特許第6044263号(P6044263)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6044263
(24)【登録日】2016年11月25日
(45)【発行日】2016年12月14日
(54)【発明の名称】通信品質測定システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/70 20130101AFI20161206BHJP
   H04M 3/00 20060101ALI20161206BHJP
【FI】
   H04L12/70 100Z
   H04M3/00 E
   H04M3/00 B
【請求項の数】3
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-234792(P2012-234792)
(22)【出願日】2012年10月24日
(65)【公開番号】特開2014-86904(P2014-86904A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年8月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090620
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 宣幸
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(72)【発明者】
【氏名】神澤 賢吾
【審査官】 速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−081534(JP,A)
【文献】 特開2005−236909(JP,A)
【文献】 特開2011−030051(JP,A)
【文献】 特開2008−085906(JP,A)
【文献】 特開2008−193335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/70
H04M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信装置から送出されたメディアデータのフレーム列を、第2の通信装置が対応する種類の通信メディアのフレーム列に変換して、上記第2の通信装置に向けて送出するメディア変換装置を備えるネットワークに対して、通信品質に係るパラメータを測定する通信品質測定システムにおいて、
上記ネットワーク上の第1の測定点に配置された第1の測定装置と、上記ネットワーク上の第2の測定点に配置された第2の測定装置とを備え、
上記第1の測定装置は、上記メディア変換装置を介して、上記第2の測定装置へ向けて、第1の種類の通信メディアのフレーム列を送出するメディアフレーム送出手段を有し、
上記第2の測定装置は、上記第1の測定装置から、上記メディア変換装置を介して、第2の種類の通信メディアのフレーム列を受信するメディアフレーム受信手段と、受信した各フレームに関する測定処理を行う測定手段とを有し、
上記第2の測定装置の測定手段が測定したフレームごとの測定結果を含む測定データを蓄積する蓄積手段と、
上記蓄積手段が蓄積した測定データを利用して、上記第1の測定装置から送出された各フレームと、上記第2の測定装置で受信した各フレームとの間で対応する組合せを求めるフレーム対応関係取得手段と、
上記フレーム対応関係取得手段で対応関係が求められたフレームの各組合せについて、上記蓄積手段で蓄積した測定データから、上記第1の測定点と上記第2の測定点との間の通信品質に係るパラメータを算出する通信品質算出手段と、
上記第1の測定装置は、上記メディア変換装置を介して、送出するフレーム列のセッションに係る制御情報を送信する制御情報送信手段をさらに備え、
上記第2の測定装置は、上記第1の測定装置から受信した制御情報に基づいて、上記第1の測定装置から送出される各フレームの送出タイミングを取得するフレーム送出タイミング取得手段をさらに備え、
上記蓄積手段は、少なくとも、上記第2の測定装置が受信する各フレームの受信タイミングと、上記第2の測定装置が受信する制御情報の一部又は全部を測定データの一部として蓄積し、
上記通信品質算出手段は、上記フレーム対応関係取得手段で対応関係が求められたフレームの各組合せについて、上記第1の測定装置での送信タイミングと、上記第2の測定装置での受信タイミングとに基づき、フレーム転送遅延時間を求め、
上記通信品質算出手段は、上記第2の測定装置でのフレームのロス率が所定値を超過した区間があった場合には、当該区間に係るフレーム転送遅延時間の算出を行わずに、次の区間に係るフレーム転送遅延時間を算出する処理に移行する
ことを特徴とする通信品質測定システム。
【請求項2】
上記ネットワークは、複数のアプリケーションサービスに対応し、
上記第1の測定装置は、
上記ネットワークが対応するアプリケーションごとに、当該アプリケーションの識別子と、当該アプリケーションの通信条件情報を記憶する通信情報記憶手段と、
アプリケーションの識別子が入力されると、当該識別子のアプリケーションに対応する通信条件で上記メディアフレーム送出手段にフレーム送信を実行させる送信制御手段とをさらに有する
ことを特徴とする請求項に記載の通信品質測定システム。
【請求項3】
第1の通信装置から送出されたメディアデータのフレーム列を、第2の通信装置が対応する種類の通信メディアのフレーム列に変換して、上記第2の通信装置に向けて送出するメディア変換装置を備えるネットワークに対して、通信品質に係るパラメータを測定するものであって、上記ネットワーク上の第1の測定点に配置された第1の測定装置と、上記ネットワーク上の第2の測定点に配置された第2の測定装置とを備える通信品質測定システムが行う通信品質測定方法において、
メディアフレーム送出手段、メディアフレーム受信手段、測定手段、蓄積手段、フレーム対応関係取得手段、通信品質算出手段、制御情報送信手段、フレーム送出タイミング取得手段を備え、
上記メディアフレーム送出手段は、上記第1の測定装置から、上記メディア変換装置を介して、上記第2の測定装置へ向けて、第1の種類の通信メディアのフレーム列を送出し、
上記メディアフレーム受信手段は、上記第2の測定装置により、上記第1の測定装置から、上記メディア変換装置を介して、第2の種類の通信メディアのフレーム列を受信し、
上記測定手段は、上記メディアフレーム受信手段が受信した各フレームに関する測定処理を行い、
上記蓄積手段は、上記測定手段が測定したフレームごとの測定結果を含む測定データを蓄積し、
上記フレーム対応関係取得手段は、上記蓄積手段が蓄積した測定データを利用して、上記第1の測定装置から送出された各フレームと、上記第2の測定装置で受信した各フレームとの間で対応する組合せを求め、
上記通信品質算出手段は、上記フレーム対応関係取得手段で対応関係が求められたフレームの各組合せについて、上記蓄積手段で蓄積した測定データから、上記第1の測定点と上記第2の測定点との間の通信品質に係るパラメータを算出し、
上記制御情報送信手段は、上記第1の測定装置から、上記メディア変換装置を介して、送出するフレーム列のセッションに係る制御情報を送信し、
上記フレーム送出タイミング取得手段は、上記第2の測定装置が、上記第1の測定装置から受信した制御情報に基づいて、上記第1の測定装置から送出される各フレームの送出タイミングを取得し、
上記蓄積手段は、少なくとも、上記第2の測定装置が受信する各フレームの受信タイミングと、上記第2の測定装置が受信する制御情報の一部又は全部を測定データの一部として蓄積し、
上記通信品質算出手段は、上記フレーム対応関係取得手段で対応関係が求められたフレームの各組合せについて、上記第1の測定装置での送信タイミングと、上記第2の測定装置での受信タイミングとに基づき、フレーム転送遅延時間を求め、
上記通信品質算出手段は、上記第2の測定装置でのフレームのロス率が所定値を超過した区間があった場合には、当該区間に係るフレーム転送遅延時間の算出を行わずに、次の区間に係るフレーム転送遅延時間を算出する処理に移行する
ことを特徴とする通信品質測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通信品質測定システム及び方法に関し、例えば、NGN(Next Generation Network)等のネットワーク上の、通信品質測定に適用し得る。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワーク品質を評価する評価値を測定する方法としては、大きく分けて、「アクティブ測定」と「パッシブ測定」の二つの種類に分類できる。
【0003】
パッシブ測定では、被評価対象のネットワーク上に測定装置を設置して、測定情報(例えば、流通するトラフィック)を取得(キャプチャ)し、そのデータを加工して品質情報を得る。パッシブ測定では、被評価対象のネットワーク上を流れるユーザトラフィック自体の通信品質も測定することが可能であるが、被評価対象ネットワークで通信(トラフィック)が発生していないと測定することができない。
【0004】
アクティブ測定とは、被測定対象のネットワーク上で測定装置自身が通信(例えば、試験用トラフィック等の通信)を行い、その時の当該ネットワークの通信品質に係るパラメータ(例えば、遅延時間等)を測定する。上述の通り、アクティブ測定では、測定装置として、通信機能に対応する必要があるが、任意の地点に測定装置を設置し、任意の時刻に測定することが可能となる。アクティブ測定に関する既存技術としては、例えば、非特許文献1や、特許文献1の記載技術がある。
【0005】
非特許文献1には、NGNにおいて、各UNI点(User−Network Interface)にアクティブプローブ(測定装置)を配置して、アクティブプローブ間でアクティブ測定により当該NGNの通信品質を測定することについて記載されている。
【0006】
特許文献1には、NGN等の品質クラスの異なる複数のアプリケーションを提供するネットワークについて効率的に通信品質に係る測定を行うことについて記載されている。具体的には、特許文献1には、測定装置にアプリケーション(品質クラス)ごとに、測定項目を設定しておき、測定時に測定対象のアプリケーション選択を行うだけで、品質評価に必要なトラフィックを発生させて、当該ネットワークに係る品質評価を行うことができるシステムについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−30051号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】日本電信電話株式会社 編、「NGNエンドエンド品質測定システム」、[Online]、INTERNET、[2012年10月10日検索],<URL:http://www.ntt.co.jp/RD/OFIS/active/2010pdf/hot/nw/01.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1や非特許文献1に示される従来の測定技術では、メディア変換を伴う通信セッションに係る通信品質を正確に測定することについては、詳細に検討されていないという問題がある。例えば、「G.711」に対応する固定電話と「G.729」に対応する携帯電話との間の通信品質の測定(例えば、通信遅延時間の測定)を行う場合、従来技術では、例えば、単位当たりのパケット送信時刻とパケット受信時刻をスタート時点から順次照合することが挙げられる。しかし、上述の例の場合、メディア変換前後で、分割周期やコーデックの差分によりパケット数が違う為、従来技術では、正確にエンドエンド(End to End)で発生する遅延(以下、「パケット転送遅延時間」と呼ぶ)を求めることが出来ないという問題がある。このような問題は、音声メディアだけでなく、動画像メディアの場合でも、フレームレートやコーデック差分等により同様の問題が発生する。
【0010】
上述のような問題は、特に、移動体通信と有線通信を密接に連携させるFMC(Fixed Mobile Convergence)やIPTVサービスを提供するネットワークにおいて発生する。
【0011】
そのため、通信メディアの変換が行われるネットワークにおいても、通信品質の測定を行うことができる通信品質測定システム及び方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の本発明は、第1の通信装置から送出されたメディアデータのフレーム列を、第2の通信装置が対応する種類の通信メディアのフレーム列に変換して、上記第2の通信装置に向けて送出するメディア変換装置を備えるネットワークに対して、通信品質に係るパラメータを測定する通信品質測定システムにおいて、(1)上記ネットワーク上の第1の測定点に配置された第1の測定装置と、上記ネットワーク上の第2の測定点に配置された第2の測定装置とを備え、(2)上記第1の測定装置は、上記メディア変換装置を介して、上記第2の測定装置へ向けて、第1の種類の通信メディアのフレーム列を送出するメディアフレーム送出手段を有し、(3)上記第2の測定装置は、上記第1の測定装置から、上記メディア変換装置を介して、第2の種類の通信メディアのフレーム列を受信するメディアフレーム受信手段と、受信した各フレームに関する測定処理を行う測定手段とを有し、(4)上記第2の測定装置の測定手段が測定したフレームごとの測定結果を含む測定データを蓄積する蓄積手段と、(5)上記蓄積手段が蓄積した測定データを利用して、上記第1の測定装置から送出された各フレームと、上記第2の測定装置で受信した各フレームとの間で対応する組合せを求めるフレーム対応関係取得手段と、(6)上記フレーム対応関係取得手段で対応関係が求められたフレームの各組合せについて、上記蓄積手段で蓄積した測定データから、上記第1の測定点と上記第2の測定点との間の通信品質に係るパラメータを算出する通信品質算出手段と、(7)上記第1の測定装置は、上記メディア変換装置を介して、送出するフレーム列のセッションに係る制御情報を送信する制御情報送信手段をさらに備え、(8)上記第2の測定装置は、上記第1の測定装置から受信した制御情報に基づいて、上記第1の測定装置から送出される各フレームの送出タイミングを取得するフレーム送出タイミング取得手段をさらに備え、(9)上記蓄積手段は、少なくとも、上記第2の測定装置が受信する各フレームの受信タイミングと、上記第2の測定装置が受信する制御情報の一部又は全部を測定データの一部として蓄積し、(10)上記通信品質算出手段は、上記フレーム対応関係取得手段で対応関係が求められたフレームの各組合せについて、上記第1の測定装置での送信タイミングと、上記第2の測定装置での受信タイミングとに基づき、フレーム転送遅延時間を求め、(11)上記通信品質算出手段は、上記第2の測定装置でのフレームのロス率が所定値を超過した区間があった場合には、当該区間に係るフレーム転送遅延時間の算出を行わずに、次の区間に係るフレーム転送遅延時間を算出する処理に移行することを特徴とする。
【0013】
第2の本発明は、第1の通信装置から送出されたメディアデータのフレーム列を、第2の通信装置が対応する種類の通信メディアのフレーム列に変換して、上記第2の通信装置に向けて送出するメディア変換装置を備えるネットワークに対して、通信品質に係るパラメータを測定するものであって、上記ネットワーク上の第1の測定点に配置された第1の測定装置と、上記ネットワーク上の第2の測定点に配置された第2の測定装置とを備える通信品質測定システムが行う通信品質測定方法において、(1)メディアフレーム送出手段、メディアフレーム受信手段、測定手段、蓄積手段、フレーム対応関係取得手段、通信品質算出手段、制御情報送信手段、フレーム送出タイミング取得手段を備え、を備え、(2)上記メディアフレーム送出手段は、上記第1の測定装置から、上記メディア変換装置を介して、上記第2の測定装置へ向けて、第1の種類の通信メディアのフレーム列を送出し、(3)上記メディアフレーム受信手段は、上記第2の測定装置により、上記第1の測定装置から、上記メディア変換装置を介して、第2の種類の通信メディアのフレーム列を受信し、(4)上記測定手段は、上記メディアフレーム受信手段が受信した各フレームに関する測定処理を行い、(5)上記蓄積手段は、上記測定手段が測定したフレームごとの測定結果を含む測定データを蓄積し、(6)上記フレーム対応関係取得手段は、上記蓄積手段が蓄積した測定データを利用して、上記第1の測定装置から送出された各フレームと、上記第2の測定装置で受信した各フレームとの間で対応する組合せを求め、(7)上記通信品質算出手段は、上記フレーム対応関係取得手段で対応関係が求められたフレームの各組合せについて、上記蓄積手段で蓄積した測定データから、上記第1の測定点と上記第2の測定点との間の通信品質に係るパラメータを算出し、(8)上記制御情報送信手段は、上記第1の測定装置から、上記メディア変換装置を介して、送出するフレーム列のセッションに係る制御情報を送信し、(9)上記フレーム送出タイミング取得手段は、上記第2の測定装置が、上記第1の測定装置から受信した制御情報に基づいて、上記第1の測定装置から送出される各フレームの送出タイミングを取得し、(10)上記蓄積手段は、少なくとも、上記第2の測定装置が受信する各フレームの受信タイミングと、上記第2の測定装置が受信する制御情報の一部又は全部を測定データの一部として蓄積し、(11)上記通信品質算出手段は、上記フレーム対応関係取得手段で対応関係が求められたフレームの各組合せについて、上記第1の測定装置での送信タイミングと、上記第2の測定装置での受信タイミングとに基づき、フレーム転送遅延時間を求め、(12)上記通信品質算出手段は、上記第2の測定装置でのフレームのロス率が所定値を超過した区間があった場合には、当該区間に係るフレーム転送遅延時間の算出を行わずに、次の区間に係るフレーム転送遅延時間を算出する処理に移行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、通信メディアの変換が行われるネットワークにおいても、通信品質の測定を行うことができる通信品質測定システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係る測定装置(通信品質測定システムを構成する各構成要素)の機能的構成について示したブロック図である。
図2】実施形態に係る通信品質測定システム、及び通信品質測定システムで測定対象となるネットワークの全体構成について示したブロック図である。
図3】実施形態に係る通信品質測定システムの動作について示したフローチャートである。
図4】実施形態に係るパケット送信側の測定装置でパケット送信する動作について示したフローチャートである。
図5】実施形態に係るパケット受信側の測定装置で、パケット受信する際の動作について示したフローチャートである。
図6】実施形態に係る通信品質測定システムで対応する通信メディア(コーデック)の仕様について示した説明図である。
図7】実施形態に係る解析部で行われるパケット転送遅延時間の解析処理について示したタイミングチャート(その1)である。
図8】実施形態に係る解析部で行われるパケット転送遅延時間の解析処理について示したタイミングチャート(その2)である。
図9】実施形態に係る解析部が1区間分のパケット転送遅延時間の解析処理を行う際の動作について示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(A)主たる実施形態
以下、本発明による通信品質測定システム、及び方法の一実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0017】
(A−1)実施形態の構成
図2は、ネットワーク1、及びネットワーク1に関する通信品質を測定するための、通信品質評価システム2の構成について示したブロック図である。
【0018】
図2に示すように、ネットワーク1は、NGNとして構築されたネットワークシステムである。そして、ネットワーク1上には、少なくともSIP端末間の呼制御を行うセッション制御装置3、及びSIP端末間のメディア通信におけるメディア変換(例えばコーデック変換)を行うメディア変換装置4が配置されている。
【0019】
セッション制御装置3は、通信装置間の呼制御を行う呼制御装置である。この実施形態では、セッション制御装置3は、SIP/SDP(Session Initiation Protocol/Session Description Protocol)を用いて呼制御を行うものとする。セッション制御装置3としては、例えば、既存のSIP/SDPに対応したSIPサーバ(呼制御装置)を適用することができる。
【0020】
そして、ネットワーク1の末端部分には、ユーザネットワークを収容するためのONU5(5−1、5−2)が配置されているものとする。そして、ONU5−1、5−2のそれぞれのユーザ側(下位側)のインタフェースが、UNIとなっているものとする。
【0021】
そして、ONU5−1、5−2のUNIには、それぞれ測定装置20(20−1、20−2)が接続されている。この実施形態の通信品質評価システム2は、2つの測定装置20−1、20−2により構成されているものとする。すなわち、通信品質評価システム2では、ネットワーク1上の第1の測定点(ONU5−1配下のUNI点)と、ネットワーク1上の第2の測定点(ONU5−2配下のUNI点)との間の通信品質に係る測定を行うものとする。なお、測定装置20が配置される位置(測定点の位置)や、ネットワーク1への接続インタフェースについては限定されないものである。
【0022】
測定装置20−1、20−2は、いずれもSIP端末としての通信機能と、送受信する信号(パケット)に基づいて、対向する測定装置20との間の通信品質に関する測定を行う。この実施形態では、測定装置20−1、20−2は、セッション制御装置3の呼制御の下に、メディア変換装置4を介したメディア通信を行い、そのメディア通信に係る通信品質の測定(例えば、パケット転送遅延時間)を測定するものとする。ここでは、測定装置20−1、20−2は、それぞれ異なる通信メディア(音声コーデック)の電話通信を行うSIP端末として機能するものとする。
【0023】
具体的には、測定装置20−1は、固定電話等で用いられるG.711のコーデックに対応した電話通信(メディア通信)を行うことが可能であるものとする。また、測定装置20−2は、携帯電話等で用いられるG.729のコーデックに対応した電話通信(メディア通信)を行うことが可能であるものとする。したがって、メディア変換装置4では、測定装置20−1と測定装置20−2との間のコーデック変換(メディア変換)の処理が行われることになる。
【0024】
以上のように、ネットワーク1では、メディア変換装置4により、例えば、移動体通信と有線通信を密接に連携させる(Fixed Mobile Convergence)技術による通信環境等が実現可能な構成となっているものとする。
【0025】
次に、測定装置20−1、20−2の内部構成について図1を用いて説明する。ここでは、測定装置20−1、20−2は、いずれも同じ構成であるものとして説明する。
【0026】
測定装置20は、例えば、プロセッサ、メモリ、ネットワークインタフェース等を有する情報処理装置(通信装置)に、実施形態の測定プログラム(図1の各構成要素に該当するプログラム)をインストールすることにより実現するようにしてもよい。なお、測定装置20が行う情報処理については、複数の情報処理装置に分散して実行するようにしてもよい。
【0027】
測定装置20は、セッション制御部201、パケット生成部202、品質測定部203、セッション切断部204、アプリケーション情報入力部205、アプリケーション情報設定部206、及び解析部207を有している。
【0028】
試験情報記憶部205は、当該測定装置20で通信品質に係る測定試験の処理(以下、「通信品質測定試験処理」と呼ぶ)を行うことが可能なアプリケーションごとに、当該アプリケーションの識別子としてのアプリケーション名と、当該アプリケーションの試通信品質測定試験処理の内容を定義した情報(以下、「試験情報」と呼ぶ)が記憶されている。各アプリケーションの試験情報の内容の詳細については後述する。
【0029】
試験情報入力部206は、ユーザの操作等に基づいて、アプリケーション名(アプリケーション識別子)が入力されると、当該アプリケーション名を、通信品質測定試験処理を行う各構成要素(セッション制御部201、パケット生成部202、品質測定部203、セッション切断部204、及び解析部207)に供給して、通信品質測定試験処理を開始させる。そして、アプリケーション名が供給された各構成要素は、当該アプリケーション名に対応する試験情報のうち必要な情報を、試験情報記憶部205から取得して、通信品質測定試験処理を開始するものとする。測定装置20が、通信品質測定試験処理を開始するトリガやタイミングについては限定されないものであるが、この実施形態では、ユーザの操作により、測定装置20−1、20−2のそれぞれの試験情報入力部206に、アプリケーション名が入力されたことを契機に、通信品質測定試験処理が開始されるものとして説明する。
【0030】
なお、この実施形態の通信品質測定システム2(測定装置20−1、20−2)では、特許文献1に記載されたシステムと同様に、ネットワーク1で複数の品質クラスのサービスを提供することを前提として、複数の品質クラス、複数のアプリケーションをターゲットとして、一括してパケット生成及び品質測定を行うことが可能な構成となっているものとする。
【0031】
セッション制御部201は、セッション制御機能を担っており、セッション情報読み込み部201a及びセッション生成部201bを有している。具体的には、セッション制御部201は、SIP/SDPを用いてセッション制御装置3と呼制御信号(SIPメッセージ)の送受信を行い、対向するSIP端末としての測定装置20とメディア通信のセッション(呼)の接続を行う。そして、セッション制御部201は、セッションを接続する際(例えば、INVITEメッセージを送信する際)に、SDPを用いて、今回のセッションに用いるメディア通信の内容や条件等を、セッション制御装置3に通知する。セッション制御装置3では、この情報を基に、ネットワーク1における、品質クラスの判定と必要なリソースの割当等を行い、具体的な呼制御を行う。
【0032】
パケット生成部202は、トラヒック生成機能を担っており、パケット情報読み込み部202a、パケット生成部202b、終了判定部202cを有している。具体的には、パケット生成部202は、対向するSIP端末としての測定装置20とセッション開始後に、通信品質評価システム2において測定対象となるトラヒック(メディアデータを送信するためのパケット列)を発生させる。この際、パケット生成部202は、単純にパケットを送信および受信するだけではなく、トラヒック特性によって品質が変化する可能性があるため、発生させるトラヒックは対象とするサービス/アプリケーションに応じたものとする必要がある。例えば、コーデックとして、G.711を用いたIP電話の場合、IP電話端末は、20msec毎に200byteのパケットを送信するものが多く見られるので、パケット生成部202においても、同様の間隔とサイズでパケットを送信することが必要である。
【0033】
品質測定部203は、品質評価に係る測定機能を担っており、測定情報読み込み部203a、測定実行部203b、終了判定部203c、及び測定データ蓄積部203dを有している。ネットワーク1の通信品質に係るパラメータ(指標)としては、例えば、パケット転送遅延時間、パケット転送遅延ゆらぎ、パケット損失率等、ITU−Tによる勧告で推奨される項目が挙げられる。この実施形態では、品質測定部3は、ネットワーク1の通信品質に係るパラメータとして、少なくともパケット転送遅延時間を測定するものとして説明する。
【0034】
セッション切断部204は、当該測定装置20が接続したメディア通信のセッションの切断処理を行う機能を担っている。
【0035】
解析部207は、品質測定部203(測定データ蓄積部203d)に蓄積された測定データを解析する機能を担っている。解析部207の具体的な処理内容については後述する。
【0036】
(A−2)実施形態の動作
次に、以上のような構成を有するこの実施形態の通信品質評価システム2(測定装置20−1、20−2)の動作について説明する。
【0037】
まず、測定装置20−1、20−2の試験情報記憶部205において、予め、測定対象とするアプリケーション毎に、試験情報として、セッション情報、パケット情報、品質測定項目情報等の情報の組が記憶されたものとする(S101)。
【0038】
ここでは、測定装置20−1の試験情報記憶部205には、電話通信のアプリケーション(以下では、当該アプリケーションの名前を「電話通信アプリケーション」と呼ぶものとする)に対応するセッション情報として、測定装置20−2との間で、所定の条件(例えば、所定の帯域、QoSクラス)での電話通信を行うことを示す情報が設定されているものとする。また、測定装置20−1の試験情報記憶部205には、電話通信のアプリケーションに対応するパケット情報として、メディア変換装置4を介して、所定の条件(例えば、所定のトラヒック特性、DSCP値等)で、測定装置20−2と、G.711のコーデックを用いた通信メディアのパケット(試験用の音声データが挿入されたパケット)の送受信を行うことを示す情報が設定されているものとする。さらに、測定装置20−1の試験情報記憶部205には、電話通信のアプリケーションに対応する品質測定項目情報として、少なくとも、メディアパケットの転送遅延時間の測定項目について測定することが設定されているものとする。
【0039】
また、ここでは、測定装置20−2の試験情報記憶部205には、電話通信のアプリケーションに対応するセッション情報として、測定装置20−1との間で、所定の条件で電話通信を行うことを示す情報が設定されているものとする。また、測定装置20−2の試験情報記憶部205には、電話通信のアプリケーションに対応するパケット情報として、メディア変換装置4を介して、測定装置20−1と、所定の条件で、G.729のコーデックを用いた通信メディアのパケットの送受信を行うことを示す情報が設定されているものとする。さらに、測定装置20−2の試験情報記憶部205には、電話通信のアプリケーションに対応する品質測定項目情報として、少なくとも、メディアパケットの転送遅延時間の測定項目について測定することが設定されているものとする。
【0040】
なお、測定装置20−1、20−2においては、特許文献1と同様に、品質測定項目情報として、パケット転送遅延時間以外の項目についても定義するようにしてもよいが、パケット転送遅延時間以外の項目については種々の測定方法を適用することができるため、以下では、パケット転送遅延時間以外の処理に係る詳しい説明を省略する。
【0041】
その後、測定装置20−1、20−2の試験情報入力部206に対して、ユーザ(例えば、システム管理者等)の操作により、アプリケーション名として、「電話通信アプリケーション」を指定して、通信品質測定試験処理の開始の操作が行われたものとする(S102)。
【0042】
そして、測定装置20−1、20−2の試験情報入力部206は、入力されたアプリケーション名(電話通信アプリケーション)を、通信品質測定試験処理を行う各構成要素(セッション制御部201、パケット生成部202、品質測定部203、セッション切断部204、及び解析部207)に供給して、通信品質測定試験処理を開始させる(S103)。これにより、測定装置20−1、20−2では、電話通信アプリケーションに関する通信品質測定処理が開始されることになる。なお、このとき、測定装置20−1、20−2では、対向する測定装置20と送受信する際のSDPの内容を保持して、測定データの一部として、測定データ蓄積部203dに保持するものとする。
【0043】
まず、測定装置20−1、20−2では、セッション制御部201(セッション情報読み込み部201a)により、試験情報記憶部205から、入力されたアプリケーション名に対応するセッション情報が読み込まれる。そして、測定装置20−1、20−2では、セッション制御部201(セッション生成部201b)により、読み込まれたセッション情報に基づいて、セッション制御装置3に対するSIPによるセッ ション要求が行われる。そして、測定装置20−1、20−2間で、電話通信アプリケーションのセッションが確立されたものとする(S104)。
【0044】
そして、測定装置20−1、20−2では、パケット生成部202(パケット生成部202b)により、試験情報記憶部205から、入力されたアプリケーション名に対応するパケット情報が読み込まれる。そして、パケット生成部202(パケット生成部202b)により、パケット情報に基づいて、確立した電話アプリケーションのセッションに係るメディアパケットの生成・送信が開始される(S105)。
【0045】
そして、測定装置20−1、20−2では、品質測定部203(測定情報読み込み部203a)により、試験情報記憶部205から、入力されたアプリケーション名に対応する品質測定項目情報が読み込まれる。そして、測定装置20−1、20−2では、品質測定部203(測定情報読み込み部203a)により、品質測定項目情報(パケット転送遅延時間)に基づいて、対向する測定装置20からのメディアパケットの受信及び通信品質測定が開始される(S106)。
【0046】
そして、測定装置20−1、20−2では、パケット生成部202(終了判定部202c)により、通信品質測定試験処理の終了タイミングが検出されると、パケット生成部202によるパケット生成、及び品質測定部203による通信品質測定処理が終了する(S107)。終了判定部202cによる終了判定のタイミングは限定されないものであり、例えば、パケット生成・送信の処理が開始されてから一定時間(試験情報として設定された時間としてもよい)経過後としてもよい。
【0047】
そして、測定装置20−1、20−2では、品質測定部203(測定データ蓄積部203d)に蓄積された、測定結果(受信した試験用パケットのそれぞれの受信時刻)を含む測定データが、解析部207に供給され(S108)、セッション切断部204により試験用のセッションの切断処理が実行される(S109)。
【0048】
そして、測定装置20−1、20−2では、解析部207により、測定データ蓄積部203dに蓄積された測定データの解析処理が行われる(S110)。解析部207は、入力された試験情報や、測定データ蓄積部203dに測定データの一部として蓄積されたSDPの内容等に基づいて、対向する測定装置20と当該測定装置20との間の通信仕様を把握し、把握した通信仕様に基づいて、測定データの解析を行うものとする。
【0049】
なお、解析部207が行った処理結果(パケット転送遅延時間の列等)の出力方法については限定されないものであり、例えば、情報記録媒体(HDDやDVD−ROM等)に出力して記憶させるようにしてもよいし、他の装置(例えば、ネットワーク1上のサーバ等)にデータ送信出力するようにしてもよい。
【0050】
以上のような流れで、測定装置20−1、20−2では、通信品質測定試験処理が実行される。
【0051】
次に、測定装置20−1、20−2のパケット生成部202(パケット生成部202b)において、上述のステップS105で、パケット生成・送信処理が開始されてから、上述のステップS107で終了するまでの間の処理について図4のフローチャートを用いて説明する。
【0052】
図4に示すように、パケット生成部202(パケット生成部202b)は、終了判定部202cにより、通信品質測定試験処理の終了と判定されるまでの間、取得したパケット情報に基づいて、パケット生成及び送信処理を繰り返し実行する処理を行う(S201、S202)。このとき、パケット生成部202(パケット生成部202b)が送信するメディアデータの内容は限定されないものであり、例えば試験用のダミーの音声データを繰り返し送信するようにしてもよい。
【0053】
なお、パケット生成部202(パケット生成部202b)が試験用パケットを送信する間隔(パケット化周期)は、送信する通信メディアのコーデックの仕様及び設定により定まる。この実施形態では、パケット生成部202(パケット生成部202b)は、試験用データをRTP/RTCP(Real-time Transport Protocol/RTP Control Protocol)により伝送するものとして説明する。すなわち、パケット生成部202(パケット生成部202b)は、パケット化周期ごとに、メディアデータ(音声データ)を挿入したRTPパケットを試験用パケットとして送出する。また、パケット生成部202(パケット生成部202b)は、所定の期間ごとに、RTPの通信制御を行うためのRTCPパケットを試験用パケットとして送出する。
【0054】
図6は、測定装置20−1、20−2が対応する各コーデックの仕様及び設定について示した説明図である。
【0055】
図6では、測定装置20−1が対応するG.711及び、測定装置20−2が対応するG.729の仕様について示している。
【0056】
G.711は64kbpsの転送レートのコーデックであり、RTPパケットのペイロード長は160bytes又は320bytesである。したがって、G.711では、ペイロード長が160bytesの場合パケット化周期は20msec、ペイロード長が320bytesの場合パケット化周期は40msecとなる。また、G.729は8kbpsの転送レートのコーデックであり、RTPパケットのペイロード長は20bytes又は40bytesである。したがって、G.729では、ペイロード長が20bytesの場合パケット化周期は20msec、ペイロード長が40bytesの場合パケット化周期は40msecとなる。
【0057】
なお、測定装置20−1、20−2の間で、パケット化周期の情報は、例えば、セッション接続時に、SIPメッセージのSDPを用いて通知するようにしてもよい。
【0058】
また、測定実行部203bは、通信品質測定試験処理を行う際に、測定データ蓄積部203dに、測定データの一部として、対向する測定装置20におけるパケット送信開始時刻、及びパケット化周期の情報も蓄積させるものとする。
【0059】
次に、測定装置20−1、20−2の品質測定部203(測定実行部203b、測定データ蓄積部203d)において、上述のステップS106で、測定処理が開始されてから、上述のステップS107で終了するまでの間の処理について図5のフローチャートを用いて説明する。
【0060】
図5に示すように、品質測定部203(測定実行部203b)は、通信品質測定試験処理の終了と判定されるまでの間、通信品質測定試験処理に係る試験用パケット(RTPパケット及びRTCPパケット)を受信する度に、測定処理(受信時刻を取得)し、その試験用パケットに係る情報と共に、測定データとして測定データ蓄積部203dに蓄積する処理を繰り返し実行する処理を行う(S301〜S304)。
【0061】
品質測定部203(測定実行部203b)は、少なくとも試験用パケットとして受信したRTPパケットのシーケンス番号を測定データの一部として測定データ蓄積部203dに蓄積させるものとする。また、品質測定部203(測定実行部203b)は、少なくとも試験用パケットとして受信したRTCPパケットに挿入された制御情報を、測定データの一部として、測定データ蓄積部203dに蓄積させるものとする。
【0062】
次に、上述のステップS110で行われる解析部207による解析処理の内容について説明する。
【0063】
なお、測定装置20−1、20−2の間では、上述の通り、事前の設定又は呼制御時の信号(INVITEメッセージ等)交換により、事前に双方のパケット化周期及び試験用パケット(RTPパケット)の送出開始タイミングについては把握されているものとする。すなわち、測定装置20−1、20−2では、対向する測定装置20から各RTPパケットが送出されるタイミングについては把握可能であるものとする。
【0064】
そして、解析部207は、対向する測定装置20における各パケット(RTPパケット)の送出タイミングと、受信した各パケット(RTPパケット)との紐付けを行う。そして、解析部207は、受信したパケットに係るパケット転送遅延時間(End to End遅延時間)を算出する。
【0065】
解析部207は、対向する測定装置20の側(以下、「パケット送信側」とも呼ぶ)のパケット送信時刻(RTPパケットの送信時刻)と、当該測定装置20(以下、「パケット受信側」とも呼ぶ)で受信したRTPパケットとの紐付けを行う際に、入力側と出力側の各パケット化周期を考慮して、複数対複数、又は、単数対複数の紐付けを行う。
【0066】
ここでは例として、G.711に対応する測定装置20−1のパケット化周期を20msec、G.729に対応する測定装置20−2のパケット化周期を40msecであるものとする。
【0067】
そして、図7は、測定装置20−1をパケット送信側、測定装置20−2をパケット受信側とした場合に、測定装置20−2の解析部207が実行する処理について示したタイミングチャートである。
【0068】
図7では、例として、パケット送信側(測定装置20−1)のパケット送信開始時刻(最初のRTPパケットの送信時刻)をタイミングT101としている。そして、図7に示す、タイミングT101の後のタイミングT102、T103、T104、T105、T106、…、は、それぞれパケット送信側のパケット送信時刻(RTPパケットの送信時刻)を示している。すなわち、タイミングT101〜T106の間隔は、それぞれ20msecとなっている。そして、図7では、タイミングT201、T202、T203…、のそれぞれが、パケット受信側(測定装置20−2)のパケット受信時刻(RTPパケットの受信時刻)を示している。タイミングT201〜T203のそれぞれの間の時間は、遅延ゆらぎ等が発生しない場合、概ね40msecとなる。また、タイミングT201、T202、T203の受信パケットのシーケンス番号は、それぞれ1、2、3であるものとする。図7では、説明を簡易にするため、シーケンス番号を1、2、3、…、という形式で表しているが、シーケンス番号の形式(初期値や加算値等)については限定されないものである。
【0069】
そして、図7例の場合、パケット送信側のパケット化周期が20msec、パケット受信側のパケット化周期が40msecであるので、測定装置20−2の解析部207では、パケット送信側の2つのパケット送信時刻と、パケット受信側の1つのパケット受信時刻が紐付けられることになる。すなわち、図7の例の場合、測定装置20−2の解析部207では、例えば、タイミングT101、T102のパケット送信時刻の組と、タイミングT201のパケット受信時刻とが紐付けられることになる。
【0070】
図7の例の場合は、パケット送信側のパケット化周期と、パケット受信側のパケット化周期が1:2の関係になっているので、解析部207は、パケット送信側のパケット化周期を2倍すれば、パケット受信側のパケットとの紐付けを行うことができる。このように、パケット送信側とパケット受信側で、パケット化周期が一方の倍数となる関係であれば、解析部207は、他方のパケット化周期にその倍数を乗じることで、パケットの紐付けが可能である。なお、パケット送信側とパケット受信側で、パケット化周期が一方の倍数とならない場合でも、解析部207は、2つのパケット化周期の最小公倍数を求めることで、パケットの紐付けを行うことができる。例えば、パケット送信側のパケット化周期が30msec、パケット受信側のパケット化周期が20msecの場合(3:2の関係の場合)には、最小公倍数は60msecとなるので、解析部207は、パケット送信側の2つのパケットと、パケット受信側の3つのパケットとの紐付けを求めることができる。
【0071】
なお、パケット受信側の解析部207において、パケット送信側のパケット送信時刻と、パケット受信側のパケット受信時刻とを紐付ける方法として、パケット送信側から供給されるRTCPパケットのうち、SR(Sender Report)が挿入されたRTCPパケット(以下、「RTCP−SRパケット」と呼ぶ)を用いるようにしてもよい。RTCP−SRパケットに挿入されるSRには、パケット受信側に供給されるべきRTPパケットのシーケンス番号の情報(例えば、先頭のシーケンス番号及びパケットの個数の情報)が含まれるので、パケット受信側の解析部207では、RTCP−SRパケットの内容と、受信パケットのシーケンス番号とに基づいて、パケット送信側のパケット送信時刻と、パケット受信側のパケット受信時刻とを紐付けることができる。なお、メディア変換装置4ではメディア変換により、各RTPパケット及びRTPパケットの内容(シーケンス番号等)が、パケット受信側の測定装置20に適合する形式に変換されることになる。
【0072】
そして、測定装置20−2の解析部207では、上述のようなパケット受信時刻について同様の紐付けを行った後、それぞれの紐付け(パケット送信時刻とパケット受信時刻の紐付け;組合せ)について、パケット転送遅延時間を算出する。例えば、タイミングT101、T102のパケット送信時刻と、タイミングT201のパケット受信時刻との紐付けについては、最後のパケット送信時刻であるタイミングT102と、タイミングT201との差分d101を、当該紐付けに係るパケット転送遅延として算出するようにしてもよい。
【0073】
そして、図8は、測定装置20−2をパケット送信側、測定装置20−1をパケット受信側とした場合に、測定装置20−1の解析部207が実行する処理について示したタイミングチャートである。図8例の場合、パケット送信側のパケット化周期が40msec、パケット受信側のパケット化周期が20msecであるので、測定装置20−1の解析部207では、パケット送信側の1つのパケット送信時刻と、パケット受信側の2つのパケット受信時刻が紐付けられることになる。そして、測定装置20−1の解析部207は、例えば、各紐付けについて、パケット送信時刻と、最初の受信パケットのパケット受信時刻との差分(例えば、図8のタイミングT301とタイミングT401の差分d201)がパケット転送遅延時間として算出されることになる。
【0074】
なお、解析部207は、パケットの紐付け処理を行う際に、パケット受信側でパケットロスを検出した場合(パケット受信側のパケットのシーケンス番号が連続しない場合)には、パケット受信側でロスしたパケットに係る紐付け処理をスキップするようにしてもよい。例えば、図7の例で、タイミングT202(シーケンス番号2)に係るパケットがロスして受信できなかった場合(測定データ蓄積部203dに情報が蓄積されなかった場合)には、解析部207は、タイミングT103、T104に係る紐付けをスキップして、タイミングT105、T106のパケット送信時刻の組と、タイミングT204のパケット受信時刻と2の紐付け処理を行う。
【0075】
なお、この実施形態においては、パケット受信側の解析部207では、所定以上の比率でパケットロスが発生している任意の区間については、通信品質が所定以上に悪く、品質測定不可であるものとして、パケット転送遅延時間の算出を行わないものとする。パケット受信側の解析部207では、RTCP−SRパケットの受信間隔を1つの区間として取扱い、区間ごとにパケットロス率(パケット送信側のRTPパケット送信数/パケット受信側のRTPパケット受信数)を計算する。すなわち、パケット受信側の解析部207は、第1のRTCP−SRパケットの受信時刻から、その次に受信する第2のRTCP−SRパケットの受信時刻までの間を1つの区間として取り扱う。
【0076】
RTCP−SRパケットに挿入されるSRには、当該区間でパケット受信側に供給されるべきRTPパケットのシーケンス番号の情報(例えば、先頭のシーケンス番号及び当該区間のRTPパケットの個数の情報)が含まれるので、パケット受信側の解析部207では、RTCP−SRパケットの内容と、受信パケットのシーケンス番号とに基づいて、パケットロスを検出することができる。
【0077】
具体的には、この実施形態のパケット受信側の解析部207は、図9に示すフローチャートにより、区間ごとの処理方法の決定、及び、転送遅延時間の算出処理(パケット送信時刻とパケット受信時刻の紐づけ処理を含む)を実行するものとする。パケット受信側の解析部207は、区間ごとに図9に示す処理を実行する。
【0078】
まず、パケット受信側の解析部207は、1つの区間について、測定データ蓄積部203dに蓄積された情報を取得すると、当該区間におけるパケット受信側でのパケットロス数をカウントする(S401)。
【0079】
ステップS401で、カウントしたパケットロス数が0だった場合、パケット受信側の解析部207は、当該区間について上述の図7図8に示すような紐付け処理及び転送遅延時間算出処理を行う(S403)。
【0080】
なお、パケット受信側の解析部207は、パケット送信側のパケット送信開始時刻と、それまでに処理した区間に係る処理情報に基づいて、当該区間での最初の受信パケット(RTPパケット)に係るパケット送信時刻を把握することができる。
【0081】
一方、ステップS401で、カウントしたパケットロス数が1以上だった場合、パケット受信側の解析部207は、当該区間におけるパケットロス率を計算する(S402)。
【0082】
そして、上述のステップS402で、パケットロス率が0.1%以下だった場合には、パケット受信側の解析部207は、ロスしたパケットに係るパケット送信時刻を除外して、上述の図7図8に示すような紐付け処理及び転送遅延時間算出処理を行う(S404)。
【0083】
一方、上述のステップS402で、パケットロス率が0.1%より多い場合には、パケット受信側の解析部207は、当該区間に係るパケット転送遅延時間の算出は行わずに次の区間の処理に移行するものとする。なお、パケット受信側の解析部207は、パケットロス率が0.1%より多かった区間の数をカウントしておき、処理結果の一部として出力するようにしてもよい。
【0084】
なお、通常、NGNのUNI−UNI間では、IPパケットのパケットロス率(パケット損失率)が、0.1%以下であることが求められる。
【0085】
(A−3)実施形態の効果
この実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0086】
通信品質測定システム2では、パケット送信側とパケット受信側でパケット化周期が異なる場合でも、パケット送信側のパケット送信時刻と、パケット受信側のパケット受信時刻との紐付け(組み合わせ)を求め、紐づけごとにパケット転送遅延時間を求めることができる。言い換えると、通信品質測定システム2では、アクティブ測定の利点を活かし、解析部207においてパケット送信側のパケット送信時刻を把握することができるため、パケット送信側とパケット受信側でパケット化周期が異なる場合でも、パケット転送遅延時間を求めることができる。
【0087】
特に、移動体通信と有線通信を密接に連携させるFMC技術を適用したネットワーク(例えば、NGN)では、対応する通信メディアの異なる端末間の通信が行われるため、このような場合でもパケット転送遅延時間を求めることができる通信品質測定システム2(測定装置20−1、20−2)は非常に有用である。
【0088】
(B)他の実施形態
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0089】
(B−1)上記の実施形態の通信品質測定システム2では、固定電話(G.711)と携帯電話(G.721)間の通信に関する品質を測定する例について説明したが、測定対象となる通信メディアの種類(符号化方式及び仕様の種類)については限定されないものである。例えば、通信品質測定システム2において、上述の固定電話と携帯電話間の通信(G.711とG.721)について、固定電話同士の通信(例えば、G.711とG.722の間の通信)や携帯電話同士の通信(例えば、AMR−NBとAMR−WBとの間の通信)に置き換えてもよいことは当然である。
【0090】
(B−2)上記の実施形態の通信品質測定システム2では、IPパケット同士(RTPパケット同士)の通信品質測定試験処理(紐付け処理等)を行っているが、通信品質測定試験処理の対象となるフレームはIPパケットに限定されない。例えば、通信品質測定システム2において、ATM網のセルと、IP網のIPパケットとの間の通信品質測定試験処理(紐付け処理等)を行うようにしてもよい。この場合、通信品質測定システム2では、少なくともATM網におけるセル送出開始時刻及び、セル送出間隔が把握されている必要がある。
【0091】
(B−3)上記の実施形態では、測定装置20内部に解析部207を配置する構成として説明したが、解析部207の配置位置は限定されないものである。例えば、ネットワーク1上の任意の情報処理装置(PC等の端末)に、解析部207の処理を行う解析処理プログラムをインストールすることにより実現するようにしてもよい。解析部207について、測定装置20の外部に配置することにより、各測定装置20の構成(CPUやメモリ量等)を小規模に抑えることができる。なお、上記の実施形態のように、測定装置20内部に解析部207を配置する構成とした場合には、通信品質測定システム2における装置数を低減することができる。
【0092】
(B−4)上記の実施形態における解析部207は、パケット送信側のパケット送信開始時刻とパケット化周期に基づいて、パケット送信側が送出するパケットの各パケット送信時刻を取得する処理について説明したが、解析部207がパケット送信時刻を取得する方法はこれに限定されないものである。例えば、パケット送信側の測定装置20で、各パケットのパケット送信時刻を取得して、パケット受信側の解析部207に供給するようにしてもよい。パケット送信側の測定装置20から、パケット受信側の解析部207にパケット送信時刻を供給する方法も限定されないものである。例えば、パケット送信側の測定装置20でパケット送信時刻を蓄積しておき、パケット受信側の解析部207で解析処理を行うときに供給するようにしてもよい。
【0093】
(B−5)上記の実施形態の解析部207では、パケットロスが発生した場合でも、RTCP−SRパケットの内容に基づいて、パケット送信側とパケット受信側のパケット紐付けの処理を行うことが可能であることについて説明したが、他の方法により紐付けを行うようにしてもよい。たとえば、解析部207において、あらかじめ、紐付け方法(紐付けのルール)が把握されている場合(例えば、必ずシーケンス番号は1から始まり、1ずつインクリメントされる場合等)には、シーケンス番号を確認するのみで紐付け可能である。
【0094】
(B−6)上記の実施形態では、通信品質測定システム2が、音声の通信メディアについて通信品質測定試験処理を行う場合について説明したが、音声に限定されず動画像(映像)の通信メディアについて通信品質測定試験処理を行うようにしてもよいことは当然である。
【0095】
動画像のメディアデータを、RTP等のプロトコルで送信する場合に、そのメディアデータのパケット列を構成するパケットは、音声の場合とは異なり、複数のパケットを用いて1フレームの画像を形成する。そして、この場合1フレーム分のパケットの最後のRTPパケットにおいて、通常RTPヘッダ部のマーカビットフラグが「1」となる。具体的には、品質測定部203では、受信するRTPパケットのマーカビットフラグを監視し、マーカビットが「1」になっているパケットを受信した時点で、1フレーム分のRTPパケットを受信したと認識し、その次のRTPパケットを2フレーム目のものと認識することができる。
【0096】
したがって、この場合、品質測定部203では、1フレーム分のパケットを受信するごとに、受信時刻(フレーム受信時刻)を取得する必要がある。
【0097】
また、上記の実施形態の解析部207では、音声のメディアデータを構成するパケット列について、パケット送信側とパケット受信側のパケットの紐付けにパケット化周期を用いているが、動画像のメディアデータの場合フレームレート(フレーム化周期)に置き換える必要がある。フレームレートは、通常、1秒あたりの数値で表し、fps(Frames Per Second)という単位で表される。したがって、パケット受信側の解析部207では、パケット送信側のフレームレートとパケット受信側のフレームレートに基づいて、パケット送信側のフレーム送信時刻(例えば、1フレーム分のパケットの最後のRTPパケットの送信時刻)と、パケット受信側のフレーム受信時刻(例えば、1フレーム分のパケットの最初のRTPパケットの受信時刻)との差分をパケット転送遅延時刻として算出することができる。また、この場合パケット受信側の解析部207では、上記の実施形態の場合(電話通信アプリケーションの場合)と同様に、パケット送信側とパケット受信側の各フレームレートの最小公倍数又はどちらか倍数させ、複数対複数・単数対複数の紐付けを行うことができる。
【0098】
(B−7)上記の実施形態の測定装置20−1、20−2では、双方向の通信について、通信品質測定試験処理を行っているが、片方向のみ(例えば、測定装置20−1から測定装置20−2への通信のみ)の通信品質測定試験処理を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0099】
1…ネットワーク、2…通信品質測定システム、20、20−1、20−2…測定装置、201…セッション制御部、201a…セッション情報読み込み部、201b…セッション生成部、202…パケット生成部、202a…パケット情報読み込み部、202b…パケット生成部、202c…終了判定部、203…品質測定部、203a…測定情報読み込み部、203b…測定実行部、203c…終了判定部、203d…測定データ蓄積部、204…セッション切断部、205…試験情報記憶部、206…試験情報入力部、207…解析部、3…セッション制御装置、4…メディア変換装置、5、5−1、5−2…ONU。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9