【実施例】
【0030】
(参考例1:塩味増強効果の高い食品素材の選抜)
市販コーンスープ(クノール食品社製:通常は150ml/食でお湯を注いで喫食する)に180ml/食でお湯を注ぎ、塩化ナトリウム濃度が0.55重量%である、通常よりも塩化ナトリウム濃度が低減されたコーンスープを調製した。次に、当該コーンスープに、下記表1に示す各種食品素材をそれぞれ添加し、官能評価用サンプルを調製した。各種食品素材は、官能評価用サンプル全体に対して0.01重量%となる量を添加した。
得られた各サンプルにおける塩味増強効果について、専門パネル2名により、以下の基準に従って官能評価を行った。また、異風味を感じたものについては、当該異風味に関するコメントを付した。結果を表1に示す。
[評価基準]
◎:明確に効果あり
○:効果あり
△:弱い効果あり
×:効果なし
【0031】
【表1】
【0032】
表1に示す結果から明らかなように、チキンエキスに明確な塩味増強効果が認められた。
【0033】
(参考例2:塩味増強効果の高い有機酸及び有機酸塩の選抜)
市販コーンスープ(クノール食品社製:通常は150ml/食でお湯を注いで喫食する)に180ml/食でお湯を注ぎ、塩化ナトリウム濃度が0.55重量%である、通常よりも塩化ナトリウム濃度が低減されたコーンスープを調製した。次に、当該コーンスープに、下記表2−1及び2−2に示す各種有機酸及び有機酸塩をそれぞれ添加し、官能評価用サンプルを調製した。各種有機酸及び有機酸塩は、官能評価用サンプル全体に対して0.01重量%又は0.03重量%となる量を添加した。
得られた各サンプルにおける塩味増強効果について、専門パネル2名により、以下の基準に従って官能評価を行った。また、異風味を感じたものについては、当該異風味に関するコメントを付した。結果を表2−1及び2−2に示す。
[評価基準]
◎:明確に効果あり
○:効果あり
△:弱い効果あり
×:効果なし
【0034】
【表2-1】
【0035】
【表2-2】
【0036】
表2−1及び2−2に示す結果から明らかなように、クエン酸、クエン酸塩、乳酸、リンゴ酸に塩味増強効果が認められた。中でもクエン酸塩は、異風味を伴うことなく塩味を増強した。
従って、クエン酸及びクエン酸塩に有効な塩味増強効果が認められた。
【0037】
(実施例1)
[ネガティブコントロール及びポジティブコントロールの調製]
市販コーンスープ(クノール食品社製:通常は150ml/食でお湯を注いで喫食する)に180ml/食でお湯を注ぎ、塩化ナトリウム濃度が0.55重量%である、通常よりも塩化ナトリウム濃度が低減されたコーンスープを調製し、ネガティブコントロールとした。
調製したネガティブコントロールに塩化ナトリウムを添加して、塩化ナトリウム濃度を0.65重量%としたコーンスープを調製し、ポジティブコントロールとした。なお、ポジティブコントロールの塩化ナトリウム濃度は、市販コーンスープに150ml/食でお湯を注いだものと同等である。
[実施例1−1〜1−5、比較例1−1〜1−4の調製]
調製したネガティブコントロールに、クエン酸三ナトリウム及びチキンエキス(日研フード社製)を添加し、実施例1−1〜1−5、比較例1−1〜1−4のコーンスープを調製した。クエン酸三ナトリウムは、調製した実施例及び比較例のコーンスープ全体に対して0.03重量%となる量を添加し、チキンエキスは、調製した実施例及び比較例のコーンスープ全体に対して0〜0.1重量%の範囲となる量を添加した。
[官能評価]
得られた各実施例及び比較例における「塩味の強さ」及び「全体の好ましさ」について、専門パネル3名により官能評価を行った。官能評価は、ポジティブコントロールと同等を「+++++」、ネガティブコントロールと同等を「−」とし、6段階で評点を付けることにより行った。また、異風味を感じたものについては、当該異風味に関するコメントを付した。結果を表3に示す。
【0038】
【表3】
【0039】
表3の結果から明らかなように、クエン酸三ナトリウムとチキンエキスを併用し、クエン酸三ナトリウムの量を、塩味が増強されたコーンスープ全体に対して0.03重量%とした場合、チキンエキスの量が、塩味が増強されたコーンスープ全体に対して0.001〜0.1重量%の範囲で、併用による塩味増強効果が認められた。
中でもチキンエキスの量が、塩味が増強されたコーンスープ全体に対して0.005〜0.05重量%の範囲で強い塩味増強効果が認められた。
【0040】
(実施例2)
[ネガティブコントロール及びポジティブコントロールの調製]
市販コーンスープ(クノール食品社製:通常は150ml/食でお湯を注いで喫食する)に180ml/食でお湯を注ぎ、塩化ナトリウム濃度が0.55重量%である、通常よりも塩化ナトリウム濃度が低減されたコーンスープを調製し、ネガティブコントロールとした。
調製したネガティブコントロールに塩化ナトリウムを添加して、塩化ナトリウム濃度を0.65重量%としたコーンスープを調製し、ポジティブコントロールとした。なお、ポジティブコントロールの塩化ナトリウム濃度は、市販コーンスープに150ml/食でお湯を注いだものと同等である。
[実施例2−1〜2−6、比較例2−1〜2−5の調製]
調製したネガティブコントロールに、クエン酸三ナトリウム及びチキンエキス(日研フード社製)を添加し、実施例2−1〜2−6、比較例2−1〜2−5のコーンスープを調製した。チキンエキスは、調製した実施例及び比較例のコーンスープ全体に対して0.01重量%又は0.03重量%となる量を添加し、クエン酸三ナトリウムは、調製した実施例及び比較例のコーンスープ全体に対して0〜0.1重量%の範囲となる量を添加した。
[官能評価]
得られた各実施例及び比較例における「塩味の強さ」及び「全体の好ましさ」について、専門パネル3名により官能評価を行った。官能評価は、ポジティブコントロールと同等を「+++++」、ネガティブコントロールと同等を「−」とし、6段階で評点を付けることにより行った。また、異風味を感じたものについては、当該異風味に関するコメントを付した。結果を表4−1及び4−2に示す。
【0041】
【表4-1】
【0042】
【表4-2】
【0043】
表4−1及び4−2の結果から明らかなように、クエン酸三ナトリウムとチキンエキスを併用し、チキンエキスの量を、塩味が増強されたコーンスープ全体に対して0.01重量%又は0.03重量%とした場合、クエン酸三ナトリウムの量が、塩味が増強されたコーンスープ全体に対して0.001〜0.1重量%の範囲で、併用による塩味増強効果が認められた。
中でもクエン酸三ナトリウムの量が、塩味が増強されたコーンスープ全体に対して0.005〜0.05重量%の範囲で強い塩味増強効果が認められた。
一方、クエン酸三ナトリウムの量が、塩味が増強されたコーンスープ全体に対して0.1重量%となると、0.05重量%の場合と比べて、塩カドが失われた。
【0044】
(実施例3)
[ネガティブコントロール及びポジティブコントロールの調製]
市販コーンスープ(クノール食品社製:通常は150ml/食でお湯を注いで喫食する)に180ml/食でお湯を注ぎ、塩化ナトリウム濃度が0.55重量%である、通常よりも塩化ナトリウム濃度が低減されたコーンスープを調製し、ネガティブコントロールとした。
調製したネガティブコントロールに塩化ナトリウムを添加して、塩化ナトリウム濃度を0.65重量%としたコーンスープを調製し、ポジティブコントロールとした。なお、ポジティブコントロールの塩化ナトリウム濃度は、市販コーンスープに150ml/食でお湯を注いだものと同等である。
[実施例3−1〜3−4、比較例3−1〜3−3の調製]
調製したネガティブコントロールに、クエン酸三ナトリウム及びチキンエキス(日研フード社製)を添加し、実施例3−1〜3−4、比較例3−1〜3−3のコーンスープを調製した。チキンエキスは、調製した実施例及び比較例のコーンスープ全体に対して0.07重量%となる量を添加し、クエン酸三ナトリウムは、調製した実施例及び比較例のコーンスープ全体に対して0〜0.07重量%の範囲となる量を添加した。
[実施例3−5〜3−7、比較例3−4〜3−6の調製]
調製したネガティブコントロールに、クエン酸三ナトリウム及びチキンエキスを添加し、実施例3−5〜3−7、比較例3−4〜3−6のコーンスープを調製した。クエン酸三ナトリウムは、調製した実施例及び比較例のコーンスープ全体に対して0.07重量%となる量を添加し、チキンエキスは、調製した実施例及び比較例のコーンスープ全体に対して0〜0.05重量%の範囲となる量を添加した。
[官能評価]
得られた各実施例及び比較例における「塩味の強さ」及び「全体の好ましさ」について、専門パネル2名により官能評価を行った。官能評価は、ポジティブコントロールと同等を「+++++」、ネガティブコントロールと同等を「−」とし、6段階で評点を付けることにより行った。また、異風味を感じたものについては、当該異風味に関するコメントを付した。結果を表5−1及び5−2に示す。
【0045】
【表5-1】
【0046】
【表5-2】
【0047】
表5−1の結果から明らかなように、クエン酸三ナトリウムとチキンエキスを併用し、チキンエキスの量を、塩味が増強されたコーンスープ全体に対して0.07重量%とした場合、クエン酸三ナトリウムの量が、塩味が増強されたコーンスープ全体に対して0.001〜0.07重量%の範囲で、併用による塩味増強効果が認められた。
中でもクエン酸三ナトリウムの量が、塩味が増強されたコーンスープ全体に対して0.005〜0.07重量%の範囲で強い塩味増強効果が認められた。
【0048】
表5−2の結果から明らかなように、クエン酸三ナトリウムとチキンエキスを併用し、クエン酸三ナトリウムの量を、塩味が増強されたコーンスープ全体に対して0.07重量%とした場合、チキンエキスの量が、塩味が増強されたコーンスープ全体に対して0.001〜0.05重量%の範囲で、併用による塩味増強効果が認められた。
中でもチキンエキスの量が、塩味が増強されたコーンスープ全体に対して0.005〜0.05重量%の範囲で強い塩味増強効果が認められた。
【0049】
(実施例4)
[ネガティブコントロール及びポジティブコントロールの調製]
市販コーンスープ(クノール食品社製:通常は150ml/食でお湯を注いで喫食する)に180ml/食でお湯を注ぎ、塩化ナトリウム濃度が0.55重量%である、通常よりも塩化ナトリウム濃度が低減されたコーンスープを調製し、ネガティブコントロールとした。
調製したネガティブコントロールに塩化ナトリウムを添加して、塩化ナトリウム濃度を0.65重量%としたコーンスープを調製し、ポジティブコントロールとした。なお、ポジティブコントロールの塩化ナトリウム濃度は、市販コーンスープに150ml/食でお湯を注いだものと同等である。
[実施例4−1〜4−7の調製]
調製したネガティブコントロールに、クエン酸三ナトリウム及びチキンエキス(日研フード社製)を添加し、更にスーパー酵母エキス(味の素社製)を添加して実施例4−1〜4−7のコーンスープを調製した。クエン酸三ナトリウムは、調製した実施例のコーンスープ全体に対して0.03重量%となる量を添加し、チキンエキスは、調製した実施例のコーンスープ全体に対して0.03重量%となる量を添加し、スーパー酵母エキスは、調製した実施例のコーンスープ全体に対して0〜0.05重量%の範囲となる量を添加した。
[官能評価]
得られた各実施例4−1〜4−7における「塩味の強さ」及び「全体の好ましさ」について、専門パネル3名により官能評価を行った。官能評価は、ポジティブコントロールと同等を「+++++」、ネガティブコントロールと同等を「−」とし、6段階で評点を付けることにより行った。また、異風味を感じたものについては、当該異風味に関するコメントを付した。結果を表6に示す。
【0050】
【表6】
【0051】
表6の結果から明らかなように、クエン酸三ナトリウム、チキンエキス及びスーパー酵母エキスを併用し、クエン酸三ナトリウム及びチキンエキスの量を、塩味が増強されたコーンスープ全体に対して、それぞれ0.03重量%とした場合、スーパー酵母エキスの量が、塩味が増強されたコーンスープ全体に対して0.00075〜0.025重量%の範囲で、特に塩味増強効果、塩味の好ましさが向上した。