(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(構成)
まず、本実施形態の仕上圧延機1の構成について説明する。
図1は、仕上圧延機1の構成を模式的に表す側面図である。
図1に示すように、仕上圧延機1は、熱間圧延工程において、粗圧延機が圧延したスラブ等の被圧延材Zを予め設定した目標厚さに圧延するための装置である。
仕上圧延機1は、7段の圧延スタンド2を備える。7段の圧延スタンド2のそれぞれは、上流側のものから順に、F1、F2、F3、F4、F5、F6、F7とも呼ぶ。
【0012】
図2は、圧延スタンド2の構成を表す正面図である。
図2に示すように、圧延スタンド2は、被圧延材Zが移動する通路の左右(以下、作業側、駆動側とも呼ぶ)に配設された一対のハウジング3を備える。
ハウジング3の中央部には、上ワークロール4と、上ワークロール4の下方に配設された下ワークロール5とが配設されている。
上ワークロール4と下ワークロール5とは、回転軸が被圧延材Zの移動方向と直交する方向に配され、両軸端部がハウジング3に回転自在に支持されている。これにより、上ワークロール4と下ワークロール5とは、互いに対向するとともに上ワークロール4と下ワークロール5との間に被圧延材Zを通過可能な状態で配設されている。それゆえ、上ワークロール4と下ワークロール5とは、被圧延材Zを圧延可能となっている。
【0013】
上ワークロール4の上方には、上バックアップロール6が配設されている。上バックアップロール6は、回転軸が被圧延材Zの移動方向と直交する方向に配され、両軸端部がハウジング3に回転自在に支持されている。これにより、上ワークロール4と上バックアップロール6とは、互いに対向するとともに外周面を接した状態で配設されている。
【0014】
下ワークロール5の下方には、下バックアップロール7が配設されている。下バックアップロール7は、回転軸が被圧延材Zの移動方向と直交する方向に配され、両軸端部がハウジング3に回転自在に支持されている。これにより、下ワークロール5と下バックアップロール7とは、互いに対向するとともに外周面を接した状態で配設されている。
ここで、
図1に示すように、7段の圧延スタンド2(F1、F2、F3、F4、F5、F6、F7)のうち、下流側の圧延スタンドF5、F6、F7には、上ワークロール4と上バックアップロール6との間、および下ワークロール5と下バックアップロール7との間にさらに中間ロール8、9が配設されている。
【0015】
ハウジング3の上部には、
図2に示すように、圧下荷重付与機構10が配設されている。圧下荷重付与機構10は、上下に移動可能な圧下スクリュー10aと、圧下スクリュー10aを歯車機構を介して上下に移動させる圧下モータ10bとを備える。そして、圧下モータ10bが、後述するレベリング制御部13からの信号に応じて、作業側の圧下スクリュー10aおよび駆動側の圧下スクリュー10aを上下させる。これにより、圧下荷重付与機構10は、上バックアップロール6を介して上ワークロール4の作業側および駆動側に対して、被圧延材Zの圧延に必要な圧下荷重を個別に付与可能となっている。同時に、圧下荷重付与機構10は、圧延スタンド2のレベリング、つまり、上ワークロール4の作業側端と下ワークロール5の作業側端との間隙と、上ワークロール4の駆動側端と下ワークロール5の駆動側端との間隙との差を制御可能となっている。そして、圧下荷重付与機構10は、圧延スタンド2毎に予め設定された目標板厚に被圧延材Zを圧延する。
【0016】
下バックアップロール7とハウジング3との間には、ロードセル11が配設されている。そして、ロードセル11は、上ワークロール4の作業側および駆動側に付与された圧下荷重を検出し、検出結果を示す検出信号をレベリング制御部13に出力する。これにより、ロードセル11は、圧延スタンド2が被圧延材Zに付与した圧下荷重を検出する。
【0017】
仕上圧延機1は、ウェッジ検出部12を備える。
図3は、ウェッジ計12aを表す図である。
ウェッジ検出部12は、最終段の圧延スタンドF7の下流に配設されている。そして、ウェッジ検出部12は、最終段の圧延スタンドF7の出側(仕上圧延機1の出側)での被圧延材Zのウェッジを検出する。具体的には、ウェッジ検出部12は、
図3に示すように、被圧延材Zの作業側端部の予想位置から中央方向に100mmの位置(以下、作業側エッジ100mm位置とも呼ぶ)、および駆動側端部の予想位置から中央方向に100mmの位置(以下、駆動側エッジ100mm位置とも呼ぶ)のそれぞれにウェッジ計12aを備える。そして、ウェッジ検出部12(ウェッジ計12a)は、最終段の圧延スタンドF7の出側での被圧延材Zの作業側エッジ100mm位置の板厚(以下、作業側板厚T
OP100とも呼ぶ)、および駆動側エッジ100mm位置の板厚(以下、駆動側板厚T
Dr100とも呼ぶ)を検出する。続いて、ウェッジ検出部12は、検出した作業側板厚T
OP100から駆動側板厚T
Dr100を減算し、減算結果をウェッジWD
100としてレベリング制御部13に出力する。
【0018】
図4は、X線板厚検出器12bを表す図である。
なお、本実施形態では、被圧延材Zの作業側端部から中央方向に100mmの位置(作業側エッジ100mm位置)、および駆動側端部から中央方向に100mmの位置(駆動側エッジ100mm位置)のそれぞれにウェッジ計12aを備える例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、
図4に示すように、被圧延材Zの幅方向に沿って隙間なく配設した複数のX線板厚検出器12bを有するマルチセンサー板厚計12cを備える構成としてもよい。これにより、マルチセンサー板厚計12cは、走査型のプロファイル計と異なり、X線板厚検出器12bを走査せずに、被圧延材Zの幅方向に沿った各位置の板厚を測定できる。そのため、マルチセンサー板厚計12cは、被圧延材Zの全長にわたって被圧延材Zの幅方向に沿った各位置の板厚を測定できる。この場合、マルチセンサー板厚計12cは、最終段の圧延スタンドF7の下流に配設される。そして、マルチセンサー板厚計12c(複数のX線板厚検出器12b)は、最終段の圧延スタンドF7の出側(仕上圧延機1の出側)での被圧延材Zの幅方向に沿った各位置の板厚を検出する。続いて、マルチセンサー板厚計12cは、検出した各位置の板厚に基づいて被圧延材Zの駆動側端部および作業側端部を検出する。続いて、マルチセンサー板厚計12cは、検出結果に基づき、検出した各位置の板厚のうちから、駆動側端部から中央方向に100mmの位置の板厚(駆動側板厚)T
Dr100、および作業側端部から中央方向に100mmの位置の板厚(作業側板厚)T
OP100を抽出する。続いて、マルチセンサー板厚計12cは、検出した作業側板厚T
OP100から駆動側板厚T
Dr100を減算し、減算結果をウェッジWD
100としてレベリング制御部13に出力する。これにより、マルチセンサー板厚計12cは、被圧延材Zが蛇行した場合にも、駆動側板厚T
Dr100および作業側板厚T
OP100をより適切に判定できる。また、マルチセンサー板厚計12cは、複数のX線板厚検出器12bのうちの1、2個が故障した場合に、他のX線板厚検出器12bが検出した板厚に基づいて該故障したX線板厚検出器12bの検出結果を補完できる。
【0019】
仕上圧延機1は、レベリング制御部13を備える。
レベリング制御部13は、A/D(Analog to Digital)変換回路、D/A(Digital to Analog)変換回路、中央演算処理装置およびメモリ等から構成した集積回路を備える。レベリング制御部13は、被圧延材Zが長手方向に設定距離(例えば、2m)移動するたびに、ロードセル11およびウェッジ検出部12の検出結果に基づき、メモリが格納するプログラムに従って演算処理を実行する。この演算処理では、レベリング制御部13は、各圧延スタンド2の出側での被圧延材Zのウェッジ比率に応じた各圧延スタンド2のレベリングの修正量を算出する。そして、レベリング制御部13は、算出した修正量に基づいて各圧延スタンド2のレベリングを修正する制御信号を各圧延スタンド2の圧下モータ10bに出力する。ウェッジ比率とは、ウェッジを板厚で除算した除算結果である。これにより、レベリング制御部13は、同一のコイルに巻き取られる被圧延材Zにおける、下流側の部分のウェッジWD
100に基づいて上流側の部分のウェッジWD
100が低減するように、各圧延スタンドF1、F2、F3、F4、F5、F6、F7のレベリングの制御を行う。
なお、レベリング制御部13は、被圧延材Zの尾端部の蛇行を抑制するための蛇行抑制制御が開始されると、この演算処理の実行を中止させる。
【0020】
図5はレベリング制御部13が実行する演算処理の機能構成を表すブロック図である。
図5に示すように、レベリング制御部13が実行する演算処理の機能構成は、荷重偏差算出部14、レベリング制御量算出部15、レベリング修正量算出部16、およびレベリング量修正部17を含んで構成される。
【0021】
荷重偏差算出部14は、被圧延材Zが長手方向に設定距離(例えば、2m)移動するたびに、各圧延スタンドF1、F2、F3、F4、F5、F6、F7のロードセル11から出力された作業側の圧下荷重P
OPおよび駆動側の圧下荷重P
Drに基づいて荷重偏差ΔP[1]、ΔP[2]、ΔP[3]、ΔP[4]、ΔP[5]、ΔP[6]、ΔP[7]を算出する。具体的には、荷重偏差算出部14は、i段目(iは1、2、3、4、5、6、7のいずれか)の圧延スタンド2の作業側の現在の圧下荷重P
OPから駆動側の現在の圧下荷重P
Drを減算した減算結果(P
OP−P
Dr)を荷重偏差ΔP[i]として算出する。そして、荷重偏差算出部14は、算出した荷重偏差ΔP[1]、ΔP[2]、ΔP[3]、ΔP[4]、ΔP[5]、ΔP[6]、ΔP[7]をレベリング制御量算出部15に出力する。
【0022】
なお、本実施形態では、i段目の圧延スタンド2の作業側の現在の圧下荷重P
OPから駆動側の現在の圧下荷重P
Drを減算した減算結果(P
OP−P
Dr)を荷重偏差ΔP[i]として算出する例を示したが、他の構成を採用してもよい。例えば、前回荷重偏差ΔP[i]を算出してから今回荷重偏差ΔP[i]を算出するまでの間に(P
OP−P
Dr)を複数回算出し、算出した(P
OP−P
Dr)の平均値を荷重偏差ΔP[i]として算出する構成を採用してもよい。
【0023】
レベリング制御量算出部15は、荷重偏差算出部14が荷重偏差ΔP[1]、ΔP[2]、ΔP[3]、ΔP[4]、ΔP[5]、ΔP[6]、ΔP[7]を出力すると、出力された荷重偏差に基づいて、各圧延スタンドF1、F2、F3、F4、F5、F6、F7のレベリング制御量ΔS
P[1]、ΔS
P[2]、ΔS
P[3]、ΔS
P[4]、ΔS
P[5]、ΔS
P[6]、ΔS
P[7]を算出する。具体的には、レベリング制御量算出部15は、ゲージメータモデルに基づく板厚制御のためのレベリング制御量ΔS
P[1]、ΔS
P[2]、ΔS
P[3]、ΔS
P[4]、ΔS
P[5]、ΔS
P[6]、ΔS
P[7]を算出する。レベリング制御量ΔS
P[1]、ΔS
P[2]、ΔS
P[3]、ΔS
P[4]、ΔS
P[5]、ΔS
P[6]、ΔS
P[7]は、例えば、下記(1)式に従って算出する。そして、レベリング制御量算出部15は、算出したレベリング制御量ΔS
P[1]、ΔS
P[2]、ΔS
P[3]、ΔS
P[4]、ΔS
P[5]、ΔS
P[6]、ΔS
P[7]をレベリング量修正部17に出力する。
ΔS
P[i]=(1/Kwb+1/Kww)・(M
OP―M
DR)/(M
OP+M
DR)・ΔP[i] …(1)
【0024】
ここで、iは1、2、3、4、5、6、7のいずれか、Kwbはワークロールとバックアップロールとの間の扁平量分布による平行剛性、Kwwはワークロール間の扁平量分布による平行剛性、M
OPは作業側ミル定数、M
DRは駆動側ミル定数である。
レベリング修正量算出部16は、ウェッジ比率算出部18、およびレベリング修正量算出部19を備える。
【0025】
ウェッジ比率算出部18は、被圧延材Zが長手方向に設定距離(例えば、2m)移動するたびに、つまり、荷重偏差算出部14が荷重偏差ΔP[i]の算出を開始するたびに、ウェッジ検出部12から出力されたウェッジWD
100に基づいて被圧延材Zのウェッジ比率を算出する。具体的には、ウェッジ比率算出部18は、現在のウェッジWD
100を同期スタンド板厚H
stdで除算した除算結果WD
100/H
stdをウェッジ比率として算出する。同期スタンド板厚H
stdとは、最終段の圧延スタンドF7(仕上圧延機1)における被圧延材Zの目標板厚である。そして、ウェッジ比率算出部18は、算出したウェッジ比率WD
100/H
stdをレベリング量修正部17に出力する。
【0026】
なお、本実施形態では、現在のウェッジWD
100を同期スタンド板厚H
stdで除算した除算結果WD
100/H
stdをウェッジ比率として算出する例を示したが、他の構成を採用してもよい。例えば、前回ウェッジ比率を算出してから今回ウェッジ比率を算出するまでの間にウェッジWD
100を複数回取得し、取得したウェッジWD
100の平均値を同期スタンド板厚H
stdで除算した除算結果をウェッジ比率として算出する構成を採用してもよい。
【0027】
レベリング修正量算出部19は、ウェッジ比率算出部18がウェッジ比率WD
100/H
stdを出力すると、出力されたウェッジ比率に基づいて各圧延スタンドF1、F2、F3、F4、F5、F6、F7のレベリング修正量ΔS
WD[1]、ΔS
WD[2]、ΔS
WD[3]、ΔS
WD[4]、ΔS
WD[5]、ΔS
WD[6]、ΔS
WD[7]を算出する。具体的には、レベリング修正量算出部19は、ウェッジ比率WD
100/H
stdにiスタンド板厚H[i](iは1、2、3、4、5、6、7のいずれか)と予め設定した設定値(ゲイン)αとを乗算した乗算結果WD
100/H
std・H[i]・αをi段目の圧延スタンド2のレベリング修正量ΔS
WD[i]として算出する。iスタンド板厚H[i]とは、i段目の圧延スタンド2の出側における被圧延材Zの目標板厚である。ゲインαとしては、1.0以下の正値(例えば、0.4)を採用する。これにより、レベリング修正量算出部19は、最終段の圧延スタンドF7の出側(仕上圧延機1の出側)での被圧延材ZのウェッジWD
100に応じた各圧延スタンドF1、F2、F3、F4、F5、F6のレベリングの修正量(レベリング修正量)ΔS
WD[1]、ΔS
WD[2]、ΔS
WD[3]、ΔS
WD[4]、ΔS
WD[5]、ΔS
WD[6]を算出する。また、最終段の圧延スタンドF7のレベリング修正量ΔS
WD[7]は、最終段の圧延スタンドF7の出側(仕上圧延機1の出側)での被圧延材ZのウェッジWD
100の40%の数値となる。そして、レベリング修正量算出部19は、算出したレベリング修正量ΔS
WD[1]、ΔS
WD[2]、ΔS
WD[3]、ΔS
WD[4]、ΔS
WD[5]、ΔS
WD[6]、ΔS
WD[7]をレベリング量修正部17に出力する。
【0028】
レベリング量修正部17は、レベリング修正量算出部19から出力されたレベリング修正量ΔS
WD[1]、ΔS
WD[2]、ΔS
WD[3]、ΔS
WD[4]、ΔS
WD[5]、ΔS
WD[6]、ΔS
WD[7]に基づいて、レベリング制御量算出部15から出力されたレベリング制御量ΔS
P[1]、ΔS
P[2]、ΔS
P[3]、ΔS
P[4]、ΔS
P[5]、ΔS
P[6]、ΔS
P[7]を修正する。具体的には、レベリング量修正部17は、レベリング制御量ΔS
P[i](iは1、2、3、4、5、6、7のいずれか)からレベリング修正量ΔS
WD[i]を減算した減算結果(ΔS
P[i]−ΔS
WD[i])を修正後レベリング制御量ΔS
L[i]として算出する。そして、レベリング量修正部17は、i段目の圧延スタンド2のレベリングが修正後レベリング制御量ΔS
L[i]と一致するように作業側の圧下スクリュー10aおよび駆動側の圧下スクリュー10aを上下させる制御信号を各圧延スタンドF1、F2、F3、F4、F5、F6、F7の圧下モータ10bに送信した後、この演算処理を終了する。そして、各圧延スタンドF1、F2、F3、F4、F5、F6、F7が、制御信号が表す修正後レベリング制御量ΔS
L[1]、ΔS
L[2]、ΔS
L[3]、ΔS
L[4]、ΔS
L[5]、ΔS
L[6]、ΔS
L[7]に応じてレベリングを制御する。これにより、各圧延スタンドF1、F2、F3、F4、F5、F6、F7における被圧延材Zのウェッジ比率の変化を一定とすることができる。また、最終段の圧延スタンドF7の出側(仕上圧延機1の出側)での被圧延材ZのウェッジWD
100を低減できる。
【0029】
本実施形態では、
図1の圧延スタンド2が圧延スタンドを構成する。以下同様に、
図1のレベリング制御部13がレベリング制御装置を構成する。また、
図1のウェッジ検出部12がウェッジ検出部を構成する。さらに、
図5のウェッジ比率算出部18がウェッジ比率算出部を構成する。また、
図5のレベリング修正量算出部16がレベリング修正量算出部を構成する。また、
図5のレベリング量修正部17がレベリング量修正部を構成する。
【0030】
(動作、その他)
次に、本実施形態の仕上圧延機1の動作について説明する。
まず、仕上圧延の実行中に、各圧延スタンドF1、F2、F3、F4、F5、F6、F7のロードセル11が、被圧延材Zに付与されている作業側および駆動側の圧下荷重P
OP、P
Drを検出し、検出結果P
OP、P
Drをレベリング制御部13に出力する。また、ウェッジ検出部12が、最終段の圧延スタンドF7の出側(仕上圧延機1の出側)での被圧延材ZのウェッジWD
100を検出し、検出結果WD
100をレベリング制御部13に出力する。
【0031】
続いて、仕上圧延機1が、検出された圧下荷重P
OP、P
Drに基づいて各圧延スタンドF1、F2、F3、F4、F5、F6、F7の荷重偏差ΔP[1]、ΔP[2]、ΔP[3]、ΔP[4]、ΔP[5]、ΔP[6]、ΔP[7]を算出する(荷重偏差算出部14)。続いて、仕上圧延機1が、算出された荷重偏差ΔP[1]、ΔP[2]、ΔP[3]、ΔP[4]、ΔP[5]、ΔP[6]、ΔP[7]に基づいて各圧延スタンドF1、F2、F3、F4、F5、F6、F7のレベリング制御量ΔS
P[1]、ΔS
P[2]、ΔS
P[3]、ΔS
P[4]、ΔS
P[5]、ΔS
P[6]、ΔS
P[7]を算出する(レベリング制御量算出部15)。続いて、仕上圧延機1が、検出されたウェッジWD
100に基づいて被圧延材Zのウェッジ比率WD
100/H
stdを算出する(ウェッジ比率算出部18)。続いて、仕上圧延機1が、
図6に示すように、算出されたウェッジ比率WD
100/H
std(例えば、0.125%)に応じた各圧延スタンドF1、F2、F3、F4、F5、F6、F7のレベリング修正量ΔS
WD[1]、ΔS
WD[2]、ΔS
WD[3]、ΔS
WD[4]、ΔS
WD[5]、ΔS
WD[6]、ΔS
WD[7]を算出する(レベリング修正量算出部19)。続いて、仕上圧延機1が、算出されたレベリング修正量ΔS
WD[1]、ΔS
WD[2]、ΔS
WD[3]、ΔS
WD[4]、ΔS
WD[5]、ΔS
WD[6]、ΔS
WD[7]に基づいてレベリング制御量ΔS
P[1]、ΔS
P[2]、ΔS
P[3]、ΔS
P[4]、ΔS
P[5]、ΔS
P[6]、ΔS
P[7]を修正する(レベリング量修正部17)。続いて、仕上圧延機1が、修正後のレベリング制御量(修正後レベリング修正量)ΔS
L[1]、ΔS
L[2]、ΔS
L[3]、ΔS
L[4]、ΔS
L[5]、ΔS
L[6]、ΔS
L[7]に基づいて各圧延スタンドF1、F2、F3、F4、F5、F6、F7のレベリングを制御する。
【0032】
そして、被圧延材Zが長手方向に設定距離(例えば、2m)移動するたびに、仕上圧延機1が、上記フローを繰り返し実行し、各圧延スタンド2のレベリングを逐次制御する。これにより、仕上圧延機1が、同一のコイルに巻き取られる被圧延材Zにおける、下流側の部分のウェッジWD
100に基づいて上流側の部分のウェッジWD
100が低減するように、各圧延スタンドF1、F2、F3、F4、F5、F6、F7のレベリングの制御を行う。
【0033】
このように、本実施形態では、仕上圧延機1の出側での被圧延材Zのウェッジ比率WD
100/H
stdに応じた各圧延スタンドF1、F2、F3、F4、F5、F6、F7のレベリングの修正量(レベリング修正量)ΔS
WD[1]、ΔS
WD[2]、ΔS
WD[3]、ΔS
WD[4]、ΔS
WD[5]、ΔS
WD[6]、ΔS
WD[7]を算出する。そして、算出されたレベリング修正量ΔS
WD[1]、ΔS
WD[2]、ΔS
WD[3]、ΔS
WD[4]、ΔS
WD[5]、ΔS
WD[6]、ΔS
WD[7]に基づいて各圧延スタンドF1、F2、F3、F4、F5、F6、F7のレベリング制御量ΔS
P[1]、ΔS
P[2]、ΔS
P[3]、ΔS
P[4]、ΔS
P[5]、ΔS
P[6]、ΔS
P[7]を修正する。それゆえ、各圧延スタンドF1、F2、F3、F4、F5、F6、F7間における被圧延材Zのウェッジ比率の変化を抑制できる。そのため、被圧延材Zのウェッジ比率の変化に起因した被圧延材Zの幅方向張力の変化を抑制でき、通板トラブルの発生を抑制できる。これにより、被圧延材Zのウェッジを低減しつつ、被圧延材Zの通板性を向上できる。
【0034】
また、本実施形態では、仕上圧延機1の出側での被圧延材Zのウェッジ比率WD
100/H
stdにi段目(iは1、2、3、4、5、6、7のいずれか)の圧延スタンド2における目標板厚H[i]とゲインαとを乗算した値を当該圧延スタンド2のレベリングの修正量(レベリング修正量)ΔS
WD[1]、ΔS
WD[2]、ΔS
WD[3]、ΔS
WD[4]、ΔS
WD[5]、ΔS
WD[6]、ΔS
WD[7]として算出する。それゆえ、各圧延スタンドF1、F2、F3、F4、F5、F6、F7における被圧延材Zのウェッジ比率の変化を一定とすることができる。それゆえ、各圧延スタンドF1、F2、F3、F4、F5、F6、F7間における被圧延材Zのウェッジ比率の変化をより確実に抑制できる。
【実施例1】
【0035】
次に、上記実施形態の仕上圧延機1の実施例について説明する。
図7は、被圧延材Zのウェッジの抑制効果を表す図である。
図7に示すように、上記実施形態の仕上圧延機1では、仕上圧延機1の出側での被圧延材Zのウェッジが低減することが確認できた。また、比較例の仕上圧延機1では、仕上圧延機1の出側での被圧延材Zのウエッジ平均が25μmとなった。ここで、比較例としては、複数段の圧延スタンド2のうち、前段の圧延スタンドF1、F2、F3でのみ、被圧延材Zの板厚が幅方向にわたって同一となるようにレベリングを制御する仕上圧延機1を採用した。これに対し、上記実施形態の仕上圧延機1では、仕上圧延機1の出側での被圧延材Zのウエッジ平均が12.5μmになった。それゆえ、上記実施形態の仕上圧延機1では、被圧延材Zのウェッジ平均が低減することが確認できた。
【0036】
また、比較例の仕上圧延機1では、仕上圧延機1の出側での被圧延材Zのウエッジばらつきが20μmとなった。これに対し、上記実施形態の仕上圧延機1では、仕上圧延機1の出側での被圧延材Zのウェッジばらつきが5μmとなった。それゆえ、上記実施形態の仕上圧延機1では、被圧延材Zのウェッジばらつきが低減することが確認できた。
このように、上記実施形態の仕上圧延機1では、被圧延材Zのウェッジ平均やウェッジばらつきが低減することで、仕上圧延後の板厚不良部カット工程(精整工程)、追加コイル工程、および耳切代工程を削減できる。