(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
芯を収納する芯タンクと、その芯タンクの前端に固定され芯を把持・開放を行うチャック体と、そのチャック体の前方を囲繞すると共にチャック体の開閉を行うチャックリングとを有するシャープペンシルユニットであって、少なくとも前記芯タンクの前方、並びに、チャック体、チャックリングを内部に配置する中子を有し、前記中子の内径部後方には雌螺子部を形成し、また、前記芯タンクの外径部に雄螺子部を形成し、前記チャック体の前方をチャックリングが囲繞した状態で前記雄螺子部が前記雌螺子部の後方に位置し、前記芯タンクが前記中子に対して前進時は前記芯タンクと前記中子が螺子螺合して前記チャック体が拡開状態となることを特徴とするシャープペンシルユニット。
芯を収納する芯タンクと、その芯タンクの前端に固定され芯を把持・開放を行うチャック体と、そのチャック体の前方を囲繞すると共にチャック体の開閉を行うチャックリングと、前記芯タンクの前方、並びに、チャック体、チャックリングを内部に配置する中子と、前記中子の内径部に形成された内鍔部の後端面と前記芯タンクの前端面との間に弾撥部材とを有するシャープペンシルユニットにおいて、前記芯タンクとチャック体とを、前記芯タンクの後端面から前記チャック体の先端面までの長さが異なる状態で固定可能とし、その長さが長い固定状態では、前記中子の前端と前記チャック体の前方とを離間した状態に位置させ、前記チャック体が拡開状態となるシャープペンシルユニット。
芯を収納する芯タンクと、その芯タンクの前端に固定され芯を把持・開放を行うチャック体と、そのチャック体の前方を囲繞すると共にチャック体の開閉を行うチャックリングと、前記芯タンクの前方、並びに、チャック体、チャックリングを内部に配置する中子と、前記中子の内径部に形成された内鍔部の後端面と前記芯タンクの前端面との間に弾撥部材を有するシャープペンシルユニットにおいて、前記中子の前方部に形成された開閉可能な脚部が拡開状態となることで、前記中子の前端と前記チャック体の前方とを離間した状態に位置させ、前記チャック体が拡開状態となるシャープペンシルユニット。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の第1実施例を
図1〜
図15に示し、説明する。以下では、シャープペンシルの全体図において、後述の先部材2側を前方と言い、消しゴム16側を後方という。
【0009】
本実施例の軸筒1は、先部材2と、その先部材2の後端に螺着により配置された前軸3と、その前軸3の後部を覆うように嵌着された後軸4とから構成されている。前記軸筒1の内部には、芯繰り出し機構を有するシャープペンシルユニット5が配置されており、後述するが、そのシャープペンシルユニット5は前記先部材2と前軸3とで挟みこまれることで、前記軸筒1内に位置決めされている。
本実施例ではシャープペンシルユニット5は先述の通り、別体(先部材2と前軸3と)の挟み込みとなっているが、シャープペンシルユニット5の中子12が前軸3と一体で構成されていても良い。
【0010】
前記先部材2には、その前方にステンレス製のパイプ6が圧入固定されており、先部材2の内部には、芯保持部7が一体に形成されたスライダ8が圧入固定されている。
尚、前記先部材2の後方内面には、雌螺子部2aが形成されており、後述の前軸3の雄螺子部3aと螺着可能となっている。
【0011】
前記前軸3の前方には、縮径部(把持部)3bが形成されており、その縮径部(把持部)3bには熱可塑性エラストマーやシリコーンなどからなる円筒状の把持部材20が装着されている。この把持部材20には、複数の突起20aが円周状に渡って形成されており、全体の外観がなだらかな円弧状となっている。前記複数の突起20aの縦断面形状は、軸筒の外方に向かうにつれて縮径した、台形状に形成されている。一方、突起20aの基部20bは、前方が肉薄であり、中間近傍が肉厚で、後方に向かうにつれて、やや肉薄に形成されている。前記突起20aの基部20bの肉厚が最も厚い部位と、全体の外観が最も隆起して見える部位は、略同箇所となっている。尚、本実施例では、前記軸筒1は、ポリカーボネート(PC)により形成しているが、これに限らず、任意の材料から軸筒1を形成することができる。
また、前記前軸3の縮径部3bより更に前方には、縮径部よりも外径が小さい最縮径部3cが形成されており、その最縮径部3cの外面には、雄螺子部3aが形成されている。
そして、前軸3の後端外周には、凸部3dが形成されており、また、前軸3の後部内面には多角形部3e(10角)が形成されている。尚、本実施例では、前軸3を樹脂成形品から形成しているが、前記凸部3dの内、成形によってできるパーティングライン(PL)が形成された部位の肉厚を薄くしている(Dカット)。芯Lの繰り出しを行う際には、後軸4が前軸3に対して前後動することとなり、また、消しゴム16を繰り出す際には、後軸4が前軸3に対して回転することとなるが、この際に、前軸3の前記凸部3dに形成されたパーティングラインのバリによって、動きが悪くなる恐れがある。前記Dカットを凸部3dのパーティングライン形成部に行うことにより、その作動不良を防ぎ、芯や消しゴムの繰り出しを良好に行うことができる。
【0012】
前記シャープペンシルユニット5は、芯を収納する芯タンク9を有し、その芯タンク9の前方には芯Lを把持、解放するためのチャック体10が固定されている。そして、そのチャック体10には、チャック体10の開閉を行うチャックリング11が囲繞した状態で配置されている。更に、前記チャック体10、チャックリング11、並びに、前記芯タンク9の前方を内包するように中子12が配置されている。その中子12の内径部には、内鍔部13が形成されており、この内鍔部13の後端面13aと前記芯タンク9の前端面9aとの間に弾撥部材(コイルスプリング)14が張設されている。前記中子12の外周部前端は外鍔部15となっており、この外鍔部15の前端面15aには、前記チャックリング11の外周部前端に形成された鍔部11aの後端面11bが当接する。即ち、中子12は、そのチャックリング11と前記弾撥部材14とにより狭持されている。以上により、シャープペンシルユニット5が構成される。尚、前記弾撥部材14は、前記シャープペンシルユニット5が、軸筒1内に配置された際に、チャック体10及び芯タンク9を軸筒1の後方に付勢する。
ここで、前記シャープペンシルユニット5の中子12の内径部後方に雌螺子部12aを形成している。そして、前記芯タンク9の外径部には、その中子12の雌螺子部12aと螺着可能な雄螺子部9bを形成している。後述するように、前記中子12の雌螺子部12aと芯タンク9の雄螺子部9bとの螺着により、チャック体10の負荷が軽減できるものとなっている。尚、前記芯タンク9の雄螺子部9bの形成位置は、芯Lの繰り出し動作時に、確実にチャック体10が拡開できる位置であれば良い。詳述すると、芯Lの繰り出し動作が可能な状態、即ち、シャープペンシルの組み立て完了後の状態にあっては、前記芯タンク9の前端面9aの内径側が、チャック体10の後方外径部に形成された外鍔部10aに当接し、チャック体10の芯タンク9への圧入が完了している。この時、前記弾撥部材14が、前記中子12の内鍔部13の後端面13aと芯タンク9の前端面9aの外径側との間に張設されている。その状態における芯タンク9の雄螺子部9bの前端部から中子12の後端面までの距離をAとする(
図3)。その距離Xが芯の繰り出し動作時の芯タンク9の前進可能な距離であり、芯の繰り出し動作をし、芯タンク9並びにチャック体10が前進した時に、確実にチャック体10が拡開出来る距離となっていれば良い。
【0013】
更に、シャープペンシルユニット5の軸筒1内での位置決めに関する構成を記す。前記中子12は、その外鍔部15が前記先部材2の内部に形成された内段部2bと前軸3の前端面3fとに狭持されており、前記先部材2と前軸3とが螺着することで、前記中子12、ひいては、前記シャープペンシルユニット5が軸筒1内に位置決めされ、配置される。即ち、前記先部材2の雌螺子部2aと前軸3の雄螺子部3aとを、先部材2と前記中子12の外鍔部15、そして、その中子12の外鍔部15と前軸3とが当接するまで螺着せしめることで、シャープペンシルユニット5は軸筒1内に固定される。
尚、前記中子12の外鍔部15の後端面15bには、突起(図示せず)が等間隔に4つ形成されている。これら突起(図示せず)は、弾性変形が可能な突起であり、前記先部材2と前軸3との狭持力によって押し潰され、これによって、シャープペンシルユニット5の長手方向における寸法のばらつきを吸収している。また、前記中子12の外鍔部15の後端面15bの突起が弾性変形するのではなく、その中子12の突起よりも前軸3が硬く、突起が接触する前軸3の前端面3fが突起の形状に変形する構成でも、シャープペンシルユニット5の長手方向における寸法のばらつきを吸収が可能である。
ここで、前記前軸3内部の前方から後方にかけてはテーパーがかかっているが、前端近傍の内径部は、ストレート部3gとなっている。また一方、前記前軸3のストレート部3gに略対応する中子12の外鍔部15より後方部も、同様にストレート部12bとなっている。このように形成することで、前記シャープペンシルユニット5を軸筒1内に配置・固定した際に、シャープペンシルユニット5と軸筒1との軸心が合い、良好な芯の繰り出しを行うことができる。
尚、前記芯タンク9の後端面9cは、後述の消しゴム案内部材17の内部に形成された壁部17dに当接する。
【0014】
後軸4の後方には、長い消しゴム16が出没する回転繰り出し機構が着脱自在に取り付けられている。以下、その回転繰り出し機構について説明する(
図5〜
図7)。後軸4の内面には、螺旋溝4aが形成されており、また、後述するように、消しゴム案内部材17が後軸4に対して回転可能ではあるが、前後動不能に取り付けられている。その消しゴム案内部材17には、案内溝17aが対向する位置に形成されていると共に、内部に消しゴム受け18並びに、長い消しゴム16を内設している。そして、消しゴム受け18には、脚部18aが形成されており、その脚部18aが前記案内溝17aに嵌り込んでいる。また、その脚部18aには、突部18bが形成されており、その突部18bが前記螺旋溝4aに螺合している。即ち、前記後軸4と消しゴム受け18とは、雌螺子と雄螺子の関係にある。前記消しゴム案内部材17は、その前方部が延設形成されており、その延設部17bの断面形状は、10角形状をしているが、この角数に限られることなく、また、楕円形状などであっても良い。これに対し、前記したように、前記前軸3の後部内面にも多角形部3e(10角)が形成されている。即ち、前記消しゴム案内部材17は、前軸3に対して着脱は可能であるが、回転不能に係合しているのである。尚、前記延設部17bが楕円形状であるならば、前軸3の内面も楕円形状にすることは言うまでもない。また、前記延設部17bの内面と前記シャープペンシルユニット5の芯タンク9の外面との間には、若干の隙間17cが形成されている。この延設部17bの側面であり後方には、喰い切りによって形成された、外側に凸がある一対の外方切出片17eと、その前方に位置し、内側に凸がある一対の内方切出片17fとが形成されている。前記一対の外方切出片17eには、後端側に拡径部17gが形成されており、この拡径部17gの後端面17hが、前記後軸4内部の段部4jと当接する。前記消しゴム案内部材17の後端には、外鍔部17iが形成されており、この外鍔部17iの前端面17jと後軸4との後端面4kとが当接している。消しゴム案内部材17は、その外鍔部17iと前記外方切出片17eとにより後軸4に嵌合しており、これにより、後軸4に対して回転可能ではあるが、前後動不能に取り付けられている。一方、前記一対の内方切出片の後方内面には、内方凸部17kが形成されており、この内方凸部17kが前記芯タンク9の外面に圧接し、芯タンク9の固定を行う。
また、後軸4の前方内面には、リブ4b(図示せず)が3箇所、等間隔に設けられている。このリブ4b(図示せず)は、前記前軸3の凸部3dと係合しており、これにより、前軸3と後軸4との抜け止めがなされている。例えば、後述のクリップをポケットに挿した状態から取り外す際に、前記把持部材20が抵抗となって後軸4のみが抜けてしまうことがなく、確実に筆記具をポケットから取り外すことができる。
更に、後軸4の後方外面には、取り付け部4cが突出して設けられており、この取り付け部4cに、クリップ19が取り付けられている。
尚、後軸4の前端は、軸筒1の軸線方向に対して傾斜して形成されている。また、後軸4の後方外面には、装飾部4dとして、軸筒1の軸線方向に傾斜した凹凸部が形成されている。
【0015】
ここで、第1実施例におけるチャック体10の負荷低減に関して詳述する。
前段落までは、前記シャープペンシルの組み立て完了後の状態、即ち、シャープペンシルとして芯Lの繰り出しが可能な状態における構成について述べたが、シャープペンシルの未使用時には、前記中子12の雌螺子部12aと芯タンク9の雄螺子部9bとを螺着させる。芯タンク9の雄螺子部9bは、上述のとおり、組み立て完了後の中子12の後端面から前進距離Aだけ離れた位置に形成されている。このため、前記中子12の雌螺子部12aと芯タンク9の雄螺子部9bとの螺着が完了すると、芯タンク9の前方に固定されたチャック体10は、前記距離Aに加え、螺合距離分だけ前進する。結果として、チャックリング11の鍔部11aが先部材2の内部に設けられた段部2cに当接し、チャックリング11からチャック体10が外れ、拡開状態で固定され、よって、チャック体10の負荷が低減された状態となる(
図8)。このように、チャック体10にかかる負荷が低減された状態となることにより、チャック体の耐久性を向上させることができる。特に、製品の出荷前などの、保管時であり、芯Lがシャープペンシル内に入れられていない際には、特に有効である。
尚、本実施例にあっては、前記中子12と芯タンク9との螺着によりチャック体10の負荷低減を行っているため、シャープペンシルの後端を押圧する、芯Lの繰り出し動作を行っても、その螺子螺合が解除されることはないため、保管中の振動などによる誤操作で負荷軽減の効果を失うことがないという良さがある。製品として出荷する際など、シャープペンシルとして芯Lの繰り出しが可能な状態とする際には、前記中子12の雌螺子部12aと芯タンク9の雄螺子部9bとの螺着を解けば良い。その螺着が解かれると、前記中子12の内鍔部13の後端面13aと前記芯タンク9の前端面9aとの間に張設された弾撥部材14により、芯タンク9及びその芯タンク9に固定されたチャック体10が後方に付勢され、よって、チャック体10がチャックリング11に嵌着した状態となり、芯Lの繰り出し動作が可能となる。
製品の出荷後、お客様がご使用の際は、定期的な押圧動作、即ち、芯Lの繰り出し動作によるチャック体10のチャックリング11の締めからの解放があるため、チャック体10はへたりにくい。よって、未使用時にチャック体10を拡開させるなどして、必ずしもチャック体10の負荷を低減させる必要はないが、後軸4を外し、中子12の雌螺子部12aと芯タンク9の雄螺子部9bが接触するまで芯タンク9を前進させ、接触後は中子12に対して、芯タンク9を螺子螺合するために回転させながら前進させることにより、再びチャック体10の負荷を低減させることが可能である。このようにすることにより、よりチャックの耐久性を向上させることができる。
【0016】
尚、前記においては、製品の状態での構成の説明を行ったが、本実施例のように、シャープペンシルユニット5を構成している場合には、そのシャープペンシルユニット5単体においても同様に芯Lの開放状態の維持が可能である(
図9)。シャープペンシルユニット5単体では外観から芯タンク9の雄螺子部9bが見えるため、確実に螺子螺合を行うことが出来る。シャープペンシルユニット5単体でも実施可能なため、OEM供給する場合のように、シャープペンシルユニット5のみで保管することが考えられる場合にも有用である。
また、以上の第1実施例にあっては、チャック体10を完全に拡開状態とすることでチャック体10の負荷を低減させたが、例えば、前記中子12と芯タンク9の螺合状態を途中で止めたり、螺合位置をずらしたりするなどして、チャック体10の負荷を製品として使用する際よりも低減させる構成としても良い。その場合にも、チャック体10の耐久性を向上させることができる。
【0017】
シャープペンシルとしての組み立て完了後の芯Lの繰り出しについて説明する。芯Lを繰り出す際には、後軸4の後端を押圧する。この押圧動作によって消しゴム受け部材18が前進すると共に、その前方に配置され、消しゴム受け部材18の壁部17dに当接している芯タンク9が前進し、チャック体10も前進する。このとき芯Lをも前進せしめ、チャックリング11の鍔部11aが先部材2の内部に設けられた段部2cに当接し、チャック体10が拡開する。そして、チャック体10の拡開後も、チャック体10の前進動作が行われる。ここで後軸4の押圧操作を解除すると、芯タンク9とチャック体10が後退し、チャック体10がチャックリング11によって閉鎖せしめられ、再び芯Lを把持する。これで芯Lの繰り出し動作が完了する。
【0018】
更に、消しゴムの出没操作について説明する。一方の手で前軸3を把持し、他方の手で後軸4を把持し、相対的に回転させる。この回転操作によって、前記消しゴム受け18は、上昇或いは、下降し、消しゴム16もこれに従って後軸4の後端から突出・没入する。この時、前記消しゴム案内部材17は、前軸3と互いの多角形部で係合しているため、消しゴム案内部材17と芯タンク9が軽い力で圧入されていても、前記の回転操作における回転作用は芯タンク9には作用しないものとなっている。
【0019】
また、本実施例における、クリップ19の取り付け構造について詳述する。
前記したように、後軸4の後方外面には、クリップの取り付け部4cが突設されている。この取り付け部4cは、その縦断面において、前方が高い、肉厚部4eに形成されており、この肉厚部4eより後方は、徐々に肉薄となる傾斜部として形成されている。そして、この肉厚部4eの両側面には係止溝部4fが形成されており、この係止溝部4fの中間近傍には突起4gが形成されている。係止溝部4fが形成されていることにより、この肉厚部4eの横断面は、略T字状に形成されている。また、この肉厚部4eから前方の幅は、後述のクリップ19の幅よりもやや小さく形成されている。そして、前記取り付け部4cの後端面は、クリップ19の内面形状に沿って形成されており(後端壁4h)、その後方に向かい、その幅が狭く形成されている。尚、前記係止溝部4fから後端壁4hより前にかけての取り付け部4cの幅は、係止溝部4fが形成されている部分の取り付け部4cの幅と略同等に形成されている。
一方、クリップ19の基部19bは、クリップ19の側面壁19c及び後方壁19aからなる箱型に形成されている。そして、その側面壁19cにはクリップの軸線方向に向けて突出した係合片19dが形成されており、その係合片19dの端面部には、凹凸部19eが形成されている。尚、クリップ19の上面には、2箇所の凹部19fが形成されており、美的効果を向上させている。また、クリップ19の前方内面には、後軸4の表面に接触し、挟持部となる玉部19gが一体形成されているが、別部材で構成しクリップ19に固定しても良い。尚、本実施例におけるクリップ19は金属製を例示しているが、透明や不透明色の樹脂であっても良く、使用に差し支えない形状、並びに、材質であれば適宜選択が可能である。
【0020】
前記クリップ19を後軸4へ取り付ける際には、まず、前記取り付け部4cの後端壁4hより前方側に、前記クリップの係合片19dが位置するように、後軸4に対して垂直にクリップ19を当接させる。そして、その後、クリップ19を後軸4に対して前方へ移動せしめ、クリップ19の係合片19dの前端面が、前記取り付け部の係止溝部4fの前端壁4iと当接するまでクリップ19を移動させる。クリップ19の係合片19dと前記取り付け部4cの係止溝部4fとが係合し、また、前記クリップ19の後方壁19aと取り付け部4cの後端壁4hとが当接して、クリップ19が後軸4に取り付けられる。
【0021】
本実施例にあっては、以上のように、前記クリップ19の後方が側面壁19c及び後方壁19aからなる箱型に形成されていると共に、その側面壁19cにはクリップの軸線方向に向けて突出した係合片19dが形成されており、一方、前記軸筒1の取り付け部4cは、その前方の両側面に係止溝部4fが形成されると共に、前記取り付け部4cの後端壁4hがクリップ19の内面形状に沿って形成され、前記クリップ19の係合片19dが前記取り付け部4cの係止溝部4fに係合すると共に、前記クリップ19の後方壁19aの内面と前記軸筒1の取り付け部4cの後端壁4hとが当接している。このように構成することで、クリップ19の左右方向へのずれ防止を前記クリップ19の係合片19dと取り付け部4cの係止溝部4fとでの係合と、クリップ19の後方壁19aの内面と軸筒1の取り付け部4cの後端壁4hとの当接との2点で行うことができるため、確実にクリップ19の左右方向へのずれが防止できる。特に比較的厚みを有する被狭持物を挿入した場合や、クリップに左右方向の力が加わった場合に、クリップと軸筒との取り付けが強固になる。以上のように、クリップを確実に軸筒に取り付けることができる。
【0022】
次に、第2実施例について、
図16〜
図18に示し、説明する。第1実施例と同様の構成については、その記載を省略する。
第2実施例は、第1実施例のような螺子螺合ではなく、チャック体10と芯タンク9の固定を仮圧入の状態にすることで、チャック体10の負荷低減を行うものである。
最終的にシャープペンシルとして使用する際は、チャック体10と芯タンク9との圧入を完了させる(
図16)が、本第2実施例は、製品出荷前の保管時など、組み立て完了前において、チャック体10を芯タンク9に対し圧入しきらない状態で圧入を止めた状態(仮圧入状態)にしている(
図17)。その仮圧入時には、チャック体10を弾撥部材(コイルスプリング)14が自由長さとなる位置で、チャック体10の芯タンク9に対する圧入を止める。より理想的には、自由長さとなっている弾撥部材14の後端から芯タンク9の前端面に隙間が出来る状態、即ち、弾発部材14が自由長さとなり、更に、その弾発部材14の後端面と芯タンク9の前端面との間に隙間Bができる距離で圧入を止め、仮圧入とする。そして、その隙間Bの分だけチャック体10を前進させ、チャックリング11をチャック体10から外すことで、チャック体10が拡開状態となるため、チャック体10に負荷が掛からない状態を維持できる(
図17)。このように、チャック体10の耐久性に影響が大きい、製品出荷前の保管時など、組み立て完了前の状態において、チャック体10の負荷を低減することで、結果として、チャック体10の耐久性を向上させることができる。特に、製品の出荷前などの、保管時であり、芯Lがシャープペンシル内に入れられていない際には、特に有効である。
尚、製品として出荷前、もしくは出荷後に後軸4の後端を強く押圧し、チャック体10に芯タンク9を圧入しきった状態、即ち、前記芯タンク9の前端面9aの内径側が、チャック体10の後方外径部に形成された外鍔部10aに当接するまで芯タンク9にチャック体10を圧入することで、製品として使用できる状態となる(
図16)。
【0023】
以上に示した本第2実施例におけるチャック体の負荷低減構造は、突起などの複雑な形状がいらないため、部品形状が簡単であるという利点も有する。
ここで、本第2実施例の理想的な構成は、上記したようにチャック体10に負荷の掛からない状態とする構成であるが、これに限らず、チャック体10への負荷を製品として使用する際よりも低減させる構成としても良い。即ち、前記隙間Bができるように芯タンク9に対してチャック体を圧入し、チャック体10に負荷のかからない状態(
図17)に比べて芯タンク9の仮圧入長さが長く、隙間Bが形成されない場合でも、弾撥部材14が製品として使用する組み立て完了時における圧縮長さS(
図16)よりも長くなっていれば、弾撥部材14の荷重は小さくなる。このため、チャック体10にかかるチャックリング11の締めつけ力も小さくなり、チャック体10への負荷を減らすことが可能となり、もって、チャック体10の耐久性を向上させることができる。ここで、前記圧縮長さSとは、より詳細には、前記芯タンク9の前端面9aの内径側が、チャック体10の後方外径部に形成された外鍔部10aに当接し、チャック体10の芯タンク9への圧入が完了している際の弾撥部材14の長さである。
尚、本第2実施例におけるチャック体の負荷低減構造は、第1実施例と同様にシャープペンシルユニット単体でも実施可能である(
図18)。シャープペンシルユニット5単体でも実施可能なため、OEM供給する場合のように、シャープペンシルユニット5のみで保管することが考えられる場合にも有用である。
【0024】
第3実施例について、
図19〜
図21に示し、説明する。第1実施例と同様の構成については、その記載を省略する。
第3実施例は、第2実施例と同様に弾撥部材(コイルスプリング)14が自由長さとなり、より理想的には、その自由長さとなっている弾撥部材14の後端から芯タンク9の前端面に隙間が出来る状態を作ることで、チャック体10への負荷低減ができる構成である。ただし、第3実施例はシャープペンシルユニット単体の状態でのみ、チャック体10の負荷が低減できるものとなっており、製品となった場合に、その状態が解除される構成となっている。
以下、詳述する。本第3実施例のシャープペンシルユニット5の中子12には、その前方外径部に形成された前記外鍔部15の前端面から、その外鍔部15よりも後方の内径部に形成された内鍔部13の前端面に至るまでスリット12cが等間隔に入れられており、これにより、脚部12dが形成されている。この脚部12dは直線状であり、規制のない状態では、外側に向かってその直線状態のまま拡開した状態である(
図19、
図20)。本実施例では、前記脚部12dの根元における外径側に窪み(図示せず)が形成されており、その窪み側、即ち、外径側に脚部12dが拡開しやすくなっている。後述のように拡開した脚部12dの根元までチャックリング11が移動するが、チャックリング11の移動の妨げにならなければ、脚部12dは根元から湾曲しながら拡開しても構わない。
本第3実施例にあっては、製品としての状態では、第1実施例における中子12と芯タンク9が螺子螺合していない状態で製品の状態や、第2実施例におけるチャック体10と芯タンク9が最後まで圧入しきって、仮圧入ではない状態で製品の状態と同様の状態である(
図21)。
しかし、製品として組み立てる前、即ち、シャープペンシルユニット5を軸筒1に対し組み込む前のシャープペンシルユニット5単体では、前記脚部12dが外側に向かって拡開した状態である(
図19)。このため、シャープペンシルユニット5単体の状態では、拡開した脚部12dの根元までチャックリング11が移動することが可能である(
図19)。このチャックリング11の移動は、チャック体10がチャックリング11から外れることで可能となる。第2実施例と同様にして、自由長さとなっている弾撥部材14の後端から芯タンク9の前端面に隙間が出来る状態、即ち、弾発部材14が自由長さとなり、更に、その弾発部材14の後端面と芯タンク9の前端面との間に隙間Cができる距離までスリット12cを形成し、脚部12dを拡開可能とする。第2実施例と同様に、その隙間Cの分だけチャック体10を前進させ、チャックリング11をチャック体10から外すことで、チャックリング11が移動可能となり、チャック体10が拡開状態となる。その結果、チャック体10に負荷が掛からない状態を維持できる(
図19)。このように、チャック体10の耐久性に影響が大きい、製品出荷前の保管時など、組み立て完了前の状態において、チャック体10の負荷を低減することで、結果として、チャック体10の耐久性を向上させることができる。シャープペンシルユニット5単体で実施可能なため、OEM供給する場合のように、シャープペンシルユニット5のみで保管することが考えられる場合に有用である。
以上のように、チャック体10が拡開状態となる構成が理想的であるが、本第3実施例の変形例として、
図22に示したように脚部12dが短く、隙間Cが形成されない場合でも、弾撥部材14の長さが
図21に示す製品状態での圧縮長さSより長くなっていれば良く、その場合にも弾撥部材14の荷重は小さくなる。そして、結果として、チャック体10にかかるチャックリング11の締めつけ力も小さくなり、チャック体10への負荷を減らすことが可能となり、もって、チャック体10の耐久性を向上させることができる。この場合にも、シャープペンシルユニット5単体で実施可能なため、OEM供給する場合のように、シャープペンシルユニット5のみで保管することが考えられる場合に有用である。
尚、製品状態にする際は、中子12の拡開した脚部12dが前軸3の前端部の内径部で内側に閉じるように規制される(
図21)。第3実施例は、シャープペンシルユニット5を軸筒1から取り外し、シャープペンシルユニット5のみの状態にすることで、スリット12cが常に開いた状態となるため、いつでも自動的に芯の開放状態を維持できる。