(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
窒素又は乾燥空気の何れかからなるパージ用気体を供給可能なパージノズルを備え、パージ対象容器の底面に設けたポートに前記パージノズルの先端部を接触させた状態で、前記パージ対象容器内の気体雰囲気を窒素又は乾燥空気の何れかからなるパージ用気体に置換可能に構成したパージ装置であって、
上方に開口するパージ用気体流路を内部に形成した前記パージノズルのうち上向き面を少なくとも上方から被覆し得るカバーと、
前記カバーを、前記パージノズルの上向き面を上方から被覆する被覆位置と、前記パージノズルの上向き面を上方に露出させる非被覆位置との間で移動させる駆動機構とを備え、
前記駆動機構によって、パージ処理を行う場合に前記カバーを前記非被覆位置に位置付け、パージ処理を行わない場合に前記カバーを前記被覆位置に位置付けるように構成していることを特徴とするパージ装置。
クリーンルーム内において半導体製造装置に隣接して設けられ、搬送されてきたパージ対象容器であるFOUPを受け取り当該FOUP内に格納されているウェーハを前記半導体製造装置内と当該FOUP内との間でFOUPの前面に形成した搬出入口を介して出し入れするロードポートであって、
請求項1乃至3の何れかに記載のパージ装置を備えていることを特徴とするロードポート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0023】
本実施形態に係るパージ装置Pは、例えば
図1に示すロードポートXに適用可能なものである。ここで、ロードポートXは、半導体の製造工程において用いられ、クリーンルーム内において半導体製造装置(図示省略)に隣接して配置されるものであり、本発明のパージ対象容器の一例であるFOUP100の扉にドア部Dを密着させて開閉し、半導体製造装置との間でFOUP100内に収容された被収容体であるウェーハ(図示省略)の出し入れを行うものである。
【0024】
本実施形態で適用するFOUP100は、内部に複数枚のウェーハを収容し、前面に形成した搬出入口を介してこれらウェーハを出し入れ可能に構成され、搬出入口を開閉可能な扉を備えた既知のものであるため、詳細な説明は省略する。なお、本実施形態においてFOUP100の前面とは、ロードポートXに載置した際にロードポートXのドア部Dと対面する側の面を意味する。FOUP100の底面には、
図2に示すように、パージ用のポート101が所定箇所に設けられている。ポート101は、例えば、FOUP100の底面に形成した開口部102に嵌め込まれた中空筒状のグロメットシールを主体としてなり、グロメットシール内に、後述する窒素や不活性ガス又は乾燥空気等の気体(本実施形態では窒素ガスを用いており、以下の説明では「パージ用気体」と称する場合がある)の注入圧または排出圧によって閉状態から開状態に切り替わる弁(図示省略)を設けている。
【0025】
半導体製造装置は、例えば、相対的にロードポートXから遠い位置に配置される半導体製造装置本体と、半導体製造装置本体とロードポートXとの間に配置される移送室とを備えたものであり、移送室内に、例えばFOUP100内のウェーハを1枚ずつFOUP100内と移送室内との間、及び移送室内と半導体製造装置本体内との間で移送する移送機を設けている。なお、FOUP100と半導体製造装置(半導体製造装置本体及び移送室)との間でウェーハを複数枚格納したカセットごと移送することも可能である。このような構成により、クリーンルームにおいて、半導体製造装置本体内、移送室内、及びFOUP100内は高清浄度に維持される一方、ロードポートXを配置した空間、換言すれば半導体製造装置本体外、移送室外、及びFOUP100外は比較的低清浄度となる。
【0026】
ロードポートXは、
図1に示すように、起立姿勢で配置されてFOUP100の搬出入口に連通し得る開口部を開閉可能なドア部Dを有するフレームFと、フレームFのうち半導体製造装置から遠ざかる方向に略水平姿勢で延伸する載置台Bと、FOUP100内にパージ用気体を注入し、FOUP100内の気体雰囲気を窒素ガスなどのパージ用気体に置換可能なパージ装置Pとを備えたものである。
【0027】
フレームFに設けたドア部Dは、FOUP100を載置台Bに載置した状態においてFOUP100の前面に設けた扉(図示省略)に密着した状態でその扉を開けて搬出入口を開放する開放位置と、搬出入口を閉止する閉止位置との間で作動可能なものである。ドア部Dを開放位置と閉止位置との間で少なくとも昇降移動させるドア昇降機構(図示省略)としては既知のものを適用することができる。
【0028】
載置台Bは、フレームFのうち高さ方向中央部からやや上方寄りの位置に略水平姿勢で配置されたものであり、上向きに突出させた複数の位置決め用突起B1(キネマティックピン:ガイドピン)を有する。そして、これらの位置決め用突起B1をFOUP100の底面に形成された位置決め用凹部(図示省略)に係合させることで、載置台B上におけるFOUP100の位置決めを図っている。位置決め用突起B1の一例としては、対向する傾斜壁面からなる断面視下向きV字状の位置決め用凹部に接触する上部を曲面状にし、この上部曲面を位置決め用凹部の各傾斜壁面にバランスよく接触可能に構成した態様を挙げることができる。また、載置台Bには、FOUP100が載置台B上に所定の位置に載置されているか否かを検出する着座センサB2を設けている。位置決め用突起B1及び着座センサB2の構造や配置箇所は規格などに応じて適宜設定・変更することができる。なお、載置台Bとして、載置状態にあるFOUP100を、その搬出入口(扉)がフレームFの開口部(ドア部D)に最も近付く位置と開口部(ドア部D)から所定距離離間した位置との間で移動させる移動機構を備えたものを適用することもできる。
【0029】
パージ装置Pは、載置台B上に上端部を露出させた状態で所定箇所に配置される複数のパージノズル1を備え、これら複数のパージノズル1を、パージ用気体を注入する注入用パージノズルや、FOUP100内の気体雰囲気を排出する排出用パージノズル1として機能させている。パージノズルの総数に占める注入用パージノズル及び排出用パージノズルの比率は、同率であってもよいし、何れか一方が他方よりも大きくてもよい。
【0030】
これら複数のパージノズル1は、FOUP100の底面に設けたポート101の位置に応じて載置台B上の適宜位置に取り付けることができる。各パージノズル1(注入用パージノズル、排出用パージノズル)は、気体の逆流を規制する弁機能を有するものであり、FOUP100の底部に設けたポート101に接触可能なものである。なお、FOUP100の底部に設けた複数のポート101のうち、注入用パージノズル1に接触するポート101は注入用ポートとして機能し、排出用パージノズル1に接触するポート101は排出用ポートとして機能する。
【0031】
本実施形態では、パージノズル1として、
図2に示す位置、すなわちパージノズル1の上向き面に設けたポート接触部25がFOUP100のポート101に接触しない待機位置(a)と、
図3に示す位置、すなわち、パージノズル1のポート接触部25がFOUP100のポート101に接触可能なパージ位置(b)と間で昇降移動可能なものを適用している。
【0032】
具体的に、本実施形態で適用するパージノズル1は、
図2及び
図3に示すように、ノズル本体2と、ノズル本体2を昇降可能な状態で保持するホルダ3と、ノズル本体2を下方へ付勢する付勢手段4とを備え、ノズル本体2を昇降移動させることによって、待機位置(a)とパージ位置(b)の間で切替可能に構成したものである。
【0033】
ノズル本体2は、円筒状の胴部21と、胴部21よりも側方に張り出した鍔部22とを備えたものである。本実施形態では、胴部21の軸心部分には高さ方向に貫通するパージ用気体流路23を形成している。以下の説明では、パージ用気体流路23のうち、上方に開口している上端部分を上方開口部24と称する場合がある。胴部21の上向き面には、ポート101(注入用ポート、排出用ポート)に接触可能なポート接触部25を設けている。本実施形態では、ポート接触部25を、胴部21の水平な上向き面よりも上方に突出したリング状の上方突出部によって構成している。また、鍔部22の外側面には後述するホルダ3の側壁31に接触するシール部材5を取り付けている。
【0034】
ホルダ3は、ノズル本体2の鍔部22の外向き面(外周面)が添接する側壁31と、側壁31の下端部から内方(中心側)に突出してノズル本体2のうち胴部21のみが挿通可能な下側貫通孔32を中央部に形成した底壁33と、側壁31の上端部から内方(中心側)に突出してノズル本体2のうち胴部21のみが挿通可能な上側貫通孔34を中央部に形成した天井壁35とを備えている。また、底壁33に形成した下側貫通孔32の開口径及び天井壁35に形成した上側貫通孔34の開口径は、ノズル本体2のうち昇降移動時に対面する胴部21の外向き面と添接し得る大きさに設定されている。下側貫通孔32の内向き面及び上側貫通孔34の内向き面には、それぞれノズル本体2の胴部21に接触するシール部材5を取り付けている。
【0035】
このようなホルダ3にノズル本体2を保持させた状態において、ホルダ3とノズル本体2との間に空間が形成される。そして、本実施形態では、この空間のうちノズル本体2の胴部21及び鍔部22とホルダ3の側壁31及び天井壁35によって仕切られる空間S1に付勢手段4を配置している。本実施形態では、付勢手段4として、ノズル本体2の鍔部22とホルダ3の天井壁35との間に圧縮状態で配置したコイルバネを適用している。この付勢手段4の復元力が鍔部22、ひいてはノズル本体2全体を下方へ付勢する付勢力として作用する。
【0036】
また、本実施形態では、ホルダ3とノズル本体2の間に形成される空間のうちノズル本体2の胴部21及び鍔部22とホルダ3の側壁31及び底壁33によって仕切られる空間を圧力調整空間S2として機能させている。本実施形態では、鍔部22と側壁31との間、及び胴部21と底壁33との間にそれぞれシール部材5を介在させることで、圧力調整空間S2の高い気密性を確保している。
【0037】
このような各パーツ(ノズル本体2、ホルダ3、付勢部材4)をユニット化して構成したパージノズル1は、ノズル本体2の胴部21に、パージ用気体流路23のうちパージ用気体供給方向A下流側に形成され且つパージ用気体供給源V1に配管Hを介して接続された通気孔26と、パージ用気体流路23に連通し且つ圧力調整空間S2にパージ用気体を導入可能な導入路27と、パージ用気体流路23のうち導入路27よりも上方開口部24側(パージ用気体供給方向A下流側)に設けられ且つ通気孔26からパージ用気体流路23に供給されたパージ用気体をパージ用気体流路23の上方開口部24よりも優先して導入路27に導入する導入路優先状態になり得る優先導入手段28を設けている。
【0038】
本実施形態のパージノズル1では、パージ用気体流路23における下方に開口した下端部分を通気孔26として機能させている。なお、パージ用気体流路23が下方に開口していない有底筒状のものである場合には、パージ用気体流路23のうち下端領域側の側面に、胴部21を厚み方向に貫通する孔を形成し、その孔を通気孔として機能させればよい。本実施形態では、通気孔26に配管Hを接続し、この配管H及び通気孔26を通じてパージ用気体をパージ用気体流路23内に注入可能に構成している。
【0039】
導入路27は、パージ用気体流路23のうち通気孔26よりも上方開口部24側(パージ用気体供給方向A下流側)に設けられ、胴部21を厚み方向に貫通する孔によって形成したものである。本実施形態では、胴部21の軸心を挟んで径方向に対向する2箇所(言い換えれば、胴部21の周方向に180度ずらした位置)にそれぞれ導入路27を形成している。導入路27の基端はパージ用気体流路23に連通し、先端は圧力調整空間S2に連通している。また、導入路27の径は、パージ用気体流路23の径よりも小さく設定されている。
【0040】
優先導入手段28は、
図4に示すように、弁体281と、弁体281を支持する弁座282とを備え、所定値以上の圧力が弁体281に作用した場合に、弁体281が弁座282から離間することによって、弁座282に形成した弁開口部283が開放するように構成したものである。すなわち、優先導入手段28は、チェック弁や逆支弁と称される弁を用いて構成することができる。なお、
図2及び
図3では優先導入手段28の外縁形状だけを模式的に示している。
【0041】
本実施形態で用いる優先導入手段28は、パージ用気体流路23の内向き面に対して隙間の無い状態で適宜の手段によって固定可能な中空のケーシング284内に、弁体281と、この弁体281を弁座282として機能するケーシング284の底壁285に向かって付勢する圧縮コイルバネ286とを配置している。ケーシング284の底壁285には弁体281の底部面積よりも小さい開口径に設定した弁開口部283を形成し、ケーシング284の天井壁287には、弁体281の先端部があそびを持った状態で挿通可能な挿通孔288を形成している。
【0042】
このような構成を有する優先導入手段28は、圧縮コイルバネ286の付勢力によって下方に付勢された弁体281が弁座282に密着して弁座282の弁開口部283を閉止した状態(弁閉止状態)と、弁体281が下方から受ける所定値以上の圧力によって上昇して弁座282から離間し、弁開口部283と挿通孔288がケーシング284の内部空間を介して相互に連通する状態(弁開放状態:図示省略)との切替可能である。
【0043】
本実施形態では、このような胴部21を備えたノズル本体2とホルダ3と付勢手段4によってパージノズル1(パージノズルユニット1)を構成し、ノズル本体2をホルダ3に対して昇降移動させるように構成している。また、本実施形態に係るパージノズル1は、ノズル本体2をホルダ3に対して昇降移動させる駆動源としてパージ用気体を適用し、導入路27を通じてパージ用気体を圧力調整空間S2内に供給したり、または圧力調整空間S2内のパージ用気体を圧力調整空間S2外に排出することで圧力調整空間S2の圧力を調整し、ノズル本体2をホルダ3に対して昇降移動させるように構成している。
【0044】
本実施形態では、通気孔26に接続した配管Hに、この配管H及び通気孔26を通じてパージ用気体をパージ用気体流路23に注入するパージ・加圧状態と、パージノズル1内においてパージ用気体が流通可能な空間(パージ用気体流通可能空間)のうち優先導入手段28よりも通気孔26側(パージ用気体供給方向A上流側)の空間内、具体的には、パージ用気体流路23のうち優先導入手段28よりも通気孔26側の空間内、導入路27内、及び圧力調整空間S2内のパージ用気体を真空引きして圧力調整空間S2の圧力を下げる負圧状態とに切替可能な切替部V(例えば電磁弁(ソレノイドバルブ))を接続し、この切替部Vの作動を制御することによって、ノズル本体2がホルダ3に対して昇降移動するように構成している。この切替部Vには、パージ用気体供給源V1及びバキューム源V2をパラレルで接続している。なお、バキューム源V2を設けずに圧力調整空間S2と通気孔26内のパージ用気体をノズル本体2の下降に伴って自然排気するように構成してもよい。この場合、切替部Vは、パージ・加圧状態と大気開放状態とに切替可能なものである。
【0045】
本実施形態のパージノズル1は、圧力調整空間S2内の圧力を調整することによって、
図2に示す位置、すなわち、パージノズル1の上向き面を構成するノズル本体2の上向き面(胴部21の上向き面)及びホルダ3の上向き面(天井壁35の上向き面)が相互に同じ高さ位置にあり、且つポート接触部25がFOUP100のポート101に接触しない待機位置(a)と、
図3に示す位置、すなわちノズル本体2の上向き面(胴部21の上向き面)がホルダ3の上向き面(天井壁35の上向き面)よりも高い位置にあり、且つノズル本体2のポート接触部25がFOUP100のポート101に接触可能なパージ位置(b)と間で昇降移動である。このように、本実施形態のパージノズル1は、ノズル本体2をホルダ3に対して昇降移動させることによって、待機位置(a)とパージ位置(b)に切替可能である。なお、ノズル本体2の昇降移動時には、ノズル本体2のうち鍔部22の外向き面がホルダ3本体34のうち側壁31の内向き面に摺接するとともに、ノズル本体2のうち胴部21の外向き面が底壁33に形成した下側貫通孔32の内向き面及び天井壁35に形成した上側貫通孔34の内向き面に摺接するように構成し、ノズル本体2の昇降移動をスムーズ且つ適切に行えるようにしている。ここで、「ノズル本体2の上向き面(胴部21の上向き面)とホルダ3の上向き面(天井壁35の上向き面)」が「パージノズル1の上向き面」である。
【0046】
以上に詳述した本実施形態におけるパージノズル1は、ロードポートXの載置台Bにおける複数の所定箇所(本実施形態では載置台Bの四隅近傍)に取り付けることで、載置台B上に載置されるFOUP100内の気体雰囲気をパージ用気体に置換可能なパージ装置Pとして機能する。なお、載置台Bに対する各パージノズル1の取付処理は、ネジなどの適宜の固定具を用いて載置台Bの所定箇所に固定することで実現できる。この固定状態において、ホルダ3の上向き面が載置台Bの上向き面とほぼ同じレベルとなるように設定している。
【0047】
そして、本実施形態に係るパージ装置Pは、
図2に示すように、パージノズル1のうち上向き面を少なくとも上方から被覆し得るカバー6を備えている。
【0048】
カバー6は、
図2及び
図5に示すように、パージノズル1の上向き面の平面形状よりも大きい平面形状に設定した平板状のカバー本体61と、カバー本体61の下向き面に一体的に固定した弾性部材62と、カバー本体61の所定領域から少なくともカバー本体61の中心から離間する方向に延伸するブラケット63(カバー本体支持部)とを備えたものである。本実施形態のカバー6は、それぞれ例えば円盤状をなすカバー本体61及び弾性部材62を相互に中心を一致させて高さ方向に重ねた状態で接着などの適宜に手段により分離不能に固定している。本実施形態では、カバー本体61の下向き面に取り付ける弾性部材62として、例えばウレタンゴム等の弾性に富んだ素材から形成したものを適用し、この弾性部材62の平面形状もまたパージノズル1の上向き面の平面形状よりも大きい形状に設定しており、弾性部材62とカバー本体61が共にパージノズル1の上向き面全体を被覆できるようにしている。
【0049】
また、本実施形態のパージ装置Pは、カバー6を、
図5に示すパージノズル1の上向き面を上方から被覆する被覆位置(c)と、
図6示すパージノズル1の上向き面を上方に露出させる非被覆位置(d)との間で移動させる駆動機構7を備えている。
【0050】
駆動機構7は、駆動用モータ71と、駆動用モータ71の回転駆動力によって正逆方向に回転可能な回転軸72とを備えている。回転軸72は、駆動用モータ71の出力軸そのものであってもよいし、駆動用モータ71の出力軸に一体回転可能に取り付けたもの(駆動用モータ71の出力軸とは別のもの)であってもよい。
【0051】
本実施形態のパージ装置Pは、回転軸72にカバー6の一部を固定している。本実施形態では、カバー6のうち基端部がカバー本体61に連続しているブラケット63の先端部(ブラケット63のうちカバー本体61の中心から遠い方の端部)を回転軸72に一体回転可能に取り付けている。本実施形態のパージ装置Pは、回転軸72の上端部にカバー6のブラケット63を固定し、回転軸72の下端部に駆動用モータ71を設けている。すなわち、カバー6は、片持ち状態で支持され、回転軸72回りに旋回しながら被覆位置(c)と非被覆位置(d)の間で移動可能である。本実施形態のパージ装置Pは、被覆位置(c)から非被覆位置(d)へのカバー6の旋回移動、及び非被覆位置(d)から被覆位置(c)へのカバー6の旋回移動を何れも水平面内で行えるように設定している。
【0052】
以上に述べたカバー6及び駆動機構7で構成されるカバー機構8は、ロードポートXのうち載置台Bに支持された状態で配置されるものである。具体的には、回転軸72を支持するブッシュ73(軸受)を、載置台Bに形成したブッシュ73保持孔に嵌合して保持させ、このブッシュ73に回転可能に支持される回転軸72の上端部にカバー6を固定している。
【0053】
本実施形態のパージ装置Pでは、パージノズル1もロードポートXの載置台Bに適宜の手段で取り付けている。すなわち、パージノズル1及びカバー機構8は何れも載置台Bに支持された状態で取り付けられるものであり、この載置台Bを、パージノズル1及びカバー機構8の共通のベースとみなした場合、共通のベースにパージノズル1及びカバー機構8を取り付けた状態を「カバー付きパージノズルユニット」として捉えることができる。このようなユニット単位で取り扱えるようにすることで、ロードポートXに実装する処理が、各パーツ(パージノズル1、カバー機構8)を個別にロードポートXに実装する態様と比較してスムーズに行えるようになる。
【0054】
また、本実施形態のパージ装置Pは、パージノズル1とカバー6の高さ方向に沿った相対高さ位置を、パージノズル1とカバー6の高さ方向に沿った離間距離として検知可能な検知部を備えている(図示省略)。この検知部による検知情報は、例えば駆動機構7の作動を制御する制御部(ホストコンピュータ)に送信され、制御部において検知情報に基づくパージノズル1とカバー6の離間距離が、基準値として予め記憶されている待機位置に位置付けたパージノズル1とカバー6の離間距離よりも小さくなったか否かを判定し、基準値よりも小さくなった時点以降の所定のタイミングで、駆動機構7がカバー6を被覆位置(c)から非被覆位置(d)へ移動させるように構成している。
【0055】
次に、このような構成をなすパージ装置Pを実装したロードポートXの使用方法及び作用について説明する。
【0056】
本実施形態のパージ装置Pは、FOUP100がロードポートXの載置台B上に載置されていない状態において、パージノズル1を待機位置(a)に位置付けるとともに、カバー6を被覆位置(c)に位置付けている。これにより、パージノズル1の上向き面は、カバー6によって被覆された状態になり、粉塵や埃、パーティクル等がパージノズル1の上向き面やパージ用気体流路23内に付着したり、堆積する事態を防止・抑制することができる。特に、本実施形態のパージ装置Pは、被覆位置(c)においてパージノズル1の上向き面に対面するカバー6の下向き面を弾性部材62で構成し、弾性部材62をパージノズル1の上向き面に形成したポート接触部25に近接するように設定している。その結果、カバー6を被覆位置(c)にセットし続ける限り、パージノズル1の周辺環境に存在する粉塵や埃、パーティクル等がポート接触部25を含むパージノズル1の上向き面やパージ用気体流路23内に付着したり、堆積することを効果的に防止・抑制することができる。
【0057】
そして、図示しないOHT(Overhead Hoist Transfer)等の搬送装置によりFOUP100がロードポートXに搬送され、載置台B上に載置される場合、切替部Vを負圧状態(大気開放状態)に設定しておくことで、パージノズル1を待機位置(a)に位置付けておき、位置決め用突起B1がFOUP100の位置決め用凹部に嵌まって接触することにより、FOUP100を載置台B上の所定の正規位置に載置することができる。また、着座センサB2によりFOUP100が載置台B上の正規位置に載置されたことを検出する。この時点においても、
図2に示すように、待機位置(a)にあるパージノズル1の上向き面はカバー6によって被覆されている。また、本実施形態では、FOUP100を載置台B上に載置した状態において、カバー6がFOUP100のポート101に接触しないように設定している(
図2参照)。
【0058】
そして、本実施形態のロードポートXは、着座センサB2によりFOUP100の正規の着座状態を検出した後、切替部Vを負圧状態(大気開放状態)からパージ・加圧状態に切り替えて、ノズル本体2を上昇移動させる。すなわち、胴部21に形成した通気孔26及びこの通気孔26に接続している配管Hを通じてパージ用気体流路23に供給されたパージ用気体は、導入路優先状態(弁閉止状態)にある優先導入手段28によりパージ用気体流路23の上方開口部24へは導入されずに、導入路27を通じて圧力調整空間S2に導入される。すると、圧力調整空間S2の圧力は上昇し、付勢手段4によって下方に付勢されているノズル本体2は、付勢手段4の付勢力に抗して上昇する。その結果、パージノズル1は、
図2に示す待機位置(a)から
図3に示すパージ位置(b)に変わる。
【0059】
パージノズル1が待機位置(a)からパージ位置(b)に上昇することによって、パージノズル1とカバー6の高さ方向に沿った離間距離は、待機位置(a)に位置付けられていたパージノズル1とカバー6の高さ方向に沿った離間距離よりも短くなり、この離間距離の変化を上述の検知部により検知する。そして、本実施形態に係るパージ装置Pは、検知部による検知情報を制御部(駆動機構7の作動を制御する制御部)に送信する。その検知情報を受信した制御部は、検知情報に基づくパージノズル1とカバー6の離間距離が、基準値(待機位置(a)に位置付けたパージノズル1とカバー6の高さ方向に沿った離間距離)よりも小さいことを判定した時点でカバー6を被覆位置(c)から非被覆位置(d)へ移動させる出力命令を駆動機構7(具体的には駆動用モータ71)に出力する。その結果、駆動用モータ71の回転駆動出力によって回転軸72が所定方向に回転し、回転軸72に固定しているカバー6も同一方向に回転して、
図5に示す被覆位置(c)から
図6に示す非被覆位置(d)に移動する。そして、パージノズル1が上昇し始めた時点でカバー6を被覆位置(c)から非被覆位置(d)へ移動させるため、上昇移動中にパージノズル1がカバー6に接触する事態を回避することができる。なお、仮に、カバー6の移動中にパージノズル1の最上端であるポート接触部25がカバー6の下向き面に干渉した場合であっても、カバー6の下向き面を弾性部材62で構成しているため、干渉時の衝撃を弾性吸収することでポート接触部25及びカバー6の損傷を防止・抑制することができ、弾性部材62の弾性変形によって、カバー6を被覆位置(c)から非被覆位置(d)へ移動させつつ、パージノズル1をパージ位置(b)まで上昇させることが可能である。
【0060】
カバー6が被覆位置(c)から非被覆位置(d)に移動すると、パージノズル1のパージ用気体流路23はカバー6に覆われずに上方に開放した状態になる(
図6参照)。
【0061】
そして、パージノズル1が所定のパージ位置(b)まで上昇すると、
図3に示すように、ノズル本体2のポート接触部25がポート101の下端に接触し、ポート101の内部空間103とノズル本体2のパージ用気体流路23が連通した状態になる。本実施形態では、胴部21の外周面に段部29を設け、この段部29がホルダ3の天井壁35の下向き面に当たることによってそれ以上のノズル本体2の上昇移動を規制している(同図参照)。
【0062】
本実施形態のパージ装置Pでは、ノズル本体2がパージ位置(b)まで上昇移動し終えた時点以降も引き続いて切替部Vをパージ・加圧状態にしておき、配管H及び通気孔26を通じてパージ用気体流路23にパージ用気体を供給し続けると、そのパージ用気体は、それ以上継続して導入路27を流れて圧力調整空間S2に導入されることなく、パージ用気体流路23のうち優先導入手段28よりもパージ用気体供給方向A上流側領域(下方開口部26側領域)の圧力を上げる気体として作用する。
【0063】
そして、パージ用気体流路23のうち優先導入手段28よりもパージ用気体供給方向A上流側領域の圧力が所定値以上になった時点で、優先導入手段28の弁体281が圧縮コイルバネ286の付勢力に抗して上昇し、弁体281と弁座282の気密状態が解除され、優先導入手段28は、導入路優先状態(弁閉止状態)から、弁座282の弁開口部283とケーシング284の挿通孔288がケーシング284の内部空間を介して相互に連通する弁開放状態に切り替わる。この時点(優先導入手段28が導入路優先状態から弁開放状態に切り替わった時点)以降に通気孔26からパージ用気体流路23に供給されるパージ用気体の全部または略全部は、優先導入手段28を通過して上方開口部24に向かって流れる。
【0064】
その結果、本実施形態に係るパージノズル1は、パージ用気体流路23及びポート101の内部空間103を通じてパージ用気体をFOUP100内に注入する(パージ処理を実施する)ことができる。これにより、FOUP100内に充満していた気体は、排出用ポート及び排出用パージノズル1を通じてFOUP100外へ排出される。なお、排出処理を注入処理よりも先に開始してFOUP100内のエアをある程度FOUP100外へ排出してFOUP100内を減圧した状態で注入処理を行うようにしてもよい。
【0065】
以上のようなパージ処理を行った後、あるいはパージ処理中に、本実施形態のロードポートXは、フレームFの開口部に連通するFOUP100の搬出入口を通じて、FOUP100内のウェーハを半導体製造装置内に順次払い出す。半導体製造装置内に移送されたウェーハは引き続いて半導体製造装置本体による半導体製造処理工程に供される。半導体製造装置本体により半導体製造処理工程を終えたウェーハはFOUP100内に順次格納される。
【0066】
本実施形態のロードポートXでは、ウェーハの出し入れ時においてもパージ装置Pによるボトムパージ処理を継続して行うことが可能であり、ウェーハを出し入れする間もFOUP100内の気体雰囲気を窒素ガスなどのパージ用気体に置換し続けて、高濃度に保つことができる。
【0067】
全てのウェーハが半導体製造処理工程を終えてFOUP100内に収納されると、ドア部DをFOUP100の扉に密着させた状態で開放位置から閉止位置に移動させる。これにより、ロードポートXの開口部及びFOUP100の搬出入口は閉止される。引き続き、載置台Bに載置されているFOUP100は図示しない搬送機構により次工程へと運び出される。なお、必要であれば、半導体製造処理工程を終えたウェーハを収納したFOUP100に対して再度ボトムパージ処理を行うようにしてもよい。このようにすれば、半導体製造処理工程を終えたウェーハを収納したFOUP100に対して直ぐにパージ処理を開始することができ、処理済みのウェーハの酸化防止を図ることができる。
【0068】
以上に詳述したように、本実施形態に係るロードポートXは、パージ装置Pによるボトムパージ処理により、FOUP100内におけるパージ用気体の充填度(置換度)を高い値に維持することができる。
【0069】
また、共通のFOUP100内に収容される複数のウェーハのうち、最初に半導体製造処理工程を終えてFOUP100内に収容されたウェーハは、最後に半導体製造処理工程を経るウェーハがFOUP100内に収容されるまで、通常であればFOUP100内においてウェーハの出し入れ作業時間の経過とともにパージ用気体の充填度(置換度)が低下する気体雰囲気に晒されることにより僅かながらも悪影響を受け得るが、パージ装置Pによりパージ用気体をFOUP100内に注入することにより、FOUP100内におけるパージ用気体充填度(置換度)の低下を効果的に抑制することができ、ウェーハを良好な状態でFOUP100内に収納しておくことができる。
【0070】
また、半導体製造処理工程を終えたウェーハが収納されているFOUP100を搬送機構に受け渡す際、または受け渡した後の所定のタイミングで、パージ用気体供給源V1からパージ用気体をパージ用気体流路23に供給する処理を停止すると、優先導入手段28の弁体281は弁座282に密着して弁開口部283を閉止し、その時点でパージ用気体流路23のうち優先導入手段28よりも上方開口部24側(パージ用気体供給方向A下流側)の領域に存在するパージ用気体は大気中に開放される。また、パージ用気体流路23のうち優先導入手段28よりも下方側の領域は、切替部Vをパージ・加圧状態から負圧状態(大気開放状態)に切り替えることで、通気孔26及びこの通気孔26に接続している配管Hを通じて真空引き又は自然排気される。これにより、圧力調整空間S2の圧力は下がり、付勢手段4の付勢力(弾性復元力)によってノズル本体2がホルダ3に対して下降する。以上により、本実施形態のパージ装置Pは、パージノズル1をパージ位置(b)から待機位置(a)に変更することができる。
【0071】
そして、本実施形態のパージ装置Pでは、パージノズル1がパージ位置(b)から待機位置(a)に移動した時点でカバー6を非被覆位置(d)から被覆位置(c)へ移動するように構成している。具体的には、制御部(ホストコンピュータ)が出力するパージノズル1をパージ位置(b)から待機位置(a)に移動させる処理命令に基づいてカバー6を非被覆位置(d)から被覆位置(c)へ移動させるように設定している。
【0072】
待機位置(a)に位置付けたパージノズル1の上向き面は、
図2及び
図5に示すように、非被覆位置(d)から被覆位置(c)に移動させたカバー6によって上方から被覆され、パージノズル1の上向き面やパージ用気体流路23内にパーティクル等が付着・堆積することを防止・抑制することができる。特に、本実施形態では、次に処理すべき未処理のウェーハが収納されているFOUP100を搬送機構から載置台B上に受け取る時点までの間、カバー6を被覆位置(c)にセットし続けるように設定しているため、FOUP100の搬送処理中及びFOUP100の受取処理中においてもパージノズル1の上向き面やパージ用気体流路23内にパーティクル等が付着・堆積することを防止・抑制することができる。
【0073】
このように、本実施形態のパージ装置Pは、パージノズル1の上向き面を上方から被覆する被覆位置(c)と、パージノズル1の上向き面を上方に露出させる非被覆位置(d)との間で移動可能なカバー6を備えているため、パージ処理を行わない場合にカバー6を被覆位置(c)に位置付けることで、パージノズル1の上向き面やパージ用気体流路23内にパーティクル等が付着したり、堆積することを防止・抑制することができる。その結果、パージノズル1の上向き面やパージ用気体流路23内にパーティクル等が付着している場合に生じ得る不具合、すなわち、パージ処理時にパーティクル等の不純物がパージ用気体とともにFOUP100内に混入してしまい、FOUP100内の清浄度を低下させるという不具合を防止・抑制することができる。
【0074】
特に、本実施形態のパージ装置Pは、待機位置(a)とパージ位置(b)の間で昇降移動するパージノズル1を適用し、FOUP100を載置台B上に載置した時点でもカバー6を被覆位置(c)に位置付けておくように設定しているため、FOUP100を載置台B上へ移動させる搬送処理中やFOUP100を載置台B上に載置する処理中においても、カバー6を被覆位置(c)に位置付けることで、パージノズル1の上向き面やパージ用気体流路23内にパーティクル等が付着したり、堆積することを防止・抑制することができ、より一層清浄度の高いパージ処理を実現することができる。
【0075】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では、ホルダに対してノズル本体を昇降移動させることで、パージノズルを所望の待機位置とパージ位置の間で変更可能に構成したが、パージノズル全体を昇降移動させることで待機位置とパージ位置の間で変更可能に構成することもできる。
【0076】
また、ホルダに対してノズル本体を昇降移動させる態様、またはパージノズル全体を昇降移動させる態様の何れにおいても、昇降移動させる駆動源として、パージ用気体以外の気体や流体を適用したり、或いはメカニカルな駆動機構を適用してもよい。
【0077】
また、上述した実施形態では、カバーを被覆位置から非被覆位置へ移動させるタイミングとして、パージノズルの上向き面が上昇し始めた時点、つまり基準値(待機位置にあるパージノズルとカバーとの高さ方向に沿った相対高さ位置の差である離間距離)よりも小さくなった時点を例示したが、本発明のパージ装置におけるカバーを被覆位置から非被覆位置へ移動させるタイミングは、基準値よりも小さくなった時点以降の所定のタイミングであれば特に限定されることはなく、例えば、検知部で検知した値が基準値よりも所定値分小さくなった時点でカバーを被覆位置から非被覆位置へ移動させたり、基準値よりも小さくなった時点から所定時間経過後にカバーを被覆位置から非被覆位置へ移動させるように設定することができる。
【0078】
なお、カバーを被覆位置から非被覆位置へ移動させる処理は、パージノズルが待機位置にあるか否かを検知可能な適宜の検知部による検知情報に基づき、パージノズルが待機位置からパージ位置に向かって移動し始めたタイミングや、パージノズルが待機位置にないことを特定したタイミングで行うようにしてもよい。
【0079】
さらには、パージノズルを待機位置からパージ位置に上昇移動させる処理に連動してカバーを被覆位置から非被覆位置へ移動させる構成を採用する場合、上述の検知部を不要とし、制御部(ホストコンピュータ)が出力するパージノズルを上昇させる指令情報(上述の実施形態であれば、パージノズルを待機位置からパージ位置に移動させる処理命令)に基づいてカバーを被覆位置から非被覆位置へ移動させるように構成しても構わない。この場合、制御部(ホストコンピュータ)がパージノズルを上昇させる指令情報を出力すること自体が、本発明における「パージノズルとカバーの高さ方向における相対位置で相対高さ位置が、待機位置にあるパージノズルとカバーの相対高さ位置よりも近接すること」を意味し、このパージノズル上昇指令情報の出力をきっかけとして、駆動機構がカバーを被覆位置から非被覆位置へ移動させることになる。
【0080】
また、本発明のパージ装置で適用するパージノズルは、昇降移動可能なものに限らず、移動不能なものであってもよい。この場合、パージ対象容器(上述した実施形態ではFOUP)とパージノズルの距離を直接または間接的に検知可能な検知部を備え、検知部の検知情報に基づいてパージ対象容器とパージノズルの距離が所定値よりも近くなったことをきっかけとして駆動機構がカバーを被覆位置から非被覆位置へ移動させるように構成すればよい。このような構成における検知部としては、載置台上に設けた近接センサや着座センサを挙げることができる。
【0081】
また、パージノズルのうち、ポートと接触し得るポート接触部を有するノズル頭部を、パージノズルを構成する他の部分や部材から着脱可能に構成することもできる。この場合、パージノズルをノズル頭部とそれ以外の一または複数のパーツから構成することによって、ポート接触部が経年劣化や使用頻度に応じて摩耗損傷・変形してしまった場合に、新品のノズル頭部、あるいは摩耗損傷・変形していていない別のノズル頭部に交換することによって、ポートとの高い気密性を確保した良好な接触状態を確保することができる。
【0082】
また、カバーは、パージノズルのうち上向き面を少なくとも上方から被覆可能なものであればよく、パージノズルの上向き面に加えて、パージノズルの上向き面以外の面や部分を適宜の方向(パージノズルの側面であれば側方)から被覆可能なものであってもよい。これにより、パージノズルを周囲雰囲気から遮蔽可能な領域を増大することができ、パーティクル等の不純物がパージノズルに接触する確率を有効に下げることが可能である。
【0083】
さらにはまた、上述した実施形態では、被覆位置に位置付けたカバーが、パージノズルの上端部(上向き面に形成したポート接触部)に近接するように設定した態様を例示したが、被覆位置に位置付けたカバーが、パージノズルの上端部に接触するように設定してもよい。このような構成であれば、カバーの下向き面とパージノズルの上端部の隙間を通じてパージノズルの上端部やパージ用気体流路にパーティクル等が付着したり、堆積する事態をより一層効果的に防止することができる。特に、カバーの下向き面を弾性部材で構成すれば、カバーの下向き面とパージノズルの上端部の良好な密着状態を確保することが可能である。
【0084】
また、カバーを被覆位置から非被覆位置へ移動させる前に、又はカバーを被覆位置から非被覆位置へ移動させながら、カバーを上昇移動させる機構を備えたパージ装置を構成すれば、カバーを被覆位置から非被覆位置へ移動させる際に、カバーの下向き面とパージノズルの上端部(上向き面に形成したポート接触部)の相互干渉を回避することができ、カバーの被覆位置から非被覆位置への移動をスムーズに行うことができる。
【0085】
被覆位置と非被覆位置の間におけるカバーの移動を、水平面に対して90度以外の所定傾斜角度をなす面内で行うように設定することもできる。
【0086】
さらにはまた、カバーを被覆位置と非被覆位置の間で移動させる駆動機構として、例えばロータリ式エアシリンダ等のメカニカルな駆動機構や、気体や流体の圧力を利用してカバーを移動させる駆動機構を適用することも可能である。駆動機構が、カバーを片持ち状態で支持するものではなく、カバーの複数箇所を支持した状態でカバーを移動させるものであってもよい。
【0087】
カバーは、パージノズルのうち上向き面を少なくとも上方から被覆し得る条件を満たせば、形状や構造、或いは素材は特に限定されるものではない。したがって、カバーとして、シャッタータイプ(片開きか両開きを問わない)や引き戸(スライド)タイプのものを適用することもできる。また、本発明のパージ装置は、カバーの下向き面を弾性部材で形成することも必須の要件ではない。
【0088】
また、上述した実施形態では、パージ対象容器としてFOUPを例示したが、他の容器(キャリア)であってもよく、パージ対象容器内に収容される被収容体も、ウェーハに限らず、表示デバイスや光電変換デバイスなどに用いられるガラス基板であっても構わない。
【0089】
また、パージ装置を、ロードポート以外のもの、例えばパージ対象容器を保管するストッカーや、パージ専用ステーションに適用することもできる。
【0090】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。