(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記収容部の送風方向における高さは、前記フィルタ部の外周部が収容された状態で前記フィルタ部の移動を規制可能な高さとしたことを特徴とする請求項1、2または3に記載の脱臭機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に示す脱臭機にあっては、送風路である筒体の途中に電気ヒータ、触媒体、および活性炭が順次配置されており、これらをどのように筒体側に固定しているか明示されていないが、何らかの固定手段を用いていると考えられる。このように、従来の脱臭機は、触媒フィルタを含む脱臭フィルタを固定する固定手段が別途必要であったため、部品点数が増加し、それに伴う組み立て工数の増加により、製造コストがかかるという課題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、送風路の途中に脱臭フィルタを配置する際に、脱臭フィルタの固定手段を別途設ける必要が無く省資材化できると共に、送風路の組み立てを少ない工数で容易に行えることで低コスト化できる脱臭機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の脱臭機は、空気吸込口と空気吹出口とをつなぐ送風路と、同送風路内に送風手段と、同送風手段で送風された空気から臭気成分を除去するフィルタ部とを備えた脱臭機であって、前記送風路に、前記送風路の幅を広げて前記フィルタ部の外周部を収容する収容部を形成したことを特徴とする。
【0008】
また、このように構成された脱臭機にあって、前記フィルタ部は、臭気成分を吸着分解する触媒フィルタと、同触媒フィルタを加熱するヒータと、前記触媒フィルタの外周部に配置された断熱材とを備え、前記断熱材を前記収容部に収容したことを特徴とする。
【0009】
また、このように構成された脱臭機にあって、前記収容部の送風方向に対する高さは、前記フィルタ部の外周部が収容された状態で前記フィルタ部の移動を規制可能な高さとしたことを特徴とする。
【0010】
また、このように構成された脱臭機にあって、前記送風路は、少なくとも第1部材と第2部材とで構成され、前記第1部材には、前記送風手段と前記フィルタ部とを配置し、同第1部材に前記第2部材を固定して前記送風路を組み立てるように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の脱臭機によれば、送風路に、送風路の幅を広げてフィルタ部の外周部を収容する収容部が形成されている。これにより送風路の途中に脱臭フィルタを配置する際に、フィルタ部を固定するための固定手段を別途設ける必要が無く、省資材化により製造コストを低減できる。
【0012】
また、フィルタ部は、触媒フィルタと、その触媒フィルタを加熱するヒータと、触媒フィルタの外周部に配置された断熱材とを備え、その断熱材が収容部に収容されるように構成されている。これにより、フィルタ部の断熱材が空気の流通を妨げる材質であっても、断熱材を収容部に収容して断熱材の内側の触媒フィルタを送風路一杯に配置できるため、送風路の開口面積を犠牲にせずに通風抵抗を低減することができると共に、ヒータからの熱を断熱材によって他の部材に影響を与えるのを防止することができる。
【0013】
また、収容部は、フィルタ部の外周部が収容された状態でフィルタ部を送風方向に対してフィルタ部の移動を規制可能な高さとしている。これにより、収容部に収容されたフィルタ部は、脱臭機が仮に転倒した場合であっても、収容部から外れることがなくなる。
【0014】
また、送風路は、少なくとも第1部材と第2部材とで構成され、第1部材には、送風手段とフィルタ部とが配置され、その第1部材に第2部材を固定して送風路を組み立てるように構成されている。これにより、送風手段とフィルタ部とを内部に配置した送風路を少ない工数で容易に組み立てられるようになり、低コスト化できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明にかかる脱臭機の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0017】
まず、
図1から
図10は本発明にかかる脱臭機1の一実施形態を示している。
図1は、本発明の一実施形態を示す脱臭機を正面斜め上方から見た斜視図である。この脱臭機1は、
図1に示すように、合成樹脂パネルで成形された直方体状の筺体を有し、この筺体の前面パネル17に設けられた空気吸込口11から導入した空気を、上面に設けられた空気吹出口12から放出する間に、空気の脱臭処理が行われるようになっている。
【0018】
また、脱臭機1の筺体の上面部には、空気吹出口12の側方に位置して脱臭機1を操作する操作パネル19が設けられている。さらに、脱臭機1の筺体の側面側は、側面パネル18で覆われている。
【0019】
図2は、
図1に示す脱臭機の中央部から縦断したX−X線に沿った断面図である。脱臭機1の筺体の内部は、
図2に示すように、空気吸込口11から導入した空気を空気吹出口12まで案内する送風路10が形成され、この送風路10の途中には、送風路10内の空気を空気吸込口11から空気吹出口12に向かって流通させる送風手段としてのシロッコファン13が設けられている。 もちろん、この場合の送風手段は、シロッコファン13が好ましいが、これに限定されず、空気を流通させる機能を有するものであればよい。例えば、送風手段にラジアルファンや軸流ファン、もしくはその他の送風手段などを用いてもよい。
【0020】
また、送風路10のシロッコファン13と空気吹出口12との間には、脱臭フィルタを含むフィルタ部としての脱臭ユニット14が配置されている。さらに、脱臭ユニット14の下流側には、オゾンを発生させて空気の殺菌と脱臭を行うオゾナイザ20が配置されている。
【0021】
図3は、
図2に示す脱臭機の中央部から縦断したY−Y線に沿った断面図である。本実施形態における脱臭機1の特徴的な構成は、
図3に示すように、シロッコファン13と空気吹出口12との間の送風路10の一部の幅を広げて、フィルタ部としての脱臭ユニット14の外周部を収容する収容部24を形成した点にある。この収容部24は、
図3に示すように、シロッコファン13から空気吹出口12までの間の送風路10の幅が、ここではW3→W1→W2の順に変化し、それらの幅の大小関係がW1>W2>W3となるように構成されている。つまり、脱臭ユニット14の外周部を収容する収容部24の幅W1は、最も広く、その前後の送風路10の幅W3と幅W2は、幅W1よりも狭く形成されている。このため、幅W1の部位と幅W3の部位との境界部に形成される段差部は、ここでは載置部22と称し、収容部24に脱臭ユニット14を収容する際に、脱臭ユニット14を載置する台の役割を果たしている。また、幅W1の部位と幅W2の部位との境界部に形成される段差部は、ここではフィルタ位置ずれ防止部23と称し、収容部24に収容された脱臭ユニット14が送風方向(シロッコファン13から空気吹出口12に向かう方向)へ移動しないように上から移動を規制するストッパの役割を果たしている。なお、本実施形態では、W2>W3としているが、本発明はこれに限られず、収容部24が形成されればよい。
【0022】
このように、本実施形態における脱臭機1は、シロッコファン13と空気吹出口12との間の送風路10に少なくとも脱臭ユニット14の高さ分だけ幅を広げた脱臭ユニット14の外周部を収容する収容部24を形成し、この収容部24に脱臭ユニット14の外周部を収容することで送風路の途中に脱臭フィルタを配置できるため、別途固定手段を用いる必要がなくなる。
【0023】
図4は、
図2に示す脱臭機の送風路の一部を構成する第2部材の断面図であり、
図5は、
図4に示す脱臭機の第2部材を正面斜め上方から見た斜視図であり、
図6は、
図2に示す脱臭機の送風路の一部を構成する第1部材を正面斜め上方から見た斜視図である。
図4に示す第2部材16は、
図2に示すように、第1部材15に対して蓋の役目を果たし、第2部材16に設けられた通風孔16aを通って流入した空気(矢印B)がシロッコファン13および脱臭ユニット14を経由して空気吹出口12へ送られる(矢印C)送風路10の一部を構成している。すなわち、本実施形態における脱臭機1のもう一つの特徴は、
図2に示すように、送風路10が第1部材15と第2部材16の少なくとも2つの部材で構成されている点にある。これを斜視図で見ると、
図6に示す第1部材15に対して、
図5に示す第2部材16で覆うだけで、容易に送風路10を形成することができる。特に、送風路10内は、上述したようにシロッコファン13や脱臭ユニット14を配置する必要があるため、
図6に示す第1部材15側にシロッコファン13を収容するファンケーシング151と脱臭ユニット14を収容するための収容部24が形成され、脱臭ユニット14を収容した後に、
図5の第2部材16で蓋をして固定することで、送風路10を少ない工数で容易に組み立てることが可能となる。なお、
図6に示す第1部材15の送風路10内に設けられたネジボス21は、
図2の前面パネル17に対向配置された反対側の背面パネルをネジ止めするためのものである。
【0024】
このようにして組み立てられた送風路10は、
図2に示すように、シロッコファン13の稼働にともなって前面パネル17の空気吸込口11から導入された空気(矢印A)が、通風孔16aの前面に配置される図示しない集塵フィルタによってゴミや塵が除去された後(矢印B)、シロッコファン13を経由して脱臭ユニット14に送られる。その後、脱臭ユニット14で脱臭処理された空気は、下流側のオゾナイザ20で生成されたオゾンと共に空気吹出口12から放出される(矢印C)。なお、このオゾナイザ20は、本実施形態にかかる脱臭機1を構成する上で必ずしも必要とはしない。
【0025】
図7は、
図6に示す脱臭機の送風路の一部を構成する第1部材の収容部24に挿入される脱臭ユニットの分解斜視図であり、
図8は、
図7に示す脱臭ユニットを組み立てた完成斜視図であり、
図9は、
図8に示す脱臭ユニットの中央部から縦断した断面図であり、
図10は、
図6に示す脱臭機の第1部材の収容部に
図8の脱臭ユニットを挿入した斜視図である。脱臭ユニット14は、
図7に示すように、臭気成分を吸着して分解する触媒フィルタ145と、この触媒フィルタ145を加熱して吸着した臭気成分の分解を促進するヒータ143と、ヒータ143からの熱を触媒フィルタ145全体に放熱する放熱板142と、触媒フィルタ145と、ヒータ143および放熱板142の外周を囲って周囲に熱が逃げるのを防ぐ環状断熱材144と、触媒フィルタ145の上方に配置され、触媒フィルタ145を加熱するヒータ143の熱気が立ち昇るのを防ぐ板状断熱材146と、板状断熱材146および環状断熱材144の上面側を覆って配置される遮熱板147と、放熱板142および環状断熱材144の下面側を覆って配置される断熱材保持部141とにより構成されている。
【0026】
触媒フィルタ145は、心材部分に蜂の巣(ハニカム)構造を取り入れて板状に形成した通気性を有するハニカムコアボードであり、ここではアルミ合金で構成され、その表面に、酸化マンガンなどの金属酸化物やプラチナなどの貴金属の触媒を所定の厚さに形成(触媒層)されている。なお、吸着材としては、活性炭や各種セラミックス粉末などをさらに添加することが好ましい。さらには、抗菌剤や防かび剤などが添加されることも好ましい。そして、触媒フィルタ145は、基本的に吸着した臭気成分の分解を加熱により促進できる構造(加熱再生型)であればよく、その他の加熱再生構造を有する触媒フィルタであってもよい。
【0027】
ヒータ143は、ここでは温度が上がるにつれて電気抵抗値が上がる特性を利用して自己の温度を制御するPTCヒータ(Positive Temperature Coefficient:正温度係数)を好適に用いている。このため、ヒータ143にPTCヒータを用いた場合は、これまでヒータ温度を検出していたサーミスタが不要になることから、コストを低減することができる。もちろん、ヒータの種類は、これに限定されるものではなく、シーズヒータやセラミックヒータなど種々のヒータを用いて実施することができる。
【0028】
遮熱板147は、多数の透孔によって通気性が確保された金属製のパンチングプレートで形成されている。また、板状断熱材146は、通気性を保ちつつ断熱効果も併せ持つ不織布などの素材を好適に用いることができる。さらに、環状断熱材144は、発泡メラミンフォームやポリイミドなどの通気性の無い素材を好適に用いることができる。
【0029】
放熱板142は、放射状に延びる複数の放熱部1421を有し、この放熱部1421間に配置される多数の透孔1422によって通気性が確保された金属製のプレートで形成されている。そして、放熱板142は、
図7に示すように、周縁部がプレス加工などにより上方に折曲された側壁1423を有して全体として矩形容器状に形成されている。この放熱板142は、側壁1423で囲まれた中央部にヒータ143が保持されるようになっており、
図9に示すように、その側壁で囲まれた内側に触媒フィルタ145が収容される。また、側壁1423は、外側には環状断熱材144が配設される。このとき、触媒フィルタ145は、ヒータ143および放熱板142に面対向して配置される。また、放熱板142の周囲の4つの側壁には、
図7に示すように、放熱板142の各辺に沿う方向のほぼ中央部にコ字状に形成されたチャンネル148がそれぞれビス止めされる。このとき、各チャンネル148の両端折曲片は放熱板142に対して外方に向かって配置され、それら両端折曲片を介して断熱材保持部141と遮熱板147とを固定するように構成されている。
【0030】
このように構成された脱臭ユニット14は、遮熱板147、板状断熱材146、触媒フィルタ145および放熱板142が通気性を有することから、送風路10を流通する空気の通過が可能となっている。このため、シロッコファン13を通過した空気が導入されると、その空気は
図3に示す脱臭ユニット14を図中下側から上方へと通過する。つまり、脱臭ユニット14に導入された空気は、
図7中の下側の断熱材保持部141からヒータ143、放熱板142、環状断熱材144、触媒フィルタ145、板状断熱材146、および遮熱板147の順に通過することになる。
【0031】
このように組み付けられた脱臭ユニット14は、
図8に示すように、全体として扁平な直方体状となって構成されている。組み付け後の脱臭ユニット14の断面構造は、
図9に示すように、放熱板142の中央部上にヒータ143が配置され、触媒フィルタ145の中央部にヒータ143が直接接触して伝熱されるとともに、触媒フィルタ145の外周部に放熱板142が空隙部を介して近接配置されている。このため、触媒フィルタ145は、ヒータ143から直接加熱されるとともに、放熱板142からも空隙部を介して間接的に加熱(輻射熱)され、外周側面が環状断熱材144で覆われ、上面が板状断熱材146で覆われているため、ヒータ143(PTCヒータ)を中央部に配する構成を採用しても触媒フィルタ145全体を十分に加熱することが可能となり、触媒フィルタ145に吸着した臭気成分の分解を効果的に促進することができる。
【0032】
なお、上記した脱臭ユニット14のチャンネル148は、放熱板142を介して断熱材保持部141と遮熱板147とを保持するため、断熱材保持部141や遮熱板147への伝熱を極力抑えることができる。また、放熱板142の側壁1423は、通気性の無い環状断熱材144で覆われているため、空気を介して断熱材保持部141へ伝熱することも防止できる。従って、送風路を耐熱性の低い安価な材料で構成することも可能となる。さらに、脱臭ユニット14の断熱材保持部141は、
図9および
図3に示すように、送風路10の幅を広げた収容部24の載置部22で支持するように構成しているため、脱臭ユニット14を安全かつ確実に載置することができる。また、触媒フィルタ145の通風面1451の面積を大きくした脱臭ユニット14を配置することが可能となる。
【0033】
以上述べたように、本実施形態にかかる脱臭機1によれば、
図8に示す脱臭ユニット14を
図5の脱臭機の第1部材15に形成された送風路10の収容部24に挿入するだけで、固定手段を用いることなく送風路10の途中で確実に固定できることから、省資材化によってコストを低減することができる。
【0034】
また、本実施形態にかかる脱臭機1によれば、
図3および
図9に示すように、送風路10の幅を広げた収容部24に脱臭ユニット14を収容するため、脱臭ユニット14の外周部に配置された環状断熱材144が収容部24に埋設されることから、触媒フィルタ145の通風面1451の面積を大きくした脱臭ユニット14を配置することが可能となる。さらに、収容部24に脱臭ユニット14の環状断熱材144を収容するため、ヒータ143から第1部材15および第2部材16に対する伝熱の軽減効果が得られる。このように、本実施形態の脱臭機は、脱臭ユニットに加熱再生型の触媒フィルタを用いた脱臭機に特に有用である。
【0035】
さらに、本実施形態にかかる脱臭機1によれば、送風路10を少なくとも第1部材15と第2部材16とで構成し、第1部材15側には送風手段としてのシロッコファン13と、送風路10の途中にフィルタ部としての脱臭ユニット14が挿入可能な収容部24を形成し、その収容部24に脱臭ユニット14を挿入した後、第2部材16により第1部材15に蓋をして固定することで送風路10を組み立てることができる。このように、送風路10を第1部材15と第2部材16とで構成し、送風路10の幅を広げた収容部24に脱臭ユニット14を固定することで、少ない部品点数で容易に組み立てを行うことができるため、コストを低減することができる。
【0036】
なお、本発明の脱臭機は上述した一実施形態を例にとって説明したが、これらの実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種変更が可能である。たとえば、脱臭機に加湿ユニットを設けることで加湿機能を追加したり、あるいは、本実施形態で採用したオゾナイザ20以外にマイナスイオンを生成するイオナイザを追加した脱臭機としても本発明を適用することができる。