(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記医療用透明包装材が、波長380nmの光線透過率が7%以下であり、波長400nmの光線透過率が7%以下であり、波長600nmの光線透過率が70%以上である、請求項1に記載の医療用透明包装材。
前記トリアジン系紫外線吸収剤が、ヒドロキシフェニルトリアジン、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3−5−トリアジン、およびヒドロキシフェニルトリアジン系水分散体からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医療用透明包装材。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、内容物の光劣化防止と、内容物の視認性確保とを両立できる医療用透明包装材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、基材層と、酸化珪素を含むガスバリア層と、紫外線吸収層と、接着層と、をこの順に有してなる医療用透明包装材において、紫外線吸収層に特定の成分を含有させて、医療用透明包装材の特定波長における透過率を制御することにより、上記課題を解決できることを知見した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
【0009】
すなわち、本発明の一態様によれば、
基材層と、酸化珪素を含むガスバリア層と、紫外線吸収層と、接着層と、をこの順に有してなる、医療用透明包装材であって、
前記紫外線吸収層が、紫外線吸収剤および蛍光増白剤を含んでなり、
前記医療用透明包装材は、波長380nmの光線透過率が20%以下であり、波長400nmの光線透過率が20%以下であり、波長600nmの光線透過率が60%以上である、医療用透明包装材が提供される。
【0010】
本発明の態様においては、前記医療用透明包装材が、波長380nmの光線透過率が7%以下であり、波長400nmの光線透過率が7%以下であり、波長600nmの光線透過率が70%以上であることがより好ましい。
【0011】
本発明の態様においては、前記医療用透明包装材の水蒸気透過度が、0.5g/(m
2・day)以下であることが好ましい。
【0012】
本発明の態様においては、前記紫外線吸収剤が、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、およびベンゾエート系紫外線吸収剤からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0013】
本発明の態様においては、前記紫外線吸収剤が、トリアジン系紫外線吸収剤であることが好ましい。
【0014】
本発明の態様においては、前記トリアジン系紫外線吸収剤が、ヒドロキシフェニルトリアジン、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3−5−トリアジン、およびヒドロキシフェニルトリアジン系水分散体からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0015】
本発明の態様においては、前記蛍光増白剤が、ジアミノスチルベン系蛍光増白剤、ビススチリルビフェニル系蛍光増白剤、およびベンゾオキサゾリルチオフェン系蛍光増白剤からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0016】
本発明の態様においては、前記紫外線吸収層が、着色材をさらに含んでなることが好ましい。
【0017】
本発明の態様においては、前記ガスバリア層が、酸化珪素蒸着膜上にガスバリア性塗布膜が設けられてなることが好ましい。
【0018】
本発明の態様においては、前記医療用透明包装材が、アルミニウム金属箔および/またはアルミニウム蒸着膜を含まないことが好ましい。
【0019】
本発明の態様においては、前記医療用透明包装材が医薬品の包装材として用いられることが好ましい。
【0020】
本発明の態様においては、前記医療用透明包装材が医療機器の包装材として用いられることが好ましい。
【0021】
本発明の態様においては、前記医療用透明包装材が医薬品用PTPの外装材として用いられることが好ましい。
【0022】
本発明の態様においては、前記医療用透明包装材が液体製剤の外装材として用いられることが好ましい。
【0023】
本発明の態様においては、前記液体製剤が、輸液バッグまたはプレフィルドシリンジであることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明による医療用透明包装材によれば、内容物の光劣化防止と、内容物の視認性を両立することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
医療用包装材
本発明による医療用透明包装材は、基材層と、酸化珪素を含むガスバリア層と、紫外線吸収層と、接着層と、をこの順に有してなるものである。本発明による医療用透明包装材は、光劣化性の内容物、例えば医薬品や医療機器、の包装材として用いられる。特に、輸液バッグやプレフィルドシリンジ等の液体製剤の外装材として、また医薬品用PTPの外装材として好適に用いられる。なお、本発明において「透明」とは、内容物を判別できる程度の透明性があれば足り、半透明であってもよい。
【0027】
本発明による医療用透明包装材は、波長380nmの光線透過率が20%以下であり、好ましくは7%以下であり、より好ましくは2%以下である。波長400nmの光線透過率が20%以下であり、好ましくは7%以下であり、より好ましくは2%以下である。波長600nmの光線透過率が60%以上であり、好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上である。本発明による医療用透明包装材はこれらの特定波長における上記範囲の光線透過率を満たすことで、医薬品や医療機器等の、光劣化性の内容物の光劣化防止と、内容物の視認性確保とを両立することができる。
【0028】
本発明による医療用透明包装材は、水蒸気透過度が、好ましくは0.5g/(m
2・day)以下であり、より好ましくは0.2g/(m
2・day)以下であり、さらに好ましくは0.1g/(m
2・day)以下である。本発明による医療用透明包装材は上記範囲の水蒸気透過度を満たすことで、液状製剤の長期保存時においても液状製剤中の水分が蒸散して溶液中の医薬品濃度が一定の基準以上に上昇するのを防ぐことができる。
【0029】
本発明による医療用透明包装材は、いずれの層にも、アルミニウム金属箔および/またはアルミニウム蒸着膜を含まないことが好ましい。アルミニウム金属箔および/またはアルミニウム蒸着膜を設けた場合、可視光の透過率が低下し、内容物の視認性が悪化するためである。
【0030】
図1に、本発明による医療用透明包装材の一例の模式断面図を示す。
図1に示される医療用透明包装材10は、基材層20の一方の面上に、ガスバリア層30と、紫外線吸収層40と、接着層50とが、この順に積層されてなるものである。以下、医療用透明包装材を構成する各層について説明する。
【0031】
基材層
本発明において、基材層は特に限定されないが、成形性や透明性を有する樹脂を用いて形成することが好ましい。例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテン樹脂、ポリブテン樹脂、酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、低結晶性の飽和ポリエステルまたは非晶性のポリエステル樹脂等を用いて形成することができる。これらのうち、成形性や透明性が良好であることから、ポリエステル系樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、特にポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂が好ましい。通常、基材層の厚さは、成形性や透明性の観点から、好ましくは4.5〜100μmであり、より好ましくは12〜50μmの範囲である。
【0032】
ガスバリア層
本発明において、ガスバリア層は、酸化珪素を含むものであり、好ましくは酸化珪素の蒸着膜を含むものである。蒸着膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、およびイオンプレ−ティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、および光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を挙げることができる。
【0033】
酸化珪素の蒸着膜(薄膜)は、一般式:SiO
x(式中、xは、0〜2の数を表す)で表され、xの値は1.3〜1.9が好ましい。また、酸化珪素薄膜は、酸化珪素を主体とし、さらに、炭素、水素、珪素または酸素の1種類、または2種類以上の元素からなる化合物の少なくとも1種類を化学結合等により含有してもよい。例えば、C−H結合を有する化合物、Si−H結合を有する化合物、または、炭素単位がグラファイト状、ダイヤモンド状、フラーレン状等になっている場合、更に、原料の有機珪素化合物やそれらの誘導体を化学結合等によって含有する場合があるものである。例えば、CH
3部位を持つハイドロカーボン、SiH
3シリル、SiH
2シリレン等のハイドロシリカ、SiH
2OHシラノール等の水酸基誘導体等を挙げることができる。上記の化合物が酸化珪素の蒸着膜中に含有する含有量としては、0.1〜50質量%、好ましくは5〜20質量%である。また、酸化珪素薄膜が上記化合物を含有する場合、化合物の含有量が酸化珪素の蒸着膜の表面から深さ方向に向かって減少していることが好ましい。これにより、酸化珪素の蒸着膜の表面では上記化合物等により耐衝撃性等が高められ、他方、基材層との界面では、上記化合物の含有量が少ないために基材層と酸化珪素の蒸着膜との密接着性が強固なものとなる。酸化珪素の薄膜の膜厚としては、例えば、10〜3000Å程度、特に、60〜1000Å程度の範囲内で任意に選択して形成することが好ましい。
【0034】
本発明においては、上記の酸化珪素の蒸着膜上に、ガスバリア性を高めるために、バリア性塗布膜をさらに設けることが好ましい。ガスバリア性塗布膜は、少なくとも水酸基を有する水溶性高分子とアルコキシシランとを含む溶液でコーティングすることにより形成できる。少なくとも水酸基を有する水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、又はエチレン−ビニルアルコール共重合体などが挙げられ、特に、エチレン−ビニルアルコール共重合体やポリビニルアルコールが好ましい。これら樹脂は市販のものを使用してもよく、例えばエチレン・ビニルアルコール共重合体として、株式会社クラレ製、エバールEP−F101(エチレン含量;32モル%)、日本合成化学工業株式会社製、ソアノールD2908(エチレン含量;29モル%)等を使用することができる。また、ポリビニルアルコールとして、株式会社クラレ製のRSポリマーであるRS−110(ケン化度=99%、重合度=1,000)、同社製のクラレポバールLM−20SO(ケン化度=40%、重合度=2,000)、日本合成化学工業株式会社製のゴーセノールNM−14(ケン化度=99%、重合度=1,400)等を使用することができる。
【0035】
アルコキシシランとしては、一般式:
R
1nSi(OR
2)
m
(式中、R
1およびR
2は、それぞれ独立して炭素数1〜8の有機基を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表すが、n+mはSiの原子価を表す。)で表されるものが好適に使用できる。上記式において、R
1で表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、その他等のアルキル基を挙げることができる。アルコキシシランの具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン:Si(OCH
3)
4 、テトラエトキシシラン:Si(OC
2H
5)
4 、テトラプロポキシシラン:Si(OC
3H
7)
4 、テトラブトキシシラン:Si(OC
4H
9)
4等を使用することができる。
【0036】
上記した水溶性高分子とアルコキシシランとを混合し、さらに所望によりゾル−ゲル法触媒、水、および、有機溶剤を添加した溶液を、酸化アルミニウムまたは酸化珪素からなる薄膜の表面に塗布し、重縮合することにより、ガスバリア性塗布膜を形成することができる。また、本発明においては、酸化アルミニウムまたは酸化珪素からなる薄膜の上に、上記の塗布膜を2層以上重層した複合ポリマー層を形成することもできる。
【0037】
また、本発明においては、上記のガスバリア性塗布膜形成用塗布液に、シランカップリング剤を添加することができ、これにより得られるガスバリア性塗布膜は特に好ましいものである。上記のシランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができるが、特に、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好適であり、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、あるいは、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を使用することができる。上記のようなシランカップリング剤は、1種ないし2種以上を混合して用いてもよい。本発明において、上記のようなシランカップリング剤の使用量は、上記のアルコキシシラン100質量部に対して1〜20質量部程度の範囲内で使用することができる。
【0038】
ガスバリア性塗布膜形成用塗布液の塗布方法としては、通常用いられる、グラビアロールコーターなどのロールコート、スプレーコート、スピンコート、デイツピング、刷毛、バーコード、アプリケータ等の従来公知の手段が用いられる。塗布膜の厚さは塗布液の種類によって異なるが、乾燥後の厚さが約0.01〜100μmの範囲であればよいが、50μm以上では、膜にクラックが生じやすくなるため、0.01〜50μmとすることが好ましい。
【0039】
塗布液と重縮合させる際のゾル−ゲル法触媒としては、水に実質的に不溶であり、かつ有機溶媒に可溶な第三アミンが用いられる。具体的には、例えば、N,N−ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン等を使用することができる。特に、N,N−ジメチルべンジルアミンが好適であり、アルコキシシラン、およびシランカップリング剤の合計量100質量部当り、0.01〜1.0質量部、特に約0.03質量部程度を使用することが好ましい。
【0040】
また、ゾル−ゲル法の触媒として、酸を使用することもでき、例えば、硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸、ならびに、酢酸、酒石酸な等の有機酸、その他を使用することができる。酸の使用量としては、アルコキシシランおよびシランカップリング剤のアルコキシシラン分(例えばシリケート部分)の総モル量に対し0.001〜0.05モル程度、特に約0.01モル程度が好ましい。
【0041】
塗布液に含まれる水は、溶液アルコキシドの合計モル量1モルに対して0.1〜100モル、好ましくは0.8〜2モルの割合で添加される。また、ガスバリア性塗布膜形成用塗布液に含まれるポリビニルアルコールやエチレン−ビニルアルコール共重合体は、上記のアルコキシシランやシランカップリング剤などを含む塗布液中で溶解した状態であることが好ましく、そのために有機溶媒を適宜選択して添加してもよい。例えば、有機溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール等を用いることができる。
【0042】
通常、ガスバリア層の厚さは、ガスバリア性や透明性の観点から、好ましくは0.01〜50μmであり、より好ましくは1〜10μmの範囲である。
【0043】
紫外線吸収層
本発明において、紫外線吸収層は、紫外線吸収剤および蛍光増白剤を含むものである。紫外線吸収層が紫外線吸収剤と蛍光増白剤とを組み合わせて含むことで、医療用透明包装材の各波長における光線透過率を所望の範囲内に調節することができる。紫外線吸収剤は、0.5〜0.8g/m
2の範囲の割合で紫外線吸収層中に含有させるようにするのが好ましく、さらに0.55〜0.8g/m
2の範囲がより好ましいものである。また、蛍光増白剤は、0.1〜0.8g/m
2の範囲の割合で紫外線吸収層中に含有させるようにするのが好ましく、さらに0.2〜0.5g/m
2の範囲がより好ましいものである。なお、紫外線吸収層は、着色材をさらに含んでもよい。着色材は、0.01g〜2g/m
2の範囲の割合で紫外線吸収層中に含有させるようにするのが好ましく、さらに0.05g〜0.8g/m
2の範囲がより好ましいものである。
【0044】
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、およびベンゾエート系紫外線吸収剤からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、トリアジン系紫外線吸収剤を用いることがより好ましい。
【0045】
トリアジン系紫外線吸収剤としては、ヒドロキシフェニルトリアジン、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3−5−トリアジン、およびヒドロキシフェニルトリアジン系水分散体からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0046】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸及びその三水塩、およびヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0047】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、および2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールからなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0048】
サリシレート系紫外線吸収剤としては、サリチル酸フェニル、4−メチルフェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、および2−エチルヘキシルサリシレートからなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0049】
ベンゾエート系紫外線吸収剤としては、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートが挙げられる。
【0050】
蛍光増白剤としては、ジアミノスチルベン系蛍光増白剤、ビススチニルビフェニル系蛍光増白剤、ベンゾオキサゾリルチオフェン系蛍光増白剤からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。ジアミノスチルベン系蛍光増白剤としては、例えばFWA−1(Disodium 4,4’−bis[(4−anilino−6−morpholino−1,3,5−triazin−2−yl)amino]stilbene−2,2’−disulphonate:CAS No.16090−02−1)が挙げられる。ビススチリルビフェニル系蛍光増白剤としては、例えばFWA−5(Benzenesulfonic acid,2,2’−([1,1’−biphenyl]−4,4’−diyldi−2,1−ethenediyl)bis−,disodiumsalt;CAS No.27344−41−8)が挙げられる。ベンゾオキサゾリルチオフェン系蛍光増白剤としては、例えば(2,5ビス(5−ter−ブチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェノンが挙げられる。安全性の観点からは、FWA−1やFWA−5を用いることが好ましい。
【0051】
着色剤としては、白色、赤色、黄色、青色、および黒色等の顔料を用いることが好ましい。このような着色剤を加えることで、蛍光増白剤による色味シフトに加えて外観上の色調と特定波長吸収性に変化を生じさせることができる。また、特定波長吸収という物性的な向上に加えて、蛍光増白剤を加えた物品についての意匠上の判別にも有効となる。
【0052】
紫外線吸収層は、上記の紫外線吸収剤および蛍光増白剤、さらに着色剤を接着剤等に分散させたインキを塗布して形成することができる。接着剤としては、従来公知のラミネート用接着剤、例えば、1液あるいは2液型の硬化ないし非硬化タイプのビニル系、(メタ)アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、エポキシ系、ゴム系、その他等の溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型等のラミネート用接着剤を使用することができる。上記の接着剤のコーティング方法としては、例えば、ダイレクトグラビアロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、リバースロールコート法、フォンテン法、トランスファーロールコート法、その他の方法で塗布することができる。通常、紫外線吸収層の厚さは、紫外線遮断性や透明性の観点から、好ましくは1〜20μmであり、より好ましくは1〜10μmの範囲である。
【0053】
接着層
本発明において、接着層は特に限定されないが、熱接着性を有する樹脂を用いて形成することができる。具体的には、熱接着性を有する樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、メタロセン触媒を利用して重合したエチレン−αオレフィンとの共重合体樹脂、エチレン−ポリプロピレン共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体樹脂、エチレン−マレイン酸共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、エステル単量体をグラフト重合、または、共重合した樹脂、無水マレイン酸をポリオレフィン樹脂にグラフト変性した樹脂等を使用することができる。これらの材料は、一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。通常、接着層の厚さは、成形性や透明性の観点から、1〜100μmの範囲内であることが好ましく、1〜20μmの範囲内であることがより好ましい。
【実施例】
【0054】
以下に、実施例と比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例の内容に限定して解釈されるものではない。
【0055】
実施例1
医療用包装材の作製
基材として、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)を用意した。この基材の一方の面上に酸化珪素を蒸着して、酸化珪素蒸着膜を形成した。
【0056】
次に、下記に示す組成に従って、組成(a)のEVOH、イソプロピルアルコール、およびイオン交換水の混合溶媒にて溶解したEVOH溶液に、予め調製した組成(b)のエチルシリケート40、イソプロピルアルコール、アセチルアセトンアルミニウム、イオン交換水からなる加水分解液を加えて攪拌し、さらに予め調製した組成(c)のポリビニルアルコール水溶液、酢酸、イソプロピルアルコールおよびイオン交換水からなる混合液を加えて攪拌し、無色透明のバリア性塗布膜形成用組成物を得た。
バリア性塗布膜形成用組成物
a EVOH(エチレン共重合率29%) 0.122質量%
b エチルシリケート40(コルコート社) 9.146質量%
c ポリビニルアルコール 1.220質量%
続いて、上記の酸化珪素蒸着膜上に、上記組成のバリア性塗布膜形成用組成物を塗布してガスバリア性塗布膜を設け、ガスバリア層を形成した。
【0057】
一方、接着層として、厚さ40μmのポリエチレンフィルム(PE)を用意した。この接着層の一方の面上に、トリアジン系紫外線吸収剤(BASFジャパン(株):TINUVIN 477)と、ベンゾオキサゾリルチオフェン系蛍光増白剤(BASF社:TINOPAL OB)を含むインキ(東京インキ(株):LG−UVシリーズ)とをポリエーテルポリウレタン系接着剤(大日精化工業(株):主剤−セイカボンドA−188、硬化剤−セイカボンドC−89による二液硬化タイプ)に添加したインキを塗布して紫外線吸収層を形成した後、上記のガスバリア性塗布膜と貼り合わせた。紫外線吸収層は、グラビアロールによるドライラミネート方法により厚さ3μmに形成させたものである。紫外線吸収層中の紫外線吸収剤の含有量は0.55g/m
2とした。紫外線吸収層中の蛍光増白剤の含有量は0.3g/m
2とした。以上により、医療用透明包装材を作製した。
【0058】
比較例1
紫外線吸収層にトリアジン系紫外線吸収剤および蛍光増白剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、医療用透明包装材を作製した。
【0059】
比較例2
ガスバリア層において、酸化珪素蒸着膜の代わりに、アルミニウム蒸着膜を設けた以外は、実施例1と同様にして、医療用包装材(不透明)を作製した。
【0060】
医療用包装材の性能評価
上記で作製した熱転写箔について、(1)光線透過率、(2)水蒸気透過度、(3)保存試験後の色差、および(4)視認性の各評価を行った。
【0061】
(1)光線透過率の測定
上記で作製した医療用包装材について、380nm、400nm、および600nmの各波長における光線透過率を測定した。光線透過率の測定は、JIS−K7105に準拠して、UV−2400PC(島津製作所製)を用いて行った。
【0062】
(2)水蒸気透過度の測定
上記で作製した医療用包装材について、水蒸気透過率を測定した。水蒸気透過率の測定は、JIS規格Z−0208または0222の「透湿度試験方法」(条件:40℃、90%RH)に準拠して、PERMATRAN−W(モコン社製)を用いて行った。
【0063】
(3)保存試験後の色差の測定
上記で作製した医療用包装材に薬液を入れ、ケミカルランプ直下20cmで14日間保存した。その後、薬液容器中の薬液を取り出し、分光色彩計CLR−7100F(島津製作所製)を用いて可視光線領域における全波長での吸光度の差(保存後の値−保存直前の値)を算出して、色差を測定した。測定条件は透過光、D65/10度視野とした。また、標準校正には生理食塩液を用いた。
【0064】
(4)視認性の評価
上記で作製した医療用包装材を用いて医薬品を包装した。包装後の医薬品について、内容物の視認性を目視により判断した。評価基準は下記の通りである。
評価基準
・○:内容物を判別することができた。
・×:内容物を判別することができなかった。
【0065】
上記の評価の結果を表1に示す。本発明の組成を満たす医療用透明包装材は、紫外線を十分に遮断しつつ、可視光の透過性に優れ、かつ水蒸気の遮断性に優れるものであった。また、内容物の光劣化防止と、内容物の視認性確保とを両立できるものであった。
【表1】