(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。本実施形態では、寒冷地帯用照明器具の一例として道路灯を説明する。
図1は本実施形態に係る道路灯1を下方からみた斜視図である。
図2は道路灯1の構成を示す図であり、
図2(A)は平面図、
図2(B)は側面図、
図2(C)は底面図、
図2(D)は正面図、及び
図2(E)は背面図である。また
図3は道路灯1の底面図である。
この道路灯1は、
図1に示すように、ポール型(ストレート型とも呼ばれる)の支柱4、又は、アーム型の支柱5の先端部3に器具本体10を支持したものである。支柱4、5は路肩等の道路脇の地面に立設された柱であり、ポール型の支柱4は、その先端部3が鉛直方向に真っ直ぐに延び、アーム型の支柱5は、柱の途中から曲がって先端部3が水平方向に水平、或いは所定角度傾いて延びている。この道路灯1の器具本体10は、支柱4、5の両方に取り付け可能に構成されている。
【0014】
器具本体10は、アルミダイカスト等で形成され、
図1、及び
図2に示すように、一端11Aから他端11Bにかけて長い平面視略矩形の箱型を成し、その一端11Aの近傍で上記支柱4、5の先端部3に支持され、他端11Bを道路側(車道側)に向けて設置される。器具本体10の底面10Aには、一端11Aの側に照射開口12が形成され、この照射開口12が平板状の透明なグローブガラス(グローブ)13(
図2(C))で覆われている。なお、
図1、及び
図3は、グローブガラス13から器具本体10の内部を透視して示したものである。
【0015】
器具本体10は、背面10B(すなわち一端11A近傍の外側面)にアーム用挿入孔15(
図2(E))が設けられ、また一端11A近傍の底面10Aにポール用挿入孔16が設けられている。ポール型の支柱4に器具本体10を支持する場合には、当該支柱4の先端部3が器具本体10の底面10Aからポール用挿入孔16に挿入され、またアーム型の支柱5に支持する場合には、当該支柱5の先端部3が器具本体10の背面10Bからアーム用挿入孔15に挿入される。これらアーム用挿入孔15、及びポール用挿入孔16のうち、先端部3が挿入されていない方は閉塞板17で閉塞される。
なお、本実施形態では、ポール型の支柱4に支持する道路灯1について主に説明する。
【0016】
図4は
図2(A)のI−I線における断面視図であり、
図5は
図3のII−II線における断面図である。
図6は器具本体10の分解斜視図である。
器具本体10は、ベースケース体20と、下カバー体(カバー)21と、蓋体22とを備え、これらが器具本体10の略箱型のケース体を構成する。これらベースケース体20、下カバー体21、及び蓋体22は、屋外使用に十分に耐え得る耐食性があり、なおかつ、熱伝導性が高い材料(例えばアルミニウムやアルミニウム合金)を用いて形成されている。高熱伝導性の材料を用いることで、後述する光源ユニット25の発熱がケース体(本実施形態では、特にベースケース体20)から放熱され、光源ユニット25の光源温度が発光動作に適切な温度に維持される。
ベースケース体20は、器具本体10の六面の外側面のうち、天面10C、正面側、及び左右側の外側面(側面)10D、10E、10Fを構成し、下カバー体21は、器具本体10の底面10Aを構成する。また蓋体22は、器具本体10の天面10Cに開閉自在に設けられ、当該天面10Cの一部から背面10Bを構成する。
器具本体10には、蓋体22が開いて露出する箇所に後述するクランプユニット26が内設され、また道路側を向く他端11Bの側に光源を構成する複数(本実施形態では6個)の光源ユニット25が内設されている。
【0017】
下カバー体21は、ベースケース体20の下面にネジ19(例えば
図5)でネジ止め固定され、当該ベースケース体20の下面を閉じる部材であり、上述した照射開口12、及び、ポール用挿入孔16が形成されている。また、下カバー体21は、
図5、及び
図6に示すように、照射開口12を覆うようにグローブガラス13が上側から嵌め込まれて当該グローブガラス13を担持する。このグローブガラス13の縁部には、シール部材としての環状のパッキン42が全周に亘って嵌め込まれており、当該パッキン42によって下カバー体21の照射開口12がシールされる。また、下カバー体21をベースケース体20に取り付けた際には、下カバー体21とベースケース体20との間でパッキン42が挟み込まれて、当該ベースケース体20の内部がシールされるが、その詳細については後述する。
【0018】
図7はベースケース体20の構成を示す図であり、
図7(A)は平面図、
図7(B)は側面図、
図7(C)は底面図、
図7(D)は正面図、
図7(E)は背面図である。
ベースケース体20は、その内部が器具本体10の一端11Aの側のクランプ取付室27Bと、他端11Bの側の光源室27Aとに仕切28で仕切られている。クランプ取付室27Bにはクランプユニット26が配設され、光源室27Aには光源ユニット25が配設されている。
クランプユニット26は、器具本体10のアーム用挿入孔15、又は、ポール用挿入孔16から挿入された支柱4、5の先端部3に挿入されて取り付けられる支柱取付具である。また光源ユニット25は、道路灯1の光源であり、発光素子を備えて構成されている。
【0019】
クランプユニット26は、前掲
図6に示すように、支柱4、5の先端部3に挿入される筒部29と、この筒部29の外周面29Cに設けられた鍔部30とを備えている。この鍔部30がベースケース体20のクランプ取付室27Bの左右両側に設けられたクランプユニット固定部18にボルト31A、及びナット31Bで締結固定される。また筒部29の外周面29Cには周方向から、複数本の締め付け用のダブルナット32が挿入され、これらダブルナット32によって支柱4、5の先端部3に筒部29が締め付け固定される。また、ポール型の支柱4に取り付けられるクランプユニット26にあっては、筒部29の下側の一端29Aがポール用挿入孔16の近傍に配置され、上側の他端29Bがクランプ取付室27Bの奥に入り込み、この他端29Bに、支柱4の中を通じて先端部3から引き出された電気配線を保持するホルダ33が取り付けられる。
【0020】
光源ユニット25は、道路灯1の光源であり、発光素子を備えて構成されている。具体的には、前掲
図6に示すように、光源ユニット25は、LED基板34に実装されたCOB型LED(発光素子モジュール)35と、絶縁シート36と、反射鏡ベース板37と、反射鏡38と、レンズ体39とを備え、これらの順に重ねるように組み付けて構成されている。
LED基板34は、COB型LED35の発熱を裏面に効率良く伝えるために、高熱伝導性を有する例えばセラミック等で形成されている。
COB型LED35は、多数のLEDをLED基板34の上に密集配置して平面視略円形(四角形も有り得る)の面状の発光部35Aを形成したチップオンボード(COB)構造の発光デバイスである。この面状の発光部35Aは、この面に略垂直な方向に光軸Fを有し、この光軸Fが器具本体10の底面10Aを指向する姿勢で器具本体10の中に配置される。COB型LED35は、多数のLEDが密集配置されていることから大光量で高輝度な灯具が得られる。
【0021】
絶縁シート36は、開口36Aが形成され、当該開口36Aから発光部35Aを露出させつつLED基板34の実装面を覆い、このLED基板34と上記反射鏡ベース板37との間を電気的に絶縁するシート材である。
反射鏡ベース板37は、反射鏡38の組み付けベースとなる板材であり、上記絶縁シート36、及びLED基板34を上記ベースケース体20との間に挟むようにして当該ベースケース体20にネジ止め固定される。上記LED基板34は、反射鏡ベース板37による挟み込みにより、その裏面がベースケース体20に密接した状態で固定される。
【0022】
反射鏡38、及びレンズ体39は、COB型LED35の配光を制御する配光制御部材であり、これらの配光制御により、道路の走行方向に合わせて左右に延びた横長の配光が実現されている。具体的には、レンズ体39は、COB型LED35の発光部35Aを覆って配置されて、当該COB型LED35の光軸F近傍の光を左右方向(道路の車線方向)に配光する機能を備える。また反射鏡38は、このレンズ体39の周囲を囲む反射面38Aを有し、レンズ体39から側方に出る光を反射することで、背面側へ向かう光を抑えつつ、正面側の遠方(道路灯1が設置された道路の対向側の路肩近傍)に光を指向させるといった前後方向(道路の横断方向)の配光を制御する機能を備える。
【0023】
図7に示すように、光源室27Aの天井を構成するベースケース体20の天井面20Aには、LED基板34の裏面と面接触して支持する台座面40が所定の間隔で略格子状に設けられている。各台座面40は、LED基板34の各々が同一水平面(照射開口12の開口面から一定の距離)に位置するように天井面20Aからの高さが設定されている。
台座面40は、ベースケース体20の天井面20Aに一体に形成されており、高熱伝導性を有するLED基板34を通じてCOB型LED35の発熱が伝えられる。台座面40の熱は、ベースケース体20の天井面20Aに伝へられ、当該ベースケース体20の天面10Cから外部に放熱され、これにより、COB型LED35の光源温度が発光動作に適切な温度に維持される。なお、COB型LED35に代えて、他の構造のLED、或いは有機EL等の他の発光素子を用いても良いことは勿論である。
【0024】
本実施形態では、ベースケース体20には、光源室27Aの側に各光源ユニット25を包囲する平面視矩形枠状の包囲壁41を設け、この包囲壁41の中を水密にすることで、光源室27Aを防水することとしている。すなわち、前掲
図5に示すように、包囲壁41の全周に亘り、その先端41Aが、下カバー体21に担持されたグローブガラス13のパッキン42に密着し、これにより包囲壁41の内部が水密にシールされる。
上記包囲壁41のうち、クランプ取付室27Bに面する箇所は上記仕切28によって構成されており、この仕切28には、電源線引込孔43が開口し、この電源線引込孔43を通じて電気配線がクランプ取付室27Bから光源室27Aに引き込まれる。このとき電源線引込孔43をシールするために、この電源線引込孔43にブッシング44を嵌合し、このブッシング44に電源線を通して配線される。
【0025】
また、光源室27Aの各光源ユニット25とクランプユニット26とは、
図4に示すように、側面視略水平に延びるベースケース体20に、クランプユニット26による支柱4、5への固定箇所Pと、器具本体10の重心位置Qとの高さ方向のズレを抑えて(理想的には、同一水平面上に)配置した。これにより、器具本体10の共振点が下がることから道路灯1の設置箇所の振動の影響が少なくなり、使用環境が拡大される。
【0026】
蓋体22は、前掲
図4に示すように、上記クランプ取付室27Bを覆い、上記ベースケース体20の天面10Cにヒンジ金具46で開閉自在に取り付けられている。
図8は蓋体22を開いた状態を示す道路灯1の側面図であり、
図9は同状態を示す道路灯1の上方斜視図である。
これらの図、及び前掲
図7に示すように、ベースケース体20の天面10C、及び背面側には、クランプ取付室27Bを露出する開口47が形成されている。具体的には、開口47は、クランプ取付室27Bの天井に対応する箇所の天面10Cから背面10Bに亘る範囲を露出するように形成されており、さらに、クランプ取付室27Bの左右の両側面の側も露出するように形成されている。
【0027】
これにより、
図9に示すように、クランプ取付室27Bの背面側がベースケース体20に覆われることなく開放されることとなり、クランプ取付室27Bでの作業が容易となる。特に、
図9に示すように、器具本体10がポール型の支柱4に取り付けられる場合、クランプユニット26の筒部29はクランプ取付室27Bの中で上下に延び外周面29Cが背面側に対面するように配設される。したがって、支柱4の先端部3を固定するダブルナット32が器具本体10の背面側に面するようにクランプユニット26が配置されることで、背面側から開口47を通じてダブルナット32を簡単に操作することができ、器具本体10の取付作業が容易となる。
【0028】
蓋体22は、クランプ取付室27Bの開口47を閉じるものであり、クランプ取付室27Bに対応する天面10Cと背面10Bとが一体に形成されている。蓋体22の背面10Bに対応する箇所には、アーム用挿入孔15が形成されており、このアーム用挿入孔15が不使用である場合には、閉塞板17が取り付けられて閉塞されている。
かかる蓋体22は、ベースケース体20の天面10Cの略中央(より正確にはクランプ取付室27Bと光源室27Aとの境界近傍)に設けたヒンジ金具46に、光源室27A側に突出したヒンジ側端部22A(
図6)を結合してベースケース体20に取り付けられる。したがって、蓋体22の開閉軸が天面10Cの上になることから、蓋体22を開いた場合に当該蓋体22が天面10Cの上に移動する。このため、器具本体10の背面10Bの側の近くに壁面等の構造物が有る場合でも、開蓋時に蓋体22が干渉することがなく、蓋体22を大きく開くことができる。
【0029】
器具本体10の天面10Cは、前掲
図5に示すように、左右の略中央部を頂点にして左右両側が低くなるように弧を描いて緩やかに屈曲した曲面形状を成し、天面10Cに降り注ぐ風雨、及び積雪が左右両側に促されるようになっている。
また、器具本体10の天面10Cは、前掲
図2(B)に示すように、正面側(すなわち光源室27Aの側)の他端11Bから背面側(すなわちクランプ取付室27B)の側にかけて流線20Lを描く形状とされている。これにより、
図8に示すように、器具本体10が水平面Hに対して所定角度αの傾斜角度で他端11Bを上を向けた姿勢で取り付けられた場合に、天面10Cに降り注ぐ雨水や積雪を背面側に移動させつつ、天面10Cの両側からスムーズに落下させるようになっている。
さらに、この器具本体10には、クランプ取付室27Bの近傍の光源室27Aの天面10Cに、左右の両側に亘って横断し排水溝としての機能を有する横溝45が形成され、また、前掲
図2に示すように、他端11Bから背面側に向けて延び、上記横溝45に合流する複数本の誘導溝48が形成されている。これにより、光源室27Aの側の他端11Bから背面側への雨水等の移動を促進し横溝45からスムーズに落下させることができる。
本実施形態では、各誘導溝48が上述の台座面40の直上に対応した位置に設けられており、台座面40を通じて伝熱される光源の熱で積雪を溶かし、横溝45に効率良く案内されるようになっている。
【0030】
ここで、器具本体10の天面10Cを構成する上記ベースケース体20は、前掲
図4に示すように、天面10Cの板厚Tが光源室27Aの側の他端11Bからクランプ取付室27Bにかけて次第に厚くなっている。そして、上記横溝45は、クランプ取付室27Bの近傍の光源室27Aの天面10C、すなわち板厚Tが十分に厚く剛性が高い位置に設けられており、横溝45を設けられても天面10Cの剛性が確保されているようになっている。
また蓋体22の結合側の縁部は横溝45に沿って配置され、横溝45が蓋体22の開閉に要するクリアランスも兼ねている。この横溝45の中には、蓋体22に結合される上記ヒンジ金具46が収められておりヒンジ金具46が露出しないようにすることで意匠が高められている。このとき、ヒンジ金具46は、横溝45の底面45Aから高い位置であり、かつ、蓋体22のヒンジ側端部22Aで覆われた位置に配設されている。これにより、ヒンジ金具46が風雨に曝され、また横溝45の雨水に浸水し難くなり、水による腐食が抑制される。
【0031】
器具本体10は、
図9に示すように、支柱4、5への設置時に蓋体22を開位置で支持するストッパー機構49を備えている。
ストッパー機構49は、蓋体22の裏面に設けたレール50と、ベースケース体20に一端51Aが結合され他端51Bがレール50に案内自在に係合し蓋体22を支持する支持棒51とを備えている。レール50には、蓋体22の開閉に伴って支持棒51の他端51Bが移動する直線状の孔である案内路50Aが設けられている。開蓋時には、蓋体22が90度以上(本実施形態では115度)の開き角度β(
図8)に開いた状態で支持棒51が案内路50Aの下端部50A1に引っ掛かって蓋体22を支持する。また案内路50Aには、下端部50A1を略L字状に上方(天面10Cの側)に延ばした支え用端部50A2が設けられている。この支え用端部50A2に支持棒51が引っ掛かることで、支持棒51が蓋体22の開き角度βが90度以下の状態で蓋体22を閉蓋不能に支持する。
【0032】
また、閉蓋時には、支持棒51の他端51Bが案内され当該案内路50Aの直線方向の端である上端部50A3に移動する。この上端部50A3に支持棒51が引っ掛かった状態においては、蓋体22が全閉しない状態で支持棒51が蓋体22を閉蓋不能に支持する。一方、案内路50Aには上端部50A3に至る途中に、閉蓋方向Dに分岐する分岐路50A4が設けられており、この分岐路50A4に支持棒51の他端51Bが入り込むことで、支持棒51による蓋体22の支持が解かれて蓋体22が全閉する。
すなわち、開いた蓋体22が閉じるには、作業者が分岐路50A4に支持棒51の他端51Bを案内するように操作する必要がある。このような操作が成されずに、例えば風等の影響で蓋体22が閉じようとする場合には、支持棒51の他端51Bが案内路50Aを直線状に勢いよく移動し、ストレートに上端部50A3に到達して蓋体22が全閉する前に係止され、作業中に不意に蓋体22に挟まれるといった事を防止できる。
【0033】
ところで、この道路灯1は、積雪の比較的多い地方に設置された場合には、器具本体10に積もった雪が光源ユニット25の熱で融けて水滴となり、水滴が器具本体10から滴下する際に凍って、器具本体10に氷柱が形成される可能性がある。
光源としてナトリウムランプ等を用いた従来の照明器具では、ナトリウムランプからの発熱量が多いため、器具本体10から滴下する水滴は凍りにくく、氷柱は形成され難い。
これに対し、本実施形態の道路灯1のように、光源にCOB型LED35等の発光素子を用いた照明器具の場合、発光素子の発熱量が比較的少ないため、このままでは器具本体10に氷柱が形成されやすい。
【0034】
氷柱の形成条件を検証した結果、器具本体10の高温となる高温部の温度と、器具本体10から水滴が滴下する滴下部の温度との温度差が所定温度(望ましくは、3℃)以内であれば、氷柱が形成され難いことが判明した。
以下、
図3−
図6及び
図10を参照し、器具本体10の高温部の温度と、器具本体10の滴下部の温度との温度差を所定温度以内に収めて、氷柱の形成を抑制する構成について説明する。
【0035】
上述したように、光源ユニット25は、天面10Cの内面(天井面20A)に設けられている。また、
図4−
図6に示すように、器具本体10は、下カバー体21の外縁部21Aをベースケース体20の外側面10D、10E、10Fが覆うように構成されている。したがって、天面10Cの温度は天面10Cに積もった雪が融ける温度まで上昇すると、融けた雪は水滴となって天面10Cの曲面形状に沿ってベースケース体20の外側面10D、10E、10Fに流れ、外側面10D、10E、10Fの下端10D1、10E1、10F1から滴下する。
【0036】
このように、下カバー体21の外縁部21Aをベースケース体20の外側面10D、10E、10Fが覆うことで、滴下部となる外側面10D、10E、10Fの下端10D1、10E1、10F1を、光源ユニット25の熱により温度が上昇するベースケース体20に設けることができるので、光源ユニット25の熱をベースケース体20を介して下端10D1、10E1、10F1に伝熱することができ、下端10D1、10E1、10F1の温度を上昇させることができる。
【0037】
また、グローブガラス13を、パッキン42を挟んで、ベースケース体20と下カバー体21との間に挟持している。パッキン42はシール部材として有効な例えばゴム等の素材を用いて構成されているが、当該素材は断熱性を有している。したがって、上記のようにパッキン42を設けることで、ベースケース体20と下カバー体21との間に断熱性を有するパッキン42が介在することとなるため、光源ユニット25の熱が下カバー体21に伝熱されることを抑制でき、光源ユニット25の熱を下端10D1、10E1、10F1に効率良く伝熱することができる。
さらに、本実施形態では、光源ユニット25の熱を滴下部となる下端10D1、10E1、10F1に伝熱する伝熱板(伝熱部材)60を設けている。以下、この伝熱板60の詳細な構成について説明する。
【0038】
図10は、伝熱板60を示す図であり、
図10(A)は側面図、
図10(B)は底面図、
図10(C)は背面図である。
図11は、
図5の部分Aを拡大して示す図である。なお、
図11では、左の外側面10E側を示すが、右の外側面10F側の構成は左の外側面10E側の構成を左右反転したものであるため、右の外側面10F側の図示を省略する。
伝熱板60は、
図10に示すように、例えばアルミや銅等の熱伝導性を有する素材で形成された板状部材である。この伝熱板60は、
図3−
図6に示すように、底面視において包囲壁41に囲まれた光源室27Aの略全体に亘る大きさに形成され、ベースケース体20とLED基板34との間に配置されて、ねじ(固定手段)61でベースケース体20に固定されている。
【0039】
伝熱板60には、
図6に示すように、天井面20A(
図7)から立設する台座面40を露出させる台座面露出孔62が設けられている。台座面露出孔62は、台座面40の周囲(側面)に接する大きさに形成されている。
また、詳細な説明を省略するが、伝熱板60には、例えば絶縁シート36や反射鏡ベース板37の固定手段等の部材を露出させる貫通孔が設けられている。
【0040】
図4に示すように、伝熱板60の正面側の側部63は、外側面10Dの近傍まで延出している。また、
図5及び
図11に示すように、伝熱板60の左右側の側部63は、下方に向けて屈曲した後、外側面10E、10F側に延出しており、側端上面63A及び側端面63Bは略平坦に形成されている。
ベースケース体20には、左右の外側面10E、10F近傍(例えば、包囲壁41)に、段部20Bが形成されており、伝熱板60がベースケース体20に取り付けられると、側端上面63A及び側端面63Bがベースケース体20の段部20Bに接触するようになっている。
【0041】
このように、伝熱板60が外側面10D、10E、10F近傍に接触しているため、光源ユニット25の熱は、LED基板34又は台座面40から伝熱板60に伝熱し、伝熱板60を介して外側面10D、10E、10Fに伝熱される。その結果、天面10Cの温度が雪が解ける温度以上に上昇した場合に、滴下部となる下端10D1、10E1、10F1でも水滴が凍りにくい温度となる。換言すれば、高温部となる天面10Cの温度と、滴下部となる下端10D1、10E1、10F1の温度の温度差が、氷柱が形成され難い所定温度(例えば、3℃)以内に収まるので、氷柱の形成を抑制できる。
【0042】
しかも、台座面40を天井面20Aから立設させて形成し、伝熱板60に、台座面40を露出させるとともに台座面40に接触する台座面露出孔62を形成した上で、伝熱板60をベースケース体20から取り外し可能に形成した。これにより、伝熱板60を取り付けた場合には、伝熱板60がLED基板34及び台座面40に接触して、光源ユニット25の熱を滴下部となる下端10D1、10E1、10F1に伝熱できる。したがって、ベースケース体20には、光源ユニット25の熱を台座面40を介して天面10Cに伝熱する経路と、光源ユニット25の熱を伝熱板60を介して下端10D1、10E1、10F1に伝熱する経路が形成され、高温部となる天面10Cの温度と、滴下部となる下端10D1、10E1、10F1の温度の温度差を小さくすることができる。
一方、伝熱板60を必要としない場合には、伝熱板60をベースケース体20から取り外すだけでよく、器具本体10の再設計を行うことなく、道路灯1を寒冷地帯に設置されない通常の照明器具とすることができるので、器具本体10の汎用性が向上する。
【0043】
以上説明したように、本実施形態によれば、次のような効果を奏する。
【0044】
すなわち、本実施形態によれば、高温部となる天面10Cの温度と、滴下部となる下端10D1、10E1、10F1の温度の温度差を所定温度以内に収めた構成とした。より具体的には、光源ユニット25の熱を滴下部となる下端10D1、10E1、10F1に伝熱する伝熱板60を設けた。この構成により、高温部となる天面10Cの温度と、滴下部となる下端10D1、10E1、10F1の温度の温度差が、氷柱が形成され難い所定温度以内に収まるので、当該下端10D1、10E1、10F1に氷柱が形成されることを抑制できる。
【0045】
また、本実施形態によれば、伝熱板60を取り外し可能に設ける構成とした。この構成により、伝熱板60を取り外した場合には、道路灯1を寒冷地帯に設置されない通常の照明器具とすることができるので、器具本体10の汎用性が向上する。
【0046】
また、本実施形態によれば、下カバー体21の外縁部21Aをベースケース体20の外側面10D、10E、10Fが覆い、当該外側面10D、10E、10Fの下端10D1、10E1、10F1を滴下部とする構成とした。この構成により、光源ユニット25の熱により温度が上昇するベースケース体20に滴下部を設けることができるので、滴下部とした下端10D1、10E1、10F1の温度を上昇させることができる。
【0047】
また、本実施形態によれば、グローブガラス13は、断熱性を有するパッキン42を挟んで、ベースケース体20と下カバー体21との間に挟持される構成とした。この構成により、光源ユニット25の熱が下カバー体21に伝熱されることを抑制できるので、光源ユニット25の熱を下端10D1、10E1、10F1に効率良く伝熱することができ、その結果、高温部となる天面10Cの温度と、滴下部となる下端10D1、10E1、10F1の温度との温度差を所定温度以内に収めることができる。
【0048】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示したものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
例えば、上記実施の形態では、グローブの例として平板状のグローブガラス13(パネル)を説明したが、グローブは形や素材の制約を受けないものとする。
また、本発明は道路灯に限らず、例えば街灯等の任意の屋外用照明器具に適用可能である。また、本発明は、器具本体が支柱に限らず、例えば建物の壁等に支持される照明器具に適用可能である。