特許第6044244号(P6044244)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6044244
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】車両用バッテリパック
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6557 20140101AFI20161206BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20161206BHJP
   H01M 10/6551 20140101ALI20161206BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20161206BHJP
   B60K 1/04 20060101ALI20161206BHJP
   B60K 11/06 20060101ALI20161206BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20161206BHJP
   B62D 25/08 20060101ALN20161206BHJP
【FI】
   H01M10/6557
   H01M10/613
   H01M10/6551
   H01M10/6563
   B60K1/04 ZZHV
   B60K11/06
   H01M2/10 S
   !B62D25/08 M
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-220449(P2012-220449)
(22)【出願日】2012年10月2日
(65)【公開番号】特開2014-75181(P2014-75181A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2015年8月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】特許業務法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 弘二
(72)【発明者】
【氏名】原田 優
【審査官】 古河 雅輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−269985(JP,A)
【文献】 特開2010−092854(JP,A)
【文献】 特開2012−018915(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02199133(EP,A2)
【文献】 特開2012−128982(JP,A)
【文献】 特開2010−120397(JP,A)
【文献】 特開2011−023301(JP,A)
【文献】 特開平07−335275(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0111272(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/00− 6/12
B60K 7/00−15/10
B62D 25/08
H01M 2/10
H01M 10/52−10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内に、複数のバッテリセルでなるバッテリセル群と、該バッテリセル群へ空気を流す冷却ファンと、が収納され、
前記ケース上部に、当該ケース内に空気を導入する吸入口と、該ケース外へ空気を排出する排出口と、が形成された車両用バッテリパックにおいて、
前記ケースの下面に下方に突出する複数の放熱フィンを設け、
前記バッテリセル群の前記バッテリセル同士の間に隙間を有するともに、前記ケースの内側底面と、前記バッテリセル群の底面と、の間に底部空間を形成し、
前記ケース内に、前記吸入口から当該ケースの一方の内側面に沿って前記底部空間まで延在された吸気流路を配置し、
前記底部空間内に、前記ケースの一方の内側面から当該一方の内側面に対向する他方の内側面に向けて延びるように水平流路が設けられ、当該水平流路に前記吸気流路が連通され、
前記バッテリセル群は、中部空間を隔てて上側バッテリセル群と下側バッテリセル群とを備えており、
前記中部空間内に、前記ケースの一方の内側面から他方の内側面に向けて延びるように中部水平流路が設けられ、当該中部水平流路に前記吸気流路が連通され、
前記バッテリセル群の上部に排出用開口部を設け、
前記排出用開口部は、前記排出口と連通する
ことを特徴とする車両用バッテリパック。
【請求項2】
前記水平流路は、前記バッテリセル群の下面が対向する上面側が開放された凹溝部であり、該凹溝部の溝幅寸法が上流側から下流側に向けて大きくなるように設定されていることを特徴とする請求項に記載の車両用バッテリパック。
【請求項3】
前記中部水平流路が、上側バッテリセル群の下面が対向する、上面側が開放された凹溝部であり、この凹溝部の溝幅寸法が上流側から下流側に向けて大きくなるように設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用バッテリパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用バッテリパックに関し、さらに詳しくは、冷却構造を備える車両用バッテリパックに関する。
【背景技術】
【0002】
電動車両に搭載されるバッテリパックは、出力性能を高めるために、内蔵されるバッテリの温度を適温に保つことが望ましい。従来、下面外側に放熱フィンを取り付けたハウジング内に、複数のバッテリ(セル)を隙間が生じないように配置したバッテリパックが知られている(例えば、特許文献1参照)。この従来のバッテリパックでは、複数のバッテリがハウジング内に隙間が生じないように配置されているため、バッテリから発生した熱を直接ハウジングに伝導させている。そして、この従来のバッテリパックでは、ハウジングの下面外側に取り付けられた放熱フィンにより、ハウジング内から伝導された熱を放出するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−18915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のバッテリパックの構造では、複数のバッテリ同士が隙間を生じないように密に配置されているため、以下のような問題点がある。すなわち、この構造では、ハウジング内に冷却ファンを配置させて、バッテリ同士の隙間や、ハウジングの底面とバッテリの底面同士の隙間に、空気を送り込んでバッテリの温度を低下させることができない。また、この構造では、放熱フィンに近いバッテリほど冷却効果が高くなり、ハウジング内に温度分布が発生して、バッテリを均一に冷却することができない。これらの問題点により、従来のバッテリパックでは、バッテリ性能が低下する虞があった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、底面を保護することができ、しかもバッテリの出力性能を安定させることができる、バッテリモジュールを内蔵した車両用バッテリパックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様は、ケース内に、複数のバッテリセルでなるバッテリセル群と、該バッテリセル群へ空気を流す冷却ファンと、が収納され、ケース上部に、当該ケース内に空気を導入する吸入口と、該ケース外へ空気を排出する排出口と、が形成された車両用バッテリパックにおいて、ケースの下面に下方に突出する複数の放熱フィンを設け、バッテリセル群のバッテリセル同士の間に隙間を有するともに、ケースの内側底面と、バッテリセル群の底面と、の間に底部空間を形成し、ケース内に、吸入口から当該ケースの一方の内側面に沿って底部空間まで延在された吸気流路を配置し、底部空間内に、ケースの一方の内側面から当該一方の内側面に対向する他方の内側面に向けて延びるように水平流路が設けられ、当該水平流路に吸気流路が連通され、バッテリセル群は、中部空間を隔てて上側バッテリセル群と下側バッテリセル群とを備えており、中部空間内に、ケースの一方の内側面から他方の内側面に向けて延びるように中部水平流路が設けられ、当該中部水平流路に吸気流路が連通され、バッテリセル群の上部に排出用開口部を設け、排出用開口部は、排出口と連通することを特徴とする。
【0007】
上記態様としては、底部空間内に、ケースの一方の内側面から当該一方の内側面に対向する他方の内側面に向けて延びるように水平流路が設けられ、この水平流路に吸気流路が連通された構成としてもよい。
【0008】
上記態様としては、水平流路が、バッテリセル群の下面が対向する、上面側が開放された凹溝部であり、この凹溝部の溝幅寸法が上流側から下流側に向けて大きくなるように設定されていることが好ましい。
【0010】
上記態様としては、中部水平流路が、上側バッテリセル群の下面が対向する、上面側が開放された凹溝部であり、この凹溝部の溝幅寸法が上流側から下流側に向けて大きくなるように設定されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、底面を保護することができ、しかもバッテリの出力性能を安定させることができる、複数のバッテリを内蔵した車両用バッテリパックを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る車両用バッテリパックを搭載した車両を示す側面図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る車両用バッテリパックが車両に搭載されてカバー部材で覆われた状態を示す、車両左斜め上方から見た斜視図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る車両用バッテリパックを搭載した車両後部を車両の左斜め下方から見た斜視図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る車両用バッテリパックを車両の左斜め上方から見た斜視図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係る車両用バッテリパックを車両の左斜め後方から見た斜視図である。
図6図6は、図1のVI−VI断面図である。
図7図7は、本発明の実施の形態に係る車両用バッテリパックの上側ケースおよび上側のバッテリを除いた状態を車両の左斜め上方から見た斜視図である。
図8図8は、本発明の実施の形態に係る車両用バッテリパックの底面図である。
図9図9は、図8のIX−IX断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態に係る車両用バッテリパック(以下、バッテリパックと云う。)の詳細を図面に基づいて説明する。なお、本実施の形態では、説明の便宜を図るために、図中においてバッテリパックを搭載する車両100の前後方向、左右方向、ならびに上下方向を矢印で示し、バッテリパックの前後方向、左右方向、ならびに上下方向として説明する。
【0014】
[搭載車両の概略構成]
先ず、本実施の形態のバッテリパックの構成の説明に先駆けて、バッテリパックを搭載する車両の概略構成について説明する。本実施の形態に係るバッテリパックは、例えば、ハイブリッド車もしくは電気自動車などの車両に搭載される。図1に示すように、バッテリパック1は、車両100の車両後部101におけるリヤシート102よりも車両前後方向後方の空間103に配置されている。なお、リヤシート102は、シートクッション102Aと、シートバック102Bと、を備えている。したがって、より具体的には、バッテリパック1は、シートクッション102Aの車両前後方向後方に配置されている。
【0015】
図2に示すように、車両後部101の車両左右(幅)方向の両側には、それぞれ車両前後方向に沿って延びる一対のリヤサイドメンバ104が設けられている。これらリヤサイドメンバ104の上には、リヤフロアパネル105が設けられている。図1に示すように、車両後部101の車両幅方向の両側には、一対の後輪106が配置されている。図1に示すように、リヤフロアパネル105の車両前後方向後方には、車両幅方向に沿ってリヤバンパメンバ107が設けられている。このリヤバンパメンバ107の車両前後方向前側には、リヤパネル108が設けられている。また、このリヤバンパメンバ107には、車両幅方向に沿ってリヤバンパ109が支持されている。図1に示すように、リヤフロアパネル105には、バッテリパック1の上部を挿入する略矩形状の開口部110が形成されている。
【0016】
図1図3に示すように、リヤフロアパネル105には、開口部110の上側にカバー部材111が取り付けられている。このカバー部材111は、開口部110を取り囲む角筒状のカバーパネル111Aと、このカバーパネル111Aの上部開口部を閉塞する矩形板状のリッド111Bと、を備える。カバーパネル111Aおよびリッド111Bは、荷室側の空間とバッテリパック1を配置する空間103(図1参照)とを区画している。なお、この空間103は、車外側から空気が導入できるようになっている。図3に示すように、リヤフロアパネル105の下方には、バッテリパック1を支持するためのバッテリパック支持部材112が設けられている。
【0017】
[バッテリパック]
図4および図5に示すように、バッテリパック1は、略直方体形状のケース2と、このケース2内に収納された高電圧を発生するバッテリセル群3と、ケース2の上に配置された略直方体形状のエアクリーナ4と、ケース2内に設けられた冷却ファン5と、を備える。ケース2は、略直方体形状の剛性を有する筐体である。ケース2は、上部分であるケース上部21と、下部分であるケース下部22と、からなる。図5に示すように、冷却ファン5は、ケース上部21内の上部に配置されている。冷却ファン5としては、例えばシロッコファンを用いることができる。
【0018】
ケース下部22の上端開口縁には、水平方向に沿って外側に向けて突出し、かつ周回するように形成されたフランジ部23が設けられている。図2および図3に示すように、このフランジ部23は、バッテリパック1を車両に搭載する際に、バッテリパック支持部材112へ支持、取り付けに供される。一方、ケース下部22の下面には、下面全体に亘って、車両前後方向に沿って延びるように複数のフィン6が互いに平行をなすように設けられている。なお、本実施の形態おいて、これら複数のフィン6は、ケース下部22と一体に成形されている。
【0019】
図9に示すように、バッテリセル群3は、それぞれ複数のバッテリセル31でなる、上側バッテリセル群32と、下側バッテリセル群33とを含む。なお、上側バッテリセル群32および下側バッテリセル群33を構成する複数のバッテリセル31同士の間には、隙間Sが介在されている。なお、上側バッテリセル群32および下側バッテリセル群33は、それぞれ図示しないフレーム部材で上記隙間Sを形成した状態で複数のバッテリセル31が保持されてモジュールを構成している。
【0020】
図5図7および図9に示すように、ケース下部22には、枠組み体でなる下側セル支持フレーム12が配置されている。この下側セル支持フレーム12の枠内には、下側バッテリセル群33が配置されている。ここで、下側バッテリセル群33は、下側セル支持フレーム12の下部枠板12Aの上に配置されている。したがって、下側バッテリセル群33の下面33Bは、ケース下部22の底面(内側底面)22Bよりも下側セル支持フレーム12の下部枠板12Aの厚さ分だけ高く設定されている。このため、ケース下部22の底面22Bと下側バッテリセル群33の下面33Bとの間に、底部空間Sbが形成されている。
【0021】
そして、下側セル支持フレーム12の上には、上側セル支持フレーム13が載置されている。図9に示すように、この上側セル支持フレーム13内には、上側バッテリセル群32が配置されている。この上側バッテリセル群32の下面33Bは、下側バッテリセル群33の上面33Tよりも、上側セル支持フレーム13の下部枠板13Aの厚さ寸法以上の高さの中部空間Smが形成されている。また、本実施の形態では、上側バッテリセル群32の上面32Tの上方には、上部空間Stが形成されている。
【0022】
図6図7および図9に示すように、本実施の形態では、ケース2内に、吸気流路としての車体上下方向に延びる吸気ダクト7と、底部空間Sbに配置される水平流路としての一対の水平ダクト8と、中部空間Smに配置される中部水平流路としての一対の中部水平ダクト9と、一対の水平ダクト8の上流端部同士を連通させる水平連絡ダクト10と、一対の中部水平ダクト9の上流端部同士を連通させる中部水平連絡ダクト11と、を備えている。
【0023】
図9に示すように、ケース上部21の上面21Aには、吸入口24が形成されている。また、ケース上部21の後面21Rには、排出口25が形成されている。なお、エアクリーナ4は、ケース上部21の上面21Aに形成された吸入口24に連通するように取り付けられている。エアクリーナ4は、内部に図示しないフィルタエレメントが収納されている。
【0024】
図5および図9に示すように、上記冷却ファン5は、排出口25に向けてケース2内の冷却風をケース2外へ排出するように設定されている。さらに詳しくは、冷却ファン5は、ケース2内の上部空間Stから空気を排出口25へ向けて送風するように設定されている。この冷却ファン5の駆動により排出口25から冷却風F5を排出することにより、吸入口24からエアクリーナ4を経てケース2内に浄化された空気を取り入れるようになっている。
【0025】
図4に示すように、吸気ダクト7は、エアクリーナ4側から導入した冷却風F1をケース2の一方の内側面2A(図6参照)に沿って下方へ向けて搬送できるように延在されている。この吸気ダクト7は、上部吸気ダクト71と、下部吸気ダクト72と、を備えている。これら上部吸気ダクト71および下部吸気ダクト72は、ともに偏平な角筒形状を有している。上部吸気ダクト71は、上側バッテリセル群32の側面に対向するように上側バッテリセル群32の側方に配置されている。下部吸気ダクト72は、下側バッテリセル群33の側面に対向するように下側バッテリセル群33の側方に配置されている。
【0026】
上部吸気ダクト71の下流端部は、中部水平連絡ダクト11に連通するように設けられている。また、下部吸気ダクト72の下流端部は、水平連絡ダクト10に連通するように設けられている。図6および図7に示すように、水平ダクト8は、下側バッテリセル群33の下面33B(図9参照)と対向する上面側が開放された凹溝部であり、溝幅寸法が上流側(車両前側)から下流側(車両後側)に向けて大きくなるように設定されている。中部水平ダクト9は、上側バッテリセル群32の下面32Bと対向する上面側が開放された凹溝部であり、溝幅寸法が上流側(車両前側)から下流側(車両後側)に向けて大きくなるように設定されている。
【0027】
水平ダクト8は、上側が開放された構造であるため、この水平ダクト8に対して幅方向(車両左右方向)にも冷却風を供給できるようになっている。同様に、中部水平ダクト9も上側が開放された構造であるため、中部水平ダクト9の幅方向(車両左右方向)にも冷却風を供給できるようになっている。
【0028】
[バッテリパックの車両搭載構造]
次に、本実施の形態に係るバッテリパック1の車両搭載構造について説明する。図1に示すように、バッテリパック1は、車両後部101のリヤフロアパネル105に形成した開口部110を覆うカバー部材111内に、ケース上部21が下方から挿入された状態で保持されている。すなわち、図2および図3に示すように、バッテリパック1のケース2に設けられたフランジ部23は、バッテリパック支持部材112に搭載された状態で固定されている。
【0029】
図1に示すように、エアクリーナ4は、カバー部材111の天井部としてのリッド111Bの下面と、バッテリパック1(ケース上部21)の頂面とで挟まれた空間103に配置されている。このため、エアクリーナ4は、バッテリパック1が搭載された空間103から空気を取り入れるようになっている。図5に示すように、バッテリパック1の排出口25は、車両前後方向の後側に配置されている。また、ケース2の下面に設けられている放熱フィン6は、車両前後方向に沿って延びるように配置されている。
【0030】
[バッテリパックの動作、作用、および効果]
以下、バッテリパック1の動作、作用、および効果について説明する。
本実施の形態に係るバッテリパック1では、空気が、ケース2の吸入口24から吸気ダクト7を通って下方に搬送される。冷却ファン5によって、空気がケース2の下側から上方に吸い上げられて、バッテリセル31同士または上側バッテリセル群32や下側バッテリセル群33などのバッテリセル群同士の隙間に空気が流れる。そして、空気は、冷却ファン5により排出口25へ向けて空気が送られ、ケース2の外部へと排出される。
【0031】
そして、ケース2の外側底面に複数の放熱フィン6を設けたことにより、吸気ダクト7でケース2の内側底面(底部空間Sb)に搬送された空気の熱を放熱できるとともに、水平ダクト8を通過する空気を冷却できる。これによって、バッテリセル31同士の間、または上側バッテリセル群32や下側バッテリセル群33などのバッテリセル群同士の隙間に流れ込む手前で空気の温度を下げることができる。したがって、温度が上がりきらない状態に冷却された空気をバッテリセル31同士の間、または上側バッテリセル群32や下側バッテリセル群33などのバッテリセル群同士の隙間に直接流し込むことができ、バッテリセル31の温度を均一化できる。この結果、本実施の形態では、バッテリセル31の出力性能を安定させて出力性能を高めることができる。
【0032】
さらに、本実施の形態では、バッテリパック1の底面に複数の放熱フィン6を取り付けたことで、ケース2の底面を放熱フィン6で補強でき、車両走行時に、放熱フィン6によって異物がケース2の底面と直接接触することを防止でき、バッテリパック1を保護できる。
【0033】
本実施の形態では、吸気ダクト7から供給される空気を、水平連絡ダクト10や中部水平連絡ダクト11で車両左右方向に搬送し、その後、これら水平連絡ダクト10や中部水平連絡ダクト11から水平ダクト8や中部水平ダクト9に搬送される。したがって、本実施の形態では、ケース2における一方の内側面から他方の内側面へ向けて空気を流すことができる。しかも、本実施の形態では、ケース2の平面輪郭内の領域全体に亘って均一に空気を流すことができる。したがって、本実施の形態では、バッテリセル31同士の隙間へ空気を確実に流し込むことができる。
【0034】
本実施の形態では、水平ダクト8や中部水平ダクト9の凹溝部の溝幅寸法が上流側から下流側に向けて大きくなるように設定されているため、凹溝部における上流端部側で下流側へ向かう空気の流速を高めることができ、凹溝部における下流端部側(他端側)にも空気を流すことができる。これによって、水平ダクト8や中部水平ダクト9における凹溝部の全長に亘った空気を流すことができ、バッテリセル31同士の間に確実に空気を流すことができ、バッテリセル31を確実に冷却できる。
【0035】
上記のバッテリパック1の搭載構造においては、上述したバッテリパック1の作用・効果に加えて、以下に説明するような作用・効果を奏する。すなわち、一般に、リヤフロアパネル105は、車室のフロアに比べて高い位置に設けられている。したがって、上記の搭載構造では、バッテリパック1におけるケース下部22を、リヤフロアパネル105の下方の大きな空間を利用して配置している。このため、本実施の形態では、全体として容量の大きくサイズが大きなバッテリパック1を、リヤフロアパネル105の上下の空間に効率的に搭載できる。また、上記のバッテリパック1の搭載構造においては、放熱フィン6に走行風を効率的に当てることができ、放熱効率を高めることができる。
【0036】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、この実施の形態における開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。本発明に係る車両用バッテリパック1は、上記した車両搭載構造としたときに顕著な効果を奏するが、上記した車両搭載構造に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0037】
S 隙間
Sb 底部空間
Sm 中部空間
1 バッテリパック
2 ケース
3 バッテリセル群
4 エアクリーナ
5 冷却ファン
6 放熱フィン
7 吸気ダクト(吸気流路)
8 水平ダクト(水平流路)
9 中部水平ダクト(中部水平流路)
10 水平連絡ダクト
11 中部水平連絡ダクト
12 下側セル支持フレーム
13 上側セル支持フレーム
21 ケース上部
21A 上面
21R 裏面
22 ケース下部
22B 底面(内側底面)
23 フランジ部
24 吸入口
25 排出口
31 バッテリセル
32 上側バッテリセル群
32B 下面
32T 上面
33 下側バッテリセル群
33B 下面
33T 上面
71 上部吸気ダクト
72 下部吸気ダクト
100 車両
103 空間
105 リヤフロアパネル
110 開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9