特許第6044245号(P6044245)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 横浜ゴム株式会社の特許一覧
特許6044245空気入りタイヤ用フィルム状部材の製造方法
<>
  • 特許6044245-空気入りタイヤ用フィルム状部材の製造方法 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6044245
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ用フィルム状部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/06 20060101AFI20161206BHJP
   B60C 5/14 20060101ALI20161206BHJP
   B29C 47/00 20060101ALI20161206BHJP
   B29C 47/06 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   B29D30/06
   B60C5/14 A
   B60C5/14 Z
   B29C47/00
   B29C47/06
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-221389(P2012-221389)
(22)【出願日】2012年10月3日
(65)【公開番号】特開2014-73608(P2014-73608A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2015年9月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(72)【発明者】
【氏名】原 祐一
(72)【発明者】
【氏名】友井 修作
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 峻
【審査官】 増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−016509(JP,A)
【文献】 特開2012−046614(JP,A)
【文献】 特開2012−007092(JP,A)
【文献】 特開2011−021146(JP,A)
【文献】 特開平07−205147(JP,A)
【文献】 特開平11−105098(JP,A)
【文献】 特公昭51−023987(JP,B1)
【文献】 特開2007−021899(JP,A)
【文献】 特開平11−058381(JP,A)
【文献】 特開平01−148551(JP,A)
【文献】 特開平04−103329(JP,A)
【文献】 特開平07−052229(JP,A)
【文献】 特開2009−132160(JP,A)
【文献】 特開平08−132439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/06
B29C 47/00
B29C 47/06
B60C 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)熱可塑性樹脂組成物をフィルム状に成形し、
(B)工程(A)により得られたフィルムをフィルム状部材に加工すること、
を含む、空気入りタイヤ用フィルム状部材の製造方法であって、さらに、
(C)工程(B)において、工程(A)により得られたフィルムをフィルム状部材に加工する際に生じたスクラップ材をチップ化してチップ状の熱可塑性樹脂組成物を得、
(D)工程(C)により得られたチップ状の熱可塑性樹脂組成物を、一端に材料供給口及び他端に排出口を有する二軸押出機の材料供給口に供給して、排出口から押出物を押出し、
(E)前記二軸押出機の排出口から押出された押出物を、前記二軸押出機の排出口に接続された材料供給口及び排出口並びに前記材料供給口より下流側に設けられた可塑化部を有する単軸押出機の材料供給口に供給し、可塑化部において可塑化し、排出口からフィルム状押出物として押出し、
(F)工程(E)により得られたフィルム状押出物をフィルム状部材に加工
(G)工程(F)により得られたフィルム状部材を、熱可塑性樹脂組成物から形成された1つ以上のフィルムと積層して多層積層体を形成すること、
を含む、空気入りタイヤ用フィルム状部材の製造方法。
【請求項2】
工程(D)において、前記チップ状の熱可塑性樹脂組成物とともにペレット状の熱可塑性樹脂組成物を前記二軸押出機の前記材料供給口に供給するか、又はペレット状の熱可塑性樹脂組成物を前記単軸押出機の前記材料供給口より上流側又は下流側に設けられた第2の材料供給口に供給することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記単軸押出機が、2機以上の単軸押出機を備えた共押出装置における1機の単軸押出機であり、前記共押出装置の当該1機の単軸押出機以外の1機以上の単軸押出機によりペレット状の熱可塑性樹脂組成物をフィルム状押出物として押出して、当該ペレット状の熱可塑性樹脂組成物から形成されたフィルム状押出物と前記チップ状の熱可塑性樹脂組成物から形成されたフィルム状押出物との多層積層体を形成することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記二軸押出機がコニカル二軸押出機である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記二軸押出機が噛合型二軸押出機である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記二軸押出機が異方向回転型二軸押出機である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記二軸押出機の少なくともスクリュー先端部本体が150℃〜250℃の温度に加熱される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記チップ状の熱可塑性樹脂組成物が、連続相として熱可塑性樹脂を含み、分散相としてエラストマーを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記チップ状の熱可塑性樹脂組成物が、当該チップ状の熱可塑性樹脂組成物の総質量を基準として、エラストマーを50〜85質量%の量で含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記熱可塑性樹脂が、ポリアミド系樹脂、ポリビニル系樹脂及びポリエステル系樹脂からなる群から選ばれる1又は2種以上を含む、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記チップ状の熱可塑性樹脂組成物が0.1質量%以下の含水率を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記工程(C)の前に、工程(B)において生じたスクラップ材を加熱装置を用いずにチップ化することにより、前記チップ状の熱可塑性樹脂組成物を得ることを含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記チップ化が、一軸ロータリー式スクリューカッター及びその下流側にメッシュスクリーンを有し、さらにその下流側に吸引ポンプを備えた裁断装置により実施される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記多層積層体が少なくとも3層からなり、前記多層積層体の両方の最外層がペレット状の熱可塑性樹脂組成物から形成される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物からの空気入りタイヤ用のフィルム状部材の製造方法及びそれを用いた空気入りタイヤに関し、より詳細には、本発明は、熱可塑性樹脂組成物から空気入りタイヤ用のフィルム状部材を製造する工程において生じたスクラップ材をフィルム状部材の製造に再利用することを含む、空気入りタイヤ用のフィルム状部材の製造方法及びそれを用いた空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂を連続相として含む熱可塑性樹脂組成物は、ガスバリヤー性、加工性などの特性に優れていることから、空気入りタイヤのフィルム状部材、例えばインナーライナーなどに利用されている。熱可塑性樹脂組成物を例えば単軸押出機及び二軸押出機、圧延ロールなどの装置を使用してフィルム状に成形した後、得られたフィルムから所望のフィルム状部材を得るために、フィルムを所望のサイズ及び形状にトリミングすることにより端材が発生する。かかるトリミングにより発生する端材の他、端面不揃いや、製膜工程で発生したボイド、穴、歪み、しわ、ダイラインなどの欠陥のために、製品にならない部分が発生する。歩留まりを向上させるには、かかる端材及び製品にならない部分(以下、端材及び製品にならない部分を総称して「スクラップ材」とも呼ぶ)を回収し、再利用することが望ましい。熱可塑性樹脂のスクラップ材の再利用に関連する技術として、特許文献1には、塩化ビニリデン樹脂を含有するスクラップ材を粉砕機で粉砕したものを、押出機を使用して、塩化ビニリデン系樹脂、220℃以下の温度で押出可能な熱可塑性樹脂の内外層及び220℃以下の温度で押出可能な接着剤層と共押出して多層プラスチックシート成形容器を形成することが記載されている。
【0003】
熱可塑性樹脂組成物のスクラップ材を再利用する技術として、熱可塑性樹脂組成物のスクラップ材を押出機に供給し、溶融させて、ペレットに再加工することが知られているが、熱可塑性樹脂組成物は加熱溶融により劣化しやすいこと、及び、熱履歴が異なる熱可塑性樹脂組成物は異なる押出性を示すことから、熱可塑性樹脂組成物のスクラップ材を、当初目的とした空気入りタイヤ用フィルム状部材の製造に再利用することは難しい。さらに、熱可塑性樹脂組成物のスクラップ材をペレットに再加工する工程により工程数が増し、生産性が低下する。熱可塑性樹脂組成物が吸湿性であり、スクラップ材をペレット化する際の溶融温度までの加熱温度で加水分解しうる成分を含む場合、例えば熱可塑性樹脂組成物中に含まれる熱可塑性樹脂が加水分解性である場合には、押出機に熱可塑性樹脂組成物のスクラップ材を供給する前に乾燥工程が必要である。押出機への供給前に熱可塑性樹脂組成物のスクラップ材を乾燥工程にかけない場合、加水分解性成分の加水分解により熱可塑性樹脂組成物の化学的及び/又は物理的特性、例えば、耐久性、ガスバリヤー性などが劣化する。さらに、ペレットは通常のホッパードライヤー等で容易に乾燥できるが、スクラップ材は流動性がない上に、大きさ、形状が一定でなく、乾燥させることが難しいため、化学的及び/又は物理的特性の劣化を防ぎつつペレット化することは困難であった。一方、熱可塑性樹脂組成物のスクラップ材を再利用する技術として、熱可塑性樹脂組成物のスクラップ材をチップ状にした後に単軸押出機により再加工する技術が知られているが、チップは嵩高く、流動性が悪いために、例えばホッパーなどの材料供給部から単軸押出機の材料供給口にスクラップ材を供給する場合には、ホッパー内及び/又は単軸押出機の材料供給口においてチップ同士が引っ掛かり合い、ホッパー内及び/又は単軸押出機の材料供給口付近においてチップがしばしばブリッジングする。ブリッジングは、単軸押出機へのチップの円滑な供給を妨げ、その結果、生産性が低下する。供給材料のブリッジングを防止するためにホッパー内を撹拌するホッパーアジテーターを使用することが知られているが、ホッパーアジテーターを使用する場合でも、単軸押出機の材料供給口付近においてチップがブリッジングすることがある。そのため、熱可塑性樹脂組成物のスクラップ材を、化学的及び/又は物理的特性の低下を最低限に抑えつつ高いリサイクル性及び生産性で再利用する方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1−148551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明は、熱可塑性樹脂組成物から空気入りタイヤ用のフィルム状部材を製造する工程において生じたスクラップ材から、化学的及び/又は物理的特性の低下を最低限に抑えつつ高いリサイクル性及び生産性で空気入りタイヤ用フィルム状部材を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物から空気入りタイヤ用のフィルム状部材を製造する工程において生じたスクラップ材から、二軸押出機と単軸押出機との組み合わせを使用して、化学的及び/又は物理的特性の低下を最低限に抑えつつ高いリサイクル性及び生産性で空気入りタイヤ用フィルム状部材を製造する方法を提供する。
【0007】
すなわち、本発明は、一態様において、
(A)熱可塑性樹脂組成物をフィルム状に成形し、
(B)工程(A)により得られたフィルムをフィルム状部材に加工すること、
を含む、空気入りタイヤ用フィルム状部材の製造方法であって、さらに、
(C)工程(B)において、工程(A)により得られたフィルムをフィルム状部材に加工する際に生じたスクラップ材をチップ化してチップ状の熱可塑性樹脂組成物を得、
(D)工程(C)により得られたチップ状の熱可塑性樹脂組成物を、一端に材料供給口及び他端に排出口を有する二軸押出機の材料供給口に供給して、排出口から押出物を押出し、
(E)二軸押出機の排出口から押出された押出物を、二軸押出機の排出口に接続された材料供給口及び排出口並びに前記材料供給口より下流側に設けられた可塑化部を有する単軸押出機の材料供給口に供給し、可塑化部において可塑化し、排出口からフィルム状押出物として押出し、
(F)工程(E)により得られたフィルム状押出物をフィルム状部材に加工すること、を含む、空気入りタイヤ用フィルム状部材の製造方法を提供する。
【0008】
別の態様において、本発明は、上記の空気入りタイヤ用フィルム状部材の製造方法において、工程(D)において、チップ状の熱可塑性樹脂組成物とともにペレット状の熱可塑性樹脂組成物を二軸押出機の前記材料供給口に供給するか、又はペレット状の熱可塑性樹脂組成物を単軸押出機の前記材料供給口より上流側又は下流側に設けられた第2の材料供給口に供給することを含む方法を提供する。
【0009】
別の態様において、本発明は、上記の空気入りタイヤ用フィルム状部材の製造方法において、さらに、(G)工程(F)により得られたフィルム状部材を、熱可塑性樹脂組成物から形成された1つ以上のフィルムと積層して多層積層体を形成することを含む方法を提供する。
【0010】
別の態様において、本発明は、上記の空気入りタイヤ用フィルム状部材の製造方法において、さらに、単軸押出機が、2機以上の単軸押出機を備えた共押出装置における1機の単軸押出機であり、共押出装置の当該1機の単軸押出機以外の1機以上の単軸押出機によりペレット状の熱可塑性樹脂組成物をフィルム状押出物として押出して、当該ペレット状の熱可塑性樹脂組成物から形成されたフィルム状押出物とチップ状の熱可塑性樹脂組成物から形成されたフィルム状押出物との多層積層体を形成することを含む方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の空気入りタイヤ用フィルム状部材の製造方法は、二軸押出機と単軸押出機との組み合わせを使用することによって、熱可塑性樹脂組成物から空気入りタイヤ用のフィルム状部材を製造する工程において生じたスクラップ材から、化学的及び/又は物理的特性の低下を最低限に抑えつつ高いリサイクル性及び生産性で空気入りタイヤ用フィルム状部材を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の方法において使用される二軸押出機と単軸押出機の組み合わせの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、図1を参照して、本発明の方法を実施するために使用される二軸押出機と単軸押出機の組み合わせの好適な実施形態を説明する。
図1には、二軸押出機1と単軸押出機2の組み合わせ100の概略断面図が示されている。二軸押出機1及び単軸押出機2はそれぞれ材料供給口及び排出口を有し、二軸押出機1の排出口は単軸押出機2の材料供給口に接続されている。なお、図1の二軸押出機1はコニカル二軸押出機を例として示されており、単軸押出機2のスクリュー根元部とスクリュー先端部、排出口は省略されている。単軸押出機2のシリンダー3内には、スクリュー4が設置されている。単軸押出機2は、材料供給口より押出方向下流側に設けられた可塑化部(図示せず)を有する。二軸押出機1の材料供給口から供給されたチップ状の熱可塑性樹脂組成物(又はチップ化されたスクラップ材)は、2本のスクリューにより噛み込まれ、排出口から押出される。二軸押出機1の排出口から押出された押出物は単軸押出機2の材料供給口からシリンダー2内に供給され、矢印方向に搬送され、可塑化部において可塑化され、排出口からフィルム状押出物として押出される。
【0014】
本発明の方法において、熱可塑性樹脂組成物をフィルム状に成形する工程(A)は、例えば単軸押出機及び二軸押出機、圧延ロールなどの装置を使用して実施できる。例えば、工程(A)は、熱可塑性樹脂とエラストマー(ゴムの場合は未加硫物)とを二軸押出機等の混練装置で溶融混練して連続相を形成する熱可塑性樹脂中にエラストマーを分散させ、フィルム状に押出成形する工程であることができる。工程(A)において使用される熱可塑性樹脂組成物中に含まれる熱可塑性樹脂の例としては、ポリアミド系樹脂(例えばナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン46(N46)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン610(N610)、ナイロン612(N612)、ナイロン6/66共重合体(N6/66)、ナイロン6/12共重合体、ナイロン6/66/610共重合体(N6/66/610)、ナイロンMXD6(MXD6)、ナイロン6T、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66/PPS共重合体)、及びそれらのN−アルコキシアルキル化物(例えば、ナイロン6のメトキシメチル化物、ナイロン6/610のメトキシメチル化物、ナイロン612のメトキシメチル化物)、ポリエステル系樹脂(例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、PET/PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、液晶ポリエステル、ポリオキシアルキレンジイミド酸/ポリブチレートテレフタレート共重合体などの芳香族ポリエステル)、ポリニトリル系樹脂(例えばポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、メタクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体)、ポリメタクリレート系樹脂(例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル)、ポリビニル系樹脂(例えば酢酸ビニル、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコール/エチレン共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PDVC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体、塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体)、セルロース系樹脂(例えば酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース)、フッ素系樹脂(例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフロロエチレン/エチレン共重合体)、イミド系樹脂(例えば芳香族ポリイミド(PI))などを挙げることができる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で、又は2種以上のブレンドで使用することができる。
【0015】
本発明において使用される熱可塑性樹脂組成物は、1又は2種以上の熱可塑性樹脂が連続相を形成し、当該連続相中に1又は2種以上のエラストマーが分散相として分散されたものであることが好ましい。分散相を形成するエラストマーの例としては、ジエン系ゴム及びその水添物(例えば天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、エポキシ化天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)(高シスBR及び低シスBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素化NBR、水素化SBR)、オレフィン系ゴム(例えばエチレンプロピレンゴム(EPDM、EPM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M−EPM)、マレイン酸変性エチレンブテンゴム、マレイン酸変性エチレンヘキセンゴム、マレイン酸変性エチレンオクテンゴム、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族ビニル又はジエン系モノマー共重合体、アクリルゴム(ACM)、アイオノマー)、含ハロゲンゴム(例えばBr−IIR、Cl−IIR、イソブチレンパラメチルスチレン共重合体の臭素化物(Br−IPMS)、クロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(CHR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレン(M−CM))、シリコーンゴム(例えばメチルビニルシリコーンゴム、ジメチルシリコーンゴム、メチルフェニルビニルシリコーンゴム)、含イオウゴム(例えばポリスルフィドゴム)、フッ素ゴム(例えばビニリデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム、含フッ素シリコーン系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム)、熱可塑性エラストマー(例えばスチレン−ブタジエン−スチレントリブロックポリマー(SBS)およびその水添物(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレントリブロックポリマー(SIS)およびその水添物(SEPS)、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロックポリマー(SIBS)、ポリアミドとポリエーテルの共重合体(TPAE)、ポリエステルとポリエーテルの共重合体(TPEE)、ポリウレタンエラストマー(TPU))が挙げられる。これらのエラストマーは、単独で、又は2種以上のブレンドで使用することができる。
【0016】
エラストマーを加硫する場合には、混練下で加硫剤を添加し、エラストマーを動的加硫させても良い。また、熱可塑性樹脂又はエラストマーへの各種配合剤は、上記混練中に添加しても良いが、混練の前に予め混合しておくことが好ましい。熱可塑性樹脂とエラストマーの混練に使用する混練機としては、特に限定はなく、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等が挙げられる。中でも熱可塑性樹脂とエラストマー成分の混練及びエラストマーの動的加硫には二軸押出機を使用するのが好ましい。更に、2種類以上の混練機を使用し、順次混練してもよい。溶融混練の条件として、温度は熱可塑性樹脂が溶融する温度以上であれば良い。また、混練時の最大剪断速度は1000〜7500秒−1であることが好ましい。総混練時間は30秒間〜10分間であることが好ましい。加硫剤を添加した場合には、添加後の加硫時間は15秒間〜5分間であることが好ましい。上記方法で調製された熱可塑性樹脂組成物は、次に、例えば押出成形、カレンダー成形などの方法によりフィルムに成形される。フィルム成形方法は、通常の熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーをフィルムに成形する方法であることができる。
【0017】
熱可塑性樹脂組成物とエラストマー組成物との相溶性が異なる場合は、相溶化剤を配合することにより、両者を相溶化させるのが好ましい。相溶化剤を配合することにより、熱可塑性樹脂組成物とエラストマー組成物の界面張力が低下し、分散相を形成しているエラストマー粒子径が微細になることから、両成分の特性はより有効に発現されることになる。そのような相溶化剤としては、一般的に、熱可塑性樹脂及びエラストマー成分の両方又は片方の構造を有する共重合体、或いは熱可塑性樹脂又はエラストマー成分と反応可能なエポキシ基、カルボニル基、ハロゲン基、アミノ基、オキサゾリン基、水酸基等を有した共重合体の構造をとるものとすることができる。これらは混合される熱可塑性樹脂とエラストマー成分の種類によって選定すれば良いが、通常使用されるものには、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン−エチルアクリレート共重合体、エポキシ変性エチレンメタクリレート共重合体、エポキシ変性スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン/エチレン・ブチレンブロック共重合体(SEBS)及びそのマレイン酸変性物、EPDM、EPDM/スチレン又はEPDM/アクリロニトリルグラフト共重合体及びそのマレイン酸変性物、スチレン/マレイン酸共重合体、反応性フェノキシ樹脂等を挙げることができる。かかる相溶化剤の配合量には特に限定はないが、好ましくはポリマー成分(熱可塑性樹脂とエラストマー成分の総和)100重量部に対して、0.5〜20重量部が良い。また、この相溶化剤により、分散相のエラストマー粒子径は10μm以下、更には5μm以下、特に0.1〜2μmとすることが好ましい。
【0018】
熱可塑性樹脂組成物には、本発明の目的に反しない限り、必要に応じて、上記の成分に加えて、補強性、加工性、分散性、耐熱性、老化防止性などの特性を改善するために、補強剤、加工助剤、相溶化剤、安定剤、老化防止剤などの一般的な樹脂又はゴム用の一般的な添加剤を添加してもよい。これらの添加剤の量は、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量であることができる。
【0019】
工程(A)により得られたフィルムは、次に、工程(B)において空気入りタイヤのフィルム状部材に加工される。上記熱可塑性樹脂組成物から得られるフィルムはガスバリヤー性、加工性などの特性に優れていることから、例えば、空気入りタイヤのフィルム状部材は、インナーライナーなどの気体遮断性部材であることができる。工程(A)により得られたフィルムをフィルム状部材に加工する際に、所望のフィルム状部材を得るためにスクラップ材が発生する。工程(B)において発生したスクラップ材は、回収され、当初目的とした空気入りタイヤ用フィルム状部材の製造に再利用するために、次に、工程(C)においてチップ化される。チップ化は、熱可塑性樹脂組成物のスクラップ材を、熱可塑性樹脂組成物が劣化するような温度に加熱せずに裁断することができるいかなる装置を使用して実施することができる。熱可塑性樹脂組成物のスクラップ材をチップ化するために使用できる裁断装置の好ましい具体例としては、例えば一軸ロータリー式スクリューカッター及びその下流側にメッシュスクリーンを有し、さらにその下流側に吸引ポンプを備えた裁断装置が挙げられる。一軸ロータリー式スクリューカッターは、熱可塑性樹脂組成物のスクラップ材を発熱を抑えて裁断することができる上、吸引ポンプによって空冷効果が得られ、材料、カッターともほとんど発熱することなく裁断することができるため好ましい。噛合式の2軸カッターでは、柔軟な薄肉フィルムをうまく裁断することはできず、発熱したり、凝集物を生じたり、カットミスを生じる問題がある。熱可塑性樹脂組成物のスクラップ材を上記裁断装置により裁断することにより得られた裁断物はメッシュスクリーンのメッシュサイズを調整することで所望の大きさのチップを得ることができる。スクラップ材はメッシュスクリーンを通る大きさになるまで一軸ロータリー式スクリューカッターで裁断され、メッシュスクリーンを通った裁断物は吸引ポンプによって空気搬送される。スクラップ材は流動性がない上に大きさ、形状が一定でなく乾燥が難しいため、熱可塑性樹脂組成物の加水分解などによる劣化を防止するためには、スクラップ材を加熱せずにチップ化することが好ましい。チップの大きさは、二軸押出機の噛み込み能力に応じて調節することができ、チップの大きさは特に制限されないが、チップは、所望の大きさのパンチ穴が開いたメッシュスクリーンを通過するサイズを有し、典型的には約5mm〜約20mmである。上記チップ化により得られたチップ状の熱可塑性樹脂組成物は後述する二軸押出機及び単軸押出機による押出工程で溶融押出されるため、チップ状の熱可塑性樹脂組成物が加水分解性の成分を含む場合には、溶融押出の際の加水分解性成分の加水分解を防止するために、チップ状の熱可塑性樹脂組成物を含水率が0.1質量%以下になるまで事前乾燥することが好ましい。
【0020】
本発明の方法において使用される二軸押出機は、一端に材料供給口及び他端に排出口を有する。この二軸押出機としては、市販の二軸押出機を使用できる。チップ状の熱可塑性樹脂組成物は、二軸押出機の材料供給口に供給され、排出口から押出される。二軸押出機の排出口は、材料供給口及び排出口を有する単軸押出機の材料供給口に接続されている。単軸押出機は、さらに、材料供給口より押出方向下流側に設けられた可塑化部を有する。二軸押出機はチップ状の熱可塑性樹脂組成物を噛み込み、ブリッジングを防止することができる。そのため、単軸押出機への材料供給部として二軸押出機を使用することによって、チップ状の熱可塑性樹脂組成物を単軸押出機に円滑に送り出すことができる。
【0021】
二軸押出機は、2本のスクリューのフライトが互いに噛み合っている噛合式の二軸押出機であっても、2本のスクリューのフライトが互いに噛み合っていない非噛合式の二軸押出機であってもよい。チップを噛み込む能力及び排出口から送り出す能力が高いことから、二軸押出機は、噛合式二軸押出機であることが好ましい。二軸押出機の2本のスクリューの回転方向は、同方向であっても異方向であってもよい。チップを噛み込む能力及び排出口から送り出す能力が高いことから、二軸押出機は、異方向回転式二軸押出機であることが好ましい。二軸押出機のうち、チップを噛み込む能力及び排出口から送り出す能力が特に高いことから、二軸押出機はコニカル二軸押出機であることがより好ましい。コニカル二軸押出機は、軸が互いに斜交している2本のコーン型スクリューを有する。
【0022】
チップ状の熱可塑性樹脂組成物の送出性を高めるために、チップ状の熱可塑性樹脂組成物を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度に応じて、二軸押出機の少なくともスクリュー先端部において熱可塑性樹脂組成物が半溶融状態に加熱されることが好ましい。熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度に応じて、二軸押出機のケーシングやスクリューを、例えば150〜250℃の温度に加熱することができる。この加熱温度は、熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度よりも高いことがより好ましい。二軸押出機は、少なくともスクリュー先端部に、熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度に応じて加熱できる温調ゾーンを有することが好ましい。チップの押出性を高めるために、二軸押出機と前記単軸押出機の間に別の単軸押出機を設けることもできる。中間に設けた単軸押出機は材料供給口及び排出口をそれぞれ二軸押出機、前記単軸押出機と接続する。中間の単軸押出機のスクリューには可塑化部はなくても良いが、加熱できる温調ゾーンを備えてチップを半溶融するまで十分に加熱できることが好ましい。チップ状の熱可塑性樹脂組成物は、加熱により半溶融させて塊状にして二軸押出機の排出口から押出すことができる。二軸押出機の排出口から押出された塊状の熱可塑性樹脂組成物は、次に、単軸押出機に供給される。単軸押出機は材料供給口及び排出口を有し、単軸押出機の材料供給口は二軸押出機の排出口に接続されている。単軸押出機は、材料供給口より押出方向下流側に設けられた可塑化部を有し、単軸押出機に供給された熱可塑性樹脂組成物は、可塑化部において可塑化され、排出口に接続したダイによりフィルム状に押出される。このように押出されたフィルム(再生フィルム)は、スクラップ材が発生した当初目的としたタイヤ用部材の製造に再利用することができる。スクリューには、フルフライトの部分と、マドック等の混練部、パイナップルヘッド等の分散混合部などが設けられていることがより確実に混練し、均質化するために好ましく、押出精度を高めるためにバリアフライト部を設けることがさらに好ましい。
【0023】
本発明の上記方法は、工程(D)において、チップ状の熱可塑性樹脂組成物(再利用材)とともにペレット状の熱可塑性樹脂組成物(新材)を二軸押出機の材料供給口に供給するか、又はペレット状の熱可塑性樹脂組成物(新材)を単軸押出機の材料供給口より押出方向上流側又は下流側に設けられた第2の材料供給口に供給することを含んでもよい。新材としてのペレット状の熱可塑性樹脂組成物は、チップ状の熱可塑性樹脂組成物と同じ成分から構成されたものであることができる。新材としてのペレット状の熱可塑性樹脂組成物は、チップ状の熱可塑性樹脂組成物の構成成分として先に記載したタイプの熱可塑性樹脂、エラストマー、相溶化剤その他の添加剤を含むものであることができる。
【0024】
ペレット状の熱可塑性樹脂組成物は、市販品であるか、又は当業者に知られている方法により得られたものであることができる。ペレットの形状及び大きさは特に制限されないが、例えば、溶融混練した熱可塑性樹脂組成物を、溶融状態で二軸押出機の吐出口に取り付けられたダイからストランド状に押出し、樹脂用ペレタイザーでペレット化することによって、円柱状の熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。二軸押出機の吐出口にギアポンプとアンダーウォーターカッターを接続し、吐出と同時にカットすることで球状または楕円球状の熱可塑性樹脂組成物ペレットを得ることもできる。ペレットの大きさは、典型的には、直径約1mm〜約5mm、長さ約3mm〜約6mmである。
【0025】
チップ状の熱可塑性樹脂組成物(再利用材)を使用して得られたフィルム状押出物を、さらに、熱可塑性樹脂組成物(新材)から形成された1つ以上のフィルムと積層して多層積層体を形成することができる。例えば、チップ状の熱可塑性樹脂組成物(再利用材)とペレット状の熱可塑性樹脂組成物(新材)を別々のフィルム成装置でフィルムに成した後、それらを積層することによって多層積層体を形成することができる。ダイ外で積層させることでそれぞれの層を精度良く形成できる。
【0026】
二軸押出機から供給されたチップ状の熱可塑性樹脂組成物(再利用材)に由来する押出物が供給される単軸押出機は、2機以上の単軸押出機を備えた共押出装置における1機の単軸押出機であってもよい。共押出装置における他の単軸押出機によりペレット状の熱可塑性樹脂組成物(新材)をチップ状の熱可塑性樹脂組成物(再利用材)とともに共押出して多層積層体を形成することができる。共押出装置を構成する単軸押出機2つ以上の層からなり、各層の構成原料を、それぞれ別々の単軸押出機に投入して溶融押出し、Tダイ成形又はインフレーション成形により共押出して積層することができる。ダイ内で積層状態を形成するため各層間の接着を良好にすることができるのである。ペレット状の熱可塑性樹脂組成物(新材)とチップ状の熱可塑性樹脂組成物(再利用材)とは、形状が異なるため、それぞれ別々の押出機を使用して押出した後、積層して多層積層体を形成することが、押出機のフィード安定性及び作業性の点から好ましい。チップ状の熱可塑性樹脂組成物(再利用材)は、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物(新材)と比べて、劣化しているおそれがあるため、また、異物を含むおそれがあるため、多層積層体を形成する際には、チップ状の熱可塑性樹脂組成物(再利用材)から得られたフィルムが、ペレット状の熱可塑性組成物(新材)から得られた2以上のフィルムの間に挟まれることが好ましい。上記のようにスクラップ材を再利用することによって、高いリサイクル性を達成することができるとともに、スクラップ材を再利用して形成された多層積層体は、熱可塑性樹脂が有する高いガスバリヤー性などの優れた特性を最大限に発揮することができる。
【実施例】
【0027】
以下に示す実施例及び比較例を参照して本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例によって限定されるものでないことは言うまでもない。
<熱可塑性樹脂組成物>
(A)ポリアミド樹脂(ナイロン6/66共重合体:ナイロン6:ナイロン6/12共重合体=3:5:2)32%、臭素化イソブチレンパラメチルスチレン共重合ゴム63%、マレイン酸変性エチレンエチルアクリレート共重合体5%(比率は全ポリマー中の体積率)、架橋剤として亜鉛華を使用し、混合中にゴムを動的に架橋した熱可塑性樹脂組成物。
(B)エチレンビニルアルコール共重合体(エチレン量48mol%)22%、ポリアミド樹脂(ナイロン6/66共重合体:ナイロン6:ナイロン6/12共重合体=3:5:2)10%、マレイン酸変性エチレンブテンエラストマー68%(比率は全ポリマー中の体積率)、架橋剤としてトリス−(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートを使用し、混合中にエラストマーを動的に架橋した熱可塑性樹脂組成物。
<スクラップ材>
上記の熱可塑性樹脂組成物(A)または熱可塑性樹脂組成物(B)のペレット(新材)を、単軸押出機を備えた円筒インフレーション成形機に投入して所望の寸法のフィルムに成形する際に発生した、寸法不良屑(スクラップ材)を貯めておき、下記のように再利用した。
【0028】
<参考例>
熱可塑性樹脂組成物(A)のペレットおよび熱可塑性樹脂組成物(B)のペレット(新材)をそれぞれ単軸押出機を備えた円筒インフレーション成形機を使用して厚み130μmの単層フィルムに成形した。
<比較例1>
熱可塑性樹脂組成物(A)のスクラップ材を、一軸ロータリー式スクリューカッターを備えた裁断装置でチップ化し、得られたチップを再度単軸押出機に投入したがチップがブリッジングして押出できず、押出物を得られなかった。
<比較例2>
熱可塑性樹脂組成物(A)のスクラップ材を、一軸ロータリー式スクリューカッターを備えた裁断装置でチップ化し、得られたチップを100℃で3時間乾燥した後、150℃に加熱した噛合型異方向回転コニカル2軸スクリュー押出機で押出して凝集塊を作成した。得られた凝集塊を円筒インフレーション成形機の単軸押出機に投入したが、スクリューへの食い込みが悪くフィルムを作製できなかった。
<比較例3>
熱可塑性樹脂組成物(A)のスクラップ材を、乾燥せずに、単軸スクリューを備えた溶融式ペレット化装置に投入して230℃で溶融押出し、ペレット化することにより得られたペレットを100℃で3時間乾燥し、単軸押出機を備えた円筒インフレーション成形機にて厚み130μmの単層フィルムに成形した。ペレット化の際、加水分解で劣化した熱可塑性樹脂組成物がダイ吐出部に目やにとなって付着し、得られたフィルムにも細かく粉砕された粒として劣化物が散在していた。
【0029】
<実施例1>
熱可塑性樹脂組成物(A)のスクラップ材を、一軸ロータリー式スクリューカッターを備えた裁断装置でチップ化し、得られたチップを100℃で3時間乾燥して含水率(加熱減量式の水分計で測定)を0.1質量%以下とし、円筒インフレーション成形機の単軸押出機に接続され、加熱温度180℃に設定された噛合型異方向回転コニカル2軸スクリュー押出機に投入し、厚み130μmの単層フィルム(再生フィルム)に成形した。
<実施例2>
熱可塑性樹脂組成物(A)のスクラップ材を、一軸ロータリー式スクリューカッターを備えた裁断装置でチップ化し、得られたチップを100℃で3時間乾燥して含水率(加熱減量式の水分計で測定)を0.1質量%以下とし、円筒インフレーション成形機の単軸押出機に接続され、加熱温度180℃に設定された噛合型異方向回転コニカル2軸スクリュー押出機に投入し、厚み130μmの単層フィルム(再生フィルム)に成形した。一方、未成形(未使用)の熱可塑性樹脂組成物(A)(新材)のペレットは直接単軸押出機に投入した。チップと新材ペレットの比は3:7であった。
<実施例3>
熱可塑性樹脂組成物(B)のスクラップ材を、一軸ロータリー式スクリューカッターを備えた裁断装置でチップ化し、得られたチップを100℃で3時間乾燥して含水率(加熱減量式の水分計で測定)を0.1質量%以下とし、150℃に加熱した噛合型異方向回転コニカル2軸スクリュー押出機に投入した。当該押出機は2種3層の円筒インフレーション成形機の1機の単軸押出機に接続され、スクラップ材から得られたチップは厚み40μmの中間層(単層の再生フィルム)を構成した。一方、未成形(未使用)の熱可塑性樹脂組成物(B)(新材)のペレットを、前記インフレーション成形機に接続された別の2機の単軸押出機に投入し、それぞれ厚み45μmの内側及び外側の2つの層を形成した。次に、一端を切り開いて一枚のフィルムにした。得られたフィルムの総厚みは130μmであった。
【0030】
押出フィルム及び多層積層体の評価
参考例、比較例3及び実施例1〜3で得られた押出フィルム及び多層積層体について、:各例に記載のフィルム状部材をインナーライナーに用いて195/65/R15サイズのタイヤを作製し、空気圧120KPa、−20℃雰囲気下で4.8kNの荷重をかけて金属ドラム上を30000kmまで走行させた。
<評価方法>
走行後にインナーライナーを観察し、10mm以上の長さのクラックが発生したものを不合格と評価した。
【0031】
【表1】
【0032】
表1に示される評価結果から、熱可塑性樹脂組成物の発熱を抑えることができるチップ化による再生が熱可塑性樹脂組成物の熱履歴を低減するのに有効であること、またチップを良好に押出すためには噛み込みの良い2軸押出機を単軸押出機に接続して用いることが有効であること、さらにはスクラップ材から得られた再生フィルムを中間に、新材フィルムを外層にした多層化が、再生フィルムの疲労破壊を抑制する対策として有効であることが判る。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上のとおり、本発明の空気入りタイヤ用フィルム状部材の製造方法は、熱可塑性樹脂組成物から空気入りタイヤ用のフィルム状部材を製造する工程において生じたスクラップ材から、化学的及び/又は物理的特性の低下を最低限に抑えつつ高いリサイクル性及び生産性で空気入りタイヤ用フィルム状部材を製造することができる。従って、空気入りタイヤの製造において有用である。
【符号の説明】
【0034】
100 単軸押出機と二軸押出機の組み合わせ
1 二軸押出機
2 単軸押出機
3 シリンダー
4 スクリュー
図1