(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
作用について説明する。
図25はリフィールとして黒色、赤色、青色の3色からなるボールペンリフィール15とシャープユニット9が摺動自在に配置されている多芯筆記具である。スライダー4を押し下げペン先5を軸突出孔8aから突出させ、スライダー4の係止突起4bを後軸の係止凹部7に係止させる。このスライダー4の係止状態において、軸後端に配されている摺動ケース1のノック部1cをペン先方向に押圧することにより、シャープユニット9のチャック9bが開き、シャープ芯10が繰り出され、筆記状態となる。
一方、
図26は
図25と外観形状は略同じであるが、リフィール11として黒色、赤色、青色、緑色の4色からなるボールペンリフィール15が摺動自在に配置されている多芯筆記具である。
図25に示した多芯筆記具と違いリフィール11としてシャープユニット9が存在しないため、摺動ケース1は摺動する必要はない。即ち、摺動ケース1は、後軸2に対して固定されている。
上述した異なるリフィール11を内蔵する2種類の多芯筆記具の軸本体は、同じ部品を用いて組み立てられているのである。具体的には後軸2に対して摺動ケース1の取り付け角度を後軸2の中心軸線に対して90度ずらして組み立てることで、軸内位置決めリブ13と摺動ケース1のストッパー段部14との当接位置が変化し、摺動ケース1の摺動、並びに、固定とが選択可能となり、組み分けられるのである。
【0008】
次いで、1例を
図1〜
図12に示し説明する。軸本体16は、前軸8と後軸2、摺動ケース1により構成されている。前記前軸8の内径部には、先端側へ向かって徐々に径が小さくなる円錐部8cが形成されている。そして、その前軸8の先端には、ボールペンリフィール15の筆記部やシャープユニット9の先金部9aが出没する突出孔8aが形成されている。
さらに、前記前軸8は不透明な材質から構成されているが、後軸2は、着色半透明な材質から構成されている。ボールペンリフィール15をスライダー4に対して着脱する際、即ち、ボールペンを交換する際、その着脱部の視認性が良好なものとなり、容易に着脱作業を行うことができるようになる。また、後軸2は、円筒状であるが故に、その曲面のレンズ作用により、前記の着脱部が拡大・大径化され、さらに容易に着脱作業を行うことができるようになる。前記前軸8にはゴム状弾性体からなるグリップ部17が挿着されているが、二色成形、或いは、多色成形と言った手段などで前軸8に一体的にゴム状弾性体からなるグリップ部17を被覆しても良い。
前記前軸8と後軸2は、螺合により取り外し可能に取り付けられており、前記後軸2の後端部には摺動ケース1が取り付けられている。本例では、その摺動ケース1の外周の表面上には、等間隔に後軸2との係合用の係合突起1aが設けられている。また、その係合突起1aは、後軸2の外周の表面に設けられた窓孔2aの後端部に係合されることにより、シャープユニット9を組み合わせた多芯筆記具において、シャープ芯10の繰り出しのスライド距離を窓孔2aで有効活用することによって軸本体16の長さを抑えている。しかし、本例に限定されることはなく、窓孔2aの上部に摺動ケース1の係合突起1aが係合する専用の係合孔24を設けても良い。
この係合状態において、摺動ケース1の前半部1bは後軸2の後端内部に配置され、一方、摺動ケース1の後半部は後軸2の後端開口部2bから突出する。その突出した摺動ケース1の後半部をノック部1cとし、ノック作動により摺動ケース1全体が、後軸2に対して前後に摺動する。
その摺動ケース1の内部は全長に渡り、径方向を分割するように梁状の区画壁3によって区画されている。また、摺動ケース1は有底の筒状を成しているが、中間部からは筒部1dがなくなり、径方向に開放状態となっている。具体的には、断面形状が扇形の切り欠き部1eが形成されており、その切り欠き部1eが開放状態となっている。つまり、その切り欠き部を摺動面とし、スライダー4が摺動ケース1内を摺動するのである。前記スライダー4の押圧部4aは後軸2の窓孔2aより外方に突出しており、スライダー4の押圧部4aは後軸2の窓孔2aを摺動する。
前記ペン先5の没入状態では、スライダー4は弾撥部材6の弾撥力により、後方へ押しやられており、スライダー4の押圧部4aの後端は摺動ケース1のスライダー当接部1fに当接している。この状態において、使用者がスライダー4を前進させると、スライダー4は軸心方向へ落ち込み、スライダー4の係止突起4bが摺動ケース1内の梁状の区画壁2の中心に設けられた係止凹部7に係止される。この瞬間に、ペン先5が前軸8の先端突出孔8aから突出し、筆記可能となる。
ここで、係止突起4bと係止凹部7の引掛り量をyとし、被解除突起4eと解除突起4dによりスライダー4が移動する距離をXとする。
【0009】
前記リフィール11の没入動作において、スライダー4の係止解除時にスライダー4はリフィール11との接続点である点Oを起点とし、扇状に動き、係止突起4bが係止凹部7から外れる。また、解除突起4dと被解除突起4eとの衝突部を点Pとし、点Oから点Pまでの距離をS、係止部までの距離をLとすると、係止状態にあるスライダー4の被解除突起4eと、解除状態にあるスライダー4の解除突起4dの衝突により動く距離YはY=LX/Sとなる。また、引掛り量yは y<Y、つまり、y<LX/Sとしていることにより、係止が解除され、ペン先5を没入させることができるのである。
つまり、係止されている引掛り量yよりもスライダー4同士の衝突により動く距離Yを大きくとることにより、スライダー4が扇状に動き、解除を可能にしているのである。
尚、シャープユニット9のスライダー4を前進させた際は、シャープユニット9の先金部9aが突出状態にあり、前軸8の先端の内面部8bにほぼ接触状態となっている。このシャープユニットの先金部9aの前軸8の先端の内面部8bに対する接触によって、ノック部1cを押圧し、摺動ケース1を押し込むことにより、シャープユニット9のチャック9bが開き、シャープ芯10が繰り出され、筆記状態となる。
これらボールペンのペン先5の出没操作時やシャープ芯10の繰り出し操作時であっても、摺動ケース1に設けた梁状の区画壁3により剛性が良くなっているため、外力が加わった時の径方向への撓みは極力防止される。それ故に、スライダー4の摺動不良や係止不良、シャープユニット9の芯出し不良などの誤作動が起きにくい構成となっている。さらには、各々のスライダー4が梁状の区画壁3によって区画されているため、解除時に必要とするスライダー4同士の衝突以外の接触を防止し、スライダー4同士の干渉によるリフィール11の繰り出し不具合等の誤作動の抑制をしている。
【0010】
前記スライダー4の裏面には、スライダー基部4iを始点とし軸心方向に向かい、解除突起4dと被解除突起4eが形成されている。さらに、後方にはスライダー押圧部4aの裏面を始点とし、軸心方向に向かい係止突起4bが設けられている。なお、係止突起4bと被解除突起4eは、それらの頂部を略同じ位置として形成されており、解除突起4dの頂部は係止突起4b、並びに、被解除突起4eよりも軸心に近い位置となっている。これはスライダー4がスライドするときに、摺動ケース1のスライダー滑走面1gをすべり、係止凹部7へと移行していく間に、極力段差を無くし使用者のノック時における違和感を与えない構造となっている。
さらに、解除突起4dの頂部は、他の二つの突起(係止突起4b、被解除突起4e)よりも軸心方向へ近い位置、即ち、その突出量が多くなっており、係止時において係止状態のスライダー4の係止突起4bが、解除状態にあるスライダー4の解除突起4dと尾栓23の係止凹部7との間に入り込むようになっている。これにより、解除状態のスライダー4の解除突起4dと尾栓23の係止凹部7との間で係止状態にあるスライダー4の係止突起4bを挟み込む状態となり、係止凹部7からの係止はずれを抑制する効果をもたらすのである。
即ち、スライダー4が係止状態からさらにペン先5の方向に動いた際には、係止凹部7から係止が外れるより早く、解除状態にあるスライダーの解除突起4dに接触し(
図24参照)、解除状態にあるスライダー4を維持している弾撥部材6の弾性力も作用することにより、スライダー4の先方への移動が阻止され、係止が維持されるのである。
【0011】
前記摺動ケース1の梁状の区画壁3を対称面とし、その梁状の区画壁3の両側には、縦リブ3aが設けられている。その対向し、隣り合う縦リブ3a間には、前記スライダー4が摺動自在に位置している。即ち、前記縦リブ3aによって、ペン先5が没入している状態における前記スライダー4の横方向における振れが防止されているのである。また、前記縦リブ3aの先端部分は先端方向に向かい狭まるテーパー状に傾斜面3bが形成されている。前記後軸2に摺動ケース1を取り付ける時に、隣り合う縦リブ3aの間にスライダー4が挿着されている。その挿着されたスライダー4と前記縦リブ3aのテーパー状の傾斜面3bの両者がガイドになり、摺動ケース1の区画壁3が案内され、組立て性を向上させているのである。さらに、スライダー4が摺動ケース1内の係止凹部7への係止状態からの解除時においても、前記縦リブ3aのテーパー状の傾斜面3bによりスライダー4がガイドされ、定位置に確実に戻る。
尚、本例では摺動ケース1の先端から3分の1程度の区間には、前記の縦リブ3aが設けられてない。これは係止されたスライダー4の解除時において、解除される側のスライダー4の多少のクリアランスを考慮したものである。即ち、解除される直前まではガタが無いほうが良いが、解除直後は摺動ケース1内の抵抗が少なく、スムーズに後方の定位置に戻るのが望ましい。そのため、先端から3分の1程度の区間には縦リブ3aを設けず、解除直後の抵抗を減らしているのである。
さらに、摺動ケース1の前端部には、突起3cが延設形成されている。その突起3cは、摺動ケース1内の係止凹部7に係止状態のスライダー4の横ブレを防止するものとなっている。つまり、その係止状態にあるスライダー4の解除時に、他のスライダー4の接触による横ブレを極力防止することによって、解除不良を極力防止しているのである。また、前記摺動ケース1の先端部に形成されている突起3cは、スライダー4の軸心方向への落ち込みを防止し、適切な係止位置を維持する役割も兼ねている。
さらに、前記後軸2の内面には、一対の位置決めリブによって挿着溝12が形成されている。その挿着溝12には、前記摺動ケース1の梁状の区画壁3が摺動自在に嵌まり込んでおり、径方向、即ち、相対的な回転が防止されている。具体的には、1つの区画壁3に対し、後軸2の内周面に前記区画壁3の幅と略同じ間隔をあけて位置決めリブ13が2つ設けてあり、その隣り合う位置決めリブ13間(挿着溝12)を区画壁3が前後に摺動するのである。つまり、後軸2内の位置決めリブ13の数は区画壁3の数の2倍となり、区画壁3の数はリフィール11の数に起因するため、リフィール11の数により位置決めリブ13の数も決まる。つまり、リフィール11が2本であれば位置決めリブ13の数は4つ、3本であれば6つになるのである。
【0012】
本例では、前記摺動ケース1の中間部の切り欠き部1eの後端部には、梁状の区画壁3を中心に扇状の形をしたストッパー段部14が設けられており、そのストッパー段部14は先端方向に向けて延設形成されている。また、前記梁状の区画壁3は、径方向に等間隔に4つ形成されていると共に、梁状の区画壁3のうち、180度の間隔で2つに前記ストッパー段部14が形成されている。
【0013】
前記ストッパー段部14に対し、前記後軸2内の位置決めリブ13の長さを設定することで、リフィール11をボールペンリフィール15のみで構成した筆記具と、少なくとも1本以上をシャープユニット9で構成した筆記具とで部品の共通化を可能にしている。例えば、前記リフィール11をボールペン15のみで構成する際は、
図11のように、ストッパー段部14と長い位置決めリブ13bの位置を合わせるように組み立てる(
図11c参照)。その結果、組立て後にストッパー段部14と長い位置決めリブ13bの後端面が当接し、それ以上のノックをできなくし、摺動ケース1を尾栓23として固定する。
そのボールペンリフィール15に変え、少なくとも1つ以上のシャープユニット9を組み込む際は、前記摺動ケース1のストッパー段部14を短い位置決めリブ13aに合うように組み立てる。この状態で組むことで、ストッパー段部14と短い位置決めリブ13aとの間にクリアランスが生じ、摺動ケース1が後軸2に対し前後へ摺動が可能となる。また、前記クリアランスは、ストッパー段部14が短い位置決めリブ13aの後端部に当接するまで形成されており、その移動範囲が摺動ケース1のスライド距離となる。尚、このスライド距離は、シャープユニット9のチャック9bが開き、シャープ芯10が繰り出されるのに必要な距離以上の距離になっている。さらに、短い位置決めリブ13aと、長い位置決めリブ13bとの差は、ストッパー段部14の長さとほぼ等しくなっているが、長い位置決めリブ13bと短い位置決めリブ13aとの差をストッパー段部14の長さより多少長くしても良い。要は、位置決めリブ13の後端とストッパー段部14が当接する前に、シャープ芯10の繰り出しに必要な摺動距離を摺動できれば良いのである。
【0014】
前記、区画壁3には軸線方向に突き当て段部3dが形成されており、その突き当て段部3dは、90度の間隔で形成されている。一方、後軸2の短い位置決めリブ13aには、リブ間を埋めるように突き当て部13cが設けられている。前記摺動ケース1を尾栓として後軸2に固定した際には、摺動ケース1の突き当て段部3dが後軸2の突き当て部13cに突き当たり、ノック部1cの後軸2内への没入を抑制している。また、摺動ケース1をノックとして摺動させる際は、ノックの押し切り状態においては、摺動ケース1の突き当て段部3dが後軸2の突き当て部13cに突き当たるようになっている。つまり、90度の間隔で形成された突き当て段部3dの長さの差がシャープ繰り出しのストロークとなるのである。
【0015】
軸本体16は後軸2、前軸8、摺動ケース1で構成されており、先に説明したとおり、摺動ケース1と後軸2は、係合突起1aと窓孔2aとの係合により、脱落・分解が防止されている。また、前軸8と後軸2はネジ螺合により取り外し可能に接合されている。前記後軸2内には前軸8のネジ部端面8dを突き当てて止めるため、ネジ止めリブ2cが周状に4つ、リフィール11と干渉しない位置に形成されている。前記ネジ止めリブ2cが後軸2内面に接触する辺2dには、すべてRで面取りを施している。接触する辺2dを曲面にすることにより、ネジの締め付けによる応力によって起こる、軸の割れ等を極力防止しているのである。
【0016】
前記後軸2には、その長手方向に4個の窓孔2aが形成されている。本例においては、4個の窓孔2aが形成されているが、リフィール11であるボールペンリフィール15とシャープユニット9の合計数が4本であるためであり、このリフィール11の本数によって窓孔2aの形成する数も変わるものである。前記後軸2内には後軸2の後端を摺動可能に取り付けられた摺動ケース1が設けられており、前記摺動ケース1内はリフィール11の数に径方向に区画されており、その区画は軸心を中心とし、放射状に広がる梁状の区画壁3により区画分けされている。この区画18内をリフィール11の後端に取り付けられたスライダー4が前後にスライドし、ボールペンリフィール15のペン先5やシャープユニット9の先金部9aの没入動作が行われるのである。前記区画18も本例では4つであるが、リフィール11の本数により、変わるものである。
【0017】
前記後軸2の窓孔2aには、不透明な材質からなるスライダー4が摺動自在に配置されている。このスライダー4の長手方向の両側には、抜け防止突起4cが形成されており、後軸2の窓孔2aからのスライダー4の脱落を防止している。
このスライダー4の背面には、1つの係止突起4bと、間隔をおいて2つの解除突起4d、4eが形成されている。前記係止突起4bは摺動ケース1を区画している梁状の区画壁3の中央部に設けた係止凹部7に係止され、ボールペンリフィール15のペン先5やシャープユニット9の先金部9aの突出状態を維持する。前記ボールペンリフィールのペン先5やシャープユニット9の先金部9aの突出状態において後部に位置している他のスライダー4を前進させると、前進したスライダー4の解除突起4dが、係止しているスライダー4の被解除突起4eに接触し、係止していたスライダー4が径方向外向きに移動することで係止が解除され、その瞬間に弾撥部材6の弾撥力によりスライダー4が後方へ移動し、ボールペンリフィール15のペン先5やシャープユニット9の先金部9aが没状態になるのである。
【0018】
また、スライダー4の前端には長手方向に板状の突部4fが形成されている。その突部4fの先端には、ほぼ円盤状の膨出部4gが形成されている。それら突部4fや膨出部4gを板状、並びに、円盤状にすることによって、後述する筆記体を接続した際、空気の流通炉が形成されるようになっている。つまり、本例のようにリフィール11をボールペンリフィール15とした場合、インキの消費に伴う筆記体(ボールペン)内部への空気の侵入を確実なものとしているのである。
そして、スライダー4の突部4f(膨出部4g)には、ボールペンリフィール15のインキ収容筒15aの後方部が接続されている。ここで、前記スライダー4は、前記ボールペンリフィール15に使用されるインキ色と同じ色に着色された不透明な材質で形成されているが、透明、或いは、着色された半透明な材質で形成しても良い。スライダー4の奥行き感が発生し、より一層、美観が向上する。また、シャープユニット9の後方にも同様にスライダー4が挿着されており、ボールペンスライダーの色と異なる色に着色し、判別がつくように構成しているが、ボールペンスライダーと同様の色で構成してもかまわない。
本例において、ボールペンリフィール15のインキ収容筒15aは、透明、或いは、着色された半透明な材質から構成されているが、インキ収容筒15aの少なくとも前記スライダー4との接続部が、透明、或いは、着色された半透明な材質から構成されていれば良い。リフィール11を交換した際、リフィール11とスライダー4(膨出部4g)との接続状態を容易に確認することができる。
【0019】
尚、前記スライダー4の前端部には、後述する弾撥部材6の後端部が当接する鍔部4hが形成されている。
参照符号6は、リフィール11並びにリフィール11に接続するスライダー4を後方に付勢するコイルスプリングなどの弾撥部材6である。尚、本例におけるリフィール11は、3本が前述のようにボールペンリフィール15となっており、もう1本がシャープユニット9となっている。そのボールペンリフィール15のインキ収容筒15a及び、シャープユニット9の芯タンク9cがスライダー4の膨出部4gに接続されている。具体的には、黒、赤、青のインキが収納されたボールペンリフィール15とシャープユニット9が接続されている。
前記後軸2の中間部には、規制部19が形成されており、その規制部19には、リフィール11が遊挿する4つの貫通孔20が形成されており、前記規制部19に弾撥部材6の一端を係止させることにより、リフィール11を後方に付勢している。
【0020】
本例では軸内部の位置決めリブ13と摺動ケース1に設けたストッパー段部14とを当接することにより、摺動ケース1を後軸2に対して固定し、一方、クリアランスを設けることで摺動ケース1の摺動を可能としている。
しかし、前記位置決めリブ13とストッパー段部14は、後軸2の外周面に設けても良い(実施例2(
図27、
図28))。詳述すると、後軸2の外周面には、位置決めリブ13が周状に複数設けられている。一方、摺動ケース1の外周面の先端部には、ストッパー段部14が設けられている。前記後軸2の外周面に設けた位置決めリブ13のうち、後部の位置決めリブ13dの後端部の突き当て部13cに、前記摺動ケース1のストッパー段部14が当接することにより、後軸2と摺動ケース1が固定される。一方、後軸2に対して摺動ケース1の取り付け向きを90度ずらし、後軸2の外周面に設けた位置決めリブ13のうち、前部の位置決めリブ13eの位置に摺動ケース1のストッパー段部14を合わせて組み付けることで、前記位置決めリブ13の後端突き当て部13cとストッパー段部14との間にクリアランスが発生する。その結果、摺動ケース1は、後軸2に対して前後方向に摺動可能に取り付けられる。この摺動により、リフィール11をシャープユニット9とした際の芯の繰り出し操作が可能となるのである。
この実施例2(
図27、
図28)においては、後軸2外周面を覆うように摺動ケース1のノック部1cを構成しているので、ノック部1cの径が大きくなり、ノック作動時に指に触れる面積が増え、操作がしやすくなる。また、後軸2の位置決めリブ13が後軸2内部には必要なくなり外周面になることにより、後軸2の金型構成が簡単になり、投資を抑えることができる。
しかし、後軸2と摺動ケース1を固定する係合突起1aや、摺動ケース1の区画壁3は前記実施例1と同様に必要であり、摺動ケース1の構成が二重構造となり複雑になってしまう。また、軸の拡径による外観の見栄えを考慮すると、位置決めリブ13は後軸2の内部に設ける方が細身の軸を構成するためには望ましい。