特許第6044227号(P6044227)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6044227
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】気密封止パッケージおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/02 20060101AFI20161206BHJP
   H01L 23/08 20060101ALI20161206BHJP
   H01L 23/10 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   H01L23/02 C
   H01L23/08 C
   H01L23/10 B
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-212623(P2012-212623)
(22)【出願日】2012年9月26日
(65)【公開番号】特開2014-67895(P2014-67895A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年8月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】西村 望
【審査官】 小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06566170(US,B1)
【文献】 特開2006−332316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/02
H01L 23/08
H01L 23/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスが搭載された基材と、該基材に接続され、該基材とで少なくとも該電子デバイスを包含する中空部を形成している蓋材と、を備えた気密封止パッケージにおいて、
前記基材と前記蓋材の互いに対向している2つの面それぞれに前記中空部の全周にわたり連続して形成された第1のメタライズ層と、
前記基材と前記蓋材の前記第1のメタライズ層どうしを接続する第1の溶着金属と、
前記基材と前記蓋材の互いに対向している2つの面それぞれにおいて前記中空部の周囲に島状に配置された第2のメタライズ層と、
前記基材と前記蓋材の前記第2のメタライズ層どうしを接続する第2の溶着金属と、
記第2のメタライズ層に対応する前記基材の内部の位置にのみ設置された抵抗体と、
をさらに備えたことを特徴とする気密封止パッケージ。
【請求項2】
前記蓋材の前記第2のメタライズ層と前記基材の前記第2のメタライズ層は面積が異なっていることを特徴とする請求項1に記載の気密封止パッケージ。
【請求項3】
前記第1の溶着金属の溶融温度は前記第2の溶着金属の溶融温度より低いことを特徴とする請求項1または2に記載の気密封止パッケージ。
【請求項4】
前記蓋材は赤外線透過性を有することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の気密封止パッケージ。
【請求項5】
電子デバイスが搭載された基材と、該基材に接続され、該基材とで少なくとも該電子デバイスを包含する中空部を形成している蓋材と、を備えた気密封止パッケージを製造する方法であって、
前記基材と前記蓋材の互いに対向させる2つの面それぞれに前記中空部の全周にわたり連続して形成された第1のメタライズ層と、前記基材と前記蓋材の互いに対向させる2つの面それぞれにおいて前記中空部の周囲に島状に配置された第2のメタライズ層と、前記第2のメタライズ層に対応する前記基材の内部の位置にのみ設置された抵抗体と、を備えるように構成された前記基材および前記蓋材と、前記電子デバイスとを用意する工程と、
前記基材に前記電子デバイスを搭載する搭載工程と、
前記基材または前記蓋材のいずれか一方の前記第1のメタライズ層上に第1の溶着金属を形成する第1の溶着金属形成工程と、
前記基材または前記蓋材のいずれか一方の前記第2のメタライズ層上に前記第1の溶着金属よりも厚さが厚い第2の溶着金属を形成する第2の溶着金属形成工程と、
前記基材と前記蓋材を前記第1及び第2の溶着金属を介して積層する積層工程と、
前記基材と前記蓋材の積層状態で前記中空部を排気して真空状態にする排気工程と、
前記第1及び第2の溶着金属を溶融させることにより、前記第1の溶着金属で前記基材と前記蓋材の前記第1のメタライズ層どうしを接続し、かつ、前記第2の溶着金属で前記基材と前記蓋材の前記第2のメタライズ層どうしを接続する接続工程と、
を含み、
前記接続工程において、前記基材の内部の前記抵抗体に通電することにより発熱した熱で前記第2の溶着金属を溶融させることを特徴とする気密封止パッケージの製造方法。
【請求項6】
電子デバイスが搭載された基材と、該基材に接続され、該基材とで少なくとも該電子デバイスを包含する中空部を形成している蓋材と、を備えた気密封止パッケージを製造する方法であって、
前記基材と前記蓋材の互いに対向させる2つの面それぞれに前記中空部の全周にわたり連続して形成された第1のメタライズ層と、前記基材と前記蓋材の互いに対向させる2つの面それぞれにおいて前記中空部の周囲に島状に配置された第2のメタライズ層と、少なくとも前記第2のメタライズ層に対応する前記基材の内部の位置に設置された抵抗体と、を備えるように構成された前記基材および前記蓋材と、前記電子デバイスとを用意する工程と、
前記基材に前記電子デバイスを搭載する搭載工程と、
前記基材または前記蓋材のいずれか一方の前記第1のメタライズ層上に第1の溶着金属を形成する第1の溶着金属形成工程と、
前記基材または前記蓋材のいずれか一方の前記第2のメタライズ層上に前記第1の溶着金属よりも厚さが厚い第2の溶着金属を形成する第2の溶着金属形成工程と、
前記基材と前記蓋材を前記第1及び第2の溶着金属を介して積層する積層工程と、
前記基材と前記蓋材の積層状態で前記中空部を排気して真空状態にする排気工程と、
前記第1及び第2の溶着金属を溶融させることにより、前記第1の溶着金属で前記基材と前記蓋材の前記第1のメタライズ層どうしを接続し、かつ、前記第2の溶着金属で前記
基材と前記蓋材の前記第2のメタライズ層どうしを接続する接続工程と、
を含み、
前記接続工程において、前記基材の内部の前記抵抗体に通電することにより発熱した熱で前記第1の溶着金属と前記第2の溶着金属を溶融させ、
前記接続工程は、前記第1の溶着金属の溶融温度より高く、前記第2の溶着金属の溶融温度より低い温度にて、前記積層工程で積層された前記基材と前記蓋材の周囲全体を加熱する工程と、前記基材の内部の前記抵抗体に通電することにより該抵抗体を発熱させ、前記第2の溶着金属を溶融させる工程と、を含むことを特徴とする気密封止パッケージの製造方法。
【請求項7】
前記第2の溶着金属形成工程は、
前記第1の溶着金属の溶融温度より高い温度で溶融する前記第2の溶着金属を形成する工程を含むことを特徴とする請求項5または6に記載の気密封止パッケージの製造方法。
【請求項8】
前記蓋材の前記第2のメタライズ層と前記基材の前記第2のメタライズ層は面積が異なっており、
前記第2の溶着金属形成工程では、前記基材と前記蓋材の前記第2のメタライズ層のうち、面積が小さい側の前記第2のメタライズ層上に前記第2の溶着金属を形成することを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の気密封止パッケージの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部を気密状態に保つことを目的とした気密封止パッケージの構造およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
気密封止パッケージは例えば赤外線検知器の囲いとして以下の理由で必要とされる。
【0003】
赤外線検知器は、赤外領域の光を受光し電気信号に変換して、必要な情報を取り出して応用する素子である。人間の視覚を刺激しないで物を見られる、対象物の温度を遠くから非接触で瞬時に測定できるなどの特徴を持つ。
【0004】
赤外線検知器は動作原理により、熱型と量子型の2種類に分けられる。このうち熱型赤外線検知器は、赤外線を受光すると熱によって赤外線検知素子が温められ、素子温度の上昇によって変化する電気信号を検知する。量子型に比べ感度、応答速度は低いが、波長帯域が広く常温で使えるのが特徴である。応用例として熱起電力効果を原理としたサーモパイル、焦電センサーのPZT、温度変化による電気抵抗の変化のサーミスター、ボロメーターなどがある。
【0005】
赤外線検知器は赤外線エネルギーを熱に変え温度変化を計測することで光を検出するため、大気を通した熱放散を阻止するために真空状態の密閉容器に収納し、機能させることが望ましい。内部を真空に維持することで空気を通じた熱の放出が減少するため赤外線検知素子の感度が上昇することが知られている。
【0006】
このような赤外線検知素子が封入される内部空間を真空状態に保持した赤外線検知器を製造する方法として、例えば特許文献1には、内側に赤外線検知素子が設置されたセラミック容器と蓋材とを真空チャンバ内で溶着する方法が開示されている。具体的には、真空チャンバ内の上下に配置されたヒータにセラミック容器と赤外線透過窓材が取り付けられた蓋材とをそれぞれセットし、真空チャンバ内を真空状態になるように排気する。その後、セラミック容器に配置されたロウ材をヒータの加熱により溶融させた状態で、セラミック容器と蓋材とを動かして加圧密着させ、ヒータの加熱を停止して該ロウ材を凝固させることによって、赤外線検知器を成すセラミック容器と蓋材の間の隙間を封止する。
【0007】
また、特許文献2には、赤外線検知器の蓋材に設置した貫通穴の開口部に封止材料を置き、真空チャンバ内で封止材を加熱溶融させる方法が開示されている。この方法では真空チャンバに機械部品を上下させることができるような機構は不要であるため、真空チャンバのコストを低くすることが可能である。
【0008】
また、特許文献3には、電子デバイスを収容する基材と、該基材と熱溶融性材料により接続することにより中空部を形成する蓋材とから構成される構造体であって、前記基材と前記蓋材を第1の熱溶融性材料で接合する環状の接合部と、該環状の接合部の外側に配置され、前記基材と前記蓋材を第2の熱溶融性材料で接合する孤立した接合部と、を備えた構造体が開示されている。この構造体を作成する際に、第2の熱溶融性材料の厚みを第1の熱溶融性材料よりも厚くすることで基材と蓋材の間に隙間を確保することができる。このため、初めから基材と蓋材を積層した状態で真空チャンバに設置したとしても、構造体の中空部内の排気を実施できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003-139616号公報
【特許文献2】特開平11-326037号公報
【特許文献3】特開2007-67400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に開示される方法では赤外線検知器の内部を真空状態にすることは可能であるが、真空チャンバ内部で機械部品を上下させることができるような機構やロボットのハンドリング機構等を設置しなければならない。そのため、真空チャンバ自体が高価になってしまい、製造装置の設備投資コストが高くなってしまうという課題がある。
【0011】
特許文献2に開示される方法においては、微細な貫通穴からパッケージ内部の気体を排気するため、真空排気時の排気抵抗が高くなり、所望の真空状態に達するまでに要する排気時間が長くなるという課題がある。加えて、排気時に封止材料が動いて貫通穴の開口部から外れたり、加熱溶融時、封止材料が開口部を避けるように流動したり、貫通穴を通って落下したりして貫通穴を完全に封止することが出来ない問題が生じやすいという課題がある。
【0012】
特許文献3に開示される方法では、熱溶融性材料を溶融させて基材と蓋材を接続するために、構造体の周囲全体を加熱する必要がある。そのため、構造体の中空部に収容された電子デバイスに熱的ダメージを与える虞がある。さらに、基材と蓋材を接続する工程に要する時間も比較的長いという課題もある。
【0013】
本発明の目的は上述した課題に鑑みてなされたもので、内部を気密状態に保つことを目的とした気密封止パッケージの構造およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様は、電子デバイスが搭載された基材と、該基材に接続され、該基材とで少なくとも該電子デバイスを包含する中空部を形成している蓋材と、を備えた気密封止パッケージに係わる。本発明の気密封止パッケージの態様は、第1のメタライズ層と第1の溶着金属と第2のメタライズ層と第2の溶着金属と抵抗体をさらに備える。
【0015】
該第1のメタライズ層は、該基材と該蓋材の互いに対向している2つの面それぞれに該中空部の全周にわたり連続して形成されている。該第1の溶着金属は、該基材と該蓋材の該第1のメタライズ層どうしを接続している。該第2のメタライズ層は、該基材と該蓋材の互いに対向している2つの面それぞれにおいて該中空部の周囲に島状に配置されている。該第2の溶着金属は、該基材と該蓋材の該第2のメタライズ層どうしを接続している。さらに、該抵抗体は第2のメタライズ層に対応する基材の内部の位置にのみ設置されている。
【0016】
さらに本発明の他の態様は、電子デバイスが搭載された基材と、該基材に接続され、該基材とで少なくとも該電子デバイスを包含する中空部を形成している蓋材と、を備えた気密封止パッケージを製造する方法に係わる。
【0017】
この製造方法の態様は、該基材と該蓋材の互いに対向させる2つの面それぞれに該中空部の全周にわたり連続して形成された第1のメタライズ層と、該基材と該蓋材の互いに対向させる2つの面それぞれにおいて該中空部の周囲に島状に配置された第2のメタライズ層と、該第2のメタライズ層に対応する該基材の内部の位置にのみ設置された抵抗体と、を備えるように構成された該基材および該蓋材と、該電子デバイスとを用意する工程を有する。
【0018】
さらに、この態様の製造方法は、
該基材に該電子デバイスを搭載する搭載工程と、
該基材または該蓋材のいずれか一方の該第1のメタライズ層上に第1の溶着金属を形成する第1の溶着金属形成工程と、
該基材または該蓋材のいずれか一方の該第2のメタライズ層上に該第1の溶着金属よりも厚さが厚い第2の溶着金属を形成する第2の溶着金属形成工程と、
該基材と該蓋材を該第1及び第2の溶着金属を介して積層する積層工程と、
該基材と該蓋材の積層状態で該中空部を排気して真空状態にする排気工程と、
該第1及び第2の溶着金属を溶融させることにより、該第1の溶着金属で該基材と該蓋材の該第1のメタライズ層どうしを接続し、かつ、該第2の溶着金属で該基材と該蓋材の該第2のメタライズ層どうしを接続する接続工程と、
を含む。
【0019】
該接続工程は、該基材の内部の該抵抗体に通電することにより発熱した熱で該第2の溶着金属を溶融させることを含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る気密封止パッケージによれば、基材と蓋材を接続している第1及び第2の溶着金属を、基材の内部の抵抗体に通電することにより発熱した熱で溶融させることができる。このため、蓋材を基材から取り外してパッケージ内部の電子デバイスを検査または交換することが容易である。さらに、基材と蓋材を接続している接続部分を抵抗体で加熱するため、電子デバイスに熱的ダメージを与えにくい。
【0021】
また本発明に係る気密封止パッケージの製造方法によれば、次のような効果が得られる。
【0022】
第一に、第1の溶着金属よりも厚さが厚い第2の溶着金属により、基材と蓋材の間に隙間が確保される。このため、基材と蓋材を積層した状態で真空チャンバに設置したとしても、気密封止パッケージの中空部を排気して真空状態にする工程を実施できる。よって、内部を真空状態にした真空チャンバ内で基材と蓋材を積層する方法に比べて、設備投資を安価にできる。
【0023】
第二に、気密封止パッケージの中空部を排気して真空状態にする工程を、蓋材に開けた微細な貫通穴を使って排気する方法に比べて、第2の溶着金属の高さにより制御された基材と蓋材の隙間から排気するため、排気するためのエリアを広くでき、中空部を真空状態にするのに要する排気時間を短縮できる。
【0024】
第三に、基材の内部に配置した抵抗体に通電することで発熱した熱により第1及び第2の溶着金属を溶融させるため、気密封止パッケージの周囲全体を加熱する方法に比べて、短時間で溶着金属を溶融させることができる。
【0025】
第四に、基材の内部の抵抗体で、基材と蓋材を接続するための第1及び第2の溶着金属を溶融させるため、接続部分への局所加熱となり、基材に搭載した電子デバイスに与える熱的ダメージを小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の気密封止パッケージに適用可能な構成例を示す概略断面図。
図2】本発明の気密封止パッケージに適用可能な構成例を示す概略断面図。
図3】本発明の気密封止パッケージに適用可能な構成例を示す概略断面図。
図4】本発明の気密封止パッケージに適用可能な製造工程を示す概略断面図。
図5】本発明の気密封止パッケージに適用可能な製造工程のうちの赤外線検知素子搭載工程を示す概略平面図。
図6】本発明の気密封止パッケージに適用可能な製造工程のうちのはんだ供給工程を示す概略平面図。
図7】本発明の第1の実施形態に係る気密封止パッケージの概略断面図。
図8】本発明の第1の実施形態に係る気密封止パッケージの製造工程を示す概略断面図。
図9】本発明の第2の実施形態に係る気密封止パッケージの概略断面図。
図10】本発明の第2の実施形態に係る気密封止パッケージの製造工程を示す概略断面図。
図11】本発明の第3の実施形態に係る気密封止パッケージの概略断面図。
図12】本発明の第3の実施形態に係る気密封止パッケージの製造工程を示す概略断面図。
図13】本発明の第4の実施形態に係る気密封止パッケージの概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
図1に、本発明の気密封止パッケージに適用可能な構成例の概略断面図を示す。以下では電子デバイスとして赤外線検知素子を実装した赤外線検知器を例に説明する。
【0029】
赤外線検知器は、赤外線検知素子1と、キャビティ部2を有する基材としてのセラミック基板3と、キャビティ部2を塞ぐ蓋材として赤外線透過窓4と、から構成されている。セラミック基板3と赤外線透過窓4とによって形成される中空部は赤外線検知器外部と連通することなく気密封止され、かつ真空状態に保たれている。赤外線検知素子1はセラミック基板3のキャビティ部2に実装され、かつワイヤによりセラミック基板3と接続されている。
【0030】
なお、赤外線透過窓4はゲルマニウム、シリコン、サファイヤなどの赤外線透過性を有する材料から形成されている。
【0031】
さらに詳述すると、セラミック基板3のキャビティ部2周囲の縁と、赤外線透過窓4との間が、はんだ材料5により気密封止されている。接続されるセラミック基板3とはんだ材料5の間および、接続される赤外線透過窓4とはんだ材料5の間にはそれぞれ、第1のメタライズ層6a、6bが形成されている。第1のメタライズ層6a、6bの幅(図1の図面で見て横方向の幅)については0.2mmから5mmの範囲であることが望ましく、本例では1mmとしている。
【0032】
セラミック基板3と赤外線透過窓4それぞれのキャビティ部2周囲の縁面において、第1のメタライズ層6a、6bよりも内側に第2のメタライズ層7a,7bが形成されている。第2のメタライズ層7a、7bは、それぞれ独立したパッド形状である。セラミック基板3上に第2のメタライズ層7aが形成され、赤外線透過窓4上に第2のメタライズ層7bが形成されている。第2のメタライズ層7a及び7bははんだ材料5で接続されている。
【0033】
本例では、第2のメタライズ層7a、7bはセラミック基板3のキャビティ部2周囲の縁面において、第1のメタライズ層6よりも内側に形成されているが、図2に示されるように第2のメタライズ層7a、7bを第1のメタライズ層6よりも外側に設置することも可能である。
【0034】
また本例において、セラミック基板3と赤外線透過窓4が、上面から見て四角形状を有しており、パッド形状の第2のメタライズ層7a及び7bの位置は、四角形状のセラミック基板3と赤外線透過窓4のコーナー部の4箇所としている。しかし、第2のメタライズ層7a及び7bの位置は任意の位置に設置することも可能である。つまり、第2のメタライズ層7a又は7bは、セラミック基板3と赤外線透過窓4の互いに対向させる2つの面それぞれにおいてキャビティ部2の周囲に島状に配置されている。
【0035】
パッド形状の第2のメタライズ層7a及び7bのサイズは、φ0.25〜2mm程度であることが望ましく、本例では第2のメタライズ層7aのサイズをφ0.5mm、第2のメタライズ層7bのサイズをφ1mmとしている。なお、後述する気密封止パッケージの製造方法では第2のメタライズ層7a,7b間のはんだ材料5を溶融することで該はんだが濡れ広がって該はんだの高さが低くなり、その結果、第1のメタライズ層6a,6b間が接続される。この接続が良好に行われるように、第2のメタライズ層7a及び7bのうち、はんだを供給していない側のメタライズ層のサイズの方が他方より大きいことが望ましい。第2のメタライズ層の形状は円形ではなく、四角形や六角形などに変更することも可能である。
【0036】
はんだ材料5としてははんだ接続時の温度が、赤外線検知素子1の耐熱温度(素子が熱で壊れない温度)を超えないことが求められ、赤外線検知素子1の耐熱温度に応じてSnAg系はんだやSnBi系はんだなどが用いられる。また、セラミック基板3側に形成されたメタライズ層6a、7aとしては、Mo、Mn、Ti、Agなどの導電性パターン上にNi、Auなどのメッキがされたものが適用される。赤外線透過性窓4側に形成されたメタライズ層6b、7bは、例えば、Cr、Cu、Ni、Ag、Auなどから形成される。
【0037】
なお、本例においては第1のメタライズ層6a、6bと第2のメタライズ層7a、7bをそれぞれ独立して形成していたが、セラミック基板3もしくは赤外線透過窓4のどちらか一方に形成されるメタライズ層(6aと7a、もしくは6bと7b)を一体化し、図3(a)(b)に示されるようなメタライズ層6aのみ、もしくは6bのみにすることもできる。
【0038】
次に、本例に係る気密封止パッケージの製造方法について説明する。
【0039】
まず、図4(a)に示すようにセラミック基板3のキャビティ部2に赤外線検知素子1を搭載し、ワイヤボンディングにより赤外線検知素子1とセラミック基板3を電気接続する。この搭載工程後のセラミック基板の平面図を図5(a)に示す。本例では四角形状のセラミック基板3の4箇所のコーナー部にそれぞれ個別に、パッド状の第2のメタライズ層7aが形成されている。しかし、図5(b)に示すような他の形状とすることもできる。図5(b)の形状では、一続きの第2のメタライズ層7aが、四角形状のセラミック基板3の4箇所のコーナー部すべてを通って延在しているが、第2のメタライズ層7aの両端は繋がらずに離れている。
【0040】
続いて、図4(b)に示すようにセラミック基板3の外周縁面に形成された第1のメタライズ層6aと第2のメタライズ層7aの上にそれぞれ、はんだ材料5を供給する。第1のメタライズ層6aに供給したはんだ材料5(第1の融着金属)の厚さは、第2のメタライズ層7aに供給したはんだ材料5(第2の融着金属)の厚さより薄く形成されている。本例ではセラミック基板3の第1のメタライズ層6aに形成したはんだ材料5の厚さは0.2mm、第2のメタライズ層7aに形成したはんだ材料5の厚さは0.5mmとした。
【0041】
また、セラミック基板3の第1のメタライズ層6a上へのはんだ材料5の供給(第1の溶着金属形成工程)は、板状のはんだを第1のメタライズ層6aの上に設置し、溶融させることで行われることが望ましい。第2のメタライズ層7a上へのはんだ材料5の供給(第2の溶着金属形成工程)は、ボール形状のはんだを第2のメタライズ層7bの上に設置し、溶融させることで形成することが望ましい。
【0042】
また、本例ではセラミック基板3の第1のメタライズ層6aと第2のメタライズ層7aの両方にはんだ材料を供給した。しかし、図6(a)(b)に示すように、赤外線透過窓4側に形成された第1のメタライズ層6aと第2のメタライズ層7aのうちのどちらか一方、または両方にはんだ材料を供給することも可能である。この場合、赤外線透過窓4側に形成された第2のメタライズ層7aがパッド形状に形成されている。
【0043】
また、セラミック基板3または赤外線透過窓4のどちらか一方に形成されている2つのメタライズ層を一体構造とした場合には、図6(c)(d)に示すように独立した第2のメタライズ層7bが形成された側にボール状のはんだを形成することが望ましい。
【0044】
また、本例ではセラミック基板3に赤外線検知素子1を実装後に、第1のメタライズ層6と第2のメタライズ層7にはんだ材料5を供給している。しかし、セラミック基板3へ赤外線検知素子を搭載する工程は第1のメタライズ層6、第2のメタライズ層7へのはんだ材料5の供給後に実施してもよい。
【0045】
次に、図4(c)に示すようにセラミック基板3と赤外線透過窓4を積層した状態で、不図示の真空チャンバ内に設置する。セラミック基板3と赤外線透過窓4を積層した状態では、第2のメタライズ層7aに供給したはんだ材料5により、セラミック基板3と赤外線透過窓4の間には隙間が形成されている。この積層工程において、赤外線透過窓4の上におもりを載せることも可能である。
【0046】
続いて、図4(d)に示すように、セラミック基板3と赤外線透過窓4から構成される赤外線検知器の中空部を真空チャンバ内で排気して真空状態にした後、該赤外線検知器をはんだ材料5の融点以上に加熱することで、該はんだ材料5を溶融させ、セラミック基板3と赤外線透過窓4を接続する(接続工程)。なお、該赤外線検知器の中空部を真空にするために排気している際に、該赤外線検知器を、はんだ材料5が溶融しない温度であって赤外線検知素子1の耐熱性に問題がない温度まで予備加熱すると良い。これにより、該赤外線検知器の中空部が所定の真空度に達するまでの時間を短縮できるため、上記接続工程の時間を短縮することが可能である。この接続工程は真空雰囲気中で行われるが、真空チャンバ内に不活性ガスを導入して行われてもよい。
【0047】
なお、上記接続工程では第2のメタライズ層7a,7b間のはんだ材料5が溶融することで該はんだが濡れ広がって該はんだの高さが低くなり、その結果、第1のメタライズ層6a,6b間が接続される。この接続プロセスが良好に行われるように、はんだを供給していない側の第2のメタライズ層7bのサイズの方が他方の第2のメタライズ層7aより大きくしておくのが良い。
【0048】
以上のように、第1のメタライズ層6aに供給したはんだ材料5より厚いサイズのはんだ材料5を第2のメタライズ層7aに供給することにより、セラミック基板3と赤外線透過窓4を積層した状態で両者の間に隙間が確保される。このため、セラミック基板3と赤外線透過窓4を積層した状態で真空チャンバに設置したとしても、赤外線検知器の中空部を排気して真空状態にすることができる。これは、真空チャンバ内を真空状態にした後に、該真空チャンバ内でセラミック基板3と赤外線透過窓4を積層する方法に比べて、設備投資を安価にできる。
【0049】
また、赤外線検知器の中空部を真空状態にするために微細な貫通穴から排気を行う方法に比べて、はんだ材の厚さにより制御されたセラミック基板3と赤外線透過窓4の間の隙間から排気を行うため、排気するためのエリアを広くでき、該中空部が真空状態に排気されるまでに要する時間を短縮することができる。
【0050】
次に、上述した構成および方法を用いた本発明の実施形態をいくつか示す。なお、上述した構成例の部材と同じ部材については同一の符号を用いて説明する。
【0051】
(第1の実施形態)
図7は、本発明の第1の実施形態による気密封止パッケージを示す概略断面図である。
【0052】
本実施の形態においては、第1のメタライズ層6aと第2のメタライズ層7aの両方のすぐ下のセラミック基板3の内層に抵抗体8が形成されている。
【0053】
セラミック基板3の内層の抵抗体8は第1のメタライズ層6と第2のメタライズ層7から0.05〜1mm下にあることが望ましい。本実施形態では抵抗体8を第1のメタライズ層6と第2のメタライズ層7から0.1mm下の層に形成している。
【0054】
抵抗体8は、セラミック基板3に形成された不図示の配線により、セラミック基板3の裏面のパッドまで結線されている。セラミック基板3の裏面パッドに電圧を印加し、抵抗体8に電流を流すことで、抵抗体8を発熱させることができる。
【0055】
本実施形態によれば、赤外線検知器全体を加熱するのでなくはんだ材料5を抵抗体8で直接加熱することができる。このため、第1のメタライズ層6a及び6bを接続するはんだ材料5と、第2のメタライズ層7a及び7bを接続するはんだ材料5は、赤外線検知素子1の耐熱温度を超える温度で溶融するはんだ材料であっても問題ない。本実施形態ではSnSb系はんだを使用している。
【0056】
次に、本実施の形態に係る気密封止パッケージの製造方法について説明する。
【0057】
まず、図8(a)に示すようにセラミック基板3のキャビティ部2に赤外線検知素子1を搭載し、ワイヤボンディングにより赤外線検知素子1とセラミック基板3を電気接続する。
【0058】
続いて、図8(b)に示すようにセラミック基板3側の第1のメタライズ層6aと第2のメタライズ層7aの上にはんだ材料5を供給する。本実施形態ではセラミック基板3側の第1のメタライズ層6aと第2のメタライズ層7aにそれぞれはんだ材料5を供給した。しかし、セラミック基板3側の第1のメタライズ層6aと第2のメタライズ層7aのうちのどちらか一方に形成されたはんだ材料5、または両方に形成されたはんだ材料5を、赤外線透過窓4側のメタライズ層6b,7bに供給することも可能である。
【0059】
第2のメタライズ層7aに形成されたボール状のはんだ材料5の厚さは、第1のメタライズ層6aに形成された板状のはんだ材料5の厚みより厚い。
【0060】
次に、図8(c)に示すようにセラミック基板3と赤外線透過窓4を積層した状態で、不図示の真空チャンバ内に設置する。セラミック基板3と赤外線透過窓4を積層した状態では、第1のメタライズ層6aのはんだ材料5よりも厚い第2のメタライズ層7aのはんだ材料5により、セラミック基板3と赤外線透過窓4の間には隙間が形成されている。
【0061】
その後、セラミック基板3と赤外線透過窓4から構成される赤外線検知器の中空部を真空チャンバ内で排気して真空状態にした後、セラミック基板3の内層に形成された抵抗体8に電圧を印加し、電流を流すことで抵抗体8を発熱させる。そして、その熱により、第1のメタライズ層6a及び6b間のはんだ材料5と第2のメタライズ層7a及び7b間のはんだ材料5を溶融させ、図8(d)に示すようにセラミック基板3と赤外線透過窓4を接続する。
【0062】
該赤外線検知器の中空部を真空にするために排気している際には、該赤外線検知素子の耐熱温度以下であってはんだ材料5が溶融しない温度近くまで該赤外線検知器を予備加熱することが好ましい。この方法によると、該赤外線検知器の中空部が所定の真空度に達するまでの時間を短縮できるため、上記セラミック基板3と赤外線透過窓4の接続工程の時間を短縮することが可能である。
【0063】
なお、図8(c)〜(d)の接続工程では第2のメタライズ層7a,7b間のはんだ材料5が溶融することで該はんだが濡れ広がって該はんだの高さが低くなり、その結果、第1のメタライズ層6a,6b間が接続される。この接続プロセスが良好に行われるように、はんだを供給していない側の第2のメタライズ層7bのサイズの方が他方の第2のメタライズ層7aより大きくしておくのが良い。
【0064】
本実施形態の製造方法によると、第1のメタライズ層6a上及び第2のメタライズ層7a上に供給されたはんだ材料5が、抵抗体8の発熱による局所加熱により溶融する。このため、はんだ材料5の溶融温度が赤外線検知素子の耐熱温度以上の温度であっても赤外線検知素子にダメージを与えずにセラミック基板3と赤外線透過窓4を接続することが出来る。さらに、溶融温度の比較的高いはんだ材料を使用することができるため、測定環境に対してより信頼性の高い赤外線検知器を提供することができる。
【0065】
また、抵抗体の発熱による局所加熱であるため、赤外線検知器の周囲全体を加熱する方法に比べて、短時間ではんだ材料を昇温することが出来る。
【0066】
また、製造された赤外線検知器の蓋材である赤外線透過窓4を開けて内部の電子デバイスの検査や交換を行い場合、抵抗体8に通電することによりはんだ材料5を溶融させて赤外線透過窓4を取り外すことが容易である。また抵抗体8の発熱は蓋材の接続部への局所加熱であるため、パッケージ内の電子部品への熱的ダメージが少ない。こうした装置における利点もある。
【0067】
(第2の実施形態)
図9は、本発明の第2の実施形態による気密封止パッケージを示す概略断面図である。
【0068】
上記した第1の実施形態と同様に、本実施の形態においても、抵抗体8が、第1のメタライズ層6aと第2のメタライズ層7aの両方のすぐ下のセラミック基板3の内層に形成されている。
【0069】
第1のメタライズ層6a及び6b間に配置される第1のはんだ材料5aは、第2のメタライズ層7a及び7b間に配置される第2のはんだ材料5bより融点が低いものとしている。本実施形態では、第1のはんだ材料5aにSnAg系はんだが使用され、第2のはんだ材料5bにSnSb系はんだが使用されている。
【0070】
次に、本実施の形態に係る気密封止パッケージの製造方法について説明する。
【0071】
まず、図10(a)に示すようにセラミック基板3のキャビティ部2に赤外線検知素子1を搭載し、ワイヤボンディングにより赤外線検知素子1とセラミック基板3を電気接続する。
【0072】
次いで、図10(b)に示すようにセラミック基板3側の第1のメタライズ層6aに第1のはんだ材料5a、第2のメタライズ層7aに第2のはんだ材料5bを供給する。第2のはんだ材料5bは第1のはんだ材料5aより溶融温度が高いものを使用している。本実施例では例えば第1のはんだ材料5aにSnAg系はんだ、第2のはんだ材料5bにSnSb系はんだを使用している。
【0073】
第2のメタライズ層7aに形成されたボール状のはんだ材料5bの厚さは、第1のメタライズ層6aに形成された板状のはんだ材料5aの厚みより厚い。
【0074】
本実施形態ではセラミック基板3側の第1のメタライズ層6aと第2のメタライズ層7aにはんだ材料5a、5bをそれぞれ供給した。しかし、セラミック基板3側の第1のメタライズ層6aと第2のメタライズ層7aのうちのどちらか一方に形成されたはんだ材料5a,5bを、または両方に形成されたはんだ材料5a,5bを、赤外線透過窓4側のメタライズ層6b,7bに供給することも可能である。
【0075】
次に、図10(c)に示すようにセラミック基板3と赤外線透過窓4を積層した状態で、不図示の真空チャンバ内に設置する。セラミック基板3と赤外線透過窓4を積層した状態では、第1のメタライズ層6aのはんだ材料5aよりも厚い第2のメタライズ層7aのはんだ材料5bにより、セラミック基板3と赤外線透過窓4の間には隙間が形成されている。
【0076】
その後、セラミック基板3と赤外線透過窓4から構成される赤外線検知器の中空部を真空チャンバ内で排気して真空状態にした後、セラミック基板3の内層に形成された抵抗体8に電圧を印加し、電流を流すことで抵抗体8を発熱させる。そして、その熱により、第1のメタライズ層6a及び6b間のはんだ材料5aと第2のメタライズ層7a及び7b間のはんだ材料5bを溶融させ、図10(d)に示すようにセラミック基板3と赤外線透過窓4を接続する。
【0077】
該赤外線検知器の中空部を真空にするために排気している際には、該赤外線検知素子の耐熱温度以下であって第2のはんだ材料5bが溶融しない温度近くまで該赤外線検知器を予備加熱することが好ましい。この方法によると、該赤外線検知器の中空部が所定の真空度に達するまでの時間を短縮できるため、上記セラミック基板3と赤外線透過窓4の接続工程の時間を短縮することが可能である。
【0078】
本実施形態では、上記赤外線検知器の中空部の排気中、第2のメタライズ層7a及び7b間に配置された第2のはんだ材料5bによってセラミック基板3と赤外線透過窓4の間の隙間が維持されている。このため、第1のメタライズ層6a上に供給するはんだ材料は該排気中に溶融するはんだ材であっても問題がない。この事により、第1のメタライズ層6a上のはんだ材料については、第2のはんだ材料5bよりも汎用的で低コストのはんだを選定することができる。
【0079】
なお、図10(c)〜(d)の接続工程では第2のメタライズ層7a,7b間の第2のはんだ材料5bが溶融することで該はんだが濡れ広がって該はんだの高さが低くなり、その結果、第1のメタライズ層6a,6b間が接続される。この接続プロセスが良好に行われるように、はんだを供給していない側の第2のメタライズ層7bのサイズの方が他方の第2のメタライズ層7aより大きくしておくのが良い。
【0080】
(第3の実施形態)
図11は、本発明の第3の実施形態による気密封止パッケージを示す概略断面図である。
【0081】
本実施の形態においては、抵抗体8が、第1のメタライズ層6aと第2のメタライズ層7aの両方に対応する位置ではなく、第2のメタライズ層7aのみの下に位置するセラミック基板3の内層に形成されている。
【0082】
第1のメタライズ層6a及び6b間に配置される第1のはんだ材料5aは、第2のメタライズ層7a及び7b間に配置される第2のはんだ材料5bより融点が低いものとしている。本実施形態では、第1のはんだ材料5aにSnAg系はんだが使用され、第2のはんだ材料5bにSnSb系はんだが使用されている。
【0083】
次に、本実施の形態に係る気密封止パッケージの製造方法について説明する。
【0084】
まず、図12(a)に示すようにセラミック基板3のキャビティ部2に赤外線検知素子1を搭載し、ワイヤボンディングにより赤外線検知素子1とセラミック基板3を電気接続する。
【0085】
次いで、図12(b)に示すようにセラミック基板3側の第1のメタライズ層6aに第1のはんだ材料5a、第2のメタライズ層7aに第2のはんだ材料5bを供給する。第2のはんだ材料5bは第1のはんだ材料5aより溶融温度が高いものを使用している。本実施例では例えば第1のはんだ材料5aにSnAg系はんだ、第2のはんだ材料5bにSnSb系はんだを使用している。
【0086】
第2のメタライズ層7aに形成されたボール状のはんだ材料5bの厚さは、第1のメタライズ層6aに形成された板状のはんだ材料5aの厚みより厚い。
【0087】
本実施形態ではセラミック基板3側の第1のメタライズ層6aと第2のメタライズ層7aにはんだ材料5a、5bをそれぞれ供給した。しかし、セラミック基板3側の第1のメタライズ層6aと第2のメタライズ層7aのうちのどちらか一方に形成されたはんだ材料5a,5bを、または両方に形成されたはんだ材料5a,5bを、赤外線透過窓4側のメタライズ層6b,7bに供給することも可能である。
【0088】
次に、図12(c)に示すようにセラミック基板3と赤外線透過窓4を積層した状態で、不図示の真空チャンバ内に設置する。セラミック基板3と赤外線透過窓4を積層した状態では、第1のメタライズ層6aのはんだ材料5aよりも厚い第2のメタライズ層7aのはんだ材料5bにより、セラミック基板3と赤外線透過窓4の間には隙間が形成されている。
【0089】
その後、セラミック基板3と赤外線透過窓4から構成される赤外線検知器の中空部を真空チャンバ内で排気して真空状態にする。この排気中は、第1のはんだ材料5aが溶融する温度で該赤外線検知器を加熱する。その排気後、セラミック基板3の内層に形成された抵抗体8に電圧を印加し、電流を流すことで抵抗体8を発熱させる。そして、その熱により、第2のメタライズ層7a及び7b間の第2のはんだ材料5bを溶融させ、図12(d)に示すようにセラミック基板3と赤外線透過窓4を接続する。
【0090】
本実施形態の製造方法によると、セラミック基板3の内層に抵抗体8を形成する箇所を第2のメタライズ層7の下層のみとすることで、抵抗体8に印加する電圧を小さくすることが出来るほか、より短時間で加熱することができるというメリットがある。
【0091】
なお、図12(c)〜(d)の接続工程では第2のメタライズ層7a,7b間の第2のはんだ材料5bが溶融することで該はんだが濡れ広がって該はんだの高さが低くなり、その結果、第1のメタライズ層6a,6b間が接続される。この接続プロセスが良好に行われるように、はんだを供給していない側の第2のメタライズ層7bのサイズの方が他方の第2のメタライズ層7aより大きくしておくのが良い。
【0092】
以上のように、本発明の気密封止パッケージとして、電子デバイスに赤外線検知素子を実装した赤外線検知器を例に説明したが、電子デバイスに赤外線検知素子以外のデバイスを使用することも出来る。またセラミック基板のキャビティ部の形状や赤外線透過窓の形状は四角形状に限らず、円形や三角形などとすることも可能である。
【0093】
また、図13に示すようにセラミック基板3はキャビティ部がない構造体とすることもでき、その場合は赤外線透過窓4とスペーサ部材9を組み合わせることで中空部を構成する。
【0094】
本発明の気密封止パッケージ及びその製造方法は、上記実施形態に基づいて説明されているが、上記実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内において、かつ本発明の基本的技術思想に基づいて、上記実施形態に対し種々の変形、変更及び改良を含むことができることはいうまでもない。また、本発明の請求の範囲の枠内において、種々の開示要素の多様な組み合わせ・置換ないし選択が可能である。
【符号の説明】
【0095】
1 赤外線検知素子
2 キャビティ部
3 セラミック基板
4 赤外線透過窓
5、5a、5b はんだ材料
6a、6b 第1のメタライズ層
7a、7b 第2のメタライズ層
8 抵抗体
9 スペーサ部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13