の熱交換を行う第2循環路と、
前記植物栽培施設の内部と前記メタン発酵槽の近傍位置との間において地中に埋設され、前記植物栽培施設の室内の空気を循環させる第3循環路と
を備えたことを特徴とする植物栽培施設へのエネルギー供給システム。
【請求項5】
前記メタン発酵槽で生じた消化液を植物栽培施設に送出するための送出手段を設けたことを特徴とする請求項4に記載の植物栽培施設へのエネルギー供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物工場などの植物栽培施設に植物の生育のための熱等のエネルギーを供給するための方法及びシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、植物工場では、商用電源や化石燃料をエネルギー源にしたヒートポンプ等の機器を利用して室内の温度管理を行っている。また、液肥を含む培養液については、冬季には低温枯死や養分吸収不良を避けるために、所定温度(例えば摂氏22度)に維持し、夏季には根腐れや雑菌繁殖を防ぐために、ヒートポンプによって冷却したり、汲み上げポンプにより汲み上げた14〜18℃程度の地下水によって冷却したりして所定温度(例えば摂氏25度)に維持している。このように、従来の植物工場では、室内環境や培養液の温度管理のために電気代や重油代等を相当程度必要とし、ランニングコストがかかる問題があった。
【0003】
そして、このように商用電源や化石燃料に依存して植物工場の温度管理を行なう方式においては、震災等の自然災害や採油地域を取り巻く情勢変化の影響を直接受けて、燃料費用高騰等によって経営難に陥るおそれがある。そして、それを回避するために、植物工場にソーラー発電システムや風力発電等のエネルギー自給システムを構築することが望まれるが、この場合には膨大な設備費用が必要である。
【0004】
特許文献1で開示された循環型施設栽培方法では、植物工場で植物を栽培する栽培工程と、栽培工程において発生する栽培残渣をメタン発酵設備でメタン発酵させるメタン発酵工程と、メタン発酵工程で生成するバイオガスを燃料として熱併給型発電装置に供給して発電する発電工程もしくはバイオガスを燃料としてボイラーに供給して燃焼させる燃焼工程とを有している。そして、発電工程もしくは燃焼工程で発生する電気、熱、炭酸ガスのうちで少なくとも何れかを栽培工程で消費する資源として植物工場へ供給することにより、循環型設備栽培方法を低コストで提供することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−23887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような循環型施設栽培方法では、植物工場における室内温度や培養液温度の管理を適切に行うために、植物工場に供給する熱等の資源を安定させる必要がある。上記の特許文献1の技術においては、メタン発酵設備からのバイオガスに依存する発電設備の排熱等を利用して植物工場の温度管理等が行われる。しかし、バイオガスの発生量は気温等の環境条件に大きく左右されるため、特許文献1の技術では植物工場を安定して稼働させることが困難であった。
【0007】
この発明の目的は、植物工場などの植物栽培施設のランニングコストを抑制できるとともに、植物栽培施設を安定して稼働させることができるエネルギー供給方法及びエネルギー供給システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の植物栽培施設へのエネルギー供給方法は
、地中に埋設
されたメタン発酵槽
からのバイオガスを燃焼させて電力を生成するガス燃焼発電機と、前記ガス燃焼発電機によって発電された電力を、植物栽培施設の室内空調を行うヒートポンプに供給する
給電路と、少なくとも一部が地中に埋設されて、前記ガス燃焼発電機と前記メタン発酵槽の周囲に設けた保温手段との間で、前記ガス燃焼発電機の排熱によって加温された媒体を循環させる第1循環路と、前記ヒートポンプから前記ヒートポンプに戻る地中に埋設された第2循環路と、前記植物栽培施設の内部と前記メタン発酵槽の近傍位置との間において地中に埋設された第3循環路とを備えたエネルギー供給システムを用いたエネルギー供給方法であって、前記第1循環路によって、前記メタン発酵槽を加温し、前記ヒートポンプが、前記植物栽培施設の室内温度を検出する温度センサの検出結果に応じて吸熱と放熱との空調動作を切り換えて前記植物栽培施設の室内空調を行い、前記第2循環路によって、地熱との間で、前記ヒートポンプの空調作動側とは反対側の吸熱及び放熱の熱交換を行い、前記第3循環路によって、前記植物栽培施設の室内の空気を循環させることを特徴としている。
【0009】
本発明の植物栽培施設へのエネルギー供給システムは
、地中に埋設
されたメタン発酵槽
からのバイオガスを燃焼させて電力を生成するガス燃焼発電機と、少なくとも一部が地中に埋設されて、前記ガス燃焼発電機と前記メタン発酵槽の周囲に設けた保温手段との間で、前記ガス燃焼発電機の排熱によって加温された媒体を循環させて、前記メタン発酵槽を加温するための第1循環路と、前記植物栽培施設の室内温度を検出する温度センサの検出結果に応じて吸熱と放熱との空調動作を切り換えて前記植物栽培施設の室内空調を行うヒートポンプと、前記ガス燃焼発電機によって発電された電力を、植物栽培施設の室内空調を行う前記ヒートポンプに供給する
給電路と、前記ヒートポンプから前記ヒートポンプに戻る地中に埋設され、地熱との間で、前記ヒートポンプの空調作動側とは反対側の吸熱及び放熱の熱交換を行う第2循環路と、前記植物栽培施設の内部と前記メタン発酵槽の近傍位置との間において地中に埋設され、前記植物栽培施設の室内の空気を循環させる第3循環路とを備えたことを特徴としている。
【0010】
従って、本発明においては、外気温と比較して安定した温度を維持し得る地中熱を取り出してメタン発酵させることができるので、大量のメタンガスを安定して得ることができる。このため、植物栽培のコストを低減できるとともに、安定した栽培管理を行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、この発明にかかる植物栽培施設へのエネルギー供給方法及びエネルギー供給システムによれば、植物工場などの植物栽培施設のランニングコストを抑制できるとともに、地中熱により植物栽培施設の温度管理を適切に行うことができるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】植物栽培施設へのエネルギー供給システム図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明を具体化した実施形態を
図1に従って説明する。
植物工場やハウス栽培などの植物栽培施設1が敷地2の地上に設置されている。その植物栽培施設1の近辺には半地下式のメタン発酵設備3が設置されている。
【0014】
メタン発酵設備3は、メタン発酵槽4を備え、このメタン発酵槽4はその下半分が地中に埋設されている。メタン発酵槽4の埋設部の周囲には発泡ポリウレタンよりなる保温手段としての保温筒6が設けられており、メタン発酵槽4の外周と保温筒6の内周との間には加温媒体が流れるジャケット部としての媒体室5が形成されている。
【0015】
植物栽培施設1とメタン発酵槽4との間の位置には、供給手段としてのガス燃焼発電機(以下、単に発電機という)10が設置されている。メタン発酵槽4と発電機10との間には、メタン発酵槽4で発生されたメタンを主成分とするバイオガスを発電機10に供給するための搬送路9が設けられている。発電機10はこのバイオガスを燃焼させて発電を行う。発電機10と植物栽培施設1との間には排熱供給路11が設けられ、発電機10で生じる排熱が植物栽培施設1内に供給される。
【0016】
発電機10と前記媒体室5との間には、発電機10の排熱によって加温された媒体(実施形態では温水)の供給手段を構成する第1循環路12が設けられている。この第1循環路12は少なくともその一部が地中に埋設されることが好ましい。そして、発電機10で発電された温水が発電機10と媒体室5との間で循環されて、この温水によってメタン発酵槽4が加温される。保温筒6はメタン発酵槽4の温度降下を抑制する。
【0017】
発電機10とメタン発酵槽4との間には、供給手段としての給電路を構成する電気配線14が設けられ、この電気配線14を介してメタン発酵槽4の消化液ポンプ(図示しない)等に電力が供給され、メタン発酵槽4で生じた消化液の発酵利用のための設備3内の循環や外部への供給が行われる。
【0018】
植物栽培施設1には供給手段としてのヒートポンプ20が設置されている。このヒートポンプ20は供給手段としての給電路を構成する電気配線13を介して発電機10から電力の供給を受けるようになっており、植物栽培施設1の室内温度を検出する温度センサ8の検出結果に応じて吸熱部と放熱部とが切り換えられて、植物栽培施設1の室内空調を行う。ヒートポンプ20の空調作動側とは反対側の吸熱部及び放熱部と地熱との間で熱交換を行う媒体用の供給手段としての第2循環路7が地中に埋設されている。従って、季節による温度変化が少ない地中熱を利用して媒体の放熱や吸熱を行うことができて、ヒートポンプ20を効率的に稼働させることができる。
【0019】
植物栽培施設1の内部とメタン発酵槽4の近傍位置との間における地中には供給手段としての第3循環路21が埋設され、発電機10から電力の供給を受けるポンプ22の運転によって植物栽培施設1の室内の空気がこの循環路21を介して循環される。
【0020】
メタン発酵槽4と植物栽培施設1との間には送出手段としての消化液の供給路31が配管され、その供給路31にはポンプ32,紫外線ランプ等よりなる滅菌部33,濃度センサ34及びバルブ35が設けられている。そして、メタン発酵槽4からの消化液が滅菌部33によって滅菌されて植物栽培施設1に培養液として供給される。このとき、濃度センサ34によって、リンや窒素等の濃度が検出され、その濃度が所要値より高い場合はバルブ35が開放されて、消化液に水道水等の希釈液が混入される。植物栽培施設1で利用された消化液は戻り路36を介してメタン発酵槽4に戻されて、メタン発酵のために供される。
【0021】
植物栽培施設1で発生した植物残渣は、コンベアまたは車両で搬送されて、他の有機性廃棄物とともにメタン発酵槽4に投入される。
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0022】
メタン発酵槽4には、メタン発酵原料である生ごみ等の有機性廃棄物や植物栽培施設1で生じた栽培植物残渣等が投入される。そして、それらの残渣等がメタン発酵槽4内においてメタン発酵してメタンを主成分としたバイオガスや消化液が生じる。このバイオガスはいったん図示しないタンク内に蓄えられた後にバイオガス搬送路9を介して発電機10に送られ、発電のために燃焼される。発電された電力は、その発電機10に付設された二次電池(図示しない)にいったん蓄えられる。そして、この電力は、植物栽培施設1に供給されて、同施設1内の照明や換気等のエネルギーとして用いられる。また、同電力は、メタン発酵槽4に供給されて、消化液の循環等に用いられる。なお、同槽4内においては、残渣等よりなる発酵液が攪拌されるが、この攪拌は、発酵にともなう槽4内の温度差や発生されるメタンガスの圧力等が利用されるため、無動力で行われる。
【0023】
さらに、発電機10で発電された電力を利用して、ヒートポンプ20が稼働される。このヒートポンプ20は植物栽培施設1内の温度センサ8の検出値に応じて、放熱側と吸熱側との役割分担が切り換えられて、植物栽培施設1内の空調が実行される。すなわち、植物栽培施設1内の温度が低くなる冬季等においては、植物栽培施設1内に温風が供給され、植物栽培施設1内の温度が高くなる夏季等においては、冷風が供給される。このとき、温風供給時には冷風側の熱交換水が、冷風供給時には温風側の熱交換水が、それぞれ地中の第2循環路7内を巡り、定温に近い状態を維持する地中熱を利用して効率的な熱交換が実行される。
【0024】
冬季等の気温が低いときには、発電機10で発生した排熱が供給路11を介して植物栽培施設1に供給されて暖房の熱源として利用される。
また、冬季等の気温が低いときや、夏季等の気温の高いときには、発電機10からの電力の供給を受けるポンプ22が作動して、植物栽培施設1内の空気が第3循環路21を介して循環される。このため、季節や朝晩の温度変動が少ない地中熱を利用して省エネルギーで植物栽培施設1内の空調を行うことができる。
【0025】
メタン発酵槽4内で生じた消化液は、供給路31で滅菌されるとともに必要に応じて濃度調整されて植物栽培施設1に培養液として供給される。
そして、以上の工程においては、メタン発酵槽4が半地下状態で地中に埋設されているため、同槽4の温度低下を抑制できて、活発なメタン発酵を実現でき、大量のバイオガスと消化液を得ることができる。しかも、メタン発酵槽4は保温筒6によって保温されるだけではなく、第1循環路12を介して発電機10の排熱によって加温されるため、さらに活発なメタン発酵を実現できる。従って、大量に発生するバイオガスを利用して植物栽培施設1をローコストで運営できる。
【0026】
この実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) メタン発酵槽4を効率的かつ安定的に稼働させることができて、植物栽培施設1の熱源や電気を確保することが可能になるためランニングコストを抑制することができる。また、メタン発酵槽4で生じたバイオガスを植物栽培施設1の照明等のエネルギーとして用いることができるため、この面からもランニングコストの抑制が可能になる。
【0027】
(2) 植物栽培施設1で発生した残渣をメタン発酵槽4で処理できるため、その処理に要する手間や費用を削減することができる。
(3) メタン発酵槽4で生じた消化液を植物の培養液として利用できるため、ランニングコストをさらに抑制することが可能になる。
【0028】
(4) 外気温と比較して安定した温度を維持し得る地中熱を取り出して植物栽培施設1の室内に供給するので、その室内の冷暖房や培養液の温度管理を適切に行うことができる。
【0029】
(5) メタン発酵設備3で生じたバイオガスが供給される発電機10からの排熱によって植物栽培施設1の温度管理が行われるため、その管理コストを低減できる。
(6) 地中熱を植物栽培施設1に供給するので、排熱に温度変化が生じても、安定した温度を維持し得る地中熱により、植物栽培施設1室内の冷暖房や培養液の温度管理をローコストで適切に行うことができる。
【0030】
(7) メタン発酵設備3からバイオガスが供給された発電機10から取り出された排熱を半地下式メタン発酵槽4の保温筒6に供給するので、半地下式メタン発酵槽4の温度管理を適切に行い、適切なメタン発酵状態によりバイオガスの採取を効率良く行うことができる。
【0031】
(8) メタン発酵設備3で生じたバイオガスが供給される発電機10により得られた電気を植物栽培施設1の照明等やメタン発酵設備3の動力などに有効利用することができる。また、その電力は震災時のバックアップ電源として蓄電することもできる。
【0032】
(9) 植物栽培施設1で発生した残渣をメタン発酵設備3に供給するので、その残渣を廃棄処理することなくメタン発酵設備3のバイオマスとして有効に利用することができる。
【0033】
(10) 有機性廃棄物処理のためのメタン発酵設備3を植物栽培施設1の温度管理用として共用あるいは転用できるために、設備コストを低減できる。
この実施形態は次のように変更して具体化することも可能である。
【0034】
・ メタン発酵槽4の保温筒6を省略する。
・ メタン発酵設備3が全地下タイプとなるように、メタン発酵槽4全体を地中に埋設する。
【0035】
・ 一基のメタン発酵槽4によって複数の植物栽培施設1にエネルギーを供給する。
・ 複数のメタン発酵槽4から一つの植物栽培施設1にエネルギーを供給する。
【符号の説明】
【0036】
1…植物栽培施設、2…敷地、3…メタン発酵設備、4…メタン発酵槽、5…媒体室、6…保温筒(保温手段)、7…植物栽培施設に対する第2循環路(供給手段)、9…バイオガス搬送路、10…ガス燃焼発電機(供給手段)、11…植物栽培施設への排熱供給路(供給手段)、12…メタン発酵設備に対する第1循環路(供給手段)、13…植物栽培施設への電気配線(供給手段としての給電路)、14…メタン発酵設備への電気配線(供給手段としての給電路)、20…ヒートポンプ(供給手段)、21…植物栽培施設に対する第3循環路(供給手段)、31…植物栽培施設への消化液供給路(送出手段)。