【実施例】
【0017】
図1は、本願発明の実施例に係る検出システム1の概略ブロック図である。検出システム1は、サーバ3(本願請求項の「サーバ」の一例)と、複数のセンサ5
1,…,5
N(本願請求項の「センサ」の一例)(以下、記号の添え字は、省略する場合もある。)と、情報処理装置7(本願請求項の「情報処理装置」の一例)を備える。
【0018】
サーバ3は、インターネットにおいてクラウドサーバとして構築されたものである。サーバ3は、仮想センサ情報記憶部11(本願請求項の「仮想センサ情報記憶手段」の一例)と、受信部13(本願請求項の「受信手段」の一例)と、仮想センサ情報変更部15(本願請求項の「仮想センサ情報変更手段」の一例)と、送信部17(本願請求項の「送信手段」の一例)と、測定情報記憶部19(本願請求項の「測定情報記憶手段」の一例)と、測定情報分析部21(本願請求項の「測定情報分析手段」の一例)を備える。
【0019】
センサ5
n(nは、1からNまでの整数)は、通信部23(本願請求項の「通信部」の一例)と、本体部25(本願請求項の「本体部」の一例)と、測定部27(本願請求項の「測定部」の一例)を備える。通信部23は、複数の通信装置29
1,…,29
Pを備える。測定部27は、複数の測定装置41
1,…,41
Qを備える。本体部25は、複数の通信装置接続部31
1,…,31
Pと、実センサ情報記憶部33(本願請求項の「実センサ情報記憶手段」の一例)と、制御部35(本願請求項の「制御手段」の一例)と、実センサ情報変更部(本願請求項の「実センサ情報変更手段」の一例)と、複数の測定装置接続部39
1,…,39
Qを備える。検出システム1の具体的な使用環境における動作の一例については、後に、
図2及び
図3を参照して具体的に説明する。センサ5
nのハードウエア構成及び動作の一例については、後に、
図4及び
図5を参照して具体的に説明する。
【0020】
情報処理装置7は、表示部43と、入力部45と、通信部47を備える。
【0021】
通信部27の複数の測定装置41は、それぞれ、測定処理を行うものである。各測定装置41は、例えば、焦電、AC電流、温度、湿度、加速度、照度、ガス、気圧、熱電対、圧力などを測定するものである。測定装置41は、本体部25の測定装置接続部39によって着脱可能に接続されている。各測定装置41が測定して収集した測定情報は、通信部23の通信装置29によって、サーバ3に送信される。
【0022】
通信部23の複数の通信装置29
1,…,29
Pは、それぞれ、サーバ3との通信を行うためのものである。複数の通信装置29は、それぞれ、例えば、有線LANを構成したり、公衆回線(3G回線など)への接続やWi−FiやBluetooth(登録商標)などの無線通信により、ネットワークを構築するためのものである。センサ5
nは、通信装置29により、例えばイーサネット(登録商標)によりルータやゲートウェイを経由してインターネットに接続して、サーバ3との通信が確立している。通信装置29は、本体部25の通信装置接続部31によって着脱可能に接続されている。
【0023】
実センサ情報記憶部33は、センサ5
nのプロファイル(設定情報)(本願請求項の「実センサ設定情報」の一例)(以下、「実センサ設定情報」という。)を記憶するものである。制御部35は、実センサ情報記憶部33に記憶された実センサ設定情報を参照してセンサ5
nの動作を制御するものである。実センサ情報変更部37は、実センサ情報記憶部33に記憶された実センサ設定情報を変更するものである。
【0024】
仮想センサ情報記憶部11は、複数のセンサ5
1,…,5
Nのそれぞれに対応して、各センサ5を仮想化した複数の仮想センサの設定を示す仮想センサ情報22
1,…,22
Nを記憶するものである。仮想センサ情報22としては、例えば、仮想センサのハードウエア構成、仮想センサの使用環境などがある。また、例えば、仮想センサのプロファイル(以下、「仮想センサ設定情報」という。)を記憶しておき、仮想センサ情報22の仮想センサ設定情報の修正に合わせて、対応するセンサ5の実センサ設定情報を修正するようにしてもよい。
【0025】
受信部13は、各センサ5の測定装置が測定して収集した測定情報を各センサ5から受信したり、仮想センサの一部又は全部の設定及び/又は構成を変更する仮想センサ情報変更指示を情報処理装置7から受信したりするものである。ここで、「A及び/又はB」は、A、B、又は、A及びBを意味するとする。
【0026】
仮想センサ情報変更部15は、情報処理装置7から受信した仮想センサ情報変更指示に従って、仮想センサ情報記憶部11に記憶された仮想センサ情報を変更するものである。
【0027】
測定情報記憶部17は、各センサ5から収集した測定情報を記憶するものである。測定情報分析部19は、測定情報記憶部17に記憶された測定情報を分析するものである。
【0028】
送信部21は、情報処理装置7に対して仮想センサ情報記憶部に記憶された仮想センサ情報を送信したり、仮想センサ情報が変更されたセンサ5に対して、仮想センサ情報の変更に応じた実センサ設定情報の変更を指示する実センサ情報変更指示を送信したり、情報処理装置7に対して測定情報分析部21の分析結果を送信したりするものである。
【0029】
サーバ3の送信部21がセンサ5
nに対して実センサ情報変更指示を送信すると、センサ5
nの通信部23の通信装置29が、この実センサ情報変更指示を受信する。通信装置29が実センサ情報変更指示を受信すると、実センサ情報変更部37は、実センサ情報変更指示に従って実センサ情報記憶部33に記憶された実センサ設定情報を変更する。制御部35は、変更された実センサ設定情報を参照して、センサ5
nの動作を制御する。
【0030】
情報処理装置7は、例えばパソコンやスマートフォンなどである。これは、センサ5を設置したユーザが使用するものである。情報処理装置7が備える表示部43は、通信部47がサーバ3から受信した仮想センサ情報記憶部11に記憶された仮想センサ情報などを表示するものである。ユーザは、センサ5
nの本体部25に通信装置29及び測定装置41を接続して所定の位置に設置すると、表示部43に表示された内容を参照して入力部45を操作して、サーバ3におけるセンサ5
nに対応する仮想センサ情報22
nが無ければこれを新たに入力したり、既にあれば既存の仮想センサ情報22
nを修正したりするための情報を入力する。
【0031】
なお、情報処理装置7による仮想センサ情報変更御指示については、例えば、センサ5
nのハードウエア構成の変更によるものが考えられる。これは、設定場所は変更せず、ハードウエア構成を、例えば低温を検出する測定装置から高温をも検出可能な測定装置に変更するような場合である。この場合には、情報処理装置7によって、サーバ3における仮想センサの測定タイミング等の設定は維持して、仮想センサのハードウエア構成の情報のみを変更してもよい。また、例えば、センサ5
nのハードウエア構成を変更せずに、設置場所を変更したり、測定タイミングを変更したりすることも考えられる。この場合には、情報処理装置7によって、サーバ3における仮想センサのハードウエア構成は変更せず、仮想センサの計測タイミング等の設定のみを変更してもよい。これら両者を変更する指示も考えられる。
【0032】
通信部47は、サーバ3に対して、入力情報を仮想センサ情報変更指示として送信する。サーバ3において、受信部13は、この仮想センサ情報変更指示を受信する。仮想センサ情報変更部15は、仮想センサ情報変更指示に従いセンサ5
nの仮想センサ情報を変更する。送信部21は、センサ5
nに対して、実センサ情報変更指示を送信する。
【0033】
図2及び
図3を参照して、センサ5
nの設置から情報処理装置7による計測結果の受信までの概要を説明する。
図2は、
図1の検出システムが日常生活において使用される一例を示す図である。
図3は、
図2の場面での検出システム1の動作の一例を示すフロー図である。
【0034】
図2及び
図3の例では、ユーザは、センサ5
nの本体部25に、加速度を測定する測定装置41と、Wi−Fiなどの無線LANのための通信装置29を接続し、センサ5
nをドアに設置する(
図3のステップSTP1)。このように、センサ5
nは、様々な測定機能や通信機能を実現できるため、いわば、スマートセンサボックスとも称すことができるものである。接続後、ユーザは、センサ5
nの電源を入れると、センサ5
nは、初期化処理を行う(
図3のステップSTP2)。例えば、接続している測定装置41及び通信装置29の種類を確認したり、通信装置29により、サーバ3との通信経路を確立したりする。
図2では、センサ5
nとサーバ3との間の通信は、センサ5
nの制御部35の制御によって、ルータ9を経由して実現されているとする。
【0035】
ユーザは、自身が保有する情報処理装置7を操作して、クラウド上に構築されたサーバ3に対して、センサ5
nに対応する仮想センサの構成や使用環境等を設定するための仮想センサ情報変更指示を送信する(
図3のステップSTP3)。
【0036】
サーバ3では、仮想センサ情報変更指示に従って仮想センサ情報22
nを修正する。センサ5
nが、加速度を測定する場合であっても、例えば、ドアに設ける場合と、ボール等に設ける場合では、その実センサ設定情報は異なることが望ましい。なぜなら、ドアに設ける場合には定型的な動きとなるが、ボール等に設ける場合には不規則な動きとなり、判断に必要なデータが異なるため、計測間隔等を変えることが望ましく、実センサ設定情報を異なるようにした方が望ましいためである。また、例えば、焦電を測定する場合には、赤外線を含めた光の変化を検出するため、ある程度の速度での変化が求められ、検体がゆっくりと移動する場合には、検知できない可能性もある。このようなセンサのプロファイルを設定したり修正したりするには、例えば、プログラムを書いてハードウエアに転送して設定を行うことが考えられる。しかし、これは、極めて高度な専門知識を前提とする。また、センサにつまみ等の特別な部品を付属して調整する手法等も考えられる。しかし、このような手法では、一般的には、簡易的な設定のみが実現されることとなる。
【0037】
本願発明によれば、ユーザは、サーバ3の仮想センサを操作するだけで足りる。サーバ3は、センサ5
nに対して、修正後の仮想センサに対応する実センサ設定情報を設定するための実センサ情報変更指示を送信する。センサ5
nの実センサ情報変更部37は、実センサ情報変更指示に従い、実センサ設定情報を修正する(
図3のステップSTP4)。
【0038】
センサ5
nの制御部35は、修正後の実センサ設定情報を参照して、測定装置41により計測された計測情報をサーバ3に送信する(
図3のステップSTP5)。そして、サーバ3の測定情報分析部19は、例えば定期的にドアの開閉がなされたことによりお年寄りが元気に生活していることなどを分析して(
図3のステップSTP6)、その旨を情報処理装置7へ送信する(
図3のステップSTP7)。
【0039】
これにより、センサ5
nを設置したユーザは、特別な専門知識がなくても、センサ5
nの実際のハードウエア構成等に合わせてサーバ3上の仮想センサを操作するだけで、センサ5
nを利用したサービスを利用することができる。
【0040】
なお、例えば、サーバ3は、実センサ情報変更指示に仮想センサのハードウエア構成を示す情報を付加しておき、センサ5
nの実センサ情報変更部37は、受信した実センサ情報変更指示に含まれる仮想センサのハードウエア構成と、実際のハードウエア構成との整合性をチェックして、整合すれば実センサ情報変更指示に従った修正を行い、整合しなければ誤りである旨の情報をサーバ3に送信するようにしてもよい。また、センサ5の数は、膨大なものになることが予想される。各センサ5を識別するために、各センサ5にIDを付与するようにしてもよい。IDは、例えば、IPアドレスやMACアドレスのような他の識別情報を利用してもよく、また、ユーザや設置場所を基準にした局所的な独自のものであってもよい。
【0041】
続いて、
図4及び
図5を参照して、
図1のセンサ5
nの構成及び動作について、具体的に説明する。
【0042】
図4は、
図1のセンサ5
nのハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
図1と同じものについては、同じ符号を付している。
図4では、通信部23において、有線LANのための通信装置29
1と、無線LANのためのWi−Fiの通信装置29
2が存在する。通信装置29
1及び29
2は、それぞれ、通信装置接続部31
1及び31
2により、本体部25と接続する。通信装置接続部31
1及び31
2は、例えばコネクタであり、各通信装置29と本体部25とを着脱可能に接続するためのものである。
【0043】
また、測定部27には、加速度の測定装置41
1と、焦電の測定装置41
2と、AC電流の測定装置41
3と、湿度の測定装置41
4が存在する。これらの測定装置は、それぞれ、通信装置接続部31
1及び31
2により、本体部25と接続する。測定装置41
1〜41
4は、それぞれ、測定装置接続部39
1〜39
4により本体部25と接続する。測定装置接続部39
1〜39
4は、例えばコネクタであり、着脱可能に接続するためのものである。なお、各測定装置には、個別に処理装置を設けて動作するものでもよく、また、CPU53の制御によって動作するものであってもよい。
【0044】
本体部25は、さらに、NIC51と、CPU53と、メモリ55を備える。メモリ55は、プロファイルを記憶し、
図1の実センサ情報記憶部33に対応する。NIC51は、ネットワークインターフェースコントローラであり、通信装置29による通信を制御する。また、CPU53は、中央処理装置として、プログラムに従って、センサ5
nの動作を制御する。NIC51とCPU53は、
図1の制御部35に対応する。また、CPU53は、メモリ55のプロファイルを変更するものとして、
図1の実センサ情報変更部37に対応する。
【0045】
図5は、
図4のCPU53の動作の一例を示すフロー図である。CPU53は、処理を開始すると、初期化処理を行う(
図5のステップST1)。初期状態では、すべてのデバイスは、スレーブ状態(他の装置の動作に従って動作する状態)であるとする。そして、通信装置29を制御して、サーバ3との間の通信を確立する。その後、CPU53をマスター状態(他の装置に対して動作する状態)にする。続いて、CPU53は、測定装置41をスキャンして、接続されている測定装置41を認識する(
図5のステップST2)。CPU53は、メモリ55に、測定装置41の接続情報を保存する(
図5のステップST3)。
【0046】
続いて、接続している測定装置41のポーリング動作(
図5のステップST4〜ST11)を行う。具体的には、CPU53は、測定装置41を選択し(
図5のステップST4)、選択した測定装置41からデータを取得する状態とする(
図5のステップST5)。そして、マスター状態からスレーブ状態へ移行し、測定装置41の動作によって動作する状態となる(
図5のステップST6)。計測装置により計測されたデータがあるか否かを判断し(
図5のステップST7)、データがあればデータ処理(例えば、データをサーバ3に送信する処理など)を行い(
図5のステップST8)、プロファイルによって定められる時間(
図5では、8msを例示している。)が経過するまで繰り返し処理を行い(
図5のステップST9)、バスがアクティブ状態であれば、ノンアクティブ状態になるまで待機し(
図5のステップST10)、ノンアクティブ状態となれば、スレーブ状態からマスター状態へと移行して(
図5のステップST11)、次の測定装置に対して同様の処理を行う(
図5のステップST4〜ST11)。CPU53は、バスがアクティブな状態であるため待機する間などには、他の動作を行ってもよい。
【0047】
図5の動作により、通信装置29及び/又は測定装置41が置き換えられ、ハードウエア構成が変更されても、センサ5
nは動作して、計測処理を行い、その計測結果をサーバ3に送信することができる。プロファイルについては、サーバ3の仮想センサの情報が修正されたときに、実センサ情報変更指示に従い、修正する。
【0048】
なお、
図5では、CPU53がポーリングする場合の一例である。例えば外的要因をきっかけとしてセンサが動くような場合(例えば動作したことをきっかけとして、電流が流れ(電力を消費し)、センサが動くような場合)についても、同様に実現することが可能である。本願発明は、
図5の場合に限定されないものである。